「うつせみ展」カタログ完成しました!

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去る10月に開催された「うつせみ展」のカタログがこの度完成いたしました。
なんとか年内に完成することができてよかった。。。
これで気持ちよく年が越せます。
以下中身チラッと載せちゃいます。

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<内容>
A5 56Pフルカラー アートラボあいちで開催された「うたかた展」の写真も収録。
撮影は作家であり建築写真家の笹倉洋平氏による。
美学研究者である名古屋大学の秋庭史典氏によるレビューも掲載。日英バイリンガル併記。
10月13日に開催された秋庭氏と出品作家によるトークの内容も別紙(A2変形)で添付。
価格 1000円 (送料無料 銀行振込による後払い 銀行手数料はご負担いただきます)

尚、予約していただいた方々には既に配送済みです。到着まで今しばらくお待ちください。
ご注文は、utsusemiproject@gmail.comか、僕宛にメールかtwitterでお受けします。
振込先等の詳細は、冊子に添付します。
どうぞよろしくお願いします!


さて、2012年は、この展覧会を実現できたことが本当に大きな年でした。
カタログまで出来て、自分としてはすごく感慨深いです。
初めてのことが多く、至らない点や反省点も多々ありますが、これをまた次に生かしたいです。
2013年もまた今度は国外でひとつ企画がありますが、また決まったらお伝えします。

2012年は、前年が前年なだけに全体としてはパッとしない印象です。
最期の最期で自民党が衆院選大勝利という大波乱がありましたが。。。
それよか戦後最低の投票率の方がショックでかかったけど。
このままこの国はどうなっていくのかわからないですが、目の前のことちゃんと積み上げなければ。
展覧会も個人的にパッとしなかった印象。
唯一MOTアニュアル2012(通称風桶展)が素晴らしかったことぐらいでしょうか。
という感じで今年最期の投稿とさせていただきます。
2013年もまたよろしくお願いします!

「につつまれて」by 河瀬直美

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ずっと欲しかった河瀬さんのドキュメンタリーBOXを手に入れました。
自分へのクリスマスプレゼントですが何か?
ということでここ数日は河瀬直美特集。

改めて河瀬さんはドキュメントの人なんだな、と思いました。
このBOXに収められた作品たちへの怨念とも言えるほどの強い意志がすごい。
ものを作ることはこれほどまでに残酷で覚悟が要ることなのだと身の引き締まる思いでした。
特に彼女の原点とも言える「につつまれて(1992)」をついに見れたことがうれしかった。
幼い頃にいなくなった父親を求めて彷徨う姿、そして最後の電話越しの再会。
さらに続編となる「きゃからばぁ(2001)」では、この世にいなくなった父親の断片を自らに刻み込むような気概がすごいです。
彼女の原点はやはり家族の不在から来てるんでしょうね。
でも彼女の育ての親でもあるおばあちゃんを撮った三部作「かたつもり(1994)」、「天、観たけ(1995)」、「陽は傾ぶき(1996)」を観ていると、やはりこの人は全力で愛されて育ったんだと思えますね。
僕も両親共働きで子供の頃は圧倒的にばあちゃんと過ごす時間が長かったせいで、すっかりおばあちゃん子。この世で一番大事なのは親ではなくばあちゃんです。
それでも、このフィルムは実際そのおばあちゃんとのディスコミュニケーションを埋めるべく撮られたもので、途中で言い争うシーンも出てきたりして葛藤が伺えます。
そのおばあちゃんも2012年に97歳という長寿を全うされました。
この人はもうこの世にいないんだと思いながら見てるとやっぱり涙があふれます。
こうして河瀬フィルムの原点は、圧倒的な「ないものねだり」がその制作意欲につながってるんじゃないかと思って、ここまでねだるとないものもやがて見えてくるようになるんだな、と思いました。
この人は全身全霊でないものねだりをしている。
それは自分自身を深く傷つける行為でもあるけれど、得るものも大きかったんじゃないかな。
ものを作るってそれがプラスであろうがマイナスであろうが、極端に振れる力に人は動かされるんだと思う。
河瀬さんの家族を主題とした作品にはその力強さがあります。

