Alfred Jaar 'TONIGHT NO POETRY WILL SERVE' @ KIASMA

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ヘルシンキにある現代美術館KIASMA。
多くの美術関係者が好きな美術館を聞かれると名前が上がる美術館です。
(何かのインタビューでネトもこの美術館が一番好きって言ってた気がする)
建築はアメリカを代表する建築家スティーブン・ホール。
まるっぽい外観が特徴的ですが、中に入ると愛される理由がよくわかる。
まず入った時の開放感。そして見事なまでの導線。スロープでゆるやかに上へ上へと誘います。

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ここでやってたのがアルフレッド・ジャーの回顧展。
(もう1つマリメッコの展覧会やってたけどそっちはスルーで)

チリを代表する作家ですが、日本であまりお目にかかることがなかったので、名前はよく聞くけど作品はあまり知らない作家でした。昨年のヴェニスでヴェニスが水に沈むというあまりにもストレートな作品やっててなんやこれって思ったぐらい。
なのでこうして彼の40年の業績を一気に観られたのはとてもよかったです。
社会的な問題を直接的に扱った作品って個人的にあまり得意ではないけれど、彼の作品はドストレートであるとは言え、嫌みがなくて素直に鑑賞できました。
特に「SOUND OF SILENCE」という作品は、ケビン・カーターの人生を綴ったテキストによる映像作品で、シンプルなだけに伝わるものも大きかった。
この「伝える」ということを、美術の中で積極的に行うのって勇気がいることだと思う。
報道に美しさを纏わせて、新たな方向から社会と観客を出会わせる。
とても潔く気持ちのいい展覧会でした。

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書くとこないので、ヘルシンキで観た他の建築。

ヘルシンキ観光で外せないのがテンペリアウキオ教会。
岩の中に埋もれるようにできた教会で、コンペによって選ばれたスオマレイネン兄弟による建築。1969年完成。
素晴らしいのは素晴らしいけど観光地化しすぎて教会って感じじゃなかったのが残念。

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あとサーリネンも設計に参加したへルシンキ中央駅。工事中。。。
さて、ここからサンクトペテルブルクへ。

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Tatzu Nishi 'Hotel Manta of Helsinki'

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ヘルシンキぶらぶらしてたら偶然見つけたすごいもの。
なんと西野達氏の新作が!!!
一瞬まさかと思って通り過ぎかけたけどやっぱり戻って正解でした。すごい。
ヘルシンキフェスティバルの一環でオファーされたホテル・マンタ。
マンタというのは、広場にある噴水の人魚の愛称。
実際宿泊も可能で、予約は一瞬で埋まってしまったそうな。
中は€3払えば見られます。
ちゃっかりアールトの家具が使われてて憎いです。

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ALVAR AALTO

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こっそりフィンランドはヘルシンキへ行ってきました。
フィンランドと言えばムーミン、サウナ、エアギター。
今ではかもめ食堂の聖地として若い人にも人気です。
しかし、建築クラスタとしてはやはりフィンランドといえばアアルト。
ということでいくつか回ってきたのでご報告。

まずはスタジオ。ヘルシンキ市街から少し郊外にあります。
ここの周りは大きな家ばかりで大分ポッシュな地域だと思われます。
元々自邸がまた近くにあって、所員が増えて今の場所へ。
外からは白い壁に覆われて閉鎖的ですが、中は一転大きな窓から自然光が燦々と。
かなり広くてびっくりしました。
中庭もあって、そこではレクチャーや映像の上映などもできるらしい。
今はアアルトファンデーションとして資料の管理などの事務所になっています。
11時半と12時半にツアー形式での見学。10月から4月までは11時半から一回のみ。
ただし、希望が多ければ臨時にツアーしてくれることもあるとか。
この日もスタッフの皆さんはお仕事されてました。
ツアーは最後の増築になった食堂から。食堂もいい感じでした。
アアルトはいつも奥のテーブルで昼間からワイン飲んでたとか笑

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続いて自邸。
こちらは前述のスタジオができる前、自宅兼スタジオだったそうです。
外から見て白い方がスタジオ、黒い方が自宅とデザイン分けされてますね。
こちらも外とは打って変わって中は外光が燦々と入ってきます。
こちらにはアアルトの描いた絵画もありました。
コルビュジエと違ってそこまでおおっぴらにせずにあくまで趣味として描いてたそうです。
また、行ったことはないそうですが、親日家だったらしく、日本ぽいデザインもところどころに。
そういうところが日本人のファンが多い理由のひとつでもあるかもしれません。
注意書きとか英語と日本語があって、日本人どんだけ来てんねんってなりました。
そして驚くべきことにここのスタッフさんの日本語能力の高さ!衝撃でした。
こちらもスタジオ同様13時から17時まで毎時0分からツアー形式で見学します。

