再開後の変更について。

展覧会搬出の為、本日(8/27)より9/3(日)までお休みとなります。
9/4(月)以降は営業時間が19-25時となり、定休日が日曜日となります。
コロナ以降お客様の来店が徐々に遅くなり21時までノーゲスなこともしばしば。。。
20時開店でもよかったんだけどとりあえず一旦1時間押しでやってみます。
今後の変更や臨時休業はこのブログやウェブサイト、SNSをチェックしてください。
で、そのSNSですが、今後はX(元Twitter)を辞めてインスタ1本にします。
許すまじ、イーロン・マスク!!
という強い思想も哲学もなく、単純に前からあまりやる気なかったのでこれを機に辞めちゃいます。
とりあえずしばらくは放置しますが年内に消すので、インスタお持ちの方はそちらにご移行お願いします。
今後の営業情報はインスタに投稿します。
インスタ>>@aholic_artlibrarycafebar

前記事でも書きましたが、山本恵展をもって、2021年から続けてきた展覧会シリーズも一旦終了となりました。
展覧会、楽しいんですが様々な負担がデカ過ぎました。
コロナのゆるゆる営業だから成立していたのが大きくて、通常の生活に戻った今、通常営業と展覧会を両立させるのが厳しく、こういった判断になりました。
また機会があったらやりたいとは思いますが、しばらくはありません。
誰か展示したいとかキュレーションしたいって人がいたらご相談ください。
但しうちは壁がほぼないのでインスタレーションできる人に限ります。
そして開店から一部のお客様に好評いただいていた定食も終了です。
これもあまりに僕の負担が大き過ぎました。むしろ今までよくやってたなと自分を褒めたおしたい。
今後はパスタとかその場でできるものを出したいと思います。チーズも多分出します。
これらの変更聞いて、
「お店辞めちゃうの?」
ってたまに聞かれるんですが、今のところ辞めません。
むしろ今後を考えた時に少しでも自分の負担を減らさないと続けられないとの判断です。
さすていなびりてぃ大事。
なんせうちはワンオペでやってる店なので。
突然僕の心が折れたりお客さん来なさ過ぎてお金なくなったら辞めざるをえませんが。
って後者の問題はかなり切実なので皆あるうちに来てね。
「いつまでもあると思うな親と店」で。
というわけで
さようなら、すべてのツイートと展覧会とBBA定食!!!
9月からの新生A'holic、単発のイベントも続々やっていく予定なので、今後ともご贔屓に。
山本恵個展「小さくて長い長い話」終了しました。

山本恵個展「小さくて長い長い話」終了しました。
お越し頂けた方々、また作品ご購入頂いた方々、誠にありがとうございました。
今回の展示は、作品が作り出す影をテーマに、という僕のリクエストに山本さんが見事に応えてくださった展示でした。
夜の展示ってあまりないので、折角なのでその暗さを利用したくて。
客席暗くてお客様には多少のご不便おかけしましたがアートファーストの店なのですいません笑
お陰様でとても夏の夜に幻想的な展示となりました。
A'holicでの展覧会はこれにて一旦終了となります。
全8回とても充実した空間を創れて店の誇りになりました。
また機会があればいつかやりたいとは思っておりますが、とりあえず一旦これにて。



















冨安 由真 影にのぞむ @ 丸木美術館

以前から気になっていた丸木美術館に行ってきました。
ここは、「原爆の図」で知られる丸木位里・俊夫妻の個人美術館です。
埼玉県は東松山市の緑溢れる場所に静かに佇む建物。
兎に角遠いので車で行ければいいのですが、公共交通機関だと東松山駅から出てるバスに乗るのが最も安く行ける方法だと思います。僕はこれで行きました。
但しバスの本数がかなり少ないので事前にチェックしてから行くべし。
バス停からは15分ぐらい歩きますが、ジブリっぽい風景に心躍ります。
間違ってもつきのわ駅から歩かないこと。こんな炎天下で30分も歩くと死にます。
あと森林公園からタクシーで12分ぐらいらしいので余裕のある方はそれもいいかと。
で、なんとか到着。遠かった。。。
現れた建物は案外大きくてびっくり。
受付で入場料を払って中へ。
まるで公民館のような佇まいですが、最初の2階には早速「原爆の図」が展示されています。
その前に位里の母スマが70歳を過ぎてから描き始めたというほのぼのした絵に癒されて心の準備を。
僕が丸木夫妻の絵を知ったのは中学の頃。
担任が美術教師だったのもあり、夫妻の作品をかなり熱心に取り上げていたのを鮮明に思い出します。
丸木夫妻はそれぞれ親戚が広島にいて、彼らは疎開していて被爆は免れたものの、多くの親戚を亡くしました。
原爆投下から数日後に広島に赴きその地獄を見た彼らは戦後、この「原爆の図」を描き始めたのです。
最初の「原爆の図 第1部 幽霊」が描かれてから1982年までの32年に渡り、全15部に及ぶ連作として制作されました。
この美術館には1部から14部までが常設で展示されていて、最後の15部は長崎原爆資料館が所蔵しています。
1部の幽霊がこの7月20日に修繕を終えて帰ってきていて、現在2部が修繕中で2025年までかかるとか。
それ以外は実物が揃っています。
中学生以来実物を観てみたいと思っていたので感慨もひとしお。
屏風のように自立するその大画面に圧倒されました。
画題もさることながら、彼らの絵のうまさもすごい。
構図も完璧だし、全部が違う表現を用いられていて観ても観ても観尽くせません。








1階に降りると、画題は戦後にまで及びます。
印象的だったのは第13部と第14部。
13部では広島の原爆で亡くなった米兵捕虜、そして14部では在日朝鮮人について取り上げていました。
日本人の被害だけではなく加害にまで及ぶ「原爆の図」にはハッとさせられるものがあります。
第9部では戦後の第5福竜丸のことも取り上げていて、その後、画題は原爆から沖縄戦、南京大虐殺、アウシュビッツ、水俣、三里塚闘争と、人類史にまで及んでいて言葉をなくします。
蝉の声が遠くで鳴り響く中、静寂に包まれて思考が研ぎ澄まされる感覚がありました。
最後は彼らのアトリエ。
急に田舎の実家感があってほっこり笑
お盆に田舎の祖父母の家に来た感満載。




