A'holic Selection06 "IT'S SHOW TIME!" 開催のお知らせ。

11月30日よりA'holic Selection#06を開催します。
第6回は「IT'S SHOW TIME!」と題して、キュレーションをテーマに選書します。
展示予定書籍は以下。
Jens Hoffmann “Show Time” (2017) Thames & Hudson
“WHEN ATTITUDES BECOME FORM” (2013) Foundazione Prada
“magiciens de la terra” (1989) Centre Georges Pompidou
“SENSATION” (1997) Thames & Hudson
“TRAFFIC” (1996) CAPCMUSEE D’ART CONTEMPIRAIN BORDEAUX
“Il Palazzo Enciclopedico” (2013) Foundazione La Biennale di Venezia
“CITIES ON THE MOVE” (1999) Hayward Gallery
「人間と物質」 (1970) 毎日新聞社
「アパルトヘイト否!」 (1988) 現代企画室
「もし蛇が 岡山芸術交流 2019」 (2019) 美術出版社
「窓展 窓をめぐるアートと建築の旅」 (2019) 平凡社
ハンス ・ U ・ オブリスト 「インタビュー Volume1[ 上 ]」 (2010)
ハンス ・ U ・ オブリスト 「キュレーションの方法」 (2018) 河出出版新社
ハンス ・ U ・ オブリスト 「キュレーション」 (2013) フィルムアート社
アレクサンダー ・ ドルナー 「「美術」 を超えて」 (1992) 勁草書房
「公の時代」 (2019) 朝日出版社
長谷川祐子 「キュレーション 知と感性を揺さぶる力」 (2013) 集英社
難波祐子 「現代美術キュレーターという仕事」 (2012) 青弓社
「キュレーターになる!アートを世に出す表現者」 (2009) フィルムアート社
是非お越しください!
A'holic (エー・ホリック)
東京都新宿区新宿3-11-1 高須ビル3階
*新宿3丁目駅C-6出口より徒歩1分
tel & fax 03-6273-0132
mail info@aholic.com
web http://aholic.tokyo
IG @aholic_artlibrarycafebar
twitter @Aholic_tokyo
19:00-25:00 12/13, 19, 30 - 1/5, 12, 13休
*急な変更はtwitterをご確認ください。
新メニューのお知らせ。(MITOSAYAと一汁三菜)

去る11/17に千葉県は大多喜町にある蒸溜所、MITOSAYAのオープンデーに行ってきました。
MITOSAYAとは何ぞやってのはこの記事を是非読んでください。
薬草園に誕生した、クラフト蒸留所「mitosaya」【前編】
薬草園に誕生した、クラフト蒸留所「mitosaya」【後編】
友人からこの蒸溜所の話を聞いたのが夏ころ。
それからずっと気になってて、どこかのタイミングで行きたいと思ってました。
それにしても遠い。。。
東京駅から高速バスでてるんですが、バス停からなんと徒歩40分!鬼畜!
だからと言って酒飲むし車では行けないしね。。。
とりあえず夏じゃなくてよかった。
そしてたどり着いた先はただただ楽園でした。





ほぼジブリの世界笑
ここに家族で住んでらっしゃるんだとか。。。どんだけ。。。
この日は西新宿の名店ben fiddichが出店してたり、ジビエカレーにコオロギラーメンまで。
コオロギラーメン。
かもめ食堂みたく名前だけかと思いきやガチでコオロギのスープとコオロギ丸ごと入ってました。。。
一緒に行ってた友人が食いましたが僕は無理無理。
写真撮りましたが自主規制であげないでおきます。。。
ジビエカレーは普通に美味しかった。
それにしてもこんなど田舎(失礼)に都会のおしゃれピーポーが押し寄せてるのはすごい。
やはりプレゼンが上手いんだろうなぁ。
お酒のパッケージもこの度グッドデザイン賞金賞受賞されてるし。
あと蒸溜所は中山英之が改修。
そこはユトレヒト時代のコネクションなんでしょうか。
見学ももちろんですが、何と言ってもお酒の仕入れがメイン。
まだまだ出来たばかりの蒸溜所なので生産ロットが少なくて、売り出しと共に完売してしまう代物。
並んでなんとか手に入ったので28日から店に出します。
まずは「UMEBOSHI」と「JOSHUHAKU」。

そして今回初めて出来たアブサン「草根木皮」。
国産のアブサンって珍しいと思います。
少しテースティングしましたが美味しかった!

