白井晟一 入門 第1部 @ 松濤美術館



正直あまり期待してなかったけどよかった展覧会。
松濤美術館40周年記念ということで気合の入れ方が明らかに違う。。。
2部制になってるのもそうだけど、圧倒的な情報量でした。
そもそも白井晟一って個人的にはあまり好きじゃない建築家なんですよね。
松濤美術館もやたらドラマチックに過ぎるし、精神性よりバブリーな感じが。。。
この展覧会で2年前に行った芹沢銈介美術館も白井の作品だったと知って納得。やたらゴージャスでした。。。
と、そんな僕でも満足できる内容の展覧会ってすごい。
冒頭で、白井が京都工芸学校図案科にいた時に、京都学派の戸坂潤に師事してたのにまずびっくり。
京都学派については先日京都で観たホー・ツーニェンの展示で知ったばかりだったので。
それはともかく、特に後期の過剰なまでに精神的な空間づくりはこの時代に哲学に接していたことに下地があったのかと妙に納得。
この精神性は、親和銀行や、サンタ・ギアラ館、そして何と言っても実現はしなかった原爆堂で頂点に達します。
原爆堂、実は依頼もされてなかったんですね。。。
安藤忠雄が初期の仕事ない時に勝手に家や中央公会堂を設計してたのを思い出しました。
実現されてないのに白井の代表作とも言える内容で、この展覧会でも最も重要なプロジェクトとして取り上げられてました。
あと印象的だったのは、早くに父親が亡くなって、姉夫婦に引き取られていて、その義兄が画家だったことで、その後文化人との繋がりができて多くのアトリエを手がけていること。
そしてそれにしては美術館建築は前述の芹沢銈介美術館と松濤美術館だけだったこと。
構想は色々あったようですが流れたプロジェクトも多かったようで、それらの未完のプロジェクトも最後に紹介されてました。
あと、中央公論社の鳥のロゴのデザインが白井というのも初めて知りました。
本の装丁の仕事もいくつかしていて、その辺の展示も面白かった。
とにかく白井晟一を余り知らない、好きじゃない人も楽しめる展示だと思います。
1部は12月12日までで、来年1月4日からは松濤美術館建築にフォーカスを当てた2部が始まります。こちら。
妹島和世+西沢立衛/SANAA展 @ TOTOギャラリー・間








白川展とは逆に期待してたけど期待外れだった展覧会。
昨年のコロナによる延期から楽しみにしてたSANAA展だったんだけど、全然ワクワクできなかった。。。
最近のSANNA作品ちょっとエッジなくないですか?
外の展示はパビリオン・トウキョウぽくてよかったけど。
来年の3月20日まで。日時指定。こちら。
柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年 @ 東京国立近代美術館

こちらも結構期待してたんだけどかなり期待ハズレだった。
やっぱり民藝は美術館で展示すべきではないな、と思った。
民藝館で見た時と印象が全然違って、展示品がみんな居心地悪そうだった。
柳宗悦は近美が出来た時に批判するような文章を残してるけど、やっぱり相性悪いみたい。
2階の戦後の民藝は面白かった。来年2月13日まで。
それよかここはコレクション。
特にハイライトの部屋はあんま変わらない印象があっていつも素通りしちゃうんだけど、改めて見たら新収蔵の現代美術が結構あってびっくりした。
照屋勇賢や冨井大裕に、リヒターやセザンヌ。
他の常設も相変わらず素敵でした。
帰りにリヒター展の予告チラシを見つけてバイブスがアガる。








