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國分功一郎「中動態の世界」 / 高橋睦郎「在りし、在らまほしかりし三島由紀夫」

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「暇と退屈の論理学」の國分功一郎さんの新著読了しました。
これまた現在ポップアップカフェで開催中の「良いニュースというのは多くの場合小さな声で語られるのです。」に関連する本です。
忘れないうちにメモ的に投稿します。読みたい人だけどうぞ。






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リー・キット「僕らはもっと繊細だった。」 @ 原美術館

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現在ポップアップカフェで開催中の「良いニュースというのは多くの場合小さな声で語られるのです。」に関連する二つの展覧会をご紹介。

まずは原美術館で始まったリー・キット展。
今年マッタ=クラークに次いで楽しみだった展示です。
リー・キットは香港で生まれ育ち現在は台湾在住の作家。
一昨年行った香港では彼が主催しているスペースthings that can happenも面白かった。(既に閉廊)
またART ITのこの記事を読むととてもクレバーな作家なのがわかります。
リー・キット「ザ・グレート・プリテンダー」

彼が最も注目を浴びたのが2013年のヴェネツィア・ビエンナーレの香港パヴィリオンの個展。
僕もこの展示見ましたが、何が展示されてあったかはほとんど覚えていなくて、覚えているのはその空気でした。
なんというか、留守中の他人の家に勝手に上がり込んだ感じと言うんでしょうか。
僕の好きなキム・ギドク監督の「うつせみ」の主人公になったような感覚。
うしろめたいんだけど、なんだかワクワクする。
周囲の風の音とかそういう何気無いもの全ての感覚が鋭敏になる。
あの感覚はちょっと忘れがたい経験の一つです。
そして今回もまさに同じ感覚に陥りました。
はっきり言って、展示といえるものはこれといってありません。
驚くほど物質感がなく、あるのは光。
窓から差し込む光をプロジェクションで表現しているのか、この元邸宅の窓がことごとく開け放たれた感じ。
見る時間帯によっても見え方が色々変わりそうな展示でした。
これは中々万人がわかるにはあまりにも「繊細」。
そう、タイトルの通りその繊細さを感じ取れないと中々難しい展示だと思います。
万人にはオススメできないけれど、とても爽やかな気持ちになれる展覧会でした。12/24まで。
カタログは11月上旬に完成予定とのこと。間に合えばポップアップカフェにも置きたかったんだけど。こちら


内藤 礼―明るい地上には あなたの姿が見える @ 水戸芸術館
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水戸へ。遠い。。。
出来るだけ外したいんだけど内藤礼は外せない。
ということで内藤礼の個展としては最大規模の展覧会です。
結果から言うと、可もなく不可もなくといった感じでした。
展示室を自然光のみにしたのはさすがですね。
あそこの展示室は天窓があるので電気がなくてもかなり明るい。
電気がないと、展示室というか、ただの「場所」になっちゃう感覚が気持ちいい。
しかしあの展示室構成はやっぱり使いづらい。
展示室と展示室のつながりがいちいち断章しちゃうんですよね。
今回の展示とかシームレスに繋がって一つの作品みたいになってたら本当によかったと思う。
あと、やたら監視員が多いのが気になりました。繊細な作品多いし仕方ないのだけど。
タイトルの「あなた」は監視員のことなのかとすら思いました笑
あと、展示構成的には「鏡」を意識してるのかな、とも思いました。
実際の鏡はもちろん、展示室の対面でおなじモチーフが置かれていたり対になっていたり。
元々内藤さんの作品はシンメトリーの強いものですが、今回は特にそれを感じました。
個々の作品の説明は省きますが、なんだか取り止めがなくてちょっと残念でした。
もっと大胆に、何もない展示室とか作ったりしても面白かったと思うんだけどなぁ。
展示は10月8日までで、カタログは9月末だそうです。こちら


本日9月25日でこのブログ開設から丸13年になりました。僕は3○歳になりました笑
今後ともよろしくお願いします。

A'holic pop up cAfe vol.03 "良いニュースというのは多くの場合小さな声で語られるのです。"

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ポップアップカフェ企画第三段「絵描き殺すにゃ刃物はいらぬ。色をけなせばそれでいい。」、無事終了しました。
お越しいただきありがとうございました。
そしてこの金曜日(21日)から第4段、またまた長いタイトル「良いニュースというのは多くの場合小さな声で語られるのです。」が始まります。
以下ステートメント。

現在主にSNSの登場により、多くの「声」が届けられるようになった。
有名無名を問わず、声高に発せられるその「声」たちは、様々な情報を与えてくれる反面、
大事なことが聞こえにくくなっているような印象を受ける。
良いニュースというのは多くの場合小さな声で語られる。
今再び私たちは慎重に耳を澄ます。
蝶を起こさないようにとても静かに。


