酒航太さんのこと。

オンラインストアにて写真家でありスタジオ35分のオーナー酒航太さんのインタビュー動画の販売を開始します!
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スタジオ35分 https://35fn.com

僕が今のお店をオープンしたいと思い始め、周囲にもやってみたいという話をしていた頃、東京の友人に勧められたのがスタジオ35分でした。
2017年の4月、東京に遊びに行った時に「新井薬師前」という聞きなれない西武新宿線の駅に降り立ち、いざ。
駅から少しいくと赤提灯と富士カメラの昔ながらのプリント屋さんが見えてきました。
そこが噂の「スタジオ35分」でした。
屋号の35分というのは、その前にあったプリント屋さんの看板の「スピードプリント35分」という謳い文句から「35分」だけを切り取っていて、そのまま店名になっています。(動画ではその経緯も)
元写真屋さんが写真ギャラリーになってるのも面白いし、実際その時にやってた展覧会「Subjective Photography vol.2 大藤薫」がベラボーに面白かったのです。
ギャラリーの奥に小さな出入り口があり、そこをくぐると隣の飲み屋につながっていました。
そこにオーナーであり写真家の酒さんがいらっしゃいました。
飲みながら色々お話を伺って、隣に座ってた酔っ払いのお客さんに絡まれながら(笑)とても楽しい時間を過ごしました。
「主観主義写真」という言葉もそこで初めて教えてもらいました。
それは戦後土門拳の唱えた「リアリズム写真」の対抗馬として現れた運動で、そこまでの力を持つことなく忘れ去られようとしていたムーブメントでした。
そこから東京に出て時間がある度に通わせていただき、これは僕がやりたい店のロールモデルだ!と勝手に拝ませていただいてました。
実際上京してからも何度かお邪魔して、東京生活においてとても大事な友人とも巡り合ったり。
写真好きが集って酒を飲みながら語り合う。まさに僕がやりたかったことでした。
さらにギャラリーがあるのは本当に素晴らしく、うまく空間が仕切られているので、お互い干渉する事なく見事に飲み屋と展示空間が両立しているんです。
よくあるカフェギャラリーみたいに、壁に作品がかかってるだけみたいな感じじゃないんです。
僕もいずれはギャラリー機能も追加したいと思っているんですが、そうなったらまた別の場所に借りて行き来できるような関係を築きたい。
いつになるかわからないですが、35分という先輩があるのはとても心強いんですよね。
今回このインタビューシリーズをやるにあたって、絶対話を聞きたいと思っていたのは酒さんでした。
酒さん、本当に柔らかい人で、ガツガツしたところがあまり見えない。まあ、ゆるい笑
実際インタビューしてこれまでのお話を聞いてもゆるい笑
この柳のようなところが、来る風をうまく孕んじゃうんだろうなぁと思います。
お店に来る人はみんな酒さんのそういうところが好きで集まってるんだと思う。
本人はほとんど自覚ないんだろうけど、天然ですごいことやっちゃう人っているんですよね。
このインタビュー見て是非35分に足を向けてほしいです。
online BAR "A'live" vol.08 酒航太 (写真家・スタジオ35分オーナー)
【収録日2020.05.25】91分
vol.08では新井薬師前にあるギャラリーバー「スタジオ35分」のオーナーで写真家の酒航太さんとの対談をお送りします。
酒さんが写真家を志したきっかけから、スタジオ35分の創設、主観主義写真まで。

清水裕貴さんと山元彩香さんのこと。

オンラインストアにて写真家の清水裕貴さんと山元彩香さんのインタビュー動画の販売を開始します!
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清水裕貴:https://shimizuyuki.com

