十和田市現代美術館

このGW、4月26日にオープンしたばかりの十和田市現代美術館に行ってきました!!
青森県はこの日生憎の曇り空で、しかも寒い!!
いつも旅行に行くと晴れ男っぷりを発揮するのですがこの日は違いました。
大阪が温かかったので、半袖Tシャツと薄いジャケットしか持っていなかったことを激しく後悔。青森をなめてました。。。
そんな気候にもめげず向かった先には大小さまざまな白いボリュームが立ち並ぶ。SANAAの西沢立衛による森山邸でも見せた新しい空間のあり方。
この美術館はほとんどの作品が常設のため、それぞれの作品に合わせた空間をひとつの建物内で壁によって分断するよりむしろ建物ごとに分けた方がスマートじゃないのか、という発想。いやー、西沢さんやっぱ孤高の天才です。
もっとフラットな感じを想像していたのですが、実際個々の建物自体はコンテナーのような感じ。
まず入り口で出迎えてくれるのがチェ・ジョンファによる花の巨大馬。

隣の建物の外壁にはポール・モリソンによる壁画。

入ると床には色とりどりのジム・ランビーによるZobop。

入館料をいざ払って入ったらロン・ミュエックによる4mのおばさん。
これがこの美術館でしかみられないなんて贅沢過ぎる。
しかも広い部屋にこれだけってのがまたいい。
そのまま進むとなにやら行列が・・・。
行列の先には栗林隆の1人ずつしか見れないインスタレーション。
10分くらい並んで展示室に入ると、机の上の椅子に登って天井に開いた穴を覗き込む。すると・・・これは実際見てのお楽しみです。ちょっと癒される。
ちなみにその野外には椿昇の巨大蟻。
その後ろの行列が栗林さんの部屋に入るためのもの。

行列の途中にも、キム・チョンギョムやジェニファー・スタインカンプの映像作品や、ハイウェイのカフェのようなハンス・オプ・デ・ビークによるおおがかりなインスタレーションなんかもあった。僕の好きなトマス・サラセーノのインスタレーションもあったけど、今回のは微妙でした。透明なバルーンを使った作品なんやけど、リヨン・ビエンナーレで見た時の方がスケールが大きくてよかったかな。
そんな中スゥ・ドーホーの作品は素晴らしかった。
肩車した小さな人々がどんどん連なり合って巨大シャンデリアのようになっていく作品。透明から赤くなっていく姿はなんとも美しい。布を使った作品の方が個人的には好きだけど、今回のはとてもよかった。

中庭のようなところには山極満博のカピバラが。

また、上を見上げると森北伸による大きい人と小さい人。

再び館内に戻り、今度は屋上へ。屋上までの階段にはフェデリコ・エレーロによる壁画と、屋上の床にも絵が。屋上から眺めた十和田市現代美術館。

下に降りると、薄暗闇に浮かぶ森。
マリール・ノイデッガーによる作品で、室内に入ると樹脂のにおいが立ちこめている。
そのにおいの元はなんとその森自身。
森を徹底したリアリズムで樹脂で作っておきながら、作り物だとわかるようにしてある。
そういうのは大西伸明と似ているけれど、大西さんが彫刻としてそれを見せてるのに対し、マリールは空間としてみせてるのがおもしろかった。
奥にはボッレ・セートレの宇宙船のような部屋があったけどよくわかんなかった。
そして今回オープニング記念ということでオノヨーコの展覧会が開かれていた。
オノヨーコは、常設の方でも「念願の木」と「三途の川」、「平和の鐘」という作品が中庭の方で展示されていた。「平和の鐘」はなんと大覚寺というお寺から直接譲り受けたものだそうで、住職も大胆なことをするな、と思った。
企画展の方は「入口」と題されていて、入る時にいくつかの入口があって好きなのを選べる。
入ると、壁には写真作品が並んでいる。写真は夫のジョンと息子のショーン、そして自分の父親の三世代の顔写真を合成したもので、その下にはそれぞれ自分の半生を綴ったテキストがかけられている。医者に関するものが多かったのが謎。
また、オノヨーコお得意の参加型作品も多数出品されてた。
地球儀に好きな色を塗っていく作品。。世界地図にスタンプを押していく作品など。
また、自分の好きな人の名前を書く「わたしたちはみんな水。」という作品では、観客が書いていくものもあったが、それより印象的だったのはオノヨーコ自身が、さまざまな人物の名前を書いたもの。中にはサダム・フセインやオサマ・ビン・ラディンなどの名前も。皆平等に愛を届けようというメッセージなのか。
こちらの企画展は7月6日まで。
ちなみに展示室内に設置された電話にオノヨーコがかけてくるという作品は、僕が行く前日までの4日連続でかかってきたそうな。運のいい人はオノヨーコと喋れます。
最後の部屋ではショップとカフェが。
床にはマイケル・リンの作品でフィニッシュ。

日没後に見られるという高橋匡太の建物のライトアップは時間がなくて見れませんでした。残念。
さて、この美術館はArts Towadaという2010年春まで続くプロジェクトの最初のプロジェクト。
新幹線がその年にこの十和田まで延びてくるのを機に、アートを使って町を活性化するという試みらしい。
直島や越後妻有を始め、現代アートを使って街起こしをする場所が増えているのはとても喜ばしいこと。
実際僕が行った当日もたくさんの人が訪れていて大変なにぎわいでした。
しかし問題はそれを永く続けていくこと。
特にこの美術館の場合、館のほとんどが常設作品で変わることがないので、リピーターを増やすのは中々難しそうです。実際僕も次また行くかと言われると、よっぽどのことがない限り行かないと思います。遠いし。
確かにすごい作品が集まっているし建築も話題で最初はたくさん人が集まるでしょう。
ただ、やはりこれを維持する大変さは想像に難くありません。
しかも多分この建築すぐ傷むと思います。メンテナンスはホント大変そう。
アートや建築がこの町のお荷物にならぬよう一アート、建築ファンとして願うばかりです。