そして一汁三菜が替わりまーす。
今回は筑前煮に栗ご飯、かぼちゃの煮物、ナムル、わかめスープ。
BARで食べるBABAR料理ご堪能ください笑

とんちピクルスLIVEと営業時間変更のお知らせ。

来たる12月19日(木)にA'holicにてとんちピクルス氏のライブが開催されます!
うちの店来たことある人はわかると思いますが、夏からこの人の音楽しかかけてません笑
お客さんから「知人のCDなので良かったら聴いてみて」と言われて、最初は「うち、日本語の曲かけないんですよねー。でもせっかくなんで作業中とか聴いてみます」とか言いながら、実際開店前とかにかけてたら見事にどハマりして、最早店でこれしかかけられなくなりました。。。
福岡を拠点に全国を流離いながらライブ活動を中心に活動を続けるとんちピクルス氏。
その音楽は、ウクレレ弾き語りからエレクトロまで本当に幅広く、え、これもとんちさんなの!?というぐらいバリエーションに富んでるので聴き飽きることがありません。
海外からのお客さんも、これは何だ!?と衝撃を受けるぐらい国境を越える音楽。
もちろん歌詞の世界も素晴らしいのですが、音楽センスが素晴らしい。天才。
先日ご来店いただき、CDを数枚置いてってもらったのですが、即完売。
そんなとんちさんに、ついにうちでライブしてもらえることになりました!!嬉しい!
というわけで、やります。やっちゃいます。
とりあえず11月中はお店でのみ前売りしてるので、ぜひご来店してとんちさんの音楽聴きにきてください!
以下詳細です。
とんちピクルスLIVE @ A'holic
2019年12月19日(木)
OPEN 19:00 START 20:00
席あり2500円+1ドリンク(前売のみ)
前売立ち見2000円+1ドリンク
当日立ち見2500円+1ドリンク
12月に入ったらメールでもSNSでも販売開始します。改めて告知します。
特に席あり席は数が少ないのでお早めに!
そして、大変申し訳ないのですが、またまた営業時間が変更されます。
現在土日14時からのオープンにしてますが、11/30(土)から全日19-25時になります。
流石に一人でやってるので心身ともにもたず。。。
というわけで、土日昼営業は残すところ11/23,24のみとなります。
短スパンで変更してしまい申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。
窓展:窓をめぐるアートと建築の旅 @ 東京国立近代美術館