山元彩香:http://www.ayakayamamoto.com

まず、山元さんは、僕の大学時代の同期で、もう18年の付き合い。
え、ちょ、18年。。。って感じですが。。。
それだけに、逆に今更聞けないことも今回色々聞けて楽しかったです。
山元さんは大学の3年の時にアメリカに交換留学してから作品が写真になりました。
それまでは絵画もやってたしパフォーマンスもやってた。懐かしい。。。
そのきっかけの話も今回初めて聞きました。
長い付き合いなだけに、作品もなかなか客観的に観るのも難しく、昨年表参道のvoid+の個展でようやく彼女が何をしたいのかが見えた気がしました。
山元さんの作品は一見綺麗でおしゃれに見えちゃうので、逆にそれが色々邪魔して読みづらい写真になっていると思います。
しかし昨年個展で出品していた映像作品は、そのフィルターを見事に払拭していました。
今後の活躍も楽しみです。
そして、そんな山元さんの個展がやってた頃、僕の友達の後輩が店に来て、山元さんのDMを渡したところ、これ自分の先輩が出した小説の表紙になってる人だ!ということになりました。
その小説の作者が清水裕貴さんでした。
お恥ずかしながらそれまで清水さんのことは存じ上げなかったのですが、写真家で小説を書いているというのが興味深いし、友人の山元さんが表紙をやってるご縁もあって、彼女がその後お店に来てくれたり僕も清水さんの展示を観に行ったりして交流が始まり、この二人でお話ししたら面白そうだなぁと勝手に思っていたのです。
清水さんの写真は一見どこにでもある風景に見えるのですが、そこにテキストがついていて、それと共に観ていると、段々と全く知らない星の風景にも見えてきてすごくざわざわする作品です。
小説も素敵ですが、写真のテキストはそれとは全く異なる作法で書かれていて、こんな文章どうやったら書けるんだろうという不思議で魅力的な文章。
特に2010年代になって、テキストというのが重要になってきたように思います。
昨年も「話しているのは誰?」というアートと文学をテーマにした展覧会が開催されていましたが、70年後半から80年前半生まれの作家のテキストというのはこれまでのテキストを使った作品とは一線を画すように思えていて、そのことを今回清水さんとお話しできたのは大収穫でした。
online BAR "A'live" vol.07 清水裕貴(写真家・小説家) 山元彩香(写真家)
【収録日2020.05.18, 24】112分
vol.07では写真家の清水裕貴さんと山元彩香さんとの鼎談をお送りします。
お二人が写真を志したきっかけから、現在の表現に至るまでの軌跡、ストーリーに関するお話ししていただきました。

オラファー・エリアソン ときに川は橋となる @ 東京都現代美術館

待ちに待った、本当に待ちまくったオラファー展へ。。。
日本の美術館では金沢以来10年ぶりの大規模個展。
延期が決まって本当に良かった。もしや観られないまま閉幕するのではとすら思ってた。。。
ということで再開した週の平日朝イチで行ってまいりました都現美!
もう第二波が来て再閉館なんてなったらシャレにならないのでさっさと行かねば!
一緒に行った友人なんて気合い入りすぎてまさかの前入り!都内在住なのに笑
入場には少し並んだけれど、流石に平日だけあってそこまで混雑もなく。
休日は入場規制などがあるそうなので行かれる方は平日オススメ。
入るとまず検温があって、アルコール除菌です。
チケット買っていざ。。。
まずはドローイングシリーズから。
グリーンランドの氷河を使って描いたものや、運搬の際の「揺れ」を利用したオートドローイング。
ここでも溶けゆく氷河や飛行機を使わないなど、近年の彼の関心の中心であるサステイナビリティが表されてます。
「クリティカルゾーンの記憶(ドイツーポーランドーロシアー中国ー日本) no.1-12」(2020)

そして次の部屋ではこれぞオラファー!というべき作品が。
偏光グラスで作られた多面体オブジェが、部屋中に極彩色を放っています。
よく見ると中のライトが回ってるんですが、これは後に登場する中庭にあるソーラーパネルからの太陽エネルギーで動いています。
「太陽の中心への探査」(2017)



次の部屋には溶け行く氷の映像。
ちょっと啓蒙的過ぎて個人的にはあんまり。
それよか次の部屋。空間には色とりどりのハロゲンランプのみ。
金沢でも見せてた色とりどりの影。
こうやって展示空間を物量で埋めるのではないやり方はさすが。
観客そのものが作品と化し、人が増えれば増えるほど楽しい作品。
「あなたに今起きていること、起きたこと、これから起こること」(2020)

続く部屋ではラボのような実験空間。
最近こういうの多いけどフーンとしか思えない。ごめんね。
次の部屋も、オラファーが力を入れてるサンライトを使って観客がその光の残像で映像を作るみたいな参加型なんだけど、すでに整理券が数時間後ということでパス。
さらにその次の部屋から怒涛のオラファー光マジック。やっぱこういうのが好き。
「人間を超えたレゾネーター」(2019)

