転置-Displacement-@@KCUA

京芸ギャラリー@KCUAで現在開催中の「転置」に行ってきました。
京芸の卒業生の中から5人のグループ展です。
最初の吉村熊象さんの、コンセプチュアルともとれる、広告に乗ってた中古物件を訪ねて、そこに棲む人を想像する空想作品はすごくポエティックな雰囲気。
また、続く森末由美子さんの作品も相変わらずいいです。
同時に彼女の作品は、インスタレーションとしてどう見せるか難しいですね。
しかしなんといっても寺田就子さんの作品が滅茶苦茶よかった。
あんなささやかな作品を凄まじいセンスでもって構築し観客を魅了する力はすごい。
寄神くりさんと野原健司さんの作品はあまりよくわかりませんでした。
寺田さんの作品見れただけでもよかった。
5月からトークイベントがいくつかありますが、中でも7日の今村くんと宮永くん、そして寺田さんと吉村さんの鼎談はすごい!行けたら行きたいけど余裕なさそうやな…。
展覧会は5月22日まで。http://www.kcua.ac.jp/gallery/exihibition/1208.html
あとは、精華大関係の展覧会に行ってきました。
まずは「美しき町」@むろまちアートコート
90メンバー泉見洋平が出してる展覧会。
精華大の先輩後輩も一緒に出してます。
タイトルは同名の漫画から来てるそうですが、読んだことないからなのか、この言葉と展示内容はイマイチぴんとこなかったけど、作品が皆純粋によかった。
泉は90からはじまった糸の作品。今後もブラッシュアップが有効ですね。
見せ方をもう少し考えた方がいいけど、自分にはない引き出しを持ってる。
佐野さんの写真も、榎木さんのインスタレーションも鑑賞者との距離感がすごく良かった。
突き放すでもなく、没入させるわけでもない絶妙な距離。
梶田さんと岡田君の作品は具体的なモチーフが勝ち過ぎてるきらいがあるけど、遠景として綺麗。
佐藤さんの作品が個人的に好きやったなー。油彩の技術がこう活きるとは!恐れ入りました。
こちらは今週末まで。24日の最終日15時からトークもあるみたい。何話すんやろ。
もういっちょ、先輩の上瀬奈緒子「間(あいだ)の物語」@galerie16。
久々の個展で、行ったら覚えていてくださってた。ありがたい。
大作3点を中心に、小品も含めて多数展示されてました。
大作のうち1点はなんと4年以上かけて描いたとのこと。すごい。
市販の水玉の布の隙間を縫うように描かれた絵画。
カーテンのような布に描かれた絵画もあって、その発展形があとの大作2点。
こちらは裏キャンの肌理をなぞるように縦と横の線だけで描かれたもの。
何故か何かの風景に見えてくるのだけど、人間が勝手に自分の経験(風景)に当てはめてしまうどうしようもない生理みたいなものがおもしろかったりする。
他の絵画もどう見ても風景を描いているように見えるが本人はそんな気はなかったりするそう。
また作品が2枚で対になってるものが多く、上下逆転の像がそれぞれ描かれている。
何か具体的なものから脱出するためのひとつの手段のようにも思えました。
そこを受け入れるか、逃げきるかでまた変わってきそうです。今月30日まで。
muzzも観に行きたかったけど無理やなー。
キュウホイッシキ@常懐荘

愛知県小牧市にある常懐荘へ行ってきました。
ここは、この冬一緒に展覧会させて頂く映像作家の林ケイタさんのお祖父様が住まわれていた邸宅で、本当に豪華絢爛ですごい!
今は誰も住んでいなくて、昨年のあいちトリエンナーレと連動した企画「STAY」を機に展覧会会場として使用し始めている。>>http://stay-visit.com/
そして先週土曜日から第2回目となる展覧会が始まったので早速行ってきたわけです。
行ったらまだ準備できてなくて、皆様慌ただしいご様子笑
それを横目に、作品だけはちゃんとインストールできてたので鑑賞。
まずは、その林ケイタ氏の作品から。
林さんは今回5点展示していて、そのどれもが、この建物の外の風景を写した映像。
それらが、建物を通して繰り広げられていて、まるで新たな窓を開けていくような作品たち。
僕が特に好きだったのは裏の勝手口にあった下の写真の映像。
現実の窓越しの風景と映像とがリンクしていて、とても美しかった。
トイレにあった映像も一瞬本当に窓かと思うような展示でした。
和室の機械がむき出しになってるのもかっこよかった。

続いて、仏間の作品。
ここは、そもそもの空間がすごい。なんだこの窓の形は!
空間が強いので中々展示は難しいだろうが、山口良臣さんの作品はうまく調和していた。
窓から入る光が水面に反射して、その水の手前に座り、機械に指を置くと、鼓動とリンクして波紋が拡がり景色が揺らめくというもの。

奥の洋室では、そこにあったピアノとセッションする沖啓介さんの映像がありました。
テレビにピアノ線(?)が張り巡らされてて、なんか鬼気迫る映像と合まってちょっと恐い。

廊下には仙石彬人さんの水滴のついたような透明なレコードがあり。
階段を上った先にも水の入ったコップたちが並んでます。
彼の作品は以前CASOで観たことがあって、その時は、水に絵の具を垂らして変化する様をライブパフォーマンスしていたのを思い出しました。
なので、後述する原田昌明さんの作品とごっちゃになりました。
彼は水に興味があるんでしょうか。とてもきれいな作品です。


さらに階段を昇って2階へ行くと、三嶽伊紗さんの作品。
ベランダにある鳥かごをそっくりコピーする作品。
奥のソファの上にもこの鳥かごをテーマにした映像がありました。

隣の和室では原田昌明さんの映像作品が。
まるで黄昏の夕日が差し込んでくるような美しい光景。
その部屋を歩くと、上から色とりどりの絵の具が舞い降りるインタラクティブな映像。
残念なのはあまりにプロジェクターがむき出しなところ。
これ障子の後ろから照らしてたらよかったのになぁ。

その向かいの書庫と寝室ではcircle sideさんたちによるインスタレーション。
書庫に置かれた映像と寝室で響くサウンドが連動しています。
窓際に近づくと映像が鮮明になり、映像に近づくとぼやけます。
前述の原田さんにしてもそうですが、インタラクティブな作品って、楽しいといえば楽しいけれど、今やありふれた仕組みになってしまった感がありますね。なんかちょっとやそっとのことでは驚かないし、なんかやらされてる感すら感じるようになってしまいました。汚れちまったぜ。
むしろここはサウンドだけでやってくれた方がインパクトあったなぁと思いました。
最初映像の仕組みに気づかなくて、サウンドとこの部屋の関係の美しさに惚れ惚れしていたのです。

さて、最後はお庭にある中山和也さんの作品。
なんとカレー!!!まず気づかないと思います笑
椿とのコラボレーション。美しいです!

