Villa Le Lac by Le Corbusier

スイスは日本と肩を並べる建築大国です。
今回散々見て回ったズントーをはじめ、メルクリにヘルツォーグ&ド・ムーロン、今回は見れなかったけど、オルジャッティなど挙げればキリがないほどの優れた建築家を輩出しています。
その祖となっているのは、20世紀を代表する建築家、スイスのお札にもなっているこの方です。

ル・コルビュジェ。
説明不要のマスター・オブ・アーキテクト。
建築家がお札に登場するって素敵ですね。日本だと丹下健三?
それほどスイス国民にも認知される存在です。
ちなみに昨日行ったEPFLの食堂の名がLe Corbusierで、カフェの名はLe Giacomettiでした。
ということで今回の行脚ラストを飾るのはル・コルビュジェのVilla Le Lac。通称「小さな家」です。
ローザンヌから電車で15分ほど行ったVeveyという町にそれはあります。近くにネスレ本社もありますが、僕はネスカフェが嫌いなので素通り。駅前から201番のバスで5分ほど行き(公式サイトにはなぜか1番となってる)、そこから5分も歩けばその家はあります。



レマン湖の畔に佇むその家は、元々両親のために設計され、自身もそこに住みました。父親はここに移り住んでたった1年で他界しましたが、母親はここで99歳の長寿を全うしました。その後は弟(兄?)が住み、さらにその後はメンテナンスを経て一般にも公開されるようになりました。
90年前の建物とは思えないほどきれいで、建築家への敬意が感じられました。
公開期間は限られているので、僕が訪れたこの日もこの「小さな家」にひしめきあってました。。。
本当は一人でゆっくり見たいところですがわがまま言っちゃいけません。






この家の最大の美点といえば、ribbon windowと呼ばれる水平の長い窓。そこからレマン湖を見渡すことができ、最高に贅沢な風景です。
これはコルビュジエ5原則の「水平連続窓」ですね。
人間のスケールに合わせながら、間仕切りで部屋を分けられたり、壁の色を変えたり、様々な工夫で飽きさせません。






そして庭の気持ちいいことといったら。
サヴォア邸にもありましたが、額縁のような窓も健在。
ここに座って、湖からの冷たい風を浴びるのがすごく気持ちいい。
もちろん「屋上庭園」あります。ピロティはありませんが。








7年前にコルビュジエツアーをしたのを思い出しました。
あの時は教会や修道院、集合住宅に邸宅など、大きな規模の作品ばかりみましたが、この「小さな家」にも同じスケールを感じて、彼の揺るがない軸を感じることができました。
行脚最後にふさわしい清々しい建築でした。ありがとう。
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Unite Berlin by Le Corbusier
Le Corbusier♯1 Unite Marseille
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Le Corbusier♯3 La Tourette
Le Corbusier♯4 Ronchamp
EPFL Rolex Learning Centre by SANAA



























ローザンヌに来ました。
昨日はドイツ語圏(Vals)からイタリア語圏(Giornico)に移り、ここローザンヌはフランス語圏で僕の頭の中はパニックです。ホントスイス人の頭の中はどうなってるんだ。。。
今朝はいつものくせで6時に起きた、というか昨日は11時には気絶してたので、この旅の中ではよく眠れた方です。
シャワーを浴びていざEPFL(ローザンヌ連邦工科大学)へ。
目的はSANAAによるロレックスラーニングセンターです。
宿で無料交通チケットをもらえたので、ありがたくメトロでEPFL駅へ。
勤勉な学生たちのためにこの建物はなんと7時から24時まで開いてます!
この建物が竣工した翌年の2010年、SANAAはプリツカー賞を受賞しました。
あの時の驚きは今でも覚えています。こちら。
彼らが受賞するのは時間の問題だとは思っていましたが、まさかルーブルランスを待たずしての受賞とは。しかも伊東さんより先!
それだけこの建物は受賞への決定打になったのでしょう。
実際見てみたらもう受賞は当然の結果だと思いました。
スイスチーズのような、と例えられる穴だらけの建築。
まるで布が地面に舞い落ちるすれすれの瞬間を捉えたような美しく優雅な姿です。
コンクリート打ち放しの婉曲した表面に映る光の反映がとてもきれい。
建築をの下は通り道になったり、憩いの場になったり、広場になったりとオルタナティブな場所。
中はワンフロアワンルームなプランで、プログラムがおもしろすぎる。
スロープがきついとはいえ、バリヤフリーが驚くほど積極的にデザインに昇華されてる。
昨日のメルクリの建築はあえてバリヤを作ることでストーリーを作っていたけど、これはスロープが非常に豊かなストーリーを奏でている。
スロープにすることで床面積も増えるし、よりゆとりのある空間が作れるので、中はすごく広く感じる。
7時過ぎという早い時間にも関わらずすでに学生たち数人がここで調べ物をしたり、カフェでリラックスしたり、と各々の朝を楽しんでいた。こうして人が当然のようにこの建物を利用してるのが嬉しい。そして、竣工からもう4年ほど経った今でもきれいなまま使われてるのが嬉しかった。
多摩美の図書館も相当うらやましいけど、こんな場所で勉強できる学生は本当に幸せですね。自分だったら入り浸ってしまいそうです。
ものすごく気持ちのいい行脚最終日の朝になりました。
それにしてもルーブルランスも行きたかった。
帰りの乗り継ぎパリだったから、旅行社にパリでの滞在時間延ばせるか聞いたら普通に無理と言われた。
ヴェルサイユのペノーネと共に見たかったけど、またフランスはマティスの礼拝堂もあるのでいつか。ド南とド北ですが。。。
さて、残すはあとひとつです。。。
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Novartis Campus 4 by SANAA
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Museo La Congiunta by Peter Märkli















ヴァルスに別れを告げて、バスと電車を乗り継ぎまくって4時間かけて、Giornicoという街へ。いつの間にかドイツ語からイタリア語になってた。。。スイス人のこういう言語感覚どうなってんねんやろ。
ここにはペーター・メルクリの「彫刻の家」があります。
バスの乗り継ぎが3分しかなく、鉄道パスしかない自分はチケットを買わないといけないんだけど、どう考えてもその時間はない。しかしそのバス逃すと1時間は来ない。かといってチケットレスで乗って検閲にひっかかると高い罰金払わされる。どうしたらいいんだーと思って、ヴァルスで少しだけ時間があったので、駄目元で聞いてみたらなんとそこで往復チケットが買えた。バスのチケットはたとえその場所と関係なくてもどこでも買えるようです。よかった。。。
ということで、3分の乗り換えもなんとかできました。
僕はFaidという駅から乗りましたが、Bellizonaという駅からも逆側ですが行けるようです。Faidoからは20分ほどですが、Bellizonaからは倍ぐらいかかるみたい。それぞれバスは1時間に一本。Faidoからは毎時21分に出ます。
で、降車駅ですが、まったく車内アナウンスがありません!スクリーンはあるのに、広告ばかりで駅名を映してくれない。。。しかもめちゃくちゃ飛ばします。僕はiPadのマップにピンを刺してて、GPSでどこ走ってるのか見ながら適当なところで降車ボタンを押しました。
ここでさらに注意しなければいけないのが、Giornicoという名のつくバス停が4つぐらいあるんです。。。僕はGiornico Fraggioだとおもいこんでて、勘で押したのがGiornico Paeseというバス停だったんです。降りて間違えた!と思ってFraggioまで灼熱の中歩いたんですが、結局Paeseが正解だと判明。。。
ってことでGiarnico Paeseで降りましょう。
そこからどっちのバス停からも各々の進行方向まで歩くとカフェがあるので、クールのローマシェルター同様鍵を借ります。
汗だくでその前を通ると、店の人が気づいてくれてMuseo?と聞いてくれました。(ここを歩いてるアジア人はほぼこの建物目当てなのでしょう)
カフェを出て左に歩くと、Museo La Congiuntaの標識があるので、それに従うと橋を渡ることになります。もう橋から見えてるんですが、渡りきったら右に進んでゴールです。
もう暑くて暑くて辿り着いたら汗だく。。。
みためは凸凹したコンクリートの塊。
いよいよ鍵を開けて中へ。
外の無骨な形が見事に中の空間の質を作り出してます。
高さの違う凸の形をした空間が3つ連なっています。
そして、凸の形がシンメトリーじゃなくて、右に偏ってる。
天井高やこのアシンメトリーはどうやって決められてるんでしょう。
論理的な部分と非論理的な部分が折り重なってます。
あと、入り口にわざと段差があって、そこをまたぐと天井高も変わって、意識が変わる気がしておもしろかったです。
まあ、展示されてる彫刻は非常にアレなんですが。。。
とても不思議な空間でした。
帰りは鍵を返して、カフェでコーラ頼んでバス待ち。
この後、途中でルツェルンに寄って、カラトラヴァ駅とヌーベルの美術館の外観を見ましたが、10分で見終えてしまった。。。一応載せておきます。





