清水裕貴 微睡み硝子 @ PGI
8月都内で観た展示まとめ。
清水裕貴 微睡み硝子 @ PGI (-10/5)














とある美術館の夏休み @千葉市美術館 (-9/4)






清水さんの展示2発。
まずは始まったばかりのPGIの個展。
今回のシリーズは、昨年稲毛の旧神谷伝兵衛稲毛別荘に発表された「百年硝子の海」から派生したもの。こちら。
その時は伝兵衛邸の窓が主人公だったけど、今回はそれに加えて銚子の灯台や琵琶湖疏水、神戸のポートアイランド、東北の防潮堤など日本の様々な地域が映し出されています。
さらに清水作品につきもののテキストも配られています。
「瞼がないから過去も現在も同時に見る。視界は私の体全体に張り付き百年の間一度もこの子の光から逃れたことがない。」
(清水裕貴「微睡み硝子」より)
窓は昔から絵画のメタファーになっていたこともあり、その面全体が視界なんだな、ということにこのテキストを読みながら想いました。
そしてその窓が観た風景たちは、黴や海水、砂によって傷つき、清水裕貴という現代の写真家が撮った新しい写真なのに、誰がいつどこを撮ったのかもわからなくなっていました。
まるで数年越しに届いた誰かからの絵葉書のようで、不思議な郷愁に襲われ泣きそうになります。
写真に加え、コールドスリープの時に出てた海底ワインの空ビンや、微生物が潜んでそうな瓶のようなオブジェも一緒に展示されていて、博物館のような様相も呈しています。
同時に千葉市美術館のグループ展にも参加されています。
今回清水さんには珍しくポートレイト作品が発表されているのです。
この展示は、千葉市美術館というもの自体をテーマにしていて、清水さんはそこに佇む監視員の方々にスポットを当てていました。
まるで風景のように普段展示空間に溶け込んでらっしゃる方々ですが、そこにも個があり、その彼らを主人公にするという視点はさすがだなぁと。
彼らの好きな場所で撮影し、それぞれの写真が独特の技法で刷られています。
個人がわかるかの瀬戸際を写していて、ドラマチックなものからカラフルなものまでその技法の幅広さも必見。
今回清水さんご本人にアテンドして頂いたのですが、途中で撮影して監視の方達に声をかけられてて、とても心温まる光景でした。
ところでこの展覧会、メチャクチャに攻めてて、目[mé]展のキュレーター企画だと聞いて納得笑
今回目[mé]も出品してますが、搬入途中のようなさすがの内容w
写真撮れなかったけど8階の展示が特に攻め攻め。
中崎透さんの学芸員インタビューと共に自作とコレクションを織り交ぜた空間も千葉市美コレクションの成り立ちを垣間見れたり、豪華すぎるコレクションを一望できたりと面白かった。
(中崎さんって名前どこかで聞いたことあると思ってたらNadegata Instant Partyの人か!ってなりました)
ミヤケマイさんの展示も鳥籠作品と若冲、花の作品と田中一村など、とてもマッチしていて最高。
津田直子さんの空間は、展示ケースがひたすら並んでる中で、十八番の映像が繰り広げられてて素晴らしい!
と、ここまでは良かったんですが、後半7階の展示がめちゃくちゃ中途半端だった。。。
小川信治さん、普段あんな絵描いてたとは。。。なんか無駄に心配になった。。。
美術作家じゃない人コーナーは写真撮れたけどどれも中途半端。。。MITOSAYA呑ませろ!
井上尚子の匂いの展示、よくこのコロナ禍で実現したな。。。
とまあ、尻切れとんぼ感はありましたが、前半凄かったので来た甲斐があった。
広報のビジュアルと実際の展示内容がかけ離れすぎてどうかとは思いましたw
5階の常設展では、ミヤケさんの影響か鳥の作品勢揃いで楽しかった!
特に曽我二直庵の「架鷹図屏風」は凄まじかった。。。
これ以前、東京の工芸館閉まる時に観た、鈴木長吉の「十二の鷹」(1893)の原型ですよね。。。
いやはや、めちゃくちゃかっこよかったなぁ。。。
他に秋岡美帆の作品も特集展示されてて、説明にはNECOという特殊プリントされた写真(?)なのだそうだけど、途中で何言ってるのかわからない状態に。。。
とても不思議な作品群でした。
関西の人らしいんだけど、ご遺族の方が千葉の方なのかな?
ところで、この日は千葉市美の周辺グルメを回りました。
駅と美術館の間にある喫茶ヨーロピアンのマロングラッセに舌鼓を打ち、美術館近くの竹田屋さんでステーキのコースを頂いた上に、途中にある蓮池金寿司にハシゴというとんでもないコースw
どれも素晴らしいので千葉市美行く方は是非!
惜しむらくは千葉市美の地下になぜかあるせんべろに行けなかったこと!
美術館の開館時間と関係なく16時半からオープンする謎過ぎるせんべろ。
メニュー見てたら宝焼酎100円だったwww
緊急事態宣言でもないのにコロナの影響で閉まってたのも謎。。。
次回絶対リベンジしたい!
布施琳太郎 個展 「新しい死体」@ PARCO MUSEUM TOKYO (会期終了)







久門剛史「RIVER」@ Ota Fine Arts (-10/8)










安喜万佐子 絵画展 「松林図」うつろう境界、あらわれる時 @ オリエ アート・ギャラリー (-9/1)







個展3発。
まずは「惑星ザムザ」も記憶に新しい布施琳太郎のPARCOでの個展。
こうした若手の展覧会をしっかりお金をとって観せるのはとても素晴らしいことだと思います。(ちゃんと作家に回るのであればの話ですが)
さて、布施さん、お名前は方々で聞くものの、個人的にしっかり彼自身の作品を観たことがなくて、こうしてまとめて観られるのはとてもいい機会でした。
まあ、結果的に作品自体はよくわからないなぁというのが正直な感想なのですが、青をベースに会場もメディアも統一していて、とてもキュレーションの上手い人だな、という印象。
また、渋谷の街頭ビジョンに映した作品もとてもよかった。
以前ソフィ・カルを観た記憶が蘇りました。こちら。
関西から、久門さんと安喜さんの展示はさすがの安定感。
久門さんの東京での展示は4年ぶりとのことだったのだけど、相変わらず美しい。。。
円環をテーマにしてるのか、どれも永遠運動を示唆していて、「River」というタイトルも美しかった。
安喜さんは、前回の横浜展とそこまで作品変わってないけど、空間のスケール変わっても展示方法が柔軟に変わってて、雑多にならないバランス感覚さすが。
MOTアニュアル2022 私の正しさは誰かの悲しみあるいは憎しみ @ 東京都現代美術館 (-10/16)











ヴォイド オブ ニッポン 77 – 戦後美術史のある風景と反復進行 – @ GYRE (-9/25)














鈴木大拙展 Life=Zen=Art @ ワタリウム美術館 (-10/30)