以上8組による展覧会。
タイトルのキュウホイッシキとは、この地域の久保一色という地名から来ていて、本来はクボイッシキと読みますが、あえてこう読むことで、少し捻れた風景が立ち現れるのではないかという趣旨みたいです。
最初聞いたとき、僕はてっきりもっとこの土地の調査的な、なにかアカデミックな展示が行われるのかと勘違いしていましたが、この久保一色に建つ常懐荘と美しく調和する作品ばかりでとても楽しめました。
場に抗うことなく、新しい風景を見せていただいたようなとても満足のいく展覧会。
小牧線の味岡駅から徒歩10分ほど。名古屋から40分程度で着きます。
GWあたり愛知に寄ることがあれば是非お立ち寄りください。オススメ!
「キュウホイッシキ」@常懐荘
2011年4月16日(土)-5月8日(日) 土・日・祝日のみ
http://www.kyuhoisshiki.be/
帰りに名古屋行っていくつか見てきましたー。
末永史尚「imitate」@See Saw gallery
手塚愛子「透明な果実」@KENJI TAKI GALLERY
小柳裕「温室育ち」@同
大西康明「体積の裏側」@愛知県美術館展示室6
See Sawはmemeさんのブログで知ったので行ってみた。
とても美しい建物で、異常に人懐っこいネコに癒された。
末永さんの作品は初めて観たけど、今回のやつは、ロスコやニューマン、マレーヴィッチなどの抽象絵画をカタログのように1枚のキャンバスに何枚も並んでるような絵だった。彼らの作品は図録とかで観てもカラーチャートにしか見えずに何の意味もないのだけど、その辺を捉えているように思えました。
手塚さんの展示は、やはり大山崎のが良すぎたのであまり響かなかった。
小柳さんの作品はすごくよかった。荒い麻キャンバスに描かれた植物。
大西さんは会期ギリギリで行けた。
なんかSee Sawでたまたま手にとったそのDMが実は招待状で、無料で入れた!ラッキー。
アートコートの時と同じ、ホットボンドで天井から吊るした透明シートの作品。あの時より全然よかった。
この作品はやっぱある程度のスケールが必要かも。青森の時の展示がたゆたう雲のようでとてもいい。
それにしても無料で配られてた大西さんの冊子がすごい。こんなの無料でもらっていいんすか!?
僕が学生の頃から作品見てるけど、ある時期からあまり見なくなって、何してはるんやろと思ったら海外でバンバンご活躍されてたみたい。オランダからアメリカ、インドまで!すごい。
この秋に国立国際でやる展覧会にも出品されるみたいで楽しみです。
あと、ここの新収蔵作品展がすごかった!!やっぱ舘勝生さんの作品が見事でした。。。
以上、愛知リポートでした。
今思うこと
あの地震から今日でちょうど一ヶ月が経ちました。
震災直後、僕は全く言葉を紡ぐことも、動き出すことも出来ずにいました。
こういう時に素早く動ける人は本当にすごいと思います。
今こうして一ヶ月という時が過ぎ、少しずつ自分の思っていることを口にすることができてきました。
その「今思うこと」を少し書いてみようと思います。
とは言え未だに行方不明者の数は一万を超え、今日ですら大きな余震がありました。
さらに原発の問題もあります。
被災者の方々は幾重にも厄災を被られていて、その感情は想像を絶します。
阪神や中越の時以上にその被害の規模が凄まじく、どこから手をつけていいのやら。
復興という言葉を口にするには、まだまだ時間がかかりそうです。
そんな中昨日は投票日でした。
地震後における、とてもとても重要な選挙だったと思います。
このままでいくのか、シフトチェンジすべきなのか。
結果としては前者が優勢となってしまいました。残念で仕方ありません。
こんな状況でも投票に行かなかった多くの20代30代の皆様。
僕はあなたたちが恥ずかしい。情けなくて涙が出る。悔しくて言葉が出ない。
正直今はこんな心境です。
別に行ったからえらいとかじゃなくて、これはこの国に生まれた生活する以上果たすべき責務です。
しかもこんな国の緊急時に自分の意見を通さないなんてバカげている。
投票しない人はもうその権利剥奪されるべきです。罰金でもいいけど。
今日本は同情もされてるけど、非難もされています。
各国からの応援は、本当に身に沁みます。
日本が今までやってきたことの恩返しでもあるのだろうけど、これだけ個人レベルで他の国の事のために祈りを捧げられるものかと驚嘆の連続です。日本人にこんなことできるでしょうか?
この島国で生活していると、すっかり国際社会というものを普段の生活の中で忘れがちです。
放射能は空気を伝い、海に流してしまった汚染水は世界に続きます。
もしこれを他の国がやったら、日本はその批判の急先鋒でしょう。
真っ先にその国の輸出を制限し、その国のバッシングを大いに展開します。
この国はとても美しいですが、同時に多くの醜さも持ち合わせています。
改めてこの日本という国を客観的に見つめ直す機会となりました。
海外に住む日本人はすごく肩身の狭い思いをしてるんじゃないかな。
海外に住む友人たちのことを思うととても胸が痛みます。
そんな中、彼らは本当に色んなことをしてくれています。
ロンドンのAASchoolではAA Tohoku Earthquake Action(AATEA)という災害支援活動活動をして、3週間で5000ポンドほど(約70万円ほど)集まったそうです。
これらの活動は友人のブログでも触れられています。よかったらご一読ください。
「僕達はそれで充分か」
また、パリに在住でキュレーターの砂山奏さんは、方方に連絡を取り、チャリティ支援のグループ展を開こうとしています。
集まったメンバーがすごくて、ボルタンスキーやアネット・メサジェ、ジョゼッペ・ペノーネ、川俣正など超豪華メンバー。これだけ集めたのはすごい…。
詳しくはまたリンク張らせていただきます。今週14日から21日まで、パリ15区のgalerie premier regardにて。パリにおられる方、行かれる方、知り合いのおられる方は是非。
東北関東大震災義援金支援 グループ展「Help!」パリ
AAの友人は、いかに多くの外貨を集めることに終始することが、海外にいる日本人にできる唯一の責務だと言います。
日本でいくら義援金が集まったところで、それは結局「経済に回されなかったお金」であって、長い目でみれば、それは日本にとっては-から0に近づいただけであって、決して+に転じないのです。その点外貨は純粋なる+になるのです。
この地震でいろんなことを考えました。
人それぞれ思うところが大いにあったことだろうと思います。
「自分に何ができるのか」
これは多くの人に与えられた命題だったと思います。
僕はアーティストです。
多くのアーティストが「アーティストとして」立ち上がろうとしました。
でも僕はそれは違うな、と思ってました。
少なくとも僕も含め、普段から作品だけで食べてるわけでもない「自称」アーティストたちは、こんな時本当に無力だと思います。
彼らが行うチャリティに大きな違和感を感じざるをえませんでした。
「チャリティ」という名の元に「チャリティ」という付加価値を付けて普段売れない作品を売る。
または、まるでセールのように価格を均一にして買いやすいようなマーケットを創りだす。
もしそれで数百、数千万、或いは数億単位のお金が動くならそれは大いに価値があるでしょう。
だからチャリティをやってもいいのは、やはりそれだけ一流の作家だけだと思います。
彼らの作品には普段動かし得ないようなお金の流れを創りだすマーケットをそこに生み出すことができます。
しかし多くのチャリティはそうでないでしょう。
数万、数十万というお金は、いちいちアートを通過せずとも動くお金です。
わざわざそんな遠回りしなくてもストレートで義援金に回る方が生産的でしょう。
作家がそのために使う制作費や開催費用も義援金に回せたかもしれません。
最もバカげてると思うのは、「制作費を除く」全てのお金を寄付します、というもの。
だったら作るな。そんな作品は社会ゴミだ。と思います。
元ある作品をバッジやTシャツにプリントするとかも、もういいです。
あなたが本当にアーティストなら、普段から全身全霊を込めてる作品を、普段のマーケットで売ったお金を義援金に回しませんか?「アーティストとして」の正義をチャリティで振りかざして悦に入るのはやめましょう。アーティストとしてのプライドを大事にしてください。
僕はそう思います。
僕なんかは、普段から売れる作品すらないので、さらに無力です。
それでもその無力さに対して無力感を抱いたことはありません。
僕は僕なりに生きて、募金箱にお金を入れます。それだけです。立派なことなんて出来ません。
作家の内海聖史さんのTwitterでのツイートが印象的でした。
「制作することの力の無さに少し後ろめたさを感じてしまったりするが、美術が微力であることなんて最初から判っているのだから、そこに力を欲するなんておかしいだろう。僕は微力であることを選んだのです。」
これには強く頷きました。
こんな有事や災害時にアートの必要とされる場はほとんどないでしょう。
だからってアートってやっぱり無力だから必要ないというのは完全に早合点です。
それはその機能の使いどころが違うだけなんです。
物事には、使い時・使いどころというものがあって、アートの場合は、やはり今じゃない。
うまく言えませんが、アートというのは、平常時に置いて、警鐘を鳴らし、感覚を揺さぶり、忘れかけているものを思い出させてくれる機能が備わっています。
しかしこのような非日常事態に置いては、それらは機能停止せざるを得ません。
さらに、アートというのは、色んな意味で遅さを兼ね備えたものです。
この遅さは、何年何十年もかけて文化という人間の思想の奇跡を築きあげてきました。
今回の災害時に必要なのは速さです。
人の心は想像より脆く壊れやすいものです。
それらを救うには、早急な対処が必要なのです。
社会ゴミを作って売ってる場合ではありません。そんな時間はありません。
むしろ、その復興を願うことと作品を作ることを同期させるべきです。
復興したら、たくさんの文化を届ける準備を我々作家はしなければなりません。
この悲劇を文化に昇華させ、無にしないためにも、作家は手を動かし続ける必要があるのです。
なんだかうまく言えないのですが、アートが微力であり、遅いことを悲観すべきではなく、それこそアートの魅力であることを忘れたくないのです。
異論反論は多々あると思いますが、これが僕の今の正直な気持ちです。
今も被災地で苦しむ被災者の皆様。
僕には募金箱に小銭を入れることしかできません。本当に申し訳ないと思っています。
今この状況に対して、はっきり何かすることはできないけれども、時間がかかっても将来必ずこのような災害時に大きな力を発揮できるように今を生きていきます。
今日みたいにいつまでも満開の桜を皆が眺められる日が来ることを強く祈ります。
2011年4月11日晴