さて、今回丸木に来るきっかけは冨安由真さんの個展があったから。
冨安さん、気になる作家ではあったけど実際観るのは初めて。
経歴見たら、同い年で同じ時期にロンドンのチェルシー行ってるのでどこかで会ってるかも。。。
彼女自身が被爆3世だそうで、今回初めて故郷と向き合う作品を制作しました。
会場では広い空間に白い手の型がいくつも浮いています。
それらは実際被爆者の方達に会って型取りしたものだそう。
やがて会場は暗くなって、強いスポットが当たって壁に影が落ちます。
そしてゆっくりと全体が明るくなるというインスタレーション。
ちょっと直接的なのと、まだご存命の被爆者の方たちがまるで死者のように扱われてるのが違和感ありました。
ただ、手の断面の部分が鏡面になってて、それがスポットに反射して、まるで魂が飛んでるように天井に反射してるのは面白かった。








そんなこんなで初丸木美術館体験終了。
遠かったけどとても充実した時間でした。
2025年からは建物の改修工事に入るそうで、その資金を呼びかけています。こちら。
改修前にでも一度は訪れたい美術館の一つだと思います。
冨安由真展は9月24日まで。こちら。
ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室 @ DIC川村記念美術館

早起きできてしまったので急遽川村記念美術館へ。
東京駅から9:55発の直行バスが出てるので、川村へはこれに乗るのがベスト中のベスト。
遠いので毎度躊躇してしまうのですが、行ったら絶対満足できちゃう美術館。
今回もロスコルームでうっとり時間を過ごしました。家に欲しい。
それはともかく今回はジョセフ・アルバース展。
一昨年パリでアルバース夫妻の展覧会既に観てるからパスしようかな、とも思ったんだけど、やはり無視できず行っちゃいました。
「日本初の回顧展」と銘打たれてますが、今回は彼の画業だけではなく、教育者としての一面がかなりフィーチャーされてて、そこがかなりミソな展覧会となってます。
アルバースは戦前から戦後にかけて、バウハウス、ブラックマウンテン・カレッジ(BMC)、イェール大学で教鞭を取っていました。
その教え子の中にはラウシェンバーグなんかもいて、戦後美術にかなり貢献した人物なのです。
とはいえラウシェンバーグは彼の指導をかなり無視してたみたいですが笑
会場には二つ入口があって、展覧会会場への入口とワークショップ会場への入口。
このワークショップ会場が最高なのです。
会場には夏休みの影響か家族づれが結構いて、みんな楽しそうにアルバースの課題に挑戦していました。
彼の授業ではとにかく色を「見る」ことが最重要視されていて、絵の具ではなく色紙がよく使われていたそう。
混色によって色を作るのではなくて、あくまで選び出すことこそが重要なのです。
というわけで、そんな彼の課題が大きく4つ提示されていました。
① 色のマジック: 1つの色が2つに見える
②3色の世界: 同じ色から違う世界が生まれる
③透明のトリック: 透けていないのに透けて見える
④ひだ折りの練習: しなやかな紙が立ち上がる
これらの課題をこなした成果物が壁一面に貼られていて壮観な景色なのです。
展覧会会場では、実際当時の生徒が同じ課題に取り組んだものも展示されてて、目や頭だけでなく身体を使って歴史と繋がっていく感覚は素晴らしい体験になると思います。
で、アルバースの回顧展としては、まあ会場も小さいので作品数としてはそこまで多くないものの、彼のキャリアをちゃんと通覧できる内容になってて素晴らしかった。
バウハウス時代のデザインから、BMC時代に抽象に目覚めていって、あの有名な「正方形讃歌」のシリーズに行き着く過程は観ていてスカッとします。
それにしても「正方形讃歌」、約20年で2000点近く作られたそうなんだけど、本当によく飽きないな。。。という素朴な感想が。
実際彼の制作を追ったドキュメンタリー映像も流されてるんだけど、まず決まった構図を線でひいて、直接絵の具をパネルに載せてナイフで塗っていく作業の繰り返し。
以前からなんで微妙に線の揺れがあるのかと思ってたらこうやって塗ってたのかという発見がありました。
こういうミニマルな作品だったらシルクスクリーンとかの方が合ってるのでは、とも思っちゃうんだけど、実際最後の章で版画が展示されてて、こっちの方がしっくり来るんですよね。
そこはやっぱりペインターとしての矜持があったのかしら。
やっぱりパリの展示と比べちゃうと、アニも全く出てこないし物足りなさはあるものの、ワークショップがあることでかなりの満足度があったので、とてもいい企画だと思いました。
そんなジョセフの全貌が観られる貴重な機会なので是非。11月5日まで。こちら。
新山 清:Vintage Photographs 1948 – 1969 @ スタジオ35分
最近観た都内のギャラリー展示まとめ。
新山 清:Vintage Photographs 1948 – 1969 @ スタジオ35分 (会期終了)
新山清 写真展「松山にて」@ Alt_Medium (会期終了)
Recent Discovery CADAN × ISETAN ART GALLERY @ 伊勢丹新宿店アートギャラリー (会期終了)
森栄喜 ネズミたちの寝言 @ KEN NAKAHASHI (-9/2)
まずは新宿・中野エリア。
35分とAltで開催されてた新山清展はどっちもベラボーに良かった。
35分の方は畠山直哉氏セレクションの新山本人が焼いたヴィンテージプリントを年代関係なく17点の展示。
日本における主観主義写真の代表のような新山ですが、そのどれもが素朴に目の前のものに向き合ってきた結果なのだというのが真っ直ぐに伝わってきます。
主観主義写真というとシュールな写真という印象があるけど、それはあくまで結果なのです。
とはいえ、これ何なの!?みたいな写真も多々あってとても楽しい。
一番印象的だったのは、晩年の鏡に映った三輪車を撮った写真。
これどうやって撮ったんだろう??
この角度でカメラが映り込んでないのが不思議すぎる。
そしてよく見ると銀が浮き立ってて、ヴィンテージプリントならではの物質感もありました。
Altの方は戦後故郷の松山に帰った新山が撮った「松山時代」と呼ばれる写真群。
こちらはより素朴に故郷を切り取っていて、珍しく人物も多め。
但しそこは新山で、やっぱりどこか不思議な写真も多くて、彼の世界の発見の仕方が凄い。
いつかまとめて美術館とかでも新山清展開催して欲しいものです。
これらの写真は息子の洋一さんがしっかり保管していたお陰で今の時代も見られています。
そのあたりの詳しい話は35分のラジオで語られてるので長いですがぜひ。こちら。
伊勢丹でやってたCADANとのコラボ展は可もなく不可もなく。。。
川辺ナホ、岩名泰岳、加藤翼、髙橋銑の作品が観られたのは良かった。
そして森栄喜展。
写真でそのキャリアをスタートさせた森さんだけど、今や映像にサウンドに様々なメディアを横断しながら活動していて、年々自由を感じていい感じ。
今回も眠る人々の映像と、カラーバリエーションが瞬く映像、ラジオや口笛、シルバーのプラカードにチューリップが描かれた鏡。
一見取り留めもないんだけど、空間に居るにつれそれらがゆるく繋がっていく。
不平等を訴えるスローガンはただの寝言なのか真摯な祈りなのか。
外の緑と相まって白昼夢のような不思議な感覚に包まれる展覧会です。
最近公開された中橋さんのインタビューも必見。写真は森さん。こちら。




















