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Farewell 2010

2010年も残すところあとわずかとなってしまいました。
ということで毎年恒例勝手にランキングです。
ただ例年と違いまして、今年は展覧会に限らず「観たもの」という大雑把な括りでお送りします。


1位:オラファー・エリアソン「あなたが出会うとき」@金沢21世紀美術館
2位:豊島美術館 by 内藤礼+西沢立衛
3位:瀬戸内国際芸術祭2010
4位:クリストとジャンヌ=クロード展@21_21 DESIGN SIGHT
5位:石上純也展@SHISEIDO GALLERY
6位:dots「カカメ」@栗東芸術文化会館さきら中ホール
7位:六本木クロッシング2010:芸術は可能か?@森美術館
8位:Art Court Frontier ♯8 @ Art Court Gallery
9位:宮永亮「メイキング」@Kodama Gallery
10位:ジェームズ・タレル「ガスワークス」@金沢21世紀美術館

次点
杉本博司「アートの起源 科学」@MIMOCA
石上純也「建築のあたらしい大きさ」@豊田市美術館
「ハーブ&ドロシー」by佐々木芽生
「玄牝」 by 河瀬直美
地点「――ところでアルトーさん、」@京都芸術センター
ヤン・ファーブル「Another Sleepy Dusty Delta Day」@AI HALL
「panorama すべてを見ながら、見えていない私たちへ」@京都芸術センター
なかもと真生「境界線/不在」@西院久田町貸家
川北ゆう「ゆらぎのあと 景色をそそぐ」@INAX GALLERY2
Plastic Memory いまを照らす方法@東京都現代美術
楊福東「将軍的微笑」@原美術館


とまあ、こんなとこです。次点多すぎですが笑
1位のオラファーは、もう神でしたね・・・。美しすぎる展覧会。
2位の豊島もそりゃすごいですが、こっちは美術館ごとやっちゃってますからね。ハンデ分での差。
瀬戸内はやはり今年一番の話題でしたね。楽しかった。2013年も開催決定したそうです!こちら
4位はもう途中から泣けてきて仕方なかった展示。絶対次のプロジェクトは観に行きます。
5位は敢えて豊田じゃなくてこっち。豊田は手伝ったので純粋に見れなかった。なので次点。
6位はすっかり舞台の素晴らしさを教えてくれました。ホンマに素晴らしかった。
7位は見てる時よりその後じわじわと効いてくる展覧会。さすが窪田さんです。
8位はここ数年でダントツおもしろかった。展示のバラエティも楽しかったです。
9位は唯一のギャラリーで個展ランクイン。それほどよかった。テンションあがりました。
10位はやっぱねー。これどこもってきたらいいか迷った挙句の10位です。

今年はこのブログ中でも映画や舞台が入ってきたり、範囲を少し広げてみました。
次点にもいくつかその辺りが反映されてますね。
建築に関しては、言い出したらキリがないので今年竣工のものならランクインしてもいいかな、と思いましたが、残念ながら豊島美術館のみ。これも純粋に建築と言えるのかどうか・・・。
その点やはり石上純也はすごい。あの跳躍は見ていてこっちまでワクワクしちゃいます。
藤本壮介は、色々観ましたが、なんか模型見てた時の方がワクワクしました。
武蔵美図書館も正直期待ほどではなかった。。。
今年の建築ニュースとしてはやはりSANAAのプリツカー受賞でしょうね。ローザンヌ見てみたい!
海外へは韓国、オーストラリアと足を伸ばしましたが、言うほどの展示には出会えなかったかな。
友人ジョンキの展示も見られたのは大収穫。あとはクオリティ上げていくだけ。
友人といえば次点の川北さんとなかもと君の展示は素晴らしかった。
こうして周りが頑張ってると自分も頑張れるとこってありますね。

ここで敢えて見たかったけど見れなかった部門。
James Turrell 'Wolfsburg Project' @ Kunstmuseum-Wolfsburg(2009.10.24-2010.04.05)
MARINA ABRAMOVIC 'The Artist Is Present' @ MoMA (2010.03.14-05.31)
Maison Martin Margiela '20' The Exhibition @ Somerset House(2010.06.03-09.05)
・維新派「台湾の灰色の牛が背のびをしたとき」@犬島(2010.07.20-08.01)
ローザス「ローザス・ダンス・ローザス」@愛知芸術文化センター(2010.10.26-10.28)
アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル+ジェローム・ベル+アンサンブル・イクトゥス「3つの別れ」@愛知芸術文化センター(2010.10.30-10.31)
La Biennale di Venezia 'People meet in Architecture' @ Venezia, Italy(2010.08.29-11.21)
GWAGJU BIENNALE 2010 '10000 LIVES' @ Gwanju, South Korea (2010.09.03-11.07)
JAMES TURRELL @ GAGOSIAN GALLERY Britannia Street (2010.10.13-12.10)
木村友紀「無題」@IZU PHOTO MUSEUM (2010.09.05-2011.01.11)
加藤泉「日々に問う」@箱根彫刻の森美術館(2010.09.18-2011.01.30)
とりあえず思いつくままに。
アブラモヴィッチとタレルは観たかったなー。絶対無理やったけど。
特にWolfsburgの方はタレル史上最大の室内作品だったそうで・・・。はふ。
光州ビエンナーレはマジで観たかったです・・・。今年一番の悔いです。
こんなアカデミックで地味なビエンナーレ日本ではほぼ開催不可能ですからね。
今そのカタログ貸してもらってますが、ホンマに地味!色が少ない!観たかったーーー!!2年後!
ヴェニスは妹島さんディレクションってことで。石上伝説も生まれました。
マルジェラの展覧会は日本にも巡回する、はず。庭園美術館あたりで見たいなぁ。
維新派の舞台は埼玉でもやってましたが、絶対犬島で見るべきですよね。。。
ローザス観たかった!次来日する機会があったら絶対観に行こう。
木村友紀さんと加藤泉さんはまだやってますが、どう考えても行けません。残念。

また、今年も数々の巨星が旅立たれました。
荒川修作、針生一郎、ルイーズ・ブルジョワ、大野一雄、ジグマー・ポルケ等々
特に2月11日に亡くなったアレキサンダー・マックイーンの自殺は衝撃でした。
大好きなデザイナーだっただけに突然の訃報があまりにショック過ぎました。
彼らが残してくれたものを大切に受け取っていかなくてはなりません。
ご冥福をお祈りします。


最後に今年は自分にとっては、なんといっても芸術センターの展示が大きかった。
もうあれから1年弱か・・・早いなぁ。でも遠い昔のようにも感じる。
あとstudio90での展示もあったし、BIWAKOビエンナーレにも参加させていただきました。
やっぱ展示する度に自分のやりたい事が見えてくる感じがして、改めて展覧会って重要だと思いました。
観に来てくださった方々本当にありがとうございました。
また、studio90では今年最多の4本の展示を開催。4本が限度だと悟りました笑
来年からも僕個人とstudio90、そしてこのブログをどうぞよろしくお願いします。
それではよいお年をー!

過去のベスト10>>'09 '08 '07 '06

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Photo by Nobutada OMOTE
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山岡敏明展覧会情報

studio90のnewsに山岡敏明の展覧会情報を更新しました。
http://www.studio90.info/

1日だけの展覧会『ハガキ』展 @ 信濃橋画廊

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信濃橋画廊の最後の展覧会に行ってきました。
やはり関西に活動している作家の端くれとしてこれは見とかなあかんかな、と思って。
1965年の開廊以来45年。
その別れを惜しむ人々で会場はごった返してました。
この展覧会は彫刻家の福岡道雄さんを初めとする有志の作家たちが、方々に往復はがきを送り、思い思いの表現をして送り返してもらうというもので、340人分ものはがきが展示されてました。
中には具体の元永定正や森村泰昌、椿昇、榎忠、植松奎二、河口龍夫等々錚々たるメンツ。
おもしろいのは、美術家だけじゃなくて、コレクターの田中恒子さんやジャーナリストの小吹さん、太田垣さん、森口まどかさんなんかもはがきを寄せていました。
どれもがオーナーの山口勝子さんへの感謝と労いで満ち溢れていました。
それだけ愛された画廊の閉廊。やはり寂しいものがありますね。

今やこうした貸画廊の存在は年々価値が薄くなっていっています。
そもそも貸画廊って回ることほとんどないですよね・・・。
たまに知人が展覧会やってる時に少し顔を出すぐらい。
信濃橋も実際数回行ったことがある程度でしたし。
学生の時は毎週毎週雨の日も風の日も春夏秋冬回ってたんですが。
ここ5年ほどで日本のアートシーンも随分様変わりしたものです。
それまでのアートシーンといえば、やはり貸画廊が中心でした。
今活躍している40代以降の世代はほとんど貸から成り上がってきた人たち。
森村さんもギャラリー白や16からだし、ヤノベさんややなぎみわさんもギャラリー虹から。
この信濃橋画廊からも多くの作家が世界へ羽ばたきました。
奈良美智さんなんかもここでグループ展をしたことがあるそうです。
学生にとって貸画廊で展示を行うことは、評価云々より、その経験がとても重要です。
やはり、展示の現場で学ぶことは大きく、僕も学生時代は何度かお世話になりました。
20歳の時に大阪の画廊でやった初個展は今でも僕のマイルストーンです。
(そしてその画廊も今はありません。寂しい。)
関西は特に料金もそこまで高くないので、学生でもバイト頑張ればなんとかやっていけます。
昔学生の頃、銀座の画廊回ってる時に、オーナーから「よかったら」と言って賃貸規約の紙を渡されて見たら、一週間30万円ってなってて即捨てた記憶があります笑
東京の学生ってどうやって展覧会やってるんやろ・・・。

