「プリズム・ラグ ~手塚愛子の糸、モネとシニャックの色~」@大山崎山荘美術館

始まったばかりの手塚愛子さんの大山崎の展示観に行ってきました。
かなり楽しみにしていた展示でしたが、期待を遥かに上回る展示で大満足。
この美術館で見た展示の中でも最高のものだったと思います。
というか、ここまでこの美術館にフィットした作品群は今まで見たことがないです。
まず旧館と彼女の選んだ織物たちとの相性がものすごくいい。
特に山手側の部屋の上の方に展示されてた作品なんかは、前からそこにあったような雰囲気。
この館独特の展示ケース内の作品たちも、その麻の下地とものすごく合ってた。
さらに大山崎の風景を臨むところに設置されてた白い布に刺繍を施した作品も素晴らしい。
池側の展示室では、彼女の真骨頂の、布から糸を解きほぐす大作が展示され見応えあり。
また、これまであまり好きじゃなかった「落ちる絵」のシリーズも今回すごくよかった。
布越しに見える裏の刺繍や糸の集積の気配がとても素敵。
ただ、新作ドローイングでの子宮を描いたものは正直引いてしまった。
彼女の作品は、やはり織や刺繍といった女性的な仕事が全面に出ていて、フェミニンと言えばフェミニンなんだけど、その作品の美しさに和らいだ印象があるけど、ドローイングはドストレートすぎて恐い。恐さも1つの魅力にできればいいけれど、今の所まだそこまでに至ってない印象でした。
旧館があまりによかったので、新館はどうかな、と思ってたんですがこちらもよかった。
新館ではモネとシニャックとの見事な共演が成功していました。
モネの睡蓮と手塚作品に登場する花のモチーフとがすごく相性がいい。
前回の日高さんとモネの相性はあまりよくなかったけれど、今回は大成功でした。
やはりどちらの作品にも祝福感があって、文字通り「華がある」。
日高さんの絵は枯木ですからね。。。
また、手塚さんの絵画との関連性が述べられたテキストもあって、すごくわかりやすかった。
彼女は京都市立芸大で油画の博士を修得していて、その論文に関連するものだと思う。
また機会があったら是非読んでみたいです。
本当に素晴らしい展示でした。
特に無理してこの美術館に合わせてるわけでもないのに、サイトスペシフィックになっている。
これって本当にすごいことだと思いました。
逆に彼女の作品はホワイトキューブで見るよりこういう場所の方がいいのかなとも思います。
これは超オススメ展覧会。
6月12日までと会期も長いので是非。
そして、ついでにstudio90にも寄ってください!笑
JR山崎駅の2駅先の向日町駅からバスかタクシーですぐです!とちゃっかり宣伝。


「プリズム・ラグ ~手塚愛子の糸、モネとシニャックの色~」
アサヒビール大山崎山荘美術館
2011年3月17日(木)-6月12日(日) 月休(祝日の時は翌火曜休)
http://www.asahibeer-oyamazaki.com/tokubetu/syosai31/index.html



現在名古屋と東京のケンジタキギャラリーでも個展開催中(東京は3月28日まで休廊中)
今回の作品も含め、多くは五島記念文化財団の助成でロンドンで制作したものが多数。
また、今月末あたりから文化庁の助成でベルリンに2年滞在するようです。
さらなる活躍期待してます!

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

今村遼佑「ながめるとみつめるのあいだ」@studio90 ♯6

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今村遼佑展Vol.02は、本日無事終了しました。
今回はVol.01よりさらに短い2日間のみの展示でした。しかも両日雨…。
そんな中でもお越しいただいた皆様、本当にありがとうございました。
中にはまだ余震の続く関東からのお客様もいて、感謝の言葉もありません。
ツイッターでも告知ツイートをリツイートして協力頂き大変感謝しております。