ケリス・ウィン・エヴァンス 「L>espace)(…」 @ エスパス ルイ・ヴィトン東京 (-2024/1/8)
ダラ バーンバウム展 @ プラダ青山店 (-8/28)
大山エンリコイサム「Notes Rings Spirals」@ アニエスベー ギャラリー (会期終了)
続いて表参道エリア。
どれもファッションメゾンの展覧会。
ケリス・ウィン・エヴァンス、やっと空で言えるようになったw
ポーラや春の草月といい、日本に紹介される機会が多くなりましたね。
とはいえ、あまり得意な作家じゃないんだよなぁ。
とりあえず観にいくけど、毎回ふーんってなる。
それよか、久々にヴィトンからの景色が全開になってて気持ちいい空間。
プラダも同様で、ここまで外の景色開け放ってる展示初めてかも。
ダラ・バーンバウムも何となく知ってたけど、作品よくわからず。。。
どちらも建築を楽しむには良い展示です死
大山エンリコイサムの展示は何これ??って感じで肩透かし凄かった。


















山田康平 「Strikethrough」@ タカ・イシイギャラリー (会期終了)
菅 木志雄「ものでもなく場でもなく」@ 小山登美夫ギャラリー (会期終了)
片山博文 羊をつくる @ TARO NASU (会期終了)
冨井大裕 「冨井大裕・堀内正和 「拗らせるかたち」」@ Yumiko Chiba Associates (会期終了)
最後は六本木。
話題になってた山田康平の作品は噂に違わずよかった。
絵の具のレイヤーの捉え方が興味深く見入ってしまいました。
上から上から覆っていくことで、下の色彩が漏れる光のような効果になってるのがめちゃくちゃ面白いです。
これは確かに欲しくなる絵ですね。
1997年生まれとまだまだ若いのでこれからどう変化していくのも楽しみな作家さん。
対照的に超ベテランの菅さんの展示が同じビルでやってるのも面白い。
そして菅さんの作品はいつまで経っても若々しくてびっくりします。
似たようなことをやってるんだけど、全然飽きないの凄い。
今回も大空間の使い方素晴らしかった。
冨井さんキュレーションの、堀内正和との2人展も最高でした。
堀内のゴリゴリ近代彫刻と、冨井さんの人を食ったような緩い「彫刻」が並列されてるのはとても面白かった。
それにしても冨井さん、新潟と栃木の美術館で別々の個展しながら抜かりなくギャラリー展示もこなしてるの凄すぎ。
美術館、どっちか行きたかったけどどっちも遠すぎる。。。泣
片山博文展はよくわからなかったのでノーコメント。



















新山 清:Vintage Photographs 1948 – 1969 @ スタジオ35分 (会期終了)
新山清 写真展「松山にて」@ Alt_Medium (会期終了)
Recent Discovery CADAN × ISETAN ART GALLERY @ 伊勢丹新宿店アートギャラリー (会期終了)
森栄喜 ネズミたちの寝言 @ KEN NAKAHASHI (-9/2)
まずは新宿・中野エリア。
35分とAltで開催されてた新山清展はどっちもベラボーに良かった。
35分の方は畠山直哉氏セレクションの新山本人が焼いたヴィンテージプリントを年代関係なく17点の展示。
日本における主観主義写真の代表のような新山ですが、そのどれもが素朴に目の前のものに向き合ってきた結果なのだというのが真っ直ぐに伝わってきます。
主観主義写真というとシュールな写真という印象があるけど、それはあくまで結果なのです。
とはいえ、これ何なの!?みたいな写真も多々あってとても楽しい。
一番印象的だったのは、晩年の鏡に映った三輪車を撮った写真。
これどうやって撮ったんだろう??
この角度でカメラが映り込んでないのが不思議すぎる。
そしてよく見ると銀が浮き立ってて、ヴィンテージプリントならではの物質感もありました。
Altの方は戦後故郷の松山に帰った新山が撮った「松山時代」と呼ばれる写真群。
こちらはより素朴に故郷を切り取っていて、珍しく人物も多め。
但しそこは新山で、やっぱりどこか不思議な写真も多くて、彼の世界の発見の仕方が凄い。
いつかまとめて美術館とかでも新山清展開催して欲しいものです。
これらの写真は息子の洋一さんがしっかり保管していたお陰で今の時代も見られています。
そのあたりの詳しい話は35分のラジオで語られてるので長いですがぜひ。こちら。
伊勢丹でやってたCADANとのコラボ展は可もなく不可もなく。。。
川辺ナホ、岩名泰岳、加藤翼、髙橋銑の作品が観られたのは良かった。
そして森栄喜展。
写真でそのキャリアをスタートさせた森さんだけど、今や映像にサウンドに様々なメディアを横断しながら活動していて、年々自由を感じていい感じ。
今回も眠る人々の映像と、カラーバリエーションが瞬く映像、ラジオや口笛、シルバーのプラカードにチューリップが描かれた鏡。
一見取り留めもないんだけど、空間に居るにつれそれらがゆるく繋がっていく。
不平等を訴えるスローガンはただの寝言なのか真摯な祈りなのか。
外の緑と相まって白昼夢のような不思議な感覚に包まれる展覧会です。
最近公開された中橋さんのインタビューも必見。写真は森さん。こちら。




















