原田裕規「Waiting for」@ KEN NAKAHASHI
3月に観たギャラリーの展示たち。
自分と同年代から下の世代の作家さんの展示を中心に。
原田裕規「Waiting for」@ KEN NAKAHASHI

近年ますます大活躍の原田さん。
金沢に京都に広島にと個展バンバンやっててすごい。
今回京都で見逃した「Waiting for」を新宿で観られるということで。
ギャラリーの壁に3台の4Kモニターが並んでるシンプルな構成。
画面にはどことも言えない楽園的な風景がひたすら流されています。
ヘッドホンをつけると作家がひたすら動物の名前を呟いていて、それがまた心地よくて一生観てられる。
でもこれ実は33時間19分26秒もあるんですよ!!!
この時間はなんと作家が地球上にいる全ての動物の名前を読み上げるのにかかった時間。すごい。
そしてこの映像は「レンダリング・ポルノ」という技術で作られた架空のアニメーション。
前回の「One Million Seeings」もそうだけど、原田さんは作品の中で、「地球に残された最後の一人」という設定を引き受けてる感覚がありますね。
今作も映像には人間はおろか動物の姿もなくて、ひたすら原田さんの動物の名前を読み上げる声だけが存在している。
「あの世」や「彼岸」、「地の果て」を思わせる世界観。4月10日まで。
小寺創太 個展「調教都市」@ Token Art Center






友人のツイートで見て気になりまくってた展示。
曳舟駅から徒歩10分にある一軒家を改装して作られたToken Art Centerにて。
ここは2019年オープンのプロジェクトやインスタレーションベースの発表の場として作られたそう。
到着すると看板は出てるけどドアが黒い布で覆われてる。
中を開けるとおぞましい光景が。。。!!
なんと手足を拘束された作家本人が黒マスクとホットパンツで変な台座に横たわってますw
これ知らずに近所の人入ってきたらどうなるんだろうw
この台座は都市に蔓延ってる「排除アート」を模したもの。
「排除アート」に関しては美術手帖に寄せた五十嵐太郎氏のテキストに詳しいです。こちら。
2階には実際都市の中の排除アートと接触する様を捉えた作家のポートレート写真。
いやはや排除アートを誤読してSM道具に変換してしまうというのがなんとも爽快。
批判もありユーモアもありとてもウィットに富んだ作品。
そしてギルバート&ジョージより過激な方法で作家自ら彫刻と化しちゃうのが凄い。
昨年修士を修了したばかりの若い作家さん。今後も期待ですね。
こちらは4月2日まで。土日祝日のみ。
完璧に抗う⽅法 – the case against perfection – 平野泰子/衣真一郎「風景(私は知っている/整理できない)」@ あをば荘




こちらも押上から14分ほどの一軒家(店舗?)を改装したギャラリー。
このエリアこういうの多いな。
図師雅⼈・藤林悠による企画で2人展を隔⽉で開催しているシリーズで、今回後輩の平野さんが展示してるので来ました。
平野さんの絵は一見単調な色彩に感じるのですが、よくよく見るとキャンバスの縁にはみ出た黄色や赤を見出して、この色調は色が重なってできた結果なのだとわかります。
見れば見るほど吸い込まれていくような深い絵画面はさすが。
しかも今回自然光が入ってるので余計それが強調されてるのかも。
小さめの作品が素晴らしかったです。
もう一方衣真一郎さんは結構カラフルな作品で、色の対比を見せたかったのかわからないけど、正直この組み合わせはよくわかりませんでした。
会期終了。
中村裕太「万物資生|中村裕太は、資生堂と を調合する」@ SHISEIDO GALLERY







中村さんは同じ大学の同級生なんだけど、陶芸出身で、陶を軸にして多様な表現を繰り出してくるのに毎回驚かされます。
今回も、資生堂の歴史をめちゃくちゃマニアックに解析して、会場構成も博物館みたいになってて流石の展示。
まあ、テキスト多いし派手さはないので一般受けは厳しいけどw
会場で配られてるハンドアウトは資生堂の歴史を詳しく知れてこれだけでも価値あり。
5月29日までなので銀座行ったらぜひ。
大山エンリコイサム「Paint Blister」@ NADiff a/p/a/r/t








こちらも同い年のやっぱり気になる作家さん。
今回は「気泡」がテーマらしいのだけど、QTSがブレないのに対して支持体とかが多様過ぎてイマイチ集中できない。。。
もちろん一個一個はいいんだけど、ひたすら実験を繰り返してるような感じがしてもう少しシンプルに観せて欲しいなぁというのが観客としてのワガママ。
会期終了。
「接近、動き出すイメージ」@ トーキョーアーツアンドスペース本郷










先日内覧に行ったVOCA2022に出てたユアサエボシと斎藤春佳が出てるので気になって行ってきました。
まず1階ではユアサエボシの展示。
ユアサエボシは大正生まれの架空の三流画家、ユアサヱボシ(1924−1987)に擬態し作品を制作している僕と同い年の作家なんだけど、僕はこの設定の方を最近まで真に受けていました。。。
昨年ギャラリー小柳のグループ展で初めて観たんだけど、その時はへぇ、こういう画家がいたんだなぁと思って、さらに「奇想のモード」展で観て流行ってるのかな?と思い出し、VOCAで、え?どういうこと??と大混乱w
絵もなんとなく古い感じなので石田徹也的な感じなのかな?と勝手に騙されてた。。。
今回まとめて観たのは初めてでした。
ちょっとその誤解もあって冷静に観れないのでまたの機会に。。。
2階は中澤大輔の作品だけど、あまり興味持てなかったのでパス。
そして3階が斎藤春佳さん。
VOCAでは大作の絵画1点だったけど、今回はインスタレーション。
TOKAS本郷の建物の歴史から着想した展示なんだけど、正直そんなサイトスペシフィックな感じ必要かなぁ?と思ってしまいました。。。
初めて彼女の展示を観るのでなんとも言えないんだけど、もっとそういうの関係なく感覚的な展示だったらもっと良かったなぁと。
実際奥の展示はそこまで関係なく成立してるのが美しかったですし。
ちょっといくつか観てみないと評価できないですね。。。
会期終了。
「Role Play」@ PRADA青山店







自分でない理想の自分に「なりきる」をテーマにした展覧会。
このテーマをプラダでやってるのは秀逸。
プラダを着ることも理想になりきる行為ですからね。
到着すると顧客情報の登録から始まります。ドキドキ。
5階に到着すると真っ青な空間が。
テーマ的に青より赤とかピンクの空間の方が合ってたと思うけど。
このテーマに澤田知子はぴったりですね。
それにしてもやっぱヘルドムの建物アガりますね。6月20日まで。
ファンダメンタルズフェスmini @ JR上野駅13番線ホーム








お店に来てくれた前川紘士君が「今こんなのに出てるんですよ」って知らせてくれた展覧会。
ざっくり言うと科学者とアーティストを掛け合わせて何かを作り出そうという試み。
場所が謎のJR上野駅13番線ホーム。。。
兎に角わけがわからないので行ってみたけど行ってもわけがわからなかったww
まだ経過報告って感じで3年ぐらいかけて何かの成果にするみたい。
この場所もほとんど電車の来ないホームらしくてめちゃシュール。。。
次回の作家と科学者も公募してたみたい。
神経美学とか非平衡物理学とか表面界面化学とか聞いたことないものばかり。。。
興味のある方はリンクで色々読んでみてください。
プレイベントのYouTubeトークとかも沢山遼さんに星野太さんとか何気に豪華。。。
風間健介 写真展「夕張」@ スタジオ35分