最後に四谷に出来た隈研吾先生のデザイナーズマンションが凄まじかったのでアップ。
村上春樹ライブラリーも行ったけど特に感想はなし。

地点「地下室の手記」@ 吉祥寺シアター

昨年の「君の庭」以来、約1年ぶりの地点!待ってました!しかもドストエフスキー!
地点はこれまで「悪霊」と「罪と罰」を作品化しています。
この流れで五大長編の「未成年」「白痴」「カラマーゾフの兄弟」とやっていくのかと思いきやまさかの「地下室の手記」。。。さすがです。
しかも来年の1月には「ギャンブラー(賭博者)」もやるとのこと。楽しみ!
この作品はまず、今年の1月に青森のACACにてワーク・イン・プログレス公演「地下室の人々」として上演されました。こちら。
1月の青森、結構行くかどうか本気で悩みましたが、大雪必至なので断念しました。。。
その後この7月に京都のアンダースローにて原題の「地下室の手記」として発表され、ついに東京にやってきたというわけです。
このほとんど独白状態の中編小説をどう舞台化するのかが見所です。
劇場に入ると、舞台にはまず半透明のシートが立ち上がっていて、そのシートの向こうの机や椅子が影として投影されています。
久々に地点の皆さんに会える!と思いきや、なんとこのシートは最後の最後まで取り除かれることはなく、演者達は終始シートの向こうで影のまま演じるという演出!!(安倍さんだけ一瞬出てくる)
この影の演出は以前「みちゆき」でもありましたが、今回は徹底して最後まで影のみ!
いやぁ、さすがです。。。
せっかくの演者達の生の身体を一切見せることなく、シートの向こうであくせく演じる影達。
しかも今回主人公のぼくを4人が、リーザを2人が演じるという分裂症的なこの独白テキストを見事にやってのけてる。
このキャラクターを分裂させるのも「だれか、来る」でやってましたが、この時は1人を2人でやってたので、さらに分裂しちゃってるんですね。
過去の演出をさらに尖らせた演出ですごすぎる。。。
そして「ぼく」の4人は全員がネズミのマスクをしている。。。
もう世界観が独特すぎて最高です笑
最初はその「チューチュー」なテンションについていくのに必至でしたが、段々とその「チューチュー」も悲壮感を帯びてきて悲しい響きになっていくのです。
そこにACACで撮影された雪の映像や、空間現代の美しい音楽(途中でピアノが入ってくるのはやられた)が加わり、シートによって演者が観られなくっても全く飽きさせません。
光源は舞台後ろのプロジェクターからの投影で、演者が後方に下がると影は大きく、手前に来ると小さくなって、実際の遠近と観客側から見た影の遠近が逆になるのも面白かった。
最後にシートがようやく降りてきて、いつもの6人と三浦さんの姿を観られた時なんだかすごく嬉しかった。
ちなみにこのシートやネズミのマスクは、コロナの飛沫防止シートやマスクにもなぞらえてるのかと思いきや、公演後のトークでほとんど関係ないとのことでした。
この「地下室の手記」は終わってしまいましたが、なんとこの作品を含むアンダースローでのレパートリー作品を4作提げて東京で公演を行なっています。
まだ「ファッツァー」と「グッド・バイ」はこれからですので地点未体験の方はぜひ!こちら。
そして今回会場で、これまで地点と数々のコラボレーションをしてきた空間現代のCD「Soundtracks for CHITEN」が発売されてます!
2013年の「ファッツァー」から、来年の「ギャンブラー」まで!
こちらも是非!!

<関連記事>
地点「君の庭」@ KAAT
地点「罪と罰」@ 神奈川県立青少年センター
地点「三人姉妹」「シベリアへ!シベリアへ!シベリアへ!」 @ KAAT
「やっぱり悲劇だった」by 三浦基
地点「だれか、来る」@ アンダースロー
地点「グッド・バイ」@吉祥寺シアター
地点「正面に気をつけろ」@ アンダースロー
地点「汝、気にすることなかれ」@アンダースロー
地点「ロミオとジュリエット」@ 早稲田大学大隈講堂
地点「みちゆき」 @愛知県芸術劇場
地点「スポーツ劇」@ロームシアター京都
地点「光のない。」
地点「悪霊」@ KAAT
地点「CHITENの近未来語」@アンダースロー
地点「かもめ」@ Cafe Montage
地点「コリオレイナス」@京都府立府民ホールアルティ
地点「――ところでアルトーさん、」@京都芸術センター
内海聖史「highball paintings」@ 殻々工房

那須ラスト。この行脚のメイン。
那須は前投稿の菅木志雄倉庫美術館にN's Yard、水庭と行きたいところ満載で、でも車がないと難しかったので中々踏ん切りがつかなかったのですが、今回内海さんの個展が那須の殻々工房というバーで開催されると聞いて、やっと行く決心がつきました。
とはいえここはバー。
絶対呑むので車では行けず、その前にレンタカーを無事返してバスで向かいました。
バス停から20分ほどあるんだけどなんとか到着。ドキドキ。
入るとこの景色。至福。


そして通されたテーブルがまさかの内海さんの絵!!!!!!

