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ビガイルド by ソフィア・コッポラ



この時期はカンヌ系の映画の日本上映が続々と始まるので足繁く映画館に通うことになります。

そんな中でも監督賞を受賞したソフィア・コッポラの「ビガイルド」はさすがといった感じでした。
元々好きな監督ですが、前作の「ブリングリング」は正直つまらなかった。
ミュージックビデオの長い版といった感じで映画の醍醐味はほとんど感じられなかったのです。
そこから一転今作にはほとんど音楽が出てきません。
ソフィアといったら音楽が映画の中で要になることが多い印象があります。
出世作の「ロスト・イン・トランスレーション」も「サムウェア」も音楽が常に鳴ってる印象。
今作の音楽と言えば実際に映画の中で少女が口ずさむ鼻歌と、音楽室で奏でられる演奏。
BGMではなく、演者が奏でる音たち。でもこの音がやはり映画に大きな印象を残してるのは確か。
冒頭から鼻歌で始まり、森の美しい映像でスタートし、エンディングも鼻歌から。
この冒頭のシーンはなんとなく頭に焼き付いてしまいます。
そこから負傷兵のコリン・ファレルが登場するのですが、女学校の女たちを魅惑するだけのセクシーさ。
さらに学園長のニコール・キッドマンに「サムウェア」で大人と少女の間を見事に演じたエル・ファニングがファレルを誘惑するという成長を遂げるシーンも。
キャストだけでも見どころ満載なわけだけど、そこに飲まれないソフィアワールド。
これまで煌びやかな映像を撮ってきた彼女だけに、こういうダークトーンのミステリーとの相性はどうかと案じていたけど、ソフィアの柔らかな映像美はそのままに、いや、むしろその爽やかさが余計にダークさを演出していました。
ストーリー展開はネタバレになるので書きませんが、新たなソフィアの魅力が引き出された映画だったと思います。
それにしても邦題の副タイトル「欲望の目覚め」ってなんとかならんのか。。。AVかよ






お次は脚本賞を受賞した「聖なる鹿殺し」。
こちらもなんとニコール・キッドマンとコリン・ファレルの共演。
同じ映画祭で共演したものが二本もノミネートされるのはすごい。
こちらは正直内容は大したことないです。(きっぱり)
でも、見せる力がすごい。
音楽と演出と演者の演技。特にファレルの早口の感じは不気味だった。
そして要となるバリー・コーガンの不気味さがすごい。
もう顔立ちから不気味なんだけど、他の役できるのかってぐらい印象的。
同監督の前作「ロブスター」は最高だった。
独身者は動物になるという謎すぎる設定だけど、そんなの気にならないぐらい展開がうまい。
設定が突飛すぎていちいちなんで?ってならなくて済むのもいいです。
「鹿殺し」は設定が現実的なのに青年の呪いが突飛すぎてなんで?ってなっちゃうのが辛い。
「ロブスター」はその設定だけでなく、「人が人を好きになること」と「人が人を好きじゃなくなっていくこと」の普遍的なテーマもじわじわと沁みてきて飽きさせません。
前半と後半でルールが逆転するのも面白かった。
森の中にひっそりと独身者たちが住んでるのは「華氏451」を彷彿とさせました。
こちらもファレルなんだけど、役作りのためかめっちゃ太っててびっくり。でもセクシーです。
次回作に期待ですね。




あとベルリン映画祭で銀熊賞を受賞したカウリスマキの「希望のかなた」もよかった。
カウリスマキ映画の独特なゆるさをそのままに、難民問題を取り扱った意欲作。
難民問題の映画は近年何本も見てるけど、感動の押し付けみたいなのが多いんですよね。
泣ける映画=いい映画ってのは絶対違う。
その点この映画にはそういう押し付けがましさみたいなのはありません。
ただただ目の前に起きてる寛容と不寛容を目撃する。
え、なんで?ってくらい不自然に寛容なんだけど、そこに理由を詮索するのは野暮。
さらに笑えるところもたくさんだし、音楽もなんだかノスタルジック、映像もシュール。映画として素晴らしい。
皆言ってるけど、主人公が山田孝之に見えて仕方ないのはご愛嬌。
正直「ル・アーブルの靴磨き」の焼き直し感もあるけどいい映画はそれでもやっぱりいい。


あと「デイヴィッド・リンチのアートライフ」も観たけどこれはかなりの期待はずれ。
リンチのドキュメンタリーなんだけど、あくまで彼の「アートライフ」に絞ったもの。
タイトルはまんまなんだけど、やっぱり監督としてのリンチが観たかった。
最後に「イレイザー・ヘッド」の撮影秘話に移る直前で終わるっていう・・・。
「フィルムライフ」を是非観たいです。

今月はいよいよパルムドールを取った「スクエア」も始まるので期待してます。

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