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UBEビエンナーレ'09@ときわ公園等


山口県宇部市。ユニクロの発祥の地に行ってきました。
目的はユニクロの工場見学、ではなく、第23回UBEビエンナーレ。
皆さんこのビエンナーレをご存知でしたか?
第23回という数字を見てもわかるようにもの凄く伝統があります。
単純計算23x2で46年もの歴史!(実際1961年スタートで48年!)
これはビエンナーレとしては世界でもヴェニス、サンパウロに次ぐ長さ。
そしてこのビエンナーレは野外彫刻のみの作品公募展。
野外彫刻のアートイベントとしてもミュンスターを超えてます。
それなのに僕は正直全く知りませんでした・・・。
ってか、多分多くの人が知らないと思います。
では何故そんなビエンナーレの為にはるばる山口まで足を延ばしたか。
それは一重に僕の作品が出てるからです。
正確には建築家の中畑さんとのコラボで、しかも模型入選なので実作ではないです。展示されてるのは模型のみ。
といっても、当時大阪ー東京間でやりとりしながら作ってたので、模型は(というかほとんど)中畑さんに任せっきりになってしまい、結局発送まで模型を見ぬまま終わってしまいました。
ということで僕も初めて見るんです、その模型。なんて体たらく!
そんなこんなで行ってきたんであります。

それにしても驚くはその作品の多さ。
ときわ公園という広大な公園があって、その中に過去の作品が点在している。
毎年何点かが宇部市に買い上げられて半永久設置されるわけです。
それだけでも40点近くありました。とてもじゃないけど見切れません。
いくつか過去の作品をご紹介。

土谷武「門V-a」(1963)(第1回宇部市長賞)

上についてる透明な羽が風で動く作品。
第1回ですか。すごい歴史。全体的にこういう風で動く作品が多いですね。

剣持和夫「宇奈月」(1993)(第15回神戸須磨離宮公園賞)

この作品は作品と言われなかったら普通気づきません。
めちゃくちゃさりげない。それがイイ!
ブロンズで出来た一本の枝。それが天に向かって延びてます。
にしても「須磨離宮公園」とは。あの「もの派」の伝説的な関根信夫の「位相-大地」が生まれた場所です。かつてもそこでは野外彫刻展があったんですね。
多分その辺に深く関わった中沢裕介さんがこの宇部ビエンナーレの審査委員長を務めてる関係もあっての賞なんでしょうか。

河口龍夫「関係-無関係・天と地と種子の響き」(2003)(第20回兵庫県立美術館賞)

河口さんも出してるんですね。しかもこんな最近!
まあ、相変わらず僕にはよくわからないんですが。。。
この賞も現館長である中沢さん関連に違いないですね。
一昨年兵庫県美でやってた河口龍夫展はここが発端とか?まさかね。

土屋公雄「底流」(1991)(第14回大賞)

これには凄まじい衝撃を受けました。
だって、元々あった橋桁そのまま持ってきちゃってるんやもん!!
フジツボのつき方とか人間業では出来ません。かっこよすぎやろー。そりゃ大賞や。
土屋さんの作品はこれまでもかっこいいと思ってたけどここまでとは。
新潟で今やってる作品とか見てみたいけど無理。。。恒久設置にならんかな。
公園内で最もかっこいい作品だと思う。


と、まず過去の作品を取り上げてみました。
で、今回のビエンナーレ。
公園内にあるときわミュージアムの前の広場に入選作20作が展示されてます。
この中からいくつかが半永久設置になるわけです。
そして大賞は。。。正直なんで?って作品。写真すら撮ってません。残念。
僕が一番好きやったのがクリストフ・ロスナーの「public protective room」。



杉で組まれた作品で美しかった。
そこから見た景色もいい。前のときわ湖が垣間みれます。
この作品は何の賞にもかすってなかったです。。。なんでやー。

そして僕らの模型が飾られてるときわミュージアム。
で、僕らの作品がこれ。

じ、地味・・・汗
でもね、これ中がすごいんですよ。
360度のスリットを確保するために、中が凸凹になってて、その凹凸で支えてるんです。覗いたらその凹凸が不思議なランドスケープを形成してるんですが模型じゃわかりにくいんですよねー。スリット極細やし笑
でもその凹凸ちゃんと模型でも表現されてて実はものすごいんです。
まあ、この地味さが最大の問題だったんですが、それでもここまで残してくれたってことは、やっぱ見てくれてるんですね。
今回現地に初めて行ってみて、このスリット越しに前の湖とか見たら綺麗やったろうなーと思いました。やっぱ現地に行かなきゃわからないことってありますね。
いつか山の上とかに作ってみたいです。
プレゼンにはそのスリット越しの景色とか言及してなかったですからね。
またいつか再チャレンジしたいものです。

さて、正直そこまで期待してなかったんですが結構楽しめました。
ミュンスターのように過去の作品も置いてるのがすごくよくて、ちょっとした野外彫刻史みたいなものが一望できて、中々ない機会だと思います。
次で50周年だそうで、こういうのはずっと続けてほしいですね。
にしても広報が下手すぎじゃないかな。もっと取り上げられてもいいのに。
山口。確かに遠いですが、1度ぐらい観に行く価値はあると思います。
ちなみに、審査員も相当豪華で、中沢裕介さんを筆頭に今回は川俣正氏や、建築家の隈研吾氏といった面々が揃ってて、それで出したってのもあるんですよね。
そして驚くべきはその予算。一作に対する制作費が130万で、現地制作者に対しては宿泊費なども考慮されて、さらに大賞には500万、他にも賞がいくつかあって、このご時世にその予算は一体どこから来てるんやろ・・・。
まあ、この公園自体ありえない広さで、しかも入場料無料という出血大サービスなんですが、金の循環が謎過ぎます。あえて触れずにいきましょう。
広過ぎて全部は見きれてませんが、中々楽しかったです。
今回の展示は11月15日までですが、残るものもあるので機会があれば是非。

UBEビエンナーレ>>http://ube-museum.jp/ube_biennale_top.html

関連記事>>skulptur projekte munster 07
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テーマ : アート
ジャンル : 学問・文化・芸術

笹倉洋平「ツタフ」@neutron

火曜日から始まった笹倉さんの展示を見にneutronへ。
neutron久々過ぎやな。。。
行く前に笹倉さんがいるかどうか電話したらその日はいないとのこと。
そしてなんと「自信あり」宣言発令!
ハードルを自ら上げるとは・・・笑
ということで大いなる期待を胸にneutronへ。

京都のneutronの展示室は正直やりにくいと思う。
最も大きな要因はカフェが隣接されているということ。
そして、そのカフェとギャラリーを区切るのは大きなガラス扉のみ。
カフェからもギャラリーが見られるようにということなんだけど、その開放感をどの程度まで許容するかによって、展示の印象ががらりと変わってくる。
今回の笹倉さんの展示は、neutronで僕が見た展示の中でも一番よかったと言えるかもしれない。(といっても言う程多くは見てないんですが・・・汗)
このギャラリーの要素を全て肯定した結果が今回の新作「ツタフ」だと思う。
状態としては、笹倉さんお得意の長い紙がギャラリーの両端を緩いカーブで結んでいる。
紙は元立誠小学校から登場したトレーシングペーパー。
そして線はペンではなく鉛筆で描かれている。
線自体はこれまでの「つたふ」と同様線の膨大な集積によって紙が覆われる様が見ていてなんとも異様というか痛快というか、この感覚は例えようがない。前回の立誠では線の量が散漫で少し物足りなさを感じたが、今回またあの膨大な線の集積が復活していて満足。
そして今回鉛筆で描かれているというのがミソで、線も自ずと柔らかくなり、カーボンの光沢がたまらなく美しい。
作品越しにカフェを覗くと、カフェの照明が作品に反射してこれまた美しいです。本人曰くこれは思い出の神戸の海の夕焼けなんだとか笑 わざわざスタッフさんが教えてくれました。
そんでもってトレーシングペーパーに描かれ空中に垂らされることによって、裏側からも線を楽しむことが出来る。
そして今回の一番の魅力はなんといっても、その紙がエアコンの空気流によって、ゆるやかな波のようにたゆたう様!これは本当に見ていて美しい。このギャラリーでこの空気の流れを利用した作品初めて見た。
これは先ほどから何度も出ている立誠の階段の頭上を雲のように垂らした展示で気づいた要素らしく、今回もneutronでやってみようと思ったら、思った以上の効果を上げたんだとか。
この動きが本当に優雅でいつまで見てても飽きない。
明らかに一歩踏み越えた展示でした。11月8日まで。是非!
11月18日からは東京のneutronでも展示が始まります。こちらも行けたら行きます。
neutron>>http://www.neutron-kyoto.com/
neutron tokyo>>http://www.neutron-tokyo.com/
やー、感動しすぎて見終わった直後に本人に電話してしまった。。。また飲みましょう!