さて、行脚最後の土地へ。。。
Therme Vals by Peter Zumthor


















ベネティクト教会のある駅からクール側に30分ほど引き返したIlanzという駅から、さらにバスで30分ほど雄大な景色を背景にしながら走ると、今回のズントー巡礼最終地であるヴァルスに辿り着きます。
ここはリゾート地で、地元のスイス人たちが憩いを求めてやってきます。
なのでここでアジア人を見かけたら十中八九建築目的。
他は皆家族連れか老夫婦かカップル。
なんか完全に浮いてて、途中からなんでこんなとこおるんやろ、と自分でも疑問でしたが、そんなことは気にしない。
もうここでズントーの建築に埋もれるんや!
ってことでここのホテル超ラグジュアリーです。
シングル一泊25000円也。悔いはありません。今までのユースホステルはなんだったのか。。。
この旅最大の贅沢です。行脚の慰安も兼ねて。
まずはレセプションへ。ここはズントーデザインじゃないのですっとばしますが、色々説明が多くて目が回りました。あと、ホテルが棟にわかれていて迷路のよう。そもそもレセプションが最上階(7階)ってのが斬新。僕の部屋は2階でしたが何度も下に降りそうになりました。
僕のお部屋は、ブルースタッコルームといって、ズントーデザインのすごい部屋でした。。。間接照明すぎて暗かったですが笑 壁はローマ時代(?)から培われてきたスタッコという左官技術で青く塗られ、バスルームは見るからに高級そうな石。水はけがいいんだけど、間仕切りがなくてシャワーあびたら普通に水浸しになった笑 あとはカーテンは日本の染物らしいです。めっちゃ凝ってる。この辺の詳しく書かれた紙があって写真に撮ろうと思ってたら忘れた。。。
あと、オーディオでここオリジナルのCDが何枚かあってびっくり。
いちいちすごいお部屋でした。身分不相応。
そしていよいよ温泉へ。。。
温泉は6階にあって、宿泊客は出入口にかざすと開くマグネットの腕輪が与えられて、何度でも入れます。温泉のみの利用もできるみたいですが、一回3000円ぐらいだった気がします。宿泊客のみのサービスとして他に水、木、日曜日の23時-0時半の間夜の入浴ができるのと、朝7時-11時までも宿泊客のみ。僕が泊まったのは水曜日だったので、夕方、夜、朝と3回も入りました。
ちなみにここは混浴で水着で入るスタイル。水着なんて履いたの高校生以来や。。。これからほぼないでしょう。
受付でロッカー用のコインを受け取り中へ。
これまで何度も図版で見てきたあの光景が目の前に広がります。
石の積層、天井の光のスリット、青い水面。
中はもちろん写真は撮れないので写真はありませんが、こんな温泉見たことないです。(露天の写真は人のいない早朝に外から撮りました)
昼間もいいですが、夜、なぜか沈黙がすごく厳しく課せられていて、ちょっとでも喋ると係員が飛んでくるというシュールな空間になります笑
いくつか種類がありますが、ここで日本人として一言。
ぬるいよ!
ぬるいっていうか、これは湯と言えるの?ってレベル。
30度とか夏場の野外プールくらい?
普通に風邪ひきそうでした。。。
唯一42度のところがあって、僕のお気に入り。まずはそこで散々体を温めてから外の風呂に行かないと持ちません。
ヨーロッパ人にとって温泉とはプールの延長なのか?
あと欧米人は寒さに滅法強いのが関係してるのか。自分が長袖来てても奴らはタンクトップに半パンやしな。。。その反動なのか熱さに弱いで、42度の湯に気持ちよく使ってたら、ちょっと入ってすぐ引き返す光景が何度も見られました。
まあ、とりあえず温泉としては不満がありますが、ずっとシャワーだったし、もう乳酸溜まりまくってたので普通に癒されました。
スチームサウナもあって気持ちよかったな。
しかしすべての表示がドイツ語で、最初更衣室の男か女かもわからず焦った。。。
温泉で癒された後は、外観を観に外へ。
斜面に埋もれるように建ってて、天井は完全に地面と同化しています。そこいくつかのスリットが入ってるわけですね。かっこいい。
そして次の日朝5時に起きて、悲鳴を上げる体に鞭を打ち、ヴァルスからまたまた1時間ほど登山してLeisという場所へ。
ここには先に投稿したズントー設計の別荘(?)があります。
あまり知られてないかも。友人が教えてくれました。
朝の散歩にはハードすぎましたが、大自然を感じながら歩くのはきもちよかったです。月が出てましたが。。。
そして辿り着いたその先に見たものは増殖するズントーハウスでした笑
もちろん一戸と思って行ったので、隣に全く同じ建物を見た時は目の錯覚かと思いました。しかも3戸目も着工中。。。
数十年後、この土地の伝統的な家の型として定着するにかもしれませんね。。。スケールが違う。
というかこんな奥地に人が住んでるのが衝撃。都会育ちの僕にはまったくわかりませんが、どんな感じなんやろ。ベネティクト教会の途中にも何戸か家があったけど、人間ってすごいですね。
と、書いたものの、帰国してからどうやら違うもの見て帰ってきた疑惑が濃厚に。。。消えたい。
なので、一応前のポストは消しました。お疲れ、自分。
正しくはこちらです。20戸しか家がないのになんで見つけられなかったんだ。。。というかしんどすぎて手前にあったそれっぽいので満足しちゃったんでしょうね。。。
そんなこんなで、7時半にホテルへ帰り、再び温泉へ。
気温が低すぎて30度の湯ですら湯気が立ってた。。。
そして雄大な山々を臨みながら朝食。贅沢の極み。
こうして夢のようなズントー体験終了。
改めてズントーの建築に触れて、建築をはるかに超えた経験として、どれも僕の心に刻み込まれました。
とくにブリューダー・クラウス・チャペルで起こった出来事は一生忘れません。
ここまでの空間体験は、伊東さんのサーペンタインパビリオン以来でした。
やっぱり来れてよかった。
でもこれからこれを超えるものに出会うことなんてできるんでしょうか。極みに触れてしまった気がして恐ろしいです。
さて、旅はもう少しだけ続きます。
Kapelle Sogn Benedetg by Peter Zumthor
























クールを後にした後、電車で一時間ほどのSumvitg-Cumpadialsという駅へ向かいました。
憧れのベネティクト教会を目指して!
この線は主に登山客用になってて、無人駅。
その駅舎が一駅一駅可愛らしくて微笑ましかったです。
しかし笑顔はここまで。
駅についたら心を引き締めます。
なんせそこから1時間弱はひたすら山登りです。
いやぁ、本当にしんどかった。。。普段引きこもりなので、こういうアウトドア的なことに全く慣れていないのです。しかしズントーのためなら登ります。よろこんで。
この日は曇りで気温も高くなくて助かりました。まあ、登り切った時には汗だくでしたが。。。
ようやく見えてきて、いよいよ。
辿り着いたところに日本人らしきアジア人がいたけど、ここは心を鬼にして素通り。どうして一人で見たかったし、心を沈めた状態で中に入りたかったので。
何度も本やネットで見てきましたが、その表面の「木の鱗」は雨風にさらされて、複雑な色彩を帯びてとても美しかった。
ズントーを一躍有名にした作品です。
中へ。
とても小さな空間ですが、木の葉型の空間は広がりを感じます。
そして光の入り方が素晴らしい。
中は自分一人で、椅子に座ってしばらく目を閉じて、瞼を越えて差し込む光を感じました。
ブリューダー・クラウス・チャペルの時のように涙は溢れなかったけれど、静かな気持ちになれました。
そして、「巡礼」という言葉がぴったりなここまで旅路を思って、この体験そのものが、この教会の持つ魅力になってるんだと思えました。
しんどかったけど、辿り着いて腰を下ろした瞬間の充実感がたまらなかった。
この先もずっとここにあって、さらに美しさを増して、訪問者を向い入れるんでしょうね。
最後にポストカードが売ってたので買ってきました。わずかですが、この建物が長生きするのに役立てていただければと思います。
Gerda Steiner & Jörg Lenzlinger 'NATIONALPARK' @ Buendner Kunstmuseum Chur



