わかる人にはわかりますが、村上春樹の小説の言葉がいくつか入ってます。好きなのです。
今回はささやかだけど周囲の空気を確実に震わせる本と作品を展示します。

まずは初っ端から手前味噌ですが、2012年で僕が企画した展覧会の図録。(白過ぎて何がなんやら笑)
我ながら良い展覧会だったなぁと思い出します。こちら
このカタログにも書いてますが、主体の在処が作品そのものになくて、作品はあくまで場と観客をつなぐ触媒に過ぎないというのがこの展覧会の肝となるコンセプトでした。
ちなみにこの会場となった愛知県にある常懐荘という建物は、何度か建て壊しの危機にあいつつも、今年に入ってやっと買取手が決まり保存される運びとなりました。

「うつせみ」(2012)
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そして前述のうつせみ展にも参加してくれた今村遼佑。
今年の初めに名古屋で開催した展覧会の図録です。ブログにも書きました。こちら

今村遼佑「雪は積もるか、消えるか」(2018)
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さらに今回は今村くんの作品も展示します。
今回展示するにあたって、元々の作品を改良してもらえました!

今村遼佑「街灯」(2011-2018)
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あと2012年といえばこの年のMOTアニュアルが素晴らしかった。所謂「風桶展」です。こちら

「MOTアニュアル2012 風が吹けば桶屋が儲かる」(2012)
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主体/客体の二元論ってやっぱり西洋的な考えで、そこからすり抜けるのはやっぱり日本人だなって思います。


ミヤギフトシ「New Message」(2013)
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内藤礼「母型」(2007) 関連記事
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須田悦弘展(2006)

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そんな中で欧米からこの三方。スーザンはまさに「耳を澄ます」展示。

Felix Gonzalez-Torres "Double"(2012)
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Richard Wright (2006) 関連記事
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Suzan Phillipsz "YOU ARE NOT ALONE" (2009) 関連記事

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最後はファッションから。この本ほとんど白紙!攻めてます笑

CREAM Maison Martin Margiela Edition 2008 issue.9
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とまあ、とってもとっても地味ですが、僕的にはとても力の入った展示。
09/21,22,23,28,29,30の6日間です。よろしくお願いします。

A'holic pop up cAfe
東京都新宿区新宿5-10-5 プログレス新宿5階
http://aholic.tokyo
13:00-18:30(l.o.18:00) fri-sun

A'holic pop up cAfe vol.02 "絵描き殺すにゃ刃物はいらぬ。色をけなせばそれでいい。"

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ポップアップカフェ企画第一段「失われた時を求めて -戦後から万博へ-」、無事終了しました。
残暑の中お越しいただきありがとうございました。

さて、次回は「絵描き殺すにゃ刃物はいらぬ。色をけなせばそれでいい。」というまた長いタイトルです笑
例のごとく10冊の選書と関連書籍で作品の「色」をテーマに展開します。
以下ステートメントです。

大学時代に恩師が言った言葉が忘れられない。
「大工殺すにゃ刃物は要らぬ、雨の三日も降りゃいい」を文字った文言だった。
芸術作品はいくつもの要素で成り立っているが、色だけは鍛錬や経験では補いきれない、先天的「センス」としか言いようのない要素である。
ここをけなされると作家としての死が訪れるのである。
恐ろしや恐ろしや。



僕の中でももっともこのことを意識したのは2005年ロンドンのバービカンセンターで観た「COLOUR AFTER KLEIN」という展覧会。
初めて行ったロンドンで最も素晴らしかった展覧会です。
イヴ・クライン以降のファインアートにおけるまさに「色」を扱った展覧会です。

「COLOUR AFTER KLEIN RE-THINKING COLOUR IN MODERN AND CONTEMPORARY ART」 (2005)
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そして当のイヴ・クライン。装丁が美しい青!

「YVES KLEIN: WITH THE VOID,FULL POWERS」 (2010)
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色と言えばこの人。外せません。天才。神。
2004年西洋美術館で開催されたマティス展は今でも忘れられないぐらい感動しました。

「マティス展」 (2004)
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おなじみの人たち笑

「Anish Kapoor」 (2011)
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「Jemes Turrell」(2013)
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Christo and Jeanne-Claude The Gates Central Park, New York City, 1979-2005」 (2005)

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フランス勢はやはりおしゃれ。

「ジョルジュ・ルース 聖なる光展 -絵と写真と建築が出会うとき-」 (1999)
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「ダニエル・ビュレンヌ 透きとおった光」 (1996)

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日本人は唯一この人。日本は墨の文化背景があるからか色のセンスはちょっと弱い印象。

「OFUNE MAKOTO resonance」 (2009)
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唯一アート以外。この人たちの空間と色の使い方はハッとさせられるものがあります。

「a+u 14:08 527 Gigon/Goyer」 (2014)
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そして作品は、後輩の薬師川千晴の作品。
デカルコマニーを使った彩り豊かな作品。素晴らしいです。
彼女の作品についてはこちら

薬師川千晴 「絵の具の引力#12」 (2015)
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BGMはI'M NOT A GUNの「Our Lives On Wednesdays」を流す予定です。
前回の実験工房は不穏すぎた笑
引き続きプルーセルセットも出します。
9月の7、8、9、14、15、16の6日間です。よろしくお願いします。

A'holic pop up cAfe
東京都新宿区新宿5-10-5 プログレス新宿5階
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