一方他人を撮った作品、「杣人物語(1997)」、「万華鏡(1999)」、「追臆のダンス(2002)」では、カメラから滲み出る対象への愛が感じられます。
「杣人物語」では、「萌の朱雀」の舞台ともなった西吉野の山奥で暮らす人々の営みが映し出されて、それぞれの物語を丁寧に綴ります。何の変哲もない田舎の人たちが生きて行く中で紡いできた言葉は、世界のどんな偉人や哲学者よりも深く響きます。人生ってすごい。
「万華鏡」では元教え子のカメラマンが、尾野真千子と三船美佳という2人の全く別の女の子を撮る様を撮るというメタ構造で進みますが、河瀬さんのカメラマンに対する当たりが半端ないです(笑) こんなこと言われたら男でも泣いてまうわっていうぐらい容赦ない。。。表現に中途半端が許せないんですね。さらに三船美佳にも容赦なく言葉をぶつけます。「自分を作るな」。それに対して尾野真千子の自然さはすごいなぁ。「何が足りひんかわかってん。風や、風」と、本当に自然。「カーネーション」での彼女も素晴らしかったけど、やっぱ河瀬さんの前ではここまで自然になれるんですね。またタッグ組んで何か撮ってほしいな。今度ははつらつな彼女がみたいです。
最後の「追臆のダンス」はすごかった。写真評論家の西井一夫からの「あと長くて二ヵ月しか生きられないんだ。俺の最期を撮ってくれないか?頼んだぞ、河瀬」という突然の電話でこのドキュメンタリーの企画はスタートします。冒頭からいきなりお葬式の場面で衝撃でした。これは黒澤明が「 悪い奴ほどよく眠る」で冒頭に結婚式からスタートするのを思い起こさせましたが、こっちはノンフィクションでお葬式ですからね。。。そして西井氏との時間が懇々と流れて行って、最期目を見開いたまま荒い息づかいでカメラを見つめる(あるいはどこも見ていない)眼差しが焼き付けられました。最初からこのドキュメンタリーを彼が見れることはないけど、見れたらどんな辛口を飛ばすのでしょうね。

そんな感じで、本当に勉強になりました。これ、自分の制作に行き詰まった時にまた見たいです。
そして、どんどん彼女のものづくりが「ないものねだり」から「あるものさがし」に変化していってるのもわかります。
それは彼女がずっと欠落感を感じていた「家族」というものを手に入れたのがやっぱり大きいのでしょうね。
後に続く「垂乳女」と「玄牝」ではストレートに誕生を映しとっています。
この2つも是非DVDになってほしいですね。

そしてタイムリーなことに見終えてすぐに宇多田ヒカルのミュージッククリップ「桜流し」も到着。
これもすごい映像ですよね。。。初めて見た時は泣いてしまいましたよ。
宇多田さんの歌も内面をえぐり出すような傷みを伴う表現なので河瀬さんとの相性はいいんでしょうね。
また作品楽しみにしてます!自分もがんばらねば。

<関連記事>
「朱花の月」 by 河瀬直美
「玄牝」 by 河瀬直美
「火垂」 by 河瀬直美
「確かなこと」:河瀬直美



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

「Influence -差響する「」-」@ギャラリーフロール

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母校の精華大学に行ってきました。
目的は後輩先輩の展覧会を観るのと木下長宏さんの講演を聞きに。
ここのギャラリーフロールの展示がすごくよかったので報告します。
写真もたくさん撮らせてもらいました。

この展示は後輩の岸本沙央梨と山城優摩の二人展。
二人とも全然違う作品なのに、全然違和感無く並置されてるのが素晴らしかった。
二人の作品がすごくよかったのはもちろんのことこの空間感がすごく気持ちよかったです。
彼らの作品は前回常懐荘行った時に観てましたが、やはりホワイトキューブが合うのかも。
あの時よりもずっとよく見えました。
ということで二人の作品を紹介します。

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岸本沙央梨「記号Yについて」(2012)

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岸本沙央梨「アレロパシー物質について」(2012)

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山城優摩「reflection 1」(2012)

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山城優摩「view」(2012)「drawing」(2012)

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山城優摩「mimic1」(2012)

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山城優摩「mimic3」(2012)

二人とも構築的な作品で非常に僕好み。
岸本さんの発泡スチロールの作品はものすごくかっこよかったですね。
あの造形センスはすごい。発泡スチロールってこんなかっこいい素材やったんやって。
普通発泡スチロールは造形の型用とかにしか使わないんですが、これは立派な彫刻になってる。
素材の持つ肌理の面白さとかも充分に生かされてましたね。
ただ、ドローイングが彫刻に追いついてない感がありました。洋画なのに笑
僕もドローイングは不得意っていうかやらないので人のこと言えませんが。
塩田さんもドローイングあんまりですもんね。精華洋画の伝統なのかな、という言い訳。
鉛筆で描かれたドローイングは結構よかったですね。
あと素材がわからんのだけど、陶のような作品もよかった。