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あと、この自邸のすぐ側にアアルトの手がけた集合住宅もありました。
昔は年金会館の職員用社宅だったそうですが、今は一般の人も住んでるとか。

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市街へ移動すればところどころにアアルトデザインが点在しています。
中には地下入口とかマニアックなものも。
ここの手すりがかつて盗まれて、クリスティーズのオークションにかけられたそう。
アアルトファンデーションが買い戻したそうですがどうやって盗んだんやろう。。。

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そしてかもめ食堂でもロケに使われたアカデミア書店内にあるカフェ・アアルト。
照明や椅子がアアルトデザインで、ケーキが高いけどめっちゃうまかった。。。

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他にも色々ありますが、回り出すとキリないです。
最後はアアルトの代表作でもあるフィンランディアン・ホール。
白い大理石(?)が微妙に曲がって施行されてるので、まるで編み込まれているかのように美しい。
残念ながらホールまでは入れませんでしたが、大きくなってもディテールが細かかったです。

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今回はヘルシンキ市内にあるのしか見てませんが、好きな人は足を伸ばしてユヴァスキュラにあるアアルト博物館や、エスポーにあるアアルト大学なんかも行ってみてもいいでしょうね。
アアルトに関する諸々の情報はこちらから。

ってことで次回はアアルト以外。

ASM:展示風景(後期)

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展覧会無事終了しました。
お越しいただいた皆様、誠にありがとうございました。
昨日の最終日のトークは台風直撃でしたが、それでもお集り頂き感謝の言葉もありませんでした。
昨年末から動き出したこの企画もようやく終わって寂しいようなホッとするような。
また新たな一歩に向けてがんばります。

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今回の展示は前期後期と2回の展示替えが行われました。
前期では山城君の作品を水平に、松本さんの作品を垂直に展示していたわけですが、後期は逆転。
作品の持つポテンシャルと、展覧会の在り方が改めて顕在化しました。
会期中に大きく展示替えすることなんて普段ないので疲れましたが新鮮で貴重な体験でした。
ギャラリーのスタッフのお二方には本当に感謝です。
そしてなぜか搬出を手伝ってくださったYさんにも感謝!

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ASM:トークのお知らせ

ASM:トークのお知らせ

台風が関西に近づいていますが、明日は展覧会の最終日。
16時からは京都国立近代美術館研究補佐員の平田剛志さんをゲストに迎えてトークをします。
トークまでに台風が過ぎ去ってくれていることを祈りつつ。。。

関連トークイベント:「地図感覚のこと」
日時: 8月10日16:00- 予約不要、参加無料
出演: 平田剛志(京都国立近代美術館研究補佐員) x 森川穣 x 松本絢子 x 山城優摩

東光園 by 菊竹清順

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出雲大社庁の舎 by 菊竹清順

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Junko Fukutake Hall by SANAA

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中国地方を駆け巡りました。

前後しますがまずは前から行きたかった出雲大社。
昨年「平成の大遷宮」を終えたばかりということで、どんなもんか期待してたんですがよくわからなかった。
うーんと思いながら歩いてたら、あれ、そういや菊竹さんの建物この中にあるんじゃと思って探しまわる。
汗だくになりながら探したけど見つからず、人に聞いてやっと発見。案外地味です。
もっと大きなものを想像していたし、新しく建った建物で全景を見ることはできません。
1963年の作で、今は来賓用のゲストハウス的な役割。
形は「稲掛け」をイメージしているそう。
それにしても出雲大社の中に作品を建てるってすごいですね。。。

で、そのまま出雲から米子で泊まって、投入堂に向けて早く寝ようと思いつつ、そういや米子って何か見るものなかったっけ?と思って検索したのが運の尽き。菊竹さんの代表作とも言える東光園があるじゃないか!!!
ってことで早起きして行ってまいりました。。。
でもまあ行ってよかったです。
建築当時とほとんど同じ姿で建っていて、それは見事でした。
ロビーの在り方や、階段のせり出し方等めちゃくちゃおもしろかったですね。
ちなみにこちらは神社の鳥居をイメージしてデザインされたそうです。1965年の作。キレキレ。