今回の展示にあたり、今村君からこちらに相談がありました。
「壁に穴開けるのはあり?」
メンバー全員一致ですかさずオッケー。何の問題もないです。
そう、今回はギャラリーだけでなく、展示がアトリエスペースにも及びました。
アトリエ側には前回同様風船が浮かび、LEDも健在。
さらにそこから線が壁に開けられた穴を通りギャラリーへ。
ギャラリーではいくつか小さなハンマーが据えられ、それらが不規則に床を打ちます。
アトリエ側の風船が触れ合うとハンマーが作動する仕組み。
微かに聞こえる雨音と共に、静かに向き合える作品となりました。
こうやって、壁に穴開けたり、無茶な展示ができるのもうちの強みです。

次回は4月の前半を予定。当初の予定より少しズレてます。
今村君は4月1日より大阪のGALLERY IND.での個展も控える超多忙なスケジュールです。。。
なので今回の展示に関して延長は残念ながらありません。
また次回をお楽しみに。

今村遼佑「ながめるとみつめるのあいだ」@studio90 ♯5

studio90は、vol.01に引き続き、今村遼佑「ながめるとみつめるのあいだVol.02」を開催します。
この展覧会は、作家今村遼佑が、studio90をアトリエとし、 制作を続けていく中で、 作家自身がその制作を通して作品を発見していくような形で発表されるプロジェクトです。
まさに生まれたての作品に出逢えるまたとない機会となっております。
4月上旬開催予定のVol.03の詳細は当studio90のウェブサイト、及び作家ウェブサイトブログでお知らせします。
尚、展覧会後には、このプロジェクトを記録した本をandbooksより出版予定です。

今村遼佑「ながめるとみつめるのあいだ Vol.02」
2011年3月20日(日)~3月21日(月祝) 13:00~19:00
両日ともに作家在廊予定



関東では地震の影響で数々の催しが中止になっていると聞きます。
一方関西では、そんなことが嘘のように毎日が通常通り動いています。
我々studio90も例に漏れず通常通り運営させていただきます。
こんな時だからこそ動ける間は動き続けたいと思っております。
皆様のご来場心よりお待ちしております。

中原佑介逝去

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地震の起きた翌日の新聞で中原佑介氏の死を知りました。
原因は書いていないのでわかりません。79歳でした。
戦後日本美術批評に置いて、重要なポストを担った中原氏。
2005年に亡くなられた東野芳明氏、昨年亡くなった針生一郎氏と共に「美術批評家御三家」と呼ばれ、その3人ともこの世を旅立たれたことになります。
かつては東京ビエンナーレを企画し、ヴェネツィア・ビエンナーレの日本館コミッショナーを務め、我が母校の精華大学の学長も務められ、その後も水戸芸術館総監督や兵庫県立美術館長を歴任されました。(昨年兵庫県立美術館では名誉館長に就任) 国際美術批評家連盟の日本支部会長でもあります。
著書も多数で、最近僕も「見ることの神話」を拝読しました。
最近では2008年の国立国際美術館における塩田千春展の寄稿が印象的でした。
また今年で50回目を迎えるUBEビエンナーレの運営委員長も務められていました。
10月に行われた審査の際のUStreamを見ていてもお元気そうだったので驚きました。
僕はこのUBEビエンナーレで9月にはお会いしてお話できると思っていただけで残念でなりません。
このビエンナーレに応募したのも、審査員長に中原さんがいたからといっても過言ではありません。
作品を見て頂けなかったのは残念ですが、選んでいただいた分全力で取り組みたいと思います。
ご冥福を心よりお祈りします。
関連記事>>第24回UBEビエンナーレ公開審査


あの日僕は丸亀から大阪への帰路の途中でした。
電車に乗っていた為揺れは全く気づきませんでしたが、相生駅のアナウンスで知りました。
地震、と聞いて、もう慣れっこになってしまっていて、危機感があまりに鈍感になっていたようです。
帰ってきてテレビを観て驚きました。
マグニチュード9.0。国内観測史上最大の地震。
阪神大震災を思い出して涙が溢れました。
地震の情報が連日流れてきます。
同じ地続きで繰り広げられている光景にただただ無力感を覚えます。
僕の住む大阪はそんな片鱗も見せずいつもと変わらぬ平和な日々が続いています。
水道からはいつもと変わらず水が出て、電気もいつもと変わらず流れています。
この当たり前が多くのサポートで当たり前になっていることを改めて思います。
僕はこうしてブログを更新したり、作品を作ったりしかできることがありません。
それでもやはり、日常を享受することが大事なんだと思います。
被災地で困っている方々にこれ以上不幸が起こらないように祈ります。
そして、亡くなられたたくさんの方々にご冥福をお祈りします。
それから、救済に向けて尽力を尽くされている方々に感謝します。
まだまだ救出されていない方々もおられると思います。
一人でも多くの命が救われることを本当に祈ります。
こんな状況でも並んでお金を出して物を買う日本人を誇りに思います。
阪神大震災の反省をしっかり活かしている今回の日本の動き。大変喜ばしく思ってます。
一日でも早い復興をお祈りします。