本当はズントー設計の美術館渡り廊下(最後の写真)を観に行ったんだけど、思いがけずゲルダ・シュタイナー&ヨルグ・レンツリンガーの展覧会が!しかもこれがものすごく良くて、申し訳ないけどズントー様はそっちのけで楽しみました。てか渡り廊下って!ズントーちゃうかったら見るとこちゃうやろ。
それはともかく、展覧会は写真の数々を見ていただけるとわかると思いますが、カオスです笑
壁は削られてるし、床は抜けてるし、天井も穴空けちゃってるし、窓ははずしちゃってるし、もうなんでもあり。生きたモルモットもいました。この展覧会終わったらどうなるんでしょうか。。。
しかし、本当に楽しかった。
正直 僕の中で彼らの評価は水戸芸の展覧会で相当低くなってしまったのだけど、この展覧会見て再び舞い上がりました。
入ってすぐまずスタッフの衣装が彼らの作品。かわいかった。
そこからまず'NATIONALPARK'に入る前に、ひとつアイテムを選びます。
選んだら、'NATIONALPARK'へ。
まるで博物館のような展示物の数々。でも実際めちゃくちゃ。
ガラスケースの中でハエがわいてるのもあった。。。
しかし、本番は2階。
階段の壁が削れてたので、最初普通にボロボロな美術館やなと思ったら、それにしては人為的な線だったので、え?ってなったら、やっぱり彼らの仕業。そんなアホな。。。
そこから前述のようなカオスで、見ても見ても見切れない。
ずっといてても楽しそうな空間が見事に形成されてて、本当に素晴らしかった。
最初ズントーの渡り廊下を見たら花とかが飾られてて、誰やねん!と思ったけど、この展示見てしまったら仕方ないです。ちなみにこの渡り廊下の窓も一部外されてます。。。
インスタレーションというか、ひとつの世界を築いた彼らはもちろん素晴らしいけど、これをやらせた美術館がすごい!日本ではまず無理でしょう。
本当にこの後どうするのか気になりますが、とにかく素晴らしい展示でした。12月21日まで。こちら。
あと、本館では、'Uninhabitable Objects – Dwellings between Imagination and Reality'という展覧会も開催中。こちらはシュッテやホワイトリードなど、家をテーマにした作品を集めてて、これも中々おもしろかった。
コレクションにはジャコメッティが数点。あとはあまり気になるのはなかったかな。。。
ところでChurにオルジャッティの手がけた正面玄関があると聞いていたのだけど、見当たらず断念。。。どこにあったの?オルジャッティが見れるのはこれだけだったので地味にショック。てか正面玄関とか渡り廊下とかってちょっとマニアックすぎませんか。。。
Shelter for Roman Ruins by Peter Zumthor
Kunsthaus Bregenz by Peter Zumthor























これまた憧れのブレゲンツ美術館へ。
ミュンヘンから3時間ちょっと。ここはオーストリアになります。
Bregenz Hafen駅とBregenz駅がありますがどっちで降りても同じぐらいの距離。
僕はわからずHafen駅で降りましたが、駅から普通に見えてます。
「光の鱗」と呼ばれるガラスボードに覆われたその姿は神々しすぎる。。。
杉本博司もかつて最も完璧な美術館と称えました。
現在はガブリエル・オロツコの展覧会が開催中。
これまでもオラファーやフラーなど伝説的な展覧会が数々開催されてきました。
ずっと、また伝説に残るような展覧会が開催されないかチェックしていたのですが、今年のプログラムの中ではやはりオロツコが群を抜いてる予感がしたので、なんとか合わせました。
入るとまずは以前ロンドンのWhiteCubeで見たクジラがお目見え。
1階は普通に照明ですが、この美術館の本領は2階から、いや、階段から始まります。
この美術館の素晴らしいのは照明をほとんど使用せず自然光で照らし出す点。
外の「光の鱗」は燦々と太陽光を取り込み、それを各フロアの間にある空間に溜め込み、各展示室を照らします。
時間によって、季節によって作品の見え方が変わるかもしれません。
壁も白ではなくコンクリート打放しで、20世紀の均質空間とは一線を画しています。
実際2階以降の展示の美しさと言ったら!
そしてオロツコはやっぱりすごい。インスタレーションが天才的です。
この展示室に入るとどうしても視線が天井に行くんですが、オロツコはその視線を下へ下へと引っ張っている。
2階は床に並べられた石の彫刻群に、低い位置に並べられたペインティング。
3階はテラコッタの作品群で、最上階は打って変わって車の彫刻一点のみ。見事でした。
そんな中で、普通に目線の高さにかけられた写真たちがこれまた素晴らしい。
写真であそこまで身体感覚を思い起こさせるのはすごいです。
特に息を吹きかけたピアノの写真はすばらしかった。。。
建築と見事に調和した、本当に素晴らしい展覧会でした。10月6日まで。こちら。
そして別館(?)ではズントーの模型を並べた展覧会も開催中。
ヴィム・ベンダースの撮ったズントーのドキュメンタリーやかなりの数の模型ですごいです。ズントー三昧。
ほとんどが実現してませんが、どれも実際見てみたいものばかり。
そして既に見たコロンバやブリューダークラウスチャペルの模型やこれから見るいくつかの模型を見てニヤニヤしてみたり。ブレゲンツの模型かっこよかった。あの採光室の発想は本当にすごい。ズントーは外の環境を建築に取り込む技術が神がかってます。
ノルウェイのブルジョワとのコラボとかも見てみたいけどどこやねんって場所ですよね。。。
ここにはなかったけどLAに建つ美術館もすごく楽しみ。SANAAのような自由曲線でえ?ってなったけど、きっと彼のことなんでできたら皆納得しちゃうんでしょうね。
テンポラリーなハノーバー万博でのスイスパビリオンや数年前のサーペンタインパビリオンも見てみたかった。。。
ちなみにブレゲンツはすごく美しい街で湖が素晴らしかった。
湖を見ながらランチとビールで残り少ないユーロを使い果たし、スイスへ。
着いた駅で水が4.5フラン(450円ぐらい)で売ってるの見て倒れそうになった。
その後スーパーで1.7フランで売ってるの見て一安心。
そしてスイスはその辺で湧き水があるので、ボトルさえあればずっと無料!
それにしても高い。。。なにもかもが高い。節約します。
それはそうと、着いて早々にクンストハレへ。ここにはいくつかのギャラリーも寄り集まっていて、Hauser&Wirthではサスナルの展覧会もやってました。一番すごかったのはPOOLというギャラリーで開かれていた'SOME A LITTLE SOONER SOME A LITTLE LATER'という展覧会。フラーやティルマンス、ギリックにアリスと参加作家が超豪華。お金を払って見るクンストハレよりよほど見応えありました。一個一個の空間も広くてチューリッヒではまずマストな場所ですね。
あとポルケの手がけたGrossmunsterに行きましたが、思ったより小さくて少しがっかりでしたが、美しかった。様々な石を薄くスライドしたものを組み合わせて作られています。ポルケらしいアプローチですね。詳しくはこちら。
それとカラトラヴァの手がけた駅も見に行きましたが、あまりに汚くなってて見るに耐えなかったです。。。ショック。写真も取りましたが控えます。。。
チューリッヒ大学の図書館もカラトラヴァだそうですが見つからず。
それよか物価は高けれどチューリッヒ普通にいい街で癒されます。
昨日今日はノルマがゆるかったので足も随分マシ。
明日はハイキングコースなので死ぬと思います。。。
Allianz Arena by Herzog and de Meuron




Fünf Höfe by Herzog and de Meuron






BMW Welt by Coop Himmelb(l)au





Olympiastadion by Frey Otto





ミュンヘンに寄道。
ミュンヘンといえばヘルドムのサッカースタジアムです。
2006年のドイツオリンピックで登場したのを覚えてる人も多いかも。
北京の鳥の巣といい、スタジアムを作らせて彼らの右に出るものはいません。
このスタジアムも写真通りめちゃくちゃ美しかった。
駅から見えるのにこれもまたなかなかたどり着かないパターンで辿り着いたら汗だく。。。
そしてなぜか途中の駅が工事中でバスを乗り継がないと行けずでした。
8月末までかかるそうなので行かれる方はお気をつけて。
さらに彼らのショッピングセンター。
無印良品が入ってるので普通に買い物も兼ねて。
床にはトーマス・ルフの写真がコンクリートに転写されてる作品や、オラファー・エリアソンの鳥の巣のような塊が宙に浮いてたりアート好きでも楽しめます。
あとはオリンピック公園のコープとオットーの建築。
でかすぎてどうなってるのかよくわからず。。。
それにしてもズントー見てしまってから、ほとんど感動できない。。。問題です。
Bruder-Klaus-Feldkapple by Peter Zumthor