今回の信濃橋の閉廊はひとつの時代の終焉を物語っていました。
こうした貸画廊の活動を、はいさようならと捨て去るのではなく、日本のアートの歴史の詰まった重要なアーカイブとしての役割を今後は担っていく機関としてあってほしいなと思います。
山口さん、45年間お疲れさまでした。

ついでに12月26日をもって、サントリーミュージアムも閉館しました。
関西のアートシーンは京都以外どんどん寂れてきてますが、なんとか頑張ってほしいです。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

大阪富国生命ビル by ドミニク・ペロー

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テーマ : 建築デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

schtucco x 鈴木理策 @ PANTALOON

12月24日に行われたschtuccoと鈴木理策さんのトークに行ってきました。
クリスマス?何それ?
というかこの日にイベントを打ってくるパンタロンさん素敵すぎます笑

schtuccoはグラフィックのデザインチームです。
聞いたことない方もおられるかもしれませんが、彼らの手がけた仕事を見ればどれも一度は目にしたことがあると思います。アートや建築の本やチラシなどを中心に活動しておられます。
詳しくはschtuccoのウェブサイトで>>http://www.schtucco.com/
この度中心メンバーの秋山伸さんと堤あやこさんが第一子ユニ君の誕生を機に、schtuccoを解散し秋山さんの故郷でもある新潟に帰ることになり、その道すがらを大きく迂回し大阪のパンタロンで最初で最後となる展覧会「お引越しとお葬式」を開催するに至りました。随分と迂回しましたね笑
この展覧会では、彼らの仕事はもちろんのこと、なんとギャラリーに一家3人がこの一ヶ月程実際に生活しておられて、その生活の様まで見せてしまってます。
ギャラリーにテントを張って、ユニ君の紙おむつや洗濯物、病院の診断書等も展示しています。
改めて、彼らの仕事はどれも目を惹くものばかりだし、数年前のものでも、たとえその本や展覧会を実際に観たことがなかったとしても、そのグラフィックだけは覚えてたりします。
膨大に流れてくる情報の中で、記憶に残るデザインというのは単純にすごい。
そしてそれが本当に製品になって存在しているという説得力がありました。
グラフィック門外漢でも十分楽しめる展示でした。

そしてトーク。
展覧会中何度かトークイベントやってますが、自分が今写真作品を作りは始めてることもあって、鈴木さんのが気になったので行ってきました。
鈴木さんとschtuccoの仕事は青木淳さんの青森県立美術館の本がきっかけ。
元々青木さんとschtuccoがこの前の青木さんの作品集の仕事をしていて、その時に鈴木さんのサントヴィクトワール山を撮った写真が素晴らしいという話をしていたそうです。
そして青森県立美術館が出来た時に是非撮って欲しいと依頼したのが鈴木さんだったとのこと。
実際に鈴木さんの撮ったその写真はいわゆる建築写真とは違います。
ピントがぼけていたり、雪をメインで撮っていたり、建築というより空気を撮っている感じ。
改めて見ると素晴らしい写真ですね。
なので、これらの写真は資料としては不向きなんですよね。
それでも青木さんは鈴木さんにどうしても撮ってもらいたかったんだそう。
実際その後もその写真を他で使うことは一切ないようです。すごい。
日本の建築はどうしても寿命が短く、写真の方が遥かに寿命が長い。
本来は逆だと思うんですがね・・・。ヨーロッパとか1000年以上の建物いっぱい残ってるのに。
西沢さんの本にもありましたが、やはり日本は特異な状況ですよね。
鈴木さんがある建築家に聞いたところ、建てる際にその建築の寿命を30年と設定しているんだとか。
30年・・・。あまりに短かすぎる・・・。人の人生より遥かに短いですね。
それでも写真の寿命ってどうなんでしょうか。
写真が登場してまだ200年も経っていません。
そして今になってデジカメというものが登場して、ものとしての写真の寿命は危うくなっています。
実際にカメラ業界は、印画紙を始め、様々な製品から撤退しています。
今アナログカメラを取り巻く状況は非常に厳しいです。
手焼きでやろうにも、まずラボが日本では東京に数件残るのみ。
鈴木さんも昔使っていた印画紙が生産中止になって、もう使えないと言ってました。
そりゃ効率的にも環境的にも手焼きは本当に手がかかります。
それでもどんなにデジカメの解像度が上がろうが、フィルムの解像度には到底かないません。
鈴木さんの作品を見ているとわかりますが、凄まじいディテールなんですよね。
特に滝を写した写真なんかは、水面に映る像がひとつひとつ鮮明なのは驚愕。
また、雪の作品も、あの微妙な階調は、中々プリントでは出ません。
手で焼いて微調整を加えることで、あの白の奥行きが出てるんですよね。
プリントに置いても、印画紙でのプリントと、デジタルデータによるプリントでは性質が違います。
デジタルプリントはあくまで紙にインクが載っているという物理的なもの。
一方印画紙は、化学反応なんです。
暗室の中で現像液に浸した時に徐々に浮かび上がってくる像。
あの感覚はやはりゾクゾクします。
鈴木さんの写真にはアナログの限界に挑戦してるところがあります。
アナログカメラだと単純にフィルムを介するので、コスト的にもリスクを背負っている。
シャッターを押す時はその緊張感も含みながら押すことができる。
でもデジカメだとデータを保留しているという感覚で、そこに写真家の確固たる決意のようなものをどう表現するのかを、これからデジカメで写真を作る人間は考えないといけないと仰ってました。
また、写真を選ぶ際にも、例えば森山大道は、コンタクト(すべてのネガを焼いたプリント)は作らず、暗室の中でネガの状態でパッと選んでいくんだそう。像の焼き上がりの状態がわからないまま選んでるので、そこに恣意的な意味を含ませずに済むという方法論ですね。彼の場合は撮影の時もパッと目に入ったものをどんどん撮っていくので、その方法を暗室の中でも行っているというわけ。
デジカメだとすべてが鮮明なので、やはり選ぶという作業が重要になってきますよね。
またレンズの話もしていて、90年ほど前に作られたドイツのレンズが鈴木さんのお気に入り。
ボケの美しさが他と全く違うんだとか。
実際それで桜のシリーズは撮っているそうです。
今のレンズは、できるだけクリアな像で写せるようになっていて、ボケが美しくないそうです。
ボケはあまり良くないイメージですが、鈴木さんの場合は、そのボケによって観客の視線を写真の上で彷徨わせることができる最高の機能とのこと。
失われていく技術。この先どうなっていくんでしょうか・・・。

他にも鈴木さんの写真論の話をたくさん聞けました。
意外だったのは、鈴木さんは写真を動画のワンカットのように撮っていること。
僕は彼の写真は圧倒的なストップモーションで見せてるんだと思ってたんですが、動きが重要なんだそうです。
確かに鈴木さんの写真は、同じような写真でも少し場所がずれていたりします。
この身体の移動によるロードムービーのような位置づけみたいです。
映画がすごく好きみたいで、特に成瀬巳喜男が好きと言ってました。
また、できるだけ写真の前では自分を消したいという話もしていました。
ただその風景がある、みたいな。撮っていると思われたくないという話。
それって写真だけでなく、すべての表現者が共有できる感覚だと思います。
作りたいんだけど作ったと思われたくないという矛盾。
これって一般的に理解できる感覚なんでしょうか・・・。
鈴木さんのシャッターを押す瞬間の話がおもしろくて、彼は何かを撮るときに周囲の音を聞いているそうです。例えば鳥がさえずった瞬間にシャッターを押すとか、枝がこすれた時に押すとか、できるだけ自分でタイミングを計らないようにしているんだとか。
それで像が特に変わるものでもないし、あくまで精神論だけど、すごくわかるなぁと思いました。
何か自分の外のものでルールを決めたいという欲求。
だからといって、まったくそこに自分を消したら監視カメラでもいいという話になるわけで。
鈴木さんは自分の故郷である熊野を撮っているわけだから、やはりそこには鈴木さんの血と肉があるわけですよね。だからこその魅力ってのもあるのでそのバランスが難しいところ。
実際鈴木さんも、そこに自分がいることが重要とも言ってましたしね。矛盾笑