<関連記事>
笹倉洋平「音が鳴り、線が走り、」@旧立誠小学校
笹倉洋平展「ツタフ」@PANTALOON
笹倉洋平@GALLERYはねうさぎ


Real Life Sensibility @ 京都芸術センター
この展覧会は「ベテランと若手作家が出会う」と題して、これまで若手作家のみを紹介する「incubation」展の新展開らしく、若手作家とベテラン作家の展示を同時に行うという試みです。
若手の方は元立誠小学校で笹倉さんと同じ展覧会に参加してた碓井ゆいさん。
ベテランは国立新のオープニング展にも出品されていた高柳恵理さん。
まずはギャラリー南の碓井さんの展示。
この展示は本当にすごいと思います。入ったらまずドキッとしますから。
前回の立誠の時も思いましたが、場の空気を見事に変えてしまうんですよね。
今回も木のパネルがギャラリーの壁全体を覆い尽くしていて、そのパネルにはシールが貼ったり剥がされたりしている。
子供の時に家のあちらこちらにシールを貼って、それが段々剥がれていくそんな懐かしい風景がギャラリー中に渦巻いてました。
それにしてもなんだか変で、よく見ると横の列はすべて同じシールが貼られている。
配置は違えど、その奇妙な反復が懐かしさとの断絶を余儀なくさせる。
ただのノスタルジックな作品では片付けられない異様さがこの展示にはある。
んー、完全にやられました。
また、2階の談話室にも展示されてて、それは立誠の時の破壊された木のパネルに壁紙のような模様が描かれているのが天井にくっついているインスタレーション。
表面のイメージはかわいいのに、その持ってる雰囲気の異様さがすごい。
高柳さんの方はちょっとどう捉えていいのかわかりませんでした。
見ていてものがものである臨界点のようなものを感じましたが、すごくそっけなさすぎて、戸惑いました。高柳さんの展示はギャラリー北を始め、センター内に散らばっていて、まさに風景と溶け合うようにしてある。
初めて上の茶室みたいなところにも行きました。展示というかの部屋気になる。
こちらは11月23日まで。


苅谷昌江「A room is getting ruined」@antennaAAS
碓井さんと同じアトリエでやってた苅谷さんの展示。
antennaAASはアーティストのantennaが独自にやってるアーティストランスペース。
僕らstudio90と同じ時期に始めたのに、こっちは凄い勢いで展覧会を企画していて凄いと思う。どういう運営してるんやろ・・・。
で、今回僕が最近ハマっている苅谷さんの作品を見に行ってきました。
オープニング以来だったので迷いそうになりつつなんとか到着。桂駅から10分ぐらい。
前の水木塁さんの展示も見たかったのだけど行けませんでした。
今回ライブペインティングをしているとのことやったんだけど、行ったら何もやってないどころか人っ子一人いませんでしたが。。。まあええけど。
会場は工場の2階を改装したスペースで、360度の壁に苅谷さんの作品が展示されている。なんと窓にも直接描かれている徹底ぶり。
画面はすべて青。
展示されている紙は、不思議な矩形をしていて、パースがかかっているんだけど、絵の中のパースは全くと言っていいほどかかっていない。
絵の内容は誰もいない教室(?) 椅子と机だけが積まれた風景。
苅谷さんの絵はいつも「予感」のようなものを感じるんだけど、今回はこの部屋の中がその「予感」で満たされていてドキドキしました。
何かが起こりそうなそんな予感。嵐が来る前の感じに近いかも知れない。
でも結局具体的には何も起こらないんやけど、その寸止めな感じがたまらない。
この展示は11月8日まで。オープンは土日祝のみなんでご注意を。


平田オリザ「東京ノート」@国立国際美術館
珍しく演劇の記事です。どこに書けばいいかわからないんでここに。
11月も何個か観に行く予定なんで折に触れて紹介します。
で、平田さんの「東京ノート」。土曜のバイトが早く上がれたんでチャリ飛ばして行ったらなんとか間に合いました。
内容は、ヨーロッパ戦争が始まって、それに伴いヨーロッパ中の絵画や彫刻が日本に保存の為に来日した美術館で訪れている人々にスポットを当てた作品。
描かれている舞台と実際の舞台が同じというのが最大のポイントで、これが中々おもしろい演出効果を生んでて、見ていて虚実が曖昧になる感覚がありました。
例えば観客はセットを横切って仮設の客席に向かうんやけど、開演時間になって、やってきた人がいて、あ、遅れてきたんかなと思ったらそれは俳優さんでいきなり舞台が始まっちゃう感じとか、実際の階段から降りて出てきたり上で声がしたり、本当に普段の美術館と変わらない様がおもしろかったです。
また、「one of them」である観客が、実際は一人一人にストーリーを抱えていて、皆悩みや問題を抱えながらもやってきてるっていうのがこの作品には丁寧に描かれています。
とまあ、観に行ってよかったと思えるんですが、いかんせん、僕はこういう具体的なシナリオのある舞台は向かないな、と思いました。多分僕が求めてるのは、コンテンポラリーダンスとかああいうシナリオの見えないショーの方のようです。
まあ、これからいくつか見て行くことで探っていきたいですね。

田中真吾「灯に照らされた闇」@ studio90 ♯4


radio90第三弾と展覧会ページを更新しました。
ラジオテーマは先月までstudio90で展示をしていた田中真吾について。
前回長過ぎたってのもあって少し巻き気味に録りましたがそれでも約80分。
そして破壊的に音が悪いです・・・。ラジオってことでご勘弁を。
どうしても暇な時に聞いてみていただけるとありがたいです。
前回同様前半は経歴、後半では考えなどです。
ご意見感想などあればスタジオのメールorこちらにコメントいただければ。
よろしくお願いします!
展覧会ページはこれまた前回に引き続き写真家の表さんに撮影していただきました。
観に来られなかった方も少しでも雰囲気を味わってみてください。

radio90>>http://www.studio90.info/
Mail>>studio90@live.jp

MIHO MUSEUM by I.M.ペイ


























伊藤若冲展を観にMIHO MUSEUMへ?
MIHO MUSEUMを観に伊藤若冲展へ?
どっちも同じぐらいの比重で甲賀まで行ってきました。
JR石川駅からバスで50分。。。遠い。
そこにこの美術館(博物館?)はあります。

まずこの建物のこと。
実はこれ、ルーブルのピラミッドを作ったプリツカー受賞者のイオ・ミン・ペイの日本で唯一の建物なんです。
1度行ってみたいと思ってたものの、いまいち自分の興味の引く展覧会がやってなかった為にお預けになってたんですが、この度伊藤若冲の展覧会が開かれるということでついに!といった感じで行ってきたわけです。
にしてもバブリーな建物です。
まず館までのアプローチが壮大。
ゴルフ場で見かけるようなカートで受付から美術館に乗って行けるんですが歩いても行けるってことで歩くことに。
既に紅葉が始まっていて、天気もいいし最高でした。
春はこの街道枝垂桜が咲き誇るみたいです。見てみたいなー。
そしてトンネル。
トンネルですよ?山掘っちゃってるんですよ?これ私立ですよね?
で、トンネルを抜けると雪景色、ではなくそのまま渓谷を渡る橋。
さらにその向こうにようやく本館。
本館の壁は花崗岩が贅沢に使われていて、屋根はガラス。
木のルーバーで自然光が気持ちよく入ってきます。
更に山の向こうにはペイ設計の鐘楼と、ミノルヤマザキ(前のWTCの人)設計のホールが見えるんですが、一体どこまでが敷地なんでしょうか・・・。
まあ、ね、バックがそりゃね、すごいですから。大きな声では言えませんが。
ちなみにここの会員は一万円だそうです。高!
年に2回しか展覧会ないのに・・・。冬はお休みです。
まあ、建物はそんな感じ。

展覧会のこと。
これはもうマジで素晴らしかった。
若冲の有名な作品がこれでもかこれでもかという具合に見れます。
そしてやっぱり今回の目玉「像と鯨図屏風」はすばらしかった。
ずっと見つからずにいたこの幻の屏風。
昨年奇跡の再発見で新聞でも話題になってました。
それがさらに修復を終えこの展覧会で初お披露目。
いやぁ、欲しいです。飾るとこないけど。それぐらい魅力的。
こんなに潔い作品が描ける若冲はやっぱすごいなー。
あぁ、東博でやってる皇居の宝物展に出てる「動植彩絵」30幅は見たかった。
ってか、3年前の相国寺の展示が見たかった。またやらんかな。
ちなみに同時代の作家の作品も展示されてましたが応挙はやっぱすごい。
あんな炭の染みだけで見事に嵐が表現されてる。泣きそうになった。
今回はほとんどの作品が個人蔵のため、展示替えがかなり激しいので、自分の見たい作品がちゃんと出てるかを確認してから行きましょう。って、HPではタイトルしか出てないので確認が中々難しいんですけどね。。。

ところでここのコレクションには驚かされた。
まさかエジプトやメソポタミアなどの紀元前レベルのものがあるとは思わへんかった。なんと調査団まで現地に派遣してるらしい。ますます恐い。
完全に浮世離れした場所です。すごかった。。。