ルネサンス芸術もクリストも、ずっと見てみたいと願っていたものでしたが、この行脚の最大の目的はピーター・ズントーの建築巡礼でした。
ズントーに関してはこちらで散々語ってるので参考までに。
ロンドンにいた頃、帰国前の最後のデザートにと残しておいたら、いつの間にか時を逃して結局行けず終いとなってしまったのです。美味しいものは最後に残す一人っ子のくせが仇となりました。
いつか行かなくてはと思い続け、ついに実現。
順番は前後しましたが、まずはデュッセルドルフから1時間弱のEuskirchenという駅からタクシーで20分ほどの僻地にある小さな教会へ。
タクシーに乗ってる間、畑しか見当たらずホンマかいなと不安になりつつも無事到着。
車が停められるのは、教会から少し離れたところで、そこからさらに15分ほど歩きます。
麦畑越しに見えるその姿。気分は高まります。
そしてついに到着。ついについに辿り着きました。
この教会ができたのは2007年。僕の帰国の直前で、初めて写真を見た時の衝撃は忘れられません。
まずは木を組んで、その上から村人と土を混ぜたコンクリートを時間をかけてもっていきます。コンクリートが乾いたら最後に中の木組を燃やして完成。21世紀とは思えないほどのアナログな方法で立ち上がったそれは、出来上がった瞬間から、まるでそこに数百年も前からあったような風格を漂わせながら誕生したのです。
それから6年ほど経ち、さらに風格を帯びていました。
壁にはいくつか穴が開いていて、その理由は中に入るとわかります。
心を整えて中へ。
中は10人も入れないほどの小ささ。
完成直後の中の壁の表面は焦げて真っ黒でしたが、今ではほとんどその煤も空から降り注ぐ雨に洗い流されたようです。
この教会には天井がありません。ローマで見たパンテオンのようですね。雫のような形をした天井の穴と呼応するように、地面には同じ形をした水たまりができていて、行った時はそこに薔薇の花が一輪添えられていました。
外の穴の部分にはガラス玉が埋め込まれていて、その玉が外の光を通して光り輝いていました。
入った時点ですでに1人いて、小さな椅子に腰掛けていたので、僕もしばらく中を見渡してから彼女の隣に腰掛けました。
その途端に涙が溢れてきて、自分でもびっくりしました。
わけもなく溢れてくる涙を止めることができずしばらく泣きました。
気づいたら隣の人も泣いてて、2人言葉を交わすことなくしばらく静かに流れてくる涙をそのままにしました。
あれは何だったのか未だにわかりません。
宗教体験というものなのか何なのか本当にわかりませんが、教会を去って、駐車場に着くまでの道中も涙が止まりませんでした。こんなことは今まで初めてで、かなり戸惑いました。
ズントー建築初体験は一生忘れられないと体験になりました。
その後、先に投稿したケルンのコロンバへ。
こちらはケルン駅から徒歩10分ほど。
ズントー建築の中でも最も行きやすいものかも。
これも2007年開館で、衝撃的な建築でした。
崩れた教会に、まるで継技するように融合した建築。
時を凌駕するズントーならではの方法で、見事な調和を奏でています。
教会の保存、補強、展示も兼ねている一石三鳥なプログラムですね。
中もすごくて、壁の隙間から漏れてくる光が美しすぎます。
さらに展示物も数百年前のものから現代美術まで、シームレスに展示されてて衝撃。美術館としても普通に興味深いです。ちなみに行った時は、リチャード・セラやレベッカ・ホルン、ヤニス・クネリスなどが展示されてました。
展示室もひとつひとつ質が違って、本当に完璧な空間。怖いです。
しかし1日にズントー2つはお腹いっぱいすぎました。。。
ズントーは想像を遥かに超えた存在でした。
この先あといくつか見てきます。
CHRISTO: BIG AIR PACKAGE @ GASOMETER OBERHAUSEN




夢にまで見たクリストの作品を観にドイツはオーバーハウゼンへ。
これまで小さな作品は見たことはありましたが、いわゆるプロジェクトとしての作品は初。
デュッセルドルフから電車で20分、さらにバスで10分ほど。
その大きな建物はバス停から見えはするものの中々たどり着けず結局15分ぐらい歩いた。
今回の展示が行われているそのGasometerという会場は、1920年代から80年代にかけて、この地域の産業を支えるガス供給施設として働いていましたが、その役割を終え、今ではこの街のランドマークであると共にこうして展覧会やイベント施設として機能しています。
1999年にもクリストはここでプロジェクトを制作していて、その時は130000個ものドラム缶を積み上げたようです。
クリストのプロジェクトはほとんど野外で行われますが、室内で、しかも同じ場所で2回もというのはここだけ。
しかし今回展覧会の作家名がクリストだけになってて寂しい。
でも1階ではちゃんとジャンヌとの2人の記録として、これまでの作品を回顧する写真展が開催されてました。




今回は117mもの高さを有するこの建物の内部いっぱいまで空気で布を膨らまし、その中に人が入れるというもの。このエアパッケージの作品は昔にもベルンなどで制作してますが、今回は最大規模で人が入れるのは初。
ということで中へ。












中に入ると、ついに!という感慨と白い空間で高揚感がやってきました。
しかし数分もすると、?となってきました。
作品としては、まあ布だけだし、寝転んだり、歩き回ったりしては見るものの、すぐに飽きます。
んー、こんなものなのか?と次第に落胆の色が濃くなりつつ、いつの間にか僕のフォーカスは作品そのもにではなく人に向いていき、気づいたら人ばかり写真に撮っていました。
そうしてはっと気づいたんです。自分はすっかりクリストの魅力を忘れていたことを。
僕が学生の頃クリストとジャンヌはニューヨークでThe Gateのプロジェクトを実現させていました。
当時作品を作る意味というか、なんでこんな非生産的なことに金や労力や時間を費やしてるんやろという、制作すること自体に自信をなくしかけていました。
そんな時、日曜美術館で彼らのプロジェクトを紹介していて、それを見て涙が止まらなくなりました。
そこには、その制作に携わった市井のおじさんが、訪れる人に向かって、胸を張って作品の説明をしていました。ここまでアートが人を輝かせることがあるのかと、本当に目から鱗が落ちる経験でした。
クリストの作品の主役は作品そのものではなく、人です
この作品でもそこに人が一緒にいるということがいつの間にか物凄く愛おしく感じるようになってる自分がいました。実際作品の下の階では、真上から映した人々の様子がプロジェクションされてて、これぞ真骨頂って感じでした。
やっぱりクリストは僕のヒーローです。
Over The Riverも絶対見に行きたいです!
展覧会は12月30日までなので是非。こちら。
<関連記事>
クリストとジャンヌ=クロード展@21_21 DESIGN SIGHT
ジャンヌ・クロード逝去
クリスト&ジャンヌ・クロード講演会 @ 福岡市美術館
クリスト&ジャンヌ・クロード講演会@京都造形大学
あとデュッセルドルフのK21ではティルマンスの個展が開催中。
もう終わってると思ってたら会期が9月8日まで延長されてた。
スケジュール的に相当ハードでしたが、なんとか辿り着けました。おかげで太腿が肉離れ寸前です。。。
内容はこれまでの代表作がほとんど並んでてかなり豪華なもの。
彼の魅力は写真というメディアをとことん追求し、何を撮るか、どう写すか、どう印刷するか、どう展示するか、さらにはどこまでが写真かというところまで追求し、ゆえに展覧会をもメディア化します。
なので、彼の写真はただの図像ではないので、写真集で見ても限界があります。(その写真集をもメディアとして制作されるのでさらにわけわからないことに)
なのでまとめて展覧会というメディアで存分に見てみたかったので今回の展示は大満足でした。
詳しくは美術手帖でも清水穣さんが書かれているので僕が触れるまでもないですが、今回映像作品が展示されててびっくりしました。
といっても昨年の写美での川内倫子展同様、その視線は映像でも変わることなく地続きでしたね。
彼の写真はそこ見る!?って単純な驚きがあって、いままで気づかなかった美しさをおしえてくれます。
例えば脱ぎ捨てた服だったり、丸めた紙の中だったり、今回衝撃だったのは男性用の共同トイレですね。醜悪なのになんだか美しい。
映像では通りを行き交う人や車を気の向くまま追いかけたりして普段からキョロキョロしては美しいと思えるポイントを探しているんだろうなと思えたし、クラブの音楽に合わせて動くライトだけを録った映像はまんまティルマンスの視線を感じましたね。
そして今回さらに衝撃だったのは、カタログが無料で配布されてること!
しかもかなりがっつりしたやつ。。。このカタログもそれが無料で配布されるということ自体も彼の作品ですね。素晴らしい展覧会でした。こちら。
また、さすがアカデミーのあるデュッセルドルフだけあって、コレクションにもベッヒャー夫妻やトーマス・ルフ、イミ・クネーベルなど豪華。こないだもグルスキー観たばかりだしドイツづいてます。
そして、ここの吹き抜けにはトマス・サルセノの大規模なインスタレーションが。
人も登れるそうですが、この時は調整中で入れず。
それよか、その下の階に、彼の蜘蛛の巣を使った彫刻があって、それがものすごく美しかった!はじめどうやって作ってるんやろと近づいたらほんまに蜘蛛でびっくり。
僕は人が入っていける作品より、彼の単純に目で見て美しい作品の方が好きですね。
思わずカタログ買ってしまって、ティルマンスとクリストもあって帰り重すぎました。。。