さて、長くなりましたが、トークの主題は、実は写真集の話。
schtuccoと鈴木さんは写真美で行われた「熊野雪桜」のカタログでコラボレーションしました。
美術館の限られた予算の中からクオリティの高い写真集を如何につくり出すか。
schtuccoとしては、鈴木さんの横の写真をどう配置するかに苦労されたそうで、綴じの部分でイメージが歪まないように開きを如何に良くするかに心血注いだそうです。
何気なく本って見てますが、その何気なく見れるって実はすごいことなんでしょうね。
確かに開きの悪い本はストレスたまりますしね。
ましてやイメージを見せる写真集は余計気を使うべきなんだろうと思います。
そして、鈴木さんの恐るべき写真の濃淡をどうプリントで再現するか。
特に雪の写真の白の階調はちょっと手を抜くと簡単に飛んでしまうほどの微妙さ。
プリントに置いて、薄いグレイほど難しい色はないんだそうです。
それをCMYKで再現するには、それぞれ1%動かすだけで全然違う色になってしまう。
だからといってモノクロで再現すると色の奥行きがなくなってしまう。
かなり微妙な操作がなされていることを知りました。
また、鈴木さんの写真構成にはびっくり。
やはり映画を意識して作っていて、写真のシークエンスがとても重要。
そのシークエンスをいかに見せるかに重点が置かれていて、その為なら、以前の写真を引っ張り出してくることもあったり、びっくりしたのが、写真を上下逆さにしてたりする。
これには度肝抜かれました。。。
鈴木さんは、作品の天地は全然気にならないんだそうです。
逆でも見れるならそれでよしというわけ。
本は空間だという考えで、その配置には相当なこだわりがあるみたい。
やっぱり、写真作品と写真集の関係って微妙で、例えば絵画や彫刻は、もうメディアが違うわけだから、単純にカタログとしての情報であればいいみたいなところがあるけれど、写真はカタログでも写真(イメージ)として提示されるわけだからそこをどう処理するかはかなり難しいと思います。
それでも日本の写真集のレベルは世界でもトップクラスだそう。
海外の写真集はカタログ的な位置づけのところが多いみたい。
だからこそ日本の写真は強いのかもしれませんね。取り巻く環境って大事。
写真集を1ページずつ繰りながらのお話。
なんか改めて写真集というものをじっくり見たくなりました。
こういう切り口のトークって新鮮。とても楽しかったです。
ちなみにこの画集は僕も持ってますが、すばらしい本です。おすすめ。
青木さんのやつも欲しくなってきた・・・。美術館自体は好きじゃないけど汗

 

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

金沢市立玉川図書館 by 谷口吉生

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ようやく遠征最後の記事です。
この旅ではアートに置いて神レベルのものを続けざまに見てしまいました。
ちょっと今頭がパニック中で、もう少し反芻して整理しなくては。
一方建築においては、図らずも2つの系譜を辿りました。
1つはSANAAです。
豊田の石上純也展妹島さんの建築豊島の西沢さん金沢の21世紀美術館です。
そしてもうひとつが谷口吉生。
豊田市美術館丸亀現代美術館ですね。
この2つは世界においても美術館建築のマスターピースだと思います。
決して派手さはないですが、有無を言わさぬ美しさがそこにあります。
実際豊田は15年、丸亀は20年経ってますが、美しさがまったく揺らぎません。
今年竣工の建物ですと言われても信じてしまうんじゃないでしょうか。
それぐらい谷口さんの建築は美しい。
高松で晩ご飯食いに行く途中にある一件の古本屋に立ち寄りました。
そこで前から欲しかった谷口さんの2005年に行われた展覧会の図録を購入。
この古本屋色々すごかったんですが、そこは割愛。
この図録ネットでは8000円もするハードカバーしか売ってません。
豊田市美では5800円ぐらいのソフトカバー版が売ってました。オペラシティにもあるかも。
僕が買ったのはソフトカバー版。3000円で買えたのはラッキー。
その図録を金沢までの道すがらに捲ってたら、金沢に最初期の作品があることが判明。
これってあまり知られてないんじゃないでしょうか。
金沢、何度も行ってたのに。
それがこの金沢市立玉川図書館。
丹下健三の事務所を出て4年後の1978年の作品です。
そして驚きなのが、共同設計者に父親である谷口吉郎の名前がッ!!!
なんとこの作品、最初で最後の親子コラボレーションなんです。アツい!
なんといっても表面を覆う銅板の色が美しい。
ガラスと銅板の対比が見た目の重さから開放しています。
銅板は表面だけで、裏はレンガ。
この建物は元々専売公社の建物でそれを改修したような感じです。
中はいたって普通の図書館でしたが、金沢改めて羨ましくなりました。
あぁ、MoMAも見てみたいなぁ。。。
とりあえず京都博物館の別館を今は楽しみにしています。
ちなみに買った図録で初めて東博で谷口親子の建築が対峙してるの知りました。すごいなぁ。
それにしても谷口さんって不思議な建築家ですね。
日本の大学では意匠を学ばず、その後のハーヴァードでようやく学ぶに至る。
建築家である父親への反発もあったのかな?七光りとかそういう葛藤。
その後は、丹下さんの元で働いて、父親の事務所を引継ぐ。
そして国内で素晴らしい建築を連発しながらも海外では今のところMoMAのみ。
海外唯一のプロジェクトがMoMAってのがかっこよすぎる・・・。
バーゼルのノヴァルティスキャンパスもやるみたいですが。
実作は決して多くはないものの、一つ一つの完成度が半端ないのはズントーに通ずるものがあります。
そんな彼の作品のほとんどを日本で当たり前に見られるのは本当に贅沢だと思います。
海外の建築学生からしたら日本はSANAAや伊東さん谷口さんの建築がざらに見られる状況は絶対羨ましいはず。
素晴らしい環境ですね。
これからもまた機会があれば谷口建築見ていきたいです。
葛西臨海水族園。美しいけど独りで水族館は行きたくないなぁ笑

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テーマ : 建築デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

ジェームズ・タレル「ガスワークス」@金沢21世紀美術館

実は金沢に行ったのは、前記事のフィッシュリとヴァイスの為ではありません。
もちろんあの展覧会も気になってはいましたが、それだけではわざわざ金沢まで出かける動機付けにはならなかったでしょう。実際金沢はパスしようと思ってました。
そんな折、ふと21美のHPを見て驚愕。
タレルの「ガスワークス」が公開されてる!!!!!!!!

丸亀から帰路に立つ道すがら、その恐ろしい計画が頭の中に浮かんでしまいました。

このまま金沢行けるんじゃね?

いやいやいやいやいや。。。いやぁあああ!!!!
と、思いつつ、ちゃっかり調べてみたら、なんと、乗ったその電車が金沢に行く最終だったのです!
運命。とわけわからんこと考えながら悩みに悩み、気づいたら大阪を通りすぎてました。
丸亀から18切符で約9時間・・・。
来てしまいました、金沢へ。
着いたら日付変更直前。金沢の気温1度!!!寒い・・・。
フードを目深に被り、今晩の宿、ネットカフェを目指す。
調べてたネットカフェの前に着くと信じられない現実。

「閉店しました。長らくのご愛顧ありがとうございました。」

なんや、これ・・・。どういうこと?
と思いつつ次のステップ。このままでは凍えてしまう。
残り少ないバッテリーのiPhoneを頼りに探すとなんとか近くにもう一件発見。飛び込みました。


さてさて、そんな険しいことをしてまで観たかったジェームズ・タレルの「ガスワークス」という作品。
この美術館のオープニング展でも公開されてて、当時ほとんど無知識でこの美術館を訪れた僕は、その球の中に人が吸い込まれていく様をなんとなく見ていました。
それ以来金沢でこの作品が公開されることはなく、僕の中で悶々とあれは何やってんやろ、と想い続けていたのです。
そしてこの度ついにそれが6年もの沈黙を破り公開されるッ!!
これは絶対観に行かなくては、と思いつつ見たらなんと当日予約のみ。
しかも一日に入れるのは最大16名。鬼!
絶対オープン前に並ばな入られへんやんと思い調べたら、大阪から始発のサンダーバード飛ばしてもオープンの10時には間に合わず、前乗りは必至。
ということで、次の日9時半から並びました。
この日はさらに鬼で、午後2時からの8人のみ。
でもまあ、午後からやしさすがに誰もおらんやろ、と思ってたら既に3人も並んでた!
上には上がいますね・・・。
10時の開館時には20人ほど並んでました。。。
企画展の方ではなくコレクション展の方に並ぶ行列。
普通に来館した人たちはなんのこっちゃっていう光景でしょうね・・・。
で、開館と同時に一人目の人はもう一直線にその展示室に・・・すごい。
彼に着いていってなんとか4番手で予約できました。よかったー。

予約して他のコレクションも拝見。
丸山直文さんの作品が相変わらずよすぎた。水面に映る舟の2点組。
他にもオープニング展以来に見る作品もちらほら。ヴィック・ムーニーズの写真や、モナ・ハトゥムのガラス玉で出来た世界地図など。椿昇の壁のドローイングは佐藤充さんの絵みたいだった。
高嶺格さんのプロジェクトも見るがほとんど理解不能・・・。
横浜美術館の個展どうなるんやろ・・・。
その後も金沢の街を徘徊したり、戻ってきて図書館でだらだら過ごしてたら時間に。
というか、何故か1時間勘違いしてて、それに気づいたのが予約の5分前!!!危なすぎる!
展示室に走りました。