杉本博司「アートの起源 建築」@MIMOCA

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杉本博司が丸亀現代美術館を1年間ジャックする「アートの起源」展第二弾。
テーマは「建築」。
まあ大体今回のテーマは想像つくんですが、年間パス買っちゃってるし男なら全制覇でしょ!
ってことで行ってみたんですが、正直かなり微妙です。
ほとんどが、前回の「科学」と作品入れ替えただけの構成で手抜き感が否めない…。
入り口には護王神社の模型。
小田原の杉本財団等の模型がもっとたくさん出ると思ってたけど模型はこれだけ。
階段のとこには、前回の「観念の形」の彫刻の代わりに法隆寺の古材が立ち並び、放電場の写真が飾られていた吹き抜けの壁にはこれまた法隆寺の細部の写真。これは「歴史の歴史」で見せた「反重力構造」のインスタレーションそのまま。
さらに2階の前回「偏光色」シリーズが並んだ展示室にはお馴染みすぎる「建築」シリーズ。
反時計回りにそれらを見て回ると動線が法隆寺の古材で遮られる。スムーズな動線をいつもうまく創りだす杉本博司らしくない構成。何か意図があるのか?
で、さらに3階も前回と同じ構成。細い道の先に「建築」シリーズのスライド。
で、で、で、最悪なのがこれまた前回と同じ天井に向かう舞台がまんま置いてあった…。
雷神がいた場所は、代わりに「観念の形」が置いてた…。
隣の壁には数学模型を写したこれまたお馴染みの写真群。
さらに右の壁は前回同様幔幕…。そして花。
これは手抜きすぎやろー…金返してほしい…。
と、かなり凹んでたんですが、その鬱病は、幔幕の裏、前回ファラデーケージが置かれていた場所に回った瞬間に消え去りました。
そこに展示されていたのは、蝋燭が点いて燃え尽きるまで写しきった「陰影礼讃」シリーズ。
全部で4つ展示されていたのだけれど、この展示方法が相当ヤバい。
一つ一つ、ブースで区切られていて、透明の印画紙に刷られたその像を、本物の蝋燭で灯し、その後ろの壁にその写真の像が翳となって浮かび上がるというインスタレーション。
この展示は以前写真で見たことがあって、なんて素晴らしい展示なんだ!と思ったけど、生で見られるなんて!!!実際にこの展示は12年ぶりだそうです。
揺らめく蝋燭の火で見る翳。いつまで観てても飽きることがありません。
いやはや、もうこれ見れただけで相当の価値がありました。
というかむしろこれ以外要らんかったぐらい。
あの3階の展示室がこれで満たされてたら相当美しかったやろうに…。
いやぁ、最後の最後にこれ見れて本当によかったです…。
でもこれはむしろ、最後の「宗教」な香りが漂うんですがね。
この展示は5月15日までで、4月1日にはなんとこの美術館の建築家でもある谷口吉生との対談がッ!
こんな年度始まりの日のしかも19時からって鬼過ぎる。
僕は行けませんが興味ある方はどうぞ。当日14時から整理券配るそうです。鬼すぎる。
次は「歴史」。どうやらまだちゃんと見たことのない「Stylized Sculpture」シリーズが出るみたいなのでこれまた観に行かなくては。これはモダンファッションの衣服を撮った写真。また同じ構成やったらいややなぁ。


