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Museum Insel Hombroich


ドュッセルドルフから電車で約30分。さらに駅から徒歩で30分以上歩いたところにある美術館。
それが今回紹介するインゼル・ホンブロイッヒ美術館である。
果たしてこの施設を美術「館」と呼んでよいのやら迷いどころ。
というのは、ここは大自然の中に10数個ある棟を巡り、中にある新旧ごっちゃになった作品達を見ていくという、鑑賞というより探検にちかい体験ができる世界でも唯一無二の美術施設だからである。敷地面積は東京ドームの4倍の約18万m2というから尋常ではない。
この施設を初めて知ったのはこのブログで知り合った人のお話。
話を聞いていて、以前訪れた喜多美術館と共通するものを感じ、ずっと行きたかった場所である。
そして今回ついに実現したのだ。
しかしここに辿り着くまでが一苦労。
徒歩30分と言っても舗装された道だけではなく、ジャガイモ畑を突っ切っていったりしなければならない。着いた頃には靴もどろだらけで足も棒のようだった。
それからこの広大な敷地を歩き回るのだから若くなきゃやってられない。
地元の皆さんは車とかでやってきて、動物園感覚で子供連れの人たちが多かったのが印象的。
地図をゲットして、大自然の中の棟を探す。
ワニの出そうな沼やら湿地帯やらが非現実感満載。これ自体がなんだか美術体験な感じ。
各棟には石器時代の遺跡から、中国王朝の秘宝、そして近・現代美術が入り乱れてた・・・。
ひとつひとつの棟がデザインも違うのでおもしろいし、美しい空間から外に出るといきなり大自然。
最後の方の棟にイブ・クラインの部屋があって、そこは鳥肌が立つ程美しかった。
彼の作品は展示によって、表情がすごく変わる。豊田市美術館で2004年に行われた「IN BED」展で、平置きになってライトがあたってる彼のブルーを見た時も鳥肌がたったが、それ以来の感動。
そんなこんなの不思議体験をもうすぐ終わろうとしていたころ。
何も食べてずに歩き回ってたのでへろへろになっていた矢先、最後の棟はなんと食堂!
やったー!とばかりに入っていって長蛇の列に並ぶ。
にしても何かが変。なんかお金が払うところが見当たらないんですけど。。。

ま、まさか・・・

そうなんです。ここの美術館食事付きなんですよ!!!
いやー、食事付きの美術館なんて初めて見た笑
大きなペットボトルの水はくれるし、マカロニやら茹でジャガやらパンやらももらえるし食後はコーヒー!
なんて至れり尽くせり。
これを最後にもってくるあたり、疲れた体を癒すドラマチックな演出ッ!
ヨーロッパに行ったら是非行ってみてほしい美術館のひとつ。

ちなみにここには別館として最近建てられた安藤忠雄によるランゲン美術館もあります。
実はこっちを先に行ったせいでジャガイモ畑をつっきる羽目になったのですが。。。
ガラスのファサードと水の演出が印象的な建物。
美術館前に広がる人工池に美術館が映った絵を想像していたのですが、その人工池が正面のファサードに対し斜めに作られていたのが残念なところ。安藤の水を使った建築なら狭山池博物館の方が断然魅力的です。
中は直島のベネッセハウスに近い動線。スロープで地下まで降りていきます。
展示は仏教の絵巻物や、キーファーの彫刻。今回は日本人の展覧会でしたがこちらは微妙でした。
こちらのランゲンとホンブロイッヒのジョイントチケットがお得。
あの値段でこれだけの体験はお得です。
近々アルバロ・シザによる建物もできるらしい。なんかすごいところだ・・・。

ところで周囲にホンブロイッヒ美術館と思わせる建物が散在していてややこしかったです。そしてホンブロイッヒ美術館までの標識が間違った方向を示していたため無駄に歩いた・・・。行った際は標識にご注意ください。
ランゲン・ホンブロイッヒの行き方はコチラのサイトが役に立ちました。ありがたし。
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