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SPACE FOR YOUR FUTURE @ 東京都現代美術館


長谷川祐子。
僕が最も尊敬するスーパーキュレーターである。
そんな彼女が金沢21世紀美術館から東京都現代美術館(MOT)へ引き抜かれ、初めてのキュレーション展が開催されるというので、ワクワクしながら行ってきた。
会場に着くと、なんということか、MOTで見た事ないくらいの人の入りよう。
MOTは都心から少し離れたところに建つ美術館である。
そんな立地条件の悪さ、しかも現代美術の展覧会でこれだけの集客。
彼女のすごいところは、玄人受けも素人受けもする展覧会を作ることである。
玄人も唸る作家選択に、ポスターには沢尻エリカ。
視覚だけではなく、五感で訴えかける作品を多く選び大人から子供まで楽しめる展覧会を作る。
これは金沢のオープニング展でも遺憾なく発揮されていた業である。
実際あの展覧会で多くの良い作家が知れたし、実際楽しかった。
そして今回の「SPACE FOR YOUR FUTURE」展は美術だけではなく、ファッションや建築といった分野からも出展されている。ジャンルの横断ということや、お互いタイトルに「未来」という言葉が入っていることなどから、同時期に開催されている森美術館の「六本木クロッシング」と対比されることが多いが、はっきり言って雲泥の差である。まず、「スペース」というテーマ設定をすることで、散漫になりがちな展示をピシッとまとめている。そして、森美が美術以外の人をできるだけやってることそのまま出品させておいて、さらにそれを無理に美術に見せようとしていた節があるのに対し、こちらは作品がすでに美術的であり、しかもそれが作家の純粋な表現として見せられているので、何の無理もなく見れる。ここは作家選びの業であろう。
昨晩NHKの「プロフェッショナル」にて特集されていたが、長谷川さん曰く、良い作品を作る作家は一作品見ただけでわかるとか。フェロモンがでてるんですって。さすがその嗅覚があってこそ、これだけ素晴らしい作家を集められるんですね。
では、印象に残った作品をピックアップしてお届け。
SANAA
彼らと長谷川さんは切っても切れない関係だと思う。なんせ、長谷川さんがすべての指揮をとって作り上げた金沢21世紀美術館の建物を建てたのがこのSANAAだ。彼らはこの建築でさらに有名になり、海外からの仕事もひっきりなしである。
そんな彼らが今回出品しているのが、実際に建てられた「フラワーハウス」の1/2模型。床から花が実際に咲いているようなインスタレーションを実現している。家が1/2なのに対し、花は実寸大なのも妙。SANAA流の楽園。
エルネスト・ネト
相変わらず気持ちいい作品を作ってくれる。今回はウェアラブルな作品で、実際着て寝転ぶと本当に安らぐ。是非家に欲しいものである。しかし今年は彼、日本において引っ張りだこですね。オペラシティでの「メルティング・ポイント」展や丸亀での個展。何個も見逃してます涙
マイケル・リン
いつも壁いっぱいにアジアの伝統模様を描く彼が、今回は壁にぽつんとかかった絵画一点。彼らしくないな、と思って部屋を見渡してよく見ると、えんぴつで壁に色の塗られていない伝統模様が!!それが一点の絵画に続いて行く。お見事。
フセイン・チャラヤン
金沢の時は映像作品を出品していて、それはあまり好きじゃなかったけど、今回のLEDを用いた光る服は幻想的で美しかった。そして実際のショーの様子がビデオで見れるんやけど、これがメチャクチャおもしろかった。器械仕掛けで動く服。最後帽子に服が吸い込まれていってモデルさん裸になってた笑 いやー、とんでますねー。
石上純也
なんといっても今回の展覧会のメインは彼がかっさらいました。MOTの吹き抜け部分をうまく使ったインスタレーション。なんせ1tのアルミで出来た高さ14mにもなる物体がヘリウムで浮いてるんですから半端ないです。風の流れでいとも簡単に動く巨大物体はシュールそのもの。また、係員がたまに動かすんやけど、その様はまるで曲芸師の仕事を見てるみたいだ。2年前、大阪のKPOにて、彼の細いテーブルを初めて見た時は、イマイチ何がやりたいのかわからなかったけど、今回でようやくわかりました。浮遊感や非現実感を孕んだ作品作り。彼は来年のヴェニス建築ビエンナーレ日本館代表にも選ばれています。一体どんなものを見せてくれるんでしょうね。ちなみに彼は昔SANAA事務所で働いてました。非現実感は彼らから受け継いだものでしょうね。