追記
ペイはRIBA(英国建築協会)のゴールドメダル2010に選ばれてたそうです。
全然知らんかった・・・。この賞の発表いつも忘れちゃうんですよね・・・。


菊池宏「FOTOTEST」@rep
今年京都の三条に出来た建築ギャラリー。
オープンして2回目の展覧会らしい。
ロンドンの建築の友達からおもしろそうだからと勧められて行ってみた。
あまりに小さな看板しか出てなかったので何度も通り過ぎてしまった。
ようやく見つけたそこは、小さなビルの最上階(3階)でとても気持ちいい場所。
規模もこじんまりしててとてもいい感じ。
展示は菊池宏さんという、妹島事務所を経てヘルツォーグ&ド・ムーロン事務所を出て独立した気鋭の建築家。今回は写真の展覧会。写真と言っても普通に写真を展示するのではなく、写真に対して物理的なアプローチをいくつか試みていた。
例えばパースを実際に写真を折ることで表現したり、敢えて荒いインクジェットで出力したものをパネルに貼付けたり、樹脂をかけたり様々。
でも、んーー、なんかお粗末な感じがするというか、発想が正直幼稚。
ちょっとアーティスティックにやってみましたみたいな。
アートやってる人間からしたら舐めんなよって感じちゃいました。
そりゃ建築はどうだか知りませんが、今回の展示作品は作品といえるレベルまで達しているものはないと思います。残念ながら。
むしろ、自分の建築を自分で撮ってるっていうシンプルな事実をどうにかもっとシンプルに伝えてほしかったなと思います。なんか回りくど過ぎる。
とまあ、ボロカスですがそう思っちゃったんやもん。しょうがない。
ちなみにここのオーナーさんも建築家で、こうしてギャラリー開いたり、色んな仕事に携わってるみたいで、少しお話をさせて頂いてとても興味深かったです。って今調べたら僕の1つ下でした!!他のメンバーとかも同い年・・・恐るべし。見習わなきゃ。
また展覧会やる時は行きたいですね。
ちなみにこのギャラリーのすぐ側に関西唯一のキルフェヴォンがあります。
ここは僕の大好きなケーキ屋。この日もひとついただきました。食欲の秋です。

Simon Starling 'THEREHERETHENTHERE' @ MAC/VAL


前の記事のルノディーの建築を見た後、そこからメトロで3駅ほどのPorte de Choisy駅へ。さらにそこからバスで揺られること15分ぐらい。そこにMAC/VALはある。もう自分がどこにいるのかわからない。。。
アートセンターみたいなもんだと思ってたらちゃんとした美術館やった。
そこでは2005年のターナー賞受賞者サイモン・スターリングの個展がやってた。
彼の作品の特徴は「還元」。
ターナー賞の時も、ぼろい小屋だけが展示されてて、観客はなんのこっちゃ?と思うんやけど、テクストを読むと、なんと1度解体してボートになった後、ライン川を下ってバーゼルの美術館でまた小屋に戻して展示されたという作品。
つまり小屋を見ただけではわけがわからないのだけど、それに付随する背景を読むことで作品の解釈がまったくかわってくるというアートで、当時これも物議を醸しました。
で、今回の展示もそんな感じでテキストがないとわからない!でもやばい!フランス語しかないのでは・・・と焦りましたがちゃんと英語のもあって一安心。
スターリングの「還元の作法」がたっぷりつまった見応えのある展示でした。
'Les Maquettes en blanc[1995-2009]'
自分に関する本を並べた展示ケースと、それと全く同じ型の白紙の本を双子のように並べた作品(これはまだわかりやすい)
'Rockraft'
ブリストルの中心まで郊外のエイボンマスから潮の満ち引きだけで運ばれてきた岩をコンピューターでスキャニングして精巧にレプリカを作ってそれを一緒に展示。
'Three White Desks'
フランシス・ベーコンがデザインした机をドイツのキャビネットメーカーがキャンベラ国立図書館の30MB高画質スキャンプリントを元にしてコピー机を作り、さらにその画像を84KBのjepgにし携帯でシドニーのキャビネット会社に送り、それを元にしてコピー机を作り、さらにその画像を100KBにしてemailにてイギリスのキャビネットメーカーに送り、それを元に机を作ったその3つの机が展示されている。
Work, Made-ready, Kunsthalle Bern'
イームズのアルミニウム椅子で自転車「Marin Sausalito」を作り、自転車でイームズのアルミニウム椅子を作り、鏡越しに展示。
などなど。皆さんわかりましたか?笑
こんな展示がなんと今度広島現美で行われるそうです!!!また神谷さんか。
ものと文書を相互に噛み合わせながら進んで行く鑑賞方法は中々新鮮。
ちなみにコレクション展の作品はほとんど意味不明やった・・・。


Capturing Time @ The Kadist Art Foundation
ギャラリーのコレクション展。ギャラリーでコレクション?
なんかここはギャラリーなのかよくわからない。規模はギャラリー程度。
ここではスターリングも出品されてるグループ展がやってた。
ここでの作品はスライドで一艘の舟に乗ってる作者らしき人物の写真が次々投影されていくんやけど、どうやらその舟の中心に置いてあるストーブを動力源にしてて、でもそれを燃やす為にどんどん舟を解体して燃料にしてやがて沈むっていうドキュメント。
他にもタシタ・ディーンのバオバブの木をひたすら撮り続けてる作品とか。
なんかターナー賞関連の作家が多いなと思ったら、今回のキュレーターでギャラリーの委員会に所属してるJeremy Lewisonが元テートの人間だったからっぽい。
全体にメランコリックな作品が多かったのが印象的。


Ugo Rondinone 'HOW DOES IT FEEL?' @ 104



「◯球の歩き方」に早速載ってる昨年できたアート空間。場所はラ・ヴィレット公園から歩いて20分ぐらい?僕は歩きましたよ。
元々パリ市葬儀公社の歴史的建造物を利用したもので(「地◯の歩き方」より)、まずその広さに驚き。でもほとんどがアーティストインレジデンス用のアトリエで、行った時はほとんど閉まってて、奥の方でちょこんと展覧会がやってた。
ウーゴ・ロンディノーネというスイスの作家。
調べるとSANAAがNYに建てたニューミュージアムのオープニングで、そのファサードに「HELL,YES」と虹色の文字を掲げた人だとわかった。
104では、でかい箱があって、スプレーでレンガ作りっぽい線が吹かれていて、ある場所が忍者のからくり屋敷よろしく隠し扉になってて中に入ることが出来る。
中では様々なところから男女の会話が聞こえてきて、聞いてるうちにその2人は不倫関係にあることがわかってきて、なんだか盗み聞きをしているような気になる。でもなんだか楽しい。
彼の展覧会はGallerie Almine Rechでもやってたけど、こっちはかなり微妙。黒い星空のような絵画と黒い彫刻達。作家像がよくわからない。。。

Planet of Signs @ Le Plateau
完全に住宅街にまで来てしまった。本当にここがパリなのかわからん。
そんなローカルむき出しなエリアにちょこんとあるアートセンター。
中では「記号」をテーマにアカデミックな展覧会がやってた。
様々なアート作品を介して記号学を読み解くような展覧会で、なんだか作品を見てるんだか、お勉強しにきてるんだかわからなくなってくる。
こうしたアカデミックな展示をするアートセンターって中々日本にはないよなーと関心してしまう。地元の高校生が見学に来てたけどわかんのかな?
作品はよくわからないものが多かったけど、全体として雰囲気は味わえました。


パリでは途中からギャラリーマップを手に入れ、水を得た魚のようにマップに載ってるほとんどのギャラリーを回りました。その数なんと31!足ちぎれるか思た。
全部ことこまかに説明してたらキリがないので備忘記程度に行ったギャラリーと展覧会タイトル。コメントもあれば載せる感じ。マップの特質上ほとんどがポンピドゥーのある3区のギャラリー。ポンピドゥーは残念ながらいいのやってなかったんで今回はパスでした。

