名和晃平「Transcode」@Gallery Nomart

待望の名和さんの個展に行ってきました。
事前に画像を見てしまっていたのですが、その内容が正直僕的にはいまいちで、どうなんかなぁって感じで観に行ったんですが、予想に反してよかったです。
名和さんの原点と未来を同時に見せてくれるような新展開。
原点というのは、名和さんが当初から唱えているPix-Cellという概念。
これは僕が説明するまでもないので割愛。
その概念を改めて問い直すような新作は、なんと液晶テレビをビーズで覆うというもの。テレビには映像が映っているんですが、ビーズを通すと液晶のRGBが解体されるんですね!!これがすごい効果になってて、僕が予想してた見え方と違ったので純粋に驚き。しかも内容はインターネットで「名和晃平」と検索した時に出て来るテクストや画像。名和晃平本人の画像が流れてるやつもあって、すごいラディカルな作品だなぁと感心。
そもそもネット上の像を現実世界で再びピクセルに解体するのがビーズの作品の原点だっただけに、そのネットの情報そのものを解体するという行為にこの時点で取り組み始めたのは大変興味深いです。
ただ、僕が事前に見てイマイチだったのが、テレビのフレーム。やはりそこだけ映像ではなく物質だし、しかも裏は熱を逃がす必要からビーズが貼られていない。これはまだまだやりがいのある作品だと思う。企業とのコラボなんてのもまだまだありそう。
そして奥の部屋では名和さんが近年扱ってるドットがすごい勢いで動いてる映像が床一面に投影されてる。中に一歩踏み出すのがすごい大変。地面が揺れてるように見える。
自分の影が真っ黒になるのもおもしろい。
映像を裏から投影して、さらに表面をビーズで覆うような展開とかありえるんかな。
とにかく色んな展開を思わせる名和さんの新たな一歩を感じる展覧会。
「途中経過」と言ってしまえばそれまでだけど、作家と共に作品の進化を歩んで行けるのも現代美術の醍醐味と思えば、やはりまだまだ目が離せない作家です。
10月17日までなので是非。詳しくはコチラ。
ところで会場にエルメスの冊子が置いてあったので、直接エルメスに電話して取り寄せようとしたら、あくまで会場でとのことらしい。じゃあ次の展覧会はいつなんですか?と聞くと未定とのこと。呆れてものも言えなかった。
そもそも会期終了直前まで冊子が出来上がらずに、最後の方に来訪した人だけに配って、あとは知らんみたいな態度はどうなの?あそこまで大きなメゾンがまさか冊子を送る送料や手間を省きたいなんて思ってないとは思うが、普通なら二つ返事で送ってくれるようなもんだ。そもそもここは公式HPもないし、本当にやる気があるのだろうか?かなり疑問。
ちなみにその冊子の後半の写真はこれまた先輩が撮ったやつです。
欲しいなー。
<関連記事>
名和晃平「L_B_S」@エルメス銀座
名和晃平講演会「名和晃平の"アート"」@京都精華大学
名和晃平「TORSO」@nomart project space
「ある風景の中に」@京都芸術センター

これは本当におもしろい展覧会!
芸術センターをめいっぱい使った楽しい展示でいっぱいです。
まずは入口で岡田一郎さんの作品がお出迎え。
アクリルボックスの中に砂が敷かれててたまに犬の声が聞こえる。
後ろには写真が展示されてるが、日本やのに表示が英語だったりドイツ語だったり。
これは風景を組み替えたり、1部だけを持って来るというプロジェクト。
そして、廊下には写真のように色とりどりの風車(?)が高速で回ってる。
そのまま導かれるようにギャラリー南に。
アクリルボックスの中で様々なものがこれまた高速で回ってる。
これらは矢津吉隆さんの作品で、会場に鳴ってる不思議な音がニシヅマ・アツシの作品。まさか2人の作品とは思えないぐらい調和している。
かなりかっこいい展示。
ギャラリー北に向かう途中のワークショップルームでは梅田哲也さんの、なんというかカオスが広がってた笑 洗濯機、ホース、黄色い風船、バケツ、扇風機、、、様々なオブジェが。。。これは見てもらわないと説明のしようがないんやけど、滅茶苦茶楽しい作品。すごいよかった。
ギャラリー北では藤枝守さんの微量の電気を流すことで小さく震えるコードが銅板に当たって小さな音を立てる繊細なインスタレーション。緊張感が半端なかった。
2階に向かうまでのスロープではピンポン球が転がってきて、上を見たら子供がキャッキャキャッキャ言いながらピンポン球転がしてた笑 どこまでが作品?
屋上。初めて行ったけど茶室みたいなんがあってびっくり。なんだこのセンターは・・・。そこでの藤枝さんの作品は風で震えることで鳴るというものだったけど、風があまり吹いてなかったので最後まで音を奏でることがなかった。。。
そんなこんなで、このセンター全体を使ったとても楽しい展示。
僕が行った日は梅田さんの色んな音を鳴らすワークショップが開催されてて、参加者の方々がボールとすり棒で不思議な音を奏でてるのがシュールやった笑
10月18日まで!ここはいつも革新的な展示が見られる。
次の碓井さんの展示も楽しみや。
近くのムロマチアートコートへ。
今は京都芸大の大学院の彫刻専攻の学生の展覧会がやってます。
八木さんが出品されてたので覗いてみました。
前にこの展覧会を観たことがあるのですが、その時はあまりおもしろくなく、何がやってるのかもわからず見てたので、最初何か趣味でやってるのかと思った程の出来で、後で京芸の大学院生の展示だとわかって驚愕したのですが、今年は中々レベルが高く、面白い作品が多かったです。
ただ、キャプションが会場のみだったので、今手元に何の資料もなくどの作品が誰の作品かまったくわからないのでどう書けばいいのかと悩み中。
とりあえずよかった作品の概要だけ。
会場で八木さんと受付されてた方!名前聞いたのにすっかり忘れてます。人の名前が覚えられない病気なんです。許してください。その方のトイレットペーパーを編んで作り上げる作品が工芸的でおもしろかった。聞くと見た目と違って全然時間がかからないらしい。これならいつ以来が来てもオーライですね。
あとクジャクの羽をつけたコラージュのような作品とか、色々。
八木さんのは音楽に街中のライトの点滅が合わせてる映像で、見ながらあまりの合い具合に笑いそうになった。でも実際音楽聞きながら歩いてると、信号の点滅とかが音楽にばっちりあったりする瞬間ってありますよね?そういう気持ちよさみたいなのを素直に作品にしてる感じがして八木さんの作品はいつもまっすぐな印象を受けて好感が持てる。
これからも色々見続けたい作家さんです。今週日曜まで!
関連記事>>八木良太「制作と実験」@京都市立芸術大学新研究棟1階立体1教室
この日は他にギャルソン京都店のシャーマン展や、大舩さんの展示などを見る予定が、すっかり失念・・・鬱。