こんな感じでザっと挙げましたが、他にもタナカノリユキによる「100 ERIKAS」も今回の話題の1つ。壁一面に沢尻エリカが変装した100の肖像写真が飾られてる様は圧巻。やっぱかわいい。にしても、同じように変装する作家、澤田知子は、彼女の特徴的な顔が味なんだけど、こんなかわいい人にやられるとちょっと立場ないかも笑
あとは、オラファーの作品はさすが、部屋全体がオレンジになってました。

褒めまくってますが、難点をいうと前半のテンションに対し、後半すこしダレた感が勿体なかった。
後半の作品はほぼスルーしてしまいました。BLESSとか期待してただけに残念。
そして、「東京都21世紀美術館」と賞賛とも皮肉ともとれる言い方をされるだけあって、金沢のオープニング展と出展者がたくさんかぶってるのもどうかと思いました。彼女の審美眼でもって、どんどん新しい作家を紹介してほしいものです。
なんにせよ、六本木と比べて、プロのキュレーターの手腕がはっきり示せてました。
昨日のプロフェッショナル見ててもやはりキュレーターとは壮絶な仕事ですね。
片手でできるような仕事では決して無いです。
しかも、日本のキュレーターはやることが多すぎです。
欧米のキュレーターは分業制で、キュレーションのみに力をそそげますが、日本ではまだまだほとんどの仕事をキュレーターがやらなければいけなかったりする。元詩が近代美術館のキュレーター小林昌夫氏が、日本のキュレーターがやってることをアメリカのキュレーターに話したら「オマエはスーパーマンか!?」と驚かれたとか笑
資金集めもそのスーパーマンがやらなければならない仕事の1つです。私立美術館ならまだしも、こうした国や都が運営する美術館は概して予算が少ない。それ以外からどう資金を集めるかで、随分違う。今回は、普通スポンサーとなる企業にお金を出してもらうだけで終わっていたものを、作品出品までお願いし、ダイキンは、「air relation」という色んな空気の充満した部屋のインスタレーションを提示してきた。こうした企業との連携も今回の注目すべき点である。
今までのMOTは多分、この資金の少なさを言い訳に、こんな大きな箱を持っていながら、まったく良い展覧会を行ってきませんでした。実際長谷川さんが赴任するまで、僕自身1度訪問しただけでした。石原都知事にも東京三大無駄施設とまで言われる始末。しかし彼女の赴任以降、カルティエ財団展やマルレーネ・デュマス展などの素晴らしい企画展が催されています。次回も川俣正展ということで、また足を運ぶことになりそう。立地条件や予算不足は、キュレーション次第でなんとかなるということを、長谷川さんは身を以て教えてるように思えます。彼女の様なキュレーターがいる限り日本にまだ光はありそう。
ただ長谷川さん、もう少しわかりやすい言葉を使ってください。「ポリフォニックな状況を許容すると同時にメタレベルのゆるやかなコントロールが可能なタオイスト的なキュレーション」とか「展覧会とはイディオシンクラティックな一回性の状況の中でつくりだされることの最認である。」とか意味わかりませんから・・・。横文字はできるだけ日本語で頼みます。

ところで今回常設展もすばらしかった。なにより僕がとても見たかった、スードーホーの「リフレクション」が見れたのはとてもうれしかった。階段で上の階に上がる時に見える風景は絶景。また、岡本太郎の「明日への神話」も展示されていて、予想以上の大きさに感動。
また、美術館の外の壁を使った鬼頭健吾のインスタレーションもすばらしかった。
企画展も常設展も館内・外すべて見応えのある上質な時間を過ごせました。
この展覧会は来年1月20日まで。まだの方は是非!!
ちなみに昨日のプロフェッショナルの再放送は来週火曜午後4:05~4:50(NHK総合)と来週水曜午後5:15~6:00(BS2)です。必見!彼女の「アートの力」を信じているという言葉はとても強かった。最後会場で子供達が楽しそうにしてる様を見守る姿は感涙もの。この番組凄い好きです。
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