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よみがえりの(森)川

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*この物語は筆者に降り掛かった災厄を描いたノンフィクションです。
*清水裕貴「よみがえりの川」とは全く関係がございません。(いや、あるかも)

***************************************
2月2日未明。
その時私はチャリで帰路についていた。
猛烈な眠気と闘いながら家まであと5分ほどになったところで凄まじい衝撃。

死んだ?

当時バカリズムの「ブラッシュアップライフ」を見ていた私は白い空間に立ってる自分を想像した。
が、直後に来る痛みで死んでないと確信した。
となると改めて何が起きたのか。
どうやら眠気に負けて眠ったままチャリに乗り、ゆるい坂道に任せてそのまま電柱に激突した模様。
痛みの元は左顔面。
どうやら流血もしている。
まずい。非常にまずい。
とりあえずチャリと共に横転していた私は、起きあがろうとするが絶妙に靴が前輪の泥除けに引っかかって立てない。
早朝なので周りには誰もおらず、独りでひっくり返った黄金虫のようにもがいていた。侘しい。
何とか抜けて、とりあえず血だらけで家に帰ることにした。
出血の元はどうやら左瞼。
友人が以前電柱にぶつかって失明した人の話をしていたのを思い出し、これは失明かもしれないと怯えた。
とりあえず右目を見開き、やや漕ぎづらくなってる自転車に乗って帰宅。
鏡を見る。
左瞼が腫れ上がり青あざになって見れたもんじゃなかった。
瞼を指で押し上げてみたら視界があった。どうやら失明はしていなくて一安心。
しかしこのままでは眠れない。
ということで人生で初めて119という番号を押した。

とりあえず左瞼と頬に冷えピタを貼って救急車の到着を待つ。
意外に早く来てくれてそのまま救急車へ。
「かかりつけの病院はありますか?」
と聞かれたので、以前急性肝炎の際にお世話になった東京医科大の診察券を渡した。
そのまま東京医科大に搬送されることとなりひとまず安心。
救急車の中では何故か警官がおり、軽い事情聴取。
「どこの電柱ですか?」と聞かれるが必死すぎてわかるわけがない。
結局ほとんど答えられなかった。お務めご苦労様です。
救急車の中で、そういえば今日美容室の予約を入れていたことを思い出す。
美容師のOさんに、事情説明とキャンセルの旨を伝える。
親より友人より誰よりも先に事故のことを伝えたのが美容師さんだった。

そんなこんなで病院に到着。
応急処置をしてもらい、レントゲンやCTを撮る。
その後診療が始まる9時まで担架の上。
眠いが痛みで眠れず数時間そこで過ごしてやっと時間となり形成外科へ。
下された診断は「左頬骨骨折」。
人生初骨折。まさかの左頬。
「手術しますか?」と聞かれる。
前日からちょうど展覧会準備のお休みだったんだけど、手術となったらさらに休むことになり展覧会の日程も変更。。。
「ちょっと考えさせてください」と一日時間をもらう。
ただし、手術するなら骨がくっつく2週間以内とのこと。つらたん。
その後眼科に行って様々な検査のち受診。
これが物凄い患者数で、待ち時間の間に気を失いそうになった。何しろこちらはほぼ寝てないのだ。
瞼が腫れて一部の検査がまともにできないので引いてからまた検査することに。
全てが終わって家に帰れたのは14時だった。
途中現場と思しき電柱に寄ると地面に血痕が。
家に着くと血痕のついた自転車があり、風呂場も血痕だらけだった。事件すぎる。
血痕を拭く元気もないままそこから各位に連絡。
疲れ果てて寝ようとベッドに横になる。
すると一つ気づいたことがあった。
私は子供の頃から片方の鼻が詰まっていたのだがなんと両方とも通っている!!
これは事故の衝撃で通ったのではないか?すごい!!
と、興奮してまた眠れなくなる。
が、やがて眠りに包まれようやく就寝。
起きたら鼻は戻っていた。


翌2月3日。
清水さんや35分の酒さんにも話し、展覧会はとりあえず延期することとし、手術を受けることに決めた。
その旨を形成外科の先生に伝え、日程を決める。
最初2月6日入院7日手術でどうかと問われるが、生憎部屋が個室しか空いてないとのこと。
値段を聞くと一泊3万6千円。。。無理!
改めて相部屋が空いていて手術可能な日を調整すると2月9日入院10日手術ということになった。
というわけで展覧会を丸々1週間延ばして2月16日から3月21日とすることに。
そのまま店へ。
とその前に伊勢丹。
この日は節分。
あまり行事に執着ないんだけど、子供の頃から恵方巻だけは欠かしたことがなかったので絶対買う。
但し医者から固いものは食べないようにと言われてるので柔らかそうな具材のものを選ぶ。
そもそも口も大きく開けられない。
ちょっとでも固いものを噛むと何故かこめかみに電気が走る。
南南東を向きながら無言で時間かけまくって何とか食う。
そうこうしてるとPGIのTさんが清水さんの作品を届けに見える。
Tさんとはこれが初対面。初対面の相手がこんな状態で本当に申し訳なかった。