GALERIE NATHALIE OBADIA 'Carole Benzaken'
NEW GALERIE DE FRANCE 'Bande-annonce'
GALERIE DANIEL TEMPLON 'Ivan Nabarro' 'Sundarshan Shetty'
GALERIE LAURENT GODIN 'Gerard Traquandi'
シルクスクリーンと絵画の中間のような不思議な平面。結構好き。
GALERIE ANNE DE VILLEPOIX 'Sam Samore'
GALERIE ZURCHER 'David Lefebvre'
空間が結構好きやったギャラリー。作品は・・・。
GALERIE ERIC DUPONT 'Marine Joatton'
GALERIE JEAN BROLLY 'Alan Charlton'
MARIAN GOODMAN 'Annette Messager'
なんとアネット・メサジュの個展!入ってすぐに萎んだり膨らんだりする作品が登場。ホンマにギャラリーかよ。地下は結構どうしようもない作品でした。
調べたらNYにもある大御所ギャラリー。所属作家にリヒターやダン・グラハム、ヤン・フードンやティノ・セーガル、ジェフ・ウォールなどなど。すごい。
GALERIE HUSSENOT 'Liu Wei'
ビリヤード台やソファが真っ二つ。リヨンビエンナーレで見た人。
GALERIE FREDERIC GIROUX 'Vincent Beaurin'
GALERIE DHANTAL CROUSEL 'Fabrice Gygi'
YVON LAMBERT 'Shilpa Gupta' 'Kendell Geers'
ギャラリーっていうか本屋?間違ったかな・・・汗
GALERIE THADDAEUS ROPAC 'Terence Koh'
サーチの「USA TODAY」に出てた黒い髑髏の人。今回は真っ白な世界。でもなんか中途半端。そういや横浜でも身体真っ白にしてパフォーマンスやってるのを日曜美術館で見た気がする。無理。
GALERIE KARSTEN GREVE 'Karsten Greve'
びっくりした。何がびっくりってそこに並んでる作品にびっくり。ボイス、ブルジョワ、コーネル、デ・クーニング、フォンタナ、クネリス、トゥンブリー、アルバース、マンゾーニ、イブ・クライン・・・。しかもどれもがその作家を現すアイコン的な作品。ここは美術館クラスの作品がそこら中に所狭しと並べられている・・・。何なのこのギャラリー?おかし過ぎる。。。
GALERIE EMMANUEL PERROTIN 'Takashi Murakami'
タカシはパリッ子達に大人気。20ユーロのキーホルダーはバカ売れ。んー。
GALERIE ANNE BARRAULT 'Jochen Gerner'
GALERIE ALAIN GUTHARC 'Anita Molinero'
GALERIE MICHEL REIN 'Stefan Nikolaev'
GALERIE DE MULTIPLES ' Totem & Tabou'
GALERIE CHEZ VALENTIN 'George Henry Longly'
ART CONCEPT 'Jean-Luc Blanc'
PRAZ-DELAVALLADE 'Peter Saul' 'Wet Dreams'
JOUSSE ENTREPRISE 'Kishin Shinoyama'
犬かわいかった。紀信もいた。村上隆展にもいた気がする。


ふあー、こんな感じ。疲れた・・・。
今回fiac(アートフェア)前で開いてるギャラリーは少ないかと思いきや、開いてるギャラリーがほとんどでなんとかたくさん見れました。ロンドンはFrieze直前過ぎてほとんど閉まってましたが。ちなみにもうアートフェアにはほとんど興味ありません。しんどいだけ。PARIS PHOTOはちょっと興味あるけど。ビエンナーレももうええかなって感じです。なので敢えて今回は避けて通ってみました。
後半ART CONCEPTからJOUSSE ENTREPRISEは13区のギャラリーでこの日この界隈のギャラリーが軒並みヴェルニサージュだったので、着いたらギリギリやったけどその雰囲気も味わえました。お酒は飲まんかったけどね。
パリのギャラリーは中庭があるギャラリーが多いのにびっくりしました。一旦重いドア開けてからのギャラリーまでのアプローチが遠い・・・。でも素敵でした。
パリはいつかギャラリー巡りせなあかんと思ってたので今回それが見事達成できたのが収穫。これでロンドン・パリ・ベルリンは制覇です。ふふ。
知らない作家でもいいな!って思える作家に出会いたかったのですが、このギャラリーツアーでは巡り会えませんでした。残念。
パリのアートシーンは結構未知なのでまだまだ探ってみたいです。
まあ、次行くのは坂茂のポンピドゥーとSANAAのルーブルが建って、さらにヴェルサイユで半端ない展覧会がやった時になりそうですが。


最後に、今回フランスアート界底辺日記のkanaさんには本当お世話になりました。fiac前で色々あったろうに、おもしろそうな展覧会を色々教えてくださったり(前半のギャラリーはほとんどkanaさんの紹介によるもの)、美味しいワインバー連れてってくれたり。弟さんとお友達の建築家と写真家の方とワイン片手に大いに語り、食い、飲みました。いい思い出です。
この場を借りて改めてありがとうございました。

さて、これにてロンドン・パリツアー報告終了。やっと終わったー!
帰るまでが遠足ですと言いますが、僕にはこれが更新し終えるまでが遠足です。
ということで明日から切り替えていきます。
って既に帰ってきてから一個書くやつ貯まってるんで書かなきゃ。
早くリアルタイムに追いつきたいです・・・。

Parc de la Villette @ Bernard Tschumi














バーナード(ベルナール)・チュミによるラ・ヴィレット公園。
1983年に行われたこの公園のコンペは当時の建築界の話題をさらった。
結果は806チームの中からチュミの案が勝利。
彼の案は、公園を点と線と面で解体し組み合わせるという、当時台頭しだしたデコン建築の先駆者らしい案といえる。
一方惜しくも勝利を逃したものの、審査員の間で話題の案はバーコードのように公園の機能を構成したレム・コールハースの案であった。
磯崎新もこの案に衝撃を受け、未だに建築界の語りぐさとなっている。
それだけ話題になったコンペであったが、肝心の出来上がりは。。。
正直公園としての魅力が希薄すぎます。
実際この公園を歩くと、あまりにも殺伐とした光景に戸惑いを覚えてしまう。
まるで廃墟のように点在する赤いオブジェが、不気味さを漂わせる。
運河や小道、緑といった公園的要素はあるものの、なんだかわびしい。
これで周りの科学館や音楽ホールがなければ救いがない。
建築はコンセプトだけでは魅力的な空間を作れないのだなと思い知らされた作品。
建築家のエゴをものすごく感じる空間。


Les ETOILES de Givoirs by Jean Renaudie










パリで建築家の方と知り合って、「何かおもしろい建築はありますか?」と問うた所、「メトロ7番線の終点まで行くとパリのメタボリズムが見れますよ」と言われ、メトロに乗って7番線の終点Marie d'Ivryへ。
駅から歩くと「それ」はすぐ姿を現した。
異様としかいいようのないエッジの効いた建造物。
建物のあちらこちらに生い茂る緑たち。
これらがメタボリズムよろしくそこら中に増殖している。
建築家はジャン・ルノディーという知る人ぞ知るフランス人建築家。
1981年に没しているのだけれど、確実に建築家の死後に建てられた目新しい棟もあって、このプログラムがまだまだ顕在していることを物語っている。
聞かなければまず行くことのないような場所だけど一見の価値あり。
ちなみにこの建物の一階にCr�dacという現代アートセンターが入っているので、アート好きな方もどうぞ。こちら
オープンが14時半からで、僕が行った時は閉まってました。残念。
あとレストランとかも入ってますが基本的に集合住宅です。図書館もあったっけ。

Xavier Veilhan @ Versailles
















昨年から始まったヴェルサイユ宮殿での現代美術展。
去年のジェフ・クーンズに続き今年はフランス人のザヴィエ・ ヴェイヤン。
ヴェルサイユ宮殿自体初訪問で、どんなもんかいなと、期待半分で行ったわけですが、わけわからない広さに足が完全に駄目になってしまいました・・・そりゃ市民怒るわ!
ゴルフ場何個入んねん、って広さ。どこまでがヴェルサイユ?
イギリスのバッキンガム宮殿なんてかわいいもんです。
そんな中に作品が点在してるわけですが、正直特に感想はなし。
あー、なんかオサレな作品やね、って感じ。フランス人って感じ。
「建築家」の彫刻シリーズはおもしろかったけど、それは単純に知ってる人を探す楽しさであって、作品そのものがいいってわけでもない。ちなみにこの彫刻の中には妹島和世に安藤忠雄、ジャン・ヌーベルにノーマン・フォスター、レンゾ・ピアノなどなど。
どこまで行っても終わらない・・・。泣きそうになる。
遠くの泉に作品があるというのでがんばって行ったのになんと噴水。しかもその噴水が見られるのは一時間後・・・無理。引き返すのが半端なく辛かったです。
んー、去年のクーンズは見てみたかったのだけど。
ちなみに来年は村上隆。結構おもしろいことになりそう。
ってか、やる人がやればかなりやばいことになりそう。
オラファー・エリアソン辺りがやったら絶対行ってみたくなる。。。
あと、宮殿の部屋をカプーアの作品が通り過ぎて行く幻想を抱いてみたけどそれはさすがに無理やろうな、と思いつつ。
これは恐ろしい企画やなーと思ったのが収穫かな。

Humberto & Fernando Campana 'Garrafa' @ la Marechalerie

ヴェルサイユの目の前にある建築学校での展示。
日本でも何度か目にするデザインユニットカンパーナ兄弟の展示。
こちらも昨年から学生と作家が恊働で作品を作るという企画で、昨年は川俣正が展示していて、それも見てみたかったなーと思いつつ。
行ったら普通にどこでやってるのかわからなくて、それとおぼしきとこで聞いたら2時半からとのこと。あと2時間ぐらいあるので諦めようとしたら、なんとその人が特別に見せてくれると言ってくれてお言葉に甘える。
わざわざ僕のためにライティングとかもやってくれて、作品を堪能しました。
作品は、20万個のペットボトルを輪切りにしたやつをひたすら繋げて行って、海藻のような有機的なフォルムに組み立てて行くという気が遠くなるような作業の集積。緑の光で海底にいるような感覚にさせてくれる。身の回りのものでこれだけのイリュージョンを作り出すのはさすが。最近の「エコ」ともデザイナーなりの昇華の作法なのかしら。
本当にありがとうございました。メルシーボクー!!

