名和晃平「Transcode」@Gallery Nomart

待望の名和さんの個展に行ってきました。
事前に画像を見てしまっていたのですが、その内容が正直僕的にはいまいちで、どうなんかなぁって感じで観に行ったんですが、予想に反してよかったです。
名和さんの原点と未来を同時に見せてくれるような新展開。
原点というのは、名和さんが当初から唱えているPix-Cellという概念。
これは僕が説明するまでもないので割愛。
その概念を改めて問い直すような新作は、なんと液晶テレビをビーズで覆うというもの。テレビには映像が映っているんですが、ビーズを通すと液晶のRGBが解体されるんですね!!これがすごい効果になってて、僕が予想してた見え方と違ったので純粋に驚き。しかも内容はインターネットで「名和晃平」と検索した時に出て来るテクストや画像。名和晃平本人の画像が流れてるやつもあって、すごいラディカルな作品だなぁと感心。
そもそもネット上の像を現実世界で再びピクセルに解体するのがビーズの作品の原点だっただけに、そのネットの情報そのものを解体するという行為にこの時点で取り組み始めたのは大変興味深いです。
ただ、僕が事前に見てイマイチだったのが、テレビのフレーム。やはりそこだけ映像ではなく物質だし、しかも裏は熱を逃がす必要からビーズが貼られていない。これはまだまだやりがいのある作品だと思う。企業とのコラボなんてのもまだまだありそう。
そして奥の部屋では名和さんが近年扱ってるドットがすごい勢いで動いてる映像が床一面に投影されてる。中に一歩踏み出すのがすごい大変。地面が揺れてるように見える。
自分の影が真っ黒になるのもおもしろい。
映像を裏から投影して、さらに表面をビーズで覆うような展開とかありえるんかな。
とにかく色んな展開を思わせる名和さんの新たな一歩を感じる展覧会。
「途中経過」と言ってしまえばそれまでだけど、作家と共に作品の進化を歩んで行けるのも現代美術の醍醐味と思えば、やはりまだまだ目が離せない作家です。
10月17日までなので是非。詳しくはコチラ。
ところで会場にエルメスの冊子が置いてあったので、直接エルメスに電話して取り寄せようとしたら、あくまで会場でとのことらしい。じゃあ次の展覧会はいつなんですか?と聞くと未定とのこと。呆れてものも言えなかった。
そもそも会期終了直前まで冊子が出来上がらずに、最後の方に来訪した人だけに配って、あとは知らんみたいな態度はどうなの?あそこまで大きなメゾンがまさか冊子を送る送料や手間を省きたいなんて思ってないとは思うが、普通なら二つ返事で送ってくれるようなもんだ。そもそもここは公式HPもないし、本当にやる気があるのだろうか?かなり疑問。
ちなみにその冊子の後半の写真はこれまた先輩が撮ったやつです。
欲しいなー。
<関連記事>
名和晃平「L_B_S」@エルメス銀座
名和晃平講演会「名和晃平の"アート"」@京都精華大学
名和晃平「TORSO」@nomart project space
「ある風景の中に」@京都芸術センター

これは本当におもしろい展覧会!
芸術センターをめいっぱい使った楽しい展示でいっぱいです。
まずは入口で岡田一郎さんの作品がお出迎え。
アクリルボックスの中に砂が敷かれててたまに犬の声が聞こえる。
後ろには写真が展示されてるが、日本やのに表示が英語だったりドイツ語だったり。
これは風景を組み替えたり、1部だけを持って来るというプロジェクト。
そして、廊下には写真のように色とりどりの風車(?)が高速で回ってる。
そのまま導かれるようにギャラリー南に。
アクリルボックスの中で様々なものがこれまた高速で回ってる。
これらは矢津吉隆さんの作品で、会場に鳴ってる不思議な音がニシヅマ・アツシの作品。まさか2人の作品とは思えないぐらい調和している。
かなりかっこいい展示。
ギャラリー北に向かう途中のワークショップルームでは梅田哲也さんの、なんというかカオスが広がってた笑 洗濯機、ホース、黄色い風船、バケツ、扇風機、、、様々なオブジェが。。。これは見てもらわないと説明のしようがないんやけど、滅茶苦茶楽しい作品。すごいよかった。
ギャラリー北では藤枝守さんの微量の電気を流すことで小さく震えるコードが銅板に当たって小さな音を立てる繊細なインスタレーション。緊張感が半端なかった。
2階に向かうまでのスロープではピンポン球が転がってきて、上を見たら子供がキャッキャキャッキャ言いながらピンポン球転がしてた笑 どこまでが作品?
