森山邸 by 西沢立衛


「天才」という人種が存在する。
もし建築界の中でそれを挙げろと言うなら1人だけ該当しうる人物がいる。
西沢立衛。
妹島和世とのコンビSANAAとしても有名な彼。
妹島事務所設立当初からスタッフとして働いていた彼が、独立して自身の事務所を持ち、また妹島さんとの共同事務所SANAAを立ち上げたのが98年。当初は妹島和世の名があまりにも大きすぎて、彼女の影的な存在にならざるを得なかったが、そんな彼が最近めきめき頭角を表している。
そんな彼が最近建てて衝撃を与えている建物が今回紹介する森山邸(2005)である。


日本に帰ったら絶対見たかった建物。
同じ敷地内にそれぞれ形の違う10個の棟が所狭しと並んでいる。
ここになんと施主の森山さんを始め、5世帯が入っているというのだから驚きである。
10棟の中にはお風呂だけの棟とかいうのもあって、なんとも新しい生活スタイルというか・・・。
LDKやワンルームと言った従来の住宅思考を変える大きな一歩。
今や隣近所に誰が住んでるかなんてわからない時代だけど、この建物だと、同じ敷地に違う人々が住んでいて、庭を共有してたりするので、とてもやわらかな関係が生まれうる。
施主の森山さんは、将来的に全部を自分のものにしたいらしい。
今は賃貸としていくつかの棟を貸しているが、ローンを返済するに従って店子を減らすシステム。
この森山さん自体がおもしろい人だな、と思う。というか勇気のある方だ。だって、こんな開放的な住居に住んでるんだから、プライベートも何もあったもんじゃない。僕なら設計図を見た時点で、この開口はちょっと、などと言ってしまいそうである。
森山さんはこの開放感を逆に楽しんでらっしゃるようで、彼の棟にはカーテンがない笑
他の方々も中々おもしろい人のようで、人たちが不思議そうに見て行くのが楽しいらしい。
竣工当初、近所の人との会話のやりとり。
「ここは何のお店なの?」
「いや、ここは私の家なんです」
「まぁ!住んでるの!? そう・・・頑張ってね」
なんともシュールな会話である笑
にしてもこれだけ有名な建築になってしまったため、住所は伏せていると言っても、なんとかかんとかして探し出してやってきて写真を撮って行くような輩もたくさんいるだろう。そう、僕のようなっ!なんか変な罪悪感だった。
安藤の住吉の長屋もそうだが、やはり住んでる人の根性が並大抵のものじゃない。


この彼の建築を受け、建築界には「分離派」と呼ばれる派閥まで現れているらしい。
最近ではヘルツォーグ&ド・ムーロンでさえ、このアイデアをまねた美術館をアメリカのサウザンプトンに建てる計画まであって、すごい影響力である。
彼の天才たる所以は、こういった革新性に対していい意味で努力の跡が見えない所。
なんか、さらっと出て来た感があるというか・・・。
もちろんSANAAの事務所は膨大なスタディを繰り返すのは有名な話。
そこに並々ならぬ努力はあるんだろうけど、それにしても見えない。
インタビューとか読んでても、ちょっと天然というか、やっぱ天才肌なんだな、って思うしかないくらい話が曖昧というか、これといった確信がつかめず、読後、結局何もわからなかったなんてことが多々ある。
最近西沢さんの初の著書「建築について話してみよう」が発売された。
興味深かったので買って読んでみたが、イマイチよくわからん。金返せ!
これに妹島さんも混じるとますますわけがわからん。妹島さんも天才肌だから。
飯田市小笠原資料館のゆるいカーブについて2人が語っている文章があって、当初、西沢さんはまっすぐにしたくて、妹島さんはカーブをかけたかった。で、間を取ってゆるいカーブって話になった。
どうして直線だと思ったんだ?という問いに対して
「どうなんでしょうかね・・・。形が悪くなるとか、思ったんでしょうか。カーブしてるって、何かダックスフンドみたいな・・・」
要は感覚。もう勝手にしてくれという感じ笑
こういう所は伊東さんとは全く違うところ。
伊東さんの場合、すごくコンセプチュアルだから、彼の考えがそのまま建築になってる。妹島さんも西沢さんも伊東さんのことをすごい尊敬してるんだけど、全く逆方向にいってる感じがおもろい。
伊東さんとの大きな違いはやはり「切る」というところにある。
伊東さんの場合、空間を切るのがいやで、柱を無くすなどして、なんとか切らずにおいておこうとしている。まあ、建築というのは空間を切ってなんぼなので、矛盾してるんだけど、そこと闘ってるのが伊東さんの凄い所。
対してSANAAの2人はスパスパ切っていく。今回の森山邸なんてすごい例ですよね。
さて、そんな天才西沢立衛の次回作は、青森県十和田市に出来る十和田市現代美術館。
今回も切りまくってます。展示室がそれぞれ別の棟ですから。
いやー、これは本当に楽しみ。コミッションワークもレベルが高すぎ!来年4月28日オープン!
これからも天才西沢立衛の革新は止まりません。
にしても既に汚れが目立ってたなぁ・・・SANAA建築の最大の敵は「汚れ」です。

Natural Ellipse House by EDH遠藤設計室

住宅をもうひとつ。
渋谷にある、遠藤政樹氏率いるEDHによるもの。
ラブホ街にあって、これもおもっきしラブホに見えるんですけど・・・爆
なんかあまり引きで撮れなかったし、外観は森山邸とは正反対に閉鎖的。
この中に人が住んでるのか、と疑わざるを得ない。
これは上から見た写真が有名で、下から見てもなんのこっちゃである。
なんとなくジャポニカ米っぽい。
上の凹みが天窓みたいになってて、中は意外と明るいらしい。んー、、、わからん。
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