「おそれてる?」(2004)

「ときに川は橋となる」(2020)

「ビューティー」(1993)


後半はもうどれもこれも素晴らし過ぎて一日中鑑賞したかった。
特に表題になってる「ときに川は橋となる」はこの展覧会のために作られた完全新作で、都現美のアトリウムをフルに使って、揺れる水面に反射する12の光の円をもう惚れ惚れと眺めていました。
もうここにベッド置いて泊まりたい!
せめてクッションとか置いて寝ながら鑑賞とかできたら最高なのにな。。。
まあ、そうするとマジで一生いそうな人が続出でしょうが。
これがこの約3ヶ月誰にも見られることなく存在してたかと思うとエモい。。。
映像や写真では見てましたが、やはり生で体験するのは最高でした。
敢えて言うと、水の揺れは自動ではなく、金沢で観客が入るたびに足元のスイッチによって揺れるようなインタラクティブの方が素敵だったと思いました。
あとビューティー、看板が胡散臭過ぎ笑
レインボーパレードかよw
そして最後の部屋の過去のプロジェクトを紹介するコーナーの1997年の「侵食」って作品がやば過ぎて笑った。
川から水を道路に引き上げて冠水させると言う、それってもはや犯罪なのでは。。。と言うプロジェクトw
「ときに道も川にする」
いやはや本当に素晴らしかった。
やっぱり美術館はいいなぁ。本当にしみじみ思いました。
オラファー展は9/27まで。予約不要ですが、できたら平日がオススメ!こちら。
<関連記事>
Wayne McGregor x Olafur Eliasson x Jamie xx "tree of codes" @ 香港文化中心
Olafur Eliasson 'Your Rainbow Panorama' @ ARoS
Olafur Eliasson 'Contact' @ Foundation Louis Vuitton
Harpa(facade) by Olafur Eliasson
Olafur Eliasson 'Riverbed' @ Louisiana Museum of Modern Art
Olafur Eliasson 'Colour activity house' @ 金沢21世紀美術館
オラファー・エリアソン「あなたが出会うとき」@金沢21世紀美術館
Olafur Eliasson 'SUNSPACE FOR SHIBUKAWA' @ HARA MUSEUM ARC
Serpentine Pavilion 2007
「ドローイングの可能性」@ 東京都現代美術館

今都現美はオラファー展も含めて3つ展覧会が開催中です。
そのうちの一つ「ドローイングの可能性」だけなぜか会期が異常に短く6/21まで。
そしてこれがめちゃくちゃいい展覧会だっただけに短いのは残念すぎる。
まず最初の石川九楊の作品が楽し過ぎた。
文章を抽象化した書なんだけど、まあ読めない。。。
一応原文もあるんだけどマジで読めない。
それはともかく普通にドローイングとして美しい。
さらに続いて一部屋丸々マティス!これはやられた。。。
マティス大好きなのでこれは至福の空間でした。
そして戸谷成雄の作夏シューゴアーツで見た小さな木片が壁に所狭しと張り付いてるインスタレーションは改めて見ても感動的。
その周りのドローイングなのかオブジェなのか判断しかねる作品も良かった。
そして、僕は知らなかった作家さんで盛圭太さんも素晴らしかった。
糸でドローイングしてるんだけど、空間を大きく使ったのも紙に細々したのも良かった。
「もつれるものたち」@ 東京都現代美術館


こちらはカディスト・ファウンデーションという社会と美術をつなぐみたいな組織との協働。
正直無理矢理な作品も多くて結構辟易した。。。
上記の「ドローイングの可能性」でも磯辺行久が出てて、こういう被ってるのって何なんだろう。
最後の藤井光はさすがだった。
福島にある資料館から借りてきた民芸資料を映像と共に展示しているのだけど、どれにも紙が添付されてて、よく見たら放射線線量が書かれていてギョッとする。
これらのものたちは福島第一原発の事故で被爆したものと知れる。
それらの独特の存在感がとても不気味でざわざわした。
この展覧会はオラファーと同じく9/27まで。
あとコレクション展は、ダムタイプ 展の時に観たのとほぼ一緒だった。。。
唯一ホンマタカシのコーナーが松江泰治の写真になってたぐらい。
まあ、松江泰治の写真と映像素晴らしいからいいんだけど、それを変更しただけで新しいコレクション展みたいな宣伝の仕方はどうかと思った。。。
福元崇志さんのこと。

