横村葵「my paintings for my room #1」

本日よりうちの常連様で画家の横村葵さんの個展が始まりました。
会場はなんと彼女の自宅!
思い返せばうちが開店してすぐにインスタ経由で来てくれて、その直後に初個展があるというのでお邪魔させてもらった時に、「自室に飾る絵が欲しいと思って描き始めた」と言ってて「そんなことある?」って返した記憶があります笑
当初は一年に一作程度のペースで描いていたのが、その個展を機にあれよあれよと展示が決まっていって、この4年間の彼女の活躍は目覚ましいものがありました。
そんな彼女の原点とも言える自室での展示。
今回10数年住んできたその部屋から引っ越すということで、そのタイミングで叶ったわけです。
幸運にも僕はその活躍を側でほぼ見ていたので今回の展示は感慨深いものがありました。
というわけで個人的にも思い入れがたっぷりあるので見逃すわけにはいかない展示。
初日に予約して行ってまいりました。
彼女の家はプライベートで宅飲み等でお邪魔してたんですが、昼間の彼女が暮らしてる状態でお邪魔するのは初めてで、実際北側の柔らかい陽光が射し込む部屋はほの明るくてとても居心地が良すぎました。
彼女が自分の部屋が大好きというのはとてもわかるお部屋。
そしてその部屋のために描かれた絵たちが並ぶ様は最高に気持ちいいのです。
横村さん自ら説明をして頂き、その後横村さんは退室。
彼女の部屋で一人きりで作品と部屋と向き合います。
中々他人の部屋で1人になるというのはないのでとても新鮮でした。
しばらくぼーっと眺めた後、自由に作品を観て、勝手に展示替えしたりw
初個展の時から思ってたけど、彼女の絵って描かれたというより「そういう物質」という感じがするんですよね。
うまく言えないんですけど、自然生成で出来上がったような不思議な魅力があります。鉱物とかに近い感覚。
どの絵も何かの断面のように見えて面白い。
特に初個展に出てた作品も多いので感慨もひとしお。
ベッドにもたれかかりながらなんでもない時間を過ごす至高の時間。
他人の部屋なのにとても落ち着く不思議な時間でした。












またとない貴重な機会ですので是非足を運んでみて下さい。
完全予約制となってます。
以下転載。
現在住んでいる部屋から引越すことを決めまして、12年ちょい住んでいたワンルームにて記念に絵の展示を行うことにいたしました。
自分が絵を描き始めたきっかけは、自室に飾るための絵を自分で描いたのがきっかけです。
そのため、絵が存在している場所としては部屋が一番正しい、いつか引っ越すときに部屋で展示をやってから退去したいなと思っていました。
これまでに遊びに来たことがある方もない方も、大好きな私の部屋と絵、ぜひ体験しにきてください。
今回、家財などはほぼ住んでいる状態。ご来場はご予約の上、鑑賞時間は私なし過ごしててもらいたいと思っています。
特殊な展示ではありますが、ぜひご検討をお願いします。
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『my paintings for my room #1』
日時:6/24土,25日,30金,7/1土,2日(予約制)
時間:12:00〜18:00(17:00予約枠最終)
場所:東京都新宿区
・新宿駅から2駅 最寄り出口より徒歩5分
・お車30分程度のマンション前駐車可能
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*ご鑑賞のながれ*
マンションご到着
↓
お部屋へご案内
↓
ご鑑賞開始 10~15分目安
横村退出(ドア前か近くに待機)
↓
終了ご案内・ご退室
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*ご予約・注意事項につきまして*
・期日内の毎時00分~でご希望のお時間・お電話番号・お名前を記載の上、メール(aoiyokomura@gmail.com)またはDMにて直接ご連絡ください。
予約が埋まってきましたらカレンダーなどで状況を提示していきます。
・1名様もしくは3名様までのグループ単位でお申込みください。
・直接お会いしたことのない方、あまりお話したことのない方のご来場可能です。ご連絡時に一言自己紹介を添えていただけると助かります。
・差し入れは基本ご不要です。お茶はこちらでお出しする予定です。
東急歌舞伎町タワー

4月に開業した歌舞伎町タワーにようやく行ってまいりました。
正直あの辺りはあまり行きたくないのだけど、演劇観るという名目で見学。
というわけで潜入レポートです。
まず噴水のようなファサードは永山祐子によるもの。
こういう高層建築って難しいんだけど、うまく行ってる方だと思います(上から)
東横キッズがたまってる東横広場から。



建物内にはアート作品が散りばめられてます。
1階のホテル入口には篠原有司男と森山大道、2階にはChim↑Pom。





2階は全国津々浦々のご当地グルメが食べられるフードコートで3階はゲーセン。カオス。
2階には有名になった例のトイレもあります。。。



4,5階は飛ばして6階のTHEATER MILANO-Zaへ。
ここにはSIDE COREによる床と、壁には彼らがキュレーションした鹿児島のしょうぶ学園の作家23名による作品たち。
上から覗いてたネズミチェックするの忘れてた。。。







この日鑑賞したのは「パラサイト」。
こういう芸能人が出る系の演劇はあまり観ないのですが、宮沢氷魚に伊藤沙莉、古田新太、江口のりこ、キムラ緑子と好きな俳優揃いだったのでどうしても観たくて、前売券は完敗したものの当日券に賭けてなんとか制しました。
皆さんさすがの演技過ぎて素晴らしかった。
舞台が90年代の関西なのがなんでかな?と思ったら原作にはなかった「あの出来事」をうまく取り入れてました。
現在休演中になっちゃってますが1日でも早い復活をお祈りしております。
最後は17階のJAM17でコーヒーとジェラート。
ここのバーには西野達の作品があります。
全て新宿で使われてきたもので構成されてます。
それにしても新宿って上から眺めても綺麗じゃないな。。。
特に真隣にある某電鉄系ホテルまじで汚すぎ。。。