三重出身なのに日本を放浪した末に夕張に住み着き写真を撮り続け56歳の若さでこの世を去った風間健介の写真展。
さすが35分な展示です。
炭鉱の町として栄えた夕張は1990年に最後の炭鉱が閉山し寂れていくのですが、風間の写真にはむしろその栄枯盛衰の侘しさよりもその儚さを捉えていて物凄くロマンチックな写真。
夜の廃墟を長時間露光で撮った写真なんかは星の軌道まで捉えていて一枚の中に時間を詰め込んだような美しさがあります。
4月9日までなので是非。
写真といえば、蔦屋銀座で「石原悦郎 The Beginning of Art Photography 写真をアートにした男」という展示があると聞いて行ってきたのだけど、ショーケースにちょこっとだけ展示されてるだけだった。。。
石原悦郎は日本初のコマーシャル・フォト・ギャラリー「ZEIT-FOTO SALON」を創設したギャラリストで、オリジナルプリントの価値を日本に根付かせた伝説的な人物。
その彼のコレクションを販売するとのことでした。
石原悦郎に纏わるがっつりした展示見てみたい。
自分と同年代から下の世代の作家さんの展示を中心に。
原田裕規「Waiting for」@ KEN NAKAHASHI

近年ますます大活躍の原田さん。
金沢に京都に広島にと個展バンバンやっててすごい。
今回京都で見逃した「Waiting for」を新宿で観られるということで。
ギャラリーの壁に3台の4Kモニターが並んでるシンプルな構成。
画面にはどことも言えない楽園的な風景がひたすら流されています。
ヘッドホンをつけると作家がひたすら動物の名前を呟いていて、それがまた心地よくて一生観てられる。
でもこれ実は33時間19分26秒もあるんですよ!!!
この時間はなんと作家が地球上にいる全ての動物の名前を読み上げるのにかかった時間。すごい。
そしてこの映像は「レンダリング・ポルノ」という技術で作られた架空のアニメーション。
前回の「One Million Seeings」もそうだけど、原田さんは作品の中で、「地球に残された最後の一人」という設定を引き受けてる感覚がありますね。
今作も映像には人間はおろか動物の姿もなくて、ひたすら原田さんの動物の名前を読み上げる声だけが存在している。
「あの世」や「彼岸」、「地の果て」を思わせる世界観。4月10日まで。
小寺創太 個展「調教都市」@ Token Art Center






友人のツイートで見て気になりまくってた展示。
曳舟駅から徒歩10分にある一軒家を改装して作られたToken Art Centerにて。
ここは2019年オープンのプロジェクトやインスタレーションベースの発表の場として作られたそう。
到着すると看板は出てるけどドアが黒い布で覆われてる。
中を開けるとおぞましい光景が。。。!!
なんと手足を拘束された作家本人が黒マスクとホットパンツで変な台座に横たわってますw
これ知らずに近所の人入ってきたらどうなるんだろうw
この台座は都市に蔓延ってる「排除アート」を模したもの。
「排除アート」に関しては美術手帖に寄せた五十嵐太郎氏のテキストに詳しいです。こちら。
2階には実際都市の中の排除アートと接触する様を捉えた作家のポートレート写真。
いやはや排除アートを誤読してSM道具に変換してしまうというのがなんとも爽快。
批判もありユーモアもありとてもウィットに富んだ作品。
そしてギルバート&ジョージより過激な方法で作家自ら彫刻と化しちゃうのが凄い。
昨年修士を修了したばかりの若い作家さん。今後も期待ですね。
こちらは4月2日まで。土日祝日のみ。
完璧に抗う⽅法 – the case against perfection – 平野泰子/衣真一郎「風景(私は知っている/整理できない)」@ あをば荘




こちらも押上から14分ほどの一軒家(店舗?)を改装したギャラリー。
このエリアこういうの多いな。
図師雅⼈・藤林悠による企画で2人展を隔⽉で開催しているシリーズで、今回後輩の平野さんが展示してるので来ました。
平野さんの絵は一見単調な色彩に感じるのですが、よくよく見るとキャンバスの縁にはみ出た黄色や赤を見出して、この色調は色が重なってできた結果なのだとわかります。
見れば見るほど吸い込まれていくような深い絵画面はさすが。
しかも今回自然光が入ってるので余計それが強調されてるのかも。
小さめの作品が素晴らしかったです。
もう一方衣真一郎さんは結構カラフルな作品で、色の対比を見せたかったのかわからないけど、正直この組み合わせはよくわかりませんでした。
会期終了。
中村裕太「万物資生|中村裕太は、資生堂と を調合する」@ SHISEIDO GALLERY







中村さんは同じ大学の同級生なんだけど、陶芸出身で、陶を軸にして多様な表現を繰り出してくるのに毎回驚かされます。
今回も、資生堂の歴史をめちゃくちゃマニアックに解析して、会場構成も博物館みたいになってて流石の展示。
まあ、テキスト多いし派手さはないので一般受けは厳しいけどw
会場で配られてるハンドアウトは資生堂の歴史を詳しく知れてこれだけでも価値あり。
5月29日までなので銀座行ったらぜひ。
大山エンリコイサム「Paint Blister」@ NADiff a/p/a/r/t








こちらも同い年のやっぱり気になる作家さん。
今回は「気泡」がテーマらしいのだけど、QTSがブレないのに対して支持体とかが多様過ぎてイマイチ集中できない。。。
もちろん一個一個はいいんだけど、ひたすら実験を繰り返してるような感じがしてもう少しシンプルに観せて欲しいなぁというのが観客としてのワガママ。
会期終了。
「接近、動き出すイメージ」@ トーキョーアーツアンドスペース本郷










先日内覧に行ったVOCA2022に出てたユアサエボシと斎藤春佳が出てるので気になって行ってきました。
まず1階ではユアサエボシの展示。
ユアサエボシは大正生まれの架空の三流画家、ユアサヱボシ(1924−1987)に擬態し作品を制作している僕と同い年の作家なんだけど、僕はこの設定の方を最近まで真に受けていました。。。
昨年ギャラリー小柳のグループ展で初めて観たんだけど、その時はへぇ、こういう画家がいたんだなぁと思って、さらに「奇想のモード」展で観て流行ってるのかな?と思い出し、VOCAで、え?どういうこと??と大混乱w
絵もなんとなく古い感じなので石田徹也的な感じなのかな?と勝手に騙されてた。。。
今回まとめて観たのは初めてでした。
ちょっとその誤解もあって冷静に観れないのでまたの機会に。。。
2階は中澤大輔の作品だけど、あまり興味持てなかったのでパス。
そして3階が斎藤春佳さん。
VOCAでは大作の絵画1点だったけど、今回はインスタレーション。
TOKAS本郷の建物の歴史から着想した展示なんだけど、正直そんなサイトスペシフィックな感じ必要かなぁ?と思ってしまいました。。。
初めて彼女の展示を観るのでなんとも言えないんだけど、もっとそういうの関係なく感覚的な展示だったらもっと良かったなぁと。
実際奥の展示はそこまで関係なく成立してるのが美しかったですし。
ちょっといくつか観てみないと評価できないですね。。。
会期終了。
「Role Play」@ PRADA青山店







自分でない理想の自分に「なりきる」をテーマにした展覧会。
このテーマをプラダでやってるのは秀逸。
プラダを着ることも理想になりきる行為ですからね。
到着すると顧客情報の登録から始まります。ドキドキ。
5階に到着すると真っ青な空間が。
テーマ的に青より赤とかピンクの空間の方が合ってたと思うけど。
このテーマに澤田知子はぴったりですね。
それにしてもやっぱヘルドムの建物アガりますね。6月20日まで。
ファンダメンタルズフェスmini @ JR上野駅13番線ホーム








