ス・ドホ「パーフェクト・ホーム」@金沢21世紀美術館

12月の悲劇のリベンジで再び金沢を訪れました。。。
そこまで好きな作家じゃないけどここまで来たら引き下がれない質でして。
といことで、スー・ドーホーの展覧会です。
なぜか金沢でも広島でも表記がス・ドホと全くのばさなくなってしまいましたが、僕の中ではのばす方が自然なので今後もスー・ドーホーでいきたいと思います。
今回の展覧会は、昨年広島市現代美術館でやってた展覧会の巡回かと思ってたら違いました。
広島のは「in between」というタイトルで、今回のは「PERFECT HOME」。
家をテーマに絞った展覧会で、展覧会として非常にまとまっていたと思います。
のっけから新作で、おなじみの布で出来た門に今回は映像が投影されてました。
この展開は初めてですね。
映像自体はオリエンタルな感じが強過ぎてあれでしたが、門が投影用の布になって機能してる様は気持ちよかったですね。烏が群れるシーンは圧巻でした。
次の部屋ではベルリン滞在時に発表した布でできた廊下。これぞ真骨頂って作品です。
布でできたドアノブ等が標本のように展示されてるのがおもしろかったです。
他にもトラックで移動する家や、敷地と敷地の間に存在する家、西洋の家の中に存在する東洋の家、西洋の家にパラシュートでやってきて激突する東洋の家等、家ネタ満載w
天井高を利用して3階まである布の家とか、空間とかなりマッチしていて気持ちよかったです。
個人的に彼の人形を使った作品より、家の作品が圧倒的に好きなので大満足でした。
まあ、ここまでまとめて家ネタ連発されると少し疲れましたが。。。
展覧会としては非常によくできたものだと思いましたね。
同時開催で、「ソンエリュミエール、そして叡智」という壮大なタイトルの展覧会も。
こちらはChim↑Pomや梅田哲也等の若手から、ゴヤまで幅広い展示です。
のっけから「SUPER RAT」は強烈でしたね。先日NHKでちょうどこのネズミの特集してました。
梅田さんの作品はインタラクティブでかなり楽しまれてました。
他にもフィッシュリ&ヴァイスの映像や奈良美智のセラミック彫刻なんかもありました。
中でもチャップマン兄弟のヒットラーの絵の上から直接上描きした作品は、その日にtwitterで流れてきた作品だったのでめっちゃタイムリーでした。
でもこの展覧会での収穫は村上隆の「シーブリーズ」(1991)が見れたことですね。
彼の初期作品は、結構好きですが、中々生で見られないので。
特にこの作品は気になってて、矩形の構造体のシャッターが決まった時間に開いて、中には裏表8灯ずつ設置された水銀灯がものすごい光を放っていて観客の目を眩ます作品。あの配置は曼荼羅をイメージしているんだろうか。実際眩しさと共に来る熱もすごかったです。
マイケル・リンの壁は、今回のために村上隆の壁紙に変わってました。
こっちは相変わらずのスーパーフラットでしたが。
あとは、津村耕佑率いるファッションブランドFINAL HOMEの展示もやってました。
スー・ドーホーの「PERFECT HOME」に合わせたんでしょうか?笑
好きなブランドなので展示があると聞いてうれしかったですが、狭いのとプレゼン方法がシンプル過ぎてあまり魅力を伝えきれてなかった感がありました。
3.11以降の世界により響くコンセプトなだけに勿体なかったですね。
スー・ドーホー展とソンエリミュエール展は3月17日まで。
来月16,17日にはピピロッティ・リストの映画上映があるらしい。。。他にどこかでやらないかな。
FINAL HOME展は6月30日まで。
連休だけあって凄まじい人でした。来る度にすごい美術館だなと思います。
そして久々にここのランチビュッフェも堪能できた。いつもいっぱいで入れない。
そんでもってこんだけ金沢来といて初めて前の兼六園にも行きました。迷路みたいだった。
そんなこんなで金沢リベンジ達成。自分お疲れ。
片山津温泉街湯 by 谷口吉生





昨年春に竣工した谷口吉生の最新作(たぶん)。
この時期この加賀温泉郷に向けて関西から片道2800円のバスツアーがあるので乗っかりました。
温泉も入れて谷口建築も拝めるなんて!
大阪から5時間の旅。辿り着いたらそこは銀世界。さすが北陸。
で、建築ですが、正直どこがすごいのかよくわからず。。。
シンプルだし、小さいし、湯船も一個しかない!(露天なし!)
まあ、洗練されてる感じは受けますが、どうもしっくりこないですね。
2階のテラスから見た柴山潟と風呂上がりのパフェは最高でしたw
片山津温泉街湯公式サイト http://machiyu.com/
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「夢か、現か、幻か」@国立国際美術館