さすが内海さん。。。ラディカルすぎ。
そしてせっかくなのでタイトルにちなんでハイボールを。
ここはお酒の種類がめちゃくちゃあって選ぶのに悩みます。乾杯!

寝不足の中慣れない運転をこなした自分を労いつつ絵画鑑賞。至福。
奥の電球ついたのと鏡面の作品すごい。。。






最後はお祭り状態で勝利しました。

本当に来て良かった。。。素晴らしい体験でした。
お店も素晴らしく、牡蠣の燻製美味すぎた。。。
マスターは内海さんの高校の美術部の先輩らしくここまで繋がってるのは素晴らしいですね。
展示は11月28日までなので那須に行く人はぜひ。こちら。
帰りほろ酔いで街灯もない暗闇をバス停まで20分歩いたのがこの日最も死に近かったですw
那須は他にもSHOZO CAFEやアンティークスタミゼ(日月のみ)もあります!
<関連記事>
内海聖史「dual」@ A'holic 終了しました。
内海聖史「dual」@ A'holicのお知らせ
『dual』内海聖史展 @ 三越コンテンポラリーギャラリー
内海聖史「squid」@ ART FRONT GALLERY
内海聖史さんのこと。
内海聖史「あらゆる時間」@ GALLERIE ANDO
「panorama すべてを見ながら、見えていない私たちへ」@京都芸術センター
内海聖史「ボイジャー」@eN arts
風景ルルル@静岡県立美術館
水庭 by 石上純也

まだ那須です。
これもいつかは、と思っていた石上純也の水庭。
11時と14時からのツアー参加でのみ見学できます。参加費2970円。高。こちら。
那須塩原駅からシャトルバスが出てますが、ツアーと全然関係ない時間に着きます笑
できればこちらも泊まりたかったけど予算が。。。泣
近くに星野屋リゾートもありますがこちらも予算が。。。泣
それはさておき水庭。
既にあるホテルにさらにヴィラとレストランが増設されるということで、その敷地に生えていた318本の木を移植するという作業を繰り返すことでできてます。
1本1本の模型を作って何度もスタディし、人工池も作って出来上がった人口の森。
なんと4年もの歳月をかけて完成させたという変態的プロジェクト。。。
全てが落葉樹で、落葉樹って水の側に生えないらしいんだけど、池を完全防水にすることで落葉樹と池の共生を実現させてるらしい。
色んなメディアで取り上げられてたけど、写真見ても全く伝わらない笑
実際行ってもよくわからないんじゃない?と思ってましたがまたしてもやられました。
そこに立つと明らかに「不自然」な風景が広がってて本当に異常です。
こんな空間感を自然物で作ってしまうなんて、やっぱり石上純也凄い。。。
てな訳で、絶対伝わらないけど写真載せまくりますw






















伝んねぇ!
けど行けて本当に良かった。
メディアによく載ってる写真は葉が生い茂ってる春から夏にかけてが多いけど、冬枯れの景色も素敵です。
できれば雪の風景もみたいけど雪道運転する自信ないので無理。
ちなみにこれらの木が元々あった敷地には坂茂によるヴィラとレストランが建ってます。
こっそり見に行ったけどふーんって感じでした。


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石上純也「木陰雲」@ 九段ハウス
KAIT広場(竣工前) by 石上純也
KAIT工房 by 石上純也
石上純也展ボランティア@豊田市美術館
石上純也展「建築はどこまで小さく、あるいは、どこまで大きくひろがっていくのだろうか?」@SHISEIDO GALLERY
石上純也「建築のあたらしい大きさ」@豊田市美術館
N's Yard
菅木志雄 倉庫美術館

那須に弾丸日帰り行脚に行ってきました。
前日0時まで仕事してそこから2時前には床につくんだけどほとんど眠れぬまま5時半起床。。。
黒磯に8時半に着いてそこからレンタカー。死ぬ。。。
久々の運転と寝不足で不安過ぎたけどなんとか辿り着いたのが板室温泉大黒屋。
ここには何故か菅木志雄のコレクションが大量にあるのです。。。
そして予約制で朝10時からのみツアー見学できるという鬼スケジュール。
普通はここに前泊するんだろうけど予算オーバーでした泣
到着後早速玄関に菅木志雄の簾がお出迎え。
すでにそこかしこに菅木志雄作品があってすごい。。。どうなってるんだ。。。