先週の内海さんに続き、オンラインストアにて国立国際美術館学芸員の福元崇志さんとのインタビュー動画の販売を開始します!
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初めてお会いしたのは2008年の国立国際美術館で開催された塩田千春展。
もう12年前。。。
この11年後に70万人も動員する作家になるとは。。。感慨深い。。。
塩田千春「精神の呼吸」@国立国際美術館
さて、この時にインターンで入ってたのが福元さんでした。
正直この時は、彼と絡んだ記憶がほぼありません。
事務的なやりとりはあったとは思いますが。。。
彼も当時学生のインターンで、必死に色々吸収していたんでしょうね。
僕も必死に糸を編んでて、毎日クタクタになってたのを思い出します。
あと、この後のART OSAKAで偶然会って挨拶するぐらいだったかなぁ。
福元さんとちゃんと話すようになったのはその4年後の2012年。
「リアル・ジャパネスク展」の泉太郎さんのお手伝いで再び国立国際美術館に行った時のこと。
この時彼はインターンから学芸員補佐になってて、あれ、見たことある人がいる!ってなりました笑
この時のボランティアはほとんど皆学生で、社会人は僕ぐらいだったのと、ほぼ同世代ってのもあって、作業中も色々お話ができて、もう一人いた同世代の補佐員さんと三人で仲良くなりました。
僕がスイスに行く直前にも送迎会とかしてくれて、今でも国立国際美術館に行くたびに彼の昼休憩に合わせて行って、近くのお店で一緒に昼飯食ってから展覧会観るっていうパターンが恒例になっております。
動画の前半でも盛り上がりますが、僕と福元さんは同世代なので、観ている展覧会も被っていて、特に国立国際美術館の思い出はたくさんあるんです。
大阪の、というか関西において、現代美術をしっかり扱う美術館ってここぐらいなんですよ。
僕が現代美術に目覚めたきっかけの展覧会も、館が万博公園の中にあった時代の「連続と侵犯」という展覧会。
しっかりとは理解できなかったけど、「なんかわからないけどすごい!」ってなったのを今でも鮮明に覚えてます。
美術館自体も素敵で、独特の雰囲気がありました。
今思えば移転前ギリギリだったので、あの空間を味わえたのは誇りです。
新しくなってからのシーザー・ペリの建築はマジで魅力ない。。。
閑話休題。
そして福元さんもこの展覧会をきっかけにして現代美術を知ったということ。
その後のヤノベケンジ展とか、移転後の話とかこういう共通の経験って本当に話てて楽しい。
僕にとっても福元さんにとっても、国立国際美術館というのはとても特別な場所なんです。
好きな美術館はたくさんあるけれど、人生レベルで関わってるのはこの美術館ぐらい。
福元さんに至っては、そこで働いちゃってるんだもんな。本当にすごい。
インターンの頃から知ってるので、いよいよ学芸員になった時は本当に嬉しかった。
美術館学芸員って、日本の数ある職業の中でもなれないランキングのかなり上位だと思う。
そもそも学芸員は公務員だし辞める人がほとんどいない。
つまり、パイが相当少ないんです。
数ある美術の分野の中で自分が研究してるポストがたまたまでも空くなんてほぼ奇跡。
たとえ空いたとしても、そこにはライバルが死ぬほどいて、とんでもない知識やスキルを持ったエリートがうじゃうじゃいるんです。
ちなみに以前聞いた話で、某美術館の学芸員さんが辞める時に募集かけたら、百人以上来て、英語、フランス語、ドイツ語って試験をしていっても皆ほぼ満点とっちゃうから選ぶの大変だったみたいなエピソードも。。。他の仕事された方がいいんじゃ。。。
それぐらい厳しい中、福元さんは自身の望むポストをしっかりと掴んだわけです。
しかも憧れ続け、インターンからしがみ付いてきた国立国際美術館の学芸員!
まさに執念の勝利!
その裏には相当な努力や苦しみや悔しさがあったんだろうなぁ。
動画を見ていただければわかると思いますが、福元さんはめっちゃ真面目。
絶対嘘つけないんだろうなぁっていう人です笑
なので、僕は彼に絶対的な信頼を置いてるし、彼の作る展覧会を本当に楽しみにしています。
彼が学芸員になって今年で丸5年。
このコロナ禍で延期になってしまったけれど、彼が携わっている「ボイス+パレルモ」展は今最も楽しみにしている展覧会の一つ。
去年の春にこの話を聞いた時はめちゃくちゃ興奮しました。
なんせ彼が最も感銘を受けた人物がヨーゼフ・ボイス。
僕はこれまでも彼のボイスに対する静かに熱い情熱を聞いていたので、いよいよか!という想い。
というか、こんなに早く大チャンス掴んじゃって大丈夫?とすら思うぐらい。
だって、ボイスですよ?そうそう日本でできる展覧会じゃない。
国立国際美術館の学芸員というポストもそうだけど、福元さんは想いがめちゃくちゃ強い人なので、こういう人にはちゃんと願ったチャンスがやってくるんだろうなぁと見ていて思います。
むしろ僕はこのボイス展の終わった後の福元さんの活動がとても気になる。
大きな夢を次々叶えて一旦は脱力しちゃうかもしれないけれど、ここからどう新たな道を刻んでいくのか楽しみでなりません。
今回動画で改めて話してみて、知らないことも色々あって新鮮でした。
是非彼の静かな情熱を聞いてみてください。
そして美術館のこれからの在り方の話も興味深いので、美術館という場所が好きな人もぜひ。
online BAR "A'live" vol.06 福元崇志 (国立国際美術館学芸員)
【収録日2020.05.21】88分
vol.06では大阪の国立国際美術館学芸員の福元崇志さんとのインタビューをお送りします。
学芸員を志したきっかけから、そこに至るまでの道のり、携わってきた展覧会のエピソードや今後の美術館のあり方のお話まで。