グループ展3発。
都現美のMOTアニュアルは個人的にとても嫌悪感。
「悲しみも苦しみも何もかも分け合えばいいんじゃないなんて
カンタンに言うけどねそんなこと出来るならやってる」
とは浜崎あゆみ様のお言葉ですが、本当にそういうことだと思います。
言いたいことはわかるけど、他人の悲しみや憎しみをそんな簡単に引き受けられますか?って思っちゃう。
そもそもその他人はそこをシェアしてほしいと思っているのか?
特にヤマユリ園をテーマにした工藤春香さんの作品は受け入れられなかったなぁ。。。
大久保ありの個人のストーリーをあそこまでの空間にしたのは本当にすごかった。
他の2名には何も感じなかった。。。
GYREの方は、いつも掲げてるテーマや参加作家は凄まじいんだけど実際の展示が毎度中途半端。。。
今回もロラン・バルトや三島由紀夫を出してきて、「戦後日本」を謳いながら、ハイレッド・センターのお三方、河原温、三島喜美代、青山悟に大山エンリコイサムと超豪華なんだけど展示というかほぼ陳列って感じでさらっと観てしまう。。。
最後はワタリウムの鈴木大拙展。
ワタリウム、ちょっと目を離した隙にとんでもない展覧会やってる。。。
テーマもやばいけど出品作家もやばすぎる。。。
木喰明満/岡倉天心/南方熊楠/西田幾多郎/鈴木大拙/柳宗悦/棟方志功/ジョン・ケージ/ヨーゼフ・ボイス/ナムジュン・パイク/谷口吉生/坂本龍一/山内祥太/仙厓義梵/カジミール・マレーヴィチ/J・D・サリンジャー
もはやアート展と言っていいかも謎だけどとにかく凄い。
実際観てみるとほとんどが資料なんだけど、とても勉強になります。
鈴木大拙と西田幾多郎が同級生だったなんて初めて知ったよ。。。
写真はないけど南方熊楠の手紙やメモもやばい人感出てて最高だったw
地下のオンサンデーズでは民藝の器が売ってたりカオス過ぎて最高。
1階のショップではうちのお客様のMalaNocheとitiitiのジュエリーが並べられてるのでこちらもチェックしてみてください!
以上!
清水裕貴 微睡み硝子 @ PGI (-10/5)














とある美術館の夏休み @千葉市美術館 (-9/4)






清水さんの展示2発。
まずは始まったばかりのPGIの個展。
今回のシリーズは、昨年稲毛の旧神谷伝兵衛稲毛別荘に発表された「百年硝子の海」から派生したもの。こちら。
その時は伝兵衛邸の窓が主人公だったけど、今回はそれに加えて銚子の灯台や琵琶湖疏水、神戸のポートアイランド、東北の防潮堤など日本の様々な地域が映し出されています。
さらに清水作品につきもののテキストも配られています。
「瞼がないから過去も現在も同時に見る。視界は私の体全体に張り付き百年の間一度もこの子の光から逃れたことがない。」
(清水裕貴「微睡み硝子」より)
窓は昔から絵画のメタファーになっていたこともあり、その面全体が視界なんだな、ということにこのテキストを読みながら想いました。
そしてその窓が観た風景たちは、黴や海水、砂によって傷つき、清水裕貴という現代の写真家が撮った新しい写真なのに、誰がいつどこを撮ったのかもわからなくなっていました。
まるで数年越しに届いた誰かからの絵葉書のようで、不思議な郷愁に襲われ泣きそうになります。
写真に加え、コールドスリープの時に出てた海底ワインの空ビンや、微生物が潜んでそうな瓶のようなオブジェも一緒に展示されていて、博物館のような様相も呈しています。
同時に千葉市美術館のグループ展にも参加されています。
今回清水さんには珍しくポートレイト作品が発表されているのです。
この展示は、千葉市美術館というもの自体をテーマにしていて、清水さんはそこに佇む監視員の方々にスポットを当てていました。
まるで風景のように普段展示空間に溶け込んでらっしゃる方々ですが、そこにも個があり、その彼らを主人公にするという視点はさすがだなぁと。
彼らの好きな場所で撮影し、それぞれの写真が独特の技法で刷られています。
個人がわかるかの瀬戸際を写していて、ドラマチックなものからカラフルなものまでその技法の幅広さも必見。
今回清水さんご本人にアテンドして頂いたのですが、途中で撮影して監視の方達に声をかけられてて、とても心温まる光景でした。
ところでこの展覧会、メチャクチャに攻めてて、目[mé]展のキュレーター企画だと聞いて納得笑
今回目[mé]も出品してますが、搬入途中のようなさすがの内容w
写真撮れなかったけど8階の展示が特に攻め攻め。
中崎透さんの学芸員インタビューと共に自作とコレクションを織り交ぜた空間も千葉市美コレクションの成り立ちを垣間見れたり、豪華すぎるコレクションを一望できたりと面白かった。
(中崎さんって名前どこかで聞いたことあると思ってたらNadegata Instant Partyの人か!ってなりました)
ミヤケマイさんの展示も鳥籠作品と若冲、花の作品と田中一村など、とてもマッチしていて最高。
津田直子さんの空間は、展示ケースがひたすら並んでる中で、十八番の映像が繰り広げられてて素晴らしい!
と、ここまでは良かったんですが、後半7階の展示がめちゃくちゃ中途半端だった。。。
小川信治さん、普段あんな絵描いてたとは。。。なんか無駄に心配になった。。。
美術作家じゃない人コーナーは写真撮れたけどどれも中途半端。。。MITOSAYA呑ませろ!
井上尚子の匂いの展示、よくこのコロナ禍で実現したな。。。
とまあ、尻切れとんぼ感はありましたが、前半凄かったので来た甲斐があった。
広報のビジュアルと実際の展示内容がかけ離れすぎてどうかとは思いましたw
5階の常設展では、ミヤケさんの影響か鳥の作品勢揃いで楽しかった!
特に曽我二直庵の「架鷹図屏風」は凄まじかった。。。
これ以前、東京の工芸館閉まる時に観た、鈴木長吉の「十二の鷹」(1893)の原型ですよね。。。
いやはや、めちゃくちゃかっこよかったなぁ。。。
他に秋岡美帆の作品も特集展示されてて、説明にはNECOという特殊プリントされた写真(?)なのだそうだけど、途中で何言ってるのかわからない状態に。。。
とても不思議な作品群でした。
関西の人らしいんだけど、ご遺族の方が千葉の方なのかな?
ところで、この日は千葉市美の周辺グルメを回りました。
駅と美術館の間にある喫茶ヨーロピアンのマロングラッセに舌鼓を打ち、美術館近くの竹田屋さんでステーキのコースを頂いた上に、途中にある蓮池金寿司にハシゴというとんでもないコースw
どれも素晴らしいので千葉市美行く方は是非!
惜しむらくは千葉市美の地下になぜかあるせんべろに行けなかったこと!
美術館の開館時間と関係なく16時半からオープンする謎過ぎるせんべろ。
メニュー見てたら宝焼酎100円だったwww
緊急事態宣言でもないのにコロナの影響で閉まってたのも謎。。。
次回絶対リベンジしたい!
布施琳太郎 個展 「新しい死体」@ PARCO MUSEUM TOKYO (会期終了)







