川辺ナホ「ブリューテンシュタウブ」@ Port Gallery T

今月もほとんど展覧会観ないまま終わっていく。。。
ということで今月は4つ。ってまだ終わってないけどもうないかな。
その中でも最もよかったのは川辺ナホさんのPort Gallery Tでの展示。
昨年のshiseido art eggで記憶されてる方も多いのではないでしょうか。
僕はその展示は観てないんですが、今回観られて本当によかった。
ちょうどshiseido art eggの際にあの地震が起き、あの状況下で自分の作品を誰かに見せているというのは中々考えることも多かったと思う。
しかも川辺さんはドイツ在住で、母国が大変なことになっている中での海外生活とは中々つらいことも多かったと勝手に想像してしまいます。
そしてその一年を通して結実させたのが今回の展覧会だったんじゃないかな。
展示会場に置かれている作品は、すべてがモノクロームの世界。
しかもほとんどが黒。
普通黒というと、あまり元気になる色ではないのだけれど、にも関わらず、僕はひたすら彼女の作品に光を感じて、何か救われた気持ちになりました。
床に撒かれたレース模様の黒鉛は、カーテン越しに差し込む柔らかな光を想起させ、暗闇に点灯するクリスマスの明かりを撮影した写真にも人間の営みの中に欠かせない光を感じた。
映像も、暗闇の中を照らす作品だし、すべてに光の存在が欠かせなかった。
今回の展覧会のタイトルは、ドイツロマン派の詩人、ノヴァーリスの散文集のタイトルからとられた「花粉」を意味するドイツ語だそうだけど、やはり僕はこの展覧会に名前をつけるとしたら「Lichter(光)」だと思う。
あの小さな空間にメディアも違う様々な作品が置かれていたけれど、全てが一貫していて、すばらしい調和を織りなしていてとても気持ちよかった。
この展覧会は会期が延長され、GW中も日と月曜以外はオープンしてるみたいなんで、関西来られる方は是非。きっと清々しい気持ちになれます。
それにしても床のインスタレーションはどうなってるのだろう。。。オープニングで既に踏まれていたけれど、その崩れ方がまたすごく美しくてよかったなぁ。
ここのギャラリーは小さな空間の中で絶妙なバランスの展示が多くてお気に入りです。
http://www.portgalleryt.com/exhibitions/naho_kawabe_2012.html
越野潤「two colors」@ GALERIE ASHIYA SCHULE

知人作家の越野さんの展示。
今年できたばかりの芦屋の画廊です。
芦屋に画廊ってどんだけハイソなんだ。。。
どこか円山公園のeNartsと同じ匂いがしますね。
行ってみたら、建物まるごとギャラリーでびっくり。
この感じは恵比寿のMA2 Galleryみたいな感じですね。ただしこちらは一階のみ。
この建物、中も四角ではなく、不思議な形をしています。
決してやりやすいとは言いがたい空間ですが、今回の越野さんの展示は見事にその空間を扱っていたように思えます。
まるで建物の切り取り線のように小さな矩形の作品たちが壁をぐるりと囲みながら、観客を奥へ奥へと誘導していきます。
小さなアルミの周りの反射も美しくてよかったです。
残念ながら展覧会自体は終了しています。
にしても芦屋にマクドナルドがあるのがびっくりでした。
今村遼佑、久門剛史2人展「雨とクオンタイズ」@ Antenna Media
ここも初めて行く空間。Antennaさんの基地みたいな場所です。
元々工場かなんかを見事に改装していました。場所も五条にあって便利。
今回友人作家の今村君の展示がやってたので行ってきました。
今回今村君はなんと映像作品を出してました!
映像というより音にすごく関心があるのがわかる映像で、アプローチがやはり映像作家とは何か違う感じがしておもしろかったです。こういうどんな素材も平等に扱っていけるのが今村君の強みですね。これから映像がどうなっていくのかまた楽しみです。
さらに2階は今村君と久門さんの作品が融合したような空間が出来上がっててびっくり。
お互いが無理にコラボレーションしてるのではなく、各々自分の作品展示してるうちにそうなったみたいな感じがすごくよかった。
こちらも終了済みです。
佐川好弘「orz」@ GALLERY wks.
先日知り合った佐川君の個展。
orzをテーマに、様々なアプローチで作品が展開してましたが、いかんせん説明がないとわかんないことが多くて片山さん(オーナー)が大変そうでしたw
まずorzが何かわかんない人が多いそう。
僕も最初擬音語か何かと思ってて、結構わかるまで時間がかかったのを覚えてます。。。
そしてDMになってるイメージは、ある漫画から主人公がひざまづいているシーンを切り抜いたもので、その元ネタ漫画も置いてあるのだけれど最初なんのこっちゃわかりませんでした。
挫折と希望というテーマから導きだした答えがこの漫画のタイトルなんですが、ヒントはある場所の土です。球児たちが持って帰るあの場所です。
それにしてもあの土が販売されてると聞いてびっくりしました。
奥の部屋にはその土を陶土に混ぜて、orzの形に焼いた陶作品がズラッとならんでました。
そしてさらに奥には、orzのoの部分に顔を入れて記念撮影できるパネルまで笑
しかもその足下には短距離走の時の足場が組まれていて、ひざまづくポーズが自ずとクラウチングスタートになるという小技までw
僕は時間なくてできなかったけど、ちょうど行ったらやってはって面白かった。
片山さんがフェイスブックにアップしているらしいwww
この展覧会も終了しちゃいました。
「建築と無常」@関西日仏会館
会期が一週間だけだったので、もう行けないと思ってましたが行けました!
京都大学の前にある洋館でめっさいい感じ。
しかも中は黄色く塗られてたりイチイチおされ。
午後から表の庭でスタッフがお茶しててめっちゃ優雅・・・。
展覧会がどこでやってるのかいまいちわからずスタッフに聞いたら片言の日本語で案内してくれました。
目的はなんといっても大舩真言さんの作品。
しかも今回は映像作品まで出されてるというので興味津々でした。
大舩さんの作品は4点。3点は日本画で、奥の光を調整して見せる丸い作品はやはり見事。
そしてその作品を撮った映像作品がものすごくよかった!
大舩さんの作品は光や時間によって、ものすごく変化するのだけれど、その変化はいつの間にかといった感じでいつもその瞬間は捉えられない。
でも映像になると、ひとつフィルターが入ることで客観的に見えて、その変化をつぶさに観察することができました。
作品的に野外での展示はむずかしいのだけれど、写真や映像であれば可能だし、大舩さんの作品は変化に富んだ野外で見るのにもってこいの作品だと思います。
まあ、写真や映像になると、説明的になりすぎるきらいももちろんあるけれど、こうして作品と一緒にならべられることで互いに補完しあえる感覚がありましたね。
他の作家さんでは、ミュリエル・ラディックの写真がものすごくきれいだった。
インクジェットの黒ってすごく好きです。
近藤高弘さんの作品は正直よくわからなかった。
ところでエリザベス・クレゼヴーの作品はどこにあったのだろう?
行けてよかったです。4月28日まで。