震災直後、僕は全く言葉を紡ぐことも、動き出すことも出来ずにいました。
こういう時に素早く動ける人は本当にすごいと思います。
今こうして一ヶ月という時が過ぎ、少しずつ自分の思っていることを口にすることができてきました。
その「今思うこと」を少し書いてみようと思います。
とは言え未だに行方不明者の数は一万を超え、今日ですら大きな余震がありました。
さらに原発の問題もあります。
被災者の方々は幾重にも厄災を被られていて、その感情は想像を絶します。
阪神や中越の時以上にその被害の規模が凄まじく、どこから手をつけていいのやら。
復興という言葉を口にするには、まだまだ時間がかかりそうです。
そんな中昨日は投票日でした。
地震後における、とてもとても重要な選挙だったと思います。
このままでいくのか、シフトチェンジすべきなのか。
結果としては前者が優勢となってしまいました。残念で仕方ありません。
こんな状況でも投票に行かなかった多くの20代30代の皆様。
僕はあなたたちが恥ずかしい。情けなくて涙が出る。悔しくて言葉が出ない。
正直今はこんな心境です。
別に行ったからえらいとかじゃなくて、これはこの国に生まれた生活する以上果たすべき責務です。
しかもこんな国の緊急時に自分の意見を通さないなんてバカげている。
投票しない人はもうその権利剥奪されるべきです。罰金でもいいけど。
今日本は同情もされてるけど、非難もされています。
各国からの応援は、本当に身に沁みます。
日本が今までやってきたことの恩返しでもあるのだろうけど、これだけ個人レベルで他の国の事のために祈りを捧げられるものかと驚嘆の連続です。日本人にこんなことできるでしょうか?
この島国で生活していると、すっかり国際社会というものを普段の生活の中で忘れがちです。
放射能は空気を伝い、海に流してしまった汚染水は世界に続きます。
もしこれを他の国がやったら、日本はその批判の急先鋒でしょう。
真っ先にその国の輸出を制限し、その国のバッシングを大いに展開します。
この国はとても美しいですが、同時に多くの醜さも持ち合わせています。
改めてこの日本という国を客観的に見つめ直す機会となりました。
海外に住む日本人はすごく肩身の狭い思いをしてるんじゃないかな。
海外に住む友人たちのことを思うととても胸が痛みます。
そんな中、彼らは本当に色んなことをしてくれています。
ロンドンのAASchoolではAA Tohoku Earthquake Action(AATEA)という災害支援活動活動をして、3週間で5000ポンドほど(約70万円ほど)集まったそうです。
これらの活動は友人のブログでも触れられています。よかったらご一読ください。
「僕達はそれで充分か」
また、パリに在住でキュレーターの砂山奏さんは、方方に連絡を取り、チャリティ支援のグループ展を開こうとしています。
集まったメンバーがすごくて、ボルタンスキーやアネット・メサジェ、ジョゼッペ・ペノーネ、川俣正など超豪華メンバー。これだけ集めたのはすごい…。
詳しくはまたリンク張らせていただきます。今週14日から21日まで、パリ15区のgalerie premier regardにて。パリにおられる方、行かれる方、知り合いのおられる方は是非。
東北関東大震災義援金支援 グループ展「Help!」パリ
AAの友人は、いかに多くの外貨を集めることに終始することが、海外にいる日本人にできる唯一の責務だと言います。
日本でいくら義援金が集まったところで、それは結局「経済に回されなかったお金」であって、長い目でみれば、それは日本にとっては-から0に近づいただけであって、決して+に転じないのです。その点外貨は純粋なる+になるのです。
この地震でいろんなことを考えました。
人それぞれ思うところが大いにあったことだろうと思います。
「自分に何ができるのか」
これは多くの人に与えられた命題だったと思います。
僕はアーティストです。
多くのアーティストが「アーティストとして」立ち上がろうとしました。
でも僕はそれは違うな、と思ってました。
少なくとも僕も含め、普段から作品だけで食べてるわけでもない「自称」アーティストたちは、こんな時本当に無力だと思います。
彼らが行うチャリティに大きな違和感を感じざるをえませんでした。
「チャリティ」という名の元に「チャリティ」という付加価値を付けて普段売れない作品を売る。
または、まるでセールのように価格を均一にして買いやすいようなマーケットを創りだす。
もしそれで数百、数千万、或いは数億単位のお金が動くならそれは大いに価値があるでしょう。
だからチャリティをやってもいいのは、やはりそれだけ一流の作家だけだと思います。
彼らの作品には普段動かし得ないようなお金の流れを創りだすマーケットをそこに生み出すことができます。
しかし多くのチャリティはそうでないでしょう。
数万、数十万というお金は、いちいちアートを通過せずとも動くお金です。
わざわざそんな遠回りしなくてもストレートで義援金に回る方が生産的でしょう。
作家がそのために使う制作費や開催費用も義援金に回せたかもしれません。
最もバカげてると思うのは、「制作費を除く」全てのお金を寄付します、というもの。
だったら作るな。そんな作品は社会ゴミだ。と思います。
元ある作品をバッジやTシャツにプリントするとかも、もういいです。
あなたが本当にアーティストなら、普段から全身全霊を込めてる作品を、普段のマーケットで売ったお金を義援金に回しませんか?「アーティストとして」の正義をチャリティで振りかざして悦に入るのはやめましょう。アーティストとしてのプライドを大事にしてください。
僕はそう思います。
僕なんかは、普段から売れる作品すらないので、さらに無力です。
それでもその無力さに対して無力感を抱いたことはありません。
僕は僕なりに生きて、募金箱にお金を入れます。それだけです。立派なことなんて出来ません。
作家の内海聖史さんのTwitterでのツイートが印象的でした。
「制作することの力の無さに少し後ろめたさを感じてしまったりするが、美術が微力であることなんて最初から判っているのだから、そこに力を欲するなんておかしいだろう。僕は微力であることを選んだのです。」
これには強く頷きました。
こんな有事や災害時にアートの必要とされる場はほとんどないでしょう。
だからってアートってやっぱり無力だから必要ないというのは完全に早合点です。
それはその機能の使いどころが違うだけなんです。
物事には、使い時・使いどころというものがあって、アートの場合は、やはり今じゃない。
うまく言えませんが、アートというのは、平常時に置いて、警鐘を鳴らし、感覚を揺さぶり、忘れかけているものを思い出させてくれる機能が備わっています。
しかしこのような非日常事態に置いては、それらは機能停止せざるを得ません。
さらに、アートというのは、色んな意味で遅さを兼ね備えたものです。
この遅さは、何年何十年もかけて文化という人間の思想の奇跡を築きあげてきました。
今回の災害時に必要なのは速さです。
人の心は想像より脆く壊れやすいものです。
それらを救うには、早急な対処が必要なのです。
社会ゴミを作って売ってる場合ではありません。そんな時間はありません。
むしろ、その復興を願うことと作品を作ることを同期させるべきです。
復興したら、たくさんの文化を届ける準備を我々作家はしなければなりません。
この悲劇を文化に昇華させ、無にしないためにも、作家は手を動かし続ける必要があるのです。
なんだかうまく言えないのですが、アートが微力であり、遅いことを悲観すべきではなく、それこそアートの魅力であることを忘れたくないのです。
異論反論は多々あると思いますが、これが僕の今の正直な気持ちです。
今も被災地で苦しむ被災者の皆様。
僕には募金箱に小銭を入れることしかできません。本当に申し訳ないと思っています。
今この状況に対して、はっきり何かすることはできないけれども、時間がかかっても将来必ずこのような災害時に大きな力を発揮できるように今を生きていきます。
今日みたいにいつまでも満開の桜を皆が眺められる日が来ることを強く祈ります。
2011年4月11日晴