久門剛史「RIVER」@ Ota Fine Arts (-10/8)










安喜万佐子 絵画展 「松林図」うつろう境界、あらわれる時 @ オリエ アート・ギャラリー (-9/1)







個展3発。
まずは「惑星ザムザ」も記憶に新しい布施琳太郎のPARCOでの個展。
こうした若手の展覧会をしっかりお金をとって観せるのはとても素晴らしいことだと思います。(ちゃんと作家に回るのであればの話ですが)
さて、布施さん、お名前は方々で聞くものの、個人的にしっかり彼自身の作品を観たことがなくて、こうしてまとめて観られるのはとてもいい機会でした。
まあ、結果的に作品自体はよくわからないなぁというのが正直な感想なのですが、青をベースに会場もメディアも統一していて、とてもキュレーションの上手い人だな、という印象。
また、渋谷の街頭ビジョンに映した作品もとてもよかった。
以前ソフィ・カルを観た記憶が蘇りました。こちら。
関西から、久門さんと安喜さんの展示はさすがの安定感。
久門さんの東京での展示は4年ぶりとのことだったのだけど、相変わらず美しい。。。
円環をテーマにしてるのか、どれも永遠運動を示唆していて、「River」というタイトルも美しかった。
安喜さんは、前回の横浜展とそこまで作品変わってないけど、空間のスケール変わっても展示方法が柔軟に変わってて、雑多にならないバランス感覚さすが。
MOTアニュアル2022 私の正しさは誰かの悲しみあるいは憎しみ @ 東京都現代美術館 (-10/16)











ヴォイド オブ ニッポン 77 – 戦後美術史のある風景と反復進行 – @ GYRE (-9/25)














鈴木大拙展 Life=Zen=Art @ ワタリウム美術館 (-10/30)



グループ展3発。
都現美のMOTアニュアルは個人的にとても嫌悪感。
「悲しみも苦しみも何もかも分け合えばいいんじゃないなんて
カンタンに言うけどねそんなこと出来るならやってる」
とは浜崎あゆみ様のお言葉ですが、本当にそういうことだと思います。
言いたいことはわかるけど、他人の悲しみや憎しみをそんな簡単に引き受けられますか?って思っちゃう。
そもそもその他人はそこをシェアしてほしいと思っているのか?
特にヤマユリ園をテーマにした工藤春香さんの作品は受け入れられなかったなぁ。。。
大久保ありの個人のストーリーをあそこまでの空間にしたのは本当にすごかった。
他の2名には何も感じなかった。。。
GYREの方は、いつも掲げてるテーマや参加作家は凄まじいんだけど実際の展示が毎度中途半端。。。
今回もロラン・バルトや三島由紀夫を出してきて、「戦後日本」を謳いながら、ハイレッド・センターのお三方、河原温、三島喜美代、青山悟に大山エンリコイサムと超豪華なんだけど展示というかほぼ陳列って感じでさらっと観てしまう。。。
最後はワタリウムの鈴木大拙展。
ワタリウム、ちょっと目を離した隙にとんでもない展覧会やってる。。。
テーマもやばいけど出品作家もやばすぎる。。。
木喰明満/岡倉天心/南方熊楠/西田幾多郎/鈴木大拙/柳宗悦/棟方志功/ジョン・ケージ/ヨーゼフ・ボイス/ナムジュン・パイク/谷口吉生/坂本龍一/山内祥太/仙厓義梵/カジミール・マレーヴィチ/J・D・サリンジャー
もはやアート展と言っていいかも謎だけどとにかく凄い。
実際観てみるとほとんどが資料なんだけど、とても勉強になります。
鈴木大拙と西田幾多郎が同級生だったなんて初めて知ったよ。。。
写真はないけど南方熊楠の手紙やメモもやばい人感出てて最高だったw
地下のオンサンデーズでは民藝の器が売ってたりカオス過ぎて最高。
1階のショップではうちのお客様のMalaNocheとitiitiのジュエリーが並べられてるのでこちらもチェックしてみてください!
以上!
宮永愛子展「くぼみに眠る海」@ ミヅマアートギャラリー
7月都内で観た展示まとめ。
宮永愛子展「くぼみに眠る海」@ ミヅマアートギャラリー



















宮永さんの新作展。
宮永さんのご実家は京都で100年以上続く陶芸の家。
そこにあった、初代の宮永東山(宮永さんの曽祖父)が残した石膏型。
この石膏型はフランスのセーブルで学んだ陶彫家の沼田一雅とのコラボレーションだったそうで、型には当時の洋間に飾るのにふさわしい動物のオブジェが窪みとして残っていました。
中にはパーツのないものもあり、不完全な型がほとんどだったそうだけど、その窪みに新たにガラスとナフタリンを流し込んでできたのが今回の作品です。
曽祖父とのコラボレーション。。。凄過ぎ。。。
これはもう宮永愛子個人というよりも、家という脈がないとできなかった作品だと思うと、本当に壮大なストーリーが流れていてめちゃくちゃ感動しました。。。
さらに彼女の作品は時間が大きなテーマになっているので、さらにこんなところまで行けるのかという驚き。。。
愛らしい動物たちのオブジェと時の流れが本当に美しい作品群でした。
ヴォルフガング・ ライプ @ KENJI TAKI GALLERY


地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング @ 森美術館 (-11/6)
















KENJI TAKIではヴォルフガング・ ライプの展示。
作品が相変わらずどれも可愛い。
写真作品があったけど謎だった。
そのライプが参加してる森美の企画展は中途半端過ぎた。。。
オノ・ヨーコの詩からとった「地球がまわる音を聴く」というタイトルも、副題の「パンデミック以降のウェルビーイング」というテーマもとてもいいと思うんだけど、ウェルビーイングというのがあまりにも幅が広過ぎて収集つかない感じが。。。
ライプや青野文昭等個々の作品はいいのあったものの、キュレーションの急ごしらえ感が酷すぎて見てられない。。。
それよか展望室でやってた水木しげる展の方が百倍よかった。
うつ ゆみこ写真展『いかして ころして あたえて うばって』 @ スタジオ35分