さらにドイツといえばリヒター!ってことでケルン大聖堂のステンドグラスも見てきました。
なんだか毎日のように教会行ってる気がする。。。

'Ultima Cena' by Leonardo da Vinci

イタリア最後はミラノです。
ミラノは正直見るものは少なくて、マストといえばミケランジェロ作ロンダニーニのピエタとレオナルド作「最後の晩餐」でしょうね。
ということで行脚前半戦最後を締めくくるのは「最後の晩餐」です。
モナリザ同様これまで何度も見てきた図像だけに、実際見たとこでそこまで感動はあるのか行くまで疑問でしたが、やはり実物はすごかった。
モナリザは実物見るとその小ささに驚きますが、これは大きさに驚きます。
というか実際より確実に大きく見えてると思う。
鼻につくぐらいわざとらしい遠近法のせいもありますが、それ以上に広がりを感じるのはなぜでしょうか。
この絵は近くで見るより遠ざかれば遠ざかるほど素晴らしいです。
何と言っても構図が完璧。
13人の配置が実物で見ると本当にずばぬけてる。
そして色彩。
これはフレスコではなく、油絵の技法を混ぜてるため結構退色がすごかったそうですが、大規模な修復により、想像以上に色が鮮やか。(まあ、本当はどこまで忠実なのかはわからないけど)
自分がラファエロ苦手なのは色彩のせいなのかもな、とこの絵を見て思いましたね。
ミラノのブレラ絵画館でも「聖母マリアの結婚」を見ましたがんーって感じでしたが、アンブロジーナ絵画館にはラファエロの「アテネの学堂」の下絵のデッサンが展示されてて、これを見るとラファエロすげぇ!って思います。
ちなみにこの美術館にはレオナルドの「音楽家」やカラヴァッジョの静物画などコレクションが充実してます。他にもヤン・ブリューゲルの花のマリアはストイキツァの「絵画の自意識」に取り上げられてたので実際見れて嬉しかったです。
話が反れました。
とにかく、やはり「最後の晩餐」は実物に限るなぁと実感。
最後がこれですごい充実感です。
ちなみに見るには事前に要予約で、早めに取らないとすぐ埋まるみたい。僕は1ヶ月ぐらい前にとりました。こちら。
イタリアってルーズなイメージがあるけど、実際かなりきっちりしてて、予約が必要な施設が結構あって、旅の計画が面倒。(ローマのボルゲーゼ美術館も完全予約制)
行く前にしっかりリサーチしましょう。
ミラノではあと1900年代美術館というのがドゥオモの真ん前にあって、地球の歩き方にピカソの「アヴィニョンの娘」があるとか書いてて、ホンマかいなと思いつつ行ってみました。(実際は見当たりませんでした)
2010年に開館したばかりで中はきれいで、案外広い。
チケット売り場に行くと怖い顔のおじさんに「ナウ フリー」と言われ、え?って聞き返すとさらに怖い顔で「ふりー!」と言われました。ということでなぜか無料で入れた。ツンデレ?
コレクションはイタリアの作家中心でアルテ・ポーヴェラ以外知らん作家ばかりでしたが、最上階にフォンタナルームがあって感動!ドゥオモを臨みながら観れる贅沢さ。
規模は小さかったけどウォーホルの企画展もやってました。
なぜか写真もオッケーで、展示室で電話してる人すらいた。。。ゆるゆる。
いつ無料なのかは不明でしたが、ドゥオモも素晴らしいので合わせて行くといいです。
ミラノでは24時間の滞在だったので24時間交通機関乗り放題のAbbonamento Giornaliero(アッボナメント・ジョルナリエーロ)が大活躍。€4.5、各交通機関1回€1.5なので3回以上乗れば元がとれます。使い始めから24時間以内であれば日をまたいでもオッケー。行きたい場所がどこも中央駅から遠かったので移動が不安でしたが、ミラノはローマなんかより交通網が発達してるので、地下鉄さえあればほぼ回れました。ミラノでもミラノカードなるものがあったようですがよくわからないので買いませんでした。
ってことで前半終了!後半はデュッセルドルフからスタート。


MAXXI by Zaha Hadid











紀元前から遥かに飛び越えて21世紀の現代建築へ。
ローマの中心からトラムで少し行ったところにあるザハ・ハディド設計の現代美術館。
ローマに来てまで現代は、、、と思ったけど、いい加減古代や中世も飽きてきたのでブレイク。
ラファエロの壁画のある宮殿も捨て難かったけど、まあいいです。
それにしても、この街によく建てれたよな、って普通に感心。
実際ローマ中見渡しても現代建築はここぐらい。
ザハお得意のグネグネ建築で、特に改めて感動はないけど、ここで見ると新鮮。
ヘビがとぐろを巻いたような形ですね。中もえらいことになってる。
もう見飽きた感があるけど、現代美術館としては普通にいい美術館でした。
単純に規模がでかくて、企画展4つもやってた。
そのうちのひとつがフィオナ・タンで、犬島の映像とか出してて、まさかここで犬島の風景に出会うとは!
あとは、タン独特の静観するような作品が5つほど。
そのうちのひとつはパノプティコンから発想した、実際のアメリカの監獄にいる囚人や監視員がひたすらカメラを睨んでる映像に囲まれるインスタレーションが印象的。トータル3時間もあるらしく気が狂いそう。それにしてもなぜパノプティコン?
金沢でも8月から個展始まりますが、ここで見れたからいいや。
あとはフランチェスコ・ヴェンゾーリの個展がめっちゃおもしろかった。
Galleria Vezzoliと題してまるで博物館のような展示で、初期から近作まで。
映像はかなり過激でセックスシーンとかでてくるけど、カップル成立番組をなぞった映像は大笑いしました。
あとはエナジーをテーマにした展覧会で建築家が結構参加してて、OMAから藤本壮介まで。
何気にカプーアヤやルウィットの所蔵が並んでてびっくりでした。
ローマ来て時間あったら来てもいいと思います。大きいので観るの時間かかりますが楽しかったです。
あと、フィレンツェ同様ローマでもローマパスなるものがあって、€34で3日間交通機関乗り放題で、美術館博物館が2つ無料。といってもフィレンツェカードのようにどこもかしこもってわけじゃないので注意。このMAXIIでは使えました。コロッセオとかもオッケー。行けなかったけど。。。
ローマはフィレンツェと違って坂が多く、地下鉄も2本しか通ってないので移動が不便です。観光客にはやさしくないですが、バスやトラムも利用しないと足がもげます。いちいちチケット買わずに済んだだけでもローマパスはありがたかったですね。
それにしてもローマは奥が深い。もう一回ぐらい訪れたい街でした。
Caravaggio





ローマではほぼカラヴァッジョの追っかけと化してました。
行った場所と見た作品は以下。
・バルベリーニ宮
「瞑想するフランチェスコ」
「ナルキッソス」(1588-1589)
「ホロフェルネスの首を斬るユディト」(1595-1596)
・ドーリオ・パンフィーリ宮殿
「懺悔するマグダラのマリア」(1596-1597)
「洗礼者ヨハネ」(1600)
・ボルゲーゼ美術館
「病めるバッカス」(1593)
「果物かごを持つ少年」(1593)
「聖アンナと聖母子」(1605-1606)
「執筆する聖ヒエロニムス」(1606)
「ゴリアテの首を持つダヴィデ」(1609-1610)
・サンタゴスティーノ教会
「ロレートの聖母」(1604)
・サン・ルイージ・ディ・フランチャージ教会
「聖マタイの召命」(1600)
「聖マタイの殉教」(1600)
「聖マタイと天使」(1602)
・サンタ・マリア・デル・ポポロ教会
「聖パウロの回心」(1600)
「聖ペテロの磔刑」(1602)
他にも何作か見てるかもしれませんが、とりあえず覚えてるのでこれだけ。
ヴァティカンで「キリストの埋葬」を見逃してるのは痛いですが。。。
カラヴァッジョの作品は何度も何度も見たくなる魔力のような中毒性があります。
僕はこの毒にすっかり魅せられてしまいました。
キアロスクーロと呼ばれるあの極端なまでの明暗法のおかげなのか、はたまた殺人まで犯した画家自身の暴力性なのか、主題に対するアプローチなのか。
彼の描く絵画はどれも邪悪でエロティックです。
特にパンフィーリ宮殿内にあるヨハネは誘っているかのよう。
バルベリーニ宮殿内のナルキッソスも最高に美しいし、バッカスの妖艶な眼差しも忘れ難い。
しかし、ローマで彼の作品を見る醍醐味は宮殿や美術館ではなく、教会での鑑賞体験です。
ローマには3箇所、カラヴァッジョを有する教会があります。
その中でもサン・ルイージ・ディ・フランチャージ教会の聖マタイを描いた3点は圧巻。
特に「聖マタイと天使」は、凄まじい吸引力がありました。
これ、実はその前にも描いたバージョンがあって、あまりに破廉恥だと受け取り拒否されたそう。
カラヴァッジョの場合そういうことがよくあったようです。
その絵は20世紀になっても現存していたものの、第二次世界大戦で焼失。残念。
美術館で飾られるのと、教会に飾られることの大きな違いは、前者だと図像として見えるものが、後者だと物体として存在していること。
うまく言えませんが、教会に展示されてるカラヴァッジョの絵画は存在としても魔力を放っていました。
ローマに来たらカラヴァッジョ巡礼オススメです。
ところで、カラヴァッジョを多く所蔵するローマのボルゲーゼ美術館。
ここは完全予約制で、11時、13時、15時、17時から2時間しか入れてもらえない。
それはともかく、2009年には、ここ所蔵のカラヴァッジョとベーコンを組み合わせた展覧会が開催されていたらしい!豪華すぎる。。。
ローマのパンフィーリ宮殿には、そのベーコンを有名にした教皇の元になった、ベラスケスの「イノケンティウスⅩ世像」もあります。ベーコンはローマに来たけど実物を結局見なかったらしい。実物は赤い衣装ですが、ベーコンが元にしたプリントが紫だったのでベーコンもそっちに従って衣装を紫にしたのは有名な話。
あとヴァティカンにもベーコンの教皇図が所蔵されてて、いいのか?と思いましたね。
Vaticano