今村遼佑「ながめるとみつめるのあいだ」@studio90 ♯7
studio90は、Vol.01,Vol.02に引き続き、今村遼佑「ながめるとみつめるのあいだVol.03」を開催します。
この展覧会は、作家今村遼佑が、studio90をアトリエとし、 制作を続けていく中で、 作家自身がその制作を通して作品を発見していくような形で発表されるプロジェクトです。
まさに生まれたての作品に出逢えるまたとない機会となっております。
そしてこのVol.03を持ちましてこの企画は終了します。
展覧会後には、このプロジェクトを記録した本をandbooksより出版予定です。
詳細はまた追ってお知らせします。
今村遼佑「ながめるとみつめるのあいだ Vol.03」
2011年4月9日(土)~4月11日(月) 13:00~19:00 (4月11日は予約のみ)
全日作家在廊予定
4月11日の予約は作家(nowvillage_1@yahoo.co.jp)に10日までに直接ご相談ください。
いよいよ最終回なので、是非お見逃しなく!!!
この展覧会は、作家今村遼佑が、studio90をアトリエとし、 制作を続けていく中で、 作家自身がその制作を通して作品を発見していくような形で発表されるプロジェクトです。
まさに生まれたての作品に出逢えるまたとない機会となっております。
そしてこのVol.03を持ちましてこの企画は終了します。
展覧会後には、このプロジェクトを記録した本をandbooksより出版予定です。
詳細はまた追ってお知らせします。
今村遼佑「ながめるとみつめるのあいだ Vol.03」
2011年4月9日(土)~4月11日(月) 13:00~19:00 (4月11日は予約のみ)
全日作家在廊予定
4月11日の予約は作家(nowvillage_1@yahoo.co.jp)に10日までに直接ご相談ください。
いよいよ最終回なので、是非お見逃しなく!!!
dots「手紙/断章/往復させる、折りたたむ」@GURA
dotsの新作公演に行ってきました。
舞台はなんと、知人の宮永亮くんらが制作をしている伏見にあるGURAというアトリエ。
元々酒蔵だったのを自分たちで改装してアトリエにしています。
空間としても横長で広くて、梁とかとてもおもしろいです。
それにしても舞台までやっちゃうとは。すごいなー。
うちら90とはまた違う方向性で棲み分けできてるようで嬉しいです。
こういう色んな種類の場所がもっと増えたら京都はもっとおもしろくなるでしょうね。
今のところ白川にあるmuzzと三条にあるRADとGURAと我々90ぐらいでしょうか。
そんなわけもあってとても楽しみにしていました。
スタッフの本郷さんからメールを頂き、予約フォームがあったので、念のため予約しておいたらすぐさま予約は埋まってしまい、dotsの人気が伺えました。
舞台は、GURAの団欒の場所となってる大きな丸いちゃぶ台のあるところ。
その前に椅子が並んでて、客席と舞台の距離が半端無く近い。
ちょっと早めに行ったので真ん前の席をゲットできました。
舞台は実際に演出家の桑折さんが行っている往復書簡を軸に展開します。
今回異例なのが、その桑折さん自身が舞台に上がること。
そして、文章を「読む」という行為が今回メインとなるのですが、dotsの舞台って基本喋らないことが多いので、これはdotsとしては新たな展開と言えるでしょう。
そしてdotsの十八番とも言える壮大な舞台装置や照明も今回はありません。
今回の舞台は、そういった点でも異例中の異例で、これまで築いてきた「dotsらしさ」をリセットするようなとても危うい舞台だったと思います。
中々その「らしさ」を脱ぐことってできることじゃないと思うんだけれど、このGURAとの出会いがdotsをしてそういう決断に踏み切らせたのかなと思うととても美しい関係ですね。
実際に観終わってみて、これまでのdotsを求めてしまうと物足りなさもあったのは事実だけれど、それでも要素が色々剥がれることで見えてくるdotsの芯のようなものが見れたような気がしました。
そういう芯の部分が垣間見れたのはこれからdotsの舞台を観ていく中で観客にとっても貴重な体験だったのではないでしょうか。
初めてdotsの舞台を観た人はどんな感想だったのかも知りたいですね。
って、僕もまだこれ入れて3回しか見てないので、まだまだ勉強させていただきたいと思ってます。
それにしてもあの近さはすごかったなーー。
もうパフォーマーに触れんばかりの勢いでした。
それに、大きな舞台では中々見れないパフォーマーの細かい動きや表情まで観れたのはよかった。
あと舞台装置でもある封筒が、入場の時にもらえるやつと一緒なのがなんだか嬉しい。
公演は明日も続きます!こちら。
ちなみにGURAと90は、緯度がほぼ一緒。
GURAからまっすぐ東に向かうと90です。よかったらどうぞ!
舞台はなんと、知人の宮永亮くんらが制作をしている伏見にあるGURAというアトリエ。
元々酒蔵だったのを自分たちで改装してアトリエにしています。
空間としても横長で広くて、梁とかとてもおもしろいです。
それにしても舞台までやっちゃうとは。すごいなー。
うちら90とはまた違う方向性で棲み分けできてるようで嬉しいです。
こういう色んな種類の場所がもっと増えたら京都はもっとおもしろくなるでしょうね。
今のところ白川にあるmuzzと三条にあるRADとGURAと我々90ぐらいでしょうか。
そんなわけもあってとても楽しみにしていました。
スタッフの本郷さんからメールを頂き、予約フォームがあったので、念のため予約しておいたらすぐさま予約は埋まってしまい、dotsの人気が伺えました。
舞台は、GURAの団欒の場所となってる大きな丸いちゃぶ台のあるところ。
その前に椅子が並んでて、客席と舞台の距離が半端無く近い。
ちょっと早めに行ったので真ん前の席をゲットできました。
舞台は実際に演出家の桑折さんが行っている往復書簡を軸に展開します。
今回異例なのが、その桑折さん自身が舞台に上がること。
そして、文章を「読む」という行為が今回メインとなるのですが、dotsの舞台って基本喋らないことが多いので、これはdotsとしては新たな展開と言えるでしょう。
そしてdotsの十八番とも言える壮大な舞台装置や照明も今回はありません。
今回の舞台は、そういった点でも異例中の異例で、これまで築いてきた「dotsらしさ」をリセットするようなとても危うい舞台だったと思います。
中々その「らしさ」を脱ぐことってできることじゃないと思うんだけれど、このGURAとの出会いがdotsをしてそういう決断に踏み切らせたのかなと思うととても美しい関係ですね。
実際に観終わってみて、これまでのdotsを求めてしまうと物足りなさもあったのは事実だけれど、それでも要素が色々剥がれることで見えてくるdotsの芯のようなものが見れたような気がしました。
そういう芯の部分が垣間見れたのはこれからdotsの舞台を観ていく中で観客にとっても貴重な体験だったのではないでしょうか。
初めてdotsの舞台を観た人はどんな感想だったのかも知りたいですね。
って、僕もまだこれ入れて3回しか見てないので、まだまだ勉強させていただきたいと思ってます。
それにしてもあの近さはすごかったなーー。
もうパフォーマーに触れんばかりの勢いでした。
それに、大きな舞台では中々見れないパフォーマーの細かい動きや表情まで観れたのはよかった。
あと舞台装置でもある封筒が、入場の時にもらえるやつと一緒なのがなんだか嬉しい。
公演は明日も続きます!こちら。
ちなみにGURAと90は、緯度がほぼ一緒。
GURAからまっすぐ東に向かうと90です。よかったらどうぞ!
梅田哲也「はじめは動いていた」@VOXビル

