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劇団チョコレートケーキ「ブラウン管より愛をこめて -宇宙人と異邦人-」 @ シアタートラム



劇チョコの新作を観に三茶へ。
昨年過去作5本+新作1本という偉業を成した彼らが新たに挑むのはなんと90年代の特撮!!
90年代の特撮!?
と、最初知った時は戸惑いしかなかった。。。
これまで近代戦争を描いてきた劇チョコが急にどうした??
でもまあ劇チョコなのできっと間違いないだろうとソワソワしながら観劇。
正直これまでの劇チョコの方が良かった感は拭えないものの、それでもやっぱり劇チョコらしさはあって、観に行って損はなかったです。
元々脚本の古川さんが特撮が好きで、以前から特撮モノはやりたかったそうです。
とはいえそこは劇チョコ。
特撮を描きながらもそこにはしっかりと差別問題を含んでいるのがらしすぎました。
「知らない間に誰もが差別をしている」というのは、映画「怪物」でも描かれたテーマでした。
この話には元ネタがあって、なんとなく知ってはいたんだけど、改めて調べてみると、2020年に亡くなった脚本家の上原正三さんが書いて、当時賛否を巻き起こした「帰ってきたウルトラマン」第33話「怪獣使いと少年」。
宇宙人を扱いながら、そこには在日や同和地区、沖縄やアイヌなど、様々な差別の隠喩が含まれていて、TBSの上層部から痛烈な酷評を受け、監督の東條昭平は助監督に降格、脚本を担当していた上原正三も最終回まで仕事を干される羽目になったとのこと。詳しくはこちら
まあ、話としては特に新鮮さはないんだけど、やっぱり演者がいつもながら素晴らしい。
今回西尾さんが同時期に別の舞台に出てるのもあったのかこっちに出てないのが残念だったけど、多分西尾さんが出てたらやってたであろう脚本家の役を務めていた伊藤白馬さんがこれまたとても良かった。
客演の橋本マナミも久々に見たけど本当に綺麗。
浅井さんがいつもと全く違った役で面白かったw
岡本さんをはじめ、いつもの俳優陣は相変わらず素晴らしい。
大人たちのゴタゴタと劇中劇のように特撮がシームレスに繰り広げられる演出も良かった。
これを経てまた来年はどんなものを見せてくるのか、また楽しみです。
今観てるテレ朝のドラマ「ハヤブサ消防団」にも岡本さんが出てるのでそっちも目が離せませんw
ちょうど今日から9/17までの期間限定で「ブラウン管から愛をこめて」の映像版が配信スタートしたみたいなので興味がある方はぜひ購入して見てみてください。こちら

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最近観た映画3本。
まずは「わたしたちの国立西洋美術館」
昨年リニューアルした西美の、それまでの軌跡を追うドキュメンタリー。
もうめちゃくちゃ地味すぎて逆に面白かったw
映画の中で、これまでの展覧会について振り返るシーンがあるのですが、中でもやはり2004年のマティスは館が世界にも誇れる展覧会をということで作り上げた渾身の展覧会で、僕はこの展覧会ですっかりマティスにやられました。
昨年のリニューアル一発目の「自然と人のダイアローグ」も素晴らしくて、実際昨年の個人的ベスト1な展覧会でした。
そんな展覧会が作り上げられていく過程が見られたのは最高でした。
この展覧会は、ドイツのエッセンにあるフォルクヴァング美術館のコレクションと西洋美術館のコレクションとのコラボだったんですが、リニューアル中にフォルクヴァングに西美の作品を貸し出していたんですね。
それにしても作品一つ一つチェックしながらのリニューアルは想像を絶する作業ですね。。。
よくぞたった1年半で再開館まで辿り着けたもんです。。。
この映画で終始語られるのは、とにかく日本の美術館の予算のなさ。
先日の科博のクラファン見ても分かる通り、国からの予算は全然足りてません。
インバウンドとかいうならちゃんと予算つけろやと心から思います。万博も要らない。
映画中の関係者のインタビューの中で、どうして西美で働いているのか?って質問に「購入予算があるから」ってのは日本の美術館の現実を表していました。
そう、ほとんどの美術館が既に作品の購入予算はありません。
その点西美は国立なので、他と比べれば予算がある方ではあるんですが。。。
毎年緻密な会議で購入が決められるわけですが、ここ数年はとりわけコロナの影響で実物を見られないまま決めていくのはかなりシビアだったと思います。
ここまで日本の美術館の内情をカメラが捉えたのは中々ないので、とてもレアなドキュメンタリーでした。

続いて「658km、陽子の旅」
正直作品としてはそこまで評価はできないものの、やはり菊地凛子が凄すぎる。
最初完全にコミュ障な見ていて痛々しさすらある演技から、段々と感情的になっていく過程が見事。
ただ、ちょっと彼女の演技に頼りすぎ感があって、話のアラがちらほら見受けられました。
(なんでそんなとこで降ろすねんとか。。。)
とにかく菊地凛子の演技を堪能するにはいいと思います。

最後宮崎駿の「君たちはどう生きるか」。
「風立ちぬ」で絶望したので、全くもって観に行く予定なかったのに、友人に「駿版寺山修司」って言われて気になりすぎて行ってしまいました。。。
ゴダールのような超前衛映画を勝手に想像してたんですが、普通にジブリジブリしてて拍子抜け。
とはいえ、これまでの王道に戻った感があって、「風立ちぬ」が最後にならなくてよかったと心から思いました。
観終わった後は、これまでお世話になりました!!という気持ちに充たされたりして。
かなり賛否分かれてるけど、僕は観てよかったと思えましたね。
「意味がわからない」っていう感想を所々で見るんだけど、そもそもジブリで意味わかる映画なんてあったっけ?
あえて言うならエンディングは中島みゆき様にお願いしたかったなぁ。
米津さんもいいけどちょっと軽いんだよなぁ。
実際みゆき様はこの秋公開のMAPPAが手掛ける初のオリジナル映画「アリスとテレスのまぼろし工場」で初のアニメ主題歌を手掛けられてるのです。予告で聞いただけで鳥肌。こちら
流石にこれが最後だと思うけど、まだあるのかな。。。これで有終の美で僕はいいと思うよ。。。

以上!
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