<関連記事>
杉本博司「アートの起源 科学」@MIMOCA
杉本博司「光の自然」@IZU PHOTO MUSEUM
杉本博司「歴史の歴史」@国立国際美術館
杉本博司「歴史の歴史」@金沢21世紀美術館
杉本博司「時間の終わり」@森美術館

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

有元歯科医院 by 妹島和世

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岡山県は津山市にある歯科医院。なんと妹島和世のデザインです。
友達が津山に住んでるので、遊びに行きがてら観にいっちゃいました。
小ぶりでとてもかわいい建築。
中は早朝に行ったので残念ながら見れませんでしたが、窓から覗くと(あやしい)、木目のカーブで柔らかく仕切られた空間が広がってました。
築5年ほどですが、まだまだ綺麗。
是非僕の歯周病も治して欲しいです(ぉ
HPでも大々的に妹島和世建築と謳ってるので建築目当てで行ってもそこまで嫌な目で見られないかも。
有元歯科医院>>http://www.arimoto-dent.com/

ちなみに津山はB'zの稲葉浩志の故郷としても有名。
彼の実家が経営する「イナバ化粧品店」は1つの観光名所となってます笑
あと津山城跡に咲く桜と、近年B旧グルメでグランプリをとったホルモンうどんも有名です。
津山の友人宅では本当に至れる尽くせりの歓迎を受けました。本当にありがとう。この場を借りて。

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small house by 妹島和世
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鬼石多目的ホール by 妹島和世
梅林の家 by 妹島和世
ガーデンコート成城 by 妹島和世
県営住宅ハイタウン北方(2000) by 妹島和世
Pritzker Prize 2010
Serpentine Pavilion 2009 by SANAA
熊野古道なかへち美術館 by SANAA
Novartis Campus 4 by SANAA
海の駅なおしま by SANAA

テーマ : 建築デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

サイモン・スターリング「仮面劇のためのプロジェクト(ヒロシマ)」@広島市現代美術館

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2005年のターナー賞受賞者サイモン・スターリングの日本初個展!
まさかこの作家の個展が日本で開かれるなんて…。
というのも、この作家、中々一筋縄では歯が立たない厄介な作家だからです。
ターナー賞受賞時もかなりの物議を醸しました。
作品、というよりも、そのリサーチが彼の真骨頂。
的が決まればあとは執拗なまで食らいついていく。
リサーチにリサーチを重ね、それをヴィジュアルに落としこんでいく姿勢がすごいです。
そのリサーチっぷりは徹底していて、この個展でも遺憾なく発揮されてました。

まず一階では過去の代表作を展示。
「雑草の島」(2003)では、スコットランドの国立公園の湖に浮かべる島の提案。ここにはセイヨウシャクナゲが植えられていて、これは18世紀にこの地に持ち込まれ、その後野生化し、元あった生態系を破壊するほどに繁殖してしまった外来種。その「悪者」であるセイヨウシャクナゲを主役にする作品。
展示室には独特の生っぽい香りが漂ってました。ビジュアルとしても美しい作品。

続く「カーボン(ヒロシマ)」(2011)では自転車にチェーンソーが付いていて、そのモーターを動力に動くシロモノ。もちろん外せばチェーンソーとして機能します。スターリングの作品では移動がテーマになる作品がいくつかある。中でも自転車を使った作品といえば、砂漠を走破できるように、水やらを積み込んだ作品なんかもあったなぁ。

「オートザイロパイロサイクロボロス」(2006)は、舟の材料を燃料にしながら進む舟をスライドで見せてて、実際舟は進んでいくがどんどん燃やせば燃やすほど沈んでいって、最後には湖の底へ…。自分のしっぽを食べる空想の蛇「ウロボス」の無限性をテーマにした作品。スライドとテーマが滅茶苦茶美しい。前にパリでも見たけど、その時はわりと明るいところで投影していて、今回はしっかり暗室を作って、ちょっと下の方で投影してたのがより効果的でした。