ヴァティカンへ。
朝一は混むと聞いてたので、日本にいる時からネットで予約していきました。
8時過ぎにはヴァティカン入りして、サン・ピエトロ寺院のミケランジェロ作品ピエタ(遠すぎてよくわからなかった)や、差し込む光の美しさを堪能してたら、予約先のヴァティカン博物館がめっちゃ遠くて焦った。
行ったら案の定長蛇の列で、予約していってよかった。でも帰りには列もなくなって普通に入れてたので、予約なしでも朝一避ければ余裕かも。
それはともかく、入ってからですが、広すぎてなんのこっちゃわからなかった。
とりあえずシスティーナ礼拝堂とラファエロの間さえ見られればいいやと思って、完全に勉強不足でした。
システィーナのミケランジェロはやはり圧巻でしたが、後で思い返してみると、サン・マルコのような感動はありません。期待しすぎてたのか、人が多すぎたのか。
ラファエロの間もふーんって感じでした(死)
勉強不足により、たくさんの名画たちも見逃しています。
迷子になって、思いがけずマティスやベーコンに出逢えたのは収穫でしたが。
最新ではエル・アナツイもあったりして、どういう基準なのか気になりました。
てかヴァチカンに所蔵されるってすごいな。。。まあ、ヴァチカン美術館自体はなんだか自分の周波数とまったく噛み合わなかった感じで、肝心の絵画群見逃したのも、なんとなく早く出たかったからです。
ってことで普通の日記みたいになってしまいました。ちゃんちゃん。
Pantheon
San Marco
フィレンツェラストです。
もう足がちぎれる寸前まで歩き続け、たくさんのマスターピースに出逢ってきましたが、最も心を動かされたのは、レオナルドでもボティチェッリでもラファエロでもミケランジェロでもなく、一介の修道僧であったフラ・アンジェリコでした。
現在サン・マルコ美術館として開館しているその場所は、かつてドメニコ会修道院だったもので、美術館と呼ぶのは個人的にはばかられるような雰囲気でした。
美術館というと、どうしても見世物小屋のような響きが微かにあって、この聖なる場所にはふさわしくないと思いました。
体全体で体験するような、そんな場所です。
直前までユベルマンの「フラ・アンジェリコ」を読んでいたのもあって、実際の図像に立ち会えたってのも大きかったのですが、それ以上のものを感じました。
それは国や宗教を大きく超えた普遍的な祈りとしての絵画でした。
アンジェリコ自身が生業として描いたのではなく、描く前は祈りを欠かさなかったことや、キリストの磔刑図を涙を流しながら描いていたというエピソードからも、その強い気持ちは時間さえも凌駕していたんです。
2階へ続く階段からあの有名な「受胎告知」が見えた時は鳥肌が立ちました。
そして、僧房のひとつひとつの片隅に描かれたエピソードを回るあの鑑賞体験に、メディチの瞑想部屋の静寂。
思い出すだけで涙が出そうな体験です。
なにかを表現するということは、ここまで全身全霊を捧げることなのだと教えられました。
ここは13:50までしかやってなくて、中々行きづらいですが、フィレンツェに行ったらなにより行って欲しい場所です。(土日祝は16:50まで)
最後にフィレンツェを本気で回りたい方へおすすめなのが、フィレンツェカードです。
€72と中々の値段ですが、72もの施設が無料で入れて、バスも乗り放題。
なによりでかいのが、行列をパスできることです。
フィレンツェのほとんどの施設には、信じ難いほどの行列ができてます。
とくにウィフィツィとアカデミアは入場1時間、2時間は当たり前。チケット買うだけで数十分かかります。
長く滞在するなら別ですが、短期滞在でこれだとほとんど見れません。1日3つが限度くらい。
自分はこのカードのおかげで2日で10箇所以上回れて、ほぼ元もとりました。
まあ、これは異常にしても(笑)、本当便利でオススメです。
あと、フィレンツェの飯うますぎです。ヴェネツィアが最低だったので感動も倍増。
コンパクトな街なので色々回りやすいし、適度に都会で素敵な街でした。

もう足がちぎれる寸前まで歩き続け、たくさんのマスターピースに出逢ってきましたが、最も心を動かされたのは、レオナルドでもボティチェッリでもラファエロでもミケランジェロでもなく、一介の修道僧であったフラ・アンジェリコでした。
現在サン・マルコ美術館として開館しているその場所は、かつてドメニコ会修道院だったもので、美術館と呼ぶのは個人的にはばかられるような雰囲気でした。
美術館というと、どうしても見世物小屋のような響きが微かにあって、この聖なる場所にはふさわしくないと思いました。
体全体で体験するような、そんな場所です。
直前までユベルマンの「フラ・アンジェリコ」を読んでいたのもあって、実際の図像に立ち会えたってのも大きかったのですが、それ以上のものを感じました。
それは国や宗教を大きく超えた普遍的な祈りとしての絵画でした。
アンジェリコ自身が生業として描いたのではなく、描く前は祈りを欠かさなかったことや、キリストの磔刑図を涙を流しながら描いていたというエピソードからも、その強い気持ちは時間さえも凌駕していたんです。
2階へ続く階段からあの有名な「受胎告知」が見えた時は鳥肌が立ちました。
そして、僧房のひとつひとつの片隅に描かれたエピソードを回るあの鑑賞体験に、メディチの瞑想部屋の静寂。
思い出すだけで涙が出そうな体験です。
なにかを表現するということは、ここまで全身全霊を捧げることなのだと教えられました。
ここは13:50までしかやってなくて、中々行きづらいですが、フィレンツェに行ったらなにより行って欲しい場所です。(土日祝は16:50まで)
最後にフィレンツェを本気で回りたい方へおすすめなのが、フィレンツェカードです。
€72と中々の値段ですが、72もの施設が無料で入れて、バスも乗り放題。
なによりでかいのが、行列をパスできることです。
フィレンツェのほとんどの施設には、信じ難いほどの行列ができてます。
とくにウィフィツィとアカデミアは入場1時間、2時間は当たり前。チケット買うだけで数十分かかります。
長く滞在するなら別ですが、短期滞在でこれだとほとんど見れません。1日3つが限度くらい。
自分はこのカードのおかげで2日で10箇所以上回れて、ほぼ元もとりました。
まあ、これは異常にしても(笑)、本当便利でオススメです。
あと、フィレンツェの飯うますぎです。ヴェネツィアが最低だったので感動も倍増。
コンパクトな街なので色々回りやすいし、適度に都会で素敵な街でした。