屋上。初めて行ったけど茶室みたいなんがあってびっくり。なんだこのセンターは・・・。そこでの藤枝さんの作品は風で震えることで鳴るというものだったけど、風があまり吹いてなかったので最後まで音を奏でることがなかった。。。
そんなこんなで、このセンター全体を使ったとても楽しい展示。
僕が行った日は梅田さんの色んな音を鳴らすワークショップが開催されてて、参加者の方々がボールとすり棒で不思議な音を奏でてるのがシュールやった笑
10月18日まで!ここはいつも革新的な展示が見られる。
次の碓井さんの展示も楽しみや。
近くのムロマチアートコートへ。
今は京都芸大の大学院の彫刻専攻の学生の展覧会がやってます。
八木さんが出品されてたので覗いてみました。
前にこの展覧会を観たことがあるのですが、その時はあまりおもしろくなく、何がやってるのかもわからず見てたので、最初何か趣味でやってるのかと思った程の出来で、後で京芸の大学院生の展示だとわかって驚愕したのですが、今年は中々レベルが高く、面白い作品が多かったです。
ただ、キャプションが会場のみだったので、今手元に何の資料もなくどの作品が誰の作品かまったくわからないのでどう書けばいいのかと悩み中。
とりあえずよかった作品の概要だけ。
会場で八木さんと受付されてた方!名前聞いたのにすっかり忘れてます。人の名前が覚えられない病気なんです。許してください。その方のトイレットペーパーを編んで作り上げる作品が工芸的でおもしろかった。聞くと見た目と違って全然時間がかからないらしい。これならいつ以来が来てもオーライですね。
あとクジャクの羽をつけたコラージュのような作品とか、色々。
八木さんのは音楽に街中のライトの点滅が合わせてる映像で、見ながらあまりの合い具合に笑いそうになった。でも実際音楽聞きながら歩いてると、信号の点滅とかが音楽にばっちりあったりする瞬間ってありますよね?そういう気持ちよさみたいなのを素直に作品にしてる感じがして八木さんの作品はいつもまっすぐな印象を受けて好感が持てる。
これからも色々見続けたい作家さんです。今週日曜まで!
関連記事>>八木良太「制作と実験」@京都市立芸術大学新研究棟1階立体1教室
この日は他にギャルソン京都店のシャーマン展や、大舩さんの展示などを見る予定が、すっかり失念・・・鬱。
田中真吾「灯に照らされた闇」@ studio90 ♯3

本日を持ちまして田中真吾によるstudio90での展示が終了しました。
今回も遠路はるばる来場して頂きありがとうございました。
展覧会の様子は近々HPにアップする予定です。
今回も先輩である表さんに素晴らしい写真を撮っていただきました。
毎度ながら写真に残すのが大変です・・・。
いくつかのブログで今回の展覧会が紹介されています。
小吹隆文 アートのこぶ〆
あるYoginiの日常
ex-chamber museum
confidential memorandum of ogawama
色彩の下
また次回もよろしくお願いします!
studio90>>http://www.studio90.info/
4th Anniversary
田中恒子コレクション展@和歌山県立近代美術館

和歌山近美に初訪問!