内海聖史さんのこと。

本日(6/7)よりオンラインストアを開設しました!
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こちらで今日から毎週日曜日にインタビュー動画を販売します。
第一弾は画家の内海聖史さん。
http://uchiumisatoshi.com

内海さんの作品を僕が初めて見たのは2005年。もう15年も前。。。
大阪のアートコートギャラリーで展示されていた「色彩の下」という作品。
それまで内海さんのことは存じ上げなかったけれど、チラシを見てなんじゃこれ!となって観に行った記憶があります。
なんせ作品が横17m、高さ3.8m。。。
もはや絵を見るというより、色を浴びるという感覚でした。
僕は一応油絵科出身なんですが、絵に可能性を感じられずやめてしまった口で、内海さんの作品を観た時に、「絵ってこんなに可能性があるんだ!」という衝撃が走りました。
それからというもの、内海さんの作品は全国津々浦々観に行きました。
毎回あらゆる切り口で絵画の可能性を探求されていて、行くたびに驚かされました。
風景ルルル@静岡県立美術館
初めてお会いしたのは2009年に開催された京都のeNartsでの個展。
内海聖史「ボイジャー」@eN arts
そこではお会いできなかったけれど、後日なんとうちのアトリエまで来てくれたんですよね。。。
それからというもの、何度かお会いして、その度に刺激を受けさせていただきました。
今の僕のお店が出来た時もわざわざ来てくださり、開店後何度か東京寄るとご来店してもらってます。
そんな内海さんの作品を僕が初めて購入したのは、2018年のギャラリエアンドウでの個展。
内海聖史「あらゆる時間」@ GALLERIE ANDO
「三千世界」という小さな絵のシリーズがあって、お店に今も展示してます。
しかしその後、ご来店時に開店祝いということで払い戻しされました。。。男前すぎる。。。

内海さんは現在絵だけで食べてます。
このシンプルなことが日本においてどれだけ大変なことか。。。
特に内海さんのような抽象画で、現代美術にも関わってくるようなジャンルではほとんどの作家が食えないのです。
ずっと内海さんの作品のラディカルさを追ってきましたが、近年は生き方そのもののラディカルさにも注目しています。
内海さんがふるさと納税の返納品として絵を出品されてることを知った時は驚きました。
内海さんのことだから何か考えがあるに違いない。。。
お話を聞くと、案の定めちゃくちゃ面白いエピソードが展開していました。
そのあたりもこの動画の中で語らられています。
動画では内海さんが作家を志すことになったきっかけや、作品の変遷、震災のこと等々興味深いお話をたくさん聞くことができました。
作家として生きていきたい人はもちろん、作家ってどんな人なんだろうという人まで、ぜひご覧いただきたいです。
内海さん、お忙しい中本当にありがとうございました。
これからも活動楽しみにしております!
online BAR "A'live" vol.05 内海聖史(画家)
【収録日2020.05.15】105分
vol.05では作家の内海聖史さんとのインタビューをお送りします。
内海さんが作家を志したきっかけから、今の作品になっていく経緯、作品制作の裏側まで。

