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ヤン・ヴォー ーォヴ・ンヤ | 越境する線描 @ 国立国際美術館

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勝手にGoToキャンペーン第二弾は我が故郷大阪!

とはいえ万が一を考えて親類には内緒のお忍び帰郷でした。
初めて地元でホテルとったんですが新鮮でめっちゃ楽しかった。
しかもコロナの影響なのかめちゃくちゃ安い!
中之島のビジネスホテルで3000円でした。最高。
友人と行きたかった馬肉の店で晩飯を食い、近くのリーガロイヤルのバーでカクテルを飲み(リーチバー行きたかったが22時閉店だった。。。)、朝食はホテルのブレクファスト、その後川沿いを散歩しながら国立国際美術館へ。最高かよ!

というわけで前置き長くなりましたが大阪の目的は国立国際美術館。
現在ベルリンとメキシコ在住の作家ヤン・ヴォーの国内美術館初の個展が開催中です。
この展覧会も当初4月に開催予定でしたがコロナで延期、6月から再開の運びとなりました。
学芸員の友人福元くんにも色々聞いてましたが、本当に大変だったんだろうなぁ。。。
混乱を表すように、再開当初も閉幕日が決まってないというすごい事態になってました。
今は10月11日までとなっております。

さて、このヤン・ヴォー展。
僕も彼の作品は岡山芸術交流ぐらいでしか見たことがなくあまりデータがありませんでした。
よく語られる彼の壮絶な背景、
「4歳のときに父手製のボートに乗ってベトナムを離れ、難民としてデンマークに移住。」
という、昨今のシリア難民に先駆けること数十年前の出来事。
当時のヴェトナム戦争の最中、祖国をボートで去ってそこから作家になるという背景はインパクトありすぎ。

そんな彼は、こうした自身のアイデンティティの揺らぎやトランスナショナル、セクシャリティ等、様々なマイノリティを作品にしているんですが、これがまた難解!超ハイコンテキストすぎて笑った。
なんせ、会場には一切解説がなく、作品、というより「もの」が置かれているのみ。
こうした作品の在り方を美術館の冊子でもの派の菅木志雄と並べて批評しようとしているけれど、流石に無理があるだろうと思います。
菅の「もの」は「それそのもの」という存在論が主軸に置かれているけれど、ヴォーの「もの」には確実に背景があり物語があるんです。
ただ、その「もの」たちは無言を貫いていて、一向に語りかけてくれません。
よくもまあこんな攻めた展覧会を国立の美術館がやったもんだなぁ。。。
案の定お客さんも少なくソーシャルディスタンスどころの騒ぎではありませんでしたw
作品は写真も撮れないし、ちょっと解説はできないので他に譲ります。

わかりやすい文脈への回収を避ける意図とは? 平芳幸浩評「ヤン・ヴォー ーォヴ・ンヤ」展

ヤン・ヴォー ーォヴ・ンヤ

あとヴォー自身のインタビューや作品も観れる動画は必見。




とはいえ全くわからないでもありません。
展示会場に置かれている出品目録のタイトルや素材を見るとぼやっとわかることも。
例えば

05
セントラル・ロトンダ/ウィンター・ガーデン
2011年
シャンデリア、クレート、輸送用パレット
{パリ、アヴェニュー・クレベールの旧ホテル・マジェスティックのセントラル・ロトンダ/ウィンター・ガーデンに飾られていた19世紀末のシャンデリア]

とか

07
ロット39: 大統領の署名用ペン4点組
2013年
金属、インク
[ジョンソン大統領が1964年3月20日の国防物資調達法案に署名する際に使ったペン先4点]


とかね、ってやっぱりわからないねw
ってことで、普段は借りないオーディオ・ガイドを借りたりしてなんとか半分ぐらい理解できました。
とはいえ、もはや理解するしないはそこまで重要ではないのかもしれません。
というのも、単純にインスタレーションとして格好いいんですよ。
そのほとんどが、構造物が見えちゃったりしてて、まるで美術館の裏側に来たみたい。
会場が倉庫のような仕上がりになっていて、美術館というものを脱構築している。
その展示の説得力で結構見られます。
展示壁が途中で終わってたり、書き割りそのままだったり、探検してるみたいな体験。
どこまでを許容するのかが試されています。

展覧会の中で印象的なのが、何度も登場するフランス語の手紙。
「1861年2月2日」と題された作品で、会場に何度も登場します。
これはベトナムに派遣されたフランス人宣教師が処刑される前夜に父親に送った手紙をもとに、父親が手書きでコピーしたものなんだけれど、実は父親のフン・ヴォーはフランス語が読めなくて、カリグラフィーとして作品になっています。
この「作品」は300ドルで販売されていて、画廊に100ドル、ヤン・ヴォーに100ドル、そして父親に100ドルが渡るようになっているそうで、労働としての側面もあります。
そして父親はフランス語を読めないというのが大きくて、ただの線描となってるのも面白い。

そのことを思いながら2階に登ってコレクション展「越境する線描」を見るとさらに面白いです。
このコレクション展は友人の福元君が企画したものなんだけれど、前述の豊田市美術館同様、この国立国際美術館もコレクション展がベラボーに面白いんです。
まあ、持ってるコレクションの質が良すぎるんですが、それを料理する学芸員のキュレーション力も試されていて、特に今回の「線描」を巡る展示はとても面白い。
日本語の「線描」には色んな意味を含んでいることに注目して、「デッサン」から「グラフィック」、「スケッチ」と進んで、最後に「ドローイング」に至る痛快さが見所です。
特に僕は「スケッチという断片」で出品されてる展示がどれも素晴らしくて、今村源の展覧会プランのスケッチや、マーク・ダイオンのプロジェクト案、ヤノベケンジの「メガロマニア」展のための構想、パナマレンコの設計図等よくもこんなもの収蔵してたな!という驚きの連続。
最後のドローイングセクションは、サイ・トゥオンブリーにポルケ、伊藤存に法貴信也と待ってましたの連続。
最後は金氏徹平に今村源、宮脇愛子の彫刻で締めるのもにくい。
この企画した学芸員の福元崇志さんとのインタビューは絶賛販売中です!
https://aholic.stores.jp/items/5ed5c76abd2178100e30c984

今後美術館に行ったらコレクション展をしっかり見ましょう。
ここに美術館の底力が表れてます。

ヤン・ヴォーも越境する線描展も共に10/11まで。こちら
僕が行った時解説付きのカタログがまだ出てなかった。。。早く出てくれー!!


目の前の大阪市近代美術館が外壁まで付いてた!2022年の開館が楽しみ!

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