松下真理子「人間の声」@ KEN NAKAHASHI


渡辺泰子 「渡辺 泰子「A MAP THEY COULD ALL UNDERSTAND.」」@ Yumiko Chiba Associates




伊東宣明『人の写真/糞と花』@ WAITINGROOM





35分のうつさんは初めて観たけど衝撃的な世界観でした。。。
蜷川実花を思わせる毒々しい色なんだけど、内容が全く違う。
「見立て」を思わせる彫刻的な仕事なんだけどこれは写真にしかできないことをやってる。
タイトルの「いかして ころして あたえて うばって」も素敵。
松下さんの展示は現代芸術財団でも観たけど、改めて自然光の入るKEN NAKAHASHIで観ると印象が全然違う。
前の展示は所狭しと絵が並んでたけど、今回は作品数を減らしてゆっくり呼吸をしている感じ。
個人的に松下さんの絵は内容と画面の大きさが合ってない印象を持つことが多いんだけど、2枚目の写真の作品はそれが合致している感じがしてとても好きな作品。
今後も楽しみな作家さんです。
渡辺さんは初めて観たけど、折り紙から着想を得た作品で、他にも作品観てみないとなんとも。。。
写真を折った作品が素敵でした。
伊東さん、昔から観てますが作品どんどん進化してて凄い。
というか、なんか吹っ切れてる感覚すらある。
今回のメインの映像はめちゃくちゃキモかったw
個人的には奥にあった「時は戻らない」が好きでした。
「いあなろどまうぃこt」と言った言葉を逆再生すると「時は戻らない」と聞こえる映像作品。
ANB Open Studio vol.1 @ ANB Tokyo 7F STUDIO 2







最後にうちの常連の横村葵さんの参加している六本木のオープンスタジオへ。
六本木の好立地に建つビルに丸々入ってる謎のアート財団。。。
そこの上のフロアをスタジオとして数ヶ月24時間使えるという謎の企画。。。
横村さんは最近入ったばかりなんだけど早速展示があるというので行ってきました。
最初はワンルームの自室に飾るために描いてた絵がこんなことになるなんて。。。
彼女の初個展から観てる自分としてはなんだか感慨深い。。。
ってその個展も3年前とかなので、急成長です。
今回はせっかくスタジオを借りてるので、初の50号に挑戦されてましたが、まるでこれまでの絵をドラえもんの道具で大きくしたみたいな不思議な感覚がありました。
実際はわかりませんが、これまでより大きい画面だからという気概もほとんどなく、いつも通りの横村さんの絵があってびっくりしました。
そりゃいつもより大きいので要素も多いんだけど、テンションが変わってなくて凄い。
これ、どこまで大きくなったらこれまでと変わってくるのかとても興味が湧いてきました。
お隣の宇多村英恵さんの絵もいいな、と思ってたら、2018年のshiseido art eggで賞とってる人なんですね。
サイト覗いたら絵だけでなく色んなメディアやってるっぽくて興味深い作家さんです。こちら。
宮永愛子展「くぼみに眠る海」@ ミヅマアートギャラリー



















宮永さんの新作展。
宮永さんのご実家は京都で100年以上続く陶芸の家。
そこにあった、初代の宮永東山(宮永さんの曽祖父)が残した石膏型。
この石膏型はフランスのセーブルで学んだ陶彫家の沼田一雅とのコラボレーションだったそうで、型には当時の洋間に飾るのにふさわしい動物のオブジェが窪みとして残っていました。
中にはパーツのないものもあり、不完全な型がほとんどだったそうだけど、その窪みに新たにガラスとナフタリンを流し込んでできたのが今回の作品です。
曽祖父とのコラボレーション。。。凄過ぎ。。。
これはもう宮永愛子個人というよりも、家という脈がないとできなかった作品だと思うと、本当に壮大なストーリーが流れていてめちゃくちゃ感動しました。。。
さらに彼女の作品は時間が大きなテーマになっているので、さらにこんなところまで行けるのかという驚き。。。
愛らしい動物たちのオブジェと時の流れが本当に美しい作品群でした。
ヴォルフガング・ ライプ @ KENJI TAKI GALLERY


地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング @ 森美術館 (-11/6)
















KENJI TAKIではヴォルフガング・ ライプの展示。
作品が相変わらずどれも可愛い。
写真作品があったけど謎だった。
そのライプが参加してる森美の企画展は中途半端過ぎた。。。
オノ・ヨーコの詩からとった「地球がまわる音を聴く」というタイトルも、副題の「パンデミック以降のウェルビーイング」というテーマもとてもいいと思うんだけど、ウェルビーイングというのがあまりにも幅が広過ぎて収集つかない感じが。。。
ライプや青野文昭等個々の作品はいいのあったものの、キュレーションの急ごしらえ感が酷すぎて見てられない。。。
それよか展望室でやってた水木しげる展の方が百倍よかった。
うつ ゆみこ写真展『いかして ころして あたえて うばって』 @ スタジオ35分






松下真理子「人間の声」@ KEN NAKAHASHI


渡辺泰子 「渡辺 泰子「A MAP THEY COULD ALL UNDERSTAND.」」@ Yumiko Chiba Associates




伊東宣明『人の写真/糞と花』@ WAITINGROOM





35分のうつさんは初めて観たけど衝撃的な世界観でした。。。
蜷川実花を思わせる毒々しい色なんだけど、内容が全く違う。
「見立て」を思わせる彫刻的な仕事なんだけどこれは写真にしかできないことをやってる。
タイトルの「いかして ころして あたえて うばって」も素敵。
松下さんの展示は現代芸術財団でも観たけど、改めて自然光の入るKEN NAKAHASHIで観ると印象が全然違う。
前の展示は所狭しと絵が並んでたけど、今回は作品数を減らしてゆっくり呼吸をしている感じ。
個人的に松下さんの絵は内容と画面の大きさが合ってない印象を持つことが多いんだけど、2枚目の写真の作品はそれが合致している感じがしてとても好きな作品。
今後も楽しみな作家さんです。
渡辺さんは初めて観たけど、折り紙から着想を得た作品で、他にも作品観てみないとなんとも。。。
写真を折った作品が素敵でした。
伊東さん、昔から観てますが作品どんどん進化してて凄い。
というか、なんか吹っ切れてる感覚すらある。
今回のメインの映像はめちゃくちゃキモかったw
個人的には奥にあった「時は戻らない」が好きでした。
「いあなろどまうぃこt」と言った言葉を逆再生すると「時は戻らない」と聞こえる映像作品。
ANB Open Studio vol.1 @ ANB Tokyo 7F STUDIO 2







