Phil Collins @ Victoria Miro

昨年のターナー賞ノミネート作家フィル・コリンズの展覧会に行ってきた。
昨春テートブリテンで初めて彼の作品を見た時からファンで、去年も賞とってほしかった。
さて、まずギャラリーに着くと、早速「SHADY LANE PRODUCTIONS」の看板。
これは彼が立ち上げたテレビプロダクションの社名。
この時点で本気か冗談かわからん。
中に入ると、まずテレビの舞台裏のような写真作品。
そして大きなメイン会場に入ると何かの記者会見の映像。
これがまたうさんくさくて、カメラの動きもでたらめ。
今回の「the return of the real」と題された作品は、このテレビというメディアのうさんくささと、それでも信じずにはいられないリアリティとの間をついたなんとも痛快な作品。
そもそもこのシリーズは2005年のイスタンブールビエンナーレから始まる。
昨年のターナー賞のショーでも出してたその作品は、若い女性とインタビューワーの画面2つが向かい合って設置されて、それぞれ彼女の壮絶な人生についての問答が行われる。観客はそれをテニスか卓球の試合でも見るように、喋る側が変わる度に首をあっちへこっちへ移動させてた。
今回その形式をとっていたのが2階の展示。
合計6つの大きなスクリーンが左右の壁に3つずつ配置され、これまた問答形式。
それぞれの間に椅子が置かれてて、それぞれの問答がちゃんと聞けるようになってる。
にしても、これらの作品を見ていると、果たしてこれがアート作品なのか現実の番組なのかわからなくなってくる。彼らの話している内容も嘘なのか本当なのかもわからない。虚構と現実がごっちゃになってしまいます。
インターネットは情報が多い分、皆疑う事に慣れてるけど、テレビとなると、未だに100%信じてしまう人が多い。テレビで流れる情報が嘘のはずがない、とまるで宗教のよう。プロパガンダが今でも簡単に行うことのできる唯一のメディアなのかも。そう思うととても恐い。
そういったテレビの宗教的な部分を鋭くついたフィル・コリンズ。
見た後色々考えさせられる展覧会。11月10日まで。
にしてもなんでターナー賞とれなかったんだー。。。
Steve McQueen @ Thomas Dane Gallery/Imperial War Museum
逆にどうしてこの人がターナー賞取れたの?という人の展覧会(爆)
まず、トーマス・デーンの方では相変わらず16mmフィルムだけを展示。
馬の死体に蠅がたかってるのをひたすら映してるだけ。何が言いたいの?
それに対して、インペリアル・ウォー・ミュージアム。
こちらは、博物館側からコミッションを受けて作った作品。
タイトルは「QUEEN AND COUNTRY」
打って変わってなんと立体作品。
キャビネットになってて、引き出すと人の顔をプリントした切手。
それぞれ違う顔が入ってて、エリザベス女王のシルエットも一緒にプリントされてる。
実はこの人たちはイラク戦争で戦死した人々の写真。
ひとつひとつ見ながら、この人達はもうこの世にいないんだ、と不思議な気持ちになった。
中には僕より若い人もいる。
ただ、こういうのを作品に直接使うのは僕はあまり好きじゃない。
作家の作品に人の死が利用されてるだけのように見えて仕方がない。
こないだまであったウォリンガーの反戦デモの作品同様。
まあ、映像よりかはよかったけど。