ケリス・ウィン・エヴァンス 「L>espace)(…」 @ エスパス ルイ・ヴィトン東京 (-2024/1/8)
ダラ バーンバウム展 @ プラダ青山店 (-8/28)
大山エンリコイサム「Notes Rings Spirals」@ アニエスベー ギャラリー (会期終了)
続いて表参道エリア。
どれもファッションメゾンの展覧会。
ケリス・ウィン・エヴァンス、やっと空で言えるようになったw
ポーラや春の草月といい、日本に紹介される機会が多くなりましたね。
とはいえ、あまり得意な作家じゃないんだよなぁ。
とりあえず観にいくけど、毎回ふーんってなる。
それよか、久々にヴィトンからの景色が全開になってて気持ちいい空間。
プラダも同様で、ここまで外の景色開け放ってる展示初めてかも。
ダラ・バーンバウムも何となく知ってたけど、作品よくわからず。。。
どちらも建築を楽しむには良い展示です死
大山エンリコイサムの展示は何これ??って感じで肩透かし凄かった。


















山田康平 「Strikethrough」@ タカ・イシイギャラリー (会期終了)
菅 木志雄「ものでもなく場でもなく」@ 小山登美夫ギャラリー (会期終了)
片山博文 羊をつくる @ TARO NASU (会期終了)
冨井大裕 「冨井大裕・堀内正和 「拗らせるかたち」」@ Yumiko Chiba Associates (会期終了)
最後は六本木。
話題になってた山田康平の作品は噂に違わずよかった。
絵の具のレイヤーの捉え方が興味深く見入ってしまいました。
上から上から覆っていくことで、下の色彩が漏れる光のような効果になってるのがめちゃくちゃ面白いです。
これは確かに欲しくなる絵ですね。
1997年生まれとまだまだ若いのでこれからどう変化していくのも楽しみな作家さん。
対照的に超ベテランの菅さんの展示が同じビルでやってるのも面白い。
そして菅さんの作品はいつまで経っても若々しくてびっくりします。
似たようなことをやってるんだけど、全然飽きないの凄い。
今回も大空間の使い方素晴らしかった。
冨井さんキュレーションの、堀内正和との2人展も最高でした。
堀内のゴリゴリ近代彫刻と、冨井さんの人を食ったような緩い「彫刻」が並列されてるのはとても面白かった。
それにしても冨井さん、新潟と栃木の美術館で別々の個展しながら抜かりなくギャラリー展示もこなしてるの凄すぎ。
美術館、どっちか行きたかったけどどっちも遠すぎる。。。泣
片山博文展はよくわからなかったのでノーコメント。



















デイヴィッド・ホックニー展 @ 東京都現代美術館



今年度大目玉の展覧会と言っても過言ではないホックニー展がついに始まりました!
とはいえ都現美、遠いので夏はキツい。。。
清澄白河駅から歩くと干上がるので菊川駅からバスで行くのがおすすめです。
会期が11月までと長いので、もう少し涼しくなってからでも、と思いつつやっぱり観たいのでピーカンの中行ってきました。
クソ暑ド平日だったにも関わらず結構人がいました。
カタログも最初の3日で一旦完売したって聞くし、かなりの人気。
日本では27年ぶりとはいえこんなに人気だったとは。
まずは3階の展示室へ。
この展示室は完全に写真撮影不可です。
あと室内の温度が21度に設定されてる為に薄着だと凍えます。羽織るものがあるといいかも。
それはさておき、まず最初に、2020年にiPadで描かれた「春の到来」シリーズの1点と1969年の版画が並列で展示されています。
どちらも同じ花(ラッパスイセン)がモチーフで、実に半世紀もの年代の開きはありつつも、彼が一貫して身近な物や人に目を向けながら制作していることがわかります。
60年以上にも渡る画業の中で、様々なメディアを駆使しながらも、同じモチーフを繰り返し描くことで作品をアップデートしていく過程も見物。
初期のベーコンを思わせる油彩画から、天気を表現した版画群、そしてアメリカに移ってからの色彩豊かな油彩群。
北京で観た作品も多かったのでそこまで新鮮じゃなかったけど、初期の油彩もいくつか出てないのもあったし、プールサイドや雨を描いた版画群は何度見ても素敵。
そして、友人や家族をペアで描いた大画面の油彩はやっぱりホックニーの代名詞でいつまででも観てられる。
その後のポートレイト部屋も圧巻。
昔のもいいけど、ちゃんと近年のアクリルで描いた作品たちもいいんだよな。
しかし今回の白眉はその次の「視野の広がり」と題された部屋からだと個人的には思います。
ホックニーって色んなことやってるから、大きなテーマって見つけづらいんだけど、この展覧会で彼が絵画を通して挑んでいたのは遠近法だったのか!という大発見がありました。
確かに彼はマーティン・ゲイフォードとの共著でこれまでの絵画の在り方や仕組みを解き明かしていて、物凄く歴史に造詣の深い人だとは思ってたんだけど、それも遠近法を解きほぐす為の知識と思うと物凄く合点がいきました。
まず「The Blue Guitar」というシリーズでは、ピカソが全面に出ていて意外でした。
これには、キュビズムの再発見というテーマがあって、遠近法への挑戦が如実にで始めた作品群。
そして、写真を使ったシリーズ。
このシリーズ、個人的にホックニーのキャリアの中でも最も好きなんですよね。
これもまた、複数の視点を取り入れることで一点透視図法を果敢に崩しにいってる。
特に1983年に訪れた龍安寺の石庭を撮ったフォトコラージュは、完全に遠近法が崩れて庭が長方形で表されています。
龍安寺の石庭は、全ての石が一点から見えないように設計されてるんですが、この作品では全ての石が眺められるのも面白いですね。
その後もフォトコラージュや近年のiPadシリーズも、遠近法という観点から見るととても面白いです。
思い返せば、最初に出てたお茶のパッケージを描いた作品から既に遠近法崩してますね。
展覧会を通してこの発見はかなり嬉しかったです。
その後1階では90mにも及ぶ「ノルマンディーの12か月」等の作品が並びます。
こちらは撮影可なんだけど、なぜかスマホ等のデバイスのみ。謎すぎ。
それにしてもiPad絵画ってめっちゃ不思議。
90mっていうけど、元はデータなのでいくらでも伸縮可能なのではとか思っちゃう。
絵画っていうと、どうしても一点物の物質として捉えちゃうけど、展示されてるものはあくまで印刷されたもので、実際直接釘で打って壁にはられてるのもめっちゃ不思議だった。
展覧会終わったら廃棄されちゃうのかな???
改めて不思議な画家だなぁと思いました。
60年のキャリアを全て展示はできないとはいえ、かなり網羅されてて、散漫とも捉えられかねない展示だったけど、総じて楽しい展示でした。
しかし27年ぶりの折角の展覧会だったのに図録小さすぎ。。。
作品でかいんだから、せめてドイグの図録ぐらいの大きさにして欲しかった。
特設ショップでは色々売られてたけど、うちわが3千円もしたのが衝撃でした。
展覧会は11月5日まで。こちら。













