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ホー・ツーニェン《ヴォイス・オブ・ヴォイド—虚無の声》

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この春に、山口情報芸術センターで開催されてたホー・ツーニェンの新作展
山口は無理だぁと諦めたのですが、この度の来京のタイミングでそれが京都芸術センターに回ってきた!ラッキー!!
これはKYOTO EXPERIMENTの一環で開催されました。
KYOTO EXPERIMENTも前記事のKYOTOGRAPHIE同様京都にしては長く続いてますね。
何と言っても2010年の第一回で僕は地点と出会ったので本当にありがたいイベントです。こちら
年々知らない人たちばかりなので参加しなくなったけど、今回も恩恵に与りました。

さて、この展覧会、本当にすごかった!!!!
一昨年のあいちトリエンナーレで話題だった「喜楽亭」の作品にも出ていた京都学派によりフォーカスを絞った内容。
まさにこの京都で、しかも京都芸術センターの特異な施設を見事に使い切ってて、もう最初からここでやるつもりだったのでは、というぐらい場所にぴったりだった。

まず、入口の受付で「VRは体験されます?」と聞かれて、なんかわからないけど「はい」と答え、整理券を渡されるも、実際会場の大広間に行くと客は僕だけ。。。
とても長くてややこしい説明動画を見た後に会場にイン。
VR装置を装着してレディーゴー!
正座で見ていると、まずは京都の料亭「左阿彌」の茶室に誘われます。
ちなみにこの料亭は今も円山公園の中にあります。こちら
ここでは高坂正顕、西谷啓治、高山岩男、鈴木成高らの京都学派四天王と呼ばれた哲学者たちが会談を行なっていて、自分はその会談の速記者という役割。
実際に僕が目の前にある紙に速記を始めると彼らが話し始めるんだけど、やめると彼らの心の声がボソボソ聞こえてくるんだけど、何を言ってるのかよくわからない。
この筆記の作業が結構大変で、中々紙に焦点当てるのがむずく、書いてたら茶室の窓が開いていくんだけど、書くのやめると閉まっちゃうので、全開になるまで筆記してたら腕がつりそうになったw
全開になって満足したので、筆記をやめてその場で立ち上がると、そのまま視点は上昇して空へ。
なぜかザクがたくさん浮かんでて、また誰かの囁くような声が聞こえる。
次第にザクたちは空中分解されていくなんとも不気味な光景に。
さらにその場で横たわると今度は視線が一気に下降。
そこは刑務所で、牢屋では蛆が湧いてて本当に不気味。ここでも声が聞こえる。
この「声」はタイトルにもなっているようにとても重要なファクター。
そんなこんなで気づいたら30分ぐらい経ってた。すごい。

あの「声」の正体はなんだったのか。
それは他の会場で明らかになります。
まずはギャラリー南へ。
ここでは2面スクリーンで囚人らしき人が横たわっっています。
VRで見た「監獄」の映像です。(その時は人はいなかったけど)
裏表でほぼ同じ映像なんだけど、セリフが微妙に違う。
一方の人物は三木清、他方は戸坂潤。
共に京都大学の哲学科出身で、西田幾多郎に師事し京都学派の一員として研究を続ける。
戦時中、治安維持法の思想弾圧により刑務所に拘留されどちらも獄死。
死後に出版された三木清の「人生論ノート」は戦後のベストセラーに。

続いて制作室4へ向かう途中のスロープに様々な資料が置かれていて、作品理解の助けになります。
そのスロープを上がると今度は「空」の世界。あのザクたちのやつ。
ここで語られていた声の主は田邊元のものだとわかります。
西田幾多郎に次ぐ京都学派のドンです。
ここで語られているのは田辺元が1943年に行った公開講座『死生』。
この公開講座は徴兵される若者に向けてのもので、講演の後絶句し涙を流して懺悔の言葉を口にしたという証言もあります。
あの空中でバラバラになっていくザクたちは、特攻で死んでいく若者たちを表していたんですね。

そして最後に茶室ではあの 『左阿彌の茶室』。
2部屋に分かれていて、一つの部屋では4つの座布団だけが置かれた不在の茶室。
ここでは西田幾多郎が1938年に実施した公開講座『日本文化の問題』が紹介されています。
もう一つは4人のみが映されていて、その背景に前述の不在の茶室が被ります。
1941年に雑誌『中央公論』で3回にわたって行った座談会『世界史的立場と日本』の様子。
前者は日米開戦の回避を、後者は大東亜共栄圏を、と一見相矛盾する京都学派の立場が語られているけれど、それらの映像が二重写しになってるのが興味深い。
それが実際に茶室で見られるのは京都芸術センターならでは。

というように、かなりディープな内容で、正直半分も理解したかわからないんだけど、身体と空間全体で京都学派と戦争という過去を声を通して体験するというのは本当に稀有な時間でした。
さらに詳しい説明はこちらが詳しいので是非。
もっとたくさんの人に観てもらいたい作品でした。
これ、今度の豊田市美術館の展示では流石に出ないんだろうか。
ちなみにあの伝説の「旅館アポリア」が会期途中の12月4日からまた喜楽亭で再現されます!
あの作品観てない人は絶対見たほうがいいです!こちら
いやはや、ホー・ツーニェン、本当にすごい作家だ。。。
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