あとは岡山にできたSANAAの新作。
最近の彼らはサーペンタイン以来屋根に凝ってる感じですね。
その着眼は本当に素晴らしいと思いますが、これはイマイチでした。
ゲーリーの中途半端版って感じ。
やはり建築の源って屋根を作ったところから始まると思うんですよね。
その要素だけで建築が成り立ちうるのかってのをもっと見たいです。

ちなみに投入堂のある倉吉には丹下さんの市庁舎があって、行こうか迷いましたが、果てしなく疲れたのでパスしました。。。

テーマ : 建築デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

三徳山三佛寺投入堂

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昨年訪れたさざえ堂と共に、もう1つどうしても訪れたかった歴史建造物がありました。
鳥取県東伯郡三朝町にある天台宗の仏教寺院「投入堂」です。
JRの倉吉駅からバスで40分程。三徳山参道入口で降りるのが便利です。
あと、極端にバスの本数が少ないので行く前にご確認を。時刻表はコチラ

それにしても舐めてました。。。
行ったら遠くからでも見れるものと勝手に思い込んでて、直前に調べて焦りました。
以下、入山前の注意事項です。(HPより)

・投入堂参拝受付時間は、8時から15時までです。参拝時間外は閉門致します。
・雨や雪などにより、当山が危険と判断した場合は入山禁止になります。(例年ですと冬の間、12月~3月ぐらいまでは積雪の為入山禁止になっております)
・境内山内はすべて国指定史跡及び吊勝であり、動植物の採取厳禁です。
・喫煙厳禁。また線香、ローソクなどの火気類も使用厳禁です。
・山内での食事はご遠慮ください。ゴミは各自持ち帰っていただくようにお願いします。御札やお供え物は置かないようにしてください。
・投入堂へ参拝をされる際には、必ず二人以上、また両手が使えて運動のしやすい格好でおこしください。
スカート・かかとの高い靴・革靴・サンダル・スリッパ・滑りやすい靴、また底にスパイクや金具の付いた靴などの登山用シューズや・ピッケル・ス トックや杖(山道、木の根を傷める為)、 そのほか参拝や修行に適していない格好の方は投入堂参拝受付ができません。幼児は登山できません。
・酒気帯び、体調の悪い方、医者から運動を止められている方等の登山はご遠慮ください。
・ペットの持ち込み、大声や奇声を発する等、他の参拝者の方々に迷惑がかかるようなことはしないようにしてください。
・立ち入り禁止となっている場所や危険な場所、また投入堂参拝登山道以外の場所へは入らないようにお願いします。
・投入堂参拝受付時に輪袈裟(わげさ)をお貸しします。必ず輪袈裟をしてご参拝ください。


やたら注意事項が多いです。
特に二人以上じゃないといけないってのがネック。
僕はしっかり一人で行ってしまってたのでどうしたものかと思いつつ、バス停でどう考えても投入堂行く人やろなっていう登山武装された2人組に声をかけてご同行させていただけることに。ありがたや。
でも結構一人で来てたまたま現地で登る人探して同行するケース多いみたいです。
そして靴です。
入山受付で、靴のチェックがあります。
アウトな場合はワラジ(700円)を購入して履き替えてからの入山になります。
僕はスニーカーで行ってたわけですが、なぜかパスできました。
軍手も現地購入していざ入山開始です。
(ちなみに本堂まで400円、入山料200円)

それにしても行くまでの道、っていうか道とは言えない場所がすごすぎた。
行くまでが修行なわけです。
こんなんとか。

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こんなんとか。ってかこれ道っていうか、根を掴みながら登ります。

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へーこらへーこら進んで、しばらくすると崖の上にお堂が。
この岩を必死でロッククライミング。普段インドアからいきなり超アウトドア。

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なんとか足下まで辿り着きました。これが文殊堂。1500年に再建とのことですが、木材とかどうやってもってきたんやろ。。。

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で、さらに上に行く為に鎖を伝って登ります。。。

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お堂の縁側を歩けるんですが、雨を落とす為に下に勾配になってて、下は崖という恐ろしさ。
高所恐怖症の人は完全アウトですね。。。

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さらに行くと地蔵堂。ここも縁側すごい。。。

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この辺りで雲がゴロゴロ鳴りだして焦りました。
ただでも滑るのに雨なんか降った日にゃどう考えても下りれなくなる。。。
とは言いつつここで諦めたくもないのでさらに進む。
進むと鐘楼堂が。この鐘なんと3tもあるらしくて、ますますどうやって持ってきたのやら。。。