地下でやってる「あ、共感とかじゃなくて。」という展覧会。
観終わった感想は「え、共感じゃないの?」でした。
作品を観る上で共感って大事なんだなぁと改めて思わされる展覧会でした。
有川滋男、山本麻紀子、武田力の展示は、共感から遠くてよくわからなかった。
一番共感を覚えたのはやはり渡辺篤(アイムヒア プロジェクト)。
コロナ自粛の中で同じ月を撮影したたくさんの写真たちや、引きこもりの人々の部屋の写真、美術館ではない誰かが点滅させる電灯。
物凄くリアルに人の体温が伝わってくるし、展示もうまい。
特に引きこもりの人たちの部屋の写真は、ガラスケース+カーテン越しに展示されてて、なんとなく見てはいけないものを見ちゃってる感じもあって良かった。
後輩の中島伽耶子の作品は、ちょっと色んなものを盛りすぎてコンセプトが霞んじゃってて残念。
11月5日まで。こちら。







最後はコレクション展。
1階は前回とほぼ変わってないので割愛。
3階は「水のように」と題された、横尾忠則の特集展示が新たに始まっていました。
彼と親交のあったウォーホルやジャスパー・ジョーンズ、そして上述のホックニーまで都現美のコレクションで構成されてて既に豪華。
横尾の作品も、こんなに収蔵されてるの!?ってぐらいたくさんあってびっくり。
改めて観ると、確かに水の表現が多くてなるほどと思いました。
最後の宮島達男の部屋にも展示されてて良かった。
でもまあ、正直横尾忠則はほとんど興味ないのでかなり足早に観ました。
展示室出てすぐに、サム・フランシスの展示のドキュメンタリーがあって面白かった。前回もあったのかな?
よくよく調べたらYouTubeにもアップされてるので是非。
このコレクション展も11月5日まで。こちら。
テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ / 蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる @ 国立新美術館
