目的はずばり田中恒子さんのコレクション展です。
田中恒子さんといえば、関西を代表する現代美術コレクター。
ご本人は美術とは関係のない大学教授で、住居学を専門とする研究者。
といっても、「よりよいくらし」と「現代美術」がつながったと考えれば自然なのかも。
「アートは心を楽しくさせるもの」。
その精神のもと、次々と作品を購入され、気づいた時には1000点を越えていたという。
どんな家なんでしょう。個人的にはおうちに直にお邪魔させていただきたいもんですが、それはまたいずれということで、そんなコレクションの多数を今回和歌山近美を使ってお披露目しちゃおうという企画。
ご本人も押し入れに眠っていた作品たちが再び日の目に会わせるということで気合い十分。なんと土日祝日はここに通いつめて本人自らギャラリートークをされてます。
僕が行った時もいらっしゃって、ギャラリートーク参加させていただきました。
最初はこんな膨大な量一点一点説明してたらめっちゃ時間かかるやんと思って、正直軽く聞いて途中から抜けようかと思ったんですが、田中さんの人柄や話術にまんまとハマってしまって、最後までおつき合いさせて頂きました。
印象的だったのは、やはりコレクターとしての誇りが半端ないということ。
私が育てたんだという自負。
実際田中さんのコレクションには作家が有名になるきっかけになったような作品が多くて、まず一点目を買ってしまうのだとか。
もちろんそれはいいと思わないと買わないし、いいと思ったものはとことんサポートしたくなるんだそうで、決して手放したりしない。近年のアートバブルで投機目的のコレクターが続出したことを考えると、ホント田中さんはコレクターのかがみです。アートへの愛。作家への愛。これらが湯水のように溢れている。決して足を向けて寝れません!
村上隆の最初のDOB君のバルーンなんかもあってびっくりしました。
あとなんといっても目玉は名和さんのノマルでのデビュー作である羊のビーズ作品ですね。これは今見ても名作だなと思います。これを最初に作ってしまったんだから驚き。もちろんクオリティは今の方が断然高いし、球の大きさも小さく、ガラス球が多いので青みがかっちゃったりしてますが、作品としての深度は既に完成形。すごいです。
内海さんの作品の前では、僕が彼の作品を初めて見たアートコートでの展覧会の話になり、「あれは私が頼みこんでできた展覧会なのよ!」と鼻息荒くおっしゃられててびっくり笑 田中様さまさまでございます。。。
あと同年代の水田君(アトリエ一緒!)や、染谷君の作品なんかもすでに購入済み。
また、野村仁さんのガラスの作品はめちゃくちゃ美しかった!!
こんなのが家に普通に置いてあるなんて。。。贅沢の極みですね。
他にもたくさんたくさんありますが紹介しきれないんでこれぐらいに。
これでもコレクションの6割程度だとか。。。あと4割もあるのか・・・。
春に東京で見た高橋コレクションもコレクターの凄さを味わえる展覧会でしたが、こちらは田中さんの温かいお人柄が表れているというか、まったく嫌みのない展覧会でした。現代美術ファンのみならずアーティストの方々も是非見ておくべきかもしれません。
ちなみにこの美術館はコレクションも秀逸。
杉本博司の「海景」やトーマス・ルフの作品なんかもあるし、なんといってもロスコの作品はすばらしすぎる。あの一点で場を引き締めてる。
にしても建築がめちゃださい・・・黒川記章だっけ?