自分的に山城君の作品にやられました。センスのよさ半端ない!
シェイプドキャンヴァスなんていうレベルじゃないぐらい歪められた画面とか!
ステラなんて屁でもないですね。
というかよくこれ自分で作ったなっていうレベル。。。
色の選択もいちいちセンスがいいですね。
あと立体。日常品との組み合わせがすごく気持ちいい。
mimic1は鉢植えと、mimic3はプリンターと。いいです。
ドローイングとかも建築っぽくて、実際建築学生とかが観ても面白がれると思う。

後輩ながらやられたーってぐらいいい展覧会でした。
また同時に先輩の袖岡千佳さんの-平熱の草いきれ-展もやってます。
4点のみですがこちらも力強いです。個人的にはドローイングの方が好きでした。
そして2階には村岡三郎のコレクションが!
こちらはかなりミニマルな展示ですがやはりすごいです。
村岡さんは精華の洋画でも教えてらっしゃったので、現在フロールは洋画づくし。
22日までなので是非!!
http://www.kyoto-seika.ac.jp/fleur/past/2012/1213influence/index.php


奥の校舎でも洋画の学部生が「昨日の手が明日の足音を照らしだす」という展覧会を開催中です。
こちらは学生同士が、キュレーションをし合ってお互いの作品を客観的に照らし出すというもの。
おもしろかったのは、中島伽倻子がやってたキュレーションで、2人の学生の作品の画像を彼女なりのやり方で展示していて、それキュレーションの枠超えてるやろって感じなんですが(笑)、そういうやり方も作家のキュレーションらしくておもしろかったですね。
こちらは20日まで。


そしてこの日は木下長宏さんのレクチャーが。
「ミケランジェロとともに考える」という講演で、これ実は高校生に向けたレクチャーなんですが、高校生にまぎれて参加しました(死) 一回り近く違うのか。。。
ミケランジェロの作品をヴァティカンのピエタから順に追っていくんですが、いかにミケランジェロの作品を知らなかったかがわかりました。。。
特に晩年の彫刻がすごい!!
彼はピエタをいくつか制作してるんですが、知られてるのは初期の均整の取れたピエタのみで、実は晩年のピエタの荒々しさが凄まじいです。
よく研究者の間では、これらの作品は「未完成」と判断されてるんですが、これを木下さんは「完成」/「未完成」という二項対立では計れない「完全」があると仰ってました。確かに彫りかけの部分とか多々見受けられるんですが、その力強さたるやすごい。生で見たい。
ミケランジェロとよく並べられるのがレオナルドですが、彼の場合は「完成」という確固たる目標があってそこに向かって制作されてるのに対してミケランジェロはそこを設定してないんじゃないかと。
おもしろいのが、レオナルドの場合はその「完成」という目標があるにも関わらずそこにたどり着いてない単なる「未完成」の作品が多いという点ですね。
彼は描く画面を前に3日も4日もうんうん唸ってたというエピソードがあり、そういう人にとって当時の油絵の技術というのは画期的だったんでしょうね。ミケランジェロのようにフレスコでガンガンやっていくやり方しかなかったらレオナルドは一生作品を残せてなかったかもしれません。
木下さんは結びに、20世紀の近代的な考え方というのは、非常にレオナルド的。レオナルドは秩序を重んじた人。それに対してミケランジェロは混沌を見いだした人。この混沌の考え方はこれからの21世紀に向けた問いになるのではないかと。
これまでやはりレオナルドと言えば広く知られていて、なんでもかんでも彼に結びつけられて考えられてきましたが、これからはミケランジェロの時代が来ると予言されてました。
非常に刺激的な講演。是非ミケランジェロを訪ねる旅をしてみたいものです。
高校生にどこまで伝わったか気になるところですが笑


ということで今年の観覧は以上ですー。次回まとめ、られるかな。。。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

鈴木大拙館 by 谷口吉生

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新潟から金沢へ!18切符で7時間の旅です。死んだ。
そのまま21世紀美術館へ直行。お目当てはスードーホー展。
で、勇み足で駆けていったらなんとメンテナンスで全館閉館中!!!!!!!!
消えたくなりました。
なんか今回自分としたことがことごとく抜けてた。川俣さんのも観れなかったし。
ていうかなにも展覧会期中にやることないだろう。ひどすぎる。

