Marlene Dumas 'Broken White' @MIMOCA

四国は香川県にある丸亀市猪熊源一郎現代美術館に行ってきました。
目的は南アフリカ生まれのオランダ在住作家マルレーネ・デュマスの展覧会。
世界のペインティングブームの中でも、最も人気があると言っても過言ではない画家です。
今年はMoMAでの回顧展も決まっていて、ノリにのっている彼女。
その展覧会が、昨年東京都現代美術館で始まり、この丸亀まで巡回して来たのです。
会場に入ると、まず彼女の十八番の水彩による肖像画群が吹き抜けに展示されている。
さっそく彼女の作品が現れ期待も高まりながら3階の本会場へ。
正直思ってたより作品数が少なくてちょっと消化不良な感じやった。
最初のペインティングも彼女らしい人物画ではなかったのでスタートもなんかノリ切れず。
しかし順に追っていくにつれ、彼女の絵が醸し出す独特な不気味さがましてくる。
娼婦、骸骨、首吊り少女。
特に最後の部屋の死を醸し出していた部屋はとても異様な雰囲気だった。
モチーフも不気味だが、何故か彼女の絵画には物質感が感じられない。
会場全体を見渡すと彼女の絵がまるで重力を失い浮いているように感じる。
実際はもちろん壁にちゃんとかかっているんだけど、そういう風に感じてしまう。
美術館のチケット売り場近くで、彼女のドキュメント映像が流されているんだけど、その映像に映し出された彼女の制作行程にその浮遊感を解くヒントが隠されている気がした。彼女が作品を描く時、イーゼルに立てかけるのではなく、床に置いて描いている。大量の液体で絵の具を滲ますので、立てかければ色が垂れてしまうという理由からなのだが、その描き方は日本画に近い。彼女の絵が他の画家と違う雰囲気を持つのはこういった制作行程にもあるのかもしれない。そして僕が感じた浮遊感は、元々作品の出生が床に対して水平なのに、展示の段になって初めて垂直にかけられるからなのかもしれない。
作品数は少なかったものの、彼女の作品に亡霊のように囲まれる体験は貴重だった。
1月20日まで開催中。まだの方は是非。
ちなみにそのドキュメント映像結構長いです。
ショップで過去の図録2冊と今回の図録を買いあさった。
ここは良質な展覧会が頻繁にやってる。
この前もエルネスト・ネトだったし、昨年も須田悦弘の展覧会がやってて、観に行けず涙をのんだ。今回はその2つの図録を購入。年始福袋買えなかったので、ここで憂さ晴らし。散財散財。
この3冊を読んでいて、共通する名前が浮かんできました。
植松由佳。この美術館のキュレーターさんです。
今年はどんな展覧会を企画してくれるのか。楽しみでなりません。
岡山から丸亀に来る時、マリンライナーというのに乗るんですが、それが瀬戸内海を渡っていく時の眺めといったら美しい以外にありません。遠い場所ですが、その道のりも醍醐味のひとつです。
そしてこの美術館、思っきし駅前にあるのも特徴。駅前の美術館ってありそうでないのでその感覚も楽しいです。谷口吉生による建築も魅力。
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