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レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才 @ 東京都美術館

最近観た展示まとめ。

レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才 @ 東京都美術館 (-4/9)
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めちゃくちゃ楽しみにしていた展覧会。
都美はこの後マティス展も控えてるし凄すぎる。
ユリイカのシーレ特集もバッチリ読んで予習万端で行ってきました。
結果としては正直物足りなさは否めないなぁという感じ。
出口付近でおじさんがぼやいてた「これは『エゴン・シーレ展』じゃなく『エゴン・シーレとその時代展』だな」って言葉がその通りだと思います。
エゴン・シーレだけを目的にして行くと作品数から言ってどうしても物足りなさは残ります。
油彩・ドローイング含めてシーレ作品は50点ですからね。
とはいえ28年の短い人生の中で彼の作品は200数点程度だと言われるとその1/4集まってるんだから立派なものとは言えます。
ただ謳い文句の「30年ぶり」とか言われちゃうと期待しちゃうってもんでしょう。
エゴン・シーレは第一世界大戦を経験し、その後スペイン風邪で28年という短い人生を終えます。
1914年、大戦開戦の年に妹ゲルティに宛てた手紙の中の一節です。

「ぼくらは世界がかつて見たいちばん暴力的な時代に生きているんだ。ーぼくらはありとあらゆる不自由に慣れてしまったー何十万という人間が哀れにも破滅して行くー誰もが自分の運命を、生きながらあるいは死につつ耐えなければならないーぼくらは残酷になり恐怖を失っている。」

今回、頭についてるレオポルト美術館の所蔵品展ってところが大きいと思います。
それ関係なければもうちょっとやりようがあったでしょう。
昨今のパンデミックや戦争といった僕らの現在ともの凄く近い時代を体現した画家として、それらをテーマに昨年の金沢のイヴ・クライン展のように現代作家たちとのコラボレーションも可能だったと思うし、同時代の「世紀末ウィーン」と言われた時代を彩った美術以外の活動ももっと紹介されて然るべきだったのではないでしょうか。
アドルフ・ロース、フロイト、ウィトゲンシュタインといった歴史的巨人がこの時代に続々とウィーンから生まれました。
先日まで庭園美術館で開催されてた「交歓するモダン」展でも大きく取り上げられてたウィーン工房もこの時代ですね。
今回は分離派の紹介はもちろんあるものの、それらの包括的な視点がほとんどなかったのは残念でした。

とは言え、それらの素晴らしい作品が来てたのも事実。
分離派のポスターは今見ても本当にオシャレ。
今回初めて知ったコロマン・モーザーの絵も素晴らしかったです。ホドラーっぽさは多分にありましたが。
しかし何と言ってもシーレです。
画像とかで見ると薄塗りっぽく見えるんだけど、実際に観るとめちゃくちゃ厚塗り。
ルシアン・フロイドも彷彿とさせるグロテスクなまでの塗り方です。
なぜ画像でその辺が見えなくなるのかと思ったんですが、どうも輪郭線に秘訣がありそう。
シーレの中でも輪郭線がそこまでない作品と強調されてる作品に分かれるんですよね。
「自分を見つめる人II(死と男)」(1911)や、「母と子」(1912)なんかは、輪郭線がほぼないので、絵の具感がやや強いです。
対して最晩年の「横たわる女」(1917)なんかは輪郭線が強調されて、塗りの厚さはそこまで気にならないのです。
あと後期になると判子のような四角いサインになるんですが、これらはもしかしたら日本の影響がありそうです。
この時代日本の浮世絵がヨーロッパを席巻していて、輪郭線やサインは明らかにその辺りの影響でしょうね。
輪郭線が強調されることで塗り絵のような見え方をして面白かったです。
あと写真が唯一撮れた風景や静物画のコーナーの絵も面白かった。
どうやったら世界がこんな風に見えるんだろう、と不思議で仕方ないですね。
特に「冬の木」(1912)の異常さが凄い。観れば観るほど狂ってます。
もう少し長生きしていればどんな絵を描いてたんだろうと偲ばざるを得ない天才っぷり。
前半で文句たらたら書いちゃったけど、中々ない機会なので是非行ってみて下さい。
おかしなポーズの連続だったりもするのでジョジョ好きも是非w
シーレ関連でいうと、カスヤの森現代美術館で始まった宮崎郁子展も合わせて行くといいと思います。
彼女はシーレの作品に惚れて、彼の絵画を立体化する作品をひたすら作り続けています。
カスヤの森自体が凄まじいのでお時間ある方は是非。5月21日まで。こちら