最後にうちの常連の横村葵さんの参加している六本木のオープンスタジオへ。
六本木の好立地に建つビルに丸々入ってる謎のアート財団。。。
そこの上のフロアをスタジオとして数ヶ月24時間使えるという謎の企画。。。
横村さんは最近入ったばかりなんだけど早速展示があるというので行ってきました。
最初はワンルームの自室に飾るために描いてた絵がこんなことになるなんて。。。
彼女の初個展から観てる自分としてはなんだか感慨深い。。。
ってその個展も3年前とかなので、急成長です。
今回はせっかくスタジオを借りてるので、初の50号に挑戦されてましたが、まるでこれまでの絵をドラえもんの道具で大きくしたみたいな不思議な感覚がありました。
実際はわかりませんが、これまでより大きい画面だからという気概もほとんどなく、いつも通りの横村さんの絵があってびっくりしました。
そりゃいつもより大きいので要素も多いんだけど、テンションが変わってなくて凄い。
これ、どこまで大きくなったらこれまでと変わってくるのかとても興味が湧いてきました。
お隣の宇多村英恵さんの絵もいいな、と思ってたら、2018年のshiseido art eggで賞とってる人なんですね。
サイト覗いたら絵だけでなく色んなメディアやってるっぽくて興味深い作家さんです。こちら。
山本恵展 -TREATMENT ROOM- @ GULI GULI
















































お盆の初めに大阪弾丸帰省してきました。
と言っても帰省はあくまでついで。
最大の目的は山本恵さんの個展!
実は来夏うちで展示して頂くのですがなんと実際に作品を拝見するのは初でして。。。
第一回のたまけんさんが紹介してくれたiTohenの鰺坂さんが紹介してくれた作家さん。
画像を拝見した時点で好き!となり、実物拝見する前に決めてしまったのです。
来春の池田慎さんもこの4月の個展でようやく実物拝見したばかりで、こちらもその前に決めてたのですが、お二方共に関西なのに今までなんで存じ上げなかったのか。。。
そんなわけで行ってきました。
場所は大阪の池田市にあるGLIGULIというギャラリー。こちら。
大阪以外の人で池田市って言われてもピンと来ないだろうけど、僕は高校も昔住んでた家も近くて、昔付き合ってた人が住んでたりととっても馴染みのある阪急宝塚沿線の街。
これまたこんな場所があったなんて知らなかった。。。いつからあるんだろ?
結構広くて、緑生い茂る庭にギャラリーとショップとカフェがあります。
ギャラリーも広い!
大きなガラス窓から緑が映えます。
そしてついに山本さんの作品とご対面!
作品数かなり多いんですが、どれをとっても素晴らしかった。。。
コーネルとか好きな人は絶対ハマると思います。
特に宙に吊られてる作品は小宇宙のようで見惚れました。
1つ1つディテールが細かくて見ても見ても目が追いつかない。。。
中々言葉にできずにもどかしいんですが、こんな素敵な作品がうちの店にやってくるのかと思うとワクワクが止まらなかったし、嬉しくて嬉しくて仕方なかったです。
いつまでもいたいぐらい心地いい世界観で、会場を後にするのが後ろ髪引かれる思いでしたが、大興奮で本当に来た甲斐がありました。
8月14日で展示は終わってしまいましたが、観れなかった人は来年のうちの個展楽しみにしててください!
最後は隣のカフェでケーキセットで〆ました。

フィン・ユールとデンマークの椅子 @ 東京都美術館



























前記事のプルーヴェ展に続き、デザイナーのフィン・ユールの展覧会。本当に楽しみにしていました。。。
蓋を開ければ「痒い所に手が届く」期待以上のものでした。
デンマーク家具がお好きな方なら120%楽しめる内容だと思います。
デンマーク、2度ほど行ってるのですが、当時は家具とかほとんど興味なかったんですよね。。。
オーフスも行ったのにヤコブセンのオーフス市庁舎すらスルーしてる体たらくぷり。。。
またリベンジしたいです。。。
興味持ち出したのはお店出すってなって家具を調べ始めた時に出遭ってしまいました。
当然手が出る値段ではないのですが、いつか将来2号店を出す時には!
で、展示の内容ですが、コーア・クリントから始まり、ボーエ・モーエンセン、ヤコブセンにウェグナー、ポール・ケアホルムがこれでもかと並ぶ展示は圧巻。
片っ端から座りたいという欲望に駆られます。。。
そしてフィン・ユールへと続くのですが、やはりフィン・ユールは別格の美しさがありますね。。。
代表作のイージー・チェアはため息が出る曲線美。。。
これが戦争の混乱期の1945年に発表されたというのだからさらに驚き。。。
そもそもデンマークは1554年にコペンハーゲン家具職人組合というのが発足されていて、1922年から始まった展示会は1966年まで戦争中も毎年開催されてたのだそう。
そこで発表された名作椅子は数知れず。
このイージー・チェアもその展示会で発表されました。
フィン・ユールは王立アカデミーでヤコブセン同様家具科ではなく建築科で学んでいて、椅子に関しては技術的な面というより、当時活躍していたハンス・アルプやヘンリー・ムーア、バーバラ・ヘップワース等の彫刻家からの影響を多面に受けたまさに彫刻美を備えた椅子をデザインしています。
彼に影響したと思われるアルプの作品もしっかり展示されてます。
このアプローチはコリント王国だった家具科出身のデザイナーからは亜流と批判も多かったそう。
その彫刻美を実現に導いたのが職人のニールス・ヴォッダー。
1937年の出会いから1959年の20年強に渡りそのコラボレーションは続きます。
やはりヴォッダーとのコラボレーションは最高に美しい。。。
それと共にドローイングが展示されてるんだけど、めちゃくちゃうまい!!
去年観たアアルトのドローイングと比べるとレベちですw
寧ろライトのドローイングに近い緻密さがありますね。
ライトと言えば、彼の代表作落水荘に住んでいたエドガー・カウフマンJr.がユールをアメリカに紹介した最初の人と言われています。
デンマークでは亜流と言われていたユールの椅子が、アメリカの北欧家具ブームの火付け役になるというのはなんとも皮肉ですね。
ここからユールは量産型の椅子を追求していくことになります。
そのアメリカ時代の仕事の1つに国連本部の会議場のインテリアの仕事があって、これは実際見てみたい!
まず一般人が入れる場所ではないんだろうけど。。。
その後1966年の展示会終了と共にデンマーク家具は衰退し、ユールも忘れられた存在になってしまいました。
80年代に再ブームがきますが、89年に77歳で亡くなり、翌年デンマークと日本で追悼展が開催されます。
展示の最後には、なんと名作椅子に座れるコーナーが!!!
ずっと座りたい衝動に駆られてたので片っ端から座っちゃいましたw
特にコリントの椅子に座れたのはめちゃくちゃ貴重な機会でした泣
10/9まで。こちら。
ちなみに今回の展示品のほとんどが北海道にある織田コレクションから。
織田憲嗣氏の個人コレクションなんだけど凄すぎる。。。
中には億を超えるアートピース並みの椅子まであるのに。。。
死ぬまでに1つでもいいから欲しい。。。
その前にデンマークにあるフィン・ユール邸も訪れたい。
展覧会で触れられてなかったけど、なぜか高山にフィン・ユール邸の再現があるんですよね。こちら。
デンマークよりは近いのでさっきこっちかな。。。
東北へのまなざし1930-1945 @ 東京ステーションギャラリー (-9/25)

沖縄の美 @ 日本民藝館 (会期終了)