着いて白衣のスタッフに荷物を預ける。
指定の台に仰向けになって寝る。
そしてそのまま球の中へ。
しばらくタレルお得意の色が徐々に移り変わる様を眺める。
これじゃ、京都近美の「生存のエシックス」で観たやつとあんまかわらんやんけと思った次の瞬間。
チカチカチカと激しい光が目を襲う。
瞬時に変わる色の世界。
すさまじい色の洪水が一気に流れこんでくる。
色と知覚しているにも関わらず、実際自分が何色を見ているのかわからなくなる。
そして終いには目を開けているのか閉じているのかもわからなくなってしまう。
怖い!!なんだこれは!!??
まるで「2001年宇宙の旅」でモノリスに出遭った時の映像のような感覚。
この体験はすごい・・・想像を絶してました。
色で目を塞がれるというか・・・。
やはりタレルは神でした・・・。凄まじいです。
体験時間は約10分。充実した時間です。
まだ公開は続くようなので、機会があれば是非!スケジュールはこちらから。

ところで、この秋にロンドンのガゴーシアンでもタレルの個展がやってました。
今回の「ガスワークス」は1993年の作品ですが、この発展形が発表されたとのこと・・・!!
「Bindu Shards」という新作で、これまた予約制。
見た目は「ガスワークス」とほとんど変わらないけどどんなのか気になりすぎる・・・。
誰かこれ体験した人いませんか??
ここで少し画像が見れます。
日本でもタレルの個展とかやってほしい!!
金沢ならこの「ガスワークス」や「ブループラネットスカイ」もあるしかなり本格的なものができそう。
オラファーも実現したんだし、是非お願いします!
あとカプーアも笑
あーー、光の館も泊まりたいなぁ。

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テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス@金沢21世紀美術館

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ペーター・フィッシュリとダヴィッド・ヴァイス。
美術関係者の中で非常に人気が高い作家。
何度か単品で見てるのだけど、いまいちわからなくて、日本で一気に見れるのは絶好の機会。
昔テートモダンでもやってたけどその時はスルーした。英語で見てもしんどいだろうと思って。
今回観たいと思っていた「事の次第」はやはりすごくよかった。
これは関係者の間では「ピタゴラスイッチ」の元ネタと言われている。
こういうマジョリティのメディアである広告がマイノリティの美術をそのまま引用(というかパクリ)しちゃうことが多々あります。
こないだキューピーマヨネーズのCMが1999年のターナー賞受賞者であるスティーブ・マックイーンの作品をそのままパクッてるという話題もありましたね。
でもそもそもそのマックイーンにも元ネタがあって、っていう話題も。こちら
美術業界で「引用」(アプロプリエーション)は当然だけど、それは別の価値付けから来ていて、広告業界の引用の罪深いところは、それがマジョリティのメディアであるがゆえに、多くの人はそれが元ネタと認識してしまい、もし本当の元ネタを見た時に逆にそれがパクリだと誤認される危険性をはらんでいるということ。
まあ、そもそも元ネタを知っていれば問題ないとは思うものの、なんとなく符に落ちません。
でも、今回この「事の次第」を見てすごく安心しました。
というのも、この作品の持つ魅力は全然「ピタゴラスイッチ」に回収されてなかったから。
「ピタゴラスイッチ」は、言わばこの作品を殺菌・脱臭したような印象。
どう考えてもこのままではNHK教育で流せるわけがない笑
それほど、洗練されてないし、汚いし、なんかえぐいし。
こういうどう仕様も無い感じが現代美術のひとつの魅力なんだと思う。
それにしてもこれ30分もあるのがすごい。この鈍い連続性は見ていて飽きなかった。
他の作品は相変わらず掴みどころのない作品ばかり。
中庭の音の作品はすごくよかった。これは新作。
僕が彼らの作品を見ていて思ったのが、正直古いな、という感覚でした。
実際は最も古い作品でも1979年。まだ30年ほどしか経ってない。
にも関わらず、この古いという感覚は何なんだろうと見ながら考えてました。
それは多分、彼らの作品を評する時に頻出する「日常」というキーワードにあるのではないでしょうか。
ポップアートはあくまで広告などの「もの」を対象にしていたのに対し、フィッシュリとヴァイスが切り取って見せたのは「こと」としての日常だと思います。
初期の頃からひたすら続けている粘土の作品なんかは日常を落とし込んだ典型。
クマとパンダの映像も、美術館を飛び出し街や自然へと飛び出します。
こうした日常への態度は、今や美術界にとって当たり前になってしまいました。
彼らを祖としながら、遥かな地平へ飛び立った多くのアーティストがいます。
例えばティルマンスの写真なんかは、フィッシュリたちの「ソーセージ・シリーズ」よりさらに日常に切り込んでいるし、田中功起さんなんかはその典型でしょうね。
どちらが優れているとかそういう話ではなく、単に彼らは既に歴史になった感があるんですよね。
在命作家にも関わらず、過去の人のような印象があったのはすごく悲しかった。
新作の音の作品に心が揺れたのがせめてもの救いでした。

図書館で「ゆずれない事」のDVDも観た。
そのまま「正しい方向」も観ようと思ったけど時間切れ。
ちゃっかりカタログも読んだりして、フィッシュリとヴァイスがようやく近くなった気がします。

テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

杉本博司「アートの起源 科学」@MIMOCA

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「時間の終わり」、「歴史の歴史」に続く杉本博司の展覧会プロジェクト第三弾。
「アートの起源」と題し、1年間丸亀現代美術館をジャックし開催される。
第一回のお題は「科学」。
エントランス階段脇に早速「観念の形」の彫刻と「放電場」のインスタレーション。
階段を上がると、アイザック・ニュートンの「光学」の書物が展示されていて、そこに記されているプリズムの仕組みを使ったポラロイドによる新作がずらーっと並べられている。
「偏光色」と名付けられたそれは、それぞれ鮮やかな色彩に満ちている。
いまいちプリズムとカメラの関係が掴めず戸惑ったけど、すごく美しい。
一枚一枚太いアクリルに収められていて、展示台も三角の美しいフォルム。
そもそもこの吹き抜けの展示室を企画展に使っているのを初めて見た。
いつもは猪熊弦一郎の常設展としてある場所なのに、さすが杉本博司。待遇が違う。
3階ではいつもの入り口ではなく、長い廊下からのアプローチ。
これがかなりいい動線を描いていて、さすがだと思った。
奥では「放電場」のスライド映像。これはどうかと思った。
展示室ではシドニー・ビエンナーレで見た雷神像と「放電場」のインスタレーション。
天井まで延びる木製の階段の上に雷神がいて、さらに奥に静電気を写した写真。
いつも開いてる天窓をすべて閉めて、雷神図の所だけを開けている。
個人的にはシドニーの時より全然こっちの方がいい。
奥には「ファラデーケージ」と名付けられた、電気を放電する鳥かごのような作品があった。
凄まじい音と共に紫の電気が放たれる。怖い。
あと、「放電場」を幔幕に染めたやつとかがあって、それは全然よくなかった。
というか、やはりこの作品は写真であることに意義があるんだと思う。
最初の映像とか幔幕とか、全然電気のフラクタルさが表現できてなくてただの模様にしか見えない。
個人的にはこの空気放電による方ではなく水中放電による方を見たかった。
それにしてもやはり杉本博司の展示構成はプロ中のプロ。
谷口吉生の建築をこれでもかと使いこなしている。
次回のテーマは「建築」。どう出てくるかこれも楽しみ。科学は来年2月20日まで。
しっかり年間パス2500円買っちゃいました。これで4回とも行けばかなり安い。
ショップには杉本博司が女島で見せた新境地、ダジャレシリーズの丸亀うちわが販売中。
ひとつ3万は詐欺やろ!!!

<関連記事>
Sydney Biennale 2010
杉本博司「光の自然」@IZU PHOTO MUSEUM
杉本博司「歴史の歴史」@国立国際美術館
杉本博司「歴史の歴史」@金沢21世紀美術館
杉本博司「時間の終わり」@森美術館


テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

イサム・ノグチ庭園美術館

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前から気になってたイサム・ノグチ庭園美術館に行ってきました。
この美術館は、なんと予約制。しかもメールではなく往復はがきでの受付。
さらに火・木・土の10時、13時、15時しか受け付けてません。
そんでもって入場料は2100円!なんて強気なんだ。
そんな逆境(?)にも負けず行ってきました。
場所は高松から琴平電鉄に乗って八栗駅から徒歩20分というこれまたとんでもないとこ。
ここは石の採石場があって、遠くに見える山が削り取られてるのがわかります。
石を使っていたノグチにとって制作にはうってつけの場所だったのでしょうか。

この日は土曜の10時。
こんな条件にも関わらず10人以上の人が集まってた。すごいなぁ。
受付を済ますと、ツアー形式でまずはアトリエへ。
このアトリエがまずすごい。
石垣で囲まれた広場に蔵のような建物が2件。
この囲みのことをノグチは「まる」と呼んでたんだとか。(まんまやん!)
その「まる」の中で数多くの作品を制作。
今公開してるアトリエには完成、未完成も含め100点以上が並んでいる。
奥の蔵は愛媛の酒蔵を移築してきたらしく、中はギャラリーになってる。
やはり0のような形の大作は、外の柳のせせらぐ音とともに静寂に包まれてとてもよかった。
あと石の種類も豊富で、一言で石と言っても色々あるんだなと絵画畑の僕は関心。
特に山形の「どろかぶり」という石はおもしろくて、切る面によって色やテクスチャーが違う。
これを生かした彫刻を何点か作ってました。
ちなみに完成品と未完成品の見分け方はサインのあるなしで決まるそうです。
あと、衝撃なのは、地元の石を使った作品は3点しかなかったこと!!
こんな採掘場に囲まれてるのに!謎です。
それにしても石で制作とか吐きそうになる。
重いし硬いしどうしたらいいのかわからない。
あと、石でやれることってほとんど限られてる気がする。
今石を使って現代性を表現するのってどういう方向性があるんだろうか。
素材ってものすごく難しいです。