現在国立新美術館では、「テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ」と「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」が同時に観られます。
とはいえ、2つ観ようと思えば4千円近くになります。。。庶民には痛い出費ですね泣
コロナ以降特に入場料が高騰していて、2千円を超えるのは普通になってきました。
図録も昔は2千円とかで買えてたのに今や3千円以上しますもんね。
とはいえARTnewsの記事によると、アメリカの各地の美術館は軒並み30ドル(4千円強)になってるらしくて、日本はまだまだなんですが。。。
いよいよ市井の人々は気軽にアートに触れられなくなっていくかもしれません。
と、初っ端から愚痴っちゃいましたが、二つとも素晴らしい展示なので多少の出費をおしてでも観に行く価値はあると思います。
まずはテート美術館展。
こういう○○美術館展にありがちな、ただ持ってきただけ感が全くないのが本展の素晴らしいところ。
一重にテーマを「光」に絞ってるのが効いてます。
冒頭から旧約聖書の創世記の「光あれ」という神の言葉からスタートしてるのが熱い。
それらの神話をテーマにした絵や、テートご自慢のターナーをこんな初っ端から惜しげもなく出してるのヤバすぎ。
特に後期のターナーの作品はほとんど抽象画。
後の印象派にも影響を与えたと言われる光の表現が素晴らし過ぎる。。。
さらになんとカプーアの作品が一緒に置かれている。。。!!!
この作品、実際テートモダンで以前観ましたが、当時は中に入れたんですよね。
中に入ると音の聞こえ方がおかしくなってすごい体験でした。。。
まさか最初の部屋からターナーとカプーアに出逢えるなんて。
あまりよく知らなかったけど、ジョゼフ・ライト・オブ・ダービーの火山の風景も印象的。
ターナーのライバルコンスタブルの版画群も見事でした。
その後ラファエル前派や印象派が登場しますが、正直パッとした作品はないです。
それよかその後のハマスホイの2点が素晴らし過ぎる。。。
小品ながら、今回の「光」というテーマにもぴったりな作品でした。
そして次の部屋がめちゃくちゃ面白かった!!!
写真撮影不可だったのが残念でしたが、その部屋ではロイヤル・アカデミーで教えていた頃のターナーの課題が展示されてて、教育者としての一面を見られてとても興味深かった。
モチーフに対しての光の当て方や奥行きの出し方等々、ターナー自ら素描していてすごい。
さらにそこからバウハウスに繋げるのもニクい。
モホイ=ナジの実験から、山脇巌、ハナヤ勘兵衛なんかも出ててびっくり。
アルバースの作品も良すぎた。
抽象への流れも完璧。
カンディンスキーにライリー、ニューマンにロスコ。そして極め付けがリヒター!!
一番アブストラクトがノリにノってた時期の作品なので、観ても観ても観尽くせない最高の作品でした。
その後は現代美術のオンパレード。
ブルース・ナウマンのインスタレーションからタレルのガチ光の作品。
オピーの平面作品も興味深かった。
そしてフレイヴィンにオラファーとまさに光の祭典。
古典から現代まで本当に圧巻の展示でした。
テート行きてぇ!!!
展覧会に合わせてウェッジウッド・カフェも展開してました。
ちょっと興味あったけど並んでたので断念。
そしてもういっちょ蔡國強展。
本展はサンローランがスポンサーについてます。
日本の展覧会は大体新聞社が協賛になってるけど、新聞社も厳しい昨今、今後美術館はスポンサー先を新たに探さないといけない時代に突入してしまいました。
そんな中大手メゾンは確かにパートナーとして最高かもしれません。
ちなみにサンローランは、9月から同館でイヴ・サンローラン展を開催します。
どうせなら同時開催にすればよかったのに。色々事情があるのでしょう。
さて、そんな本展。
展覧会の前に、福島のいわきで4万発もの花火を打ち上げました。
こちらもサンローランの提供。数千万円とも言われています。。。すごい。
展覧会でも蔡國強といわきの関係の展示がありました。
ところでこの「昼花火」と言われてるプロジェクト。
個人的には2011年にカタールで行ったやつが一番凄いと思ってます。
発表された当時に映像で見て笑いましたw
もはやテロ。。。
それはそうと展覧会。
毎度思いますが、蔡國強って空間の使い方が本当に上手。
今回も壁を一切建てずに、大空間を丸々見せきってました。
特に中央のエリアを屏風と光のインスタレーションを配することで空間を豊かに満たす手法は流石。
ただ、区切りがないので鑑賞者の集中力はどうしても切れてしまうのが難点。
初期から最新作までずらっと並んでますが、一個一個見ていくとめちゃくちゃ時間かかります。
日本にやってきて、アパートの台所で爆発させてたのマジでやべえ奴だと思いました笑
そこからここまでの大家になっていくんだからすごい話です。
そして彼の頭の中にある宇宙やら火球やら、本当に厨二病だよなと思いつつ、ここまで色んな人巻き込んじゃうんだからやっぱり凄い。
図録欲しかったけど5千円近くしたので断念。
マジでテート展もカタログやらグッズやらカフェやら寄ってたら2万円近くになるよ。。。
金はかかりますが、とにかく両展とも素晴らしいのでぜひ。
テート美術館展は10月2日まで。こちら。その後大阪に巡回。
蔡國強展は8月21日まで。こちら。巡回なしなので急いで!
光の館 by ジェームズ・タレル

念願の光の館に泊まってきました!!!
光の館とは、新潟県十日町市内にある、ジェームズ・タレルの作品で、泊まれるタレル作品というのは世界で多分ここだけ!
以前訪れた際は昼間の見学ツアーのみだったので、宿泊するのは積年の夢でした。
宿泊すると日没と夜明けのライトプログラムを楽しむことができます。
近年特にアートホテルと銘打った所が増えてるものの、どれも作品がホテルのパーツになってるだけのような印象で全く興味が湧かないけど、ここは宿泊そのものがアート体験なのでいつか絶対に泊まりたかったのです。
予約は4ヶ月前からスタート。
冬は雪で屋根の開閉がほぼできないので春から秋の土日祝日は即埋まってしまいます。
今回なぜか7月の三連休の初日の土曜日だったのに取れちゃいました。
最大16名まで泊まれて、少人数の場合は他グループと同泊になります。
宿泊料は少しややこしくて、(施設利用料30000円÷組数)+(1人あたりの利用料6000円x人数)+(寝具レンタル料500円x人数)になります。
今回僕たちは5名で参加して、同泊はもう1組のみ。さらにもう1,2組ぐらいいらっしゃるかと思ってたので意外。
というわけで1人1万円弱で泊まれました。組数が多ければ多いほど得するのかも。
この4月から仕出しがなくなったので、ご飯は自分たちで用意する必要があります。
調理器具は一通り揃ってますが調味料すらないので、できることは限られますね。。。
僕らは駅近くのリオン・ドールという大型スーパーで酒も含めて大量に買い込んで、タクシーで向かいました。
駅から光の館までは車で大体20分くらい。
光の館の周辺にはマジで何もないです。。。
チェックインは15:45-16:30。
玄関からすでに雰囲気があります。。。
周囲の環境もすごい。




屋根の開閉する12畳の広間に一旦集合。
ここで全員に説明があります。
まず、肝心のライトプログラムのお話。
この後18:44から日没のプログラムがあるのだけれど、スタッフさんは帰られるので屋根の開閉は自分たちで行うとのこと。
衝撃だったのは夜明けのプログラム。
なんと開始時刻が3:31。。。。!!!!
これには一同絶句。。。
早いとは思っていたけどまさかの3時台とは。。。泣
季節によって時刻は変化するので、夏至とかだったらもっと早かったのかな。。。





その後施設の案内。
12畳の広間の他に2つ部屋があり、どちらに泊まるかはグループ同士で話し合い。
同泊のお二人は大阪からの中年カップルで、そこまで歳も離れてなくてとても良い方々で一安心。
話し合いの結果、広間はフリースペースにして、2階の部屋がカップルさん、1階の部屋が僕らの寝床になりました。
全体が「陰翳礼讃」をテーマになっていて、どこもかしこも間接照明。
この光の感覚が見事にタレルの作品と合っていて、日本家屋とタレルがここまで調和するのは驚き。
細部もめちゃくちゃ凝ってます。