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ここでようやく半分ぐらい。30分以上は登り続けております。。。
さらにさらに進むと二つのお堂、納経堂と観音堂に辿り着きます。
これがすごくて、洞窟に併せて屋根が勾配していて、ぴったり収まるように作られています。

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もうこの時点でお腹いっぱいなわけですが、観音堂を出たらいよいよ「投入堂」の看板が。。。

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そしていよいよ。。。。


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キターーーーーーーーーーーーーー!!!
いやぁ、本当に感動しました。
これまでのお堂たちも随分無茶な感じでしたが、投入堂は飛び抜けて無茶です。
あんなのどうやって建てんのよ。建造中絶対死者出てるやん。。。
これが706年、平城京以前に建てられたってんだから衝撃。
そりゃ「投げ入れて」としか考えられませんよね。。。
2006年に萱葺き替えたらしいですが、それすらどうやったんだかって感じです。
2007年には応募で選ばれた3名があの堂の中に入ったらしいですが一体どんな感じなんでしょうか。
道が険し過ぎただけに感動もひとしお。本当に行けてよかったです。

しかし下山きつかったなぁ。。。何度も滑りました。大体入山から下山まで1時間半ぐらい。
帰ってきて下山記録を書いてる時にいきなり猛烈な雷雨。。。あぶねーーー。。。
途中で登ってた人大丈夫かな。。。
受付で「あの人たち大丈夫なんでしょうか?」って聞いたら「自己責任ですから」と。。。
「まあ、去年も一人亡くなってますしね」と軽く言ってたけどおいおい。
ってことで本当に幸運にも見られた投入堂体験でした。若いうちに行くべし。

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テーマ : 建築デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

第9回ヒロシマ賞受賞記念 ドリス・サルセド展@広島市現代美術館

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「あの日」から今日でちょうど69年が経ちました。
今日の広島は雨。この日に雨が降ったのは43年ぶりだそうです。
確かに毎年式典をテレビで見てますが、カンカン照りで蝉がガンガン鳴いてる印象があります。
今日の式典はいつもと違って蝉の声も小さく、静かな印象でした。
もし「あの日」にも雨が降っていたら、広島に原爆が落とされることはなかったでしょう。
そしてその後に黒い雨も降ることはなかったでしょう。

そんな広島の現代美術館で現在第9回となる「ヒロシマ賞」の受賞記念展が開催されています。
3年に一度、創造を通して世界に平和を訴えている作家に与えられる賞。
ここまで明確なコンセプトの元で与えられる賞というのも世界的に珍しいかもしれません。
今年の受賞者はコロンビアのドリス・サルセド。
2007年のテートモダンで発表した、床を割った作品は忘れられません。
そんな彼女の作品が日本で見られるなんてと発表当時から楽しみにしていました。

彼女は自国に蔓延する暴力とひたすら向き合ってきました。
コロンビアでは、暴力が日常化していて、必要悪とすら見なされることもあるそうです。
しかし、暴力というのは、確実に絶対悪です。
その当たり前のことが通じない場所が世界の至る所にあります。
彼女はその途方もない暴力と対峙し膨大なエネルギーで作品を制作しています。
その分規模の大きいものが多いので、今回この美術館でどのように展示されるのか気になっていました。

行く前に知人が行っていて、事前に作品と言えるものは2点しかないと聞かされていました。
しかもいつも企画展示をしている場所ではなく、地下の常設展示室。
少し不安を覚えつつ広島へ。

チケットカウンターを通るとまずはこれまでの作品の写真。
そして、2点のうちの1点「ア・フロール・デ・ピエル」が一室を埋めています。
これは、特殊な加工をしたバラの花びらを一枚一枚繋ぎ合わせて、15m四方の大きさまで広げたもの。
これが床に皺を帯びながら敷かれています。
この花びらの状態が不思議で、フレッシュとは言えないまでも、決してドライフラワーのような死んだような印象もなく、生と死のあわいの状態で留まっている感じ。
また作品の状態も、吊るでもなく、壁に貼るでもなく、床に敷かれているっていうのがいいなと思いました。
しかも綺麗に敷かれるのではなく、しわくちゃの状態で敷かれているのです。
彼女はインスタレーション能力が非常に高い作家ですね。
ただ、この作品は、彼女の作品にしては今ひとつ何かが足りない印象がありました。
少し消化不良のまま地下へ。