Urs Fischer,Rudolf Stingel, Christiana Soulou @ Sadie Coles HQ
Sadie Coles HQがこのフリーズの時期に合わせ、なんとロンドン市内にて4会場同時個展開催!
いやー、もうやりすぎですね・・・。
ひとつはこないだ紹介したマシュー・バーニー展。
そして今回紹介するのが、まずはウルス・フィッシャー展。
元倉庫をそのまま仮設のギャラリーとして展開していて、この場所自体がおもしろい。
蜘蛛の巣とかまだ全然あって、ずっと使われてなかった感が漂う。
そんな中彼の作品は岩のようなテクスチャーの彫刻で、なんと床貫いて地下に続いてた。。。
ってかこの後どうすんすか・・・また床埋めるのか・・・気になる。
こっちのギャラリーはやることが半端ない。
昔Frith Street Galleryでも、フィオナ・バナーが思いっきり床貫いてたし・・・。
そんなこんなで作品どうこうというか、床貫いてる事自体ショッキングすぎた。
今回のヴェニスビエンナーレでもスイス館代表をつとめた彼。実際見てないけど、今ぐんぐんきてる作家っぽい。ピノー財団のパラッツォ・グラッシにも飾られてたし。彼の全体の意図がイマイチつかめませんが。
そしてその近くのルドルフ・スティンゲルの展覧会。
入るとまずモノクロのベーコンのペインティング。
ステートメントを読むと、どうやら、作者がその絵を初めて見たのが本で、そのイメージがモノクロだったんだとか。その最初に作品に出逢った時の印象をそのまま絵にしたみたいな。なんかよくわからん。
そして一番よくわからんのが、クリスティアナ・ソウロウ。
彼女の作品は、めちゃくちゃ薄い像の版画作品。全然魅力感じませんでした。
そんな感じで半分意地で全部回ってみました。
こんな感じで色々回っていて、たまに目的のギャラリーに行く途中、または帰る途中にフラッと近くのギャラリーを覗いてみる。そこで良い作品に出逢える事もしばしば。今回もいくつか出逢えたのでご紹介。やっぱギャラリー周りはやっとかなあかんなー。
George Taylor @ scream
マルジェラの店に行く途中で、フッと目に止まったウインドウディスプレイ。
そこにギャラリーがあるのは知ってたけど、入ったのは今回が初めて。
そこにあったのは鳥の羽をふんだんに使ったジョージ・タイラーの作品。
多分インゼル・ホンブロイッヒ美術館で見たと思うんだけど、少し変わってた。
あの時も、近くで見てそれがすべて鳥の羽だと気づいた時はびびった。
そして今回。大型作品がたくさんあって、何羽の鳥が犠牲に・・・。
剥製を貼付けてあったり、白鳥まるごと一羽はりついてるのもあった。
でもどれも美しくてロマンチック。すごく詩的な作品たち。今月27日まで。
Polly Morgan @ RECONSTRUCTION
Friezeに行こうと思ってRegent's Parkの駅に降りたら、近くの教会に大きな幕がかかってて、見たら中で展覧会がやっているようだったので行ってみた。
会場に入ると小さなガラスケースに小さな動物の剥製達が様々な形で展示されている。
マッチ箱に入った鳥のヒナ。ワイングラスで眠るリス。
そのどれもがかわいいのだが、ある種残酷なものを見ているようで変な罪悪感。
「The Exquisite Corpse(美しい屍)」と題されたこの展覧会は、ポリー・モーガンという英国生まれの作家のロンドン初個展らしい。これがまず英国作家の作品という事にびっくり。というのもあまりに詩的な作品だったから。
英国作家はどっちかというと、わかりやすい作品を作る人が多い。
チャップマン兄弟やデミアン・ハーストを見ればわかるが、インパクト重視というかストレートというか・・・。サラ・ルーカスしかりね。
そんな中彼女の作品はとても夢見がちな感じ。とても素敵な空間だった。
今月19日までの展示らしい。Friezeに行く人は是非セットで。駅降りたらすぐです。
Bernard Frize @ Simon Lee Gallery
ウルス・フィッシャー展の帰り道にフラっと立ち寄ったギャラリー。
フランス人作家、ベルナール・フリズの展覧会。
この人の作品は昨年の国立国際で見た「エッセンシャル・ペインティング」以来よく見る事が多いんだけど、どうしても名前覚えられない。なんでやろ。
とにかく、フランス人だなー、っていうオシャレなペインティング。
絵の具のマテリアルがとても綺麗で、それによって描かれる線がとても綺麗。
今回もそのシリーズの延長らしき絵画と、スプレイを使った作品が展示されてた。
油彩はともかく、スプレイのやつはぼやけてる感じできれいっちゃーきれいなんだけど、やっぱ油彩の方が魅力的。11月17日まで。
これまたウルス・フィッシャーの帰りにトレーシーエミンカー発見!
今Friezeに合わせて色んな作家柄の車がロンドン内を走ってます。

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