ロビーで参加費500円払って10時を待つ。
時間になって玄関で参加者集合。
この旅館の当主室井俊二氏が直々に案内してくれるみたい。
この方が中々の曲者でとにかく話が長い。。。
いつになったらツアーが始まるんだろうと参加者全員思ってたと思う笑
早稲田の哲学を出た方らしく、1985年に大黒屋の16代目当主になったんだとか。ちなみにこの温泉は1551年創業らしい。。。え、江戸時代より前やん。。。
「保養とアート」をテーマに掲げてアート作品をコレクションし始める中で出会ったのが菅木志雄。
すっかり作品に惚れ込み当時多摩美で講師をしていた菅さんに、うちがパトロンになるから大学なんて辞めてしまえと言って、菅さん本当に大学辞めちゃったとか。
そこから12年連続で大黒屋で個展をして、全ての作品を買い取ったんだとか。。。
それが倉庫に眠っていて、いつしかその倉庫自体を美術館として見せ始めたとのこと。
ということでメインの倉庫美術館へ。












いやぁ、マジですごかった。。。
所狭しと並ぶ作品全て菅木志雄。。。
今や世界中の美術館がこぞってコレクションしてる菅木志雄作品が大量にこんな山奥にあるのは異常としか言いようがない。。。
実際世界中から作品を買いに来るらしい。。。
菅さんはもの派時代から凄かったけど、どこかもの派からも外れていて、いつしか忘れ去られそうになってた時代もあって、それでもこの室井さんや小山登美夫さんみたいに才能を見捨てない人がいて本当に良かった。
ただ、この室井さんの俺が世界の菅にしてやったみたいな態度はちょっと。。。
このクセ以外は本当に素晴らしかったです。
中々行きにくい場所ですが是非。余裕のある方は大黒屋も泊まりましょう。こちら。
田中真吾個展「た れ そ か れ」終了しました。
松江泰治 マキエタCC @ 東京都写真美術館











今や写真は誰でも撮れる行為となりましたが、改めて松江さんの仕事を観ると「撮れない写真」というものをまざまざと見せ付けられます。
実際の都市を撮った「CC」と、都市の模型を撮った「マエキタ」からなる展覧会。
「CC」とはCityCodeの略で、「マエキタ」というのはポーランド語で模型を意味するとのこと。
「CC」は全方位にピントが合うことで、奥行きがなくなり写真の平面性が前面に押し出されてます。
こういうフォーマリズムみたいなのってもはや時代遅れな感もあるけれど、それでもやはりその力は計り知れません。
まるで都市が押しつぶされたように平面で、どう撮ってるのか全くわからない。
ヘリコプターから撮ってると聞いたことがあるけれど、それならどうして文字も読めるぐらいブレずにここまでのイメージが出来上がるのか。。。
そして最後の横長の作品なんて、どう繋いでるのか全くわからない。。。
あと2つの札幌の写真も、季節が変わってるのに全く同じ構図。。。すごい。
マエキタシリーズも、明らかに違和感があるんだけど、CCの「本当の」景色とどう違うのか。
その絶妙な差異を行き来するのが本当に楽しかった。
本城直季は実際の風景を模型のように撮るけれど、それとは真逆のアプローチ。
杉本博司のジオラマシリーズや、グルスキーのスペクタクルなど、松江さんの写真は他の写真家との対比で語られることも多いだろうけど、今回の展示を観て改めてこの作家のオリジナルな視点を思い知りました。
映像も素晴らしく、写美では久々に大満足の展覧会でした。来年1月23日まで。こちら。
日本の新進作家 vol. 18 記憶は地に沁み、風を越え @ 東京都写真美術館