上のホテルや地下のクラブにも作品があるそうですが、多分そっちは縁ないと思うので割愛。
歌舞伎町タワーからは以上です!
さばかれえぬ私へ @ 東京都現代美術館

















狂乱だったディオール展の終わった都現美へ。
ホックニーやるまで来ないつもりだったんだけど、会期終了ギリギリになってやっぱり「さばかれえぬ私」が気になって行ってきました。
この展覧会はTOKASが2018年よりスタートさせた中堅アーティストを対象とした現代美術の賞「Tokyo Contemporary Art Award(TCAA)」の受賞記念展。
今年は志賀理江子と竹内公太が選ばれました。
以前も下道基之、風間サチコ、藤井光、山城知佳子とどうやら社会派の作家が受賞する傾向にあるようです。
今回もまあ重い!笑
本展でも志賀さんは東日本大震災、竹内さんは第二次世界大戦を扱ってます。
冒頭の志賀さんの大作映像「風の吹くとき」から怖い。
映像なのに全くもって志賀さんの写真のトーンになっててほぼホラー映像。
それが超ロングスクリーンで映し出されるもんだから没入感も相まって凄すぎる。
土囊袋のようなソファーに座って鑑賞。目が離せない。。。
その後の「あの夜のつながるところ」インスタレーションも凄い。
写真で空間全体を覆っていて、良く見たら血管のようなエナメルで地図のような線がその上に描かれてる。
さらに土囊袋が上がったり下がったりする謎の装置も。。。
志賀さん、もはや写真家というより違う次元にいっちゃってますね。
竹内さんも全く負けてなくて、今回は第二次世界大戦中に日本軍がアメリカに向かって放った970発もの「風船爆弾」がテーマ。
実際に風船爆弾が降り立った地面をコラージュした巨大バルーンが会場でしぼんだり膨らんだりしています。
そんなものがあったのも知らなかったけど、さらにそのバルーンが当時原爆を作っていたアメリカの地に降り立ち停電させてしまったそうで、その報復なのか、その風船爆弾を放ったとされる福島県いわき市の学校にアメリカ軍が「模擬原爆」を落として教師12名が死亡したという話があって衝撃でした。
広島長崎の前に実は「模擬原爆」なるものが存在していたなんて。。。
凄まじいリサーチによる作品群。圧巻です。
「指差し作業員」の時は話題作りの人かと思ったけど、ここまでの作家になるなんて。
ギリギリ観に行けてよかったです。会期終了済。
そしてコレクション展も素晴らしかった。
「皮膜虚実」と題して、今回は前回とガラッと変わって見ごたえ抜群でした。
コレクション展の目玉は何と言ってもタイトルにもなった冒頭の三上晴子。
新収蔵で初披露となった作品群は三上晴子の生存への危機意識が伺えてとても興味深かった。
さらに石原友明、ホンマタカシ、村瀬恭子、加藤美佳、伊庭靖子、名和晃平、千葉正也、百瀬文、潘逸舟といった80年代からここ最近の作家まで網羅してて素晴らしかった。
潘逸舟の「戻る場所」、とても好きな作品なので収蔵されてて嬉しい。
2階では何と言ってもサム・フランシス!!!!
生誕100周年を記念しての展示らしい。めちゃくちゃ豪華。。。
さらに松本陽子の作品も沢山観られてお腹いっぱい。。。
遠藤利克との組み合わせは良くわからなかったけど。
ホックニーの時は一部展示替えがあるらしいのでまた観よう。
企画展1本とコレクション展で充分過ぎる都現美やっぱり凄い!






















三上晴子「Eye-Tracking Informatics」特別展示 / 田原桂一展「存在」@ √K Contemporary (-7/15, 7/25-29 要予約)











上述の現美コレクションの目玉になっていた三上晴子のインタラクティブ作品が体験できるというので神楽坂の√Kへ。
前回行った時は調整中でしたが現在予約制で体験可能です。(鑑賞料800円)
この作品は三上が1996年に初発表した作品で、彼女の死後、2011年に山口のYCAMが再制作したもの。
メディアアートを作家の死後さらに発展させるという取り組みを、以前美術手帖で読んで興味深いな、と思ってたので、今回の機会は是非体験したかったのです。
受付して、暗い部屋の中に通され、椅子に座り、メガネのような装置をつけ、「視ることそのものを視る」というコンセプトを聞かされて始まった時にはどういうことなのか良くわからず戸惑いましたが、どうやら視線で目の前の映像を操作できることがわかりました。
以前テレビで、手足が動かせない人がパソコンの画面を目線で動かしているのを観たことがありましたが、その技術を応用しているのだと思いますが、実際体験してみるとめちゃくちゃ新鮮。
自分の視線そのものが視覚化されるというのが、なんとなく恥ずかしく感じるんですよね。
「視ることそのものを視る」ってそういうことか!となりました。
それにしても都現美で観た作品群とは一線を画していて、改めて不思議な作家だな、と思いました。
体験自体は10分もないですが、とても面白かったです。
同時開催の田原桂一展は、地下と上の展示逆だったのでは、、、と思ってしまいました。
田中泯の作品はちょうどパリの地下空間で撮った写真もあるし、逆に地下空間のポートレート作品は、インスタレーションとしてはかっこいいけど一枚一枚しっかり観れた方がよかったのでは。
ややモヤモヤの残る展示でした。
清水裕貴 「海は地下室に眠る」@ museum shop T

最近都内で観た写真・映像の展示まとめ。
清水裕貴 「海は地下室に眠る」@ museum shop T (会期終了)












清水さんの展示で国立へ。
このmuseum shop Tは千葉市美にも入ってるアートショップです。
奥にはギャラリースペースもあって、今年出版した小説「海は地下室に眠る」に至るまでを物語を編むような展示。
ここ数年の清水さんの活動歴でもあり、大変に興味深い展示でした。
事の起こりは2017年に稲毛にある旧・神谷伝兵衛邸を訪れたところからスタート。
そこから2021年には実際伝兵衛邸で展示があって、同年のCHIBA FOTOでは千葉市美術館近辺のかつて蓮池と言われた地域をテーマにした「コールドスリープ」を発表。
さらに翌2022年のPGIの個展「微睡み硝子」でも伝兵衛邸の窓がテーマになってたり、ほぼ同時に開催されてた千葉市美の「とある美術館の夏休み」では、なんと「海は地下室に眠る」の中で書き始めていた内容とほぼ合致するコレクションとのコラボレーションという奇跡があったり。
ちょうど僕が清水さんの作品を追いかけ始めた時期とも重なるので、色んな思い出と共に観られてとても楽しかった。
また、当時の作品がそのまま出てたりするので所変われば見え方も変わるのが面白かったですね。
特にCHIBA FOTOのエレベーターで展示してたシリーズはこういう写真だったのか!という驚きも。
中々過去のリバイバルみたいな展示って意外にないですよね。
その中でも伝兵衛邸の窓の写真が物凄く良かったのでついに購入してしまいました。
お店のトイレのドアを作品に合わせて塗り替えて展示しております。
まるでそこに窓が現れて風が通るような作品です。
お店きたらぜひ見てみてくださいませ。
北井 一夫 ドイツ表現派紀行 @ ZEIT-FOTO kunitachi (-6/24)
