続いてノグチの家とノグチの手がけたランドスケープ。
ていうか敷地どんだけ広いねん!
そのランドスケープがありえんくて、小山一個作ってはりました。
あと岩で出来た滝とかね。。。
もうこの辺からちょっと食傷気味。
家も岡山かどっかからこれまた移築してきたんだとか。
しかもここは、春と秋だけ過ごして、夏はイタリア、冬はNYで過ごしてたんだって。
セレブ!!!!
日本人とアメリカ人の間で葛藤したとかそんなこともうどうでもよくなる。
なんか、こんなもの見せつけられると余計遠い人になっちゃいました、ノグチさん。
というか元々そこまで好きじゃないんやけど、ちょっとこの場所見てみたかったんですよね。
まあ、見てみてよかったとは思うけど、、、。うーん。

ノグチ好きにはたまらない場所だと思います。機会があればどうぞ。
イサム・ノグチ庭園美術館website>>http://www.isamunoguchi.or.jp/

テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

豊島美術館 by 内藤礼+西沢立衛

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今思い出すだけで胸のざわめきが止まりません。
この豊島美術館は、この世界に存在する唯一無二の体験だと思います。
建築だとかアートだとかそういうことを飛び越えた「体験」。
そう言い表した方が自然だと思います。
風の音、雲の流れ、鳥のさえずり。
世界が一気に流れこんでくるあの感覚。
あの感動は何を書いても書ききれないと思う。
チケット売り場からスタートする長い小道。
瀬戸内海を眺めながらドキドキしながらあの建物に向かう。
入り口で靴を脱いで飛び込んできたあの感覚。
床からは水が溢れ、それが様々な形になって流れていく。まるで生き物のように。
それをただただ眺める。追いかける。ため息が出る。
何を言えばいいのかわからない。
ただ体験してほしい。そしてこの体験が日本でできることが嬉しい。
また行きたいです。
年内は芸術祭のパスで入れます。
感想にもなってなくてすいません。言葉にならないです。

あと豊島では前回見れなかった森万里子を鑑賞。
池に佇むトムナフーリ。
岩のイミテーション感がいややったけど、美しかったです。
ニュートリノの発生と共に発光する様が見たい。
夜になればもっと見やすくなるんやろうけど、今のところ16時まで。
ナイトツアーも今後検討中だとか。
でもあの険しい道を夜登るのは危険かも。。。
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それとこれまた前回食べれなかった島キッチンの島ランチ。美味!
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他に塩田さんの作品を再見。
今後も恒久作品として見せるかは検討中だとか。
恒久になれば塩田さんとしてはもう一度作り直したいらしい。
ここの受付は寒そう。。。
あとここへ行くシャトルバスが午前中しかないのは厳しい。
歩こうか迷ってたらバスの運転手さんが特別に連れてってくれた!
帰りは歩いたけど、家浦港まで30分ぐらいでした。

他に残ってる作品はボルタンスキーやカーディフなどがあります。
オラファーも恒久になると聞いてたけど残ってる作品群には入ってなかった。
詳しくはこちらでご確認ください。
島に行く前のフェリー乗り場でおばあちゃんに話しかけられた。
なんでも豊島は芸術祭中で直島より多くの人が訪れたんだって。
その顔が嬉しそうで、こっちまで嬉しくなった。
そしてまた来てくれてありがとうと言われた。
こちらこそ部外者を受け入れてくれてありがとうございます。
あの笑顔を見てたら、やっぱり芸術祭は続けて欲しいと思う。
もちろん問題はいっぱいあるんだろうけど。
これからあれらの島々がどうなっていくのか、楽しみです。
また絶対行くぞー!!!

<関連記事>
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直島 再々訪
内藤礼「すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」@神奈川近美鎌倉
内藤礼「母型」@ 発電所美術館
十和田市現代美術館
森山邸 by 西沢立衛

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テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

石上純也「建築のあたらしい大きさ」@豊田市美術館

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お手伝いもさせて頂いた石上純也展に行ってきました。
いやはやあの日々は地獄だった・・・。今では思い出です。こちら

さて、まずは2階の吹き抜けを使った「雲を積層する」から。
高さ5.5x幅7.6x奥行9.6mという巨大な構造体が居座っている。
その構造は、07mmという極細カーボンで支えられ、不織布によって7層に仕切られている。
何の支えもなくそよ風でも揺らぎそうなその塊。
こんな大きさにも関わらず重さは10kgしかないらしい・・・。
実はこれは石上さんが描く1/2500の模型で、人の大きさが蟻のようなサイズになり、それはまさに積乱雲のような様相を呈するとのこと。
この作品こそ僕が手伝った作品です。思い出いっぱい。
僕は最終日までいられなかったので、完成作品を初めて見ました。
でもやっぱ自分が関わってしまうと、作品を純粋に見れませんね。
なんかアラとかばっかり見ちゃって、ちょっと感動はできませんでした。。。
実際他のところは全く関わってなかったので、とても新鮮に見ることができました。
3階に上がる途中で担当学芸員の能勢さんにばったり。
ちゃんと覚えていてくださったのがうれしかったです。

お次はKAIT工房の模型とそれを実際使ってる人々の映像。
実際に新築として建ってる実作はこれのみなんですよね、石上さん。
その一作で日本建築学会賞とっちゃってるんだからスゴイ話。
これは305本もの柱がランダムにワンルーム内を森のように生えている建築。
それらをどう人々が使っているか。またどのように動いているのか。
なんだか心理学の実験を見ているような映像で、竣工後の建物に関しても実験を続けているよう。
模型に落ちる影がすごく美しかったです。

奥には「地平線を作る」という作品。
これも大学内のカフェテリアのプランの為の1/23模型。
藤棚のような植物の絡みあう屋根が延々と続き、途中に柱が一本もない。
もはやこのスケールで柱がないと、ほとんど大地と言える風景になる。
それにしても模型が細かい。。。
特に天井に絡みつく植物の切り取り作業を考えただけでもめまいがする。
廊下にはドローイングが展示されてたけど、会議室で黙々と描いてらっしゃる姿を思い出す。
1時間で10cmしか進まない!と嘆いてたっけ・・・。
これ考えると「雲を積層する」はまだマシだったかな・・・。

続いて「空に住む」。こちらは1/3000の模型群。
限りなく細いプロポーションを持つスカイスクレーパー。
中には4mを越すのもあって、x3000だから実際は12000m!!!
この模型がこれまた細かい・・・。
黒い人の模型をどうやって作ってるのかも想像がつかない。気が狂いそうだ。
さらに奥にはMotでも見せてた「little garden」。
細かいけど他のに比べるとまだまだマシな感じがあって安心感すらある。

そして最後に「雨を建てる」。
ヴェニスビエンナーレで金獅子賞を射止めた伝説の作品。
そしてヴェニスよろしくこちらも初日間際に崩壊。
ボランティアの子が誤って崩してしまったということだけど、正直自分がその子じゃなくて良かったと心底思う。その子は絶対確実に全く悪くないと思うけど、その子にとっては罪悪感極まりなかったと思う。誰も責めないけどそれが返ってプレッシャーみたいな。ホント罪な作品。
この作品のおもしろいのは、0.9mmx4mという極細柱がまっすぐ建っているということはもちろんだけど、それ以上に、なんだか見えないものまで見えてきそうなあの得も言われぬ感覚だと思う。
この作品は54本の柱が矩形の周りを囲むようにして建ってるのだけれど、最初真ん中にも柱があると思い込んでいて、目を凝らしてそれらの「あるはずのない柱」を探していた。
そのある/ないの境界をこの作品は見せているような気がする。
少し残念だったのが、ヴェニスの時のように横柱がなかったこと。
「雨」と題されていたので縦柱だけにしたのかもしれないけれど、やはり建築として物足りなかった。

とまあ、全体ではこんな感じです。
あらゆる点においてアンビシャスな計画ばかりだけれど、彼の凄さはそれを全く自然に見せていること。
例えば最後の「雨を建てる」なんかだったら、その建ってる様が如何に不思議かを示すために、床や壁を黒くして、もっとその白い線を強調することだってできたはず。
なのにそれをせずに、見えないものまで見せてくれるような建築を超えた何かを提示してくれていた。
また、妹島事務所出身のわりに、曲線がほとんど出てこない。
ほとんどが直線で出来た作品で、形に関してそこまで奇抜なことをしていない。
このさりげなさが彼のすごいところなんだと思う。
これらのプロジェクトは夢物語として一笑にふすことも可能。
だけれど、万博の時代にかつて我々が描いた未来のように、夢を描くことは決して無駄ではなく、それは大きな前進につながるということ。
かつてアーキグラムやフラーの描いた未来予想図は、未だに我々に大きな示唆を与え続けている。
それは彼らがおふざけや子供の遊びとしてではなく、全くもって真面目に取り組んでいたからだと思う。
今や、形にこだわるだけならば、ほとんどの建築が実現可能なレベルに達している。
それ故に、ザハやリベスキンドのような、かつて「アンビルト」と呼ばれた人たちの建築は今や実現可能になり、皮肉なことに彼らの建築の重要性はほとんど失われているように思う。
不可能であるからこそ可能性があるということ。
石上さんの建築を今見れるのは、とても有意義な事だと思う。
とても素晴らしい展覧会だと改めて思いました。