Pietà (Florentine) by Michelangelo





フィレンツェに来たらウィフィツィ美術館にあるボッティチェリともうひとつ、アカデミア美術館にあるダヴィデ像は外せません。
作者は言わずもがな、ミケランジェロです。
実際に観たダヴィデ像は神々しさが凄かった。
あれを20歳やそこらで創っちゃうんだから人間じゃないです。
ヴァザーリの芸術家列伝でも超特別扱い。ミケランジェロのページだけやたらに多いw
「神に愛された男」の名を欲しいままにダヴィデを始め、数々の神業を成し遂げます。
しかし晩年は、ほとんどの作品が完成することなく終わります。
ダヴィデの展示されてるアカデミア美術館には、そんな未完の作品たちも展示されてます。
そんな中でピエタは晩年になって3体も彫っています。どれも未完。
そのうち2体がフィレンツェにあって、ひとつはアカデミア美術館にある通称「パレストリーナのピエタ」。
これはほぼ岩の塊の中にいわば埋没しているようで、彫ってる途中で放棄した感じ。
そしてもうひとつが、ドゥオモの付属美術館にある通称「フィレンツェのピエタ」。
なぜか写真オッケーだったので載っけてみました。
これは一旦完成しかかったものを気に入らずにノミで壊したものとのこと。
マリアの顔が残念なことになってます。
しかし失敗しても作り続けるピエタとはミケランジェロにとって何だったんでしょう。
ローマとミラノでも残りの2体を見てからまた考えたいです。
あとメディチ家礼拝堂のミケランジェロの彫像見たけど、お隣のサンロレッツォ教会内にあるミケランジェロ設計の図書館見るの忘れた。。。疲労と暑さで完全に飛んでましたね。次回があればリベンジします。
Palazzo Vecchio - Gallerie degli Uiffizi - Ponte Vecchio - Palazzo Pitti













フィレンツェはメディチの街と言っても過言ではないぐらい影響がすごい。
特にヴァッキオ宮殿からウィフィツィ美術館、ヴァッキオ橋、ピッティ宮に至る道程は見事。
そしてそこに召し仕えたヴァザーリの創作物が連なる。
ヴァッキオ宮殿内では戦いを描いた巨大絵画群。
確かその下から近年レオナルドの絵が見つかって物議を醸しました。
上ではなぜかZhang Huanのブッダ彫刻が設置されてました。
ウィフィツィとヴァッキオ橋はヴァザーリの設計。
特に橋は面白かった。あんな橋見たことない。
橋の上にはジュエリーの店がひしめいていて、川を渡ってる気がしない。
ウィフィツィではボティチェッリの有名な「ヴィーナスの誕生」や「春」、レオナルドの「受胎告知」にミケランジェロ、ラファエロ、ティツィアーノ、カラヴァッジオ、リッピなどの有名絵画たちが。。。
「ヴィーナスの誕生」は思ったより小さく、彼の「受胎告知」がすごくよかった。
それにしても、どれもさりげなく飾られてて、つい見過ごしそうになってしまう。。。
ウィフィツィはルーブルほどでかくないので、混んでなければけっこうすぐ見れます。
朝一だったので結構贅沢に名画たちを独占して見られました。
ピッティ宮内のパラティーナ美術館でもラファエロやティツィアーノが紛れてて衝撃。
先月まで日本に行ってたラファエロの作品群も戻ってきてて安心。
それにしてもヴェルサイユ同様豪華絢爛な空間でした。。。
Duomo Cattedorale Santa Maria del Fiore
Santa Maria Novella
Santa Croce
Santa Maria del Carmine
Capella degli Scrovegni




このブログを始めて8年近くになりますが、これまでいわゆる現代美術を中心に書いてきました。
そんな中でほぼ古典というかジャンルを正直ないがしろにしていました。
自分にとって古典美術はわかりようのないものというレッテルをどこかで貼っていたのかもしれません。
カメラも携帯もパソコンもない時代の人たちと感覚を共有するなんて果たして可能なのか?
しかし木下長宏さんとの出会いがそのバリアを解くきっかけになりました。
特に彼の「美を生きる26章」には、アルベルティを起点にゴッホやフーコー、プルーストなどジャンルも時代も違う人々を何の分け隔てもなく繋いでいくその姿勢に至極感銘を受けました。
その後ゴンブリッチの「美術の物語」を完読し、改めて避けてきたものをどこかで通過しないといけないなと思い始めました。
それには、自分のやってる美術という軸を作り上げたイタリアに向き合う必要がありました。
イタリアは留学時代もヴェニスしか行ったことがなく、それもビエンナーレ目当て。
20代のうちになんとか行きたいとここ数年思い続け、ギリギリですがそれが叶いました。
前置きが長くなりました。
そのイタリアの最初を作った人物、ジョットの代表作、スクロヴェーニ礼拝堂に逢いに、ヴェネツィアから列車で30分ほどにあるパドヴァに向かいました。
駅からすぐ行けると思いきや、結構迷いました。
この礼拝堂に入るには事前に予約が必要で、遅れると入れてもらえないので焦りました。
近くの市立博物館で予約バウチャーを見せてチケットと交換。
礼拝堂前まで行くと待合室みたいなとこに通されて、イタリア語の解説を10分ほど拝聴。
その後中へ、、、
打ちのめされました。
想像より遥かに壮大な空間。
入った瞬間の、空気に囲まる感覚は言葉では尽くせません。
真っ青なフレスコに包まれ、キリストの埋めれてから死ぬまでの物語が綴られています。
これをたった2年で作ったのか。
インスタレーション作品を作る自分にとって、この包まれる感覚は非常に勉強になりました。
絵画のインスタレーション性を考える上でこの空間は非常に豊かな空間です。
たった15分しかいられませんが、とても濃厚な時間でした。
イタリア行く際は是非寄ってみるべきです。
スクロヴェーニ礼拝堂予約ページはこちら。
MANET. RITORNO A VENEZIA @ Palazzo Ducale

行脚最初の地はイタリアはヴェネツィア!
目的はビエンナーレですが、濃すぎてアウェイでは書きづらいので帰国後に書きます。
その前にサンマルコ広場のドゥカーレ宮殿内で開催されてたマネ展から。
これが本当に素晴らしかった!!
フランスから国外に初めてオランピアが持ち出されたことでも話題になりましたが、話題に劣らずキュレーションが本当に素晴らしかった。
こういう過去の巨匠を取り上げた展覧会は往々にして、とりあえず有名作品出しとけば場が持つから、キュレーションどころかただの陳列に終わってるのが多いけど、この展覧会は作品に甘えることなく、軸のしっかりした展示でした。
まずはマネとイタリアの関係からスタート。
そもそもこの展覧会がReturn to Veniceです。
これまでマネとイタリアってほとんど考えたことなかったけど、マネがイタリア旅行をした時のスケッチや、作品の引用ネタの絵画など共に展示していくことで、点と点がつながっていいく。
そして極め付けが前述のオランピアとその元となったティツィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」が並べて展示、これは圧巻。鳥肌ものです。
今まで図版ではお互い並んでるには何度も見たことがあるけど、本物同士がこうして並ぶ日が来るなんて。これ見れただけでヴェニスくる価値ありました。奇跡です。
そこから次はスペインとの関係やマネ絵画における社会性など、かなり切り込んだテーマですすんでいく。しかも出てくる作品が代表作ばかりで目が回りそう。
そして最後はヴェネツィアの風景を描いた絵画で終わります。
出品作品はもちのろんのこと、展覧会として素晴らしいものでした。
キュレーションがあれだけのマスターピースたちに食われてないのがすごい。
カタログ買いたかったけどなぜかイタリア語のみで断念。。。
展覧会は8月4日まで。http://www.mostramanet.it/
あと、この展覧会の前にアカデミア美術館も行ってきました。
ここにはティツィアーノの師匠ジョルジョーネの代表作「嵐」が展示されてて、これもまた、マネの「草上の食卓」のモデルとされてる絵です。
こうして脈々と受け継がれている美術のバトンを今回すごく感じられました。
マネ展とセットでいかがでしょうか。
Gallerie dell'Accademia http://www.gallerieaccademia.org/

行脚2013
今日(13日)から28日までヨーロッパに行ってきます。
行き先は、イタリア、ドイツ、オーストリア、スイスです。
目的は、ヴェニス・ビエンナーレ、ルネサンス、ズントー、クリストです。
30歳になる前にどうしてもやりたかった旅でした。
なんとか無事帰ってきたいです。。。
現地でもiPadで無理矢理更新する予定です。
ではではー。
行き先は、イタリア、ドイツ、オーストリア、スイスです。
目的は、ヴェニス・ビエンナーレ、ルネサンス、ズントー、クリストです。
30歳になる前にどうしてもやりたかった旅でした。
なんとか無事帰ってきたいです。。。
現地でもiPadで無理矢理更新する予定です。
ではではー。
アンドレアス・グルスキー展@国立新美術館

