52 la Biennale di Venezia ♯2

さて、続いて国別パビリオンのお話。
ヴェニスビエンナーレが「アートオリンピック」と言われている所以はこの国別パビリオンにある。
数ある国際展の中でも国ごとに参加する形式をとっているのはヴェニスオンリーである。
国の威信をかけて各国力を入れて選りすぐりの作家を選出。今年は76カ国が参加した。
島中に点在しているので、さすがに全部は回りきれてないが、一部ご紹介。

まずは旧イタリア館もあるジャルディーニにあるパビリオン群から。
前回は結構コンセプチュアルな館が多かったが、今年はとても楽しめるものが多かった。
北欧館のダーツの作品や、ロシア館のエキスポまがいのハイテクアートまで。
ポエティックな展示の心地よかったスペイン館もよかったし、オーストリア、デンマーク館のペインティングもよかった。
フィンランド館の展示は、わしが昔作った作品に酷似してて焦った・・・。
中でも圧倒されたのがポーランド館のモニカ・ソスノヴスカの展示。
会場内ぎりぎりのでかさの鉄のスクラップ彫刻。どうやって入れたのか気になる。。


ドイツ・イギリス・フランス館はすべて女性の三つどもえの闘い。
それに加え、「不思議な国」を作り出したカナダ館も合わさって、あの辺りのパビリオンの雰囲気はすごいゴージャス。
それに比べて日本館のあの地味さといったら・・・。
ドイツ館のイザ・ゲンツゲンはパビリオンをオレンジの工事用ネットで多い、中は宇宙飛行士やら首つり用のロープやらスーツケースのインスタレーションやらよくわからん世界。ドクメンタでも人形の作品を教会の前に展示してましたな。
イギリス館はイギリスアートのセレブリティ、トレーシー・エミン。
彼女独特のパンクな性的作品が並んでました笑 もうちょっと暴れててほしかったかも。


しかし僕はなんといってもフランス館に勝者の旗を掲げたい。
ジャルディーニ内で僕は一番好きな展示。
フランスアート界の重鎮ソフィ・カルとダニエル・ビュレンの豪華競演。
フランス館は毎年作家が先に選ばれて、作家がキュレーターを選ぶんだけど、そこはソフィ・カル。なんとキュレーターを広告で募集。2万通の応募者の中から選ばれたのがたまたまビュレンだったのだそう。ちゃんと履歴書も作ったのだとか。
その豪華競演の賜物が今回の「Take care of yourself」。
恋人からの別れのメールを107人の様々なプロの女性に読んでもらって表現してもらうプロジェクト。
いやー、もう一通のメールからよくまあこんな世界が広がるなーと言った感じ。
点字にしてる人、添削しちゃってる人、音符にして音楽にしちゃった人、ダンスにしちゃった人、、、
フランス語が読めたらもっと楽しめたのかもしれないけど、それでも十分楽しめた!
オウムが手紙ぼろぼろに破いてるやつもあったな笑 女性って・・・。
奥の映像で見せてるところは笑いすら起こってた。中でもスナイパーが手紙撃ってるのとかシュール過ぎ!手紙破ったと思ったら破れてなかった手品をやる人や、バレリーナやら。。。ってかメール送った相手も送った相手を間違ったなー。彼女に関わるとロクなことなさそう笑






最後に、フェリックス・ゴンザレス=トレスを選出したアメリカ館に敬意を表したいです。
最初はなんで今更故人であるトレス?と思ったけど、アメリカ人による政治にまみれたあのアルセナーレの展示を見た後こちらを見ると、とてもピースフルで、これがアートなんだっていう表明にも見えた。
観客がトレスの紙を次々とっていき、輪ゴムで巻いたり、飛行機にしたり、帽子にしたり。
アメリカ館を出た後の観客の顔は一様に笑顔だったのがとても印象的。
キュレーターは誰かわからないけど、本当にすばらしい展示でした。ありがとう。


今回はアルセナーレにもパビリオンができてた。
まずはイタリア館。大御所ジュゼッペ・ペノーネと若手フランチェスコ・ヴェツォーリのコンビ。
ペノーネはお得意の木の彫刻とインスタレーション。
インスタレーションでは床の大理石削ってたけどあれは大丈夫なのか!?
ヴェツォーリは初の女性アメリカ大統領の映画の予告編だけ制作。前にもあったな、こんなの。
イタリア館はこんな感じで、今年初登場したアフリカ館。相変わらず森でやってた「アフリカ・リミックス」のような違和感が漂ってたが、スピーカーの影がNYの風景になる作品はおもしろかった。誰のだったか忘れちゃったけど。


ジャルディーニの外に出て、マップ片手に他のパビリオンを探索。
これが中々厄介で、ヴェニスの街は非常に入り組んでるので探すのも一苦労。
何個回ったか覚えてないけど、作品そのものより探す過程の方が記憶に鮮明。
そんな中、べたべただけど、シンガポールの展示も悪くなかったし、エストニアの「I LOVE MY FAMILY」と題された紙芝居風シャイニングみたいな映像も大笑いさせてもらった。あれは反則。

郡を抜いてすばらしかったのが今年初参加となるメキシコ館。
いわゆるインタラクティヴなメディアアートで、僕はあんま得意な分野じゃないけど、これはやばい。ラファエル・ロサノ=ヘメルという作家で今後要チェックだ。
まず入って出迎えてくれるのが'WAVEFUNCTION'と題された、椅子が波のように動く作品。隣の部屋に行くと、監視カメラが椅子の部屋を映し出してて、なにやら人間の熱を感知しているのか、多分人間の動きに合わせて椅子が動いているのがわかる。
同じ部屋には'1000 PLATITUDES'という白い文字で文章が書かれている作品。
と思いきや、よく見ると一個一個の文字が実はビルにアルファベットを投影した写真だと気づく。すごい労力。
上の階に行くとたくさんの電球が天井でちかちかしている。
ビジュアル的にも美しいんだけど、これも何かあるな、と思ってスタッフに聞いてみると、やっぱり何かあった。
'PULSE ROOM'という作品で、奥に設置された棒に両手で15秒くらい握ると、なんとその人の鼓動が登録されて、その鼓動と連動して電球がチカチカ光るんだとか。常時100人分の鼓動が登録されていて、僕も登録させてもらった。楽しい。
その階には、大きな目が観客の動きを追う映像や、普段は寝てる人の映像が、人がそこに影を作ると起き上がる映像など、もう楽しいの連続。今までのプロジェクトの映像のアーカイブの部屋とか見てると、街中でやってたりして、人々が楽しそうだった。
こういう人に笑顔をもたらす作品っていいなー、って純粋に思った。






ところでこの作家の作品を色々調べてたら、バーゼルで思いっきり見てることが発覚。蛍光灯がぐるぐるまわってたやつ。
なんかこういうリンクしていくのが楽しい。
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