風呂もすごいことになってるのですが、これは泊まってみないとわからない。
水面が揺れて緑の水平線が揺れるのが美しかった。
これも入る順番等話し合い。





スタッフさんも帰られ、そうこうしているうちにライトプログラムの始まる18:44に。
以前直島の地中美術館でも体験したけど、ここではなんといっても畳の上で寝転びながら見れるので超贅沢。
写真や映像では全く映らないけど、目は補色をとらえてしまうので、例えば壁が青く照らされると空が黄色がかったり、緑に照らされると赤くなったりと、脳って不思議。。。
1時間半のプログラムで、最後は真っ黒な空がのっぺりと四角く切り取られたみたいになって不気味でした。
それにしても雨じゃなくてよかった。
4ヶ月前に予約とるから天候が読めないし、雨だったら開けられないので。
そして問題は夜明けのプログラム。。。
3時半に目覚ましして、皆布団背負いながら這うようにして広間へ。
好きで来てるのに、まるで拷問笑
「なんでこんな目に。。。」とか言いながら鑑賞w
途中隣の友人がうつ伏せになってて笑った。
それにしても寝起きにあのドギツイ光はキツかった。。。
写真いっぱい撮ったけどあんまり意味ないので友達が撮ったタイムラプスの映像貼っておきます。




そんなこんなで光の館体験終了!!!
朝焼け見てチェックアウトまで無理矢理寝て、次の日運転は超絶キツかったけど、積年の夢が果たせて最高でした。
こんなハードな旅に付き合ってくれてみんなありがとう!

2023年の越後妻有

2009年以来実に14年ぶりに越後妻有に行ってきました!!!
↓↓↓2009年の記事↓↓↓
越後妻有トリエンナーレ2009 1日目(十日町・松代エリア)
越後妻有トリエンナーレ2009 2日目(十日町・中里・津南・松之山エリア)
越後妻有トリエンナーレ2009 3日目(十日町・川西エリア)
最大のお目当ては次の投稿においておくとして、今回はこの14年で増えた作品を中心に回りました。
上の写真は牛島達治の「観測所」に登る夏休み感全開の筆者。
十日町に着いてすぐ向かったのはキナーレ。
原広司+アトリエ・ファイ建築研究所設計のこの建物自体は前も来たんですが、2021年から「越後妻有里山現代美術館 MonET」としてリニューアルしたのです。
行った時はカタルシスの岸辺が企画展してたけどよくわからなかった。
中に入るとゲルダ・シュタイナー&ヨルク・レンツリンガーの作品が浮いてて、入館料払って中に入ると目[me]や名和晃平、森山大道、イリヤ&エミリア・カバコフ、カールステン・ニコライらの作品があります。
昨年修学旅行世たちが破壊して話題になってクワクボリョウタの「LOST #6」もありました。
どうせならそれを受けて作られた「エントロピア」が観たかったな。
まあ、全体的にどれも観た事あったりで感動もそこそこ。
屋外プール(?)の床絵はレアンドロ・エルリッヒ。ふーん。
最後ショップから出てきたら大学の同級生がいてめちゃびっくりしましたw
アート村狭すぎwwww






















続いて最近亡くなった2人の巨匠の新作。
まずは2021年に亡くなったボルタンスキーの「最後の教室」へ。
前も観たんだけど、2018年に「影の劇場 〜愉快なゆうれい達〜」が追加されてました。
そして今年の5月に亡くなったイリヤ・カバコフの2021年末に完成した「手をたずさえる塔」。
コロナ禍の中、「人々のつながりを表すモニュメント、人々がお互いの違い、彼らの問題、関心については平和的に話し合うのを促すためのモニュメント」というコンセプトで出来上がった塔。
この完成の数ヶ月後にカバコフの故郷であるウクライナがまさか戦争に見舞われるとは思いもよらなかったでしょうね。。。
中には絵本作家らしい可愛い絵と、世界中で実施されてきたプロジェクト「手をたずさえる船」のミニチュアが展示されてました。
夜になったらライトアップもされるそう。
まつだい能舞台ではカバコフの展示がやってたけど気力なくて見れず。
東弘一郎の「廻転する不在」だけ乗りました。
詳しくは下の記事にて。
カバコフの夢は越後妻有でひらく
《手をたずさえる塔》完成 ――《カバコフの夢》が完結する










最後は2018年に発表されて以来すっかり「映えスポット」となった清津峡トンネルを利用したMADアーキテクツの「Tunnel of Light」。
やはりどこの施設よりも人気で人々で溢れかえってました。
休日は予約者しか入れないっぽいので必ず予約しましょう。こちら。
この日はめちゃくちゃ暑かったんですが、トンネルの中は涼しくて快適。
トンネルは怪しいライトで照らされてて、いくつかの見晴所があるんだけど、有名な「映えスポット」は最後の見晴所。
水面にトンネルから見える絶景が反射して、壁もステンレスで覆われてるので光が綺麗。
とはいえ、実際行くとこんなもんか。。。ってなります。
映えるものほどそんなもんなんですよね。。。
でもまあ、撮るとやっぱり最高に映えちゃう笑
この時には皆疲れ果てて、入口の小屋もスルーしちゃった。。。