Roger Hiorns 'SEIZURE' @ 151-189 Harper Road






















まさかこの作品が見られるなんて!!!
昨秋公開されたこの衝撃的な作品。
75,000リットルの硫酸銅を室内に流し込み、それを再び吸い上るとあら不思議!青い結晶で壁全体が覆われるというシンプルと言えばシンプルやけど恐ろしい規模の作品。
これを制作したのはロジャー・ヒオンズ。
34歳というまだ若手といえる作家です。
サポートしたのは今や伝説と化したレイチェル・ホワイトリードの「House」を成功に導いたArtangelといういかがわしい名前の組織とジャーウッド財団という若手作家を支援する財団。彼らが共同で開いた大型企画のコンペで見事ヒオンズが受賞し今回の作品の実現に至ったというわけ。
なんてってったって規模が半端ないです。
これにかかったお金は100万ポンド(当時2億円相当)。
どこから金が湧いてくるのやら・・・。
そんな作品が僕の住んでた家の近くの使われなくなった集合住宅の一戸を利用して制作されて、昨年公開されたのですが、今回ヒオンズがこの作品でターナー賞候補にノミネートされたことも記念して最オープンが実現したのです!
去年その写真を見た瞬間から中に足を踏み入れたいと願っていたので、本当に願いが叶いました!もう夢のようです。。。涙
周りは閑静な住宅街で、ホンマにこんなところで・・・?と半信半疑気味に向かうとちゃんと看板があって安心。
ドキドキしながら中へ・・・。
青一色の世界は別の惑星に辿り着いたような気すらする。
もう、美しいとしか言いようのない世界。
作品の深度としては、ちょっとどうかな、とは思うものの、この美しさの前ではそんなこともどうでもよくなって、ひたすら目が青一色で満たされる。
「こんなこといいな。できたらいいな」を素でやってしまったような作品。
その作家自身の「見てみたい!」という純粋な欲求が伝わってくる。
この作品はひたすら純粋性で満たされていて、とても好感がもてました。


Turner Prize 2009 @ Tate Britain

そんなヒオンズもノミネートされてる今年のターナー賞。
久々におもしろいターナー賞となってます。
最近はコンセプチュアル色が強い作品が多くて、純粋に「視覚芸術」としてのファインアートから遠のいてた感のあるターナー賞展でしたが、今年は視覚的に楽しめる作品が大半で、90年代頃の同展覧会を彷彿とさせてくれる内容。
前述のヒオンズは、飛行機のジェットエンジンを粉砕して、その粉を床にアレンジしたインスタレーションを中心に、牛の脳内細胞(?)を使った作品などを展示。
彼は常に作家のコントロール外の要素を常に作品に取り入れていて、思い出せば、僕が初めてロンドンに来た2005年にカムデンアーツセンターで展示されてた作品も陶器から泡が出て来るというもので、すごく印象に残っています。(その後この作品はテートが所蔵し僕がロンドンにいる時にはテートブリテンの常設展示になってました)
また、前述のSeizureの前にも硫化銅の結晶を使った作品を発表していて、その時も車のエンジンに結晶を纏わせていました。(こちらはヘイワードで見た)
なにかしら今までヒオンズの作品は見る機会が多いので、今回のノミネートはもの凄く納得がいきます。
まあ、ストレートに行けばヒオンズが今年のターナー賞でしょう。
過去にもアートエンジェルと組んで大掛かりな作品を作ったホワイトリードやジェレミー・デラーがターナー賞を射止めてることも考えるとそれが自然。
でもねぇ、そうまっすぐ行かないのがターナー賞なんですよね。
僕は今回ヒオンズは賞を逃すと予想してます。
では誰か。
あくまで僕の予想ですが、多分リチャード・ライトな気がする。
というか、今回の展覧会で僕がかなりハマってしまったのが彼の作品。
複雑なパターンを壁に描くというだけの作品なのだけど、それだけの作業で空間の認識をほんの少しなんだけどゆがめてしまう。
この「ほんの少し」というのがポイントで、そのさり気なさがツボ。
思わず以前の図録買ってしまいました。
僕がロンドン来る直前にガゴーシアンでやってたらしく、それは見たかったなー。
ってかガゴーシアンのお抱えってかなりすごいこと。
今年49歳で、ターナー賞は50歳以下の作家に与えられる賞なので多分今年がラストチャンス。個人的には彼にとってほしいし、ヒオンズはなんとか「Seizure」を超える作品でターナー賞をとってほしい気がする。
他の2人はちょっと僕的にはないです。
発表は12月7日。誰がとることやら。楽しみー。
ターナー賞展もSeizureも共に来年1月3日まで。
ところで友人からテートブリテンでデミアンの薬局のインスタレーションがやってるって聞かされてたので捜しまわったけど見当たらず、スタッフに聞いたらもうその展示は終わったとのこと・・・orz 見たかったなー。


はい、以上ロンドン。疲れた・・・。
行ったのがFriezeウィークの前の週で、たくさんのギャラリーがそれに合わせて展覧会を組むのでいくつか見られませんでしたが、カプーア展とゴームリー、SANAA、そしてこのSeizureとターナー賞展を見れて大大満足!やっぱロンドンのアートは凄いなーと改めて思い知りました。
さて、次からパリです。更新が終わらない・・・。

Serpentine Pavilion 2009 by SANAA





























SANAAによるサーペンタインパビリオンです。
散々取り上げてるのでパビリオン自体の説明は割愛。
SANAAが選ばれた時はもの凄く見たいと思ったけどまさか本当に見られるとは。
ただし、結論から言うと正直期待はずれ。
行く前に写真を見すぎたせいもあって、感動はもの凄く薄かったです。
この建物はフォトジェニックすぎるのが難点かもしれませんね。
今自分の撮った写真を見ててもいいように思えるんだけど。。。
規模が小さいってのもあるかもしれませんが、思っていた程の不思議空間体験は出来ませんでした。境界線がもの凄くあやふやな感じは実際に見るとそこまで感じない。
ただ屋根で建築が成り立ってるというか、屋根こそすべてというプログラムはとても魅かれるし、行った日みたいに雨が降ってたりすると、雨宿りの軒下がそのまま建築になったような感覚でものすごくおもしろい。
これをもっと強調したらおもしろかったんじゃないかな?
鏡面にしちゃったのがちょっと失敗かも。
鏡面にしちゃうことで屋根(建築)の存在感を抽象化したかったのかもしれないけれど、もうその抽象化するプロセスは卒業してもいいんじゃないかな、と思う。
SANAAの抽象的空間は確かにとても魅力的ではあるけれど、僕はもう次のステージのSANAAを見てみたいと思っていて、もしかしたらこのサーペンタインパビリオンはそのステージに近づいてるのかもしれないという期待を日本から持ってきちゃったのですが、どうやら違ったようです。
あと、友人に前もって言われてたのだけど、アクリルの施行がヤバ過ぎます。凄まじいクオリティの低さ・・・。まったくサークルになってない!これは実際見ないとわからない。ブリティッシュクオリティってやつです。
ということで、ちょっと残念な結果でした。
来年は誰かいな?
ってか毎年思うけど、コンクリとか打っちゃってるのにどうやって原状回復してるんかいの?不思議だ・・・。

関連記事
Serpentine Pavilion 2009
Serpentine Pavilion 2008
Serpentine Pavilion 2007
伊東豊雄
熊野古道なかへち美術館 by SANAA
Novartis Campus 4 by SANAA
海の駅なおしま by SANAA
SANAA @バウハウス展示館


Paper Tower by Shigeru Ban






坂さんの紙管で出来たタワー。
サウスバンクの寂しい風景に佇んでました・・・。
先月まで行われていたLondon Design Festivalの一環で建てられたもの。
それにしてもなんでしょう、このクリスマスツリーっぷりは・・・。
中から見るとかっこいいんですけどね。うーん
関連記事>>特種製紙Pam by 坂茂

ちなみに近くにヘイワードギャラリーがあって、そこが企画してるイエッぺ・ハインの「Appering Room」という噴水で部屋を作るみたいな野外作品があるはずだったのですが、探してもなくて、ヘイワードで聞いたら寒過ぎてやめたそうです笑


さて、ロンドンはオリンピックに向けて建築ラッシュ中!
ついにザハがロンドンで初建築を建てますね。水泳競技場。
その前にホワイトキューブがあるホックストンスクエア近くにも建つとか。
(ザハと言えば最近世界文化賞を受賞しました。去年のズントーのやつ)
しかし本当にハックニーでオリンピックなんかできるんだろうか?
あんな汚い街が3年後に生まれ変わってるとは到底思えない・・・。