第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 ダムタイプ|2022: remap / アートを楽しむ ー見る、感じる、学ぶ / 画家の手紙 @ アーティゾン美術館 (-5/14)
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昨年のヴェネツィアビエンナーレにおけるダムタイプの日本館凱旋展示。
毎回ここでやってくれるの行けない人にとって助かりますね。
それにしても昨年の日本館、何の評判も聞こえてこなかったので 、危惧はしていたけどやっぱりダメだった。。。
この人たち、悪い意味で変わってない。
2022というタイトルがまた皮肉というか、1992と言われても何も驚かない。
技術的なマイナーチェンジはもちろんたくさんあるんだけど、作品が更新されてない。
やっぱり「S/N」を一生超えられないのかも。というかあれが異色過ぎた。
どこかであれを求める自分がどうしてもいるのでどうしようもない。
今回映えないどころか暗過ぎてほとんど何も映らないのは良かった笑

それよかここはコレクション。
コレクションだけで「アートを楽しむ」という企画展ができるんだからすごい。
内容はアート初心者のためのラーニングプログラムってとこだけど、物がいちいち凄い。
小出楢重のアトリエ再現したりしてるのも凄い。
コレクション展の方の「画家の手紙」は面白かった。
古賀春江が恋人に送った自画像ハガキすごすぎる。。。
また古賀の額縁の依頼してる手紙とかもマニアック過ぎて好き。
安井曾太郎の静物画と、それに描かれてる皿の貸し借りのやりとりと実際の皿の展示とか面白すぎる。
この皿まで所蔵してる石橋財団頭おかしい(褒めてる)
次回の抽象画の展覧会もほとんどコレクションからっぽいし本当に凄い美術館だ。
しかもそのうち95点が新収蔵ってどういうこと。。。楽しみです。


「インターフェアレンス」@ 銀座メゾンエルメス Le Forum (-6/4)
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エルメスらしいエレガントな展覧会。
白眉はスザンナ・フリッチャーの振動で音が奏でられる吹き抜けのインスタレーション。
音も見た目も心地よくていつまでもいられる。
今回の展覧会のタイトルの元にもなってるフランシス真悟の作品も見る角度によって色が変わって美しかった。
壁に直接描いてるのすごすぎる。
宮永さんのインスタレーションは今回よく分からず。
ブルーノ・ボテラの作品も今回の中では浮いてた。


引き寄せられた気配 @ TOKAS (-3/26)
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TOKASの参加作家の紹介企画ACTの第5段。昨年の第4弾も気づいたら観てた。
去年もそうだったけど、3人のまとまりがイマイチないのが気になります。
なんとなくテーマはあるものの、作家集めただけって感じが否めない。
とは言え今年は何と言っても海老原さん。
KEN NAKAHASHI等で何度も観てるけど、今回は最大規模でした。
2019年にKEN NAKAHSHIで発表してた「sing」が、中二階の会議室みたいなところに展示されてるのがめっちゃ良かった。
この作品当時は正直ピンと来てなかったんだけど、今回この作品の発展形とも言える作品が続いて行くことでめちゃくちゃ生きてた。
絵画て僕らが見てるのはあくまで絵の具であったり筆致であったりでしかないってことを改めて教えられます。
特に大作のひまわりの絵は近くで見るとモアレや模様のようにしか見えないのに、ちょっと離れただけでひまわりの絵にしか見えなくなる。
さらには現在のウクライナのことまで思考が飛んでいく。
絵画って凄いジャンプ力があるよな、って改めて思い出させてくれる作品でした。
2階の須藤美沙さんの作品も、紙に穴を開けただけでここまでの物質になるのかって驚き。
今回このために床打った?ってぐらい作品の惑星感と合ってて良かった。
唯一一階の鮫島ゆいさんの作品が理解できなかった。。。同じ大学なんだけどなぁ。ごめんなさい。