東京国立近代美術館で開催中の「窓展」に行ってきました。
もう窓というテーマを聞いた時点で興奮します。
昔「風景」をテーマに展覧会を作ったことがあって、そこにも「窓」は重要な要素だったし、僕は絵画をやってたので、窓は切っても切り離せないし、僕のインスタレーション作品にも窓は大きな要素を占めてる。
「窓」は本当に豊穣な世界を持ったキーワードなんです。
さらに担当学芸員が蔵屋美香さん。
そして五十嵐太郎らの窓研究所とのタッグ。
もはや面白くない要素がない!
とかなりハードル上げて行ったんですが、そのハードルをさらに超える素晴らしい展示でした!
まず美術館中庭には藤本壮介の代表作House Nのモックアップ。
実物は見たことないですが、中に入ると窓枠と窓枠が重なり合って、空を幾何学に切り取る様は爽快。
中は入れ子構造になってるので、どこを切り取っても違う幾何学が登場する。
この日は快晴の秋晴れだったので、余計青い空とのコントラストが素晴らしかった。
会場に入るとまず飛び込んでくるのが、有名なバスター・キートンの名場面。
キートンの後ろの家のファサードが剥がれて倒れてくるんだけど、キートンは窓の部分にいたので無事っていう。
これはスティーブ・マックィーンも作品でやってたし、福山雅治もCMでやってましたね。
様々なジャンルから参照してくるキュレーションめっちゃ好きなんですよね。
しかも冒頭からですから、個人的にめっちゃテンション上がった。
最初のテキストにも、ちゃんとアルベルティの「絵画論」における「開かれた窓」が引用されてて完璧。
見知らぬ他人を窓から撮った横溝に、窓から外を覗く人々を撮った郷津雅夫の写真が並んで、もう一部屋目から完璧!
次の部屋には窓を巡る歴史年表と、建築家のドローイング。
この部屋は、こういう大きなテーマを掲げる展覧会において重要。
というのも、窓に関する作品もあれもこれもと集め出したらキリがないから。
なんであれがなかったんだろう、というのも一気に解決。
持ってこれない「最後の晩餐」なんかも、年表に織り込んじゃえばちゃんとおさえてることになるし。
これは中々賢い方法だと思いました。
窓の発展と、ああ、確かにこの作品も!っていう確認にもなって面白かった。
そして建築家たちのドローイングがすごい。コルビュジエのロンシャンのドローイングとか!
次からは近代の名作たちがこれでもかと登場して目眩がします。
なんといってもマティス。
彼の描く窓は本当にユニーク。
部屋の中と外の区別が曖昧で、窓を描いた画中画なんじゃないの?という錯覚も。
これはマティス自身が意識していたようで、解説に詳しく書いてました。
曰く
「私の感情にとって、空間は水平線から私のアトリエの室内に至るまで一体をなしていますし、通り過ぎる船は私の周囲のなじみの品物と同じ空間のなかを生きている。壁にしつらえられた窓は、2つの異なる世界を作り出しているわけではないのです。」
彼の絵の中では、外も中も全くの等価。
冒頭アルベルティが、絵画論で絵画を窓に捉えたのは、絶対的な「外」を描くための装置として触れていたのとは相反する態度です。
マティスの隣にティルマンスの写真があるのも面白い。
ここからさらに抽象画へ。
アルバースにロスコ。ロスコがやっぱり最高すぎる。
もはや窓は、外を眺めるものではなく、内面を見つめるためのメタファーになります。
そして極め付けがデュシャンの「フレッシュ・ウィドウ」。
最近デュシャンに関する本を改めて読んでたので、具に見られて棚ぼたでした。
リキテンスタインのキャンバスの裏を描いた作品も初めて見たけど面白かった。
この後展覧会は、個展形式で流れていくのも面白かった。
奈良原一高の修道院や刑務所の窓を捉えた写真や、日中韓(小沢剛、チェン・シャオション、ギムホンソック)のユニット西京人の国境を皮肉ったインスタレーション、ユゼフ・ロバコフスキの変わりゆくポーランドを22年間にも渡ってただただ窓から眺め続けた映像、ローマン・シグネールの窓を使った破天荒なアクション等々。
どれも「窓」というテーマ一つでここまでのことができるのか!と舌を巻くばかり。
途中、コンピューターのウインドウのセクションがあったけど、ここはもう少し広げられたように思う。
そして最後の方に来て、THE PLAYや山中信夫を持ってくるのはエモい。
彼らの作品は、マスト中のマストなのです。
そしてフィニッシュがリヒターっていう、出来すぎた展覧会。。。
本当に素晴らしかった。
敢えて難を言うなら、最初にキートン持ってきたんだから、もう少し美術や建築外からも窓に纏わる表現持ってきてほしかったなーと。
ヒッチコックの「裏窓」なんてまさにだし、あと日本画とかも。
個人的には久隅守景の「夕顔棚納涼図屏風」なんか最高だと思う。
日本の建築には元々窓という概念はなかったんだけど、この絵には窓を感じるんですよね。
まあ、この絵は東博のコレクションだけど、近美のコレクションにも絶対なんかあるはず。
本当に言い出したらキリがないんだけど、それだけ横にも縦にも延びるテーマなので、シリーズ化とかしたら面白いなぁ、などの妄想してみたり。
東京近美での展示は来年2/2まで。こちら。
その後来年夏には丸亀へ。
ところでこの展示鑑賞後に真っ先に向かった先は、この美術館にある「眺めのいい部屋」でした。
これぞこの窓展を強化するであろう要素なので、展覧会出口に案内出すべきかと。
ここからは皇居が真正面に見られるんですよ。
いつもは素通りするけど、改めて堪能しました。

あと、東京近美はコレクションも素晴らしいんですよね。
鏑木清方の新収蔵作品展も良かった。メインじゃないけど1年12ヶ月の作品は泣きそうになった。
あと驚いたのが、戦後のセクションで、当時の子供達の絵が展示されてたこと。
こんなものまで収蔵してるのか!と。
本当に素晴らしい美術館だな、と改めて。