あとはヘルドムのテートモダンの増床。これは見てみたい。

そしてフォスターのガーキンを超える高さのレンゾ・ピアノのタワーがロンドンブリッジ近くに建つ模様。近く通ったら工事やってました。


次ロンドン行くとしたらこれらが全部建ってからかなー。いつのことやら。

Anish Kapoor @ Royal Academy of Arts


2004年。金沢21世紀美術館。
彼の作品に初めて出会う。
その黒い無限の穴に魂を奪われる。

2005年。テートモダン。
彼自身に出会う。
初めて行ったロンドン。初めてのテートモダン。フリーダ・カーロ展。
カーロに興味があったわけじゃないけど、とりあえず見ておこうとチケット買ったはいいものの、人気過ぎて時間指定チケット。時間まで1時間ほどあったので、テートのビデオブースで2002年のタービンホールを飾った伝説の展示のビデオがあったので見る。
見終えて時間になったので展覧会に行ったらついさっきまでブラウン管の中にいた人が普通に息子さんと一緒にカーロを見てた!!
まさかと思いつつしばらくストーキングしたが、どう見てもそう。
ここで声をかけなきゃ一生後悔する。
渾身の勇気を振り絞って声をかける。
Are you Anish Kapoor?
彼は答える。
Yes.
思わずOH MY GOD!!と叫びそうになるがなんとかこらえて握手してもらう。
もうカーロなんて見れたもんじゃなく、途中で会場を後にする。
その日僕はその右手を洗えなかった。

2006年。Lisson Gallery。
そこに展示されてた「Past,Present,Future」は完全に神の領域。
もうあの場の空気は一生忘れられないと思う。
そして僕の友人を完全に変えてしまった。
それ以降彼はファインアートにドはまりしてしまう。
Anish Kapoor @ Lisson Gallery

2007年。Haus der Kunst。
その友人と行こうと言いつつ、僕は帰国を目前にしてた為断念する。
そしてこれが一生の後悔になることを空港の雑誌の中で知る。
その前にフランスのナントで発表されてた新作「Svayambh」。
写真が雑誌に載ってて「夢であってくれ!」と何度も思った。
そしてその後巡回したミュンヘンのHaus der Kunstで行われた展覧会タイトル。
「Svayambh」。
終わった・・・。わては阿呆や。。。。
日本に帰れる!という希望が強過ぎて何も見えてなかったのです。
そして友人はミュンヘンまで行って神の御姿を目にすることになる。
「神を超えたのは神でした」
これがその展覧会を観た友人の言葉。
ああああああああああああああ


そして2009年。その時はやってきたっ!!!


ということで今回の渡欧目的の99%を占める展覧会です。

ある日たまたまamazonでカプーアの本を検索してると秋に新しい本が出ることがわかって出版元を見てみると「Royal Academy of Arts」となってて、ん?と思って、今度は「anish kapoor royal academy」でググったら大変なことが発覚。
なんとこの秋カプーアの大規模な個展がローヤルアカデミーで!!
その瞬間から僕の頭の中では「行く」という選択肢しか見当たりませんでした。
当初母と2人でのんびりイタリアに旅行しようという計画があったのですが、
イタリアはスリもぼったくりも多いし石畳ばかりでやさしくないよ?
それよかロンドンなら英語も通じるしさ!
などと説得して無理矢理ロンドンに変更。
こうしてカプーア展の為の旅が実行に移されたのです。
あの2年前の後悔を取り戻すんや!!!

アカデミーに着くと、まず出迎えてくれるのが高さ30mにもなる巨大な新作。
鏡面の球が重なり合って天高く昇っていく。
1つ1つに古い建物が映し出される。んー美しい。
期待が高まる中はやる気持ちを抑えてチケット購入。いざ・・・。

まず結論から言うと、
「ロンドンまで来てよかった!!!」
と心から思える、筆舌に尽くし難い程の素晴らしい展覧会でした。
この展覧会を見れなかった友人に心から「ご愁傷様」を送りたい。
ミュンヘンで見れなかったあの後悔はすっかり取り払われました。


この展覧会を振り返るのに3つのキーワードを挙げてみました。
「色」、「彫刻」、「動き」です。
まぁ、拙い文書ですが、僕なりにカプーア論をまとめてみます。


まず「色」。
最初の部屋ではカプーアの最初期の作品1000 Namesが展示されてます。
様々な形のオブジェに色鮮やかなピグメントが振りかけられた作品。
彼の作品を語る上で欠かせないのがこの「色」。
特に現代の彫刻家でここまでラディカルに色を使ってる作家は珍しいと思う。
色というのは、もろにその人のセンスを象徴してしまう要素。
大学時代教授が言ってた
「絵描き殺すにゃ刃物はいらぬ。色をけなせばそれでいい」
って言葉を思い出します。
(元は「大工殺すにゃ刃物はいらぬ。雨の三日も降ればよい」)
つまり、構図やらなんやらは訓練とかである程度なんとかなるもんだけれど、色ばっかりは天性のものなので、それをけなされたら絵描き人生が終わってしまうというわけ。
この場合は絵描きだけど、すべての表現者に当てはまる言葉。
また色はあまりに意味を含み過ぎているということもある為使うのを憚る作家が多い。
赤を見れば温かさを、青を見れば冷たさをといった固定概念が働いて、作品の純粋性が損なわれるのではないかという危険を常に孕んでいる。
故に具体的な色より黒や白、もしくはグレイ、はたまた透明といった色が今の主流だ。
そんな中カプーアは積極的に色を取り込む。
そして彼の使う色はすべての意味から解き放たれているように見える。
2005年にバービカンセンターで行われた「COLOUR AFTER KLEIN」という展覧会を思い出す。
青という色を究極まで高めたイヴ・クライン以降の現代表現の「色」を問う素晴らしい展覧会で、ボイスにブルジョワ、ウォーホールにフレイヴィン、カルにタレル、そしてカプーアと錚々たるメンバーが集められた。
カプーアはこの1000 Namesを出品していて、赤や青、黄色とすごくポップな色を扱っているにも関わらず静謐さまで感じさせる不思議な彫刻。
あの時のことを思い出し、さらに奥に進むと、黄色い壁が現れる。
よく見ると真中はゆったりと凹んでいる。
マットな黄色がその神々しさを讃えている。
この作品のタイトルは「YELLOW」。

続いて「彫刻」。
そもそも現代美術に絵画だの彫刻だののボーダーなんて存在してんの?
って問があるかもしれないけれど、僕はあると思ってます。
確かに絵も描けば彫刻も作るし写真も撮るし映像もやっちゃう、なんてマルチな作家は数いるけれど、そうした作家より、自分の仕事を専門的に追求しているマエストロ的な作家の方に魅力を感じるし、そうあるべきだと思う。
ちなみに僕は主にインスタレーションをやっているのだけれど、本人的には絵画を作ってる意識でのぞんでいます。インスタレーションというのは、ある種の風景画だと思っていて、スクリーン的な視点が強く、むしろ僕には画布に描く方がオブジェ性が強過ぎて描くことをやめてしまったのです。(フォンタナがかつて画布を切り裂くことで、絵画がオブジェだということを暴いたのはあまりに有名ですね)
話はすこしずれましたが、カプーアは明らかに彫刻家として彫刻概念を追求している作家の1人だと思う。
次の部屋ではミラーの作品が展示室の空間を歪めたり引き延ばしたりしていて、これまでの彫刻概念を崩すようにそのオブジェ性が排除されています。
彫刻というのは、オブジェとしてそこにどっしりと存在していなければならない。
というより、そうあらざるをえないというのが事実。
しかしこれらの彫刻は存在しているんだけど、輪郭がとても曖昧。
思わず近づいてみるものの、見えるのは自分の姿とその後ろの風景のみ。
作品を見ているんだけど、一体何を鑑賞してるのかわからなくなってくる。
この「鏡の間」はとても不思議な空間。
さらにその奥には鉄の塊が部屋全体を埋めている。
鏡とは反対にその存在感に圧倒させられる。
裏に回ると今度は小さな穴が開いていて、外観の輪郭とは関係のない永遠の闇を内包しているかのよう。
これは昨年ベルリンのグッゲンハイムで発表された「MEMORY」という作品と類似していて、その作品も、穴だけのパートとその構造物を見せるパートで分かれていました。(実物見てないけどね)
さらに奥にも、今度は蛇のとぐろのようにうねった彫刻が現れて、そのとぐろは樹脂で出来ていることがまるでわかるようになっている。
しかしその大きな口は深紅の光沢のかかった色で覆われ、そこにも永遠の穴が現れる。
この2つの作品の特徴は、作品の構造をさらしているというところにある。
つまり作品の舞台裏まで見せちゃってるみたいな状態なんである。
美術館で作品を見るというのは夢を見ている状態に近いと思う。
それらをものとは見ず、ある種のイリュージョンを見せてもらいに行くのだ。
しかしこれらの作品を見るといきなりその夢から叩き起こされたような感覚に陥る。
でも穴の部分を見ると再び夢に戻って、また夢から醒めて、みたいな繰り返し。
そして今回さらにその上から冷や水を浴びせるような作品が登場する。
「Greyman Cries, Sharman Dies, Billowing Smoke, Beauty Evoked」
タイトルも謎だけど、展示も十分に謎です。
チューブで押し出したようなセメントを積出させたオブジェが会場を埋め尽くしていて、展示というにはあまりにお粗末な、木のパネルの上で、あたかも今制作中ですといった雰囲気を醸し出していて、一瞬美術館にいるのか作家のスタジオにいるのか混乱してしまう。
作品も完成されてるのか未完成なのかよくわからない状態で、まったくもって謎。
これらの作品を通して、美術作品や、美術館、美術そのもののもつイリュージョンにゆさぶりをかけているようにも見えて、すごくラディカルな展示です。
にしてもイギリスは優れた彫刻家が多い。
ヘンリー・ムーアを筆頭にアンソニー・カロ、リチャード・ロング、トニー・クラッグ、現代では昨日も記事にしたアントニー・ゴームリー、レイチェル・ホワイトリード、マーク・クイン、デミアン・ハースト、、、ストーン・ヘンジから続く彫刻の系譜があるのかしら。