そして地階では、今回のメインで完全なる新作「仮面劇のためのプロジェクト(ヒロシマ)」(2011)
ただの旧作を並べた紹介展ではなく、ちゃんと新作展としてスターリングを持ってくるあたりキュレーターの神谷さんの力量が示されている。すごい。
この新作は、この広島市現代美術館が所蔵しているヘンリー・ムーアの「アトム・ピース」という作品からスタートしていて、実はこの作品は、広島と全く相反する場所にもう一つの兄弟作品が存在することが判明する。
それはノーベル物理学賞もとった、イタリア人の科学者エンリコ・フェルミが核分裂の実験に成功したシカゴの研究所にある「ニュークリア・エナジー」という作品。
つまりそこは、広島に落とされた核爆弾リトル・ボーイの誕生の場所でもある。
ヘンリー・ムーアというと、先ず浮かぶのが、慈愛に満ちた母のような柔らかい人体彫刻。
そこからなんとなくムーアと言う人はその作品のように温かい人物なんだろうな、と人々は想像する。
しかし、彼にはもうひとつの顔があり、それは、とても政治的な一面だった。
彼を取り巻く人々はとても複雑な「顔」を持つ人ばかり。
彼の作品が世界中に広まるのを助けたアンソニー・ブラント卿。彼はロンドンのコートルード美術研究所の所長であり、有名な美術史家であったが、後に彼はソビエトのスパイということが発覚する。
また、ムーアの作品を多数所有するコレクターであるジョセフ・ハーシュホンは、その財源は核を作るためのウランによるもので、言わば、核戦争が彼の財産を無限に広げていたのである。
その複雑なる関係を、仮面劇として見せる今回のプロジェクト。
能の「烏帽子折」の話と被せつつ、ジェームス・ボンドやカーネル・サンダースまで登場し、奇々怪々なストーリーが、9つの面と、その面作りのドキュメント映像で繰り広げる。
映像は、見事な手さばきで面を創り上げる能面打ちのテクニックに魅了される。
実際の仮面劇を繰り広げるのではなく、黙々とモノが創り上げられていく過程を映しだしたのは、おもしろい選択。スターリングの作品は、いつもどこか醒めているというか、客観的な要素が多分にあって、今回もこの選択はすごく「らしいな」と思いました。
それにしても能面打ちの作業場が普通のマンションの一室でびっくり。これはサイモンもインタビューで語ってましたが、なんだかちょっと切ない。
あと、核やら冷戦やらの話の途中で、阪神優勝の際、バースに似ているからという理由で道頓堀に落とされたカーネル・サンダースの下りがやたらおもしろかった笑
こんなリサーチまでしちゃうのか!てか結局カーネルはどういう関係があったのかよくわからない。

最後の部屋にはその問題となった「アトム・ピース」が展示されていて、さらにスターリングがヘンリー・ムーアに着目するようになった、トロントのプロジェクトなんかも紹介されてた。
思い出せば、フランスのMAC/VALでもムーアの作品を取り上げていて、ここまでの壮大なインスタレーションに結実しているのはやはり執念としか言いようがない。
また、なぜヘンリー・ムーアなのか、という問いに彼はイギリス彫刻史における、最初の巨匠だからと答えていて、今の作家がちゃんと自国の美術史をつなげようとしてることに感動した。
やはりイギリス美術史というと、彫刻の歴史といっても過言ではないです。
もちろんターナーやフロイド、ベーコンなどの絵画もありますが、彫刻の厚みに比べるとまだ薄いです。
そしてその祖はなんといってもこのヘンリー・ムーア。
彼からアンソニー・カロやリチャード・ロング、トニー・クラッグ、アントニー・ゴームリー、アニッシュ・カプーア、そしてデミアン・ハースト、レイチェル・ホワイトリードへと脈々と受け継がれてる。
日本美術史を辿ると、ひたすら断絶を繰り返してる印象があって、こういうバトンリレーのような歴史のつなぎ方をそろそろ学ぶべきだと思いました。

