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ANTONY GORMLEY. EXPANSION FIELD @ Zentrum Paul Klee

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スイスの首都ベルンにあるパウル・クレーセンターで開催中のアントニー・ゴームリー展に行ってきました。
レンゾ・ピアノ設計の美術館で、前から行ってみたかったのでちょうどいい機会。
写真で見た時は、ちょっと遊びすぎじゃないのかって思ったデザインだけれど、実際行ってみると、合理的に作られてて感心しました。
山が3つあって、山ごとに機能が違っていたり、谷の部分が地面に埋まってるのとか気持ちよい連続性がありましたね。ピアノはあまり得意な建築家じゃないけどこれは結構好きかも。
そして、ゴームリー展ですが、新作インスタレーションEXPANSION FIELDは様々な拡大された身体が計60体ずらっと並んでます。
奥には初期作品が3つあって、中でもりんごの成長過程を表した1982年の作品が興味深かった。中には本当にりんごが入ってるらしい。河口龍夫の種を鉛(?)で閉じ込めた作品を思い出しました。初期の作品って結構自然に依った作品作ってて興味深かったです。
ただ作品はこれだけなのでちょっと物足りなかったかな。

しかし20日にはなんと、ゴームリー本人と、ハンス・ウルリッヒ・オブリストの対談という豪華すぎるイベントがあったのです。むしろこっちがメインぐらい。こんな対談日本にいたらなかなか見られません。

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いやぁ、刺激的なレクチャーでした。スイスにいてよかった。
内容はまず、どうしてアートを始めたのかという根源的な質問から。
ゴームリー曰く、美術というより、洞窟とかの暗い場所に行って、瞑想にふけるのが小さいころから好きで、そこからまずケンブリッジに行って考古学やらを学んだけれど、アカデミックな世界に疲れてその後3年間インドに行った。そこではイギリスとはまったく違う生の世界が広がっていた。そこで初めて芸術家になろうと思い、その後ロンドンでセントマーチンズカレッジに入ってアートワールドに入ったとのこと。
ゴームリーの作品って結構システマティックに作られてるので、こういう非合理的な部分に彼の興味の大半があるというのは興味深かったですね。
そして、質問は、彼がアート学生だった頃の70年代は、アンチフォーマリズムが吹き荒れていたけれどそれらの影響はあったのかと聞かれると、アート学生になったものの、アートの為のアートというものに疲れてしまって、それらの議論は自分は蚊帳の外だったと。もっと生きることや死ぬこと、成長すること、普遍的なものを作品にしたかったという。
カンディンスキーやモンドリアン、或いはクレーのように、もっと純粋にアートを追求したいという思いが強かったようです。
その点で、彼にとってボイスは凄まじく輝いていたらしい。
彼の口からボイスの名前が出るのは意外でした。ボイスは確かに「社会彫刻」と銘打っているものの、彼の作品はいわゆる「彫刻」と言えるのか微妙なライン。
対してゴームリーはまぎれもない「彫刻」を作っているので、見た目上はまったく違う二人ですが、中身の点でシンパシーを感じていたのはおもしろいですね。
また、彼はその頃アメリカに行って、リチャード・セラやウォルター・デ・マリアに会い、そこからも刺激を受けたとのこと。ただし、彼らから受けた助言はまったく参考にならなかったらしい笑
そして彼は身体という普遍的なテーマを選び、今に至っているわけですが、彼の作品の素晴らしさは、ひとつのテーマでここまで作品を発展させることができるという実例を真正面から表しているところ。
なんかたまには寄り道したくなるのが人間の常だと思いますが、彼の場合はひたすら一本道。
そしてその道を歩き続けるとこんな地平が広がっているんだというのを僕らに見せてくれてる。
スイスらしく、コルビュジエのモジュロールに関しても質問が及びましたが、ゴームリーはコルビュジエのそれに対してはまったく共感が抱けないとのこと。モダニズム建築は人間の尺度に自然を合わせるようなことをしてしまったけれど、それは完全に間違いだと。むしろ本当に素晴らしい建築というのは、どこかで人間の機能を逸脱するような部分を持っている建築だという。具体的にはインドの神殿やパンテオンなど、やはり神々に捧げられたような、人間の尺度を超えたものは素晴らしい。そして現在、彫刻ではそれが可能だと。
彼の作品は身体をも超えた第二の身体、空間をも取り組む作品も多くあります。
本当は上の最後の写真のような、建築的な作品を今回出したかったのだけど、100tもあるので持ってこれなかったとのこと笑
そして、今回の新作EXPANSION FIELDのプロセスのレクチャーがありましたが、これらコンピューターシミュレーションは彼のような彫刻家にとってとても大きな恩恵を与えているとのこと。実際今のアトリエに移って、最初3台しかなかったパソコンは今や35台あって、20人ぐらいのスタッフが、モデリングや3Dプリンティングのような作業をこなしているとか。
これらは12年前に、セシル・バルモンドのいる構造家集団アラップの人間がやってきて、革新的に作業が変わったという。彼の作ったシステムが今やゴームリーの作品制作になくてはならないものになっているとのこと。
こういうヨーロッパ的なシステマティックな部分と、インド的な瞑想的な部分の二面性が今回レクチャー聞いてみて改めておもしろい人だと思いました。
最後の質問は、オブリスト恒例の「アンリアライズプロジェクトについて」。
生きてるうちにやりたいのは、ユーラシアの真ん中、アジェルバイジャンあたりに、洞窟のような、地上からは見えない「彫刻」を掘りたいとのこと。
もうひとつは、フィレンツェでミケランジェロたちのようなルネサンス彫刻と並んで大理石で作品を作りたい。そしてこのプロジェクトに関しては実際かなり動き始めてるとのこと。
ひとつめは壮大すぎてわかりませんが(笑)、ふたつめは楽しみ。
いやはや、本当に素晴らしいレクチャーでした。今後もますます楽しみです。

ちなみにパウル・クレーセンターなので、クレーの常設もあるんですが、正直自分はクレーの何がいいのかほとんど理解してないので、ほぼ素通り。。。スイス人に怒られそうです。
ちなみにオブリストって元々スイス人なんですね。コスモポリタン過ぎてもはや何人という概念が欠落している人。。。飛行機のマイル凄そう。

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