ピピロッティ・リスト「からから」@原美術館
スイスの映像作家ピピロッティ・リストの日本初となる個展が原美術館で開催中です。
彼女の作品はどこかとても突き抜けていて、しかしどこかに毒もある、みたいな感じ。
この展覧会でも展示されてる、彼女を一躍有名にした97年の「Ever Is Over All」は彼女の突き抜けたキャラクターが全面に出た作品で、昨年ベルリンのハンブルグ駅美術館で見た時はもう笑けて笑けて仕方なかった。今回も笑ったけど。笑いながら、ルンルンで謎の植物でもって、次々と駐車中の車の窓ガラス割っていくシュールさがたまらん。途中で警官が通りすがるんやけど、注意するどころか、笑顔で敬礼して去っていくところが一番の見所。いやー、好きです。
他にもこの展覧会は彼女のインスタレーション能力の素晴らしさも体験できます。
映像作家はインスタレーション能力の有無が結構重要。束芋も素晴らしいし。
それから音の選び方のセンス。映像において、音は重要で、映像を生かすも殺すも音楽次第といっても過言でもないと思う。無音が一番無難なんやけど、彼女の映像作品はほとんど音がついてる。どんな感覚でつけてはるんやろ。
気になった作品をいくつか。
床が小さく破けてて、その小さな穴に彼女が火の中に落ちていく映像が。ずっと「ヘルプミー」と叫んでるんやけど、ヘルプするどころか、あわや気づかず踏んでしまいそうな感じ。係員が必死に守ってました笑
とか、大きな木箱の中をのぞくと、ドールハウスのような、ミニチュアの部屋があって、途中宇宙とか出て来ててシュールなんだけど、実はその箱自体、運送用の箱で、宛名とか送り先とかそのまま貼られたままになってる。送られて来て置いただけのようなラフさがいい。
今回の目玉であろう、大きなソファと大きな照明、大きなリモコンで、前の大きなテレビを操作するインスタレーションは、自分が小人になったような気になる。端から見てたら、ホント観客が小人のようでかわいい。ってかあのソファ欲しい。
しかし今回、正直、映像自体に力があったのは前述の「Ever Is Over All」くらいかもしれない。インスタレーションがいいからなんとか見れるんやけど、映像だけ取り出すとしんどいのも多い、気がする。
なんにせよ彼女の変態っぷりがたっぷり楽しめる展覧会となっております。
来年2月11日まで。12月25日から1月4日まではお休み。
原美術館は、小さいながらも毎度独自の展覧会が行われてて素晴らしい。今度は何かなー。
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