梅田哲也さんの個展がやってるというので寄ってみました。
しかし、これはもう予想外にスケールのでかい展覧会で衝撃。
てっきりARTZONEだけでやってるもんやと思ってたのになんと会場はこのビル全体!!!
多分この展覧会の実現は奇跡とも言えるほどのものだったと思います。
普段一般の人が入ることのないような屋上やバックヤードまで全部使っちゃってます。
思えば昨年の夏あたりから、このARTZONEで「すみっこ企画『DEADSPACE』」というプロジェクトをやってて、その名のとおり他の展覧会やってる時もどこかすみっこで梅田さんの展示がされてるというもの。
結局一度も行ってないけど、この企画は今回のための伏線だったのか!
まずは、ARTZONEのいつもの入り口から入れないので裏へ回る。
すると受付があって、地図を渡される。
よくみるとビルに青いテープと黄色いテープが貼ってあり、青いテープが進路、黄色いテープが退路をそれぞれ表していて、まずはその青テープと地図を頼りにエレベーターで3階へ。
降りてすぐの物置のようなところにも作品あり。
鉄板の上で砂鉄が生物のように蠢いている実に梅田さんらしい作品。
この物置のそっけない感じも素敵です。
さらに青テープをたどって屋上へ。
ここでは、一体どれだけの作品がしかけられているのかはわからなかったけれど、僕が行ったのは黄昏時で、暮れなずむ河原町三条を満喫しました。気持ちいい!
僕が見つけたのは、タンクの中に沈んでる電灯と、ぶら下がる樹の枝、ロープの切れ端、等々。
屋上を堪能して今度は黄色テープを辿って下へ。
この退路がまたすごくて、普段スタッフしか通らない階段とかをずんずん進む。
カプリチョーザの裏とか大丈夫なのか?
そんなこんなで、ARTZONEの2階へ。
そこには脚立や、壁を走るパチンコ玉などがある。
脚立を登ると壁の裏に仕掛けられた作品を鑑賞できます。
また、扉の中にも作品あり。
泊まりこんで作業していたと見られるスタッフルームも解放。この辺ユルいです笑
あと、奥の部屋にも作品があります。
1階へ降りると電話や床に落ちた電灯、またブルーシートやら色んなものがあります。
聞いた話ではこの電話は屋上とつながってるらしい。
屋上のどこかにある電話をとると下の電話が鳴って会話ができるんだとか笑
あと、タイミングがよければ、ブルーシートが上に上がったりするそうです。
こうして、VOXビルを巡る冒険は終了。
この冒険という作品は、病みつきになるような体験。
4月24日までなので、それまでに京都行く度に寄ってみよう。
きっとまだまだ発見があると思います。楽しい。