かなり難解な展覧会でしたが、国内で彼の作品がこれだけのボリュームで見られるのはまたとない機会。
是非広島行くべきです。4月10日まで。
そして、野外に設置されたムーアのもうひとつの作品「アーチ」もお見逃しなく。
さて、来年度はどんな展示が控えてるのでしょう…発表が怖い。
とりあえず宇部の制作前後でちょうどヒロシマ賞のオノヨーコ展があるので寄ろうかな。
伊東豊雄ミュージアムもこの夏にはできるみたいやし。
そして今回でスタンプカードがたまったから次回は無料!イエイ!
今回常設がなかったのが痛かったな…いつもここの常設はいいので残念。次は3月17日から。
今回は広島の滞在時間最短の2時間でした…スターリング以外なにも見てない…。

<関連記事>
Simon Starling 'THEREHERETHENTHERE' @ MAC/VAL
TURNER PRIZE:A RETROSPECTIVE @ TATE BRITAIN

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

風穴 もうひとつのコンセプチュアリズム、アジアから@国立国際美術館

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本日よりスタートした「風穴」展に行ってきました。
もうまったく未知数な展覧会でしたが、結構良かったです。
「コンセプチュアリズム」と聞くと、少し身構えますが、かなり柔らかい展示。
これまでの西洋中心のそれとは全く異なる、ロジックの喪失。
むしろ呪術的な作品が目立ちました。
そんな中でも圧倒的に日本の作家が気になってしまう。
これはやはりアクチュアリティの問題なのか、最初のヤン・ヘギュ(韓国)や邸志傑(中国)、ディン・Q・レー(ベトナム)あたりはほとんど素通りしてしまう。(ヘギュのドローイングはよかったけど。)
その中でもアラヤー・ラートチャムルーンスック(タイ)の「ふたつの惑星」は面白かった。というか既にシドニーで見たのだけれど、やわらかいクッションに寝転がって見るとまた格別。これは19・20世紀の名画を、タイの郊外に住む人々に「品評」してもらうという映像で、皆好き勝手言ってる笑
タイの田園風景と西洋絵画、それを眺める人々というフレームがとても美しかったりもする。
そして日本人ですが、今回出てる作家の展示はすべてお見事でした。
木村友紀に島袋道浩、コンタクト・ゴンゾにあの伝説のグループプレイまで!!!
この一見とりとめもないメンバーですが、かなりうまくまとまってました。
特にプレイを持ってきたキュレーターさんのセンスがいいですね。かなり締まる。
彼らは1967年に結成されたグループで、メンバーは何度も入れ替わりつつ今年で結成47周年!!!
雷を呼ぶパフォーマンスや河を渡るハプニングなど、美術の枠をはみ出してました。
僕もちょうど最近知った人たちだったので、この展覧会は個人的にとてもタイムリーだったり。
彼らの展示室は、実際の作業場となっており、そこで作られた発泡スチロールの→型イカダで本当に出航しちゃうらしい。5月を予定とのこと。ある種のサイトスペシフィックかも。
木村さんの展示は、相変わらずあっけらかんとしていてすごく好き。
これ、見れなかったIZU PHOTOとほとんど同じ作品みたい。なんかすごく得した気分。
写真がモノとして切り離されて、他のオブジェと同じ扱いをうけてる感じがいいんです。
コンタクト・ゴンゾは、見るたびにハマっていく感じがします。
森の時はなんのこっちゃわかんなかったけど、芸術センターに続きこの展示はすごい。
インスタレーションとしての精度も滅茶苦茶高い。
B1階のチケット売り場の隣の映像もお見逃しなく。
ウィフィッツィの時にやってたんですね…。隣で映像見てるおばさま方が完全にびびってる笑
そして島袋さんは、愛知でもすごくよかったけど、今回もそのゆるさがいいです。
段ボールがしゃべるやつはもう滅茶苦茶笑える!
そして最後の最後に亀!!!超コンセプチュアル!
彼らが全員関西出身なのはただの偶然でしょうか?
あと、今回のデザインワークをほとんど担当した立花文穂さんの展示もかなりよかった。
そもそも今回のチラシからチケットから何から何まで本当にかっこいいです。
カタログもかなりいききってるてる感じでおもしろい。見づらいけど笑
これで900円はいいなぁと思い購入。すぐ売り切れそうな予感。
国立国際の現代美術を扱ったテーマ展としては久々によかったかも。巡回ないんかな?
6月5日までなので、機会があれば是非来阪してみてください。
ちなみに今大阪では「おおさかカンヴァスプロジェクト」と題して、色んなところで現代美術が展開中。今月26から28日には、国立国際美術館の近くで西野達さんの作品も展開します。他には淀川テクニックや永井英男さん、一緒にBIWAKOに出した藤井秀全君や、六本木クロッシングでも出てた加藤翼君など。詳しくはこちら
文化不毛な大阪ですが、京都に負けずに頑張って欲しいです。
そういえば今年は2009年に引き続き堂島リバービエンナーレが開催されるとどこかで見たのだけどどこやったかな…。かなりおもしろそうなテーマだったのを朧げに覚えてるのですが。。。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

