アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド―建築・デザインの神話 @ 世田谷美術館




アアルトの展覧会へ行ってきました。
フィンランドに行った際、彼の作品群にスタジオ、自邸も観てきたし(こちら)、家にスツール60もあるし、展覧会も何度も足を運んでるんですが、実はそこまで興味のある建築家ではありません。。。
同じ北欧ならアスプルントやヤコブセンの方が好き。
この展覧会の話聞いた時も、アアルト展こないだ(2019年)もステーションギャラリーでやってたやん!と突っ込んだぐらいで、正直そこまで関心なかったんですが、今回の図録に友人が関わっていたのもあり、先に図録を買って読んで、予習を万全にしてから臨みました。

図録がまたとんでもないボリュームなんですが、なんとか読んでみると、今回の展示は一味違いそうな予感はしていました。
これまでのアアルト展との大きな違いは、なんといっても最初の妻であったアイノ・アアルトを大きくフィーチャーしてる点です。
若くして亡くなったのもあり、アルヴァの影になってしまいほとんど彼女にスポットが当てられることはありませんでした。
しかし近年になって、彼女の功績が改めて再評価を受けていることを知りました。
僕自身もアイノの存在は全く知らなくて、今回図録で読んでいると初期のほとんどのプロジェクトに関わってるし、なんといっても彼らが立ち上げ今もアアルト製品を売ってるartekの初期のアートディレクターであり理事であったことも今回初めて知りました。
自分の名前と夫の名前を分けることでブランド力が弱まると考えて、彼女はあえて自身の名前を消し、すべての作品を「アルヴァ・アアルト」で発表したとのことでした。
なので、いまだにこれがどっちの作品というのは難しいようです。
今回の展示は彼女と協働した1924年から彼女の亡くなる1949年までに絞られています。
展示室ではなんといっても図録で読んでた内容がナマモノとして目の前にあることに感動。
最近は美術館以外でも図録が先に手に入るので、良さそうな展覧会は先に図録を買って読んでから展覧会に臨むことにしてます。(会場風景写すために会期途中に出来上がるケースや終わってから忘れそうになる程後に出来上がるケースもあるけど。。。)
展示室のパネルって読む気なくなりません?
あくまで展示作品を観たいので文章ってノイズなんですよね。
予め読み込んでおくと、そこをスキップできるので快適に観られました。
なんか改めて展覧会と図録の補完の大切さに気づけた気がする。
前半はなぜか写真撮れなかったんだけど、まずアイノが設計したとされる彼らの別荘、ヴィラ・フローラのドローイングに感動しました。
初期のアルヴァのドローイングがめちゃ下手なんですよ笑
それに引き換えアイノのドローイングがうまい!
後年アルヴァもかなり上手くなるんですけど、アイノの影響もあったのではと思います。
ちなみに後半に出てくるアルヴァの自邸(アアルトハウス)のドローイング。上手くなってる!

次に1930年にヘルシンキで開催された最小住宅展の展示がそのまま再現されてるのにびっくり!
え、これ図録で見たまんまやん!とかなり衝撃でした。すごい。
それまでの伝統的なデザインから急にモダンになります。
しかしそこから改めて冷たいモダニズムから温かみを再獲得する新たな試みが。
アアルトの真骨頂曲木です。
その工程などもかなり丁寧に展示されてて素晴らしかった。
よく考えたら木がこんなにグネグネ曲げられるのすごいですよね。
そんな伝統とモダニズムの融合から生まれたのが1936年竣工のパルプ工場です。
そこの社員寮もアアルトたちが設計していて、一人暮らし用の寮なんか、和室?みたいなのもあって面白かった。
そしてその模型が当時のものなんですよね!すごい!
写真撮りたかった。。。
さて、後半から写真が撮れました。前半と何が違うんだろう。。。
後半の冒頭では、アイノがデザインした折りたたみ収納のできる子供達の家具が紹介されてて感動。
彼女は大学のプロジェクトでも保育園をデザインしたりするほど子供に対して熱心でした。
こういう折りたたみ収納は彼らが愛したと言われる日本の影響もあるのかしら。


その後に続くアアルトハウスは僕、現物見てるんでほとんどスキップ笑
この展覧会の白眉はなんといっても1939年に開催されたニューヨーク万博のフィンランド館での「うねる壁」の再現!!これはマジで素晴らしいです。
特にこの展示室はガラス窓から新緑が映えてめちゃくちゃ美しい。。。
ここにアアルト夫妻の様々な作品が収められています。
有名なサヴォイ・ベースの型枠とか面白かった。いつか欲しい。



そして最後はアイノと家族の展示。
臨終のアイノを描いたアルヴァのドローイングは泣けます。
最後の廊下でも彼らの家族写真を投影されてて、本当に愛のある展示だった。。。



アアルトの展覧会、何度か観てますがダントツに素晴らしい展示でした。
会場を区切る布の使い方も素晴らしかったなぁ。
キュレーションも最高だったし、なんといってもこの美術館で観られたのもよかった。
6月20日まで。こちら。
次は安藤忠雄の兵庫県美に巡回するみたいだけどどうだろう。
世田谷美術館、実は初めてだったんですがマジですごいですね!
内井昭蔵の建築は、ライト風のディテールと緑の融合が素晴らしい。
昨年はコロナ禍の中、発想を逆転して何も展示せず展示室を見せるという素晴らしい企画もやってましたね。こちら。
さすが世田谷区。砧公園もとんでもなかった。。。







ところで到着して気づいたんだけど、なんと次の日からコレクション展が始まる!
昨年中止になった「驚異の三人!! 高松次郎・若林奮・李禹煥」。。。
なんでアアルト展にぴったり合わせないんダァああああ。。。
初日も最終日も違うってなんなの。。。辛い。。。
アアルト展も良かったしまた行こうかな。。。こちら。
世田谷美術館行くついでに坂茂事務所に寄りました。
僕の中でアアルトと言えば坂さんなんです。
というのも、僕が初めてアアルトを知る木っけになったのがロンドンで観たアアルト展で、その展示構成をしてたのが坂茂だったのです。
坂さんは学生の頃からアアルトが好きで、日本で開催したアアルト展では学生ながら展示構成を担当し、そこで初めて使ったのが後に彼のアイコンとなる紙管でした。こちら。
事務所の中ではその紙管がいくつか。完全に覗き魔状態でしたw


そしてその近くには坂茂ワールド全開のカフェ「はぐくむ湖畔」もあるのでついでにお茶してきました。
紙管でできた椅子、座り心地良すぎてびっくりした!





来週から坂建築いくつか見るので楽しみです!
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