沖縄復帰50年記念 特別展「琉球」@ 東京国立博物館平成館 (会期終了)













民藝系3連発。
まずは東京ステーションギャラリーの東北展。
駅の中にある美術館だけに、地方にまつわる展示は旅に繋がって最高ですね。
特に青森に行ったばかりなのでこぎん刺しや南部鉄器の展示とかはレビューになって良かった。
この展覧会では重要人物が大きく4人います。
ブルーノ・タウト、柳宗悦、シャルロット・ぺリアン、今和次郎です。
導入となるタウトと東北の繋がりは知らなかったので新鮮でした。
タウトと言えば桂離宮というイメージでしたが、ここまで東北と関わっていたとは。
タウトの来日は3年半でしたが、その間に仙台の商工省工藝指導所でデザイン規範を約半年間指導したり、高崎でも工芸品のデザインや指導に携わり、1936年2月には版画家・勝平得之の案内で秋田を巡っています。
前半のタウトのドイツ語のキッチュに当たる「いかもの」や「はいから」という言葉を使って、日本の西洋化を批判し、「げてもの」や「ほんもの」という言葉で伝統を擁護する姿勢はとても印象的。
秋田訪問時の勝平得之との交流も丁寧に描かれていて素晴らしい展示でした。
さらにタウトが実際伝統工芸を応用してデザインした品々も展示されていて知らないタウトに出会えました。
続く展示では民藝運動に欠かせない柳宗悦の仕事を紹介し、芹沢銈介の東北図がででんと壁に展示されてて圧巻。
その後前述のこぎん刺しやこけしなどが並び、「雪調」と呼ばれる1933年に農林省が山形県新庄に設けた積雪地方農村経済調査所を紹介。
ここに招聘されたのがフランスのデザイナー、シャルロット・ペリアンでした。
山形の素材とモダンデザインを融合させた家具を発表したことはペリアン好きなら有名ですが、その背景にあった「雪調」のことはほとんど知らなかったので勉強になりました。
実際のそれらの作品を見たのも初めてだったのでとても貴重!
さらに青森出身の考現学で有名な今和次郎と資生堂のグラフィックを手がけていた弟の今純三の仕事が紹介されます。
同じく民俗学の柳田國男による「遠野物語」とかも紹介されていれば、目だけでなく耳でも収集された東北を紹介できたのにな、とは思いますが、全体通じてとても素晴らしい内容でした。
地域は飛んで沖縄。
今年は沖縄復帰50年ということで、民藝館と東博で沖縄をテーマにした展覧会が開催。
前者はものそのものの力を、後者は沖縄の歴史とそこで作られたものとの関係を見せていて、両館ともらしい見せ方をしていました。
どちらにも共通するのは、やはり沖縄が育んできた文化の豊かさです。
特に紅型には痺れました。。。
琉球展に出てた国宝にもなってる王族が着てた紅型はとんでもなかった。。。
芭蕉布も素朴で美しいですよね。
あと、石器時代に出土したジュゴンの骨で作られた蝶々の装飾品や、貝でできたスプーンなど、他の地域では見られないようなものも出てて興味深かった。
東博のは終わっちゃったけど巡回展が九州国立博物館で9月4日まで開催中。
ガブリエル・シャネル展. Manifeste de mode @ 三菱一号館美術館 (-9/25)

行ったことも忘れかけてた。。。
日本では32年ぶりの展覧会ということで行ってきましたが、考えたら僕ココ・シャネル自身には興味あるけどシャネルというブランド自体にはそんなに興味ないことに観ていて気づきました。。。
なので感想はほぼ無し。
12月から都現美でやるディオール展は少し楽しみ。
以上!
ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで @ 東京都現代美術館

現在都内では2人の偉大なデザイナーの展覧会が開催中です。
1人は東京都美術館で開催中のフィ・ユール。(詳細は後記事にて)
そしてもう1人が今回紹介する都現美で開催中のジャン・プルーヴェです。
デザイナーの展示って、大体模型とか図面とかばかりで、展覧会で見るにはつまらない展示が多いんだけど、このプルーヴェ展は一味も二味も違います。
なんせタイトル通り「椅子から建築まで」の「実物」が大量に来てるんです。
これを実現させたのは本当に凄い。
終始ただただありがたさしかない展覧会でした。。。
まず前半は家具の展示。
これは「実物」が来て当然ちゃ当然なんですが、ちゃんと部屋の設えとして展示されてるのは尊い。
建物に設置する系の家具も多いので日本だと難しいものも多いんだけど、やっぱりプルーヴェのデザインは美しい。。。








自転車や脚立までプルーヴェなのマジで凄い。。。



「シテ」チェア(1932年)から「コンフェレンス」チェアNo. 355(1954年)まで椅子のデザインの変遷が実物でもって示される展示凄すぎた。。。
ああああ、、、スタンダードチェアいつか欲しい。。。








後半は建築。
自身のことを「構築家(constructeur)」と名乗っていただけあって、彼の建築は建築というより構築物。
特に構造となる部材にも細部までこだわりがあり、それらの部材がこれでもかってぐらい展示されてて、プルーヴェ展ならではだなぁと。
普通の建築家だったらこんな構造部材展示されてもは?って感じですが、プルーヴェの部材はどれもが個性的なので展示物としても成立するのです。
はぁぁああどれもこれも美しい。。。






展示はクライマックスに向けて、どんどん展示もスケールアップしていきます。。。
プルーヴェ建築は自分たちだけで組み立てられるものが多いので、こうして美術館の中でも組み上げられるのです。




そしてラストはなんと建築そのものが展示されてる。。。。凄いーーーーー
これはジャン・プルーヴェとピエール・ジャンヌレによって共同設計された「F 8x8 BCC組立式住宅」(1942)で、珍しく木材が使われてます。
前の展示室にて、「土地に痕跡を残さない建築をつくりたい。」という言葉が掲げられてましたが、まさにこの建築は土地に「置く」建物だからこそ、この吹き抜け空間に展示できてるのです。
最強のクライマックスでした。。。







最後の最後にプルーヴェのドキュメンタリーフィルムが上映されてるのですが、その椅子もプルーヴェ。。。完璧かよ。。。

本当に控えめに言って完璧な展覧会でした。。。
展示が進むにつれて展示物がスケールアップしていく流れも完璧。。。
実現してくれて本当にありがとう。。。
この展覧会は10月16日まで。こちら。
都美館のフィン・ユール展と合わせてどうぞ。こちら。
ちなみに今回この2つの展覧会は、裏表で1枚のチラシとかもあって、都美館と都現美の絆を象徴しているようでした。
実際現在都現美で開催中の「コレクションを巻き戻す 2nd」と題されたコレクション展も、都現美の前身である都美館の歴史を振り返るような展示なので都現美行ったら必ず観ましょう。こちら。
モネからリヒターへ―新収蔵作品を中心に @ ポーラ美術館

