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「プリズム・ラグ ~手塚愛子の糸、モネとシニャックの色~」@大山崎山荘美術館

始まったばかりの手塚愛子さんの大山崎の展示観に行ってきました。
かなり楽しみにしていた展示でしたが、期待を遥かに上回る展示で大満足。
この美術館で見た展示の中でも最高のものだったと思います。
というか、ここまでこの美術館にフィットした作品群は今まで見たことがないです。
まず旧館と彼女の選んだ織物たちとの相性がものすごくいい。
特に山手側の部屋の上の方に展示されてた作品なんかは、前からそこにあったような雰囲気。
この館独特の展示ケース内の作品たちも、その麻の下地とものすごく合ってた。
さらに大山崎の風景を臨むところに設置されてた白い布に刺繍を施した作品も素晴らしい。
池側の展示室では、彼女の真骨頂の、布から糸を解きほぐす大作が展示され見応えあり。
また、これまであまり好きじゃなかった「落ちる絵」のシリーズも今回すごくよかった。
布越しに見える裏の刺繍や糸の集積の気配がとても素敵。
ただ、新作ドローイングでの子宮を描いたものは正直引いてしまった。
彼女の作品は、やはり織や刺繍といった女性的な仕事が全面に出ていて、フェミニンと言えばフェミニンなんだけど、その作品の美しさに和らいだ印象があるけど、ドローイングはドストレートすぎて恐い。恐さも1つの魅力にできればいいけれど、今の所まだそこまでに至ってない印象でした。
旧館があまりによかったので、新館はどうかな、と思ってたんですがこちらもよかった。
新館ではモネとシニャックとの見事な共演が成功していました。
モネの睡蓮と手塚作品に登場する花のモチーフとがすごく相性がいい。
前回の日高さんとモネの相性はあまりよくなかったけれど、今回は大成功でした。
やはりどちらの作品にも祝福感があって、文字通り「華がある」。
日高さんの絵は枯木ですからね。。。
また、手塚さんの絵画との関連性が述べられたテキストもあって、すごくわかりやすかった。
彼女は京都市立芸大で油画の博士を修得していて、その論文に関連するものだと思う。
また機会があったら是非読んでみたいです。
本当に素晴らしい展示でした。
特に無理してこの美術館に合わせてるわけでもないのに、サイトスペシフィックになっている。
これって本当にすごいことだと思いました。
逆に彼女の作品はホワイトキューブで見るよりこういう場所の方がいいのかなとも思います。
これは超オススメ展覧会。
6月12日までと会期も長いので是非。
そして、ついでにstudio90にも寄ってください!笑
JR山崎駅の2駅先の向日町駅からバスかタクシーですぐです!とちゃっかり宣伝。


「プリズム・ラグ ~手塚愛子の糸、モネとシニャックの色~」
アサヒビール大山崎山荘美術館
2011年3月17日(木)-6月12日(日) 月休(祝日の時は翌火曜休)
http://www.asahibeer-oyamazaki.com/tokubetu/syosai31/index.html



現在名古屋と東京のケンジタキギャラリーでも個展開催中(東京は3月28日まで休廊中)
今回の作品も含め、多くは五島記念文化財団の助成でロンドンで制作したものが多数。
また、今月末あたりから文化庁の助成でベルリンに2年滞在するようです。
さらなる活躍期待してます!

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

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