最後に「動き」です。
この要素は、近年になってカプーア作品に表れ始めたもので、この展覧会の2つの目玉作品に顕著に表れています。
1つはこの春ウイーンで発表されたばかりの新作「Shooting into the Corner」。
これはなんと大砲に赤いワックスをつめて壁のコーナーにめがけて撃つというとんでもない作品で、ローヤルアカデミーでは25分に1度発射されてました。
その音の凄まじさたるやなくて、赤いワックスが衝突して砕ける様は圧巻。
天井とかにも飛び散ってたけど、この後どう処理するんかしら・・・。
これを許しちゃうこのローヤルアカデミーがすごい。
ちなみにその撃ち手の彼がすごい端正な顔立ちで超クール。
ひたすら無表情で弾を込めて撃ち、終わったら裏で本を読んでいます笑
展覧会観に行った人の中でもあの撃ち手は何者!?という話題がちらほら。。。
そして、僕が2年間恋い焦がれてついに出逢うことができました。
「Svayambh」。
サンスクリッド語で「自己形成」という意味をもつこの言葉。
なんと40tもの赤いワックスの塊が展示室を通り抜けていきます。
そして、その通り抜けた通りの形になって、ずんずんと進んでいくのです。
スピードはとても遅く、ちゃんと見ないと動いてるってわからないです。
でも確実に動いていて、4部屋を貫通していきます。
もう出逢えた瞬間は涙でうるうるしてしまって大変でした。
こんなに美しい作品があったでしょうか。。。。
特にローヤルアカデミーの建物は普通の美術館と違って、古い装飾的な建物なので、余計にこの作品の形がおもしろいです。(確かミュンヘンの時は長方形だったと思う)
思わずそのゆっくりの動きを最後まで見届けるべく、ローヤルアカデミーに2時間近く滞在してしまいました。でも実際多くの人が飽きもせずその光景を眺めていて、皆でこの世のものとは思えないものを眺めていました。
この「動き」という要素は、作品に取り入れるにはあまりにキワドい要素で、大抵の場合作品が安っぽく見えたりダサく見えたりします。
作品に動きを取り入れた最初の彫刻家はアレクサンダー・カルダーと言われていますが、彼の彫刻の場合は風という自然の力を使ったものだからまだ見れるんですが、ジャン・ティンゲリーやレベッカ・ホーンなど、器械で動くものはもう見てられない作品の方が多いです。
そんな中、カプーアは、もう神業ですね。間違いない。
そもそも、3年前に僕がリッソンで見た「Past,Present,Future」も枠が動くことで球体に削られていく赤いワックスだったわけだけど、それだけでも十分な破壊力やったのに、あれはこの「Svayambh」のマケットだったのかと思うともう底なしすぎて尊敬通り越して恐いです。

カプーアのすごいところは、その代表作を着実に更新していってるところ。
代表作っていうと、大体が過去の作品になってしまう作家が多い中、カプーアの場合、新作を発表する度にそれが代表作になってしまう。
「カプーアの代表作って何?」
って聞かれたら間違いなく
「Svayambh」
って答えちゃいますね。発音でけへんけど(死)
昨日書いたゴームリーの記事に関してもそうやけど、大御所になってもまだまだ前に進んでいく作家を見てると心から感動してしまいます。
どうしてもセンスや感性ってのは若い頃の方が鋭いもんやと思うし、その頃にポンといいものが生まれることってあるもんやと思うけど、その頃の感性を未だに絶えず磨き続けて走り続けている彼らの姿は美しいし励みになります。
今回この2人の作品を見れて、いい刺激になりました。
僕も今得た刺激をしっかり受け止めて磨き続けたいと思います。
ちなみにローヤルアカデミー近くのHauser&Wirthでは同じインド出身のスプード・グプタの展示をしてましたが、差は歴然でした。底が見え見え。「美術の為の美術」とかもう見たくもありません。

あー、しかし次にロンドン行く目標失ってしまった。
そもそも2年前に帰国した際に
「次にロンドン行くのはカプーアの大規模な展覧会がある時」
と決めてたので、こんなにも早く叶ってしまうとは。。。
テートの増床とかも気になるけど、もうカプーア展を超える展覧会はないでしょう。
これで去年のベーコン展が今年やってくれてたらもう死んでもよかったのだけれど。
まだまだ死ねません。


ところでこのカプーア展。
この秋ロンドンの大目玉みたいで、街中どこいってもこの広告を目にします。
地下鉄、バス、電話ボックス。
果ては映画のCMになってたそうです。それがコチラ↓

映ってる撃ち手は噂のクールガイじゃないです。悪しからず。


追記1
ミュンヘンで「Svayambh」が発表された時、中にはドイツの歴史と繋げてアウシュビッツを連想した人もいたそうです。あの分岐する列車とリンクしたんですね。この赤色も血なまぐささを感じるといえますしね。
塩田さんも靴の作品をポーランドで発表した時にアウシュビッツという言葉が出たそうな。
この辺りで発表するとこういう反応が必ず返って来るのが特徴的。

追記2
14日からリッソンでカプーア展が始まりました。
3年前のように大変なことになってたらどうしようと恐々ギャラリーのサイト覗きましたが、様々な形のカラーリフレクションの作品みたいでちょっと安心。でもまあ美しいんやけどね。あー、日本で発表してほしいなー。

Antony Gormley 'ONE & OTHER' @ Trafalger Square













80年代90年代にかけて、確実にスクラプターの巨匠としての地位を築いてきたゴームリー。
ここに来て彼はさらに次のフェーズに向かっている気がする。
それは今月14日までトラファルガー広場の「4番目の台座」で行われていた100日間の作品「ONE & OTHER」を見ればわかる。
これは一日一時間代わる代わる人々が入れ替わり立ち替わりでその人のやりたいことをして台座の上で過ごしてもらうという途方もないプロジェクトで、100日間×24時間=2400人もの人々がこの期間中に立ち続けた。
ある人は詩を読んだり、ある人はキャンペーンの宣伝をしたり、ある人は好きな人に告白したり、ある人はフラれて赤っ恥をかいたり。
そんな、人間味溢れる「作品」。
そもそも人間そのものが「作品」なんだから人間味溢れて当然なわけだけど。
もうどうしようもない頭の薄くなったオヤジでもこの台座の上に立つと不思議と美しく見えるし、愛くるしく見えてしまう。人が人を愛さずにはいられない人間の生理みたいなものまで感じさせてくれるようなとても温かい作品。
ゴームリーは、人間の身体におけるphysicalな部分だけでなくpsychologicalな部分にも言及し始めたのではないだろうか。
この作品をどう評価するかは別としても、僕はその新たなゴームリーのスタートを予感させる萌芽として後々記念碑的な作品になるんじゃないかと思っている。
そもそも僕は彼のオブジェクトオブジェクトした作品がそんなに好きじゃなかったわけだけど、2年前のヘイワードギャラリーで彼への評価を一変させられたのである。
そこに出品されていた「BLIND LIGHT」は、もはや彼の彫刻概念が、まさに観客自身の身体の中に染み渡ってくるような作品で、様々な感情がわき起こってきて、あの時の体験は未だに忘れることができないでいる。
そこでも、観客の内面へと浸食する、何かザワッとしたものを感じたのだけど、今回の作品で改めてゴームリーの向かう先にドキドキさせられてしまった。
これからどういう作品を作っていくのかとても楽しみな作家。

ちなみに今回エジンバラからロンドンに向かう列車の都中で彼の代表作である「Angel of the North」が見えるかもしれないと思って外をガン見していたのだけど、見えるはずもなく。。。いつか観に行きたいけど遠いなー・・・。

<関連記事>
Antony Gormley @ HAYWARD GALLERY
New Public Sculptures in the UK
Marc Quinn @ Trafalgar Square's fourth plinth