オンラインストア開設のお知らせ

6/7よりオンラインストアを開設します。
開店1年を記念して 高円寺のBOOZE DESIGN WORKSとのコラボレーショングッズや、
4、 5月に開催したオンライン現代美術講座動画のバックナンバー、
そしてそして 作家や学芸員の方々との対談動画も毎週日曜日に発表、 販売します。
2020.06.07 内海聖史 (画家)
2020.06.14 福元崇志 (国立国際美術館学芸員)
2020.06.21 清水裕貴 (写真家 ・ 小説家) 山元彩香 (写真家)
2020.06.28 酒航太 (写真家 ・ スタジオ35分オーナー)
2020.07.05 高田冬彦 (映像作家)
2020.07.12 中橋健一 (KEN NAKAHASHI ギャラリスト)
超豪華メンバー!!
鋭意製作中です。。。
ぜひチェックしてください!
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RIP CHIRSTO

クリストが5/31にニューヨークの自宅で亡くなられました。享年84歳。
彼は僕のヒーローでした。
学生の時、いろいろ悩んでた時期にたまたま見た日曜美術館。
そこに映っていたのは色鮮やかなサフラン色の布が風に翻るセントラルパーク。
2005年の冬に決行された「The Gate」プロジェクトです。
何より感動したのが、このプロジェクトに関わった市井の人々の誇り高い表情でした。
この時に使っていた布の端切れを、NYに行ってた友達がくれました。
これは今でも僕の宝物で、当時の新聞記事と共にとってあります。

クリストは、どんなに作品が大きくなっても決してスポンサーをつけないし、ボランティアも拒否。
自身のドローイング等を売ったお金をそのまま投資する。
それは作品が絶対的に自由であるため。
スポンサーをつけると彼らの言い分が出てくる。
ボランティアもタダ働きだとどこかで緩んでしまう。
時には数十年かかるプロジェクトも決して屈せずに、自身の方針を曲げない。
トランプが大統領になった時、そのプロテストとして25年間準備してきた「Over the River」プロジェクトをキャンセルしました。
この時のことは僕も衝撃でブログにも書きました。こちら。
このプロジェクトは、コロラド州を流れるアルカンザス川の上空に銀色の布を走らせるというもので、その総距離は9.5kmという壮大なものでした。
実に25年の間、そこに住む住人を説得し、地主と交渉し、いくつもの法の制限をクリアしてきました。
5千万ドル(50億円超)の個人資産を注いできましたが、断念。
これがもしスポンサーつけていたらこうはいかない。
僕は完成したら行く気満々だったので、めちゃくちゃショックだったけど、これが自由であることなのかと納得しました。
今年の秋に決行する予定だったパリの凱旋門を包むプロジェクトも、当初春に開催予定でした。
秋に延期された理由は、新型コロナではなく春に凱旋門に巣を作る鳥がいるので邪魔したくないという理由!
これに合わせてポンピドゥーセンターもクリストの回顧展を開催予定だったのに。。。笑
結果的に新型コロナの影響で来秋まで延期されちゃったけど。。。
クリストはいなくなっちゃったけど、このプロジェクトは彼不在のまま決行されるようです。
これは観に行こうかな。。。と思ってますがどうか。
今までたくさんの夢や希望を見せてくれてありがとう。そしてお疲れ様。
天国のジャンヌと安らかに。。。いや、きっとあっちでも忙しなく動いてそう笑
講演会で握ってくれた手の感触を一生忘れません。さようなら。
<関連記事>
CHRISTO: BIG AIR PACKAGE @ GASOMETER OBERHAUSEN
クリストとジャンヌ=クロード展@21_21 DESIGN SIGHT
クリスト&ジャンヌ・クロード講演会 @ 福岡市美術館
クリスト&ジャンヌ・クロード講演会@京都造形大学