絶望に打ちひしがれつつ、そうだ、金沢でもう一個観るべきものがあるんだったと思い出して急遽プラン変更。転んでもただじゃ起きません。
ってことで昨年オープンしたばかりの谷口吉生設計の鈴木大拙館へ!
21世紀美術館から近くて助かった。雪に降られて着いた頃にはびしょびしょでしたが。。。

で上の写真なんですが、僕の拙すぎる写真ではなんにも伝わりません。
もう本当によかった。。。さっきまでの絶望感が嘘のように晴れ晴れ。
やっぱり谷口さんはすごい。日本が誇る建築家ですよ。
何がすごいって、鈴木大拙の仏教思想を見事に空間で表現している。
というか、ここほとんど展示が少なくて、空間で説くみたいな仕上がりなんですよね。
なんといっても、溜め池の効果がやっぱりすごくて、この日は深々と雪の降る音を聞きながら冷たい空気の中たたずんでるのがものすごく気持ちよかった。浄化されます。
「思索空間」というのもあって、椅子に座ってただただ池を眺めるという体験ができます。
スードーホーは残念過ぎたけど、やっぱ金沢来てよかった。
金沢は片山津温泉にも施設を設計したので、今度はそれにも行きたい。
3月にでもスードーホーリベンジがてら行こうかな。

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テーマ : 建築デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

「水と土の芸術祭」@ 新潟市

新潟市の水と土の芸術祭(みずつち)に行ってきました。
以前1月に行ったことがあって、その時はそこまで雪も積もってなくて、意外に冬でも大丈夫っしょ!と思ったのが運の尽きでした。もう散々な目に遭いましたよ。。。
前日ぐらい東京駅で新潟行きの電車ことごとく止まってましたからね。。。
それでもめげることなく行きました。夜行バス。

早朝に着いて、そのまま土屋公雄の作品のある巻駅へ。
そこからバスなんですが、これが中々来ない!バス停で凍死寸前でした。。。
で、いざバスに乗り目的のバス停で降りたはいいものの、どこにあるのかわからない!
徒歩10分ってなってたけどあれ完全に嘘ですね。ひどいです。
上堰潟という池みたいなところにあるんだけど、これが雪に埋もれててわからない!!
「海抜ゼロ」という作品だけに、もはや雪に埋もれて見えないんじゃ、、、。
とか思いつつ雪をかき分け歩くこと10分ほどで看板発見!なんとか探し当てました。

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テンションがあがって、そのまま先まで進んだときに悲劇発生。
じゃぼん。
足が思いっきり水につかりました。
誰もいない池のほとりで叫び声が響き渡りました。
凍傷寸前。。。もういやや。。。
その足を引きずってバス停まで行ったら行ったばかりで次のバス3時間後。。。
タクシーすら見えず、仕方なく歩いて駅まで1時間。
本当は車で移動したかったんですが雪道を走る自信がなく。
せめて土日に出てる周遊バスみたいなのを利用すべきですね。

そんなこんなで駅まで着いて、次の西野達の作品まで。
これも最寄りの矢代田駅から徒歩20分。鬼。
今度は電車の時刻もちゃんと確認。与えられた時間は1時間弱!
競歩のように早足で雪道を進み目的地到着。

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家の屋根をとっぱらって、その上に箱を載せ、観客は上から家の中をのぞくという力業。
実際に誰か住んでるみたいで、この時は誰もいませんでしたが生活感たっぷり。
余韻に浸る間もなく駅へ。逃したら1時間こないので。

新潟駅に帰ってきてバスで美術館まで。
目的は美術館でやってる草間彌生展、ではなく、その前にある公園内の近藤洋平の作品。
というか今回の目的はこの近藤君の作品でした。

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すごい立派なモニュメントでびっくり。恒久設置になればいいのに。
鏡面と木、向こう側の景色が解け合って中々面白いです。
鏡面に向かい側の草間女史の姿も映ってました笑 お見事!

