内藤礼「母型」@ 発電所美術館


富山県入善町。新潟県に近いこの場所に、かつて水力発電所だった建物を改装した美術館がある。それが今回紹介する発電所美術館。スクラップ&ビルトが著しいこの国としてはめずらしいリノベーション型施設。規模は相当違うが、ロンドンのテートモダンも元発電所である。
駅からタクシーという不便なアクセス。今回はタクシー代をケチるべく歩いた結果片道1時間もかかった。足がもげるかと思った。これを帰りも繰り返したんだから功労賞として入場料無料にしてほしいなんて思ってませんよ、へへ。
にしても2005年の山本基、2006年の遠藤利克、そして今回の内藤礼。
毎度、この場所を生かした唯一無二の展示を見せてくれるので期待も高まる。
開館とほぼ同時に入館。
スタッフの方が美術館の窓を開け放つ。
「それではどうぞ」
言われて中に入る。
まずはここのだだっ広い空間に靴を脱いで足を踏み入れる。
2年前は塩の迷路がどどんと迎えてくれた。
去年は行ってないが、水浸しの展示のため急遽足場が組まれたとか。
今回はどんな。期待が高まるがそこにはパッと見何もない。
椅子がおいてあったので座ってみる。
しばらくぼーっとしてると色んなとこからポタっと雫の垂れる音がする。
なるほど。
そう、これこそが今回の「作品」である。
「探しものは探しても見つからない。逆に向こうからやってくるものだ」
そう言われたような気がした。
特に今回東京というすごい喧騒の中からやってきたので、こうして色んなものに耳を澄ます作品に出逢えたのは中々新鮮だった。近くの川のせせらぎや小鳥のさえずりなども新鮮に聞こえる。
それだけでなく、ぼーっと窓を見ていると、その光が床に発射する様も美しく感じる。
天井には白い糸が1本だけ張られている。普段だと気づかないがこうして色んなものに意識を向けているとそんなか細い存在にも気づく事ができる。もう一本あったらしいのだが、そちらはさすがに見つけられなかった。
内藤さんは毎度世界の中の小さいもの、儚いもの、人が普段目もくれないようなものに、人の目を向けさせる作品を制作している。彼女を一躍有名にした「地上にひとつの場所を」では、会場に1人しか入れないという入場制限を行った。今でこそこういう手法は多くなったが、当時は異例の出来事だった。「1人で作品を独占して見てほしい」というのが彼女の願い。今回僕は朝一番乗りってのもあって1人で悠々と楽しむ事ができた。床に寝転がってみたり、それこそ贅沢な時間を過ごさせてもらった。
もう1つ贅沢を言えば、白い絵の具がコップの底で溶けていく写真作品も展示されていたけど、あれは別になくても良かったんじゃないか、と思う。雫の滴りだけで十分な威力があった。それだけが残念。
にしても昨年の遠藤さんも水を使った作品だったけどこの違い笑
昨年は上から水がばしばし落ちて来て、下からも重低音が鳴り響いてたらしい。
それもみたかったなぁ。
なんにせよ、ここの美術館の展示は、テートモダンのタービンホールの展示と規模は比べ物にならないもののの、質は同等のものであると言っていいと思う。来年は誰がやるのかな。都会の喧騒に疲れた方は是非。12月16日まで。
ちなみに。タクシーも乗りたくないし片道1時間も歩けないって人は奇数日に行ってください。1日3往復くらい駅と美術館の間を走るバスが登場します。僕が行ったのはなぜか毎度偶数日・・・今度来る時は是非奇数日に!
直島の作品も次回こそ見てやる。前回は予約したにも関わらずメンテナンスで入れなかった。。。

パッション・コンプレックス@金沢21世紀美術館
久々の21世紀美術館。長谷川さんがキュレーションやってた頃はそれこそ通うくらい来てたけど、あの人が去ってからというもの企画展の質の落差が激しすぎて、全然来てませんでした。今回も発電所美術館の「ついで」ですからね。
行ったら周りが朝顔で囲まれてて、ちょっと来ない間にこんなことになってたのか、と思ったらこれは日々野克彦の「ホーム→アウェイ←ホーム」方式というプロジェクトの一環だとか。この人に関して全然興味ないので特に言及はしません。中ではお得意の段ボールの展示とかもやってたけど。
メインの企画展はアメリカのオルブライト=ノックス美術館のコレクション展だった。
こういうのって、やっぱ寄せ集め感が漂ってて、全体としてまとまらないんですよね。
今回もやっぱそうで、出てる人たちはすごいんだけど全体としてはなんとも。
そんな中一際興味深かったのがソフィ・カルの「ヴェネツィア組曲」。
「彼女は孤独であったため、パリの町中で人を尾行した。この男がヴェネツィアへ向かおうとしていることを知ったとき、彼女は彼についていく。」(作品解説より抜粋)
病気やん!って突っ込みは置いといて、それをカル独特の写真と文章で追うドキュメントとしての作品が読みながらドキドキした。残念ながら時間がなくて全部は読めなかったんだけど、すごく気になる。このお話は本にもなってて、今や絶版でプレミアがついてる。あー、欲しいわー。
他にもジリアン・ウェリングとかジム・ランビーとかも出してたけどなんだかなといった感じ。
あとここのコレクション展。
今回の目玉として、森村泰昌の初期の作品のインスタレーション「卓上のバルコネグロ+五つの水の塔」ってのがあったんだけど、これは入場制限システムで、1回に8人までとかしか入れなくて、日曜だったので並んでて断念。
なんにせよここのコミッションワークはどれもすばらしい。久々に見たカプーアも素晴らしかった。パトリック・ブランの緑の壁はめちゃくちゃ茂っててびっくり。タレルの空も相変わらず素晴らしいわ。
そんなこんなで結構ダッシュで見た。
ここに来る度いいな、って思うのが観客の老若男女っぷり。
お婆ちゃんが真剣に解説読みながら、ダン・フレイヴィンの作品を理解しようとしてる様がかわいかった。子供達もたのしそう。せっかくいい環境なんだから、いい展覧会してください。
ところでここのレストランのランチは最高にうまいのを知ってますか?
金沢の海の幸をふんだんに使ったビュッフェにスパゲティ、ケーキまでついてる。
行く機会があれば是非ランチもお召し上がりくださいませ。
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