田中恒子コレクション展は11月8日まで!詳細はコチラ。
THREE DUBS @ 神戸ヴィレッジアートセンター
10年続いたアートアニュアルを引き継ぐように昨年から始まった1floorという企画。規模はセンターの1階だけと、アニュアルに比べたら縮小したものの、力のある若手を紹介するという精神はそのままに生まれ変わりました。
昨年のは残念ながら見てませんが、今年は友人の芳木麻里絵(以下まりえちゃん)が出してたので観に行ってきました。
作家は前述のまりえちゃんに加え、平田さちさんと井上賢治君。
井上くんなんか1986年生まれ。激若です。
で、その2人の作品は、さりげなさすぎて最初まりえちゃんの個展になったんかと思ったぐらい・・・。平田さんは床に貼られた色とりどりのカッティングシートやし、井上君は「作業中」を再現したインスタレーションで、言われないと気づかない。。。
井上君のは確かにセンスを感じるけど、あざとさも感じちゃう人は感じちゃうかも。
平田さんのが一番よくわからなかった。
そんな中まりえちゃんはバリバリの正当派って言っちゃうと御幣があるけど、すごく作品然としてるので、逆に浮いちゃってるといえばそうやし、でもまあ同時に持って行ってる感もあり。
まりえちゃんは相変わらずシルクスクリーンのインクを積み重ねた「立体」と「平面」の間を行き来するような独創的な世界観で、これまた美しすぎる。
立誠小学校でも発表してたリトグラフをシルクスクリーン化した作品も、このセンターの工房を利用してより大きなサイズに挑戦していてかなりいい感じやった。
展覧会は今月27日まで。
そのセンターから歩いて元町まで。
美容室deemに松井沙都子さんの作品を観に行きました。
松井さんとは先日居酒屋で一緒に飲んでそん時にお知らせして頂いてたんで。
かなりオサレスペースでしたが、もうこういうの慣れっ子なんで、物怖じ一切ゼロでずんずん入って行って作品だけ見て帰ってきました。ごめんねごめんねー。
で、作品なんですが、正直惜しいなと思いました。
なんだか要素が多過ぎる気がしました。
もっと要素をはぎ取っていったら見えて来るものがありそうな気がする。
画面の中で一体何を見せたいのか。
見ていて集中できないんですよね。
確かに身体の一部らしいモチーフやらも描かれてるのでどうしてもそれに目がいっちゃうんですが、だからといって何か掴めるわけでもない。
これからどういう画面を作って行かれるのか楽しみにしています。
こちらは会期が長くて来年1月上旬まで。神戸に御用のある方は是非。コチラ。
妹島和世「最新のアート・プロジェクトについて」@大阪大学中之島センター

大阪で妹島さんのレクチャーが!!
ってことで、早速予約し行ってきました。
場所は中之島の今コルテオがやってるあたり。
こんな場所にも阪大の施設があるんですね。
阪大ってんで吹田まで行かなあかんのかと思ってました。
会場はとても狭くて入れて200人ぐらい。
妹島さんぐらいの人なら1ホール借りても足りないくらいなのに・・・。
きっとたくさんの方が見れなかったはず。
でも珍しく金とられました。1000円なんで安いもんですが。
妹島さんは今年阪大の招聘教授として招かれてて、この日も講評の後そのまま講演会というスケジュール。この人のスケジュールってどうなってんねやろ・・・寝る暇あるのか?と思わず心配しちゃいます。
さて、レクチャー。
妹島さん初めて生で見たけど細い!ちっちゃい!
あんな小さな日本人が世界を席巻しているなんて・・・。
友達がSANAA事務所にインターンしてたことがあって、色々話聞いてたけど、話し方とか人柄が表れてて、今や世界を代表する建築家やのに全然おごることなくとても丁寧。
ホントに凄い人って物腰が柔らかいし丁寧ですよね。素晴らしいです。
内容ですが、ニューミュージアム(NY)、トレド美術館(オハイオ)、ROLEXラーニングセンター(ローザンヌ)、サーペンタインパビリオン(ロンドン)、そして最新のプロジェクトである北斎美術館(東京)と犬島のプロジェクト(岡山)に言及されました。
ニューミュージアムの説明でおもしろかったのが、アメリカの美術館建築ってのは、ほとんど寄付で賄われてるため、寄付の集まり具合で素材の変更やらがガンガンに行われてしまうということ。