僕が行った日の前日にこの展覧会の図録が発売になりました。
この本に収録されている内容は、真に世界と向き合い続ける石上さんの姿を映しだしています。
また、青木淳さんの「なぜ、それを模型と呼ぶのか?」と題された文章は本当に素晴らしいです。
青木さんの文章力には本当に感動しますね。
ちょっと一部抜粋。

「建築の展覧会というのは、とてもむずかしい。
なぜなら、ぼくたち建築家の多くにとって、作品とはまずはできあがった建築のことだからだ。建築を土地から引きはがして展示の場にもってくることはできない。仮にそれができたとしても、建築というのは、その単体だけで成立しているのではなく、それをとりまく環境との応答を込みにしてできているので、そのまわりまで引きはがしてもってこなければならない、というのがほんとうのところ。でも、それはもっと無理な話。自分が作品と考えているそのものを、展示することはできない。展示できるのは模型や部分の再現や図面や、ともかく、それに付帯するもの、代用品ばかり。もちろん、資料展示と割り切ればいいのかもしれない。しかし、展覧会、とくに美術の場での展覧会は、アーティストたちが切実な思いでつくりあげた作品を展示する場のはず。そんな場に、そのもの自体が作品ではないものを展示することは失礼なこと。やっぱり、そのもの自体が作品であるものを展示しなければならない。しかも、美術館での展示会だからといって、建築としていつもやっていることではなく、なにか別のことをしようとは思わない。」

「すごく荒っぽい話だけれど、建築家は、造形を建築ととらえている人と、そこに孕む空気を建築ととらえている人とに二分できる。建築は、もちろん、物理的環境なので、形をもつし、素材ももつ。つまり、造形物だ。でも、その造形をネガとすれば、そこにポジとして孕んだ空気がある。ポジとネガはセットなので、どちらか一方だけというわけにはいかない。でも、見ているところの比重は、人によって違う。その比重によって、造形派と空気派に分かれる。やっぱり、荒っぽい話だ。
 でも、こんなことを言い出すのは、建築を造形としてとらえている人が大多数、と思うからだ。建築家がそういうだけでなく、一般の人もそう。たとえば、《テーブル》に戻れば、少なくともぼくが会って話した人では、その薄さにびっくりした、という人が圧倒的に多い。そういう人は、《テーブル》をモノとして見ている。つまり、造形として見ている。もちろん、それが孕むたゆたう世界に驚いたという人もいる。でも、そんなふうに空気として見る人は、数で言えば、やっぱり少ない。その比率は、《四角いふうせん》でも同じこと。巨大で重い立体が浮いているのに反応する人が造形派だとすれば、そのことによって生まれている隙間の世界に反応する人が空気派。やっぱり造形派の方が圧倒的に多い」

これらの青木さんの言葉は、建築を展覧会で見せることの大きなテーゼを描いている。
今のところ、展覧会として納得したものを見せられる建築家は石上さんしかいない。
それはやはり彼が真摯に建築としてやっていてこその結果だと思う。
模型だからといってそれを2次的なものとして決して捉えていない姿勢が伺える。
だからそれらが作品として成立し、観るものに様々な問いを発することができる。

また、最後の五十嵐さんの文章では石上さんのエピソードが織り込まれている。
青木さんのおっしゃってるように、彼の作品はモノを作ることで空間を作っている。
そのことに関して《四角いふうせん》や《テーブル》のエピソードなどが載ってる。
そしてこれまで建築用語では使われなかった「かわいい」という言葉が使われいること。
これは妹島さんから受け継いでいるらしい笑

いわゆる普通の展覧会図録とは少し違いますが、石上哲学を垣間見れるような本。必見です。
最後の謝辞のところに僕の名前も載せていただいてました。ありがたい。
26日の最終日には対談もあるようなので、まだの方は是非!
石上純也展「建築のあたらしい大きさ」(2010.09.18-12.26)

<関連記事>
石上純也展「建築はどこまで小さく、あるいは、どこまで大きくひろがっていくのだろうか?」@SHISEIDO GALLERY
KAIT工房 by 石上純也
SPACE FOR YOUR FUTURE @ 東京都現代美術館



テーマ : 建築デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

豊田市生涯学習センター逢妻交流館 by 妹島和世

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今年できたばかりの妹島さんの新作を見てきました。
新豊田駅から徒歩30分強・・・。なんとかならんかったのか・・・。
まあ、もう歩くのは慣れてるので1時間までならよしとします。
ここはお母さんたちの交流の場みたいなところ。
下には子供を遊ばせるところがあり、上は会議室、最上階は料理教室とかがあります。
中は撮れませんでしたが、見ての通り、妹島さんお得意の曲線です。
この建物の特徴はなんといっても各フロアのズレ。
こういうズレは今までなかった気がする。いい感じに気持ちが悪い。
上のトップライトは開いてるのかな?入れなかったのでわからなかったです。
ちなみにこれはオープンコンペで名前が伏せられて審査されましたが、蓋を開ければ妹島さんだったそうです。さすが!

そしてここからまた歩いて豊田市美術館へ続きます。。。


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熊野古道なかへち美術館 by SANAA
Novartis Campus 4 by SANAA
海の駅なおしま by SANAA

テーマ : 建築デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

「ハーブ&ドロシー」by佐々木芽生

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ついに先日関西で封切られた「ハーブ&ドロシー」を観てきました。
うーん、期待通り、素晴らしい映画。
というより、やはりこのモチーフとなるハーブとドロシーが素敵過ぎる。
彼らはNYを代表するコレクター。
コレクターというと大金持ちのイメージですが、彼らは違います。
夫のハーブは郵便局員、妻のドロシーは図書館司書という平均的な所得の中から膨大なアートを集めている。
生活費はドロシーの所得で賄い、ハーブの所得はすべてアートへつぎ込む。
40年間同じ1LDKのアパートに住み、細々としかし実に贅沢に暮らしています。
彼らの家は蒐集してきた作品で溢れていて、通り抜けるのも一苦労な状態。
そんな彼らにワシントン国立美術館から作品寄贈の依頼を受ける。
これまで他の美術館からも同様のオファーがあったが、様々な理由で断り続けてきた夫妻。
しかし「所蔵作品は永遠に売らない」「常設展は無料」というこの美術館になら、とオファーを快諾。
と、ここまではいいものの、実際家から出したらなんとトラック5台分にも及ぶ量!!
作品総数実に5000点近く・・・!!!
どうやってこんな1LDKのアパートに収まっていたんだ・・・。
さすがの美術館も容量オーバーで1000点のみワシントンが所蔵し、あとはアメリカ50州の50の美術館に50点ずつ分配するということに。(それでも3500点ですが・・・。)
その美術館たちが5年以内に50x50プロジェクトと題して「ヴォーゲルコレクション展」を開催。
佐々木監督はこの続編として50x50プロジェクトを追っているそうです。楽しみ。
というか、この映画を日本人が撮ってたのがびっくり。
佐々木さんは元々日本のテレビ局で番組制作に携わってた方で2002年に渡米し、この作品が初監督作品。
映画作りも初めてで、現代美術もよくわからない、さらに外国。
よくもこれだけのものを撮れたと思います。
資金繰りの苦労などたくさんあったようですが、全米でのヒット、さらに日本での公開まで漕ぎ着けたそのエネルギーに脱帽。
それもやはりこの夫妻の魅力があってのことなんでしょうね。

彼らのコレクションはこの何十年のアメリカ美術史を網羅している。
ソル・ルウィットやチャック・クロース、クリスト&ジャンヌ=クロードまで!
家に入ることと、無理なく買えることという条件さえ整えばガンガン買っていきます。
時には作家のアトリエまで訪ねていって、直に買ってたりして。
作家の作品の変遷をちゃんと追った上でどの作品が重要かを的確に判断します。
彼らのすごいのは、作品だけで事足らず、床に落ちてるスケッチとかまで買ってっちゃうこと。
現金で支払、そのままそれを持って地下鉄やタクシーで帰っていく。
中にはルウィットの指示書で風呂場にドロシーが描いたドローイングなんてものもあります。
見た目に乏しいコンセプチュアル・アートやミニマル・アートを蒐集していたのがすごい。
家に飾るだけの目的なら、もっと華やかな物が欲しくなるような気がするけど。
実際リチャード・タトルの紐の切れ端みたいなものまでコレクションしてる・・・。
「コレクション」のテーマをしっかりと決めているところが素晴らしい。
好きなものだけ買っていたら、ここまでのコレクションになってなかったと思います。
実際ハーブも「理解出来ないけど買ってしまうんだ」と言ってましたね。
「美人は3日で飽きる」というやつでしょうか・・・。
小山登美夫さんの本だったかで、作品を買うなら少し嫌だなとか理解出来ないと思うものを買った方がいいとか書いてあった気がする。
確かに日常にそれがあることで、少しずつ分かりあえてくるのかもしれません。
ドロシー曰く「一緒に暮らせば分かります。初めは好きになれなくても次第に愛着がわくんです」とのこと。
しかし、嫌いと思ってるものにお金を出すことって中々できることじゃありません・・・。
それもこれも彼らの審美眼なしには難しいでしょう。
いいと思ったら即購入。驚くほど迷いがありません。
映画の中で、彼らのペット好きな一面も見えて、誰かが「コレクターには動物好きが多い」というホンマかいな的発言がありましたが、実際ペットを見る目と作品を見る目が似ている。
慈愛というべき愛情に満ちた目。
というかネコとか作品引っ掻かないんかしら・・・。