お店に来てくれた前川紘士君が「今こんなのに出てるんですよ」って知らせてくれた展覧会。
ざっくり言うと科学者とアーティストを掛け合わせて何かを作り出そうという試み。
場所が謎のJR上野駅13番線ホーム。。。
兎に角わけがわからないので行ってみたけど行ってもわけがわからなかったww
まだ経過報告って感じで3年ぐらいかけて何かの成果にするみたい。
この場所もほとんど電車の来ないホームらしくてめちゃシュール。。。
次回の作家と科学者も公募してたみたい。
神経美学とか非平衡物理学とか表面界面化学とか聞いたことないものばかり。。。
興味のある方はリンクで色々読んでみてください。
プレイベントのYouTubeトークとかも沢山遼さんに星野太さんとか何気に豪華。。。
風間健介 写真展「夕張」@ スタジオ35分

三重出身なのに日本を放浪した末に夕張に住み着き写真を撮り続け56歳の若さでこの世を去った風間健介の写真展。
さすが35分な展示です。
炭鉱の町として栄えた夕張は1990年に最後の炭鉱が閉山し寂れていくのですが、風間の写真にはむしろその栄枯盛衰の侘しさよりもその儚さを捉えていて物凄くロマンチックな写真。
夜の廃墟を長時間露光で撮った写真なんかは星の軌道まで捉えていて一枚の中に時間を詰め込んだような美しさがあります。
4月9日までなので是非。
写真といえば、蔦屋銀座で「石原悦郎 The Beginning of Art Photography 写真をアートにした男」という展示があると聞いて行ってきたのだけど、ショーケースにちょこっとだけ展示されてるだけだった。。。
石原悦郎は日本初のコマーシャル・フォト・ギャラリー「ZEIT-FOTO SALON」を創設したギャラリストで、オリジナルプリントの価値を日本に根付かせた伝説的な人物。
その彼のコレクションを販売するとのことでした。
石原悦郎に纏わるがっつりした展示見てみたい。
カラーフィールド 色の海を泳ぐ @ DIC川村記念美術館

久々の川村記念美術館!
2019年のコーネル展以来約3年ぶり。
なんといっても遠いので前回のミニマル/コンセプチュアル展みたく巡回ありだとどうしても足が遠のいちゃう。。。
今回のように単館開催でようやく重い腰が上がるわけです。
でも今思えば2020年の「ふたつのまどか」展とかなんで行かなかったんだろう。。。
まあ、兎に角頑張って行ってきました。
とはいえ東京駅から直通の高速バス(9:55発)も出てるし、なんだかんだで水戸芸ほども遠くないっていうね。
さて、今回の展覧会。
もうタイトル見ただけで胸熱です。
この美術館はなんといっても戦後アメリカ美術のコレクションが異常ですから、その中でもカラーフィールドをここが企画するってのは必然中の必然。面白くないわけがない。
戦後アメリカ美術大好きな僕としては見逃すわけにはいかない展覧会なのです。
会期も9月4日までと長めですが、ダラダラしてたら終わっちゃうので始まってすぐ行ってきました。
久々に来たけどやっぱりこの美術館最高。
遠いって敬遠してる場合ではないですね。反省。。。
もうコレクションの段階でやばい。
既に企画展始まっちゃってるのでは??っていうレベルの一流のコレクション。
特に今回は企画展に合わせて部屋ごとにテーマカラーを設けてたのが面白かった。
まずは「青 | 緑」の部屋のリキテンスタインの大作が最高すぎた。
イヴ・クラインやポロックも小作品といえど流石です。コーネルも相変わらず素晴らしい。
サム・フランシスなんてもう企画展の方に入れちゃってもいいレベル。
中西夏之の絵画も素晴らしかった。。。
そして「赤 | 黒」の展示室が本当に最高だった。
マグリットにマティス、カルダーの赤とケリーやマレーヴィッチの黒が対峙してるなんて贅沢過ぎる空間。。。
アド・ラインハートの黒い絵画や次の部屋にあったステラの銀色の絵画もカラーフィールド展で観せていいのでは。。。
どちらも作家の経歴的にかなりいい作品の方だと思う。これ持ってるの本当に凄まじい。。。
そして何と言ってもこの美術館の至宝中の至宝がロスコルーム。
来るたびに泣いちゃう。。。
改めて何時間でもいたい空間です。。。
ニューマンの「アンナの光」が売却された時はめちゃくちゃ悲しかったけど、このロスコルームだけはどうか手離さないでください。。。
そしてその元ニューマンルームにはライマンがかかっててとても良かった。
ここ、ニューマンなき後はサイ・トゥオンブリーの部屋になってたんだけど、個人的には今回のライマンの方がこの部屋に合ってると思う。
ライマンの白い絵画に微妙に周囲の窓から入ってくる木立の緑が反映されててめちゃくちゃ美しかった。
その傍らに西川勝人とラリー・ベルの彫刻置いてたけど余計だった。。。
とまあ、企画展始まるまでにすっかりお腹いっぱい。。。
で、いよいよ企画展の「カラーフィールド」。
この企画は前回のドロテ&コンラート・フィッシャー同様、カナダはトロントに1963年から1978年まで存在したデイヴィッド・マーヴィッシュ・ギャラリー(David Mirvish Gallery)のデイヴィッドとその妻オードリーのコレクションから。
こんなギャラリーあるの知らなかったし、こんなでかい絵たちこんなに所有してるってどんだけ。。。
このマーヴィッシュコレクションをテーマにするのは1985年のフォートワース美術館以来だそう。
今回面白いのが出展作家がアメリカに限定されてないところでしょうか。
カラーフィールド=アメリカの絵画というイメージですが、今回イギリスのアンソニー・カロの彫刻が入ってるのは斬新でした。
だだっ広い展示室に絵画だけでは心許ないところをカロの彫刻が補っててとても良かった。
フランク・ステラやケネス・ノーランド、モーリス・ルイスも相変わらず素晴らしいですが、僕が最も観たかったのはヘレン・フランケンサーラー。
彼女の作品を国内で観る機会って中々ないのでとても貴重。
アーティゾンで一点だけ観たことあるけど。
ステイニングのイメージがとても強かったのだけど、実際観てみると一つの画面の中で様々な筆致があることに気づきます。
彼女のようにアメリカではとても重要な作家なのに日本で未だにほとんど紹介されてない作家っていて、クリフォード・スティルやジョン・チェンバレンが国内でほとんど観られないのは本当に残念。
で、今回僕も知らない作家が何人か出ててとても新鮮でした。
カナダのジャック・ブッシュや東京生まれでアメリカに渡ったラリー・プーンズ、ベルリン生まれで同じくアメリカに渡ってヘレン・フランケンサーラーと共同でアトリエを使っていたフリーデル・ズーバス、そしてロシアのジュールズ・オリツキー。
特にズーバスの作品はフランケンサーラーとの類似と差異を見ていくととても興味深かったです。
というように、これまでの「カラーフィールド」のイメージを拡張するような意欲的な展覧会でとても刺激的でした。
そしてこの展覧会が川村記念美術館でやってるというのがやっぱり大きい。
少し遠いですが、ぜひ。9月4日まで。こちら。
ちなみに全日要予約制です。正直そんな密になるわけねぇだろと思いますが。。。
ついでに前から気になってた佐倉の国立歴史民俗博物館にも勢いで行ってきました。
川村記念美術館から12時50分発のシャトルバスで無料で運んでくれます。
美術館から約30分。意外に遠かった。。。
そして広すぎてびっくり。。。
帰りの東京駅行き高速バスが博物館15時発だったんだけど、全然見切れなかった。。。
また機会があれば。。。
2020年の「性差ジェンダーの日本史」を「ふたつのまどか」展と合わせて観に来れば良かったと後悔。。。
ミロ展―日本を夢みて @ Bunkamura ザ・ミュージアム