安喜万佐子「Absence of Lightー 歩行と逆光」@galerie16
昨日から始まった安喜さんの個展に行ってきました。
安喜さんは大学の大先輩で、卒業後も色々お世話になってます。
作品はテンペラ技法を使った絵画から金箔を使ったものまで。
伝統の技法を使いながら、安喜さん独自の視点を築きあげています。
特に今回の個展では、その感覚がこれまで以上に研ぎ澄まされているように感じました。
例えば今回の展覧会タイトルにもなってる「Absence of Light - a tree -」なんかは、もう木を描いてるというより、その間を描いているというか、まさに逆光を描くことで像を浮かび上がらせているような感覚。
像が強い光で焼き付いている印象を受けます。
まるで、原爆で焼き付いた像のような。例えは悪いかもしれませんが、光の暴力性のようなものすら感じられるとても「強い絵」に到達していました。
これは金箔を使用した作品がより分かりやすいかもしれません。
金箔の下から滲み出る紅の色がとても不気味です。
また、今回街の絵にも挑戦されています。かなり苦戦されてたようですが、確かにこれはまだまだ余地がありそうな感じ。木とは違い人工的な真っ直ぐなラインで構成されています。もう少しグチャグチャになってもよかったかもしれません。
また今回最も印象的だったのは、入ってすぐの左の壁の絵。
ゴッホの絵に出てくるような牧歌的な風景で、他の絵と比べると具象性が強いように思いますが、ところどころ風景が破けているようなところがあって、見れば見るほど変に思えてくる。これはなんだかすごい。今回の展示作品の中でも、もっともありえない風景かもしれません。
などなど、とにかく作品数が多くてびっくり。
16の空間に窓のように配された数々の風景たち。
ギャラリー以外の空間にも数点あります。
ここ数年の集大成です。オススメ!
安喜万佐子website>>http://www1.kcn.ne.jp/~yasuki/
さて、ここで告知です。
展覧会行かれると下の画像のポスターが貼ってると思います。
これは来年1月に京都精華大学内のギャラリーフロールで行われる展覧会で、この安喜さんが発起人となって、私森川穣も参加させていただくことになっております。
この展覧会は美術家だけではなく、脳科学や俳句など様々なジャンルを超えた展覧会となります。
どうなるのかは本人たちも未知数。また追ってお知らせします。
会場にはこのポスターの名刺サイズ広報が置いてます。記念に持ってってください。デザインは僕!
この参加者の中には今回の安喜さんの展覧会DMで詩で競演している木下長宏さんも参加。
僕がとても好きな本「美を生きるための26章」の著者です。うーん、楽しみ。

安喜さんは大学の大先輩で、卒業後も色々お世話になってます。
作品はテンペラ技法を使った絵画から金箔を使ったものまで。
伝統の技法を使いながら、安喜さん独自の視点を築きあげています。
特に今回の個展では、その感覚がこれまで以上に研ぎ澄まされているように感じました。
例えば今回の展覧会タイトルにもなってる「Absence of Light - a tree -」なんかは、もう木を描いてるというより、その間を描いているというか、まさに逆光を描くことで像を浮かび上がらせているような感覚。
像が強い光で焼き付いている印象を受けます。
まるで、原爆で焼き付いた像のような。例えは悪いかもしれませんが、光の暴力性のようなものすら感じられるとても「強い絵」に到達していました。
これは金箔を使用した作品がより分かりやすいかもしれません。
金箔の下から滲み出る紅の色がとても不気味です。
また、今回街の絵にも挑戦されています。かなり苦戦されてたようですが、確かにこれはまだまだ余地がありそうな感じ。木とは違い人工的な真っ直ぐなラインで構成されています。もう少しグチャグチャになってもよかったかもしれません。
また今回最も印象的だったのは、入ってすぐの左の壁の絵。
ゴッホの絵に出てくるような牧歌的な風景で、他の絵と比べると具象性が強いように思いますが、ところどころ風景が破けているようなところがあって、見れば見るほど変に思えてくる。これはなんだかすごい。今回の展示作品の中でも、もっともありえない風景かもしれません。
などなど、とにかく作品数が多くてびっくり。
16の空間に窓のように配された数々の風景たち。
ギャラリー以外の空間にも数点あります。
ここ数年の集大成です。オススメ!
安喜万佐子website>>http://www1.kcn.ne.jp/~yasuki/
さて、ここで告知です。
展覧会行かれると下の画像のポスターが貼ってると思います。
これは来年1月に京都精華大学内のギャラリーフロールで行われる展覧会で、この安喜さんが発起人となって、私森川穣も参加させていただくことになっております。
この展覧会は美術家だけではなく、脳科学や俳句など様々なジャンルを超えた展覧会となります。
どうなるのかは本人たちも未知数。また追ってお知らせします。
会場にはこのポスターの名刺サイズ広報が置いてます。記念に持ってってください。デザインは僕!
この参加者の中には今回の安喜さんの展覧会DMで詩で競演している木下長宏さんも参加。
僕がとても好きな本「美を生きるための26章」の著者です。うーん、楽しみ。