東京に行ってきました。
今回は展覧会目的ではなかったですが、ちゃっかりいくつか観てきました。
まずはグルスキー。
と、その前に皆さんに覚えておいていただきたいことがあります。
国立新美術館は火曜休館です。
まんまとやられました。。。着いたら休館の文字。あれ、早く着きすぎたかな?と思ったら違った。
普通月曜休館ですよね。なんなんでしょうか。
ちなみに横浜美術館は木曜休館です。
それはさておきグルスキー展。
大阪にも巡回してくるからいいかとも思ったんですが、観れなかったので余計観たくなって次の日リベンジ。
これが予想を遥かに超えてよかった!
まず、この展覧会の何がすごいって出品作品数が尋常じゃない。
海外作家の名前を掲げながら、ここまでの作品数を集めた展覧会って意外にないんですよね。
結構観た後に次の展示室へ続くってなってて、あと数点かと思ったら、数十点待ち構えててビビった。
そして、僕はグルスキーが正直そこまで好きじゃありませんでした。
あんなのただのイメージでしょ、と鷹をくくってました。
その「ただのイメージ」であることの凄さが、今回これだけ一気に見せられると恐ろしい程の説得力で持ってせまってきます。(僕は今まで最大でも5点ぐらいしか一度に観たことはありませんでした)
よく彼の写真は、絵画に例えられるけれど、僕は彼の作品を絵画的とは全く思いません。
実際、カタログに収録されてる3名のテキストすべてに、グルスキー作品の絵画性が取り上げられててげんなりでした。
じゃあ、なぜ彼の作品は絵画的ではないのか。
それは単純に、彼の作品のものとしての物質性のなさです。
グルスキーの作品は、徹底して平面です。
その平面性のラディカルさが、「ただのイメージ」であることを強化している。
例えば絵画はどれだけ平面性を謳っても、絵の具という物質を表面に載せている限り平面になり得ない。
でも、グルスキーの写真は、アクリルによって、出て来るものを押し込めているような印象すらある。
彼のポロックの作品を撮った作品(「無題VI」1997)は、絵画に対する彼なりの挑戦状にすら見えました。
ある意味ポロックは、絵画に置ける平面の嘘を暴いた人と言えるかもしれません。
彼の作品を実際に観ると、表面に絵の具という素材がそのまま張り付き凹凸がすごいです。
そんな絵画ですら、写真にしたら、ちゃんと平面になる。
そうグルスキーは問いかけているような印象すら受けました。
そして、その平面性を徹底することで、イメージから重力も奪い取る。
特に地面を俯瞰するような作品群(「メットマン、高速道路」1993、「マドンナI」2001、「ニャチャン」2004、「福山」2004、「ベーリッツ」2007等々)は、まるで今にも画面から下に滑り落ちそうな気にすらなるんですが、それを表面のアクリルが押し付けてるような見え方ができておもしろかった。
最新作の「バンコク」シリーズもまさにそうですね。川の水面が垂直に立てられているわけですから。
(これをカタログ論考ではニューマンのイメージと重ねてましたが、そういう見方は個人的にあまりおもしろくないです)
あと、グルスキーがベーコンよろしく、作品作りに新聞やテレビからイメージをもらってきてるっていう話は非常におもしろいですね。
1990年の「東京証券取引所」は、日本の新聞の写真を見て思いついたそうです。
ベーコンと違って、彼の場合、写真から写真と同メディアを行き来しているわけですからね。
同じように、飛行機に乗っている際に見る上空映像から着想を得た2010年のシリーズもそうなんですが、この作品に関しては、これまでの平面性から相当逸脱しているように見えて非常に興味深かったです。
特に「南極」は、浮き上がってすら見えるんですよ。
これまでの平面さからは全く違う感じでびっくりしました。
このシリーズからはグルスキーの変化を感じられて、今後も楽しみになりました。
展覧会としては、作品数多くてよかったんですが、やっぱり新作を混ぜこぜにするというやり方はいまいち効果がよくわかりませんでした。
その点カタログは年代順に並んでるのでわかりやすくおすすめです。ちょっと高いですが。
あと、会場でちょっとでも近づくとブザーが鳴るのあれ完全にアウトでしょ。。。
ただでも近づいて見たくなる作品なので、あちこちでブザーなりまくってましたw
それはともかく、本当にいい展覧会なので、是非ご覧下さい。
東京は9月16日まで、大阪は来年の2月14日からです。
http://gursky.jp/
去年のデマンドからドイツ写真家が続くので、今度はThomas Ruffが観たいです。
秘密の湖 @ ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション

人に勧められて行ってきました。都現美やアートコンプレックスのある清澄白河の次の駅、水天宮前駅の出口からすぐ。
ここは普段版画家浜口陽三の版画コレクションがメインらしいです。
今回の企画展は、詩人のたかはしむつお氏が企画し、浜口陽三のコレクションに加え、池内晶子、福田尚代、三宅沙織の3名の女性作家を集めて企画されました。
タイトル「秘密の湖」は彼の詩の中からの抜粋みたいです。
個人的には、池内晶子さんの作品が観たくて行きましたが、どれも作品としてのクオリティが高く、規模としては大きくない展覧会でしたがとても見応えがありました。
一人一人の作品が単純によかったですね。
三宅さんのフォトグラムの作品は、技法が気になってしまって、ちゃんと彼女の物語には入れ込めなかったです。でも美しい世界観でしたね。
福田さんの作品は、恐るべき手仕事に圧倒されました。。。
そして池内さんの作品。版画とインスタレーションですが、地下の暗がりに浮かぶ赤い絹糸の様は凄まじく美しかったです。
ただ、ひとつの展覧会というより、そこまで4人の作家が一緒にやってる必然性は見受けられなかったかな。
8月11日まで。作品はどれもすごくいいです。
あとは、都現美のフランシス・アリス展 ジブラルタル海峡編。
2008年に行われた「川を渡る前に橋を渡るな」という作品のプロジェクトをひたすら見せるという感じで、メキシコ編と比べるとそこまでおもしろくなかったですね。2階の、キューバとアメリカを船で結ぶプロジェクトのドキュメント映像の方がおもしろかったな。
それよか、コレクションの泉さんの作品反則です。笑い転げそうになった。。。
それから、ミヅマでやってた宮永愛子展にも行ってきました。
いつの間にかミヅマギャラリー場所移って立派な感じになってた!
展示自体は昨年の国立国際で展示した椅子がメイン。
あとは靴や時計など、おなじみの日常品をナフタリンで作り、それを樹脂で閉じ込めた作品。穴が開いてて、そこにはシールでふたがされてます。購入者のみが開けることができ、開けるとそこからナフタリンが気化し、いずれナフタリンがなくなって樹脂には日常品の抜け殻だけが残るというもの。開けたい!
アートじゃないけどワタリウムでやってる寺山修司展もよかった。
行ったら前回のJR展の名残でボッタの建築がJR仕様だった。あれはいいのか?
それよか寺山修司ですが、最初に彼が小学校時代に作った学級新聞や通知表など、ちょっとやめてあげて!ってなるようなプライベートが晒されてるんですが、彼子供時代から尋常じゃないです。中学校のテストの答案とか、応え方がいちいち文学的w
19歳で病気を患い入院生活を余儀なくするも、その時に作家としてデビューしてるってどういうこと。
ラジオドラマ等を経て、30歳ぐらいで天井桟敷を結成。同い年とは思えない。。。
それから46歳で死ぬまでの間、様々なメディアを駆使して表現を研ぎすませていく。
映画は今でも観れますが、演劇は観れないので、今回の展示はかなり貴重。
特に、展覧会タイトルになってる「ノック」は、街に飛び出して行った超実験演劇で、これは実際体験してみたかったな。。。実際にパフォーマンスを行った場所の地図もらえます。10月27日まで。
フォーラムエンジニアリング青山ビル by 谷口吉生









外苑前駅すぐにある谷口吉生によるフォーラムエンジニアリング青山ビルを見てきました。
ものすごくシンプルなんですが、道路の対岸から全体を見渡すと衝撃的な美しさです。
写真では全く写ってませんが、ガラスが少し歪んでるのと反射率の高さで、周囲の風景を不思議な揺らぎをもって映し出しています。
また、ビルの一階にも広場が設けられていて、都会の中でも憩うことができます。
素人なので構造的なことはわかりませんが、こちらで詳しくレポートされてます。
あからさまに凝った意匠もないものの全く妥協のない建築。日本のズントー。カッコよすぎます。
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COACH表参道 by 重松象平/OMA NEW YORK




重松象平率いるOMA NEW YORKのよる多分初の日本国内作品。
商品棚がそのままファサードにもなってるデザインでかっこいいんですが、店内までそのデザインが活かされてなくて残念でした。そこまでは踏み込めなかったんでしょうかね。イメージではファサードの棚にも商品置いてあったんですが、実際行ったら置かれてませんでした。この表参道はブランドがひしめいていて、そのブランドイメージを建物にも反映すべく様々なスターアキテクトが投入されてますが、かなり明暗分かれてますね。
建築関係ないけど、今回南青山に新しくできたThom Browneとkolorとsacaiのブティック覗いてきましたが、sacaiのお店めっちゃかっこよかったです!服も素晴らしい。一方オフィスをイメージしたThom Browneのブティックは正直息が詰まりました。。。内装って大事だなと思いました。