ちなみにこのほんのすぐ近くのNational Portrait Galleryにて何気にマーク・クィンの名作である、自分の血液で出来た自画像彫刻が展示されてます。是非ご覧あれ。

ARTIST ROOM @ NATIONAL GALLERY OF SCOTLAND


昨日(12日)、英国・フランスを経て日本に帰ってきました。
そうです、超遠征旅行です。
ロンドン時代から2年間日本に閉じこもってましたが、もう我慢ならん!と。
ってこともないんですが、もうどうしても観たい展示があって・・・。
それは後ほど。
ってことでさくさく更新していきます。
(本当は帰ってきて即始めたかったんですが時差ボケ等で昨日は一日ダウン)

まずはエジンバラの国立美術館でやってた展示から。
なんとデミアン・ハーストのオンパレード!そして全部無料!
というのも、話は昨年末に遡って、かつて英国一の美術ディーラーと言われた、アンソニー・ドフェイ(Anthony d'Offay)氏のおよそ30年で蒐集した725点にも渡るコレクションを英国とスコットランドが共同で265万ポンドで購入したのです。日本円に直すと59億円(当時のレート)!
そんなもん立派なコレクターなら無償で譲るぜ!なんて仰るかもしれませんが、その作品たるや、現代美術のお宝ばかりで、普通に蒐集すればそんなお金で買えません。
具体的には時価1250万ポンド(263億円)相当のもの。
もう数字がでかすぎて何がなんだかわかりませんが、とにかく大安売りなわけです。十分すぎるほど立派なコレクターだと思います。
そうした新たなコレクションをこの国立美術館をはじめ、テートモダンや英国中様々な場所で見せてるわけです。地図を見てたらそんなとこどうやって行くねんってとこも含まれてましたが・・・。
そんな前置きがありつつ今回の展示。
他にもウォーホール等もありましたが、やはりハイライトはハースト。
ハーストの最も輝いていた初期の時代の作品がこれでもかと目白押し。
表紙の羊のホルマリンだけでも見れたらいいやと思ってたのに、薬棚や蝶々のペインティング、魚のガラスケースにスポットペインティング、、、。
中々ハーストの作品をこうしてまとめて観る機会がないので期待以上でした。
んー、やっぱ英国美術はすげーな、と初っ端から思い知らされたのであります。
この展示は11月8日まで。詳しくはコチラ


POP LIFE @ TATE MODERN

所変わってロンドンはテートモダン。
この企画展ではハーストの近年のイケてない作品が見れます(死)
だって、ホンマにあかんねんもん。
羊のホルマリンは子牛に代わり、金のフレームに大理石の台座。
子牛の爪は金に着色・・・。
はたまた薬棚はこれまたゴールドに輝き薬に代わってダイヤモンド。
やー、趣味悪ーーー。無理・・・。
どうしてこんなんになってしまったんか・・・悲し過ぎます。
当時の作品の双子の展示はちょっとおもしろかったけど。
そんなこんなでこの展覧会はとにかく「POP」をテーマにウォーホールやキース・ヘリング、バスキアなどの「本家ポップアート」の旗手と、それ以降のハーストやクーンズ、村上隆に代表されるような新たな「ポップアート」を打ち出してる企画展。
クーンズの展示は過激過ぎて、18歳未満お断りのところがちらほら。
実際リチャード・プリンスの作品が展覧会開催前に当局から公開中止命令が下る等事件もありつつ、それでも特に新鮮味の欠ける展覧会でした。来年1月17日まで。
ちなみにハーストの新作絵画展がBond Street近くにあるウォーレス・コレクション(The Wallace Collection)にて14日から開催されます。まあ、行く価値はほぼ皆無ですが蛇足で。

コレクション展は、5階の展示が結構代わってました。
アルテ・ポーヴェラやミニマリズムなどの展示が多かった。
3階は特に代わらず。コーネリア・パーカーの食器をブルドーザーで轢いてぺちゃんこにしたやつをぶら下げてる作品が展示されてましたが、それよか小屋を爆発させた作品をいい加減見せてほしいです。
そして、なんとロスコ・ルームがなくなってました!!
リバプールの方に本格的に移しちゃったのかな?返ってこないのかな?
今回その新たなロスコ・ルームを見にリバプールまで行こうとも当初は考えてましたがとてもじゃないけど予定があけられませんでした。
んー、やっぱ今年の川村記念美の展示が忘れられない。
前述のドフェイ氏のコレクションも何点か展示されてましたがそちらは特におもしろいと思うようなものはなかったので割愛。

ところでタービンホールでは10回目となるユニリバーシリーズが完成に向けて急ピッチで作業が進められてました。ミロスワフ・バウガ(Miroslaw Balka)による「HOW IT IS」という作品。
残念ながら一歩のところで見れませんでしたが、作業中の写真をいくつか。





先ほどfoglessさんの方で写真が載ってて、それを見る限りでは巨大な鉄の構造物の中に入っていって闇を楽しむような作品みたいで、僕の中での「見なくていい」ゾーンの作品っぽくてホッとしてます。だって、それだったらゴームリーの「BLIND LIGHT」で体験したあの光に身体が消えていく作品の方が体験として新しいし、闇に溶ける体験なら日本のどこの寺だか忘れたけど、真っ暗の中を手探りで歩いていって奥の岩に触れて帰って来るみたいなことをするとこがありますよね。どこやっけ?
なんしか、ここまで大きく金のかかることせんでもええやんってこと。
んー、去年といいユニリバーシリーズの質が落ちてる気がする・・・。
まあ、実際見てへんのでなんとも言えへんけど、写真で見る限りはそんな感じ。
それよか一昨年のドリスの作品の跡が残ってたのはとても嬉しかった。
テートの館長が彼女の作品を今後美術館の傷跡として残すと当時語っていたけど、真にやってくれてたのがうれしかった。

<関連記事>
The Unilever Series 2009
The Unilever Series 2008
Doris Salcedo @ Tate Modern
Carsten H�ller @ Tate Modern
Rachel Whiteread "EMBANKMENT" @TATE MODERN


あとはホーンチ・オブ・ベニスン(Haunch of Venison)サーチギャラリー(Saatch Gallery)の新スペースを見てきました。
ホーンチは、もはや商業ギャラリーの域を超えてます。
昨年にローヤルアカデミーの裏に移ってきたのだけど広過ぎ!
僕がいた頃はZooアートフェアがやってたとこです。
クリスティーズが2007年から運営してるらしいけど規模が違います。
ベルリンやNYにも進出してるけど、NYのなんてロックフェラーセンター内ですよ?
そもそも最初にロンドンにやってきた頃からホーンチの登場は鮮烈で、なんせ前述のドフェイギャラリーのあった場所をそのまま使ってたのだから驚き。伝説と言われたギャラリーの後にいきなり進出してきて、そっから今のスペース。。。
それがたった7年で今に至ってるんだからもうわけがわかりません。
ちなみに今のスペースは2011年までで、それ以降は新たに着工中の新スペースに移るそうですが、その3年間で払った金額は実に400万ポンド。円計算は自分でしてみてください。大体今のポンドで150円ぐらいかな。
観に行った時はジャッドやフレイヴィン等アメリカのミニマリストやギュンター・ユッカーの展示がやってて、美術館で見てるのと大差ありません。あれらを実際に買う人がいるのか?恐ろしい世界です。
そしてついに昨年オープンしたサーチギャラリー。
こちらもギャラリーの域はとっくに越えてます。
当初2006年に開くとか言いながら延びに延びてようやくオープン。
チェルシーの超ポッシュなエリアの大きな建物まるまる。
ギャラリーの前には大きな芝が広がり、散歩中の人々がちらほら。
中は外と打って変わって完全にリノベーションされててちょっとがっかり。
中では「ABSTRACT AMERICA」というサーチの新たなアメリカ作家のコレクション展が催されてましたが、びっくりするぐらいおもしろいと思える作品がなかった。。。
そういや、今ホーンチがあるスペースで3年前「USA TODAY」というサーチのコレクション展がやっていたのだけど、あの展覧会はすごくおもしろかったのになー。
にしても企画展の会期が長い。今回のだって5月からやってるのに来年の1月まで続く。その後続々とアナウンスされてて、一体何年後まで決まってるのだろう。。。
地下にはその企画展とは関係なく昨年国立国際でやってた「アヴァンギャルド・チャイナ」展にも出てた、スン・ユァン&ポン・ユゥの「老人ホーム」が展示されてました。これはオープニング展の中国アート展のなごりかしら。いい作品ですが、車椅子が柱にぶつかりまくって、柱が大変なことになってました笑
そんな2つのメガニュースペースのお話でした。
関連記事>>Charls Saatch & Jay Jopling

行ってきます。

突然ですが、あと半日ほどで僕は空の上の人になります。

2年ぶりの彼の地へ。

こんなのや


こんなの


はたまたこんなの


たくさんいいもの見て報告します。

12日に帰還予定です。

それまでさよならー。
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