そしてこれまたバスがなかったので歩いてメイン会場まで。
ここにみぞれのような雪が襲ってきて、もうびしょびしょ。。。泣きそう。
途中のNadegata Instant Partyの展示があったので逃げ込みました。受付の人引いてたと思う。

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廃園になった幼稚園を使って、そこにあった釜でみんなで焼き物を焼き、それを物語にして即効の劇を繰り広げるというもの。MOTアニュアル同様一般の人々を巻き込みながら作っていく手法。中々楽しめました。

暖まって出てきたら雪も止んでて、そのままメイン会場へ。
昔の市場を使っててすごく雰囲気がありました。
手前にあるテトラポットは冨井大裕さんの作品。

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受付もある旧水産会館では、会議室などの部屋を使って各々展示がされてて、ようやく展覧会らしい展覧会にたどり着いたといった感じでした。
面白かったのは、結構シビアな問題を扱ってる展示が多かったこと。
例えばMOTアニュアルにも出してる下道基行さんなんかは、「境界線」をテーマに写真やオブジェ等を展示していてとても興味深かったし、アイヌ問題や水俣問題に取り組んでる作品もありました。
祝祭的な行事と化した日本の芸術イベントで、こういう問題に中々触れないことが多いんですが、今回そこはすごく感心しました。ただのお祭りにせずに、自分たちが普段見ようとしない問題を突きつけるのも芸術の役割のひとつなので、そういうところにもっと目を向けられたら良いですね。

そして最後に隣の大かまぼこという会場。
手前には大友良英と飴屋法水たちのインスタレーション。これは圧巻。
大友さんの音が各所で鳴り響いてます。

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奥には原口典之のインスタレーション。これもすごい。海水の雨が降り注いでます。手前は油。

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この会場は大スペクタクルでしたね。なんか久々にやられました。フィナーレにもってこい。
海に向かって並べられた靴たちは津波を想起させられて怖かったですが。
24日の最終日にはここで大友さんのコンサート(?)があるみたい。聞きたい!


そんなこんなで大変な目をして観てきたみずつち。
印象に残る作品が多く見れたので結果オーライで!
これから観に行かれる方はくれぐれもお気をつけて。。。
あと、作品が広範囲すぎて中々一日では観きれません。
しかも冬は開館時間が短いところが多く、結構諦めました。
石川直樹や照屋勇賢、あと戸井田君の作品なんかも観たかったんだけどな。。。
それと閉館日も会場によって違うので注意。土日は全部やってるのでやっぱ土日に行くべきです。

「水と土の芸術祭」website >> http://www.mizu-tsuchi.jp/

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ジャンル : 学問・文化・芸術

佐々瞬「それらの日々をへて、あの日がやってくる」@東京都現代美術館

先月に引き続きまたまた東京に行ってました。うーん、以前のペースに戻りつつある。。。
で、前回良過ぎた近美と都現美を再訪。

まずは近美。
前回「実験場1950s」をほとんど満足に見られなかったので。
今回は1幕見ずに2幕のみ。第1幕と第2幕でチケット分けてくれたらいいのに。
それはさておき、やはりしっかり観ておくべき内容ですね、これは。
河原温の「浴室」シリーズってよく見るとすごいです。これは必見。
暮らしの手帖もあなどるなかれで、壁に書かれた文章がいちいち重いです。
最初は「美しい」が付いてたんですね。「美しい暮らしの手帖」。
個人的にはこの展覧会に出されてる映像群が相当きます。
近美はフィルムセンターも銀座に持ってるので(元々こっちが最初の場所)、やはりこういった映像群のコレクションの質は高いですね。
再び戦争に向かおうとする日本政府へのデモ行進なんか今とかわらないじゃないですか。
違うのは国民の意識だけかな。大きな違いですが。
近美だからこそできる展覧会で、この美術館の底力を見た気がしました。

そして都現美へ。
向かう前に清澄白河のギャラリーコンプレックスビルへ。久々。
久々過ぎて次々と現れるホワイトキューブに目が回りました。
目的はTERRA TOKYOの増本泰斗さんの個展。
以前水戸芸で見たことがあるけれど、こういう参加型の作品は参加しないと、その跡を見ても取り残された感がどうしてもありますね。「踊る阿呆に見る阿呆 同じ阿呆なら踊らにゃ損損」ってやつです。会期中に都内数カ所でイベントがあるみたいなんで、参加できるなら参加したかったです。
あとShugoArtsでイケムラレイコ展なんかもやってたけど、個人的にいいなと思ったのはタカイシイでやってたヘレン・ミラの展覧会。初めて見たけど、ミニマルなんだけどどこか温かくて、展示の仕方とかすごくかっこよかった。
あとコンプレックスビルじゃないけど、近くにあるHARMAS GALLERYの高橋大輔展もよかった。
厚塗りなんてもんじゃないぐらい絵の具が塗り込められてて、ちょっと館勝生さんを思い出した。色味が全然違うし、載せ方も全然違うけど。
今回は過去の作品を展示してたみたいやけど、個人的にはポートフォリオに載ってた最新作が観たかったな。色がしぼられてすごくかっこよかった。
それにしてもこれ乾くまでにどれぐらいかかるんだろうか。。。