中村裕太|ユアサエボシ 耽奇展覧 @ Gallery Koyanagi (-3/31)
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中村裕太とユアサエボシ。
この組み合わせは天才的。
陶と絵画というジャンルの違いはともあれ、少し不思議な作品を作る2人。
しかも2人は1983年生まれの同い年。(ユアサ氏の設定では1924年生まれだけど)
ちなみに僕も同い年。
(中村さんは精華大学の同級生で、友人の友人で知ってたけどしばらく先輩だと思ってた。)
それはさておき、実際会場の異常な空気感は素晴らしかった。
どちらも気持ちいいほどわけがわからない。
今回のタイトルにもなってる「耽奇(たんき)」という言葉は、江戸時代(1824-25)に曲亭馬琴らによって結成された「耽奇会」が彼らの自慢の珍品たちを収めた書「耽奇漫録」から。
この本を発見したところから2人の創作が始まり、それを元に今回の作品は創られてる模様。
中村さんの作品には本もセットになって余計わけがわからない。
解説読んでると、さらにユクスキュルの「生物から見た世界」も重要な要素らしい。
まさに「耽奇」な展覧会。最高でした。


光岡幸一展 「ぶっちぎりのゼッテー120%」@ ガーディアン・ガーデン (-3/18)
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オペラシティで真ん中が空洞になってる枠だけの凄いフライヤーを見つけて何じゃこりゃ!となって行ってきました。
ガーディアン・ガーデンは、リクルートが運営してて写真のコンペ「1_Wall」の展示で有名なギャラリー。
今年の8月でその活動を終えるとのことで、一度行ってみたかったのでちょうど良かった。
光岡さんは恥ずかしながら存じ上げてなかったんだけど、「1_Wall」や「写真新世紀」などの賞を受賞してるみたいで、写真家なのか?と思ったけどそうでもないっぽく、とにかく全く未知数で行ってみた次第。
入ると2つ空間があって、最初の空間では例のフライヤーと、手の込んだ冊子みたいなものが無料で配られてた!
で、もう1つの空間には、人1人通れるぐらいの穴が空いててそこをくぐるとまさにカオス空間。。。
映像がいくつか流れてるんだけど、どうも物にアテレコを吹き込んでる様子。
クッションがあったのでそこに座ってしばらく眺めてたら突然スタッフルームの扉が開いて人が出てきたと思ったら、作品の1つをグルグル凄い勢いで回してまた違う扉から出て今度は入口からまた入ってきてスタッフルームに帰っていった。。。
どうも彼が光岡さん本人だったようなんだけど、これ毎日やってるのかな。。。
マジでカオス。これが銀座の地下で密やかに行われてるの面白すぎる。
無料で配布されてた冊子帰ってきて読んでみたけど中々面白い活動されてるので今後も注目します。


平野泰子個展「Two eyes」@ 銀座 蔦屋書店 アートウォール (会期終了)
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大学時代の後輩平野さんの展覧会。
彼女の作品は年々深度が増してる気がする。
絵の中に近さと遠さがあって、絵の具を重ねてるだけなのにこれだけ「距離」を表現できるの凄い。
実際キャンバスのサイドを除くと色とりどりの色が重ねられてることがわかります。
今後も楽しみです。
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