こういう巨匠系ってあんまり観ないんだけど、なんとなく気になったので行ってみました。
それにしても「日本を夢みて」とか自分で言うなよってタイトルですよね。。。
バスキアの時も「MADE IN JAPAN」だったし、なんか最近の日本は衰退が激しいからかテレビ番組とかでもやたら自国賛美のものが多くてキモいです。
英題の「Joan Miro and Japan(ミロと日本)」でええやん。
と、早速文句からですが、まあ漠然とミロを集めただけでなく、ミロと日本の関係を見せるという確固たるテーマがあるのは良かったと思います。
それにしても出品作の殆どが日本の美術館から集めてきたもので、日本ってこんなにミロを持ってるんだなぁと感心しました。
特に福岡市美術館が持ってる「ゴシック聖堂でオルガン演奏を聞いている踊り子」は素晴らしかった。
今回国立国際美術館に常設されてる陶板画が、大阪万博のガスパビリオンに展示されてたものだったっての初めて知った。。。
富山県美の「絵画(パイプを吸う男)」は森村が成りきった作品を思い出してしまうw
いっそその森村とか、ミロが影響を与えた日本人作家の作品とか展示しても面白かったのにね。
逆に日本関連の資料がスペイン側からの提供なのが面白かった。
そして何と言っても瀧口修造との友情物語はアツい。
彼が出した「ミロ」という本が世界で初めてのミロだけを扱った本なんだそうで。
アーティゾンのコレクション展でも観たけど瀧口の詩とのコラボは美しいですね。
ミロがあげた瓢箪も展示されてたし。
何かの本で読んで、瓢箪??と思ってたけどまさか実物が展示されるとはw
あと、最後の書を思わせる三連画は素晴らしかった。
以前バルセロナのミロ美術館で見た、一本の線だけで構成された三連画にすごく感動したのだけど、それを思わせる作品。
中々見ごたえのある展示でした。4月17日まで。土日祝と最終週は要予約です。
「MEMORIA メモリア」by アピチャッポン・ウィーラセタクン
アピチャッポンの新作がいよいよ日本公開。
彼の長編映画は全て観てるけど、正直「トロピカル・マラディ」以外は個人的にハマってない。。。けどやっぱりあの世界観は唯一無二。
で、その「トロピカル・マラディ」をカンヌの審査員賞に激推ししたのが当時審査員に名を連ねていて、今回主演も務めたティルダ・スウィントン。
映画観終わって知ったんだけど、彼女還暦超えてるんですね。。。40代くらいだと思ってた。。。魔女過ぎる。。。
そんな魔女、もとい、ティルダを迎えて、初めてタイから離れてコロンビアで撮影した本作。
出演陣もプロの俳優のみでタイ人は皆無。製作陣はほぼいつもの布陣。
大体こういうアート系映画で本国以外で撮影してプロの俳優雇ってってなるとこれまでの世界観が崩壊してしまうケースが多々あるんだけど、結果としてアピチャッポンはアピチャッポンのまま過ぎてめちゃくちゃびっくりした。
というかむしろ、それまでの外殻が外れて、より中身が剥き出しになった感覚すら覚えました。
コロンビアで撮ってるけど、言われなければコロンビアってわからないぐらいのさりげなさ。
まず、この映画の最大の肝は音です。
アピチャッポン本人もどこかでこの映画のことを「ミュージカル」と呼んでるらしいんだけど言い得て妙。
音、といっても音楽とかではなく深い深い静寂。
ここまで音を聴かせる映画ってそうそうない。
冒頭から、観客の衣摺れすら気になるレベルの静寂が続いて、ものすごい緊張感。
そして爆音。
そこで主人公のジェシカ(ティルダ)が飛び起きますが、観客もわ!ってびっくりする同じ体験をします。
これはアピチャッポン本人が患った「頭内爆発音症候群」に端を発するらしい。
この後ジェシカはその爆音にさいなまれつつ、それに導かれるような旅をしていきます。
で、その旅というのも相当変わってるんですよね。。。
普通のロードムービーとは全く違って、脈略がないというか、え?なんでこの人ここにいるんだっけ?っていう展開がほとんど読めません。
その間に出会いもあるんですが、エルナンという人物が2人出てきて、どちらも得体が知れない。。。
ハリウッドだったら200%恋愛沙汰になるところも華麗にスルーしちゃう。
1人目のエルナンなんてめっちゃイケメンだったのに。。。
アピチャッポン映画にあるあるな前半後半を分けるとしたらこのエルナンがいなくなるところからでしょうか。
段々ジェシカの記憶と現実の整合性が取れなくなっていきます。
「光りの墓」の兵士よろしく病院で眠りまくっていた姉も普通に生活していて、死んだと思っていた友人も生きていて。。。
本当に同じ映画なのか?ってぐらい2時間20分の中でまるでコラージュのような映像群。
最後の方のジェシカが泣くシーンの長回しとか本当にすごい。。。どうやってこんな演出できるんだ。。。
あとやっぱり2人目のエルナンの眠り(死)のシーンは凄過ぎてどうなってんの??
川の近くで眠っているというのは「ブリスフリー・ユアーズ」でも出てきたけど、全く異質なシーンになってる。
最後の最後に謎の物体が出てくるけど、「プンミおじさんの森」でも出てきたし、まあアピチャッポンだもんね、っていう不思議な説得力があったり。そこは賛否分かれるところだと思うけど。
全体通して、不気味な映画で、そういう「魔」みたいなものを描くのが本当に上手いなぁと思いました。
そして終始主人公が受身で物語のハンドリングができないまま終わります。
こういう映画って大体最後に主体性を取り戻していったりするんですが、二人目のエルナン曰く「アンテナ」のまま。
そもそも最後までこの主人公が一体何者なのかすらわかりません。
そして彼女の中に聞こえる音は、終始他の登場人物と共有できることなく。。。
この音を共有しているのは実際の観客のみという点で、観客もジェシカと共犯関係に終始立たされる体験型の映画とも言えるでしょう。絶対映画館で観るべき。
普段エンドロール見ないで映画館出ちゃうんだけど、これまた音のせいで最後の最後まで見てしまった。
森、病院、夢、眠り、記憶とこれまでのアピチャッポンの要素は踏まえつつ確実に深化した作品。
僕の中で「トロピカル・マラディ」に次ぐアピチャッポン映画になりました。
またタイで撮るのか他の場所で撮るのかはわかりませんが次回作も楽しみ。
また、都写美で「A.W.アピチャッポンの素顔」というドキュメンタリーが上映されてたので行ってきました。
「「MEMORIA メモリア」の製作準備に勤しむ姿に密着したドキュメンタリー。」
とのことだったんだけど、まだ撮影にも入ってない段階で、アピチャッポンが俳優で今作監督のコナー・ジェサップと
映画の構想やタイのこと、死生観など、プライベートな語りは貴重かも。
そして来月からイメフォで「アピチャッポン・イン・ザ・ウッズ2022」と題して「真昼の不思議な物体」、「プンミおじさんの森」、「光りの墓」、「アピチャッポン本人が選ぶ短編集」が上映されます。こちら。
特に短編集は嬉しい!こちら。
当初「世紀の光」が上映されるはずだったんだけど適切な劇場用上映素材が提供されていなかったことがわかったために中止となり、急遽差し込まれたらしい。
「ブリスフリー・ユアーズ」と「トロピカル・マラデイ」がないのが残念だけど、こちらは4Kリマスター中らしくて近々なんらかの発表があるとか。DVD化希望!!
「うたうひと」by 濱口竜介・酒井耕
