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ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踏団「NELKEN -カーネーション」 @ 彩の国さいたま芸術劇場



ピナの「カーネーション」を観に埼玉へ。
会場やその道中の会話でちらほら前週の香港公演を話題にしてる人をちらほら。僕だけじゃなかった!
次週のソウルも行く人多いのかもしれませんね。さすが。。。

さて、「カーネーション」。1982年初演のピナの代表作の一つ。前からずっと見たかった!
ステージには無数のカーネーションが咲き誇っていて、開演前からテンションが上がります。
舞台がスタートすると、椅子を持った演者たちが登場。案外カーネーションは倒れません。
何人かの演者が客席に降りてきて、お客さんを拉致!早速シュールすぎる笑
その後すぐにお客さんは元の席に帰されるんだけどその間何があったのか気になる。。。
そして有名な「The Man I Love」の手話。
この舞台は音楽の選択が本当に素晴らしい。
ところどころで流れる音楽とカーネーション、ダンス。夢の中にいるみたいです。
机の上で踊るダンスや椅子の上で踊るダンス。ダンスの概念が大きく広がっていきます。
最後の「春夏秋冬」ダンスは、お客さんをも巻き込んでみんなでダンス。楽しかった!
これだけ笑えて笑顔になれて最高にかっこいいダンスピースってやっぱりピナぐらい。本当に唯一無二です。
また、伝統的なバレーの動きを一つ一つ見せるシーンや、ダンサーがダンサーになったきっかけを語るシーン、高い足場から急ごしらえのダンボールに飛び込む場面など、もう印象的な場面だらけ。
あと驚いたのが、演者たちのセリフがほとんど日本語なところ。
多分上演する各国に合わせて毎回言葉を変えてるんだろうけどすごい。
結構複雑な日本語を喋っているのでただただ感心するばかり。
こないだ香港で観た「カフェ・ミュラー」と「春の祭典」はセリフがないので存分に楽しめたけど、これが逆に「カーネーション」を香港で観てたら、セリフが全くわからずここまで楽しめなかったかも。。。日本で観れてよかった!
こんなてんこ盛りな2時間とても幸せな時間でした。
とはいえ舞台中は容赦なくカーネーションたちは踏みつけられ薙ぎ倒され、とても甘い悪夢を見ているよう。
最後にはほとんどのカーネーションが倒れたステージが出来上がっていました。
次は「パレルモパレルモ」が観たい!(最終的には全部観たい)

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Tanztheater Wuppertal Pina Bausch "Café Müller & The Rite of Spring" @ 香港文化中心





今週末埼玉でやるピナ・バウシュの演目「カーネーション」を観に行くんですが、その前に、昔からどうしても観たかった「カフェ・ミュラー」と「春の祭典」が香港でやるってんで飛んで行ってしまいました・・・我ながらフットワークが鬼軽い。。。
今回ピーチで大阪-香港間がなんと往復14000円!大阪ー東京間の新幹線片道とちょっとの値段で行けちゃう。
初香港。前から行ってみたかったけど実際素晴らしい街でした。ソウルより台北より好き。カオスな喧騒とオシャレなセントラルが共存していて、「ブレードランナー」のような映画の世界観。
元イギリス領なだけあって英語もかなり通じるし、治安も良好。親日ってのもびっくり。店にあるお菓子とか日本のものがたくさん普通に置いてあるし、日本語も結構見かけました。
気温も暖かくて日本の寒さから逃避できました。かなりの霧で百万ドルの夜景は拝めませんでしたが。。。
それはさておき演目です。

まず「カフェ・ミュラー」に関しては、やはりピナの不在を痛感しました。
実際僕は、ピナが在命中に見たのは遺作となった「フルムーン」だけで、それ以降いくつか観てますが、特に違和感を覚えたことはありませんでした。それだけヴッパタール舞踏団がピナの意思を忠実に受け継いでて、ピナ亡き今も精力的に動けてるのは一重に彼らの努力に他ならないし、そのことに感動します。
ただ、「カフェ・ミュラー」はどうしてもピナ自身がダンサーとして踊ってる印象が強すぎて、彼女が舞台の上にいないという不在感が、観ていてとても重くのしかかってしまいました。。。
確かに当時と同じようなダンサーたちを選んではいるものの、もはやコスプレにしか見えない。
どうせだったら全く違う体型や髪型のダンサーでもいいのかもしれませんが、バランスが難しいですね。
「カフェ・ミュラー」に関しては、その再現性の難しさを強く感じてしまいました。