前回のロニ・ホーンに続き今年2度目のポーラ美術館へ。
2002年の開館以来今年で20年ということで、全館挙げてのコレクション展を9月6日まで開催中です。こちら。
今回の目玉は何といってもタイトルにもなってるリヒターの「Abstraktes Bild (649-2)」(1987)。
この作品は、2020年10月6日に行われたサザビーズ香港のイブニングセールでなんと約30億で落札したものです。
化粧品ってコロナでかなり低迷してると思うんだけど、そんなのお構い無しのこの値段。。。凄すぎる。。。
この作品がいつ公開されるのかファンたちは固唾を飲んで待ち望んでいましたが、ついにそのお披露目の時がやってきたのです。
まずいつもと違う入口から入っていつものチケットカウンターへ。

同フロアで展示されてるのは三島喜美代の陶作品たち。
相変わらず変態的な仕事です。。。(褒めてる)





ケリス・ウィン・エヴァンスも青木野枝もご健在。


そしていよいよメイン展示室。






第一部前半は西洋、後半は日本という流れ。
写真撮れないのがほとんどなのであれなんだけど、前半のジョアン・ミッチェルにやられた。。。
3連画なんだけどめちゃくちゃいい絵だった。。。
画集なんかで見ても全然伝わらないんですよね。。。
しかもその絵がモネの絵に挟まれて展示されている!
実はこの10月からパリのルイ・ヴィトン財団でモネとミッチェルの2人展が開催されるんです。こちら。
めっちゃ観たい!と思ってたところだったので、こんな形で少しですが観られてめちゃくちゃ嬉しかった。。。
偶然だとは思うけど、モネのエメラルドとミッチェルの黄色や青が空間に映える素晴らしい展示でした。
そしてマティスの「赤い室内」には雷を打たれました。。。
初めて観たけど本当に凄まじい作品でした。
絨毯のパターンは折り重なる中に人物やテーブルが赤い塊の中に線描で描かれるという今観ても斬新過ぎる発想だし、天才的なバランスで成り立ってて凄すぎた。
そんなもの観てしまったもんだからそこから続く同時代の日本絵画が暗すぎて笑えた。。。
岸田劉生に村山槐多、佐伯祐三に松本竣介、坂本繁二郎、、、。
そんな中藤田嗣治(レオナール・フジタ)はやはり異端児。
一室丸々フジタなんだけど、その真っ白な世界は同時代の日本には全くない色でした。
続いてフロア変わって第2部。
アンフォルメルや具体等日本の前衛コレクション。
アンフォルメルはほぼ興味ないんだけど、猪熊弦一郎の作品にはハッとさせられるものがありました。
あとその元祖のフォートリエやデュ・ビュッフェは案外軽やかなのに、日本に入ってきた途端に重く暗くなる現象が面白かった。
そしてラストは李禹煥の珍しい木彫っぽい作品や、中西夏之と白髪一雄。
白髪さんの作品は彼の作品の中でも綺麗目な作品で、ポーラの嗜好を感じさせます。



そしていよいよ目玉のリヒターなんですが、この部屋が神空間過ぎてどうしようもなかった。。。
だって、リヒターだけじゃなくて、モーリス・ルイス、ヘレン・フランケンサーラー、ドナルド・ジャッド、ブリジット・ライリーに、なんとなんとアニッシュ・カプーアまで!!!!
上のフロアから降りてくる時に、その部屋の入口に「アニッシュ・カプーア」って文字を見つけて動揺が収まらず、正直前述のアンフォルメルの部屋は全く集中できずにほとんどスルーしちゃってました。。。
この空間一生いられるぐらい素晴らしかった。。。
カプーアは相変わらず神だし、ジャッドはかなり珍しいタイプの作品だし、ルイスとフランケンサーラーはめちゃくちゃでかい画面でいつまでも観てられる。。。
特にフランケンサーラーは国内で中々観られないので超超貴重。。。
そして目玉のリヒターの絵もそこまで大きな絵ではないのに、物凄い情報量。
アブストラクトの脂が乗ってる時期の作品なので見応えがあります。
いやはや、もうこの部屋だけでポーラのすごさを思い知りました。。。






その後もハマスホイとリヒターだけの超絶贅沢な部屋があったり、杉本博司のニュートンによるプリズム実験を基にした「Opticks」シリーズがずらりと並んでいたりとポーラまじで凄すぎた。。。
最後はまた遊歩道を散歩して、スーザン・フィリップスのサウンドインスタレーションに囲まれたり、ロニ・ホーンの「鳥葬」を拝んだりして終了。
超充実のコレクション展でした!!!





ところで夏の箱根、どうなんだろうと思ったらまさかの涼しさに感動しました。
特にポーラ美術館周辺はちょっと肌寒いぐらいの気候で最高でした!
冬もいいけど夏も避暑に使える最高スポットですね!
写真は部屋風呂つき旅館の舟盛りを前にご満悦な筆者近影w

『ライアン・ガンダー われらの時代のサイン』『ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展』 @ 東京オペラシティ アートギャラリー






