これに対していかに柔軟に対応できるかが勝負になるみたい。
妹島さんはもっと窓を多く取りたかったみたいだけど、当初の予算の都合で窓をガンガン削られてしまって、ファサードに使われてるメッシュとの兼ね合いが難しかったのだとか。窓が多いと夜とかメッシュ越しに館内の明かりが漏れておもしろそうやけど、それが少ないと壁がただ2枚あるだけで、メッシュがただのデコレーションになってしまうんじゃないかという葛藤があったそうです。
しかしまあもう決まってしまったことなので、実際そのままメッシュを張ってみた所面白い具合に風景に溶ける様子に本人も驚いたそう。
また、アメリカは建築の規定が変わることがあるらしくて、現行の規定でどこまで勝負できるかが鍵となるらしく、今回は規定ギリギリまで斜めにしたとか。
この建物は箱をズラすことで自然光を取り入れたり、外部と何かしらの関係を築くことが重要だったそうで、フロアを文節することで、周囲の低層の風景に馴染ませる狙いもあったとか。確かに周りには美術館以外高い建物はないのだけど、あまり浮いてないのが凄い。
あと、メッシュに関してモックアップ(原寸大実験)があるんやけど、海外ではこのモックアップ費用がちゃんと予算に組み込まれてて、日本ではほとんどないそうな。「プロなんだからそんなんせんでも大丈夫やろ」ってことなんでしょうか。ただ、その分実際の費用が削られたりして痛い部分もあるそうです。
トレド美術館では、ガラスは全部寄付で、とにかくガラスを多用した建築を依頼されて、できたのが四角の箱の中にシャボン玉のようにガラスの部屋が詰め込まれた形。
ガラスとガラスが層をなすことで不透明になったり、不思議な光景が見られるのだそう。この経験が鬼石につながったのでしょうか。
妹島さんは当初もっと透明になると思ってたそうですが、西沢さんに言わせるとガラスをあそこまで重ねて透明になるわけないじゃんということです笑
しかし一番僕が驚いたのはROLEXのラーニングセンターですね。
今回のレクチャーでも、他の建築が風景に溶けるような「軽い建築」なのに対して、この建築はあまりに「強い建築」だと感じました。
特にコンクリを打ってる様は圧巻。これは観に行きたい!
なんだか伊東さんのぐりんぐりんを想起させます。
ワンルームなんだけど勾配がついてることで全体を見渡すことが出来ない。
でもちゃんと全体を感じることができる。
多分ここでの空間体験は中々新しいものになるんじゃないかと思います。
僕の中でSANAA建築NO.1になってしまうかもしれない。
来年完成ということで行ってみたいなぁ。。。。
北斎美術館はこれまた溶ける建築で、ファサードは鏡面アルミ。
形が妹島さんにしてはソリッドで、ちょっとわかりにくかった。
棟が切れてるようで繋がってる感じは大倉山のアパートの発展でしょうか。
これはまだ設計段階なのでまだまだ変更の余地あり。
犬島のプロジェクトは、夏に小山等で見てもよくわからなかったけど、どうやら島内に10個ほどの建物を建てたりリノベーションするプロジェクトなんですね。
これは出来たら凄いですね。妹島ファンは鼻血ものだと思います。
なんせこの小さな島で妹島建築が一気に10個も見れちゃうわけですから笑
島内には三分一さんの精錬所美術館もあるし、瀬戸内海はすごいことになってます。
この犬島は島民が53人、平均年齢75歳という島。
そんな島の再生を担う有意義なプロジェクトなわけです。
妹島さんもかなり苦心されてるようで、なんせ10ものバリエーションは半端な想像力じゃないです。しかも島内に運べる資材の大きさってのが限られてるのでその制限の中でどう建築を作るのか。妹島さんの中でもかなり挑戦的なプロジェクトだと思います。
素材は木、アルミ、アクリルの3つ。
全てが完成するのは2012年とのこと。楽しみです。
とまあ、ざっとこんな感じ。
プロジェクトを本人の口から説明されるのはすごくわかりやすかったです。
時間の都合で質問できなかったけど、やはりあのROLEXが気になって仕方がない。
どう見ても他の作品とROLEXは違う感じがするし、あの作品は妹島さん及びSANAAにとってとても重要な作品になることは間違いないと思う。
あそこで何か心境に変化はなかったのだろうか。