今村遼佑「・・・の向こう・その他」@GALLERY IND.
今月は知人の展覧会が異常に多いです。回りきれるか非常に心配・・・。
そんな中京都と大阪でやってる展覧会をなんとか回ってきました。
まずはなんといっても現在studio90でも作業中の今村君の展覧会へ。
うちでやらしといてなんやけど、すさまじい制作量です。
今年だけで発表としてはすでに3回目ですからね。
さらに来週いよいようちの展覧会のファイナル展示があります。お楽しみに。
で、初めてのギャラリーGALLERY IND.へ。
谷町九丁目から途中迷いながら到着。古いビルの3階です。
入るとまず真ん中に机が置いてあるのが見えます。
この机の角に粘土でできた崖と点滅する小さな灯台が。
先日アトリエ行ったらなぜか灯台の写真が机に散乱してて、この人何考えてるんや!と思ってましたがこういうことだったんですね。今村作品としては灯台のモチーフは初登場?
この灯台は会場内に2つあって、そこに光センサーがついてて明るいときはつかないそう。
あとコンセントのところにはこれまた粘土の崖と街燈。これは普通にコンセントにさしてもっておきたい!
それから一番多いのがなんと写真作品!今村君の写真作品初めて見た。
大学院の頃に行った越後妻有でとった素材だそうです。
この日今村君は不在でしたがオーナーさんとゆっくりお話ができてよかったです。
今月24日まで。ぜひ。http://ind.xit.jp/
前後しますが、今村君の前に大阪港にあるギャラリーヤマグチへ行ってきました。
ここでは昨日からスタートしたばかりの越野潤さんと三浦洋子さんの2人展。
越野さんとは以前京都のアーティストロングでお会いして以来お世話になってます。
越野さんの作品はとてもささやかで、非常に僕好み。
今回も非常に美しい作品が並んでました。
てっきりペインティングだと思ってたので、立体がきていて驚きましたが、これも非常に越野さんらしいなんだか試されてるような作品。
2colorsと題されたそれは、白い矩形の鉄の箱が2つセットで少しの間を空けて上下に壁掛けで展示されいて、まるでジャッドを思わせるようなミニマルな形態。
しかし肝はそこに非ずで、実はその上下の白が微妙な階調の違いで塗られています。
ぱっと見は白なんだけど、よくよく見ていると確かに全く違った色にも見える。
白の中のグラデーションの豊かさに驚かされます。
また別の展示室ではこれぞ越野さん!と言える小さな絵画。
ほんとにささやかでとてもいいです。ギャラリー外にも何点かありましたがちょっと欲しかった。
また、もう一方三浦洋子さんの作品は初見でしたが、最初表面上で起こるモアレがほんとに目がおかしくなったのかと思いました。ギャラリーの方の丁寧な説明によりそれは解決。
絵の具をしみこませたオーガンジーの布を重ねて作られているそうです。
個人的にはギャラリーの青や緑の作品より、入り口にあった色を抑えた作品の方が好きでした。
こちらは4月30日まで。こちら。
京都では三条通沿いのギャラリー三つ。
まずは射手座の川崎優実さんの展示。
先日90に来ていただいてお知り合いになった作家さん。
彼女は昨年までの10年もロンドンにいらっしゃったそうで、ロンドン談義で盛り上がりました。
僕と同じくチェルシーにも行ってらしたそう。多分入れ替わりで入ってる。
展示は写真を中心にとてもスマートな見せ方でした。
まずは入って左の壁には日付をプリントした紙を撮った写真と、奥には実際のその紙の束。
その手前にはスライドで人の手を撮ったものが延々と投影されていて、右の壁には大きめの写真2点と幾重にも重ねたアクリルの中にポラロイドが入った作品が床に立てかけてあった。
何か積み重ねるということを作品化しているようにも感じたけれど、むしろそれより、物質のもつ肌理へのふぇティッシュを強く感じました。
写真って表面がほとんどない物質やけど、そこにものが移ることでそのテクスチャーが張り付く感覚があって、この川崎さんの写真たちにもそれが強く反映されてるように思った。
特に日付を撮った作品の紙の質感とか、もっと均一に撮ろうと思えば撮れるところを、紙のしわやら光の反射まで非常に細かく撮られている。この展覧会は本日3日まで。
川崎さんのHPです>>http://www.hiromikawasaki.com
知人の瓜生祐子さんのneutronの展示へ。
彼女の作品は一見何が描かれているのかよくわからないが、非常に甘美な世界に導いてくれる。
筆のタッチややわらかい色使いやシェイプドキャンバスのやわらかさなど多くの魅力的な要素がある。
たとえそこに何が描かれているかわからなくても十分楽しめるように思うけれど、それを知った時の驚きもまた格別。その正体は一枚一枚のタイトルに顕れている。例えば「cream anmitsu」と言ったように。
そう、そこに描かれているのはケーキやあんみつなどのクローズアップなのです。
しかしそれは同時に壮大なるランドスケープでもあり、パフェに刺さるバナナは鋭利な山へ、ホイップは大きな山脈へ、イチゴは活火山へ、、、と本当に楽しい旅に誘ってくれる。
今回特に好きだったのはピザの作品。ピザのように丸いキャンバスに描かれてるのがよかった。
非常に楽しく美しい作品たちです。4月17日まで。こちら。
射手座とneutronのちょうど中間ぐらいにあるGallery PARCへふらっと寄ってみたら大当たりでした。
ここでは成安のテキスタイルを卒業したばかり武田梨沙さんの展覧会がやってました。
先日このギャラリーからメールをいただいた時に見た画像が印象的だったのですが、実際見てみるとすごく感動的な非常に綿密な織り。
階段の上を舞う様に展示されてる染めの作品もよかったけれど、それよりガラ袋に使われるナイロンみたいな細い繊維で編まれてる作品のインスタレーションがものすごくよかった。
この種の作品は3つ展示されてて、まず入ってすぐの左の壁にかかってる袋を裏返しにしたような長い作品の迫力にまず圧倒され、続いて蛇のように床を這う自立してる作品にも魅了されたし、さらにほとんどスカスカに編まれている作品がすごくよかった。
こうして普段クラフト系の仕事で、あまり感動することはないのだけれど、武田さんの展示はまずインスタレーションとしての精度がものすごく高いのがよかった。
前述の瓜生さんもそうだけど、やっぱ成安って力のある作家が出てきている。
卒制もおもしろそうやったし、かなり注目です。
この展示は今月10日まで。近く寄ったら是非。ギャラリーのサイトにもいくつか画像が載ってます。こちら。