濱口監督、米アカデミー賞国際長編映画賞受賞おめでとうございます!!
作品賞はもちろん他にノミネートされていた監督賞や脚色賞も獲って欲しかったけど。。。
それにしても今や飛ぶ鳥を落とす勢いの濱口監督。
日本アカデミー賞はどうでもいいんだけど、各国の賞を総なめにしていて本当にすごい。
そんな中「言葉と乗り物」と題して濱口竜介特集上映が全国巡回中。こちら。
東京だと今も「偶然と想像」がロングラン上映中のル・シネマにて開催中。
僕も2018年の濱口竜介特集の時に見逃した「うたうひと」をようやく観ることができました!
「うたうひと」は「なみのおと」「なみのこえ」と並んで東北三部作と言われています。
震災の年に濱口さんと酒井さんが津波被害を受けた三陸沿岸部に赴き撮った作品。
「なみのおと」と「なみのこえ」は被災者の方々の対話を撮ったもの。
その際に「被災者」と一言では片付けられない問題に直面したと濱口さんは語ります。
『なみのおと』『なみのこえ』撮影において、震災後、カメラの前で被災体験を語ってくれる人を探すことはそもそも、簡単ではなかった。2011年5月に東京を発って仙台入りした当初、僕が「被災者」だと思っていた仙台市に暮らす人たちから聞いたのは以下のような言葉だった。「市街の被害はたいしたことない。一ヶ月くらいライフラインが止まったりはしたけど、沿岸部の人たちのことを思えば全然たいしたことない」。
彼らは話を聞くなら沿岸部の人たちに、と言った。そして沿岸部で、浸水を受けた人の話を聞けば「家を流された人を思えば、うちは随分マシだ」と言う。果たして家を流された人のに話を聞けば「うちは皆無事だからね。親しい人や家族を亡くした人のことを思えば、落ち込んでられない」と言う。そして親しい人を亡くした人は「海に呑まれたあの人はどれだけ苦しかったろう」と言った。誰しもが「(想像上の)自分より強く被災した他者」への配慮があった。当初は聴きながら、段々波に呑まれた人たちの死がまさに「被災の中心」として提示されるに至って、聞くべき対象が消失してしまったような印象を受けた。この「より苦しい思いをしたであろう」他者を想像することが、人の口をつぐませているように思えた。
(「カメラの前で演じること」より)
「被災者」と言う言葉では到底収まりきれないレイヤーがあります。
この当事者問題は当時各所で勃発していたことを僕も思い出します。
そこで彼らは「被災者」としてではなく、一個人として撮影に応じてもらうことにして、対話という形で撮影に臨みました。
その時濱口さんと酒井さんの間で使われるようになった言葉が「いい声」でした。
この「いい声」の発生源は何だろうと自問して出た答えは、対話者間の「聞く」「聞かれる」の関係にあるということでした。
そこから導かれるように撮った作品が「うたうひと」なのです。
「うたうひと」は他の東北三部作とは趣が違います。
そもそもこの映画は東北で撮ったということには変わりないものの、直接的に震災を扱っていません。
この映画の主題は民話語りです。
しかも主人公は民話を語るおじいちゃんやおばあちゃんではなくそれを聞く小野和子さんという一人の女性。
彼女は岐阜の高山から仙台に移り住み、山間部や沿岸部の村々に伝わる口承の民話に魅せられて、埋もれている民話を探して訪ね歩き、今では「みやぎ民話の会」の顧問。
子供の頃に聞かされた些細な話に価値を見出して聞きに来る小野さんを最初は訝しがってた人々もやがて彼女を受け入れ、忘れかけていた記憶を呼び覚まして、人によっては100も200も語るようになりました。
映画の中で出てくるのは伊藤正子さん、佐々木健さん、佐藤玲子さん。
この三方が小野さんの前で民話を語るわけですが、その際の小野さんの「聞き方」が独特。
普通こういう話聞く時って静かに聞き入るようにして聞くと思うんですが、小野さんは常に相槌を打ったり大いに笑ったり補足したりするんです。
そして「あの話聞きたい」と、まるで子供のように彼らに乞います。
そのリクエストに応じるように語りが始まります。
そしてこの語りも凄い。
小野さんが見出した中上健次のテキストがあります。
語りとは個人ではなく、背後に一種共同体のような、いや、人と人が集まった複声のようなものが、語る<私>を差し出しているのである。語りとは単声ではない。
(中上健次「短編小説の力」より)
語るということは、沢山の人の思いを背負った物語を、背中に背負っているんだと。自分で話して、自分の声で、自分の言葉だと思い込んで語っているけれども、実はそうではなくて、沢山の人の声が自分がして、そして、そういう風に出している自分をそこに差し出していることなんだ、と中上健次が書いてるんですよ。びっくりしました。
(小野和子講演「民話のおもしろさ、つよさ、ふかさ」より)
確かに彼ら自身の声で語っているのですが、民話を語る時、その直前まで話していた声とは明らかに違うんです。
特に当時86歳の佐藤玲子さんは凄い。
彼女が語る話の中に、物語好きな殿様が出てきますが、まさにその話が話の「聞き方」をテーマにしていて、語りとは語る側だけでなく聞く側との相互の関係で成立することが示されます。
また、話の内容が奇想天外だったり時には残酷だったりするわけですが、それらを子供達に聞かせることが一つの教育でもあったことがわかります。
民話の中には明らかにそれまでの学びが入っているのです。
特に東北地方のような自然の厳しい地域にはそう言う伝承が多いのかもしれません。
佐々木健さんは岩手の遠野出身と言っていましたが、遠野と言えば柳田國男がそれこそ民間伝承を集めた「遠野物語」。
そして僕が「聞く」「聞かれる」で思い出すのが水木しげるとのんのんばあの関係。
のんのんばあこと景山ふささんは水木家にお手伝いに来ていた老婆でしたが、彼女が幼い水木しげるに聞かせていたのが妖怪物語でした。
その水木しげるは「遠野物語」も漫画化しています。
村上春樹も言っていますが、「いい物語」は人の骨格を作ります。
「いい物語」の力が弱くなると「わるい物語」が蔓るわけで、その一つの結果がオウム真理教に至ったと村上春樹は考えています。
「1Q84」の中でも物語の生成が一つの肝になっていますが、改めて「うたうひと」を観ながら、物語がいかに人を育てるかを目の当たりにした気がしました。
これらの経験により、濱口監督の演出の中では語ることより聞くことの方に重点を置くようになりました。
俳優同士がいかに相手の言葉を聞き取るか。
それが今回の「ドライブ・マイ・カー」の結果に繋がったのは言うまでもないと思います。
今後もご活躍楽しみにしています!!
ところで、「ドライブ・マイ・カー」の三浦透子が素晴らしすぎたので、彼女観たさに普段は絶対観に行くことのない類の舞台を観に行きました。
東野圭吾原作の「手紙」をミュージカル化したもので、映画は観たけどあんな暗い話をミュージカルに?と思いつつ行ったんだけど案の定無理すぎて前半で出てきちゃった。。。
そもそも客の9割9分9厘女性。。。主演の村田良大とSPI狙いかな?
三浦透子はさすがでした。歌うますぎてびっくり。
今の朝ドラにも出てるみたいだしどんどん活躍して欲しいですね。
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「ドライブ・マイ・カー」by 濱口竜介
「ハッピーアワー」by 濱口竜介
再開のお知らせ。