というわけで次回はジェームズ・タレルの「光の館」!!
劇団チョコレートケーキ「ブラウン管より愛をこめて -宇宙人と異邦人-」 @ シアタートラム
劇チョコの新作を観に三茶へ。
昨年過去作5本+新作1本という偉業を成した彼らが新たに挑むのはなんと90年代の特撮!!
90年代の特撮!?
と、最初知った時は戸惑いしかなかった。。。
これまで近代戦争を描いてきた劇チョコが急にどうした??
でもまあ劇チョコなのできっと間違いないだろうとソワソワしながら観劇。
正直これまでの劇チョコの方が良かった感は拭えないものの、それでもやっぱり劇チョコらしさはあって、観に行って損はなかったです。
元々脚本の古川さんが特撮が好きで、以前から特撮モノはやりたかったそうです。
とはいえそこは劇チョコ。
特撮を描きながらもそこにはしっかりと差別問題を含んでいるのがらしすぎました。
「知らない間に誰もが差別をしている」というのは、映画「怪物」でも描かれたテーマでした。
この話には元ネタがあって、なんとなく知ってはいたんだけど、改めて調べてみると、2020年に亡くなった脚本家の上原正三さんが書いて、当時賛否を巻き起こした「帰ってきたウルトラマン」第33話「怪獣使いと少年」。
宇宙人を扱いながら、そこには在日や同和地区、沖縄やアイヌなど、様々な差別の隠喩が含まれていて、TBSの上層部から痛烈な酷評を受け、監督の東條昭平は助監督に降格、脚本を担当していた上原正三も最終回まで仕事を干される羽目になったとのこと。詳しくはこちら。
まあ、話としては特に新鮮さはないんだけど、やっぱり演者がいつもながら素晴らしい。
今回西尾さんが同時期に別の舞台に出てるのもあったのかこっちに出てないのが残念だったけど、多分西尾さんが出てたらやってたであろう脚本家の役を務めていた伊藤白馬さんがこれまたとても良かった。
客演の橋本マナミも久々に見たけど本当に綺麗。
浅井さんがいつもと全く違った役で面白かったw
岡本さんをはじめ、いつもの俳優陣は相変わらず素晴らしい。
大人たちのゴタゴタと劇中劇のように特撮がシームレスに繰り広げられる演出も良かった。
これを経てまた来年はどんなものを見せてくるのか、また楽しみです。
今観てるテレ朝のドラマ「ハヤブサ消防団」にも岡本さんが出てるのでそっちも目が離せませんw
ちょうど今日から9/17までの期間限定で「ブラウン管から愛をこめて」の映像版が配信スタートしたみたいなので興味がある方はぜひ購入して見てみてください。こちら。
<関連記事>
劇団チョコレートケーキ「ガマ」/「追憶のアリラン」@ シアターイースト/ウエスト
劇団チョコレートケーキ「一九一一年」@ シアタートラム
劇団チョコレートケーキ「帰還不能点」@ 東京芸術劇場 シアターイースト
劇団チョコレートケーキ「無畏」 @ 下北沢・駅前劇場
劇団チョコレートケーキ「治天ノ君」 @ 東京芸術劇場 シアターイースト
劇団チョコレートケーキ「遺産」@ すみだパークスタジオ倉

最近観た映画3本。
まずは「わたしたちの国立西洋美術館」。
昨年リニューアルした西美の、それまでの軌跡を追うドキュメンタリー。
もうめちゃくちゃ地味すぎて逆に面白かったw
映画の中で、これまでの展覧会について振り返るシーンがあるのですが、中でもやはり2004年のマティスは館が世界にも誇れる展覧会をということで作り上げた渾身の展覧会で、僕はこの展覧会ですっかりマティスにやられました。
昨年のリニューアル一発目の「自然と人のダイアローグ」も素晴らしくて、実際昨年の個人的ベスト1な展覧会でした。
そんな展覧会が作り上げられていく過程が見られたのは最高でした。
この展覧会は、ドイツのエッセンにあるフォルクヴァング美術館のコレクションと西洋美術館のコレクションとのコラボだったんですが、リニューアル中にフォルクヴァングに西美の作品を貸し出していたんですね。
それにしても作品一つ一つチェックしながらのリニューアルは想像を絶する作業ですね。。。
よくぞたった1年半で再開館まで辿り着けたもんです。。。
この映画で終始語られるのは、とにかく日本の美術館の予算のなさ。
先日の科博のクラファン見ても分かる通り、国からの予算は全然足りてません。
インバウンドとかいうならちゃんと予算つけろやと心から思います。万博も要らない。
映画中の関係者のインタビューの中で、どうして西美で働いているのか?って質問に「購入予算があるから」ってのは日本の美術館の現実を表していました。
そう、ほとんどの美術館が既に作品の購入予算はありません。
その点西美は国立なので、他と比べれば予算がある方ではあるんですが。。。
毎年緻密な会議で購入が決められるわけですが、ここ数年はとりわけコロナの影響で実物を見られないまま決めていくのはかなりシビアだったと思います。
ここまで日本の美術館の内情をカメラが捉えたのは中々ないので、とてもレアなドキュメンタリーでした。
続いて「658km、陽子の旅」。
正直作品としてはそこまで評価はできないものの、やはり菊地凛子が凄すぎる。
最初完全にコミュ障な見ていて痛々しさすらある演技から、段々と感情的になっていく過程が見事。
ただ、ちょっと彼女の演技に頼りすぎ感があって、話のアラがちらほら見受けられました。
(なんでそんなとこで降ろすねんとか。。。)
とにかく菊地凛子の演技を堪能するにはいいと思います。
最後宮崎駿の「君たちはどう生きるか」。
「風立ちぬ」で絶望したので、全くもって観に行く予定なかったのに、友人に「駿版寺山修司」って言われて気になりすぎて行ってしまいました。。。
ゴダールのような超前衛映画を勝手に想像してたんですが、普通にジブリジブリしてて拍子抜け。
とはいえ、これまでの王道に戻った感があって、「風立ちぬ」が最後にならなくてよかったと心から思いました。
観終わった後は、これまでお世話になりました!!という気持ちに充たされたりして。
かなり賛否分かれてるけど、僕は観てよかったと思えましたね。
「意味がわからない」っていう感想を所々で見るんだけど、そもそもジブリで意味わかる映画なんてあったっけ?
あえて言うならエンディングは中島みゆき様にお願いしたかったなぁ。
米津さんもいいけどちょっと軽いんだよなぁ。
実際みゆき様はこの秋公開のMAPPAが手掛ける初のオリジナル映画「アリスとテレスのまぼろし工場」で初のアニメ主題歌を手掛けられてるのです。予告で聞いただけで鳥肌。こちら。
流石にこれが最後だと思うけど、まだあるのかな。。。これで有終の美で僕はいいと思うよ。。。
以上!