最近お店で「現代美術ってどう見たらいいんですか?」という最早普遍的な質問を受けるんだけど、もうね、答えは決まってて「勉強してください」としか言いようがないんです。
なんか美術って感覚的なものと思われがちだけど、特に近現代美術に於いてはほぼ学問に近い。
算数の知識がないと数学が解けないように、それなりの背景や歴史を知ってないと楽しめません。
ということで、今回の「窓展」は勉強してみたい人とってはうってつけかと。
あと近美のコレクションで補完もできて、こんな親切な場所はないかも。
あと最近僕が読んだ2冊は、とても平易な文章ながらめちゃくちゃ勉強になるのでおすすめ。
平芳幸浩著「マルセル・デュシャンとは何か」
森村泰昌著「自画像のゆくえ」
ちょっとでも近現代美術わかりたいって方はぜひ読んでみてくださいー。
加藤泉 -LIKE A ROLLING SNOWBALL @ 原美術館













8月からやってる原美術館にて加藤泉展へ。
会期が1月までとめちゃ長いのでいつ行こうかと思いつつ中々行けてなかったけどついに。
ここ3年の近作がなんと69点も展示されてる超充実した展示。
なんとなく単発で近作観てきましたが、ここまで自由になってたのか!と驚きの連発。
素材は多岐に渡っていて、作品の素材見るだけでもおかしい。
例えば
「木にアクリル絵具、ソフトビニール、石、ステンレス、鉄、石にリトグラフ、アクリル絵具、綿布に木炭、アクリル絵具、ブリキ」
ってのがあるんだけど、所々被ってない?笑
特に石に描いてる作品なんかは、もはやこの人の中で絵画も彫刻もボーダーがないんだな、と思わせてくれて、爽快というか快活というか、すごいの一言。
石のザラザラした質感に描かれた絵は、洞窟壁画のようでもあり、複雑怪奇な様相。
ここまでとんでもないことになってるとは思わなかった!
凄まじい展示なので是非。来年1月13日まで。こちら。
原ミュージアムアークでもやってるけど、こちらは遠すぎるのでパス。
カタログもようやく発売されてましたが、4000円オーバーはちょっと。。。
さて、この美術館も閉館まで残すところあと一年ちょっと。
あと何回来られるだろうか。
こんな素敵な場所がなくなると思うととってもとっても寂しい。
来年は6月から久門剛史と小泉明朗の展示もあるみたいなのでそれは絶対行く。