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2月4日。
予定通り搬入。
残りは鍵を預けて僕の入院中に清水さん自身でやってもらうことに。
清水さんに事故は神田川の呪いと言われる。
なんでワシが呪われなあかんねん。

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2月5日。
実はこの日から旅行を予定していた私。
手術が被ったら諦めよう、と思っていたものの、見事に被らなかったので旅行を決行。
顔面骨折という強目の字面とは裏腹に、痛みも不思議なほどなかった。逆に不気味。
流石に誰にも言えないのでSNSにもこの旅行のことは秘密。
飛行機に乗るので気圧でどうにかなったらどうしよう、と思いつつ乗る。
「この中にドクターはいらっしゃいませんか?」
とならずに無事到着。山口県は宇部空港。
前記事のレストランにお客さんのKさんと向かって美味しくお食事。
途中大好きなクルミが出て、どうしても食べたかったのでリスのように前歯で少しずつ食うなど。
この後小倉に移動し、登山のようなものもしつつ2泊3日を過ごす。
この間に皆様から散々「お大事に」と頂いてたので若干の罪悪感否めず。
お医者さんに言ったら絶対怒られるやつ。
にしても一昨年福岡に来た時は緊急事態宣言だかまん防だかで呑めず。
今回はケガのため呑めず。
福岡に来て2回連続で酒にありついてない。。。。呪い。
もつ鍋も焼き鳥も噛む系なので食えず。つらたんたん。
旦過市場のうどんが骨身に沁みた。

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2月8日。
入院前日。
現在入院前のPCR検査必須で朝から病院へ。
自分の中での最難関がこれ。
お仕事柄もそうだし、これだけ動き回ってるし、正直自粛の文字は私の中にない。
にも関わらずこの3年間コロナというものになったことがない。
というか、常に無症状ぐらいに思っていた。
ああ、これで陽性だったら入院もできないのか。。。と絶望だったが何故か陰性。
ねぇ、コロナってどうやったらなるん?
無事検査もすり抜けて35分での清水裕貴展初日。
偶然お客さんのNさんに遭遇。
入院前の姿を写真撮ってもらった。

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その後Coccoのライブ。初中野サンプラザ。7月には閉まるので多分最初で最後。
これも入院と被ったら諦めようと思ってたけど被らなかったため。
同じライブに来てた友達とご飯、後バー。
バーではひたすらお茶。
結局深夜までいて帰宅。

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2月9日。
13時入院。
行くと結局個室しか空いてないとのこと。
え、一泊3万6千円も払えないよ?
と震えたけど、病院側が采配できなかったとのことで特別料金なしで個室へ。
以前急性肝炎で入院した時は旧病棟の相部屋だったけど、今回は新病棟の綺麗な個室!
西新宿の13階からの景色は最高。
部屋にトイレとシャワーもついてる。完全に勝ち組。
しかもwifiも完備。最高かよ。
4人部屋が空き次第移動とのことなので、どうか退院まで空かないように願う。
9階にローソンもあるのでスイーツ買って優雅に過ごす。
病院食は硬いもの食べられないってことで全てみじん切り。
もはや何を食べてるのかもわからない味気ない食事。。。
そんなこんなで次の日の手術に向けて就寝。