3/24(木)より再開させて頂きます。
展示も改めて以下の通り続行となります。
今村遼佑個展「ユビキタスと雨宿り」
2022年3月24日(木) - 4月10日(日)
18時オープン 水曜休
*ワンドリンクオーダー制
*感染症対策にご協力下さい。
新しいお酒も用意しております。
・ドリエール・レ・ミュール フィーヌ シャンプノワーズ
シャンパーニュ地方のブドウ畑ら造られたワインを蒸留して得られたスピリッツ
ソーダやトニックで割っても美味しいです。
・マール・ラ・グレンヌ・ソヴァージュ・フルーヴ・オドラント
厳選されたワインの搾りかす(マール)で作られたオー・ド・ヴィー。
香りづけになんと猫じゃらしが入ってます!!

BBA定食も健在。筍ご飯、豚汁、筍の土佐煮、ブロッコリーのツナ和え、スナップエンドウの柚子胡椒浸し。

もりやまていあいとう

森山邸。
建築好きでこの家のことを知らない人はいないでしょう。
言わずと知れた2005年に竣工した西沢立衛の代表作。
もう17年も経つのか。。。
未だにこの家の登場は鮮烈過ぎます。
集合住宅という依頼に対してまさかの分棟形式。
敷地の中に10個の建物があって、それらを5世帯が分有するという仕組み。
その中にI棟というのがあって、この棟だけ時間貸しされてるんです。
元々ご夫婦で住まわれたそうなのですが、お子さんが出来て引越されて空きになったところを「ひととき住人」を募集して自由に使ってもらうという仕組み。こちら。
具体的にはこんな感じ。
長めのひととき住人
利用可能時間:max20時間/月
時間賃借り:1,000円/h
会費 5,000円/月 ※半年契約
時々のひととき住人
利用可能時間:max6時間/月
時間賃借り:1,500円/h
会費 20,000円/年 ※1年契約
うちのお客様のKさんがこの「ひととき住人」になってて、たまに借りてらっしゃって、以前お誘い頂いたんですが見事に寝坊をかまして行けず、またチャンスをいただけたので今度こそは!ということで行ってきました!!!
もう15年前に来て以来の森山邸。
まさかそのうちの1棟に実際に入ることができるなんて。。。
てことで以下I棟の内部でございます!







決して広くはないものの、開口がやたらあるのと天井が高いので狭さは特に感じません。かと言って二人はきついかな。。。
思い切り外から視線入りますが、中にいるとそこまで感じないのが不思議。
そして中からは全然わからなかったけど、地下があってそこにトイレとお風呂があります。
狭いけどベランダもあって、地上から光が降り注いでます。
んー、一人なら住んでみたいかも!!
と思わせてくれる貴重な体験でした。。。
Kさん、本当にありがとうございました!!!
と、話はここで終わりません。
なんと、森山さん本人がご登場し、森山さんが住まわれてる棟も見せていただけることに!!!!!
実は森山さん、以前某古道具屋で偶然お会いしたことがあって、その時のこと覚えてくださっててただただ光栄。
ということで、以下森山さんのお家見学の様子です。
あくまで個人邸なので写真は小さめで。。。
まずは1階のリビング。

キッチンとその上にある小さな個室。そして地下室には本とDVDとレコードがたくさん!!

小部屋からの景色。西沢さんのドキュメンタリーで飲んでた屋上に猫が日向ぼっこしてた。

地下には50脚しかないというファー付きのラビットチェアが!

2階には可動式本棚に本がぎっしり!!

3階。最高すぎる空間だった。。。

3階から屋上へ。やや怖め。

再び地上。風呂が外にあって過酷過ぎた。。。

離れ。ほぼ倉庫にしてる模様。

とまあ贅沢なツアーでございました。
15年前の自分に教えあげたい。。。
これは外からでは全くわからない体験。
こうして中から体験すると、窓の開き方が本当に計算されてるな、というのが実感できました。
絶妙に視線が気にならない。
今回森山さんにお会いして改めてこの施主にしてこの家あり、と思いました。
そもそもまだそこまで有名でなかった西沢さんに白羽の矢を立てた森山さんが凄い。
アポも取らず直接事務所に押しかけたのだそう笑
しかもその時は留守で、改めて西沢さんが訪ねてきて、まさかの分棟スタイルを提示された時は頭が真っ白になって一日街を彷徨ったんだとか。。。笑
他にも有名建築に住む苦労なんかも聞かせて頂いたけれど、何と言っても森山さんが17年もここに住まい続けてるのが本当にすごい。
安藤さんの住吉の長屋然り、こうしたお施主さんがいてこその名建築なんだと思います。
普通だったらこんなプランアウトですよ笑
そして森山さん自身が物凄くチャーミングな人で大好きになりました。
最初こんなとんがった家に住んでる人だからエッジの効いた人かと勝手に想像しちゃってたけど、全く逆で、物腰が柔らかくて、こんな何処の馬の骨かわからない人間にもメチャクチャ親切。
なんと、駅まで中華テイクアウト買ってきてくれて、ビールまでご馳走になるという。。。
念の為お酒持って行っといてよかった。。。
ちなみに元々地元の酒屋さんだったらしいんだけど、家の中のものが物凄くセンス良くて素晴らしかった。。。
何時間でもお話ししたかったぐらい素敵な時間になりました。
森山さん、お誘い頂いたKさん、本当にありがとうございました!!!!


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前川國男邸 by 前川國男







去年の暮れに訪れた小金井公園内にある江戸東京たてもの園(現在休園中)にて前川國男邸が保存されてるの観に行ったの書くの忘れてたのでここに。
前川國男の自邸にして木造モダニズムの傑作がまさか残されてたなんて。
前川國男邸は大きな窓からの光が素晴らしかった。
前川國男の表札強過ぎたw
キッチンも素敵でした。
遠かったけど行ってみたら園自体がメチャクチャ広くて疲労困憊になったけど物凄く楽しかったので行ったことない人は再開したら是非行くべき!
お隣のデ・ラランダ邸がカフェになってて疲労が癒された。。。










もういっちょ自邸といえば菊竹清順のスカイハウスも見てきました。
往年の時から比べると全く面影がない。。。


それよかすぐ近くにある鳩山会館が凄すぎた。。。
元首相の鳩山家の邸宅。。。何なんだよ一体。。。
至る所に鳩モチーフがあってかわいい。
おやつはもちろん鳩サブレかな?





















このエリアはも少し歩けば椿山荘ホテルもあるし、何と言っても丹下さんの東京カテドラルがある!
久々に来たけどやっぱりすごい建築だなぁ。。。

紀尾井清堂 by 内藤廣









































建築界で話題の「紀尾井清堂」に行ってきました。
何が話題って、この建物、用途未定のまま自由に作ってという依頼から出来上がった建築なのです。
依頼主は一般社団法人倫理研究所という怪しい団体(コラ
依頼された建築家は内藤廣。
正直内藤さんの建築自体ピンと来ないのと、自由ってのが相当引っかかってそこまで興味惹かれなかったんですが、先週の3月11日、震災から11年の日に「奇跡の一本松の根」展が始まって、予約制とは言え観られるということで行ってきました。こちら。
「奇跡の一本松」。
実は僕、この松を観に陸前高田まで行ったことがあるんです。こちら。
当時のブログを読むと、「根」のことをちょうど考えていました。
今回その「根」が展示されてるんですが、正直相当不気味でした。。。
継ぎ接ぎだらけでまるでフランケンシュタイン状態。
2階でドキュメンタリー映像が流れていて、そちらは樹の保存についてで、僕はその樹も見てるんですが、やっぱりどちらも生命が明らかにない状態なので不気味としか言いようがないです。
震災の希望の象徴として地元の人が残すのはもちろんわかるんだけど、やっぱりエゴかなぁとも思います。
で、建築なんですが、一本松同様にやっぱり「根」がないよなぁと感じてしまいました。
建築やデザインというのはアートと違って機能や用途がかなり重要だと思います。
それらをどう解くかがデザインのダイナミズムの一つなので、この建物にはやっぱりそれがありません。
「かっこいい」を寄せ集めたコラージュ感が凄くて僕は受け付けませんでした。。。
というわけで写真いっぱい載せましたが、感想はそんなもん。
詳しくは「紀尾井清堂」で調べればいっぱい出てくるのでそれ読んでください(投げやり)
この建築と今回の展示を教えてくれたKさんのnoteがわかりやすいのでよかったら。こちら。
青野文昭ーどこから来てどこへ向かうのかー/VOCA展2022 @ 上野の森美術館





