しかし次の「春の祭典」は前半のがっかりを軽く吹き飛ばしてしまう力がありました。
こんなものを知らずに生きてきてたなんて。。。と思うぐらいすごかった。
ダンサーたちが文字通り泥まみれになりながら踊り狂う様は、観ていて息がつまるほどのインパクト。
ダンサーたちの荒ぶる息遣いも聞こえてくるし、ステージに敷かれた土が舞う様も鼻につく。
ここまで五感をフルに覚醒させるようなステージを今まで見たことなかったです。
これは生で観ないと本当に意味のない作品だと思いました。言葉になりません。
最後、赤いキャミソールを着た小柄なダンサーが踊り狂うんですが、もう片方の胸が出ちゃってて、すごいなぁと思ってたら、これ演出的に片乳はみんな出してるんですね笑
最後はもちろんスタンディングオーベーション。
泥にまみれたダンサーたちの姿が本当に輝かしかった。
香港まで観に来て本当に良かったーーー!!!
にしてもYouTubeで両作品共全編通して観れちゃうなんてすごい時代ですね・・・。


香港のアートシーンは、まだまだって感じでした。
確かにガゴーシアンを始めとする大きなギャラリーもあるし、今月末にはアートバーゼルもあるけど、何といってもこれといった美術館がないのが痛い。
やはり数年後に開館するであろうM+を待たないとですね。開館したらまた行こう。
てことで、ギャラリーや美術館はイマイチですが、NPOやインディペンデントが熱いです。
特に今回行った中で、Asia Art Archive(AAA)Things that can happenは面白かった!
特にAAAは凄かった。
アジアアートに関する資料が揃った会員登録すれば誰でも入れるライブラリーがあって、そこの蔵書の豊富さはすごいです。リサーチャーにはたまらない施設ですね。日本にも欲しい。
それこそ日本の本たちもたくさんあったし、ウェブに載ってる情報までプリントアウトしてストックしてある。
Things that can happenは、九龍側の深水埗っていう超ディープな電気街にあって、知り合いに聞いたらそんなとこ観光客は行かないって言われました笑
インディペンデントならではの自由さがあって、行った時にやってた楊季涓の個展が良かった。
スタッフもフレンドリーで英語が達者で説明も丁寧にしてくれました。
近くにもう一つ百呎公園ってとこもありましたが、こちらは今ひとつでした。
ちなみに香港アート情報はartscapeのこの記事を参考にしました。


香港、また行きたいです!

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「マルセル・デュシャンとアメリカ: 戦後アメリカ美術の進展とデュシャン受容の変遷」 by 平芳幸浩

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今年2017年は、デュシャンの「泉」が発表されてまる100年になります。
100年前にあんなものを世に発表したデュシャンという人物が空恐ろしいです。
未だにあの作品ほど美術という枠組みを変えてしまった作品はこの100年出ていません。
それほど彼の「レディメイド」という発明は美術の世界を変えてしまいました。
デュシャン以前の美術作品は、ほぼ技術がなせる技でした。
絵画にしろ彫刻にしろ、芸術家の手が重要だったのです。
その根本をあっさりとひっくり返してしまったのがこのデュシャンという人です。
なんせ男性用便器にサイン(それも偽名)をしただけで作品と言ってのけてしまったんだから。
それ以降美術作品において、手仕事であることはさほど重要でなくなりました。
作家が何を作品と名指すか。そこにどういう意味があるのか。
それが今の現代美術と言われるものの根底になりました。

そんなデュシャンが戦後アメリカにどう受け入れられてきたか、を論じているのがこの本です。
この本にはデュシャンの作品の解説もほとんど書かれていません。
あくまで、彼の存在が当時どんなものだったのかの研究です。
しかしそこには彼をいかに戦後のアメリカ美術が取り込んで行こうかという思惑がたくさん絡んでいて、読んでいてかなりスリリングな本でした。
結果的にはデュシャンは、その場その場で、まるでカメレオンのようにその受容のされ方に応じて態度を変えていった様が伺えます。
やはり一筋縄ではいかないようです。
ということで以下本の内容。




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