清水さんの展示中、国立ではKunitachi Art Centerというイベントが開催されてて、19箇所も参加されてました。
国立にこんなに展示スペースがあったとは。。。
時間もないので気になってたZEIT-FOTOだけ。
ここは元々日本橋にあった、石原悦郎が興した写真ギャラリー。
「写真をアートにした男」という本も出てる通り、オリジナルプリントを積極的に販売した日本で最初の写真ギャラリーと言われています。
それまでは写真集が写真家の作品だと言われていたので大革命だったわけです。
その石原さんも2016年に亡くなられて、日本橋のギャラリーは閉廊。
その後石原さんの自邸がそのままギャラリーになって今に至るわけですが、この自邸が凄すぎた。
背景が凄すぎて写真が全然入ってこないw
とはいえやってる展示は第一回木村伊兵衛賞も受賞した北井一夫と大御所なので集中して鑑賞。
北井さんといえば、学生運動や三里塚闘争といったイメージがあったけど、今回は1979年から1980年にかけて二度、合わせて4ヶ月間の撮影紀行で撮影されたドイツ表現主義建築を写した作品の中から厳選した約60点が展示されてました。
このシリーズは石原さんが撮ってみたらと勧めたらしいんですが、当時全くと言っていいほど人気なかったんだとか。。。
確かに北井さんのイメージからはかけ離れてるもんね。
とはいえエーリヒ・メンデルゾーンのアインシュタイン・タワーなど、その時代を代表する建築が沢山写されていて建築好きは楽しめる内容でした。
江崎 愛 “The worst day” @ Utrecht (会期終了)





清水さんのお友達でうちのお客さんでもある江崎さんの展示。
「最悪の日」の自分を写した写真群。怖いw
昨今の「映え」とは真逆のいわば「萎え」な写真達。
これを見せられる度胸が凄い。。。
都美セレクション グループ展 2023 @ 東京都美術館 ギャラリーA・B・C (-7/2)

















2012年から毎年やってる公募展。全然知らなかった。。。
今年は友人の堀井ヒロツグが出すというので観に行ってきました。
3組あって今年は糸会、浮遊する作家たち、自己と他舎が選出。
糸会では伊勢周平と中嶋典宏、浮遊する作家たちでは村上亘の写真が気になりました。
お目当の自己と他舎の展示では、前回のKG+のようなコラボレーションはなくて、個人個人がしっかりとインスタレーションしてました。
チン ユウジュウの映像「軍歌と恋歌」はとてもいい作品でしたね。
しかし何といっても堀井くんの作品本当に素晴らしかった。
KG+でも観た作品がいくつかあったけど、今回初見だった「水の中で目を瞑って手を繋ぐ」と「ミッドナイト・コール(#20230502)」は本当に感動した。
前者はアンティークな漆器に入ってて、本当に美しかったし、何と言っても後者の作品は、忘れかけてた「人恋しさ」という感情が揺さぶられて会場で泣きそうになった。
思えば彼と出会ったのは2014年の銀座での彼の個展で、その頃から考えたら、ここまで濃度の濃い作品を作り上げるようになったのかと思うと本当に感慨深いものがあります。
彼のキャラクターも相まって、彼の写真に籠っている「親密さ」は、どうしようもなく心をかき乱されます。
これからも本当に楽しみ。
25日には鷹野隆大氏をゲストに招いてのトークイベントもあるそうです。ぜひ!
さらに都美ではZEN展の中で、友人の榮一也くんのパフォーマンスも見れました。
おかわりマティスしようかとも思ったけど人が多過ぎたので断念。



若林奮 森のはずれ @ 武蔵野美術大学 美術館

最近都内で観たアートの展示まとめ。
若林奮 森のはずれ @ 武蔵野美術大学 美術館 (-8/13)
ムサビへ。2021年のオムニスカルプチャーズで行ったところなので今回はそんなに遠く感じなかった。
食堂でMAUランチなる440円の激安定食を食して美術館へ。
今回の目的は6月1日からスタートした若林奮展。
3月の戸谷展の記事にも書いたけど、60年、70年代の「○○派」や「〇〇イズム」に回収されなかった作家が好きで、その辺の作家の展示は結構見てるんだけど、若林さんだけは謎だらけの作家でした。
これまでも作品はいくつか観てるんだけど一体何をやってるんだろう?と毎回疑問だらけ。
今回まとめて観られる機会ということで少し足を伸ばして行ってきました。
で、まあ、展覧会のステートメントやコンセプトを読んだんだけど、相変わらず?の連続。
ただ、物としてめちゃくちゃかっこいいんですよね。
芯の部分は未だにわからないものの、その一端は掴めたような気になれたのでやっぱり行ってよかった。
1970年代末の「振動尺」から1990年代の「Daisy」に至るまでの過程が戸谷さんのそれに酷似してて興味深かった。
最初は地べたを這うように水平だったものがどんどん屹立していく過程。
また、「見える/見えない」の間を楽しんでるような有り様も面白かった。
特に「Daisy」はその頂部が見えそうで見えない絶妙な高さで、赤と白と黄の鮮やかな色彩と突起が見えて、彫刻の見え方が360度だけでなく上下でも変わるのが凄い。
そして今回タイトルになってる「所有・雰囲気・振動ー森のはずれ」は、中と外というのもあるし、パーツが異常に多くて見ても見ても見切れない感覚がありました。
この「見切れなさ」は全作品に共通していて、彫刻の醍醐味をこれでもかと味あわせてくれます。
残念ながらドローイングの展示室はメンテ中で観られませんでしたが大満足。
あまりこうまとめて観る機会もないのでやや遠いですが行くべき展示だと思います。
また、同時開催の「絵画のABCD(アベセデール)」も見応えありまくり。
ABCDとテーマ順に並んでて、表示案内とか冊子のデザインも素晴らしい。
山口長男の作品が印象に残りました。こちらは7月2日まで。こちら。

















袴田京太朗、保井智貴、関根直子、大西伸明「みまちがう水」@ MA2 Gallery (会期終了)
上述の若林展を監修されてる袴田京太朗さんが参加されてるグループ展。
作家4名がグループラインを通じてタイトルから構成まで考えられたそう。こちら。
各々の作品はどれも流石なんだけど、イマイチこの4人である必然性は見えなくて残念。
大西さんの椅子が異常すぎてやっぱり好き。












鴻池朋子のストラクチャー @ GALLERY MoMo Projects (-6/24)
昨年末に静岡県美で観た「見る誕生」が最高過ぎたので、その背景であるドローイングとかが観られて再び感動が蘇りました。
高松編の冊子も買ってしまった。このままでは来年の青森も行ってしまうかも。。。











土屋 信子「Stay as a wave」@ SCAI PIRAMIDE (-7/8)
相変わらずわけわからなくて好き。モフモフ多め。













「Sculpting the Space」@ TARO NASU (会期終了)
テキストだけの展覧会でめちゃくちゃ格好良かった。。。






海老原靖「Hands」@ KEN NAKAHASHI (-7/15)
最後は新宿に戻って海老原さんの展示。
今年に入って精力的にTOKASのグループ展といい、WADAの個展といい、精力的に発表し続けてます。
どれだけ筆が早いんだ、というよりどれだけの時間絵画と向き合ってるんだろうと思うと震えます。
今回も新作で、TOKASに出していた映像シリーズがさらに発展されてて凄い。
パッと見たとき色鉛筆かな、と思うようなストロークで、こんなデッサンみたいなストロークの油彩始めて観ました。
そして、この作品群は、生前から深い付き合いだった同ギャラリーの作家、佐藤雅春さんの「Supporter」という、海老原さんの手をモデルに描かれた作品が起点となってて、その作品も展示されてて泣きそうになりました。
個展ではあるんだけど、温かい他者の存在も感じる、このギャラリーならではの展示に感動。
凄まじいスピードで発展していく海老原さんの作品に今後も目が離せません。



ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会 @ 森美術館


















森美術館の開館20周年記念展。
あれからもう20年も経つのか。。。
それはともかく、この展覧会の内容聞いた時、正直ダセェ!!と思ったのですが、蓋を開けてみたらめちゃくちゃ良い展示でした。
ほとんど期待もしてなかったのも良かったのかも。
確かに現代アートってあらゆる学問に通じてて、僕も現代アートを通じて学んだことって多くあります。
初っ端の「国語」からコスース出てきてなるほど、ってなりました。
そこからの米田知子の流れも最高だったし、ミヤギフトシも相変わらず素晴らしい。
と、ここでキャプションを見てみると「所蔵:森美術館」という文字が並びます。
どうやら出品作の半分以上が森美術館所蔵作品らしい。
森美って企画展ばかりやってるからあまりイメージないけど、実はコレクションも充実しているんですよね。
前々記事や前記事でもコレクションの重要性を言ってるけど、この展覧会がまさにそう。
今や東京を、日本を代表する美術館となった森美術館だけに、そのコレクションも凄まじいです。
話は戻って展覧会。続いては「社会」。
現代アートには社会問題を扱ったものが多くあるので、このセクションはまさにって感じですね。
早速ボイスの黒板が出てきて、アイ・ウェイウェイが続いてニヤニヤしちゃいました。
中でもハラーイル・サルキシアンの処刑広場の現在を写した写真は印象的。
そこからの畠山直哉の陸前高田を写した写真群が並んだ回廊は泣きそうになりました。
藤井光や青山悟、風間サチコ、田村友一郎ら日本人作家らの作品もまさに「社会」。
続いて「哲学」。
宮島達男や李禹煥らはなるほどって感じだったけど、最もハマってたのがアラヤー・ラートチャムルンスック。
「授業 (The Class)」という作品でまさに今回の展覧会そのものだし、本当の死体に死について講義してる映像は昔堂島ビエンナーレ2013で見て衝撃だったのを思い出しました。
続く「数学」は意外に弱くて杉本博司で持っていった感はありましたね。
「科学」ももっとバイオ系の作家とか出せば良かったのにと思いましたが、何と言っても宮永愛子が最高でした。
アクリルケースに入った靴を象ったナフタリンが光に包まれてる様は相変わらず美しく、配線コードまで作品に取り込んでるのが素晴らしかった。
最後「音楽」と「体育」は全部映像で、流石に全ては見れないんだけど、一部は帰ってからもネット上で見られる仕組み作ってくれたのが最高だった。
映像系の展示は全部こうしてほしい。。。
あと「総合」っていう無理矢理なカテゴリーがあったけど、高山明率いるPortBの活動が包括的に紹介されてるのが良かった。
課外授業みたいなノリで、「完全避難マニュアル」(2010)や、新・東京修学旅行プロジェクト(2018)の中国残留邦人編にクルド編の旅程があったり、東京という街を別の視点から見られるプロジェクトがたくさん紹介されてました。
こんな感じで、観終わった後少し賢くなった気になれます笑
ちょうど夏休みもまたぐのでお子さんいる家庭は是非家族で行くべきだと思います。
この展覧会は9月24日まで。こちら。
ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ @ アーティゾン美術館 (-8/20)

































こっちはむしろ期待し過ぎてやや肩透かしだった展覧会。
や、もちろん凄いは凄いんですよ。
こちらも半分以上がコレクションで、しかもそのうち95点が新収蔵品。
3フロア丸々使ってて、館の本気がハンパないです。
導入のセザンヌも効いてるし素晴らしいんだけど、如何せん抽象画がこれだけ並ぶと流石に緩慢というか。。。
展覧会内でも紹介されてる通り、抽象画といっても色んな運動があったわけだけど、とはいえ抽象は抽象。
新収蔵も、多分リニューアル前後に購入したもので、既にコレクション展で観てるのがほとんどだったし。
そして皮肉なのが、心から感動したのがアーティゾンのコレクションじゃないんです。。。
今回最も感動したのがクリフォード・スティルの大きな作品。
ここまで大きなスティルを国内で初めて観ました。
もうしばらく絵の前から動けず泣きそうになった。。。
さらにその対岸にあるヘレン・フランケンサーラーの大画面も凄過ぎた。。。
写真撮れなかったのでどちらもデヴィッド・スミス越しに。
キャプションを見ると両作とも「レヴェット・コレクション」とある。
何者!!??
調べてもイギリス人のコレクターで、フィレンツェにコレクションがあることぐらいしかわからない。。。
とりあえずインスタはこちら。
世界には凄い人がたくさんいるということですね(雑)
ところでこれだけ抽象画集めるんだったらいい加減日本でもヒルマ・アフ・クリントの作品が観たい!
日本のどなたか買ってくれないかなぁ。。。
以降具体やアンフォルメルといった日本に関連する展示が続きますが、岡田謙三の作品が物凄く良かった。
後、4階の暗い部屋の「瀧口修造と実験工房」の展示も秀逸。
最後、現代作家で締めますが、何と言っても津上みゆきの展示が最高すぎました。
彼女自身は「私の作品は抽象絵画ではない」と仰ってるように、実際作品の綿密な下絵というかプランも展示されててとても興味深かったです。
一見画面で直接構成されてそうな印象を受ける彼女の絵ですが、こういった下準備があったのは面白かった。
ぜひいつかジャム・セッションあたりで取り上げて頂きたいものです。
聖徳記念絵画館



書くところないのでここに。
ずーーーーっと前から気になってた場所。
外苑の話になると必ずといっていいほど出てくる「絵画館」という単語。
一体何なの??という積年の疑問を解くために満を辞して行ってきました。
ここは明治天皇崩御の際に、彼の偉業を讃えるために大正15年(1926年)に竣工した建物。
大戦を耐え、100年近く経った今もその姿を留めている貴重な建物なのです。
実際本当に凄い建物で、当時のすべての高級資材を投じたのではという豪華絢爛ぶり。
中は撮影不可なのですが、めちゃくちゃ映えます。
中央のドームの吹き抜け空間は日本中から集められた大理石で敷き詰められてるし、展示室もかっこよ過ぎ。
この展示室には、明治天皇の生誕から崩御までの歴史が80点の絵画で示されています。
前半40点が日本画、後半40点が洋画です。
「絵画館」と言われている所以はそこなんですね。
特に後半の洋画が面白かった。
当時の様々な画家に描かせてるので、画風がどれも特徴的。
中には藤島武二もあったりしてびっくり。
行ってみて本当に良かった。
時が止まったような空間で異世界を味わえますよ。
百合子の外苑再開発計画には外れてるみたいなので一安心。
荒川修作+マドリン・ギンズ《意味のメカニズム》 全作品127点一挙公開 少し遠くへ行ってみよう @ セゾン現代美術館









