ダムタイプ 新作パフォーマンス「2020」映像配信
前回で展覧記事今年ラストのつもりだったんだけど。。。
まさかダムタイプの新作が無料配信されるなんて!(2020年12月25日10時〜27日23時59分)
プラチナチケットとなったチケットを必死の思いでとったのが今年初め。
なんせ18年ぶりの新作、2日間で3公演のみ、京都。
そりゃ争奪戦になるだろうよ。。。
楽しみにしていた3月の公演は新型コロナウイルスによって中止に。。。ガッデム!
そして10月、ロームシアターで上映会という形で公開。
京都まで観に行くか悩んだ挙句やめて、そしたら無料配信!勝ち組!
で、ありがたく拝見させて頂いたのですが、正直がっかり感が否めない。。。
何が「2020」なの?
むしろダムタイプのこれまでを集めた懐古趣味的で全く「今」がなかった。。。
もちろん舞台芸術を映像という二次メディアで判断するのはフェアじゃないんだけど、それにしても。。。
舞台の真ん中に開いた象徴的な穴も最後の場面以外有効的に機能してるとは思えない。
どの場面も既視感しかなくて、時間が進むにつれて絶望感がすごかった。
そして何より、現実の「2020」があまりにもドラマチックすぎて、ダムタイプというメディアは完全に現実の「2020」に敗北している。
まさか2020年、オリンピックが延期することもパンデミックが起こるなんてのも誰も想像していなかっただろうけれど、アートは時に「炭鉱のカナリヤ」となり、未来を予言することがしばしば起こる。
ダムタイプの新作が「2020」と聞いた時に、何かそういう示唆に富んだものが観られるものと思い込んでいたのだけれど、圧倒的に彼らの作品は過去を向いていた。
やっぱりダムタイプは「S/N」を超えられない。
かつて古橋悌二は「アートは可能か」と問うたけれど、これを見る限り首を縦にふることはできない。
勝手に期待しすぎたのはあるけれど、どうしてもポジティブな反応ができませんでした。。。
とはいえ現実に再演となったら観に行く所存ではあるけれど。
無料配信は明日(27日)まで!
「Cockroach」by Ai Weiwei
もう一つ映像配信。
アイ・ウェイウェイの新作「Cockroach」です。
彼は近年ドキュメンタリーフィルムの制作に力を入れていて、昨年のシリア難民を追った「ヒューマンフロー」に、パンデミックのロックダウン下の武漢を記録した「Coronation」と立て続けに発表をしています。
特に「Coronation」なんて、物凄く最近の出来事だし、よくぞこんな映像残したなという、アーティストを超えて歴史の証言者という存在になってきてます。
新作「Cockroach」は昨年の香港デモを追ったドキュメンタリー。
人間が「ゴキブリ」のように扱われる様をまざまざと見せつけられて涙が止まりませんでした。。。
政府側の武器と違って、民衆側の武器は石であり煉瓦でありゴム銃であり火炎瓶でありあまりにも稚拙。
そんな稚拙な武器を持って、彼らは自分たちの自由を守るため文字通り必死に戦います。
それでもやはり大きな力には勝てなくて、この後の結果を知っている身としては引き裂かれる思いで観ました。
彼らの抵抗むなしく、コロナ禍の中、この6月30日に北京で香港の「国家安全維持法」が可決、7月1日より施行に至りました。
これは日本における60年70年の安保闘争に似ているし、やはり大きな力には勝てないのかと絶望的な気持ちになりました。
その後の日本は人々の意識から「政治」が薄れて、政治家が暴走する今へと至っています。
香港の場合はさらに厳しい現状で、今月初めに無許可集会扇動の罪でアグネス・チョウら3名が有罪判決を受けてしまいました。
今後香港は完全に中国の統治下に置かれ、「自由」は剥奪されたわけですが、アートシーンにおいても香港は重要な場所だったのにどうなってしまうんでしょうか。。。
来年こそ開館する予定のM+も、表現の自由のなくなった香港ではちゃんと機能できるのかどうか。。。
アジアのアートシーンの中心は今後香港から韓国ソウルへと転移しつつあります。
実際ロンドンのアートフェアFriezeも2022年に初のアジア進出の地をソウルに決めたとの報道もありました。
メガギャラリーもこれから香港から撤退していくような気がします。
僕は2回しか行ったことがないけれど、行く度に好きになる街だったので無念でなりません。
ちなみに、台湾に移住していたリー・キットはこのコロナ禍の中で香港に戻ったそうです。こちら。
自由に表現をするなら香港から出るほかないとは思うのですが、彼のことも心配です。
内海聖史「あたらしい水」@ 虎ノ門ヒルズ 森タワー 1F




虎ノ門とかまじでご縁ないのですが、野暮用で用事があったので、いつか行くことあれば観てみたかった虎ノ門ヒルズにある内海さんの作品についに対面できました!
大きな絵画が全部で5点並んでるのですが、柱があるので全て一気に正面から観ることはできません。引きもないし。
最初それが少しストレスだったんだけど、柱の鏡に映って、隣の絵画と合体するという現象に気づいてすげー!となりました。
そしていつもに増して色彩が激しくて、細部の処理も興味深かったです。
虎ノ門ヒルズにご用の方はぜひ立ち寄ってください。
内海さんの絵画は街中のいろんな場所に展示されてて、且つ場所との関係性も考えられているので色々探訪していくのも楽しいのです。
この記事が詳しいのでご参考までに>>パブリックアートの旗手、内海聖史
ついでに森万里子も。他にも虎ノ門ヒルズには作品が点在してます。

松下まり⼦「愛の飾らぬことばにおいて」@ 銀座蔦屋書店

本当はプレビューご招待頂いてたので行くはずが、前述の虎ノ門ヒルズで平日昼間から呑みすぎてしまい銀座まで辿り着けず後日リベンジ。。。
ちなみにプレビューではコレクターの方々が瞬く間に作品をお買い上げになられ、1時間もしない間に完売したとかで僕なんてお呼びではなかったとは思いますが。。。
で、楽しみに日曜日に行ったわけですが、この日は完全に失敗だった。。。
本に囲まれた空間で、真ん中に置かれているというベンチに座って松下まり子ワールドにどっぷり浸かるはずが、そのベンチは影も形もなく、会場の真ん中で謎のイベントが。。。

あまりに松下まり子ワールドとはかけ離れた世界観のライブペインティング。。。泣いた。
おかげで全く集中できずに、散漫なまま作品を鑑賞する羽目に。。。
商業施設での展示は難しいね。。。外のホコ天でやれや。
とはいえ青を大胆に使った作品など、いくつか好きな作品もあったので良しとしますか。。。

久々に訪れたGINZA SIX。
めぼしい本を探したり、三島x篠山x横尾の50万円(税別)の写真集をチラ見したり、倉俣史朗の可愛いドローイングを眺めたりとまあまあ楽しめたんだけど、それにしてもこのコロナでレストラン街が壊滅状態だったのが一番の衝撃でした。。。銀座どうなっちゃうんだろう。。。



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