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山元彩香「organ」@ void+

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大学時代の同級生、山元彩香の展覧会に行ってきました。
今回僕が大好きなギャラリーvoid+でやると知った時はテンション上がりました!
これまでTaka Ishiiで発表してきた彼女でしたが、void+のあの独特な空間でどう展示するのかとても楽しみにしていたのです。
特にマンションの管理人室を改装したという小さな展示室。
まさに「ホワイトキューブ」で、天井に照明すらありません。
そこで今回彼女は初となる映像作品を発表しました。
展覧会タイトルにもなってる「organ」。
内容は少女がチェストに寝転がって鼻歌を歌っているというシンプルなもの。
この映像を観た時ようやく彼女のやってきたことが一本の線で結ばれた気がしました。
というか、その線がピンと張った感覚があったんです。調律が合うというか。
これまで彼女は写真というメディアを使って、海外、特に東欧の女性たちをモデルに作品を制作してきました。
一貫して青っぽい画面に無表情無気力な女たち。
それらの写真群を観て、僕には特にピンとくるものはなかったんですよね、正直。
僕の場合、彼女がコンセプトがあやふやな状態のまま撮ってる時から知ってるので、どこまで考えてるんだろう、というのが計りかねていたのもあって。
彼女の作品は、一見しただけではおしゃれなファッションフォトに見えなくもないので、実際そういう観られ方してる部分もあると思います。
でも、今回のこの映像を観て、一気に目を開かされました。
実は展示前にも携帯の小さな画面で見せてもらってたんですが、その時からこの作品は凄いという感じがあって、改めてこの真のホワイトキューブで観た時の衝撃!
観た、というのはちょっと足りなくて、体験したという言い方が正解。
小さなホワイトキューブで微かに反響するその鼻歌。
それは少女がその場で即興で作った歌らしいのだけど、何とも言えない懐かしさ。
聞いたことなんて絶対ないはずなのに遠い昔から知ってるような。
そして映像自体も、ほとんど動かない彼女の身体をひたすら定点で映していて、生きてるのか死んでるのかわからないのだけれど、メロディは確実に彼女から鳴っている。
そう、鳴っているんです。
「organ」というタイトルが示すように、彼女は楽器と化しているのです。
この作品は、贔屓目を抜きにして、この空間で観た今までの作品の中でダントツベストワークになりました。
本当にいつまでもそこにいられる。永遠に観ていたい。聴いていたい。
この作品はもっといろんな空間で見てみたいな。
例えばコンクリートの部屋とかだともっと反響して聞こえるだろうし、廃墟みたいなところで見たら更に作品の持つ霊性みたいなものが際立ちそう。
そうして彼女の写真作品を改めて見ると、どの女性たちも魂が抜けているように見える。
特に今回は作品を厳選してるのもあって、その感覚が凄まじい。
昔の人は写真に撮られると魂が抜かれると信じていたけれど、彼女は本気でカメラでもって女たちの魂を抜いているように思えてならないのです。
よく写真を評するのに「生き生きしている」というのが賛辞の一つではあるけれど、山元の作品はそれとは真逆。
青い画面も、そうした魂が抜けて体温が下がっていく感覚を覚える。
しかし、それは暴力的な行為ではなく、むしろ「浄化」という言葉がしっくりくるように思えます。
そして更に面白いのが、今回人物のポートレイトと並列して、オブジェや人形の写真も並べられています。
それらが本当に等価すぎて驚きの連続。
一体どれに魂があって、どれに魂がないのか。
今回の展覧会を通じて、彼女がなぜ女性だけをモデルにしてきたのかもわかったような気がしました。
というのも、女性と男性を隔てる最大の違いはやはり「命を生む」という点。
その為には女性は男性に比べて身体的なハンディキャップが有り余るほどある。
出産はもちろん、毎月訪れる生理なんて男の自分としては大変すぎて想像もできない。
女性は生きてる間に流す血の量が男性よりとてつもなく多い。
その度に彼女たちは一旦死を経験しているのかもしれない。
それ故か、女性には巫女のような、彼方と此方をつなぐ役割を担わされてきました。
魂が抜けたり、何かに憑依されたりするというのは、もしかしたら日常茶飯事に起きてることなのかもしれない。
そういうことを写真を見ながら考えられました。
今後彼女がどういう方向に向かっていくのか、とても楽しみになった展覧会。
11/30まで!ぜひ!

<展覧会概要>
■タイトル:Unknown Image Series no.8 #1 山元彩香「organ」
■会期:2019 年11月1日(金)— 11月30(土)14:00-19:00
・レセプション:11月1日(金)19:00-21:00
・トークイベント:11月29日(金)19:00-20:30
山元彩香+ 光田由里(DIC川村記念美術館学芸員)+ 中村史子(愛知県美術館学芸員)
■会場:void+ 東京都港区南青山3-16-14, 1F
■定休日:日、月、祝日
■入場無料
■お問合せ:Tel: 03-5411-0080/メール: info@voidplus.jp

お店にDMと作品集置いてます。
作品集はamazonでも買えますが、残部僅かとのことで購入検討の方はお早めに!
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その他に観た展示。
DECODE/出来事と記録-ポスト工業化社会の美術 @ 埼玉近代美術館
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