軽井沢に行ってきました。
約10年ぶりのセゾン美術館。(以前の記事はこちら)
「意味のメカニズム」全作品一挙公開って時点でマストな展示。
この作品群は、81点の大型平面と44点のドローイング、さらに写真と模型を加えた総数127点から構成されてて、彼らが四半世紀以上もかけて取り組み続けたまさにライフワーク。
荒川、建築的なプロジェクトはイマイチなんだけど平面作品本当に素晴らしいんだよな。
実際行ってみると、マジで所狭しと「意味のメカニズム」がズラーーーーーっと並んでて圧巻。
これ、マジでセゾンさん全部持ってるの。。。???恐すぎ。。。
他の美術館でも観たような気がするんだけど、どういうことなんだろう。。。
どれもこれもめちゃくちゃ良い。バリエーションにならずにそれぞれこれだけ特異なの凄い。
立体的な画面とかも多く、触りたい欲望に駆られるんだけど、真横にしっかり「作品にお手を触れないでください」という注意書きがあって、それすら作品に見えてくる。
これだけ一気に観られるのは本当に惑星直列レベルにない機会なので軽井沢まで行くべき。
そもそもこの美術館はコレクションが異常。
入口におもむろにカプーアがあったり、マン・レイやミロ、クレーが普通に並んでて、ロスコやジョーンズの大きな絵が触れそうなぐらいな距離で観られて、極めつけはキーファーのインスタレーション。こんなの観られるの日本でここしかない。
その奥のアバカノヴィッチも凄いし、1時間に一回動き出すティンゲリーの大き過ぎる彫刻もある。
そして何と言っても前庭というか自然としか言いようがない緑。川まで流れてるよ。。。
ポーラといい川村といい企業美術館は規模が桁違いすぎる。
美術好きなら一度は行くべき聖地です。是非。
あぁ、今回の「意味のメカニズム」展の図録作って欲しいなぁ。。。
この展覧会は10月9日まで。こちら。
藤田嗣治 猫と少女の部屋 @ 軽井沢安東美術館 (-9/12)











もういっちょ軽井沢。
こちらは昨年10月にオープンした美術館。
ここはフジタの作品しか展示しません。
そしてそれらが全て個人の持ち物なんだから本当にすごい。。。
しかも初期から晩年まで満遍なく揃ってる。
今回は猫と少女に焦点を当てて、最後の猫だらけの展示は眼福が過ぎた。
礼拝堂のデッサンとかも超絶に巧くてしびれました。
何故か3点以上写ってれば撮影オーケーという謎ルールがあったので、3点以上写るように頑張りました。
フジタ好き、ネコ好きは必見の美術館です。駅からも歩いて10分ほど。
夢と自然の探求者たち―19世紀幻想版画、シュルレアリスム、現代日本の作家まで @ 群馬県立館林美術館






前から気になってはいたものの、遠過ぎて敬遠してた美術館。
今回うちでも展示してくれた友人作家の大坂秩加さんが参加するということで行ってきました。
しかしやっぱり遠かった。。。
バスもあったみたいだけど、本数少なすぎたので僕は片道徒歩20分ほどかけて多々良駅往復しました。
それはともかく、この展覧会、予想を遥かに超えて最高に良かった。
ほとんどがコレクションで構成されてるんだけど、見事なキュレーションでした。
このブログでも何度も言及してるけど、特にコロナ以降作品の貸出や保険、輸送費が高騰したりで中々理想通りの展覧会の実現が困難な中、持ってるコレクションをどう生かすかが肝になっています。
今回その好例とも言える展覧会に出会えました。
半分以上が版画なので、作品的には物足りなさも禁じ得ないんだけど、それを補って余りあるのが今回のキュレーション。
シュルレアリスムの流れを体系的に見事なまでに体感することができます。
シュルレアリスムは、ご存知の通り美術よりも先に詩や物語から始まりました。
それを暗示するように冒頭では、ルドンやココシュカ、ピカソまで、挿絵としての版画作品が多く展示されています。
この導入からしてちょっとこれは凄いかもしれないと思い始めたんですが、極め付けは「19世紀の幻想画家グランヴィル再発見」というコーナーでした。
J.J.グランヴィル。
僕は全く知らなかったんだけど、19世紀に活躍した版画家で、シュルレアリスムの先駆とも言われてるらしい。
彼の作品は確かにすごかった。
シュルレアリスムの萌芽みたいなものが確かに宿っていて観ていてとても興奮しました。
さらに次の「ジョルジュ・バタイユの眼」も素晴らしかった。
バタイユが主宰した雑誌「ドキュマン」に掲載された作品を展示していて、特にカール・ブロスフェルトの植物写真は目を惹きました。
ヘンリー・ムーアの小品も素晴らしかったし、ハンス・ベルメールも相変わらずのキモさ(褒め言葉)。
その後のミロやアペルも良かったけど、何と言ってもこの展覧会の白眉は「シュルレアリスムをめぐって 群馬ゆかりの二人の作家―福沢一郎と鶴岡政男」。
この展覧会がなぜシュルレアリスムに焦点を当ててるのかがここで明確に点を結んだ気がしました。
日本を代表するシュルレアリストのこの2人が群馬出身だったとは。
福沢一郎は何と言っても瀧口修造と共に日本にシュルレアリスムをもたらした第一人者。
1941年にはこのお二人は治安維持法違反の疑いにより逮捕されています。
当時はシュルレアリスムと共産主義との関係を疑われてたんですよね。。。今となっては謎すぎるけど。
この展覧会に出品されてる彼の著書「シュールレアリズム」は何と言ってもこの国にシュルレアリスムを紹介した名著。
そんな彼の作品は、いろんなところから引用されていて、今回その引用先の資料も展示されてて面白かった。
多分だけど、ユアサエボシは福沢一郎からインスパイアされてるのではと思ったり。
そして鶴岡政男。
今回東近美にある「重い手」が借りられなかったのは残念だったけど、それでも戦後の作品が多く出品されてて興味深かかったです。
その後も勅使河原蒼風や須田一政等、一見シュルレアリスムの観点から顧みられることのない人たちまでいて面白かったし、何と言っても現代の大岩オスカール、加藤泉、鴻池朋子、そしてお目当ての大坂秩加の作品に繋がっていくのは爽快感すら覚えました。
いやはや本当に素晴らしい展覧会でした。
遠かったけどここまで来てよかった。。。
それにしてもこんな僻地でめちゃくちゃ立派な建物と敷地でびっくりしました。
なぜか別館にはフランソワ・ポンポンのアトリエが再現されてたり謎すぎ。
この展覧会は6/25まで。こちら。
野崎道雄コレクション受贈記念 見えないもの、見たいこころ (-7/2)