さて、来週も見なあかん展示がいくつか。。。
そんな中京都と大阪でやってる展覧会をなんとか回ってきました。
まずはなんといっても現在studio90でも作業中の今村君の展覧会へ。
うちでやらしといてなんやけど、すさまじい制作量です。
今年だけで発表としてはすでに3回目ですからね。
さらに来週いよいようちの展覧会のファイナル展示があります。お楽しみに。
で、初めてのギャラリーGALLERY IND.へ。
谷町九丁目から途中迷いながら到着。古いビルの3階です。
入るとまず真ん中に机が置いてあるのが見えます。
この机の角に粘土でできた崖と点滅する小さな灯台が。
先日アトリエ行ったらなぜか灯台の写真が机に散乱してて、この人何考えてるんや!と思ってましたがこういうことだったんですね。今村作品としては灯台のモチーフは初登場?
この灯台は会場内に2つあって、そこに光センサーがついてて明るいときはつかないそう。
あとコンセントのところにはこれまた粘土の崖と街燈。これは普通にコンセントにさしてもっておきたい!
それから一番多いのがなんと写真作品!今村君の写真作品初めて見た。
大学院の頃に行った越後妻有でとった素材だそうです。
この日今村君は不在でしたがオーナーさんとゆっくりお話ができてよかったです。
今月24日まで。ぜひ。http://ind.xit.jp/
前後しますが、今村君の前に大阪港にあるギャラリーヤマグチへ行ってきました。
ここでは昨日からスタートしたばかりの越野潤さんと三浦洋子さんの2人展。
越野さんとは以前京都のアーティストロングでお会いして以来お世話になってます。
越野さんの作品はとてもささやかで、非常に僕好み。
今回も非常に美しい作品が並んでました。
てっきりペインティングだと思ってたので、立体がきていて驚きましたが、これも非常に越野さんらしいなんだか試されてるような作品。
2colorsと題されたそれは、白い矩形の鉄の箱が2つセットで少しの間を空けて上下に壁掛けで展示されいて、まるでジャッドを思わせるようなミニマルな形態。
しかし肝はそこに非ずで、実はその上下の白が微妙な階調の違いで塗られています。
ぱっと見は白なんだけど、よくよく見ていると確かに全く違った色にも見える。
白の中のグラデーションの豊かさに驚かされます。
また別の展示室ではこれぞ越野さん!と言える小さな絵画。
ほんとにささやかでとてもいいです。ギャラリー外にも何点かありましたがちょっと欲しかった。
また、もう一方三浦洋子さんの作品は初見でしたが、最初表面上で起こるモアレがほんとに目がおかしくなったのかと思いました。ギャラリーの方の丁寧な説明によりそれは解決。
絵の具をしみこませたオーガンジーの布を重ねて作られているそうです。
個人的にはギャラリーの青や緑の作品より、入り口にあった色を抑えた作品の方が好きでした。
こちらは4月30日まで。こちら。
京都では三条通沿いのギャラリー三つ。
まずは射手座の川崎優実さんの展示。
先日90に来ていただいてお知り合いになった作家さん。
彼女は昨年までの10年もロンドンにいらっしゃったそうで、ロンドン談義で盛り上がりました。
僕と同じくチェルシーにも行ってらしたそう。多分入れ替わりで入ってる。
展示は写真を中心にとてもスマートな見せ方でした。
まずは入って左の壁には日付をプリントした紙を撮った写真と、奥には実際のその紙の束。
その手前にはスライドで人の手を撮ったものが延々と投影されていて、右の壁には大きめの写真2点と幾重にも重ねたアクリルの中にポラロイドが入った作品が床に立てかけてあった。
何か積み重ねるということを作品化しているようにも感じたけれど、むしろそれより、物質のもつ肌理へのふぇティッシュを強く感じました。
写真って表面がほとんどない物質やけど、そこにものが移ることでそのテクスチャーが張り付く感覚があって、この川崎さんの写真たちにもそれが強く反映されてるように思った。
特に日付を撮った作品の紙の質感とか、もっと均一に撮ろうと思えば撮れるところを、紙のしわやら光の反射まで非常に細かく撮られている。この展覧会は本日3日まで。
川崎さんのHPです>>http://www.hiromikawasaki.com
知人の瓜生祐子さんのneutronの展示へ。
彼女の作品は一見何が描かれているのかよくわからないが、非常に甘美な世界に導いてくれる。
筆のタッチややわらかい色使いやシェイプドキャンバスのやわらかさなど多くの魅力的な要素がある。
たとえそこに何が描かれているかわからなくても十分楽しめるように思うけれど、それを知った時の驚きもまた格別。その正体は一枚一枚のタイトルに顕れている。例えば「cream anmitsu」と言ったように。
そう、そこに描かれているのはケーキやあんみつなどのクローズアップなのです。
しかしそれは同時に壮大なるランドスケープでもあり、パフェに刺さるバナナは鋭利な山へ、ホイップは大きな山脈へ、イチゴは活火山へ、、、と本当に楽しい旅に誘ってくれる。
今回特に好きだったのはピザの作品。ピザのように丸いキャンバスに描かれてるのがよかった。
非常に楽しく美しい作品たちです。4月17日まで。こちら。
射手座とneutronのちょうど中間ぐらいにあるGallery PARCへふらっと寄ってみたら大当たりでした。
ここでは成安のテキスタイルを卒業したばかり武田梨沙さんの展覧会がやってました。
先日このギャラリーからメールをいただいた時に見た画像が印象的だったのですが、実際見てみるとすごく感動的な非常に綿密な織り。
階段の上を舞う様に展示されてる染めの作品もよかったけれど、それよりガラ袋に使われるナイロンみたいな細い繊維で編まれてる作品のインスタレーションがものすごくよかった。
この種の作品は3つ展示されてて、まず入ってすぐの左の壁にかかってる袋を裏返しにしたような長い作品の迫力にまず圧倒され、続いて蛇のように床を這う自立してる作品にも魅了されたし、さらにほとんどスカスカに編まれている作品がすごくよかった。
こうして普段クラフト系の仕事で、あまり感動することはないのだけれど、武田さんの展示はまずインスタレーションとしての精度がものすごく高いのがよかった。
前述の瓜生さんもそうだけど、やっぱ成安って力のある作家が出てきている。
卒制もおもしろそうやったし、かなり注目です。
この展示は今月10日まで。近く寄ったら是非。ギャラリーのサイトにもいくつか画像が載ってます。こちら。
さて、来週も見なあかん展示がいくつか。。。