山元彩香「organ」@ void+

大学時代の同級生、山元彩香の展覧会に行ってきました。
今回僕が大好きなギャラリーvoid+でやると知った時はテンション上がりました!
これまでTaka Ishiiで発表してきた彼女でしたが、void+のあの独特な空間でどう展示するのかとても楽しみにしていたのです。
特にマンションの管理人室を改装したという小さな展示室。
まさに「ホワイトキューブ」で、天井に照明すらありません。
そこで今回彼女は初となる映像作品を発表しました。
展覧会タイトルにもなってる「organ」。
内容は少女がチェストに寝転がって鼻歌を歌っているというシンプルなもの。
この映像を観た時ようやく彼女のやってきたことが一本の線で結ばれた気がしました。
というか、その線がピンと張った感覚があったんです。調律が合うというか。
これまで彼女は写真というメディアを使って、海外、特に東欧の女性たちをモデルに作品を制作してきました。
一貫して青っぽい画面に無表情無気力な女たち。
それらの写真群を観て、僕には特にピンとくるものはなかったんですよね、正直。
僕の場合、彼女がコンセプトがあやふやな状態のまま撮ってる時から知ってるので、どこまで考えてるんだろう、というのが計りかねていたのもあって。
彼女の作品は、一見しただけではおしゃれなファッションフォトに見えなくもないので、実際そういう観られ方してる部分もあると思います。
でも、今回のこの映像を観て、一気に目を開かされました。
実は展示前にも携帯の小さな画面で見せてもらってたんですが、その時からこの作品は凄いという感じがあって、改めてこの真のホワイトキューブで観た時の衝撃!
観た、というのはちょっと足りなくて、体験したという言い方が正解。
小さなホワイトキューブで微かに反響するその鼻歌。
それは少女がその場で即興で作った歌らしいのだけど、何とも言えない懐かしさ。
聞いたことなんて絶対ないはずなのに遠い昔から知ってるような。
そして映像自体も、ほとんど動かない彼女の身体をひたすら定点で映していて、生きてるのか死んでるのかわからないのだけれど、メロディは確実に彼女から鳴っている。
そう、鳴っているんです。
「organ」というタイトルが示すように、彼女は楽器と化しているのです。
この作品は、贔屓目を抜きにして、この空間で観た今までの作品の中でダントツベストワークになりました。
本当にいつまでもそこにいられる。永遠に観ていたい。聴いていたい。
この作品はもっといろんな空間で見てみたいな。
例えばコンクリートの部屋とかだともっと反響して聞こえるだろうし、廃墟みたいなところで見たら更に作品の持つ霊性みたいなものが際立ちそう。
そうして彼女の写真作品を改めて見ると、どの女性たちも魂が抜けているように見える。
特に今回は作品を厳選してるのもあって、その感覚が凄まじい。
昔の人は写真に撮られると魂が抜かれると信じていたけれど、彼女は本気でカメラでもって女たちの魂を抜いているように思えてならないのです。
よく写真を評するのに「生き生きしている」というのが賛辞の一つではあるけれど、山元の作品はそれとは真逆。
青い画面も、そうした魂が抜けて体温が下がっていく感覚を覚える。
しかし、それは暴力的な行為ではなく、むしろ「浄化」という言葉がしっくりくるように思えます。
そして更に面白いのが、今回人物のポートレイトと並列して、オブジェや人形の写真も並べられています。
それらが本当に等価すぎて驚きの連続。
一体どれに魂があって、どれに魂がないのか。
今回の展覧会を通じて、彼女がなぜ女性だけをモデルにしてきたのかもわかったような気がしました。
というのも、女性と男性を隔てる最大の違いはやはり「命を生む」という点。
その為には女性は男性に比べて身体的なハンディキャップが有り余るほどある。
出産はもちろん、毎月訪れる生理なんて男の自分としては大変すぎて想像もできない。
女性は生きてる間に流す血の量が男性よりとてつもなく多い。
その度に彼女たちは一旦死を経験しているのかもしれない。
それ故か、女性には巫女のような、彼方と此方をつなぐ役割を担わされてきました。
魂が抜けたり、何かに憑依されたりするというのは、もしかしたら日常茶飯事に起きてることなのかもしれない。
そういうことを写真を見ながら考えられました。
今後彼女がどういう方向に向かっていくのか、とても楽しみになった展覧会。
11/30まで!ぜひ!
<展覧会概要>
■タイトル:Unknown Image Series no.8 #1 山元彩香「organ」
■会期:2019 年11月1日(金)— 11月30(土)14:00-19:00
・レセプション:11月1日(金)19:00-21:00
・トークイベント:11月29日(金)19:00-20:30
山元彩香+ 光田由里(DIC川村記念美術館学芸員)+ 中村史子(愛知県美術館学芸員)
■会場:void+ 東京都港区南青山3-16-14, 1F
■定休日:日、月、祝日
■入場無料
■お問合せ:Tel: 03-5411-0080/メール: info@voidplus.jp
お店にDMと作品集置いてます。
作品集はamazonでも買えますが、残部僅かとのことで購入検討の方はお早めに!

その他に観た展示。
DECODE/出来事と記録-ポスト工業化社会の美術 @ 埼玉近代美術館
碓井ゆい展 @ 河合塾美術研究所
原田裕規「One Million Seeings」@ KEN NAKAHASHI
植松奎二 「-見えない力と浮くこと-」@ Yumiko Chiba Associates
今井俊介「range finder」@ HAGIWARA PROJECTS
横村葵「little living room」@ INTERART7
「イメージの洞窟 意識の源を探る」@ 東京都写真美術館
カミーユ・アンロ「蛇を踏む」@ 東京オペラシティアートギャラリー/フィリップ・パレーノ展 オブジェが語りはじめると @ ワタリウム美術館