こちらもコレクション展。
昨年眼科医でコレクターの野崎道雄氏から寄贈された、152の作品と5件の資料類、400冊超の書籍の一部を公開するというもの。
とんでもなく太っ腹なコレクターがいるもんですね。。。
しかもそのうちの60点がなんとリヒター!
今回も半分以上をリヒターの作品が占めてました。。。凄過ぎ。。。
流石に大作はないものの、80年代後半から90年代前半にかけての脂の乗りまくってるアブストラクトが沢山あってヨダレが溢れそうでした汗
小さいながら「緑・青・赤」は最高だった。欲しい。。。
他にもリヒターの前妻であったイザ・ゲンツゲンの肖像なんてめちゃくちゃ貴重なのでは。
兎に角リヒターの作品が充実していてリヒターファンは必見かと。
やはり野崎氏の眼科医という背景は、リヒターの視覚性に惹かれたんでしょうね。
そこから派生するように、ボイスやポルケ、シュトゥルートなんかもあって、ドイツ現代アート網羅してます。
特にポルケのプリント地の上に絵を描いてる作品は見れば見るほど不思議でいつまでも見てられました。
シュトゥルートのリヒターの肖像も良かった。
さらに貴重すぎるデュシャンの限定ボックスもあったり。
デュシャンボックスは意外と色んなところで見ますが、野崎氏が持ってたのはより希少なエディション。
なぜかマグリットのドローイングなんかもあって凄過ぎた。
点数は決して多くないですが、本当に充実したコレクション。
これらがたった250円で観られるんだからお得すぎ。
まあ、ここまで行くのが遠過ぎるんですが。。。
こうしてコレクターが美術館に一気に寄贈するケースは少なからずあって、ちょうど今静岡県立美術館でやってる「太田正樹コレクション展」も顕著な例と言えるでしょう。
2008年から寄贈が始まり、昨年一括寄贈となった計106点にも及ぶコレクション。
アニッシュ・カプーア、荒川修作、アンディ・ウォーホル、大庭大介、加藤泉、小谷元彦、斎藤義重、ジュリアン・オピー、ダレン・アーモンド、中西夏之、名和晃平、宮島達男、村上隆、森万里子、李禹煥という錚々たる顔ぶれ。
現在ほとんどの美術館が購入予算が取れない中、こうしたコレクターの存在は本当に大きい。
流石に静岡は観に行けないけど、素晴らしい出来事ですよね。
本当にご馳走様でした。
葉山、いつも直行直帰なのですが、美術館の周り初めて歩いてたらゴームリーに遭遇しました。

太田市美術館・図書館 by 平田晃久

近くて遠い群馬県へいくつかの建築を観に行ってきました。
まずは平田晃久の代表作とも言える太田市美術館・図書館へ。
2017年の竣工時、太田って聞いて勝手に東京の大田区と思ってたら群馬で、地図見たら遠!ってなって来訪までズルズル時間が過ぎてしまいました。。。
この時美術館はやってないは、図書館は書庫整理中だはで、堪能はできなかったものの、予想を超える素晴らしい建物で感動。
駅の本当に目の前にあって利便性も素晴らしいです。
まずは外観。従来の何階建てといった概念では測れない複雑な構造が見てとれます。


中へ。館内地図かわいい。

1階にはインフォメーションやショップ、カフェ、ちょっとした図書スペースがあります。
その上を縦横無尽にフロアが駆け巡っててカッコ良すぎ。
来訪時は普通に皆さん寛いで利用されてました。
こうした異様な建物の中で普通に寛いでる市民の方々の姿を見るとほっこりしますね。







スロープで上階へ。
続く螺旋階段のシームレスな連続が気持ち良すぎる!







屋上へ。
この日は30度もあったので誰もいませんでしたが、もう少し涼しいと気持ちよさそう。










さらに足を伸ばして前橋へ。
こちらにも先月オープンしたばかりの平田晃久設計によるまえばしガレリアが。
ここにはタカ・イシイ、小山登美夫、MAKI Gallery・rin art association・Art Office Shiobaraが入ってるんだけど、行った日は閉まってたので外から笑 (月・火休み)
ガラス張りなので外から見られるしまいっかってことで。
鬼頭健吾やディノス・チャップマン、ケリス・ウィン・エヴァンス 等の作品が見えました。
太田と比べると直線的なのでやや見ごたえに欠けますねぇ。





もういっちょお近くの白井屋ホテル。こちらは藤本壮介設計。
ファサードにはローレンス・ ウィナーの文字の作品があったり、リアム・ギリックの壁画、中のフロントには杉本博司、ライアン・ガンダーや白川昌生、五木田智央の平面もかかってて、建物内にレアンドロ・エルリッヒの光るパイプが走ってたりととんでもないアートホテル。
一泊2万ちょいで、泊まれなくもないですが、前橋で泊まったところでねぇ(失礼)
そもそもアートホテルってこれといって魅力感じないんですよね。。。
アートがパーツにしかなってないというか、もっと包括的なインスタレーションとして体験できたらいいんですが。
(ちなみに来月はそんなとんでもアートホテルに泊まりますがまた後日)
というわけでこのホテルも特別感動というものはありませんでした。