それに引き換え、と言ったら悪いけど、上の階の新進作家展は正直つまらなかった。。。
昨年もつまらなかったけど、今年も酷い。
2018年のvol.15が素晴らしかっただけに。。。
ほとんどがコンセプチュアル過ぎて、直感的に面白い!と思えるものがほとんどなかった。。。
観客は残酷なので、そもそも知らない作家のコンセプトを読み込む程の義理がないんですよね。
潘逸舟の作品も、先日の都現美が良かったので期待してたけどそこまでではなかった。。。映像は単純に美しかったけれど。
池田宏さんのアイヌの写真はもっと量で観たかったな、という感じ。
最後に同級生の山元彩香。この人のために観に来たと言っても過言ではないけど、せっかく暗い部屋にしてるのに、出口にあるために、ドアが開く度に光が入ってくるのが残念だった。キュレーターにはもっとその辺配慮してもらいたかったな。
それはさて置き、改めて彼女の作品を通覧すると、年々「影」の存在が大きくなってる気がしました。
特に今回のアフリカの新作では、木の影と人が同化してたり、少女の影に沿うように別の少女が寝転がりながら2人で歌う映像だったり。
今後の展開の予兆を感じられて良かった。
81点もあるスライドも知らない作品が多数見られて良かったけど、ちょっと見せ過ぎな感じもありました。
新作のアフリカと沖縄で絞っても良かった気がします。
ちょっとした回顧展みたくなってて、まだまだそんなキャリアじゃないんだから。。。
この展覧会も松江展と同じく来年の1/23まで。セットで是非!
山元彩香 「We are Made of Grass, Soil, Trees, and Flowers」 @ Taka Ishii Gallery Photography / Film
最近観たギャラリーの展示。
まずはずっと楽しみにしていた山元彩香展。
今回はなんとアフリカ(マラウイ)で撮影された写真群。
これまでのロシアやバルト3国から大きく離れましたが、全くブレることのない作品たち。
ここまで寒色に包まれたアフリカを初めて観ました。
特に1人の少女が凄くて、山元の成し遂げたいものに一番近い気がします。
身体が魂の容れ物だという人間存在の在り方が残酷な程に写し取られています。
本人も言うように、コロナで海外に行けなくなり、何度か重ねて来訪することでアフリカを撮りたかったというのはそれはそうだろうけど、初めて行った土地でこれだけのものが撮れるのは単純に凄いし、コロナが明けたらまた訪ねてさらに深みを増したものも観てみたいですね。
あと、void+の時のような映像も観てみたかったな、とは思いました。
11月6日からは写真美術館でも展示があるし、写真集の出版も。
今後とも楽しみです。
この展覧会は11月13日まで。こちら。





続いてスタジオ35分の酒航太の展示。
長年撮り続けている動物園の動物たちを撮ったシリーズ。
改めて一枚一枚見ていくと、動物園の中で生まれ育った動物たちの不気味さが際立ちます。
見慣れた動物たちも白黒の静謐な世界の中で見慣れない生き物に見えてきます。
個人的に、ギャラリー入ってすぐの最近流行りのシュウガラコの変容が驚きでした。
DMにもなってる猿の写真の目もすごかった。
後述するトークの中でも酒さんが仰ってるけど、世間に溢れてる「動物写真」と酒さんの「動物写真」の決定的な差は、ディスコミュニケーション。
巷の動物写真は動物たちとコミュニケーションができてるような幻想を抱かされるけれど、酒さんの写真からは絶望的なほど動物たちとの距離があります。
靄のかかったような、分かり合えなさのようなものが映し出されているように思います。
次回作の展望も聞けてよかったです。
会期終了。詳細はこちら。
大森克己さんとの対談はYouTubeに上がってるので是非。こちら。
この展覧会はこの後大阪のgallery176に巡回します(11/5-16)。こちら。



お次は絵画2名。
ShugoArtsの小林正人の展示は、相変わらずのラディカルさだけど、作品に干し草が付着してたり、思いがけないところに絵具が大量にこびりついていたりと、描かれた時の状況まで想像させてしまうような威力がありました。
そしてものとしての絵画の在り方。存在感すごすぎる。
お隣のビルの現代芸術財団でも一点展示がありました。どちらも会期終了。こちら。
TARONASUの秋吉風人もすごかった。
こちらはガラスに直接絵具が塗られていて、そのストロークと重なりがそのまま絵画になっており、絵画の生成をそのまま見せるような生々しさがあって、ついつい見入ってしまう。
絵具の立体作品は正直よくわからなかったけど、久々に観て改めて面白い作家でした。
こちらは11月7日まで。こちら。