出展者の加藤笑平くんのご招待でVOCAの内覧に行ってきました。
VOCA正直あまり興味ないんだけど、ここ数年は知人が出てたりして毎年のように行ってるかも。
興味のなさの要因はまず平面のみであること。
同じメディアばかり続けて見ると集中力が崩壊してまともに観れらないことが多々あります。
そして、知らない作家がほとんどの中、一点のみで評価を下せないこと。
作家の評価は作品単体ではなく群で見るべきなので、一点のみではなんとも言えないんですよね。
とは言え毎年オッと思わせてくれる作品も何点かあります。
今回特に気になったのは齋藤春佳さんの絵画。
シャガールの絵を解体したようなポップさもありつつなんだか闇も感じるんですよね。
今後フォローしてみたい作家です。
にしてもほとんど皆自分より若い。。。
そもそもVOCAの出展条件が40歳以下なのでそりゃ若いわ。。。年取りました泣
VOCAと同時開催でギャラリーでおまけのようにやってる展覧会があります。
過去のVOCA出展者の個展なんですが何気に毎年豪華な作家がやってます。
出口の地味なところにあるのでお客さんほとんどいなくて勿体ない。
今年は青野文昭。
2008年の足利美で観て以来フォローしてる作家で嬉しい。
特に震災以降、彼の「なおす」という表現はとても重要で、2019年のせんだいメディアテークでの個展は行けなかったのが悔やまれます。。。
近年は古家具に人が潜んでいるような作品を手がけていて、囁き声すら聞こえてきそうな空気が会場にあふれていてちょっとすごかった。。。
見る人によっては当てられるかもしれません。
特に今回初日が3月11日なので、あの日の記憶と接続してしまう人もいるのでは。
青野さん自身仙台に住んでるので、そういうことと真正面に向き合ってるのだと作品から感じられます。
最近読んだ清水裕貴さんの小説「花盛りの椅子」に通づるものがあります。
古家具には何か宿るものがあるんですよね。
VOCAも青野文昭展も3月30日までと会期が短いですが是非!こちら。
遠藤利克 @ SCAI THE BATHHOUSE












上野に来たらSCAIも寄りましょう。
現在遠藤利克の個展が開催中です。
人によっては古い!って思うかもしれませんが、重い作品好きにはたまりません。
もの派に回収されなかった河口龍夫や村岡三郎、その後の遠藤さんや戸谷成雄、今井祝雄、植松奎二あたりが僕の好物。
今回の展示も、特に鏡という要素が入り込んでたのが興味深かった。
より儀式的になってきたと言えばそうなんだけど、遠藤さんの作品って全然押し付けてこないんですよね。
5月14日まで。
近くのVANERもオススメ。
焼きたてのカルダモンパン最高すぎた。。。

上野の桜はいつも早い。春ですねぇ。

ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる? @ ポーラ美術館

昨年9月から始まったロニ・ホーン展。
もう開催決定時から楽しみで、いつ行こうかと計画しておりました。
ロニの作品を初めて観たのは2003年にまだ万博公園内にあった国立国際美術館で開催された「連続と侵犯」という展覧会に出品されてた「あなたは天気」。
この展覧会は僕が現代美術よくわからない時期に受けた洗礼的な展覧会で、すべての作品に衝撃を受けました。
それからギャラリー等で何度か観たことはあるものの、写真作品が主で、こうして彼女の作品を通覧する機会は本当になくって、よくぞ取り上げてくれた!という気持ちでした。
ちょうど友人らも行きたいとのことだったので、だったらGoTo始まり次第いい宿とって行こうぜ!と言っておりましたらそんなもの始まる気配もなく年を越してようやく。。。
途中コロナも多くなってきたり、雪で閉館したりしてて、どうにか!と祈るような気持ちで無事参ってきました。



前回観たケリス・ウィン・エヴァンスの作品も健在。これずっとあるのかな?
この人の名前一生覚えられない。。。
会場入り口にあるロニの写真作品に映り込んでるのいい感じ。
入ってすぐは写真作品メイン。
僕はほぼ職業病で、作品がどういう風に展示されてるのか見ちゃうんですが、彼女の写真作品の額装の仕方がちょっと特殊なんですよ。これまた後で述べます。




この展覧会の中でも最もビジュアルとして映えてる作品群。
てっきり水が張ってるものだと思ってたら全てガラスで出来てた!
目の前の大きなガラスの向こう側の景色が映り込んで素晴らしかった。
このリフレクションという要素は彼女の作品でとても重要な要素。
それぞれ不思議なタイトルがついてます。
例えば、
『無題(「必要なニュースはすべて天気予報から手に入れる。」)』
とか
『無題(「魔女は山雨の中で想像していたよりもずっと素敵だ。」)』
等々。
もっと長いものもいくつかあります。
全体のインスタレーションとしては
『無題(「私の社会的な意識は、ほんの数十年前までは未開拓だった土地で形成された。寂寥感、なにもない土地、広々とした空、どこまでも続く地平線、そして、ほんのわずかな人々。これらが私の最初の事実であり、長い間、支配的なものであった。」』(2018-2020)
長ッ!
こういう文学的な面もロニの真骨頂の一つです。





次の部屋では棒のような作品が立てかけられてます。
側面から見ると模様にしか見えないんだけど、正面から見るとテキストになってるっていう。
このテキストはエミリ・ディキンスンの手紙から引用された言葉らしい。
これもロニの文学的な作品の一つ。
ショップでこれが箸になってて笑った。天才。
そして何よりこの部屋では、僕がこの展覧会で最も観たかった「ゴールド・フィールド」(1980/1994)が展示されてます。
薄い金箔が床に置かれてるだけの作品なんだけど、この作品に纏わる素敵過ぎるエピソードがあるんです。
このお話はミヤギフトシさんの文章の中で知ったんだけど、ロニのこの作品に感動したフェリックス・ゴンザレス=トレスが、「Untitled (Placebo – Landscape – for Roni) 」という金色の包み紙に包まれたキャンディを床にしきつめた作品を作るんです。その後トレスはエイズで亡くなり、ロニはトレスと彼の恋人に捧げる「Gold Mats, Paired for Ross and Felix」(1994)という金箔を2枚重ねた作品を制作するんです。
何なんだこのオシャレすぎるやりとり。。。
このエピソード知らなくても勿論素敵な作品なんだけど、知ると余計見方が変わります。
で、この話調べてたら今年の4月から昨年行ったパリのブルス・ドゥ・コメルスでロニとトレスの2人展がやるのを知ってしまった。。。オープニングでやれや!!めちゃ観たい。。。こちら。
この作品も前の風景が映し出されていて、まるで水面のよう。
かなり初期の作品だけれど、彼女の通底する「水」という要素がここにも顕れていてびっくり。
ゴールドは色であって色でないのも素晴らしいですね。
これ観れただけでも来た甲斐があったよ。。。泣