因みにこの白井屋ホテルとまえばしガレリアの間には問題起こしまくりのアーツ前橋もあります。
アーツ前橋 作品紛失 「住友氏も究明に協力を」 東京芸大検討委が報告書
出展作家との契約違反で市が損害賠償。アーツ前橋でなにが起きたのか
5月1日より南條史生が館長に就任し、立て直しを図るものの、未だに本年度の展示予定は未定。
行った時もショップやカフェ、図書室はやってたものの、展示室はクローズ。
一体どうなるやらですが、それはさておき前橋市。
なんでこんな中規模な都市に次々とアート施設が立ち上がるのかというと、市の方針もさることながら、同地出身者でメガネブランド「JINS」の創業者である田中仁によって2014年に発足した群馬の地域活性化支援を目的とした田中仁財団の存在も大きいそう。
JINSは前橋市内に永山裕子設計によるJINS PARKを2021年にオープン。
ここにも行こうと思ってたけど、雨なので断念。
今後も何か新しいアート施設や動きがあるかもなので要チェックですね。遠いので中々行けないけど。。。
「老ナルキソス」by 東海林毅 / 「怪物」by 是枝裕和
最近観た映画まとめ。
まずは「老ナルキソス」。
実は当方、この映画に少しながらご協力させて頂きました。
劇映画のエンディングで「A'holic」の名前が流れた時は嬉しかったなぁ。
それはともかくこの映画、元々同題の短編からスタートしました。
僕が上京した2018年の夏に開催されたレインボーリール東京で初鑑賞。
その前の、上京後すぐに東海林監督とはお会いしてたのもあり、最初から「老ナルキソス」目当てであったものの、ゲイの老人のMを描いた内容はとても衝撃的で映像も美しく、グランプリを獲得されたのも納得な内容でした。
その数年後に長編化の話を聞いた時、もう既に期待しかなかったのです。
実際その期待を裏切らない見事な内容。
元々短編で完成してたものを膨らませたと仰ってたけど、まるで元の短編がこの長編の為の予告編であったかの如く自然すぎる展開。
冒頭に短編で描いた内容を残しつつ、今と昔を巡る家族やセックスというテーマを見事に描ききってました。
人によっては詰め込みすぎ、と思われるかもしれないけど、むしろこれまでこれらのことを正面から切り込んだ映画がなかったので仕方ないと思います。
今後ゲイを描く上でロールモデルになるような内容でした。
特に家族の問題は、人それぞれなので、本当に考えさせられました。
短編ではあまり描かれなかったウリ専のレオくんの葛藤が長編ではよく描かれていて共感もてました。
僕も家族ってものをうまく描けないので、パートナーシップや同性婚にはかなり懐疑的です。
区役所のシーンはやや皮肉的で笑いましたw あんなこと本当にあるの??
とはいえ未だにマイノリティへの権利がここまで認められていないのも不自然すぎる。
同性カップルが2019年に全国5か所で起こした集団訴訟は、先週の福岡地裁で全ての判決が出そろいました。
裁判所の判断の内訳は「憲法違反」が2件(北海道・名古屋)、「違憲状態」が2件(東京・福岡)、「合憲」が1件(大阪)となりました。少しずつではあるけど一歩ずつ進んでます。
それもこれも、先人が築いてきたものがあってこそ。
それこそ映画の中でもエイズに少し触れる場面がありますが、今では考えられないぐらいの差別と戦ってきた歴史がちゃんとあるんですよね。
老人のゲイというあまり描かれない主題を選んだからこそ見えてくるものがあったように思います。
あえて残念な点を挙げるなら、レオくんも若山崎も前の短編の時の方がよかったなぁと。
田村さんがとにかく素晴らしいので、彼は代わってなくて良かった。
そして日出郎さんが本当に良かった。ゲイバーママリアルすぎw
寧ろストレートの方にこそ観て欲しい映画だったりするので是非!!
パンフもパンフの範囲超えてます。
表紙が海老原さんだし、なぜか監督のヌードもあるし、昭和ゲイ雑誌の悪ノリもあるしw
続いて「怪物」。
是枝裕和x坂元裕二x安藤サクラx坂本龍一って時点で無敵すぎる。
予告もほとんど内容がわからないのが強気の印。
唯一カンヌで「クィア・パルム賞」なる賞をとってたのがややネタバレというか、え、そんな内容なの!?と思いつつ初日から駆けつけました。
中身は言わば「羅生門スタイル」で、3つの視点から描かれます。
母親、教師、子供の順で見る側面によって全然印象が変わる内容ですが、やはり最後の子供の視点は痛烈。
もう涙が淀みなく流れちゃいました。。。
「普通」という言葉に傷ついてきた人にはぶっ刺さる内容だと思います。
人によってはトラウマが蘇ってしまうかも。。。
前述の「老ナルキソス」とは逆に子供時代のあの葛藤をこれほど危ういまでに描いた作品初めて出会った気がします。
母親の愛ゆえの「結婚して家族ができるまで」って言葉が車から飛び降りさせるほど息子を傷つけてしまうシーンとか、おねぇタレント真似して笑い取るとか、観ていて本当に心が痛みました。
先生の何気ないホモソーシャルな台詞も難しいところですね。。。
会見でも触れてたけど、坂元さんは「Mother」以降「それでも、生きてゆく」や「anone」でも加害性をテーマに脚本を紡いできました。
その一つの到達点としてこの映画がある気がします。
具体的に言葉には出さずとも、伝わってしまう心情の描き方がすごい。
田中裕子も流石すぎるし、彼女にこの映画の肝となる台詞言わせる坂元裕二も最高すぎる。
「誰かにしか手に入らないものなんて幸せじゃない。しょうもない。誰にでも手に入るものを幸せって言うんだよ。」
この台詞に全て集約される気がします。
坂元さん、脚本賞本当におめでとうございました。
また、是枝監督もこれまでネグレクトや疑似家族等、坂元さんも描いてきた題材を真摯に描いてきた方なので、2人の親和性ははじめから約束されていたようなもの。
そして是枝監督の子供の撮り方がやはりうますぎる。
特に柊木陽太くんの演技凄すぎる。
要所要所で流れる故・坂本龍一の音楽も印象的。
観終わった後もしばらく尾を引く映画です。
続いてソクーロフの久々の新作、「独裁者たちのとき」。
ソクーロフファンとしては待ってました!って感じなのだけど、前半静かすぎて寝てしまったw
ヒトラーやスターリン、ムッソリーニにチャーチルと、歴史的人物のアーカイブ映像をつなぎ合わせて作ったとのことだけど本当??ってぐらい自然に共演しちゃってる。。。
冒頭で「ディープフェイクやAIは一切使用してない」って出るんだけど、不思議すぎて最後まで馴染めませんでした。。。
以前にも昭和天皇やレーニンを描いた「権力の四部作」を製作していたソクーロフの到達地点ではありました。
それにしてもロシアウクライナ戦争真っ只中でこんなものを発表しちゃうなんて大丈夫なのだろうか。。。
ソクーロフには実験的なものよりしっかり美しい映像撮って欲しいなと個人的には思います。
「sio/100年続く、店の始まり」は代々木上原にある予約困難店sioを作った鳥羽シェフの激動の時間を追ったもので、めちゃくちゃ撮れ高ある内容。。。
鳥羽さんの飽くなき挑戦に周囲が振り回されてる感じとかがうまく撮れててドキュメンタリー映画としてはかなりの出来だと思いました。
僕はsioとo/sioに行ったことあるけど、他の店舗も改めて行ってみたい。
それにしても例の報道後、この映画に家族全員出演してたこと思うとすごい闇あるな。。。
あとの3本はほぼ惰性。
「ヴィレッジ」はひたすら横浜流星がイケメン過ぎて、村にいるのが不自然過ぎた。。。
途中からのキャラ変も不自然過ぎて全然入っていけず。
黒木華が能面っぽいのは良き。
「岸辺露伴 ルーブルへ行く」と「サイコパス PROVIDENCE」は、既に世界観構築され過ぎてて可もなく不可もなくだった。
若露伴役の長尾くん素敵過ぎた。
昨日葉山に行ったので岸辺露伴邸としてロケ地になった加地邸見てきました。
宿泊可能で一泊30万だそうです合掌。