カミーユ・アンロとフィリップ・パレノ。
アンロはパリ生まれ、NY在住のアーティスト。
パレノはアルジェリア生まれ、パリ在住のアーティスト。
それぞれ中々日本で作品をまとめて観る機会はなく、僕もよく知らない作家たちでした。
特にアンロは全くわからず、近所だからという理由だけで何の期待もなく、むしろトム・サックス、ジュリアン・オピーと僕的にアウトな展示が続いただけにむしろどうせまた良くないんでしょという態度で行ったのだけど、結構良かった。
(次の白髪さんは期待してます)
まず、最初の「革命家でありながら、花を愛することは可能か」という作品は、文学のタイトルと生花を組み合わせた作品で、生花を草月流の人たちに任せてるのが面白い。
アンロはお題目を選んで、華道家たちがそれに応えるという形。
それぞれ確かに面白くて、それにしてもこの花たちは会期中どうなるのかしらと思いきや何と草月流の方々が毎朝来てメンテナンスしてるんだとか!なんて作品!
そんな花々の展示を見終えるとドローイング。これはちょっと僕的にはなかった。。。
その先の「青い狐」というインスタレーションが素晴らしかった。
無秩序なのかと思いきや、4つの壁はそれぞれライプニッツの四つの原理がそれぞれ割り当てられるらしいのだけど、結局よくわからなかった笑
そして映像「偉大なる疲労」は、国立スミソニアン博物館とパフォーマンスアーティストのアクウェテイ・オラカ・テテーによって紡がれる宇宙史とも言える壮大な物語。気づいたら全編通して見てました。
何だろう、何がいいとか具体的に言えないんだけど、圧倒的な空間の使い方のうまさ。
そしてそれはフィリップ・パレノもそうで、この展示ほどワタリウムの空間が美しく見えた展示は未だかつてなかった。
個人的に、マリオ・ボッタの作ったこの建物は美術館としてほぼアウトなんだけど、今回彼の作品が置かれることで、気づかなかった建築のディテールに気づかされました。
作品自体は、もう謎だらけで良くわからないんだけど、その作品たちがあることで空間が生き生きと呼吸してる感じがして、とても清々しかった。
氷の雪だるまは僕が行った時は溶けてなかったのだけど、その残骸みたいなのも味があって良かった。
どの作品も以上も以下もなく収まっていて、とにかくいい。
フランスの作家ってこういう空間の使い方ホントうまいですよね。
ソフィ・カルもダニエル・ビュレンもそうだけど。
いつかピエール・ユイグの大きな展覧会も見てみたいなぁ。
あまり感想になってないけど、巧みな空間的アプローチを観たい人は必見の展覧会です。
カミーユ・アンロ「蛇を踏む」@ 東京オペラシティアートギャラリー -12/15
フィリップ・パレーノ展 オブジェが語りはじめると @ ワタリウム美術館 -2020/3/22
ちなみにオペラシティは上の李禹煥も見応えがあります。
そして今回カミーユ・アンロのカタログがすごすぎる。。。
展覧会というか「青い狐」のドキュメントなんだけど、めっちゃ凝ってる!
思わず買ってしまいました。。。店でご覧いただけます。
パレノの方は今回カタログないらしい。残念。

アート・プロジェクト KOBE 2019:TRANS- @ 神戸市内

岡山行くので関西も回ってきました。
まずは神戸のグレゴール・シュナイダー。
この企画もう一作家いますがその人には興味ないのでスキップ。。。
シュナイダーもそこまで興味なかったんですが、うちのお客様で以前ドクメンタに行った時に彼の作品を体験して、それが頭から離れないという話を聞いて一気に興味津々。
先日六本木のWAKOでも観て面白かったので行くことに。
今回シュナイダーは「美術館の終焉ー12の道行き」と題して神戸市内10カ所12作品という恐ろしい企画。
作家の方もよくやったなぁと素直に感心するんだけど、そもそもよくもまあこんな特殊な会場を押さえたよなぁという。
そのほとんどが、マジで!?っていう作品ばかり。
作品には留というタイトルがついており、僕は番号関係なく、第8留の神戸市立兵庫荘から回ったのですが、どうやら1留から順番に回った方が良かったみたいです。どうもストーリーラインがあるらしく。
それにしてもその8留がまずすごかった。
低所得者の勤労者の一時宿泊施設なんだけど、なんとワンフロア丸々真っ黒に染めてた。
さっきまで誰かいただろうという雰囲気そのままで、布団がくちゃくちゃになった感じとか、タバコが積まれた灰皿とか囲碁盤とか、とにかくそのままの状態で真っ黒に染められてて異常すぎる。
そもそも入る時ペンライトを渡されるんだけど、マジで真っ黒でマジで怖い。
二段ベッドが何個かある部屋とか生々しすぎて。。。

早速カウンターパンチくらったまま次、駒ケ林駅へ。
その駅直結の第9留もすごい。
ポンプ室を改造してアメリカがキューバに作ったグアンタナモ湾収容キャンプが再現されていて、ポンプ室の普通のドアを開くと真っ白な牢獄があって、元の空間が想像できないぐらい。すごい。

その後第10−12留はふーんって感じでしたが。。。
移動して神戸駅へ。本来ここからがスタート。
第1、2留も微妙なのでスルーですが、第3留がすごい、というか場所がすごい。
旧兵庫県立健康生活科学研究所というところで、生物実験とかやってたっぽいラボの雰囲気が怖すぎる。
バイオハザードマークや放射線マークのついた部屋などがあり、どこまでが作品なのかよくわからず。
場の持つ力が強すぎる。。。
屋上から見た神戸の風景で少し癒されました。