地下へ入ると、2つの机が上下で組合わさったものがずらーっと展示室を埋めていました。
「プレガリア・ムーダ」という作品です。
机と机の間には土があって、上の裏返された机に開いた穴から植物が生えています。
実際この展示期間中に植物は成長するらしいので、会期間際どうなってるのか見てみたい。
それにしても、この展示にはやられました。
なんで、わざわざ企画展示室ではなく常設展示室なんやろうと思っていましたが、このインスタレーションを見て納得。彼女のインスタレーション能力が遺憾なく発揮されています。
というのも、この部屋、実際普通の展示には使いにくいんですよね。
真ん中に上から降りてくる階段があるので、展示室全体は見渡せないし、導線も悪い。
まあ、この黒川記章の建築は全体的に導線最悪なんですが。。。
この最悪な導線をさらにこの机たちがかき乱しているんです。
観客は、この机たちの間を縫うようにジグザグに進むしかなく、もはや導線は消失。
さらに、全体を見渡せない中、この机たちがあらゆる空間を埋めているので、どこまで続くのかわからない不安が湧いてきます。
僕の中の優れたインスタレーションの定義のひとつに、自分がその場にいながらどこにいるのかわからなくさせるってのがあるんですが、この作品はまさにそう。
この作品自体は何回かいろんな場所で展示されていますが、写真を見ていて、開けた場所よりも、こういった閉塞感を覚える場所でやった方がこの作品は生えるなと思いました。
久々にやられてしまいました。やっぱり彼女はすごい。

とまあ、2作とは言え十分見応えのある展覧会です。
広島遠いけど是非行ってみてください。
現在企画展示室ではコレクション展が開催中ですが、正直あんまりでした。
いつもここのコレクション展は企画展を凌駕する程面白かったりするのに珍しい。
会期終了間際に被ってくる「戦後日本住宅伝説−挑発する家・内省する家−」と併せて行くべきかも。
ドリス・サルセド展は10月13日まで。
http://www.hiroshima-moca.jp/doris_salcedo/


次のヒロシマ賞も楽しみ。個人的には内藤礼さんかなぁとか思ってたり。
彼女は広島出身で、昨年初めて広島で広島に関する作品を制作したそうだし。
気は早いですが、末永く続けて欲しい賞ですね。

久々のレビュー記事でした。

関連記事
Doris Salcedo @ Tate Modern
Doris Salcedo @ White Cube
第8回ヒロシマ賞受賞記念 オノ・ヨーコ展「希望の路」@広島市現代美術館
蔡國強展@広島市現代美術館
クシュトフ・ヴォディチコ講演会@同志社大学今出川キャンパス明徳館1番教室

ASM:搬入2

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現在開催中の「A Sense of Mapping -私の世界の測り方-」。
先週その初日を終えた次の日から旅に出た小生の元にギャラリーのMさんから一本の電話が。。。

「来週から展示替えてみいひん?」

衝撃の提案!
色々話しあった挙げ句、やっぱりそれは乗らな損やろってことで乗っかることに。
ということで2週間の会期中に2回の展示替え。
会期中に展示替えってやったことがなかったのでとても貴重な経験でした。
同じ作品、同じコンセプトの元で、これだけ大幅に展示構成を替えられるってのは嬉しいですね。
そして作品の見え方も先週とはかなり違っています。
急なことだったので告知ができず、先週見逃された方には申し訳ありません。
そして先週来られた方、もう一度来てみてください!
このような機会を与えて頂いたMさんには本当に感謝です。
他のギャラリーだと中々こんなことできないと思います。
だって、普通に面倒くさいもんね。でも面白いが勝っちゃう人って素敵です。
といことで引き続きよろしくお願いします。
今週末にはトークイベントもあります!

タイトル:「A Sense of Mapping -私の世界の測り方-」
作家: 松本絢子、山城優摩
企画: 森川穣(ASM実行委員会代表)
会期:2014年7月29日(火)- 8月10日(日)
開廊時間:11:00-19:00 月休/金曜-20:00/最終日-18:00
会場:Gallery PARC (京都市中京区三条通御幸町弁慶石町48三条ありもとビル[ル・グランマーブル カフェ クラッセ] 2階)
http://www.galleryparc.com

関連トークイベント:「地図感覚のこと」
日時: 8月10日16:00- 予約不要、参加無料
出演: 平田剛志(京都国立近代美術館研究補佐員) x 森川穣 x 松本絢子 x 山城優摩

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ASM:展示風景(前期)

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