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オムニスカルプチャーズ——彫刻となる場所 @ 武蔵野美術大学 美術館・図書館

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武蔵美の美術館で開催されてる「オムニスカルプチャーズ」展へ。
いやぁ、遠かった。。。
同じ東京とは思えない。。。多摩美よりかマシだけど。
この展覧会は本来昨年開催される予定がコロナで延期。
この4月に始まったもののまた緊急事態宣言でしばらく学内の人しか観られなくなっていました。
6月に入り、なんとか週末のみ予約制で学外にも開放されました。

この展覧会の特色はまず何と言っても出品作家の豪華さ。
出品作家のラインナップは、戸谷成雄、舟越桂、伊藤誠、青木野枝、三沢厚彦、西尾康之、棚田康司、須田悦弘、小谷元彦、金氏徹平、長谷川さちの計11名。
さらに会場構成が杉戸洋!
こんなメンツの展覧会なかなか観られないよ!
ということで、遠くても行くしかないのです泣

展覧会の発案者は同大学の教授もやってる三沢厚彦。
タイトルになってる「オムニスカルプチャーズ」とは三沢さんの造語。
オムニとはオムニバスのオムニで、「すべて」とか「全方位の」という意味の接頭語です。
1989年に発表された細野晴臣の「omni Sight Seeing」から発想したんだとか。
展覧会としては、80年代以降のポストもの派以降の世代で構成されています。
60年代後半から70年代初頭にかけて、世界同時多発的に、彫刻を基本とする大きな運動が起こりました。
日本では「もの派」、アメリカでは「ミニマリズム」、イタリアでは「アルテ・ポーヴェラ」。
これらの運動は芸術の究極を追求するあまり、やがて芸術の消失にまで至るような危うさを孕んでいました。
案の定その後に続くコンセプチュアリズムで、作品の消失を謳う松澤宥のような作家まで登場し、芸術の行き詰まりが叫ばれ、その究極が1970年に日本で開催された中原佑介キュレーションによる「人間と物質」展でした。
その展覧会を観た当時学生だった戸谷成雄はこれからどんな表現をすればいいのかと途方に暮れたそうです。
そんな荒野からスタートした戸谷を起点として、1982年生まれの長谷川まで、まさに「全方位」の世代と、素材も形態も異なる様々な彫刻表現を紹介する内容です。
しかし「オムニ(すべて)」と言っちゃうと、やっぱり無理があって、どうしてこの人が出てないの?ってのはお決まりのパターン。
三沢が感銘を受けたと言われる88年のヴェネツィア・ビエンナーレ日本館に戸谷と舟越と並んで展示されていた植松奎二や今村源、あと名和晃平に冨井大裕あたりは出品してないのが違和感しかなかった。
特に冨井さんは武蔵美で教えてるわけだし、彼ほど彫刻の概念を広げてる作家も近年珍しいと思う。
と思ってたら、美術館の前の芝生で出してたカフェが冨井さん関連だと後で知りました。
そして冨井さん自身もこの1作家によるバイアスのかかりまくった彫刻展に疑問を持って、関連トークイベントもやってたみたいです。こちら
とまあ、多少不満はあれど、とはいえ1点1点の完成度が高い満足度の高い展覧会でした。

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展覧会の中でも特に青木野枝の螺旋を描く彫刻は今回の展覧会の意図を最も汲んだ作品だったと思います。
その螺旋という形はまさに正面性のない「オムニ=全方位」型の彫刻。
惜しむらくは、スロープに置かれてるから全方位からは眺められなかったこと。残念。
そもそも彫刻というのは絵画と違って全方位から観られるもの。
その彫刻の特性も含めて「オムニ」という言葉を使ってるのだとしたら言い得て妙だな、と。
あと、僕はよく存じ上げなかったけれど、伊藤誠の作品が物凄く良かった。
それぞれがとても「弱い」存在ながら、ものすごい存在感を放ってました。
須田さんは今回割とわかりやすかった笑
あと彫刻といえば、昨年末に東京芸大美術館(こちらも大学美術館)で開催された「PUBILIC DEVEICE」が記憶に新しく、彫刻というのは色んな問題を孕んでいて改めておもしろいなと思います。
ちなみにその展覧会のカタログが最近出て、第3段ぐらいまでやりたいと小谷さんも言っていました。
今回「PUBLIC DEVICE」にも出ていたダヴィデ像みたいな像がまた出品されてたり展覧会同士の流れも感じますね。
最後にこの展覧会の図録が凝りまくってて2000円という破格だったので思わず買いました。
順番を自分で変えられるようになってて、実際学生たちがランダムに組んでるので全部違う構成だったりするまさに彫刻的な図録。
6/20日まで。学外は土日のみ要予約。こちら

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同時に開催されてる「片山利弘 領域を超える造形の世界」と「膠を旅する」も面白かったです。
前者は特に後期の絵画が物凄く好みでした。
後者では一度観たかったアイヌの鮭の皮で出来た靴を見ることができて感無量。。。

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帰りに久々に立ち寄ったファーレ立川も「野外彫刻」の問題を孕んでて面白かった。

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他に最近観た展示たち>>
I Care Because You Do @ The Mass
スクリプカリウ落合安奈「journey」@ AKIO NAGASAWA GALLERY AOYAMA
康夏奈 作品展「100 miles climbing 」@ 六本木蔦屋書店
ジェフ・ゲイス @ TARO NASU
AKI INOMATA『彫刻のつくりかた』@ 公益財団法人現代芸術振興財団 事務局
荒川修作「BOTTOMLESS—60年代絵画と現存する2本の映画」@ SCAI PIRAMIDE
ヴィヴィアン・スプリングフォード @ Taka Ishii Gallery
小野祐次 Luminescence @ ShugoArts
菅木志雄 集められた〈中間〉@ TOMIO KOYAMA GALLERY
菅木志雄 集められた〈中間〉@ スパイラルガーデン

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どうでもいいけど、先週上野でもそうだったんだけど、武蔵美でも知り合いに遭遇。。。
東京って村なの?
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