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2月10日。
手術当日。今冬東京初雪。
食事も水分も取ってはならず、手術の時間もわからないのでとりあえずシャワーを浴びる。
相部屋だとシャワーも決められた時間しか入れないので個室最高すぎる。
12時過ぎに呼ばれて手術室へ。
初の全身麻酔。
肩のあたりから麻酔を入れられて気づいたら手術も終わっていて病室だった。
意識が戻ってきて、最初に自覚したのは股間の痛み。
そう、下に管が通っていたのだ。。。
噂には聞いていたけど、まさか自分もやることになるなんて。。。
これが猛烈に痛い。
看護師さんに「後生だから抜いてください」と頼んで抜いてもらったけど抜くのも痛すぎる。
事故より痛かった。
その後も尿道がヒリヒリしておしっこもままならず。。。
そして喉がとにかく痛い。
気管に直接酸素を送り込んでたのでそりゃ痛いわけだ。
あと、エコノミー症候群対策としてつけてたストッキングみたいなのも痛かった。
吐き気も若干する。
全身麻酔、完全に舐めてた。出来る限り2度とやりたくない。
それはともかく、時間を見ると22時となってた。
ん????
当初手術は2時間ぐらいと言ってたので辻褄が合わない。。。
どうやら手術は6時間にも及ぶ大手術だった模様。
手術開始したら骨折の具合が予想よりも酷かったらしい。
尽力いただいた医療者の皆様本当に感謝しかない。
左頬骨にプレートを埋め込む手術だったんだけど、このプレート、なんと溶けるらしい。
もうわけがわからなすぎて質問もできずに「はあ、そうですか」としか言えなかった。
そんな大手術にも関わらずメスの後は瞼と目の直下と口の中だけ。
どうやってそんなことができるのだろう。。。すごいとしか言いようがない。
ちなみに、看護師さん達も去った後に何か荷物取ろうと、点滴持ちながら荷物漁ってたら看護師さん戻ってきて「森川さん!」って驚いてたから何かと思ったら、「全身麻酔の後こんなに動ける人初めて見ました」と言われたw
元気だけが取り柄。
次の日の朝は久々の食事が出たけどまだ若干吐き気もあり食べられなかった。
昼からは少しずつ回復してご飯も食べられるようになった。
そんなこんなで病室も移ることなく、積読だった「百年の孤独」読了したり、動画見たりして過ごし、予定より少し早い2月14日のバレンタインに退院。
結果5泊6日、全身麻酔と病院食以外は心地よく過ごせた。

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その後16日にお店もオープンし、「三文オペラ」が流れる店内で眼帯した男が立ってるのはコンセプチュアル過ぎたw
配達の方がめちゃくちゃビビってて申し訳なかった。
翌17日には抜糸も済んで、相変わらず待ち時間の長い眼科でもほぼ問題なし。
まだ完治ではないものの、展覧会も無事終えることができ、4月1日はお店4周年!
その前にこんな機会もそうそうない(はず)なので記録に留めた次第。
ご拝読どうもありがとうございました。

***************************************
今回、単独事故だったのは本当に不幸中の幸いだった。
車にぶつかってたら顔面骨折では済まない、どころか死んでたかもしれない。
人にぶつかってたら賠償責任とその人のその後の人生も巻き込んでいたかもしれない。
物も壊してないし、自転車も買ったばかりだったので無料で直してもらった。
保険も3つも入ってた。
特に東京来てから入ってた自転車用の保険は診断書とかも出さずにすごいスピードで入金してくれて助かった。
月々550円しか払ってないのに、この5年弱の累積よりも多く支払われた。
左頬と左瞼以外は擦り傷もなく、鼻も歯も折らず。
顔のことなので、めちゃくちゃに腫れそうと思ってたけどそこまで腫れずに済んだ。
あわよくばどうせ顔にメス入れるんだしイケメンにして欲しかったよね。嘘です。反省してます。
今後気をつけて生きてまいります。
そう、今年は前厄。これで厄落ちたと信じたい。
ご心配いただいた皆様どうもありがとうございました。
2月はその反省もあり酒を呑まなかったんだけど、呑まないでいるとマジでお金使わずに済むんだよな。。。不条理。
旅行に行ったKさんから快気祝いにと福岡で食べられなかったもつ鍋セットを送られ美味しく頂きました。
そして事故の日に予約していた美容室も展覧会後無事行ってきてバッチリ髪も染まり再出発。
美容師のOさんに会えた時は感慨深かったなぁ。
まだ腫れも少しはあるんだけど、ほぼ日常を取り戻しました。
明日はお店も4周年。心機一転頑張ります!

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Re: タイトルなし

初めまして。インスタフォロー頂いてるとのことありがとうございます!
そしてこんな記事も最後までお読みいただきありがとうございます。。。
こんな不束者ですが今後ともよろしくお願い致します。
自転車保険是非入りましょう!

Instagramフォローさせて頂いているものの、どんな何をされている方かもちゃんとわかっておらず、にも関わらず、今回の事故顛末ブログ、読みいってしまいました。
キャプテンハーロックが間違って眼帯してるのかと思ったら、完治後は金髪イケメンさんで、オバハンはどえりゃーびっくりしました。
ともあれ、ご帰還&お店、4周年おめでとうございます。
私も自転車保険入ろうと思います。
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