で、本題の都現美です。
たどり着くまでにいつの間にかアート系の古本屋さんがいくつか出来てて、花から花へみたいな感じで中々都現美まで辿り着けなかった。。。
それはさておき、MOTアニュアル再訪です。今回はこれだけ。
相変わらず受付の人の田中さんのアナウンスが忙しそうでした笑
エスカレーターを昇ると、森田さんの作品を探してゴミ箱を漁ってる人がいました。相変わらず変な展覧会ですね笑
今回は前回あまりちゃんと観れなかったNadegata Instant Partyと奥村さん佐々瞬さんの作品を中心に。
行ったらちょうどNadegataの上映が始まったばかりで、移っていく映像とともに観客も移動する感じが楽しかった笑
しかし今まであまり意識しなかったけど、「団塊」って言われる方にしたら嫌な名前ですね。
思いっきり一塊にされてるわけだから。「オンリーワン」なんて尊重されない感じですね。
でもこの人たちの「ナンバーワン」の意識ってやっぱ強かったんだろうな、って、映像観ながらぼーっと考えてました。そんな彼らが築いた未来が善くも悪くも今なわけですね。
そして奥村さんの作品は、相変わらず作品の範囲がどこまでなのか計りかねます。
映像観てるときは、もう個々の誰かとしてしか観れない。どんなに奥村さんの字幕を意識しても、いつの間にかその意識は外れて「作品」に持っていかれてしまう。
この意識の満ち引きみたいなのがおもしろいですね。
それから佐々瞬さん。今回メモをできるだけ丁寧に読んでました。
この日はちょうど彼のパフォーマンスがあるというので、閉館後まで居残りました。
閉館後18時半からパフォーマンスが開始。
震災で亡くした友人との記憶の更新。
高校の時にその友人に言ってしまった一言に対して、謝れなかった自分を過去に遡ってどうにか謝ってみるというもので、開始前にいくつかのシナリオが観客に配られました。
それ読みながら、こういう過去への更新欲って誰でもあるよなーと思った。
「ああ言えばよかった」とか「あんなこと言うんじゃなかった」とか。この場合は後者。
そしてパフォーマンス開始。それまでのこのパフォーマンスを実際に観たことはないけれど、過去の映像を観るとその友人の役を演じる人がいて、その人に向かって話しかけるんだけど、今回は佐々さんが独白のような形で話していた。
そして2つぐらいシナリオ通りに進んだところで様子が変わる。
何度かこのパフォーマンスを繰り返す中で、なんとなく友人が選びそうなシナリオ(もしくは佐々さんが望むシナリオ)がわかって、これ以上パフォーマンスが続けられなくなってきたよう。
途中で、これまでその友人を演じてきた人が現れて、これまでを振り返る。
そしてこのパフォーマンスをもう今回きりで終わると宣言(メモに書いて)終了。
多分この作品は良いとか悪いとか評価不能で、彼個人の喪の作業にまったくの他人がつきあってるといった感じでその拠り所のなさが異様でした。
これを観客の前でやることで彼にとっては色々得られるものがあるんだろうけど、じゃあ一体観客は何をこのパフォーマンスから得られるのだろうか?
終わった後の帰り道、なんだか雲を掴むみたいなフワフワした気持ちで帰った。
でも、今回の上京で最も印象に残る出来事だったことは間違いない。
あれは何だったんだろう?彼の経験を共有できたとは思えないし、彼のパフォーマンスを通して結局過去は更新できないと当たり前の壁にぶち当たることしかできなかったのかもしれない。
奇しくもその前日に再び東北地方を地震が襲って、あの日の感覚が鮮明に蘇ったばかりだったので、なんだか感慨深かったです。
それにしてもMOTアニュアルやっぱりおもしろいなー。図録出たら絶対買う。店員さんに聞いたら来年になってしまうとのこと。もしかしたら来月また上京するかも。恵比寿のNaDiff Galleryで今週から始まる森田さんの展示も観たいし、αMの田中さんの展示も観たい。こうしてまた東京行く回数が増えていくのか。。。


