久門剛史「らせんの練習」@ 豊田市美術館


勝手にGoTOキャンペーン第一弾は愛知県豊田市!
都から出たの3ヶ月ぶり、関東からは半年ぶりでした。。。
もう1年以上前の決定からずーーーっと楽しみにしてた豊田市美術館での久門剛史展。
今年三月いよいよ開幕!からのコロナ休館。がーーん。
とはいえ緊急事態宣言の出た4月初旬まではやってたので、こっそり東京抜け出して観に行ってやろうかとも思いましたが、さすがにできませんでした。。。
その後自粛が始まり、もしや観られないのではと不安で慄きながらの5月。
緊急事態宣言が明けた後、本来の閉幕日6/21から9/22に延長されました。
とはいえ最初は愛知県内の人のみで、県外からはアウト。
ここは辛抱して、この度ようやく観られることができました。
まあ、3月の状態と今とさほど状況変わってないんだけど。。。むしろ悪化してる。。。?
さて、久門くんですが、ここ数年色んなところで呼ばれています。
六甲、二条城、あいちトリエンナーレ、森美術館、、、
どこでやってもまあ見事に素晴らしい。
これって作家として当然ではあるものの、本当にすごいことだと思います。
作家だって人間なので、一個ぐらい外しても仕方ないんですよ。
なのに、どんな場所だって場所を変容させるぐらい凄まじい作品を発表する久門くん。
そんな彼がついに美術館で個展!しかもあの豊田市美術館!
これは観ない手はないんです。
まだ30代で僕と同年代なのに本当にすごい。
実は、もう待ちきれず先にカタログとか買ってたし、レビュー読んだり色々予習もしてました。
しかし、実際行ってみたらこの期待値遥かに超える内容だった。。。すご過ぎた。。。
とりあえず写真で振り返り。泣きそう。


















美しい。。。。。
豊田で観てきた展覧会で一番とったかも。。。
まあ、憎たらしいぐらいどの展示室も外してません。
最初の吹き抜け空間からやられました。
紙がランダムに落ちてくるインスタレーションで、永遠に見てられました。
その傍らには森美術館でも発表していたライトの明滅。
こういう機械系でいうと、レベッカ・ホーンとか思い出すけれど、久門くんの作品のこの優雅さは何なんだろう。
そしてめちゃくちゃ人工物なのに自然を彷彿とさせる感じ。
落ちる紙は雪のようだし、明滅するライトは蛍のよう。
その後も時計でできたミラーボールとか、螺旋を描くシャーペンの芯とか、トレスのようなライトの集積とか、風で揺れるカーテンとか、雨粒のような光とか、もう展示室進むたびにハッとさせられます。
一つ一つの展示の内容は言い出したらキリがないので中井さんのレビューが詳しいです。
光の無限軌道を描く──「久門剛史 ─ らせんの練習」
久門作品は動きもそうだけど、音もかっこいいんですよね。
特にカーテンの部屋は総合インスタレーションで筆舌に尽くし難い格好よさがあります。
あと、久門作品の格好いいのは配線。
機械系の作品の場合、配線を隠す場合が多いんだけど、久門作品では堂々と見せてます。
その配線の様も本当に格好良くて、このセンスはえぐい。
そして、この展覧会は、タイトルの通り、展示室を何周もできる構造になってます。
展覧会の始点と終点が最終的に交わるのです。
僕は、ちょっと初見の感動を大事にしたかったので、一度だけにしました。キモいね。
この展覧会、絶対行った方がいいと思います。
行けない人はカタログ買うべし。このカタログめちゃくちゃ凝ってて愛しかない。
愛といえば、今回のコレクション展。
途中で気づいて泣きそうになったんだけど、2つ開催されてるコレクションのテーマが「光」と「電気」。
「光」は良くあるけど「電気」?となってうわーー!!ってなりました。
そう、完全に久門展に合わせたテーマだったんです。
この若い作家の美術館初個展を美術館側が全力でサポートしてる感じがあって愛しかないよ。。。
しかも「光」のコレクション展には、久門くんの師である野村仁のコレクションを中心にしてます。
他にもメルツにクネーベル、村岡三郎に奈良美智とか豪華すぎる。
開館25周年を記念してのコレクション展というのもあるんだけど、美術館のポテンシャルすごい。
この「光について/光をともして」と題されたコレクション展には冊子が配られていて、この冊子も色んな人のインタビューが載ってたりして、コレクション展の冊子とは思えないぐらい凝ってます。
作家やギャラリストのインタビューはよくあるけれど、修復士やコレクター、そして美術館に働くスタッフやボランティアのインタビューなんかも載っててめちゃくちゃ面白いです。
今回のコロナ禍で、我々の社会システムの脆弱さを思い知らされました。
その中の美術館の休館で、今後の美術館のあり方というものの問い直しがなされたと思います。
中でもブロックバスターと呼ばれる大人数の観客を無理やり詰め込む新聞社主導型の展覧会は困難になるでしょう。
また、作品の貸し借りも難しくなっていくと思います。
そんな中、偶然とはいえ、この豊田市美術館で現在開催中の久門展とコレクション展は今後の美術館のあり方を考える上でとても示唆に富んでいたように思えます。
企画展は現存作家で、コレクションでも企画展レベルの内容を作ること。
現存作家だとフレキシブルに対応できるし、何と言っても美術館にはコレクションがあるので、これまで企画展中心にやってきたやり方を、既に持ってるものをいかに魅力的に見せるかという方向に変えるしかないと思います。
これまでも広島現美や国立国際、東京近美などはそれを積極的にやってきていました。
今後はそれをもっと大胆にキュレーションしていくべきなのでしょう。
(もちろんこのやり方は大きな美術館であればあるほど有利なので、小さな美術館は苦しいでしょうが。)
今の豊田市美術館はウィズコロナ時代の100点に近いことをやっているように思います。
電気のコレクション展も面白かった。
ペーター・ベーレンスの20世紀初頭の家電コレクションとか新鮮すぎた。
改めて、豊田市美術館大好きになりました。
ぜひ足を運んでみてください。
久門剛史展は9/22まで。ぜひ!こちら。
会場だとカタログが安く買えます。
あと、会期変わってて見れなかったけど、茶室の展示もあります。