絵画と言えるのかわからないけど、リコーアートギャラリーでやってる大山エンリコイサム展。
今回はなんとイメージをデジタルで組み、リコー発の2.5次元印刷StareReapを使って印刷。
めちゃくちゃ細かい曼荼羅のようなイメージと、半立体の肉眼でしか捉えられない超絶テクスチャーの組み合わせは凄すぎ。
ただ、大山のクリエイティブが凄いのかリコーの技術が凄いのかってところがノイズとなって、作品として純粋に見られないのは否めないかも。
どっちも凄い、でいいんだろうけどね。
11月20日まで予約制。こちら。






KEN NAKAHASHI所属の作家3名の展示。
まずは海老原さん。
「美男におわす」の最後を飾った海老原靖の新作「colors」が、美術館以上に多く展示されてる!圧巻!
中には中橋君の肖像もw
過去作だけど、ミラーに描かれた肖像がとても良かった。
11月26日まで。こちら。
続いて上述の小林正人に続いて現代芸術振興財団で現在開催されてるのが松下真理子展。
「人間の声」と題された展覧会タイトルと、名前の変更(以前はまり子だった)に並並ならぬ覚悟を感じる。
実際広いとは言えない空間にこれでもかというぐらい強い作品が所狭しと並んでるんだけど、不思議と息苦しさはない。
ピンクや黄色といった色彩も合間ってか悲壮感もなく、イメージの複雑さとは裏腹にすっきり観られる。
それがいいのか悪いのか今の所判断はできないけれど。
12月4日まで。木金土のみなのでご注意を。こちら。
次に歌舞伎町デカメロンでやってるオル太と原田裕規の展示。
オル太が歌舞伎町の路上でビリヤードやってるのに対して原田は室内(デカメロンとKEN NAKAHASHI)で静かに写真眺めてるのが、静と動の対比。
説明ないとちょっとわかりにくいかも。。。
12月12日まで。こちら。







最後はYumiko Chiba Associatesでやってる今井祝雄とFergus McCafafferyでやってるジャスパー・ジョーンズ展。
どちらも毎回渋すぎて大好き。
Yumiko Chibaでは1971年に今井が発表したカーペットを会場に敷き詰める「Limited Space」と1970年の写真作品。
こんな歴史的な作品が新宿のマンションの一室で観られるの本当に不思議。
11月13日まで。こちら。
Fergus McCafferyのジャスパー・ジョーンズは初期と近年の版画作品。
正直よくわからなかったけど、マース・カニングハムをコラージュした作品は素敵でした。
それにしても彼がまだ存命作家というのがすごい。。。
12月18日まで。こちら。







SCAI PIRAMIDEの磯谷博史とグループ展、shiseido art eggの菅実花とStudio138のグループ展も観たけどよくわからなかったので割愛。
まずはずっと楽しみにしていた山元彩香展。
今回はなんとアフリカ(マラウイ)で撮影された写真群。
これまでのロシアやバルト3国から大きく離れましたが、全くブレることのない作品たち。
ここまで寒色に包まれたアフリカを初めて観ました。
特に1人の少女が凄くて、山元の成し遂げたいものに一番近い気がします。
身体が魂の容れ物だという人間存在の在り方が残酷な程に写し取られています。
本人も言うように、コロナで海外に行けなくなり、何度か重ねて来訪することでアフリカを撮りたかったというのはそれはそうだろうけど、初めて行った土地でこれだけのものが撮れるのは単純に凄いし、コロナが明けたらまた訪ねてさらに深みを増したものも観てみたいですね。
あと、void+の時のような映像も観てみたかったな、とは思いました。
11月6日からは写真美術館でも展示があるし、写真集の出版も。
今後とも楽しみです。
この展覧会は11月13日まで。こちら。





