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夢と自然の探求者たち―19世紀幻想版画、シュルレアリスム、現代日本の作家まで @ 群馬県立館林美術館

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前から気になってはいたものの、遠過ぎて敬遠してた美術館。
今回うちでも展示してくれた友人作家の大坂秩加さんが参加するということで行ってきました。
しかしやっぱり遠かった。。。
バスもあったみたいだけど、本数少なすぎたので僕は片道徒歩20分ほどかけて多々良駅往復しました。
それはともかく、この展覧会、予想を遥かに超えて最高に良かった。
ほとんどがコレクションで構成されてるんだけど、見事なキュレーションでした。
このブログでも何度も言及してるけど、特にコロナ以降作品の貸出や保険、輸送費が高騰したりで中々理想通りの展覧会の実現が困難な中、持ってるコレクションをどう生かすかが肝になっています。
今回その好例とも言える展覧会に出会えました。
半分以上が版画なので、作品的には物足りなさも禁じ得ないんだけど、それを補って余りあるのが今回のキュレーション。
シュルレアリスムの流れを体系的に見事なまでに体感することができます。
シュルレアリスムは、ご存知の通り美術よりも先に詩や物語から始まりました。
それを暗示するように冒頭では、ルドンやココシュカ、ピカソまで、挿絵としての版画作品が多く展示されています。
この導入からしてちょっとこれは凄いかもしれないと思い始めたんですが、極め付けは「19世紀の幻想画家グランヴィル再発見」というコーナーでした。
J.J.グランヴィル。
僕は全く知らなかったんだけど、19世紀に活躍した版画家で、シュルレアリスムの先駆とも言われてるらしい。
彼の作品は確かにすごかった。
シュルレアリスムの萌芽みたいなものが確かに宿っていて観ていてとても興奮しました。
さらに次の「ジョルジュ・バタイユの眼」も素晴らしかった。
バタイユが主宰した雑誌「ドキュマン」に掲載された作品を展示していて、特にカール・ブロスフェルトの植物写真は目を惹きました。
ヘンリー・ムーアの小品も素晴らしかったし、ハンス・ベルメールも相変わらずのキモさ(褒め言葉)。
その後のミロやアペルも良かったけど、何と言ってもこの展覧会の白眉は「シュルレアリスムをめぐって 群馬ゆかりの二人の作家―福沢一郎と鶴岡政男」。
この展覧会がなぜシュルレアリスムに焦点を当ててるのかがここで明確に点を結んだ気がしました。
日本を代表するシュルレアリストのこの2人が群馬出身だったとは。
福沢一郎は何と言っても瀧口修造と共に日本にシュルレアリスムをもたらした第一人者。
1941年にはこのお二人は治安維持法違反の疑いにより逮捕されています。
当時はシュルレアリスムと共産主義との関係を疑われてたんですよね。。。今となっては謎すぎるけど。
この展覧会に出品されてる彼の著書「シュールレアリズム」は何と言ってもこの国にシュルレアリスムを紹介した名著。
そんな彼の作品は、いろんなところから引用されていて、今回その引用先の資料も展示されてて面白かった。
多分だけど、ユアサエボシは福沢一郎からインスパイアされてるのではと思ったり。
そして鶴岡政男。
今回東近美にある「重い手」が借りられなかったのは残念だったけど、それでも戦後の作品が多く出品されてて興味深かかったです。
その後も勅使河原蒼風や須田一政等、一見シュルレアリスムの観点から顧みられることのない人たちまでいて面白かったし、何と言っても現代の大岩オスカール、加藤泉、鴻池朋子、そしてお目当ての大坂秩加の作品に繋がっていくのは爽快感すら覚えました。
いやはや本当に素晴らしい展覧会でした。
遠かったけどここまで来てよかった。。。
それにしてもこんな僻地でめちゃくちゃ立派な建物と敷地でびっくりしました。
なぜか別館にはフランソワ・ポンポンのアトリエが再現されてたり謎すぎ。
この展覧会は6/25まで。こちら


野崎道雄コレクション受贈記念 見えないもの、見たいこころ (-7/2)
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こちらもコレクション展。
昨年眼科医でコレクターの野崎道雄氏から寄贈された、152の作品と5件の資料類、400冊超の書籍の一部を公開するというもの。
とんでもなく太っ腹なコレクターがいるもんですね。。。
しかもそのうちの60点がなんとリヒター!
今回も半分以上をリヒターの作品が占めてました。。。凄過ぎ。。。
流石に大作はないものの、80年代後半から90年代前半にかけての脂の乗りまくってるアブストラクトが沢山あってヨダレが溢れそうでした汗
小さいながら「緑・青・赤」は最高だった。欲しい。。。
他にもリヒターの前妻であったイザ・ゲンツゲンの肖像なんてめちゃくちゃ貴重なのでは。
兎に角リヒターの作品が充実していてリヒターファンは必見かと。
やはり野崎氏の眼科医という背景は、リヒターの視覚性に惹かれたんでしょうね。
そこから派生するように、ボイスやポルケ、シュトゥルートなんかもあって、ドイツ現代アート網羅してます。
特にポルケのプリント地の上に絵を描いてる作品は見れば見るほど不思議でいつまでも見てられました。
シュトゥルートのリヒターの肖像も良かった。
さらに貴重すぎるデュシャンの限定ボックスもあったり。
デュシャンボックスは意外と色んなところで見ますが、野崎氏が持ってたのはより希少なエディション。
なぜかマグリットのドローイングなんかもあって凄過ぎた。
点数は決して多くないですが、本当に充実したコレクション。
これらがたった250円で観られるんだからお得すぎ。
まあ、ここまで行くのが遠過ぎるんですが。。。
こうしてコレクターが美術館に一気に寄贈するケースは少なからずあって、ちょうど今静岡県立美術館でやってる「太田正樹コレクション展」も顕著な例と言えるでしょう。
2008年から寄贈が始まり、昨年一括寄贈となった計106点にも及ぶコレクション。
アニッシュ・カプーア、荒川修作、アンディ・ウォーホル、大庭大介、加藤泉、小谷元彦、斎藤義重、ジュリアン・オピー、ダレン・アーモンド、中西夏之、名和晃平、宮島達男、村上隆、森万里子、李禹煥という錚々たる顔ぶれ。
現在ほとんどの美術館が購入予算が取れない中、こうしたコレクターの存在は本当に大きい。
流石に静岡は観に行けないけど、素晴らしい出来事ですよね。
本当にご馳走様でした。

葉山、いつも直行直帰なのですが、美術館の周り初めて歩いてたらゴームリーに遭遇しました。
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