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現代美術の皮膚@国立国際美術館


行かな行かなと思ってたこの展覧会。ようやく行ってきました。
実は1度チケット売り場まで行ったんやけど、マーク・クィンの作品の1つが破損で展示を中止してるとのことで、なんとなく納得行かなくてその日はチケット払い戻してもらって入らなかったってことがありました。まあ、結局最終日まで直せなさそうってことで昨日入ってきました。
にしても期待はずれだった。なんか展示が閑散としすぎというか・・・。
もっとごった混ぜにしてもよかったんやないかな、という感想。
こういうテーマ展って、1人の作家の作品を多く出すより、色んな作家をたくさん出した方がおもしろい。まあ予算の面でもむずかしかったんかな。せっかくおもしろそうなテーマなのに勿体ない。
それでも最初のマーク・クィンはまさに「皮膚」というテーマにぴったりだった。
他はオルランの自分の整形手術の模様を作品にしてるのは壮絶やった。まさに体当たりの作品。喉んとこ開けてる写真とか恐ろしすぎです。子供とかショック大きすぎですよ。
小谷さんの新作もおもしろかったけど、どこまで本人がやってるのか気になる。何かの動物の骨のような彫刻で、メチャクチャ細かい。これは本人がやってなんぼだと思うから、他の人にやらせてたらちょっと萎えるかも。
ヤン・ファーブルもまあ、見慣れたというか、そんな感じ。凄いとは思うけど。
他はほとんど印象にも残ってません。残念。

そしてコレクション展。
来月から30周年記念のコレクション展が全館使って行われるらしい。
さすがにここのコレクションはいい。来月の展覧会も期待してよいだろう。
特に写真。今回も杉本博司やティルマンスなどが展示されてた。
しかし問題が一点。展示の緊張感がびっくりするくらいない。
まだこの美術館が万博公園内にあった頃、純粋に感動した野村仁の「ムーン・スコア」という作品がある。月を定点観測して、それを楽譜にして音楽にするというなんともロマンチックな作品で、その楽譜にした膨大な写真群と出来上がった音楽が流されている。今回それが展示されててすごく嬉しかったのだけど、よく見ると額が少し斜めになってたり、1つ1つがちゃんとぴっしり整然とかけられていないことに気づいてげんなりした。こういう作品は縦横寸分の狂いもなくかけられてなんぼの作品なのに、作品の雰囲気丸潰しであった。
また、壁のいたるところに昔の展示で開けた穴の跡。酷い箇所ではふさがれてすらいない。
ロンドンの緊張感に満ち溢れた空間を目の当たりにした後、こういう日本の緊張感のなさは、ものすごく脱力を憶える。美術館の予算が毎年削られているのはわかる。ロンドンのように展示を替える度にすべての壁を白く塗り直せとまでは言わない。しかし穴をもう少し綺麗に埋める事も、額をまっすぐかけることも、これはプロ意識の問題である。ロンドンと違って常設展示も金をとっているのだからそれくらいの意識は持ってもらわないと困る。
なんだか帰り道すごく悲しくなってしまった。
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