とまあ、彼らのすごい点を挙げていくと本当にキリがありません。
作品への愛が映画からほとばしってました。
5000点近くもあるのに、一点一点ちゃんと覚えていて説明してくれる。
今や数点売ればもっと豪華な生活ができるのに、生涯で一作も売ったことがない。
こんな人達が本当に存在するのか、と夢物語でも見ている気分。
コレクターには色んなタイプの人がいますが、志を持ったコレクターに作品を買ってもらうことほど作家にとって幸せなことはありません。
こういうコレクターが世界にたくさんいてくれたらいいな、と思います。
彼らとすごく被るなぁと思うのが田中恒子さん。
関西のアート関係者で知らない人はもはやいないでしょう。
彼女も熱狂的なコレクターで、様々なオープニングでおみかけします。
そして昨年和歌山の美術館に作品を寄贈されました。
まさに日本の「ハーブ&ドロシー」!
田中恒子コレクション展@和歌山県立近代美術館

あとこの映画を見ていて、2人がNYにこだわって住んでるのも印象的でした。
こんな生活なので、旅行に行くこともない2人。
ほとんどNYを出ることはありません。
それでもやはりそこは世界の中心で、自分たちが行かなくても世界から集まってくる街。
アートもここに住んでいれば、世界の動向がすぐわかるというわけ。
その意味でもクリストとジャンヌのThe Gateは2人への最高のプレゼントになったのかも。
映画の中でまだ生きてるジャンヌの証言も印象的でしたね。

明日のとくダネではこの映画の特集が組まれてるそうです。
是非チェックしましょう。

テーマ : 映像・アニメーション
ジャンル : 学問・文化・芸術

assistant「すなわち、言いかえれば」@radlab.

金曜から始まったradの新しい展覧会に行ってきました。
その3日前までフランス人のneloboの展覧会をやってたのに、精力的すぎます。
assistantは松山慈さんと有山宙さんが学生時代に組んだユニット。
事務所に松山さんがいらっしゃったので少しお話しましたが、松山さんはロンドンのバートレットで修士を取得し、2005年に帰ってきたのだそう。
そんな2人のこれまでを振り返る、言わば回顧展。
ただし、普通に過去のプロジェクトを展示するような単純なものではありません。
会場の壁にははがきサイズの紙がいくつもかかっていて、ひとつひとつに言葉が書かれています。
その中から自分の好きな言葉を選ぶことができます。
選んだ紙を「司書」に渡すと、司書はバックヤードからそれに対応する作品を持ってきてくれます。
この壁を「開架」とし、バックヤードを「閉架」とする記憶の図書館。
作品はドキュメントから本、模型、DVDまで様々。
言葉はその作品の断片というわけ。
一人3枚まで閲覧可能です。
壁にいくつもの紙がかけられているのも美しくて、言葉を選ぶのも新鮮。
さらに貸し出しも行っていて300円を払えば封筒と切手を渡してもらえます。
直接持っていけば300円は返ってくるそう。
貸し出し期間は一週間で、その言葉と自分に当てはまるものを一緒に入れて返すシステム。
まるで歌の返歌のような趣。
展覧会を持って帰れるというのはとても素敵です。
僕も一枚レンタルしました。何を返そうかな。
ちなみに出てくるプロジェクトもおもしろいものばかり。
何が出るかは開けてのお楽しみ。
何回か行って閲覧するのもありです。
radらしいとても気持ちのいい展覧会でした。

rep.06|assistant / すなわち、言いかえれば
期間:2010.12.10 - 2011.1.16
時間:木曜日 - 日曜日 13:00 - 20:00
※2010.12.26 - 2011.1.5は休みです
主催:rep- radlab. exhibition project
会場:radlab. (京都市中京区恵比須町531-13-3F)
アクセス:京都市バス停「河原町三条」徒歩5分、京阪電鉄「三条」駅徒歩10 分



他に行った展覧会。行った順。

ヤマガミユキヒロ「Sampling Your Memory」@Gallery PARC
洋画の先輩。
三条に出来た新しいギャラリーでの展覧会。
一階がオシャレカフェなので、ものすごく入りづらかった笑
この春東京のneutronで見せた銀座の風景の絵に映像を投射した作品が見れた。
投射されてる時とされてない時のズレの気持ち悪さがよかった。
新作の都市の光の写真作品なども展示されてます。12月26日まで。
この次の展示はなんと山岡さんらしい!これも観に行かねば。

杉山卓郎「PLUS "MASS"」@YOD Gallery
まるでコンピューター上で編集したような絵画。
作品はとても美しく、それはそれでいいのだが、少し意固地になってる気がした。

田口行弘「ABOUT」@PINEBROOKLYN
あるYoginiの日常で紹介されたので行ってみたが仰る通りすごかった。
ビルまるまる一個使っての過去5年間の展示。
というかこんな場所があるなんて完全に知らなかった・・・。
そもそもはレンタルスペースらしいけど、元々は多分家。
玄関とか普通にあったし。すごい広いおうちですが。
田口さん自身の作品は初見でしたが、こういうものと映像の作家が多すぎて、もはや誰が誰かわからない。田中功起以降、泉太郎、島袋道浩、あと誰かおったけど忘れた。。。ちょっと混乱気味。
田口さんの作品は、泉さんのようなアナログ感がなくて少し物足りなかった。
映像のリミックスといった感じ。
個人的には、入り口の砂浜の作品が好きやった。離れた場所に立つ2人の間を行ったり来たりして伝言を伝える田口さん。こういうバカなの好きです笑
あと会場内で映像同士の音が干渉しあう様がおもしろかったな。
会場には田口さん本人がいらっしゃったけど、イマイチ話しかけられませんでした。
展示は昨日まででした。昨日はクロージングパーティがあったそう。
屋上は芝生になっててパーティにはもってこいな感じでした。すごい場所だ。
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伊東宣明「回想の遺体」@立体ギャラリー射手座
死をテーマに扱う伊東さんの展示。
この一年半葬儀屋で働きながら、出会ってきた死体の記憶を語るサウンドインスタレーション。
会場にはいくつものスピーカーが床に散らばってて、そこから声が流れる。
直前にターナー賞でスーザン・フィリップスの作品を見ていたからか、なんだか、もっと要素削ってもよかったのにな、と思った。スピーカーが視覚的すぎる気がした。
あと、イマイチ彼が何故そこまで死に興味を抱くのかが理解できなかった。12月12日まで。

川北ゆう・山元彩香「絵の彼方」@ギャラリーフロール
同級生。精華大での展示。
川北はINAXの作品を壁掛けにして展示していた。
やはり床置の時に比べると、スケールが失われていた感があった。
壁掛けは「流れてる」という印象だが、床置は「溢れてる」という印象。
アクリルの作品はとてもおもしろかった。写真のような像。とても不思議。
山元はエストニアで撮った写真作品。
彼女の作品に映るポートレートの人々は、どれも不思議な表情をしている。
笑うでもなく、悲しそうでもない。
言葉も通じない中でよくこれだけ撮ったものだと思う。
そのディスコミュニケーションという形のコミュニケーションが写真に焼き付いている。
今回の展覧会の目玉は多分2人のコラボレーションとも言える展示。
山元の写真に対して川北が作品を作り、さらに山元が作品を写真に撮る。
2つの個性が切磋琢磨し合う血の通った展示が成立していた。
山元が川北の作品に宛てたテキストがものすごくよかった。
これも昨日で終わってしまった。

テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

下平千夏「IMPLOSION POINT」@INAXギャラリー2

今年8度目の上京に行ってきました。今度こそファイナル。
10月から一気に5回も行ってしまった・・・。はう。
前回と今回で行った展示をざっとまとめます。
とりあえず行った順に羅列。

池田亮司@GALLERY KOYANAGI
青山悟@ギャラリーαM
下平千夏@NAXギャラリー2
アイ・ウェイウェイ@MISA SHIN GALLERY
伊庭靖子@MA2 GALLERY
青田真也@青山|目黒

で、最も良かったのは、INAXの下平さん。
この中では結構ダントツ。
そもそもDMの時点ですごい!ってなってたんやけど、実物見てびっくり。
輪ゴムが放射状に張られていて、さらに奥でねじれているインスタレーション。
写真で見た時は何か特別な大きな輪ゴム使ってはるんやと思ってたら、普通の輪ゴムを鎖のようにつないでいって作っている。どうやるんか実物見ても想像つかない。
相当な張力なはずだけど、展示どうやったんかすごく気になります。
会場にはゴムの匂いが漂ってました。
ポートフォリオ見てたら他にもスケールのある仕事しててとても面白かった。
同い年ってのもすごい!なんか嬉しい。
ここでいくつか作品見れます。
同じく、同学年の青田くんの展示もスマートでよかったです。
表面をひたすら削ることで朧気な彫刻を作ります。
これからどう展開していくのかが鍵になりそう。
お菓子のパッケージを削ったやつが結構好きでした。
MA2の伊庭さんもよかった。赤い作品が印象的。