そして第4留。これマジですごい。ネタバレになるので秘密で。

第5留の神戸ヴィレッジアートセンターでは映像がやってるんだけど、それよかここで第6、7留の見学予約をしなくてはならず、これが難儀。
電話では予約できないので、直接ここに来なくてはならないんだけど、見学開催日が限られてるのですぐに予約が埋まってしまう。
とはいえ、第5留の映像がなんと13時半からしか上映されなくて、それに合わせていくと予約が取れないというジレンマ。。。
結局僕がついたのは12時だったんだけど、最後の一人ギリギリでセーフ!あぶねー。
そしてその第6、7留がすごいんです。行かれる方は是非予約間に合わせてください。
この二つは個人宅なので住所完全非公開。
決められた時間に連れられていかなくてはなりません。
で、第6留が衝撃だった。
ガチで生活感溢れる家の中にパフォーマーが二人いて、ツアー参加者が見てる中普通に生活してる。
一人は風呂場でシャワー浴びててすりガラス越しにしか見えず、もう一人は2階で布団にくるまって本読んでる。。。
何を見せられてるんだwww
そして第7留はとんでもない家、家なのか??もうどこまでが作品なんだか。。。
こうしてシュナイダー体験終了。
なんとトータルで岡山芸術交流より時間かかってしまった。。。
皆さま行かれる際は十分時間とってください。
作品の詳細はCASAのこの記事が詳しいです。
神戸に潜む亡霊たちを探す芸術祭へ|青野尚子の今週末見るべきアート
11月10日まで。こちら。
第6、7留の開催日時もここでご確認ください。
ジャコメッティと Ⅱ @ 国立国際美術館

ジャコメッティによる矢内原の胸像がコレクションに加わったことによる展覧会。
前回1では、ジャコメッティと矢内原との関係性をそれはもう丁寧に展示されてて泣きそうになった。
そして今回は、その彫刻がいきなり初っ端から登場して、そこからジャコメッティの制作に纏わるテーマを、ジャコメッティ以外のコレクションで紐解いていくんですが、これがまた最高のキュレーション。
まずは身体。
シュテファン・バルケンホールや加藤泉、棚田康司等々身体に纏わる超豪華メンバーたち。
そして存在。
トーマス・ルフから石内都まで。
さらに不在。
内藤礼の死者のための枕から高松次郎の影まで。
歴史。ここに米田知子。
そしてそして、テリーサ・ハバード/アレクサンダー・ビルヒラーのジャコメッティの元恋人を描いた映像「フローラ」で完全涙腺崩壊。
もう何この布陣。最高すぎる。
外でやってた、関係性(コミュニケーション)をテーマにした加藤翼や小沢剛は少し蛇足だったかも。。。
やー、本当にこの展示は常設展と侮るなかれ。12月8日までなのでぜひ!
国立国際の前にできる中之島美術館、ボーリングが始まってました。2021年度開館だそうです。

Stone Letter Project #3 @ 京都場

以前から行きたかった京都場。
元染色工場を改築したギャラリー。
想像以上にすごい空間だった。。。
あまり展覧会やってないのが勿体無い。
今はリトグラフの展示をやってて、内海聖史さんらが展示しています。
京都芸大にプレス機と石版が大量に眠ってたらしく、それを京都場に運び込んでワークショップ。
版画って大変。。。
プロセスも多いし道具もいるし。
それぞれの作家さんがリトグラフというメディアを使って作ってるのが新鮮でした。
地点「ハムレットマシーン」 @ THEATRE E9 KYOTO