続いてスタジオ35分の酒航太の展示。
長年撮り続けている動物園の動物たちを撮ったシリーズ。
改めて一枚一枚見ていくと、動物園の中で生まれ育った動物たちの不気味さが際立ちます。
見慣れた動物たちも白黒の静謐な世界の中で見慣れない生き物に見えてきます。
個人的に、ギャラリー入ってすぐの最近流行りのシュウガラコの変容が驚きでした。
DMにもなってる猿の写真の目もすごかった。
後述するトークの中でも酒さんが仰ってるけど、世間に溢れてる「動物写真」と酒さんの「動物写真」の決定的な差は、ディスコミュニケーション。
巷の動物写真は動物たちとコミュニケーションができてるような幻想を抱かされるけれど、酒さんの写真からは絶望的なほど動物たちとの距離があります。
靄のかかったような、分かり合えなさのようなものが映し出されているように思います。
次回作の展望も聞けてよかったです。
会期終了。詳細はこちら。
大森克己さんとの対談はYouTubeに上がってるので是非。こちら。
この展覧会はこの後大阪のgallery176に巡回します(11/5-16)。こちら。



お次は絵画2名。
ShugoArtsの小林正人の展示は、相変わらずのラディカルさだけど、作品に干し草が付着してたり、思いがけないところに絵具が大量にこびりついていたりと、描かれた時の状況まで想像させてしまうような威力がありました。
そしてものとしての絵画の在り方。存在感すごすぎる。
お隣のビルの現代芸術財団でも一点展示がありました。どちらも会期終了。こちら。
TARONASUの秋吉風人もすごかった。
こちらはガラスに直接絵具が塗られていて、そのストロークと重なりがそのまま絵画になっており、絵画の生成をそのまま見せるような生々しさがあって、ついつい見入ってしまう。
絵具の立体作品は正直よくわからなかったけど、久々に観て改めて面白い作家でした。
こちらは11月7日まで。こちら。















絵画と言えるのかわからないけど、リコーアートギャラリーでやってる大山エンリコイサム展。
今回はなんとイメージをデジタルで組み、リコー発の2.5次元印刷StareReapを使って印刷。
めちゃくちゃ細かい曼荼羅のようなイメージと、半立体の肉眼でしか捉えられない超絶テクスチャーの組み合わせは凄すぎ。
ただ、大山のクリエイティブが凄いのかリコーの技術が凄いのかってところがノイズとなって、作品として純粋に見られないのは否めないかも。
どっちも凄い、でいいんだろうけどね。
11月20日まで予約制。こちら。






KEN NAKAHASHI所属の作家3名の展示。
まずは海老原さん。
「美男におわす」の最後を飾った海老原靖の新作「colors」が、美術館以上に多く展示されてる!圧巻!
中には中橋君の肖像もw
過去作だけど、ミラーに描かれた肖像がとても良かった。
11月26日まで。こちら。
続いて上述の小林正人に続いて現代芸術振興財団で現在開催されてるのが松下真理子展。
「人間の声」と題された展覧会タイトルと、名前の変更(以前はまり子だった)に並並ならぬ覚悟を感じる。
実際広いとは言えない空間にこれでもかというぐらい強い作品が所狭しと並んでるんだけど、不思議と息苦しさはない。
ピンクや黄色といった色彩も合間ってか悲壮感もなく、イメージの複雑さとは裏腹にすっきり観られる。
それがいいのか悪いのか今の所判断はできないけれど。
12月4日まで。木金土のみなのでご注意を。こちら。
次に歌舞伎町デカメロンでやってるオル太と原田裕規の展示。
オル太が歌舞伎町の路上でビリヤードやってるのに対して原田は室内(デカメロンとKEN NAKAHASHI)で静かに写真眺めてるのが、静と動の対比。
説明ないとちょっとわかりにくいかも。。。
12月12日まで。こちら。







最後はYumiko Chiba Associatesでやってる今井祝雄とFergus McCafafferyでやってるジャスパー・ジョーンズ展。
どちらも毎回渋すぎて大好き。
Yumiko Chibaでは1971年に今井が発表したカーペットを会場に敷き詰める「Limited Space」と1970年の写真作品。
こんな歴史的な作品が新宿のマンションの一室で観られるの本当に不思議。
11月13日まで。こちら。
Fergus McCafferyのジャスパー・ジョーンズは初期と近年の版画作品。
正直よくわからなかったけど、マース・カニングハムをコラージュした作品は素敵でした。
それにしても彼がまだ存命作家というのがすごい。。。
12月18日まで。こちら。







SCAI PIRAMIDEの磯谷博史とグループ展、shiseido art eggの菅実花とStudio138のグループ展も観たけどよくわからなかったので割愛。