昨年開催のはずがコロナにより延期になっていたオペラシティアートギャラリーのライアン・ガンダー展が遂に開幕しました!
まあ、予想通り会場はカオスw
細かいものが多くて解説なければ何個かすっ飛ばします。
実際、最初は何も見ずに見つけたものだけ鑑賞するスタイルで最後まで突っ走ったんですが、その後解説見たらあるわあるわ見逃し作品w
とはいえ解説読んでも「ちょっと何言ってるのかわからない」の連続なんですが。。。
個人的に途中にあった作家のステートメントが素敵過ぎたので長いけど全文引用しちゃいます。
これは雪玉だ・・・・・瓶に入った水ではなく。瓶に入った水のように見えるかもしれないが、これは雪玉だ。
数ヶ月前、嬉しい知らせがあった。私は父親になるのだそうだ。その夜、私はお祝いにちょっと飲んだ。気づいたら私はアパートの外にいた。しばらく雪嵐があった後で、少々酔っ払っていて、私の中の子供が雪玉を道に投げようと決めた。庭の塀のところで雪を集め、雪玉を丸め始めたが、それを投げようとした瞬間、なにか妙な感傷に見舞われた。私は雪玉を手から放すことができなかった。恐ろしく冷たかった。とはいえ、私は投げられなかった。
こいつをこのまま溶けさせてしまうというのが嫌で、だから台所に急ぎ、保存するものを探しに行った。水漏れしない、ほどよい大きさのもので唯一見つかったのは、この間までフランス製のドライ・プルーンを入れていた瓶だった。残念なことに底にはプルーンのかけらが残っていて、あの純粋さを損ねてしまうことは頭によぎったが、時間は過ぎ、雪玉は溶け始め、瓶を洗う時間はもうなかったから、それに入れた。その後、私は雪玉を入れたその瓶を、凍ったままだろうと信じてアパートの表玄関の外の階段に置いた。翌日、ひどい二日酔いとともに起きたら、それは溶けていた。奇妙なことに、雪玉が溶けた水の分量は、瓶の四分の一ほどだった。どういうわけか、雪玉はもっと大きいはずだと思っていた。ちょっと少ないのでは、また道に出てもっと雪を集めて詰めようかと思ったほどだった。そうはしなかった。
なぜこの話をするかというと、この瓶、つまり入っている四分の一の汚れた水は、私にとって信じるということの具現だからだ。あなたはこの液体が、私が話した通りのものだと信じている。いろいろな点で、この瓶は美術作品のようだ。これが美術作品だと言っているのではないーーー混乱しないでほしいーーー私はただ、美術作品のようだ、と言っているのだ。仮に私がアーティストだとして、あなたが観客、この物体が渦中にある作品だとすれば、そこには信頼、信用、確信といった要素による方程式ができあがる。雪を足してもっと量を多く見せることもできたはずだし、いっそ蛇口の水だってよかった。そうだろう?この物体に対するあなたの信頼、この瓶に雪玉が入っていることへのあなたの信頼とそれを認識して心に描くこと。そこに加わっている鑑賞を含めこの物体のバックストーリーへのあなたの信頼は、それを芸術として制作し解釈することとと本質において大きく関わるのだ。
今夜はたくさんの人が祝杯をあげるだろう。ここにいる人たちも。そこで私はあなた方に別の乾杯を贈りたい。観客の皆さん、時間を惜しむことなく、知性に意欲的な観客の皆さんに。共犯関係になり、複雑でいてくれる鑑賞者の皆さん、5秒の情報や未成熟なもの、センセーションや表層的なものを求めるのではなく、もっとそれ以上の、なにか深みのあるもの、不可解でまだ知らないものを求める鑑賞者の皆さんに乾杯を。アーティストの仕事を信じ、それに時間を費やし、エネルギーと好奇心を注いでこの壮大な方程式を完成させてくれる鑑賞者の皆さんに。
乾杯・・・・観客の皆さんへ。
これ冒頭にあったらよかったのになんでここ?って場所に掲示されてるんですよね。。。謎。
そもそも雪玉が入ってたらしき瓶もないしね。
でもまあ、この文章にはアートを鑑賞する際のお手前が書かれているように思います。
信じること。
これに尽きるかと。
たまに作家の作品解説読んで、本当に?と疑ってかかる人いますが、僕的には損してるなぁと思います。
ドビュッシーの言葉に『芸術とは最も美しい嘘のことである。』という言葉がありますが、アートを前に一度バカになってみるのが、特に現代美術においては必要な作法だと思います。
特にガンダーの作品はそういう作法がないと受け入れられないかとw
実際会場には解説を必死に読みながら作品を鑑賞してる人が多数で、とても美しい空間になっていました。
作品個々を挙げていけばキリがないんだけど、岡山芸術交流で観た「編集は高くつくので」がこんな形で展示されるのが新鮮だった。流石に床は削れないものね。。。
そして前述のテキストから雪にまつわる作品や石にまつわる作品がロマンティックだった。
雪玉とか石とか、田中功起さんの作品や、さらにその元となったつげ義春の「無能の人」を思い出させました。ガンダー読んだことあるかな?
最後の自販機のテキストも秀逸w
あと、実はいくつか見つけられない作品もありました。。。
「時間にともなう問題」と「郵便配達人は二度ドアを叩く」。
前者は一卵性の双子が入口と出口に立ってるってものなんだけどオープニングだけなのか?
後者はブロンズの輪ゴムらしいんだけど全然わからなかった。。。
見つけた人教えてください。
さらに二階では昨年に引き続きガンダーによるコレクション展示が開催中です。
って、去年と一緒やん!って思ったんだけど、帰って去年のブログの写真見たら作品が左右対称に掛けられてる!!(去年の展示はこちら)
これ会場で気付く人はほとんど皆無かと。。。凄い。。。





さらにもういっちょガンダーの展示が六本木のTARO NASUでも開催されてました。
オペラシティで観た要素がいくつかあるけど(割れたガラス、壁に擦り付けられたグラファイト、コイン等)、なんか微妙に違ってる。。。
特に床に散らばったコインは、オペラシティにもあったけど、それとは違っていて、どこの国のものなのかわからない、多分オリジナルコインなんだと思うけど、これも売り物なのかな?おもろー!
他にも壁にはグラファイトの平面が並んでたり、ロボットみたいなのがあったりした。意味は不明w
こちらはほぼ解説ないので解釈大変ですが、ありのままを受け止めましょうw







オペラシティの展示は9月19日まで。こちら。
TARO NASUの展示は会期終了済。こちら。
再開ととんちピクルスライブ!





本日より再開します。
搬出も無事終わりました。改めて短冊の量がすごかった。。。
短冊いなくなった店内、やや寂しいですがまた常設展示となっております。
展覧会期間以外は水・日曜がお休みなのでご注意ください。
来月は、3.5周年と僕の誕生日も兼ねてとんちピクルスのライブを開催します!
とんちピクルスA’holicライブ
日 時 2022年9月24日(土) 16時開場16時半開演
場 所 A'holic
出 演 とんちピクルス
料 金 2500円(完全予約制・先着10名) *別途ドリンクのご注文をお願いします
ご予約・お問合せ info@aholic.tokyo、SNSのDM、または店頭で。お名前・人数・電話番号をお伝えください。

夏メニュー(カレー定食、日本酒、ミックスジュース)は8月31日まで!



大坂秩加個展「短冊にぎりしめて雨 2022」終了しました。

昨日をもちまして、大坂秩加個展「短冊にぎりしめて雨 2022」終了しました。
お越し頂けた方々、また作品ご購入頂いた方々、誠にありがとうございました。
豪雨のBGMの中、まるで縁切り神社のような空間で、一体何なんだよこの店はって感じでしたが振り切れて最高でした笑
前回の今村展とは真逆のボリューミーな展示で僕自身も大満足。
また今回はお客様に短冊を書いてもらうという参加型の企画でもあり、天井に吊るされた膨大な酒場み溢れまくりな短冊を眺めながら改めて酒場をやってて良かったと思えました。
さらに大坂さんとはこの店で出逢ったこともあり、お店やってなかったら出逢えなかった数々のご縁に改めて感謝感謝です。
大坂さんは物凄く筆の早い人で、これだけ緻密な絵を猛スピードで描いてくるので僕もついて行くのに必死でした。
今回大坂さんにとっても初めて他人の言葉で作品を作るという挑戦もあり、それがうちの展示で実現できたことはとても嬉しい出来事でした。
またお店にはとんちさんの音楽が戻ってきます。そして9月にはライブも。。。それはまた後ほど!
次の展示は10月を予定してます。お楽しみに!
お店は搬出作業のため8月14日(日)までお休みです。
15日(月)からは水曜と日曜がお休みになります。よしなに!



