次の部屋は暗い中ガラスケースに本の作品とコラージュ作品。
彼女が魅了されたアイスランドをテーマに作られたシリーズ。
そしてお次は人の身長より高い位置に配置された、北アイルランドで撮影された45点の写真。
「野生の鴨の巣跡から手作業で羽毛を集めることを生業とするビョルン村夫妻を中心に」
って、どんな生業やねんww
それはともかく、展示の緩急のつけ方が上手すぎる。。。
どの展示室も全く飽きさせない工夫がすごい。
そしてこの写真作品、絶対伝わらないと思うんだけど、額装の仕方が変すぎ。
何というのかな。。。写真の下の部分が額の中で浮いてるんですよ。
もしかしたら上の角2点で留めてるのかもしれない。
よく見ると写真もヨレてるし、何なんだこの有様は。。。
このあと出てくる写真もそんな感じ。まるでポスターのよう。
ほとんどの人が気づかないと思うけど、この感じ凄く謎でした。



そして映像。
2012年にデンマークのルイジアナ近代美術館で行ったロニ本人による「水と言う」という詩の朗読。
40分もあるけれど最後まで見入ってしまった。。。
黄昏の明るい空が最後には真っ暗になっててとてもドラマチック。
今回の展覧会タイトルの「水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?」という言葉もこの詩の中に登場します。
他にも印象的な言葉が並びます。
「水について考えることは、その未来について考えること、あるいはただ未来を。わたしの未来、あなたの未来。それは個人的なこと、特に今は。」
「あなたがそれを川と言う。わたしはそれを信じる。でもあなたがそれを水と言うなら、わたしはそれを疑う。」
「あなたが水と言うとき、それは天気について話しているの?それともあなた自身?
水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?」
「水はセクシーだ。近づくとその官能性がわたしをじらす。」
「あなたは自分がどんな風に川沿いを歩いているのかを知っている?あなたは歩き、川は流れる。あなたは川の流れとか反射とか、なにかしらを見ている。水の中に何かを見るのではないかと考えながら。あなたはじっと見る。何かが現れてくるのを待ちながら。ただ、もしそこが湖ならば、あなたは腰を下ろしただろう。もしそこが湖ならば、こうした予感は生まれないだろう。今にも何かを見つけるのではないかという予感。おそらくは何か気分の悪くなるもの、あるいは価値のあるもの。」
「水はユートピア的な物質だ。水の間とは?水は複数形?たとえ一本の川でも、単数形だなんてことがありえるだろうか?その水はどこから来たのか?」
「アンハイドロニーは水なき水、水とは正反対にあるものだ。形態は液体のまま、その物質が変わる。もう一つのアイデンティティに置き換えられる。アンハイドロニーは乾いた水だ。
アンハイドロニーはまだ認知されていない言葉だ。存在しないということが、その意味を受け入れることの難しさを指摘している。」
「テムズ川にはアイデンティティを溶かす力がある。」
「水が水らしく見えることなんて滅多にないことに気づいたことはある?」
「果たして川に終わりはあるのか?そう、川はただ流れつづけ、また別の名前となって流れていく。」
と、挙げていくとキリがないぐらい印象的な言葉たち。
そしてそのまま次の作品へと流れていきます。。。



ロンドンのテムズ川の水面を映した写真作品群。
前の詩の朗読にもテムズ川はしばしば登場していて、そのままの流れでこの展示はにくい。
この写真も前の写真同様額の中でペラペラしています。
そしてよく見ると、水面の中に番号が振られていて、下にその番号に合わせて言葉が綴られています。
まるで水面が話しかけているよう。
その言葉は先ほどの詩だと思うんだけど、こっちの方が年代的に先に制作されているのですね。
僕もロンドンにいたのでわかりますが、テムズ川って常に茶色でめちゃ汚いんですよ。。。
その濁りが余計色んなものを誘発するのかもしれません。












もう既にお腹いっぱいなんだけどさらに下階に続きます。
大きな地図を思わせるドローイングの展示は圧巻。
言葉を切りはりしたコラージュもかわいい。
そして最後の最後に彼女の代表作とも言える「あなたは天気」が並びます。すごい。。。
しかもパート2となってて、80年代に作ったものとは違う、同じ女性を約30年後のアイスランドで撮ったもの。
30年前とほとんど変わってない姿にびっくりなのと、ポートレートなのにほとんど景色のように見せてるの流石すぎる。。。
その周りにある湿った大気まで感じさせるインスタレーション。
外にはロニの本が並んでていくつか欲しいものができてしまった。。。




最後は遊歩道の森に設置された「鳥葬」と言う彫刻。
森の中で白い光を帯びた姿は神々しかった。。。
これもガラスでできてて、上には水が溜まってます。
これで以上なんだけど、改めてロニ・ホーンのすごさを思い知れたし、何と言っても箱根でやってるのはでかい。
この展示を観ながら箱根で浸かったお湯のことをずっと思い出してました。
日本とロニのモチーフとなってるアイスランドは有数の温泉大国です。
これほど水と親和性の高い民族は中々いないと思う。
ほぼ毎日湯船に浸かってるなんて海外の人からしたら驚き。
温泉に浸かって無になって溶けていく感覚がこの展覧会に通底していました。
いやはや本当にいい展覧会だった。。。
3月30日までなのでまだの方は必見です!こちら。










さらに見逃してはいけないのがコレクション展。
特に「水の風景」と題された展示はやられた。
こういう企画展と連動したコレクション展は大好物です。
そしてモネ!
これほどロニ・ホーン からの流れをくむ作品があっただろうか。。。やられた。。。
さらに「モネ-光のなかに」では、建築家の中山英之が展示構成をしています。
これとっくに終わってると思ってたからやっててラッキー。
「外光派」と呼ばれたモネの絵を外光のように照らすというもの。
でも外光ってこんなに均質じゃないよね。。。ってのが僕の感想。
特にルーアン大聖堂の絵は移りゆく光を捉えようと試行錯誤した絵なので、光も時間で変わるとかだったら面白かったかも。
あとは「ラファエル・コランと黒田清輝―120年目の邂逅」。
こちらも豪華過ぎ。黒田の師匠だったコランの「眠り」とそれを模したであろう黒田の近年まで行方不明だった幻の作品「野辺」が並んで展示されてた。。。すごい。。。
ポーラ、次回もコロナ禍の中で30億で買ったリヒターがついにお目見えするコレクション展やるので必見。また来なくては。。。こちら。
さて、箱根。
結局目当ての宿は高過ぎて無理だったけど、憧れの宿元湯環翠楼さまに宿泊しました。
小田急百貨店デパ地下で弁当と酒を買ってロマンスカーで酒盛りから始まり。
箱根着いてやることないのでとりあえず喫茶店で時間潰して宿へ。
創業400年、築100年越えの建築は圧巻。。。広すぎてほぼ迷宮。凄過ぎた。。。
映え過ぎる風呂場に謎の大広間。温泉も最高でした。。。
BAR閉まったけど行きたかったな。。。
夜はUNOと人生ゲームで中年修学旅行気分。夜も朝もお食事素晴らしかった。
書いてたらまた行きたくなってきた!箱根、最高ですよね。。。

































契約更新しました。

昨日3回目のモデルナワクチン接種を終えて只今安静中です。
1回目も2回目もモデルナで副反応なしだったので今回も何もなさそう。。。
さて、本日3月1日は僕が今のお店の物件と契約を結んだ記念日。
あれから早3年。
先日無事契約更新しました。
桃栗3年とは申しますが、柿まであと5年。
一先ず次の更新の3年後まで頑張ります。
といっても開店1年でいきなりコロナだったので実質2年も働いてないかも。。。
とはいえこの3年色んなことがありました。
まず言えるのは、お店やっててよかった、に尽きます。
こんなに健やかに過ごせたのはご来店頂いた皆さまのお陰であります。
細く長く続けてまいりますので皆さま今後ともよろしくお願いいたします。
A'holic 開店のお知らせ
A'holic開店しました。
A’holic 開店日記 -物件探し編その1-
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