phono/graph-音・文字・グラフィック-@dddギャラリー

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南堀江にあるdddギャラリーに行ってきました。
こちらでは先日の茨城県美でも見た藤本由紀夫さんや八木良太さんをはじめ、豊田市美で見たばかりのintextさんなども参加されてる、展覧会で、タイトルの通り、音・文字・グラフィックを主題に展開されてます。
そういう意味では「耳をすまして」展に近いものがありますが、こっちの方がエッジ効いてます。
ひとつひとつの作品を挙げていけばキリがないのでいくつか印象に残ったものだけ。
藤本さんの作品で印象的だったのは、しわくちゃになった大きな本をめくる作品。
その紙の音がそのまま音楽になるといったような。
あと、デュシャンの演説に音楽をつけた作品も驚き。デュシャンの声初めて聞いた。
八木さん作品はほとんど見てましたが、「星の王子様」の原文の.や'だけを白く塗って星空のように仕立てた作品は、2005年に初めて観た時の記憶が蘇りました。
intextさんも本の◯の部分を繰り抜いた作品を出してましたが、こちらは八木さんほど詩的な感じがなくて、少し物足りない感じ。綺麗にまとめてる感がありました。
softpadさんたちはインタラクティブな映像作品。
iPodはこういう作品ですっかり定着しましたね。
ニコール・シュミットさんのアナログな感覚は好感もてました。
展覧会として、5作家ともに通底してるものがありかなり美しい展示。大阪でよかった。
来場者は小さな冊子ももらえます。これも素敵です。
今週土曜日には、出品者全員によるパーティもあるそうです。3月9日まで。HPもかっこいい。こちら
関連記事>>「耳をすましてー美術と音楽の交差点」@茨城県近代美術館


栗原亜也子「H氏との対話」@HRD FINE ART オフィス

京都の鞍馬口にあるHRD FINE ARTが主催するDEMADO ART PROJECT第三弾のオープニングに少し顔を出してきました。小さなオフィスにたくさんの人がいて大変でした。
このプロジェクトは元々主催の原田氏の家の出窓をアートで飾るプロジェクト。
第一弾は、昨年5月にstudio90でも展示していた山岡さんが飾りました。こちら
今回展示されてる栗原さんは、「Mind Games」というオセロドローイングをされてる作家さんで、今回は、横浜の彼女のアトリエと、京都の原田氏とで、オセロゲームをメールなどで進め、それをそのまま絵画にするというもの。
丸い蓋のようなものに絵の具を塗り、スタンプのように押していく。
ゲームが進むに連れて、その層も厚くなっていく。
見た目とシステムがそのまま結びついた明快な「絵画」でとても清々しい画面でした。
そもそもこのシリーズを始めたきっかけが、ペインティングに終わりがないことに戸惑いを覚えたことが発端となっており、ゲームというシステムを導入すれば、自ずと絵画に終わりが来るということに気づいたそう。
この戸惑いは絵画をやってる人なら多かれ少なかれわかる感覚だと思います。
かくいう僕もその一人。僕はそのまま筆を置いてしまいましたが、彼女はそこに挑み続けました。
ポートフォリオを見ていると、大きな布に無限オセロゲームが展開してる作品などかなりおもしろかった。
普段は外から覗くだけですが、お近くを通る際は是非御覧くださいませ。

テーマ : アート・デザイン
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