最後に横浜のBankARTの川俣正展
本当はこれがメインだったんだけど、なんか期待しすぎたかも。
もちろんよかったんやけど、何かが足りなかったな。
足りなかったというよりかは、むしろアーカイブが余計だった。
あのインスタレーションの空間の使い方はやっぱりさすがだと思ったし、もしあれだけなら結構満足して展覧会を楽しめたんだと思うんやけど、アーカイブがあるせいでちょっとした回顧展みたいになってしまってすごく勿体なかったと思います。展覧会は1月13日まで。
それにしても、カタログ付き鑑賞券が2500円ってのはお得すぎた。
カタログだけで3000円もするのに、このカタログをゲットするだけでも価値がありますね。
川俣さんって、これだけのキャリアながら、これといったカタログがなくて、以前から出てほしいなと思ってたのですごくうれしい。
あと、日本大通にあるGALERIE PARIS(パリじゃないのに)でも川俣正展がやってます。
こっちはBankの展示のドローイングを展示してるみたいなんだけど、何を血迷ったか日曜日に行ってしまってもちろん閉まってた。。。ガラス越しに観ましたとも!こっちは12月17日まで。

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MOTアニュアル2012 風が吹けば桶屋が儲かる@東京都現代美術館
川俣正「通路」@東京都現代美術館

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宮永愛子:なかそら-空中空- @国立国際美術館

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韓国以来全然書いてませんでしたが、帰って来てから結構色々見ました。以下リスト。

宮永愛子:なかそら-空中空- @国立国際美術館
「かげうつし――写映・遷移・伝染――」@ @KCUA
「アブストラと12人の芸術家」@ 大同倉庫
龍野アートプロジェクト2012 「刻の記憶 Arts and Memories」@ 龍野市
越野潤「perspective」@ART SPACE ZERO-ONE
芳木麻里絵展 @ SAI GALLERY
ジョミ・キム展 @ Port Gallery T
木村友紀 x 落合多武展 @ 小山登美夫ギャラリー京都/タカ・イシイギャラリー京都
牡丹靖佳展「片方もの、もしくは盗人のコレクション」@ ARTCOURT Gallery

その中でも宮永さんの個展はダントツで良かった。
宮永さんの個展が国立国際でやるって聞いた時点でかなり期待してたけどそれを凌駕する内容。
やはりこの人の空間把握能力は並外れてますね。
あの使いにくそうな空間が見事な展示空間へと昇華されてました。
順路通り行くと、10m以上ある長いアクリルボックスにナフタリンで作られた日常品がずらーっと並べられてていきなり壮観な景色が眺められます。
行ったのは会期始まって1ヶ月ぐらい経ってからだったので、どれぐらい形を留めてるのかが少し心配でしたが案外崩れてませんでした。
その先には天井まで続くポールのようなアクリル筒の中に糸で出来た梯子が入ってて、そこにナフタリンが再結晶化し付着していってました。このポールのような展示は資生堂でもやってましたね。
奥に進むと樹脂で固められたナフタリンの椅子!これめちゃくちゃ美しかった。
椅子の足の下に穴があいてて、展示中は閉じられてるんですが、この「ふた」を開けるとナフタリンの気化が始まって最後には椅子の抜け殻ができるという。。。これはすごい。空っぽの状態も見てみたいですね。
そして圧巻は天井に向かって垂直に架けられた梯子の展示室。
この空間は本当にすごいですね。
元々の柱に加えて、布で出来た柱や木で出来た柱など、空間に柱が林立してます。
それに合わせて梯子が架けられ、その間にはアクリルボックス。中にはナフタリンでできた蝶。
中には崩れてるものもあって、もうなんか言葉にならないぐらいすごい。
その部屋を抜けると、吹き抜けに金木犀の葉っぱの葉脈を張り合わせて出来た12mもの絨毯が架けられててこれも圧巻。昨年の春にミズマギャラリーで発表されて話題になってて観に行けてなかったのでついに見れた!という感動。
その横には塩の糸も展示されてて、最後には梯子が架けられてる。
出展作品はすべて新作で、これだけの規模を埋めるのに決して回顧展になってないのが素晴らしい。
まだまだ宮永さんには塩の作品で会場を埋めることもできるし、陶器の作品も出てないしといった可能性が担保されてて、すごいポテンシャルのある作家だと改めて感じました。
ご縁でトークも聞きに行かせてもらったのだけど、彼女の制作に対するいい意味での頑固さを感じることができました。
惜しむらくは、ナフタリンや金木犀、塩という素材を用いながら、会場にまったくその匂いがしなかったことかな。美術館という場所の問題もあるかもしれないけれど、これだけ匂いの強い素材を用いてるのだから、嗅覚を刺激するような体験があってもいいのにな、と思いました。
なんにしても素晴らしい展覧会。12月24日のクリスマスまで!
僕は2回行きましたが、形が少しずつ変化しているので何回行っても楽しいと思う。
こうやって今はどんな形になってるんやろう、と想像するのもいいですね。あと1回は行きたい!
それからついに宮永さんの作品がまとまったカタログも出てるので是非!こちら