展覧会じゃないけど毎度の地点。
新しい劇場のこけら落とし公演。
ハイナー・ミュラーの「ハムレット・マシーン」。
元々コラージュ的な作品らしいのだけど、さらに地点なのでもうマジでわけわからんw
いつもわけわからんのだけど、今回のは特に。。。
最後までノリについていけなかった。。。次回の「罪と罰」に期待!
ところで地点にハラスメント問題が出てるみたいです。こちら。
確かにこのAさん、わかります。
何度か出てましたがいつの間にか消えてました。
多分、この記事はほとんど本当だと思います。
だけどね、僕も思ってたけどこのAさん完全に浮いてたんですよ。
やっぱ劇団にはカラーがあって、そこに染まれないとキツい。
2回か3回出てましたが、最後まで馴染んでなくて、僕もうーんと思ってました。
そしたら案の定こんな感じかーという。
こういうの難しいですね。
不当解雇っつっても、表現活動ですからね。論理的な理由だけでないのもあるよね。
とはいえ地点は何かしらの声明を出すべきだと思います。
実際このことは、後ろの人たちの会話で知ったんですが、これが不協和音になって少なくない人たちが地点の舞台を集中して見られないんじゃないかな。
劇団が大きくなった証拠でもあるけど、ここは正念場かも。
大好きすぎる劇団なので、本当にふんばってほしいです。
岡山芸術交流2019「もし蛇が」@ 岡山市内











楽しみにしていた岡山芸術交流に行ってきました。
何と言ってもピエール・ユイグがアーティスト・ディレクターですからね。
もうこの時点で期待MAX。
前回のリアム・ギリックも素晴らしかったけど。
岡山芸術交流2016「開発」@ 岡山市内
そして発表されたタイトルが「もし蛇が」。
想像の斜め上行くわけわからなさすぎるタイトル笑
もう行くっきゃありません。
事前にある程度どんな感じか美術手帖の記事をいくつか読んでました。
緩やかにつながるアート。ピエール・ユイグがディレクションする「岡山芸術交流2019 IF THE SNAKE もし蛇が」が開幕
ピエール・ユイグが岡山芸術交流で目指すもの。「超個体(スーパーオーガニズム)」とは何か?
なぜ「IF THE SNAKE」なのか? ピエール・ユイグに聞く「岡山芸術交流2019」に込めた意図
で、早速総合的な感想ですが、
「わけわからん!!最高!!」
です笑
こんな展覧会観たことありません。
こんなものが日本で観られるなんて。
多分他の国でもここまでのものは観られないでしょう。
ただ、ほとんどの人にはお勧めできません笑
攻めすぎ!ある意味あいちより攻めてる!
上に写真載せてますが、もはやどれが誰の作品とかはどうでもよくなる。
どの作品がどうとかいう批評はこの展覧会では全くもって無力です。
互いの作品同士が干渉しあって、ぐちゃぐちゃに混ざり合う。
もう、この感覚は本当に最高。
一応キャプションもありますが、途中からもう見ませんでした。
やっぱりユイグはすごいなぁ。泣きそう。
ここ最近あいちのこともあって、美術業界内で「連帯」とかいう単語が飛び交ってますが、そもそもアーティストなんてそれができないからアーティストなんじゃないの、って思うんですよね。少なくとも僕はその言葉聞くだけで吐き気がします。
その点この岡山では「ただ共にある」という押し付けもない本当に清々しいと言っていいぐらいの在り方を見せられた気がします。
あと、展覧会見てたらわけわからんと思ってたタイトルもしっくり馴染んでくるのが不思議。
作品が生命体のように見えてくるのはすごい。
こういう展覧会の在り方があるのかーと目から鱗落ちまくりました。
アートクラスタは必ず行くべき展覧会です。
会場も固まってるので午前中から見始めれば余裕で観られます。(シネマ・クレールでやってる映像除く)
11月24日まで。こちら。
ところで前回、ライアン・ガンダーによって破壊されてた駐車場が修復されてて小さく感動!

そして、芸術交流ではないですが、岡山県立美術館でやってる熊谷守一と太田三郎の展覧会が素晴らしいです。
熊谷の絵改めて観ると本当に不思議な絵。
あの独特の輪郭線、描いてるんじゃなくて、避けて塗ってるんですね。
そして太田三郎、前から好きだったけどまた好きになった。カタログ買いました。
津山に住んでらっしゃるんですね。
ってか、この美術館前回も参加してないんだけど、なんか確執でもあるんだろうか。。。
オリエント美術館すら参加してるのに。。。
大原美術館でやってる黒宮菜菜の展示も観たかったけど力尽きました。。。

蛇足。(蛇だけに)
岡山行かれる方にお勧めご飯情報。
味司 野村
讃岐の男うどん
カフェ キツネ ロースタリー
ご当地の「デミグラス丼」が食べたい人は野村へ!
岡山で讃岐うどんってって思うかもですが、男うどんうますぎ。
そして最近できたおしゃスポットカフェキツネ。
芸術交流会場の旧福岡醤油建物のすぐ近くです。
隣は近代名作家具を扱うGALLERY SIGNさんが!