まずは「老ナルキソス」。
実は当方、この映画に少しながらご協力させて頂きました。
劇映画のエンディングで「A'holic」の名前が流れた時は嬉しかったなぁ。
それはともかくこの映画、元々同題の短編からスタートしました。
僕が上京した2018年の夏に開催されたレインボーリール東京で初鑑賞。
その前の、上京後すぐに東海林監督とはお会いしてたのもあり、最初から「老ナルキソス」目当てであったものの、ゲイの老人のMを描いた内容はとても衝撃的で映像も美しく、グランプリを獲得されたのも納得な内容でした。
その数年後に長編化の話を聞いた時、もう既に期待しかなかったのです。
実際その期待を裏切らない見事な内容。
元々短編で完成してたものを膨らませたと仰ってたけど、まるで元の短編がこの長編の為の予告編であったかの如く自然すぎる展開。
冒頭に短編で描いた内容を残しつつ、今と昔を巡る家族やセックスというテーマを見事に描ききってました。
人によっては詰め込みすぎ、と思われるかもしれないけど、むしろこれまでこれらのことを正面から切り込んだ映画がなかったので仕方ないと思います。
今後ゲイを描く上でロールモデルになるような内容でした。
特に家族の問題は、人それぞれなので、本当に考えさせられました。
短編ではあまり描かれなかったウリ専のレオくんの葛藤が長編ではよく描かれていて共感もてました。
僕も家族ってものをうまく描けないので、パートナーシップや同性婚にはかなり懐疑的です。
区役所のシーンはやや皮肉的で笑いましたw あんなこと本当にあるの??
とはいえ未だにマイノリティへの権利がここまで認められていないのも不自然すぎる。
同性カップルが2019年に全国5か所で起こした集団訴訟は、先週の福岡地裁で全ての判決が出そろいました。
裁判所の判断の内訳は「憲法違反」が2件(北海道・名古屋)、「違憲状態」が2件(東京・福岡)、「合憲」が1件(大阪)となりました。少しずつではあるけど一歩ずつ進んでます。
それもこれも、先人が築いてきたものがあってこそ。
それこそ映画の中でもエイズに少し触れる場面がありますが、今では考えられないぐらいの差別と戦ってきた歴史がちゃんとあるんですよね。
老人のゲイというあまり描かれない主題を選んだからこそ見えてくるものがあったように思います。
あえて残念な点を挙げるなら、レオくんも若山崎も前の短編の時の方がよかったなぁと。
田村さんがとにかく素晴らしいので、彼は代わってなくて良かった。
そして日出郎さんが本当に良かった。ゲイバーママリアルすぎw
寧ろストレートの方にこそ観て欲しい映画だったりするので是非!!
パンフもパンフの範囲超えてます。
表紙が海老原さんだし、なぜか監督のヌードもあるし、昭和ゲイ雑誌の悪ノリもあるしw
続いて「怪物」。
是枝裕和x坂元裕二x安藤サクラx坂本龍一って時点で無敵すぎる。
予告もほとんど内容がわからないのが強気の印。
唯一カンヌで「クィア・パルム賞」なる賞をとってたのがややネタバレというか、え、そんな内容なの!?と思いつつ初日から駆けつけました。
中身は言わば「羅生門スタイル」で、3つの視点から描かれます。
母親、教師、子供の順で見る側面によって全然印象が変わる内容ですが、やはり最後の子供の視点は痛烈。
もう涙が淀みなく流れちゃいました。。。
「普通」という言葉に傷ついてきた人にはぶっ刺さる内容だと思います。
人によってはトラウマが蘇ってしまうかも。。。
前述の「老ナルキソス」とは逆に子供時代のあの葛藤をこれほど危ういまでに描いた作品初めて出会った気がします。
母親の愛ゆえの「結婚して家族ができるまで」って言葉が車から飛び降りさせるほど息子を傷つけてしまうシーンとか、おねぇタレント真似して笑い取るとか、観ていて本当に心が痛みました。
先生の何気ないホモソーシャルな台詞も難しいところですね。。。
会見でも触れてたけど、坂元さんは「Mother」以降「それでも、生きてゆく」や「anone」でも加害性をテーマに脚本を紡いできました。
その一つの到達点としてこの映画がある気がします。
具体的に言葉には出さずとも、伝わってしまう心情の描き方がすごい。
田中裕子も流石すぎるし、彼女にこの映画の肝となる台詞言わせる坂元裕二も最高すぎる。
「誰かにしか手に入らないものなんて幸せじゃない。しょうもない。誰にでも手に入るものを幸せって言うんだよ。」
この台詞に全て集約される気がします。
坂元さん、脚本賞本当におめでとうございました。
また、是枝監督もこれまでネグレクトや疑似家族等、坂元さんも描いてきた題材を真摯に描いてきた方なので、2人の親和性ははじめから約束されていたようなもの。
そして是枝監督の子供の撮り方がやはりうますぎる。
特に柊木陽太くんの演技凄すぎる。
要所要所で流れる故・坂本龍一の音楽も印象的。
観終わった後もしばらく尾を引く映画です。
続いてソクーロフの久々の新作、「独裁者たちのとき」。
ソクーロフファンとしては待ってました!って感じなのだけど、前半静かすぎて寝てしまったw
ヒトラーやスターリン、ムッソリーニにチャーチルと、歴史的人物のアーカイブ映像をつなぎ合わせて作ったとのことだけど本当??ってぐらい自然に共演しちゃってる。。。
冒頭で「ディープフェイクやAIは一切使用してない」って出るんだけど、不思議すぎて最後まで馴染めませんでした。。。
以前にも昭和天皇やレーニンを描いた「権力の四部作」を製作していたソクーロフの到達地点ではありました。
それにしてもロシアウクライナ戦争真っ只中でこんなものを発表しちゃうなんて大丈夫なのだろうか。。。
ソクーロフには実験的なものよりしっかり美しい映像撮って欲しいなと個人的には思います。
「sio/100年続く、店の始まり」は代々木上原にある予約困難店sioを作った鳥羽シェフの激動の時間を追ったもので、めちゃくちゃ撮れ高ある内容。。。
鳥羽さんの飽くなき挑戦に周囲が振り回されてる感じとかがうまく撮れててドキュメンタリー映画としてはかなりの出来だと思いました。
僕はsioとo/sioに行ったことあるけど、他の店舗も改めて行ってみたい。
それにしても例の報道後、この映画に家族全員出演してたこと思うとすごい闇あるな。。。
あとの3本はほぼ惰性。
「ヴィレッジ」はひたすら横浜流星がイケメン過ぎて、村にいるのが不自然過ぎた。。。
途中からのキャラ変も不自然過ぎて全然入っていけず。
黒木華が能面っぽいのは良き。
「岸辺露伴 ルーブルへ行く」と「サイコパス PROVIDENCE」は、既に世界観構築され過ぎてて可もなく不可もなくだった。
若露伴役の長尾くん素敵過ぎた。
昨日葉山に行ったので岸辺露伴邸としてロケ地になった加地邸見てきました。
宿泊可能で一泊30万だそうです合掌。