逆に期待してたのにそこまで感動できなかったのは青山さんの展示。
二科展会員のお祖父様とのコラボのような展覧会。
作品うんぬんより、そのキュレーションがちょっと強すぎるように感じました。
青山さんの作品って、個人的にいつもどこか一歩入っていけない。
それはやっぱり技術があまりに出過ぎていて、しかもその技術がどこまですごいのか(或いは巷にあるクラフトとの違いとか)が計り知れない。
展示の仕方はかっこよかったです。
池田さんの展示はやはりMOT観てちゃね・・・って感じ。
こないだのオラファーと近い感覚。
アイ・ウェイウェイはやっぱり苦手。
それよかこの新しいギャラリーがどんな場所か見てみたかったというのが行った理由。
アートフェア東京のエグゼクティブ・ディレクターも務める辛美沙がオープン。
鉄工所を改修したような場所。
白金は他にも児玉やらありますが、あまり惹かれるエリアではない。

ちなみに白金→恵比寿→中目黒まで歩いたけど坂で死にました。。。
遠くないくせに電車のアクセス悪かったので行けるかと思ったんですが坂は計算外。
まあ、歩きましたが。

次回は2月!

テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

Turner Prize winner 2010



もう僕が言う必要もないと思うけど、やっぱり毎年恒例。
今年もターナー賞が発表されました。
ミウッチャ・プラダのイタリア訛り全開のアナウンスでスーザン・フィリップスの名前が読み上げられたのは現地時間の昨夜のこと(日本時間の朝方?)。
受賞者発表の瞬間はやはりいいですね。

今年の受賞者スーザンの作品はなんと音のみ。
会場には3台のスピーカーと長椅子が置かれているだけというもの。
スピーカーから流れるのは「Lowlands Away」という16世紀のスコットランドバラード。
アカペラで彼女自身が歌っています。
この潔さは2001年のマーティン・クリード以来かも。
オリジナルの作品はグラスゴーのクライド川の橋の下で流されていたそうです。
視覚芸術である美術からはかけ離れているとは思いますが、やはり美の概念は刻々と変化するもの。
今回訪れた観客の中でもほとんどの人がこの作品がターナー賞まちがいなしと見ていたようです。
僕も下の動画でちらっと観ましたが、確かに頭1つ出てる気がします。
他のは「アートの為のアート」と言った感じがしてうんざり。
スーザンの作品において、「なぜ音が美術館に展示される必要があるのか?」と問う人もいるでしょう。
では、今の時代に真剣に音と対峙することがあるでしょうか?
もちろんコンサート等で音と向きあう瞬間はあると思います。しかしそこではパフォーマンスという視覚要素もとても重要だということは間違いない事実でしょう。
こうして純粋に音とだけ向きあう瞬間って意外にないのかも。
だとすると、美術館は、何かに向き合うという点でぴったりな場所だと思います。
またイヤホンで聞かないというのは、他の雑音も入ってくるということです。
人の話し声、空気の音、川が流れる音、鳥の囀る音、電車が通る音。
様々な日常の音もいつもより敏感に聞こえてくるのではないでしょうか。
このような繊細で丁寧な作品に賞が与えられたのは個人的にとても嬉しい。
やはりターナー賞は世界が誇る素晴らしい賞です。
特に2001年のマーティン・クリードから、90年代の刺激の強い作品が席巻する賞からシフトチェンジしてきたように思います。
あのまま刺激だけを追い求めていたら、多分ここまでの賞になってなかったでしょう。
途中迷走期に入りそうな時期もありましたが、昨年のリチャード・ライトといい、今回のスーザン・フィリップスといい、賞の質がより成熟している気がします。
来年のターナー賞も実に楽しみです。











ちなみに彼女の作品はミュンスター彫刻プロジェクトで体験済み。
橋の下で流される彼女の歌が川を挟んで出会うというもの。
これのどこが彫刻?と思いましたが、よく覚えています。
来年水戸芸術館で彼女の作品に出会える機会があるみたいです。
この展覧会には僕が観たいと想い続けている土屋信子さんも出ている!!!
ついに出会えるのかー。楽しみすぎる。
あと木村友紀さんもIZUは行けなさそうなのでこっちで観ます。
キュレーターは高橋瑞木さん。さすがです。
「クワイエット・アテンションズ 彼女からの出発」(2011.02.12-05.08)

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Turner Prize winner 2007
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Turner Prize winner 2006
Turner Prize 2006
TURNER PRIZE:A RETROSPECTIVE @ TATE BRITAIN
英国美術の現在史:ターナー賞の歩み展@森美術館

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テーマ : アート
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ハンス・ウルリッヒ・オブリスト|インタビューVolume1[上]

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アートシーンで最も影響力のある人物の一人ハンス・ウルリッヒ・オブリスト。
現在サーペンタインギャラリーのディレクターを務めながら、世界中を飛び回ってます。
そんな彼のライフワークとも言えるのがインタビュー。
アーティストをはじめ、建築家、哲学者、科学者、文学者、等々
あらゆるジャンルを飛び越えて、これまで数百にも及ぶインタビューを繰り返してきました。
今年の妹島さんがディレクションしたヴェニス建築ビエンナーレでも出品作家の一人としてオブリストの名があり、彼のインタビューが「展示」されていたそうです。
その中から30本のインタビューがこの本に収められています。
マリーナ・アブラモヴィッチ、ダニエル・ビュレン、オラファー・エリアソン、ギルバート&ジョージ、ドミニク・ゴンザレス=フォルステル、フェリックス・ゴンザレス=トレス、スチュアート・ホール、カールステン・ヘラー、ガブリエル・オロスコ、ローレンス・ウェイナー等々!!
この本自体は海外で2003年に発売されたものですが、今回なんと日本語になって登場!
Twitterで田中功起さんが紹介してて即買しました。
何気にTwitter重宝してるかもしれません笑
タイトルに[上]と付いているように、これは本書の半分しか収められていません。
この本の中にまだ収められてない名前としては、ヴィト・アコンチ、マシュー・バーニー、クリスチャン・ボルタンスキー、ダグラス・ゴードン、ダン・グラハム、オノ・ヨーコ、ロニ・ホーン、ゲルハルト・リヒター、ピピロッティ・リスト、ミケランジェロ・ピストレット、磯崎新、伊東豊雄、妹島和世、レム・コールハース、ザハ・ハディド等々!
まだまだ豪華メンバーが残ってる[下]が待ち遠しいです・・・。
そもそも一人ずつのインタビューを収めたConversation Series(以下CS)という本が20冊ほど既に出てて、少しずつ集めようと思ってたのですが、これはその導入編にぴったりですね。
ここにはそのインタビューからの抜粋なので、それでさらに知りたければCSを買えばいいんですね。とりあえず今はオラファーとレムの2冊を持ってます。
ちなみにCSは英語版のみです。レムとザハに関しては日本語の本が出てます。


それにしてもこの本。この本自体の美しさにまず目が奪われます。
数ページごとに紙質が違うんです。2枚目の写真でわかりますかね?
捲っていった時に手触りが変わるんです。
こういうのはやはり電子書籍では味わえない本の良さですよね。
表紙もシンプルでかっこいい。辞書のような趣です。
それもそのはず。これはJay Chung & Q Takeki Maedaという作家のアートピースでもあるのです!
日本語にも関わらず海外でも販売されているらしく、単純にオブジェとしての扱い。
これだけの内容を丁寧に訳すだけで根気強い作業だと思います。
よほどの情熱じゃないと無理です。やっぱそれが作品となると懸けれる力は違うものなんですかね。
是非下も諦めずに制作してほしいです・・・。
ちなみに今amazonでは入荷待ち状態。
アート関係者は是非手に入れてほしい。これで5140円は安すぎる。
インタビュー自体最新でも2003年のものですが、そこから浮かび上がってくる歴史はすごい。
人が歴史をつないでいく様がこのインタビューたちを通してよく見えます。
フライ・オットーやコンスタントのような人々のインタビューは凄まじく、コルビュジエやモンドリアン、デュシャンやジョン・ケージ、レヴィ・ストロースやフーコーのような人々が伝説上の生き物ではないことがわかる。
実際すでに亡くなってる人のインタビューもある。
特にフェリックス・ゴンザレス=トレスのインタビューは読んでいて新鮮。
この人が如何にアートに革命をもたらしたかがわかる。
トレスが活躍した90年代という時代も垣間見れるのもこの本の特徴。
90年代はまだ歴史になりきれてない歴史。
70年代80年代の話はよく聞くものの、90年代というとあまりピンとこない。
イギリスのYBAぐらいしかわからず、他はどうなっていたのか。
まさにそれらの時代の証言も収録されているのがこの本の魅力でもあります。
そしてなにより、オブリストの博識ぶりは驚嘆するばかり。
人に何かを聞くにはある程度その分野のことについてわかっていないと不可能。
アートから言語学、宗教学、哲学まで。
一体どういう頭をしてるんだろうか・・・。

以下は本から気になった箇所を抜粋。
一応追記で読みたい人だけどうぞ。

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