あとは、京都で開催前から話題になってた2つの展覧会。「かげうつし」と「アブストラ」。
どっちもプロのキュレーターがやった企画ではない意欲的な企画ですね。
「かげうつし」は以前京都芸術センターでやってた「gadget」展を企画してた美学の林田新さん企画。
現代の美学における「うつし」とは何か。副題にもあるように、映像だけではない様々なメディアを使う5人の作家を挙げながら追求して行くような、非常に「骨」がしっかりしていて、作品も質が高くて「肉」もしっかりしていて、おもしろい展覧会でした。でもなんか消化不良。多分挙げてる作家が5人しかいなかったってのが惜しいところなんでしょうね。これだけで「うつし」の問題を追及できるとは思えず、美術館クラスで一度見てみたい企画だな、と思いました。展示も敢えてキャプションが置かれてなくて、作家同士をミックスした展示でしたが、なんかスマートすぎる感じがしました。こちらは会期終了。
その点で、「アブストラ」はカオスな感じが展示としてよかったな、と思いました。場所も美術の空間ではない荒々しい倉庫で、Herzog & de Meuron出身の若手建築家、高橋史子さんの会場構成もすごくかっこよかった。
ただ、こっちの場合は、作家の田中和人の掲げる「アブストラ」(女性的な抽象)という概念がつかみにくく、その文脈に沿って観ようとすると結構無理があったと思います。そもそも抽象の男性/女性って何?っていう。ニューマンやポロックのような抽象と対置させたかったのはなんとなくわかるんですが。作品もそれぞれおもしろかったけど、誰のがどうこうっていう視点で見えなかったのは良かったと思います。展覧会の総体として作り上げてる感じに好感持てました。16日まで。


そして友人知人の展示。
龍野プロジェクトはめちゃくちゃ遠かったけど行ってよかったです。
やはり今村君の渾身のインスタレーションはすごくて、元醤油蔵の静かな空間で堪能できました。
あまりに長くいすぎて監視の人が心配して入って来たほど心地よかった笑
あと映像作品が今村君がやりたいことが明確になって来てる感があって、こっちを観れたのも大きかった。
松谷さんの展示も素晴らしかったな。

ゼロワンでやってた越野さんの展示は、越野さんのこれまでとこれからが小さな空間に詰まってる感じで内容の濃い展示でした。
椅子を座って眺められるのもいい感じ。
行った日はパーティーで越野さん特製の料理も食べれて至れり尽くせりでした。

サイギャラリーの芳木さんの展示もよかった。
インクで影まで表現するのは新しい方向だけど、インクの層の実際のパースと、それで表現されてる布のパースの差異がおもしろかった。

近くのポートギャラリーのキムさん作品も初めて見たけど、今回は写真で、アナログのザラザラした感じがすごく美しくて、やっぱりデジタルでは出ない良さがありましたね。
展示方法も凝っててインスタレーションとしてもおもしろかった。
来年2月の資生堂エッグに出ますね。

それから小山/タカイシイでやってる木村友紀 x 落合多武展も相当素晴らしいですね。
落合さんの作品純粋に好きです。脱色する絵画。
木村さんはパーテションと写真をセットで彫刻として発表してるのがすごかった。
下ではこの二人がキュレーション(?)した展示もやっててこれもよかった。
僕が見たことのあるここでやってた展覧会で一番ですね。あまり見てないけど。

最後にアートコートでこないだから始まった牡丹さんの展示。
なんとこの春に絵本作家デビューを果たした牡丹さんのその原画も展示されてた!!!
僕はてっきり牡丹さんは絵だけを担当したんだと思ってたら話も書いてたんですね。
牡丹靖佳ファンにはたまらない絵本です。その原画だったんで生唾ダラダラ。
他にも新作やインスタレーションまで、やっぱこの人の世界の作り方は絶妙。
絵本買わないとなー。こちら


最後の方飛ばしすぎてテキトー感がありますがこんな感じ。今年の関西はこれにて終了。
あと松井智恵や名和晃平展なんかも観たけど僕の中で観なかったことになってるのでノーコメント。
でも松井展でインスタレーションに使ってたレンガを展覧会後に6400円で売ってたのは吹いたw

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ジャンル : 学問・文化・芸術

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