10作家による全部映像の展覧会。
予想はしていましたが、まあ時間がかかりました。。。
全部まともに観たら5時間以上かかるでしょうね。
初っ端ジャオ・チエアンの映像で63分ですからね。。。
次のヨハン・グリモンブレなんて2本立てで、68分と80分ですからね。鬼。
その次のスティーブ・マックイーンなんて映像というかスライドで、音声もわけわからないことばかり言ってて70分。この部屋の監視の方はさぞ地獄かと思われます。。。
こんな感じでのっけから、正直観れない。
美術館で映像を観るのって、個人的に10分が限界。よほどおもしろければ別だけど。
そんな中で唯一最初から最期まで観れたのはチョン・ソジュンの5つの映像作品。
消え行く伝統職人を追ったドキュメンタリーのような作品で引き込まれました。
今回の展覧会の中で、さわさんみたいな作り込んだ映像よりも、現実を追ったような映像の方が逆に空々しく見えて面白かったです。
展覧会としては、もう少し問題設定を絞るべきだったと思います。
「夢か、現か、幻か」なんて、あまりに漠然としてるし映像全部に当てはまりますよ。
ただでも映像展は注意散漫になりがちなんだからもう少しキュレーションの力でまとめてほしかったですね。
それと、今回も国立国際のお家芸というべき「複数個展」形式でしたが、今回のはここまで来たらすごいぜ!ってぐらい部屋が複雑に分かれていて逆におもしろかったです。設営大変やったろうなぁ。。。まあ、映像は暗闇が必要だし、こうなるのは仕方ないんですが。
映像だけの展覧会といえば、昔ベルリンのHamburger Bahnhofで映像展がやってて、観ても観ても終わらない地獄になった記憶がありますw
映像ってやっぱ絵画を並べるみたいにはいかないから難しいですね。
インスタレーションとして見せたい作家もいれば、映像だけ観てもらえればそれでいいって人もいるだろうし、そこだけでも絞ればおもしろかったかも。後者だったら映画館みたいにプログラム組んでちゃんとふかふかの椅子用意して、みたいなのとかできそう。長い上に椅子もないとか見せる気あんのか?って思います。映像の人は投影イメージだけでなくて、観客へのホスピタリティも考えるべきだと思いますね。
地点「コリオレイナス」@京都府立府民ホールアルティ

地点の舞台を観てきました。
久々の舞台鑑賞。去年の4月のブルック以来。
地点の舞台に至っては2年ぶりです。
地点はその時初めて観て、思いっきりはまってしまいました。
何度か観に行こうと1回なんてチケットまで取ってたのに用事が重なり行けなくて悔しい思いをしました。
なので今回のこの舞台は絶対観に行きたいと思ってました。
というか、このシェイクスピアの「コリオレイナス」を地点がやるって時点で熱くて、去年ロンドンのグローブ座でお披露目されたって時点で興味津々でした。なので今回京都でやると知って、是が非でも行かなくては!と思って馳せ参じた次第です。
地点の舞台の醍醐味はなんといってもあの猛烈な台詞まわし。
今回もそれは活きてて、言葉の洪水に酔いしれました。
以前、ロンドンで蜷川幸雄が演出した「コリオレイナス」を観ましたが、それも膨大な台詞に舌を巻いたもんですが、その比ではありません笑
人間のメモリーの限界を試すように次々と言葉があふれます。
役者の皆さんはあの台詞をどうやって覚えるんでしょうか。。。
どこまでが演出でどこまでがアドリブなのか。もしやすべて演出通りなのか。
ところどころ普通に笑えるところもあってめちゃくちゃ楽しかったです。
(前回のアルトーさんはどこで笑えばいいのかわからなかったけど。。。)
今回のこの演目自体知ってたのも大きかったかもしれません。
変にストーリーを把握しようとしないでも知ってるのでそこは安心して観れました。
今回は純粋に言葉の調子や独特の動きを楽しめました。
あと衣装や舞台美術も和を意識しつつ、変にオリエンタルになってなくてよかった。
役者の皆さんは足袋を履いてらっしゃったんですが普通にかっこよかったです。
そして音楽家のお二人がそれに対してあまりに普通の格好でびっくりした笑
最初出てきてたとき小道具さんかと思ってたら本気で音楽家だったので。。。
でもなんといっても今回はグローブ座にならって組まれた客席が特徴的でしたね。
ヤード席、ギャラリー席、ロイヤル席、とあって、ヤード席は立ち見。
でもヤード席が一番前になるんですよね。しかも1000円という破格のお値段!
なかなか前で立って舞台を観る機会ってないし、ここはヤード席でしょ!
ってことで、チケット買って早々に並んでなんと舞台最前列のど真ん中、ていうか舞台にしがみつく形で観れました。おかげで役者の唾とかかかったけど笑
あの臨場感は中々味わえないですね。2時間の舞台でしたがおもしろかったので苦ではなかったです。
また是非地点の舞台観に行きたいですね。今度は横浜みたいですが。
一度観たら病み付きになります。おすすめです。
というかやっぱり舞台はおもしろいです。もっと色々観たいなー。
地点オフィシャルサイト http://chiten.org/
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それにしてもあの台詞、全部もちろん日本語ですが、ロンドンではどういう風に受け止められたんだろう。。。まああそこまでの量になると何語だろうが関係ないかもやけど笑