それ以降の作品を見ても、あの建築は無視されてるというか、ほとんど影響が見られず、相変わらず「軽い建築」を作り続けている。
僕としてはSANAAの作る「強い建築」をもっと見てみたいし、そろそろ何か変化が欲しい。その点でROLEXの作品は今後のSANAAの活動を占う意味でも重要だと思う。
あと印象的だったのがやっぱり妹島さんのおおらかな雰囲気。
「こうじゃないといけない!!」って感じがあまりなくて、ニューミュージアムのメッシュにしても、トレドのガラスにしても、「あ、そうなるのね。へぇ、おもしろい」みたいな、すごい客観的というか、いやいやあなたの建築ですから!とつっこみたくもなる笑
でもそのおおらかさこそが世界を席巻し続けている1つの鍵なのかもしれない。
今度は西沢さんの講演会が聞きたいなー。
<関連記事>
大倉山の集合住宅 by 妹島和世
鬼石多目的ホール by 妹島和世
梅林の家 by 妹島和世
ガーデンコート成城 by 妹島和世
県営住宅ハイタウン北方(2000) by 妹島和世
熊野古道なかへち美術館 by SANAA
Novartis Campus 4 by SANAA
海の駅なおしま by SANAA
鴻池朋子「インタートラベラー 神話と遊ぶ人」@東京オペラシティアートギャラリー
またも日帰り東京弾丸ツアー。
もはや今年何度目なのかわからない。
目的は別にあったが、「ついでに」アートも回ってきた。
「ついでに」な量ではないけどご紹介。
つき合ってくれたK氏ありがとう。次の日は筋肉痛かな。

そんな強行軍の中でも最も見甲斐のあった展示が鴻池朋子の展覧会。
話題にはなっていたけどここまでとは。
今まで見たオペラシティの展示の中でもかなり成功していた展覧会だった。
ここの展示室の構成はあまりに大雑把過ぎてすごく難しいと思う。
その分アーティスト1人の個展の場合その力量が試されるというもの。
今回鴻池さんは見事にこの展示室を自分のものにしていた。
この展覧会を回っていて、元の展示室を知っているにも関わらず、幾度となく自分がどこにいるのかわからなくなる瞬間があった。
この「どこかわからなくなる」という感覚を持たせるのは相当な力量。
元々鴻池さんのインスタレーションセンスを知っているだけに、かなり期待してはいたけどここまでとは。後半の赤ん坊のミラーボールに辿り着いた時にはもう完全に鴻池ワールドに没頭してしまっていた。
これは1つの物語に入って行く旅である。
邪念は捨てて、素直にそこに入り込んだもん勝ち。
踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損というわけ。
部屋に入って行く度に1枚、また1枚と心の鎧をはぎ取られる感覚。
見終わった後の清々しさはそう味わえるもんじゃない。
いやぁ、ええもん見させてもらいました。
鹿児島の展示もえらい気になる・・・遠いな・・・。
コレクション展では伊庭さんや小西さんの絵画も見れてよかった。
オペラシティの展示は9月27日まで。コチラ。
鹿児島の展示は10月9日から12月6日まで。コチラ。
関連記事>>鴻池朋子展@大原美術館・有隣荘/児島虎次郎館
杉本博司「Lightning Fields」@ギャラリー小柳
やっぱ杉本博司はすごい。
そう思わざるを得ない凄まじい作品。
金沢・大阪で発表された「放電場」はまだまだ途中段階だったんだな、と思える。
今回その「放電場」の新たな展開が見られます。
空中放電ではなく水中放電。
杉本氏が辿り着いた究極の美の世界。
特にエレベーター降りて奥に見える大画面。
もう遠くから見ても近くから見ても美しい。
こんなに「美しい」を連発しちゃうくらい美しい作品。
この人には限界がないのか・・・。恐ろしい。
これまた伊豆で杉本氏自ら手がけた空間で新作を発表するらしい。
できるだけ時間見つけて行きたいと思う。
小柳の展示は10月10日まで。
伊豆の展示は10月26日から来年3月16日まで。コチラ。
<関連記事>
杉本博司「歴史の歴史」@国立国際美術館
杉本博司「歴史の歴史」@金沢21世紀美術館
Hiroshi Sugimoto @ K20
光 松本陽子/野口里佳@国立新美術館
これも中々よかった展覧会。
たくさんの人の疑問だと思うけど、なんでこの2人?っていうこと。
松本さんは抽象画。野口さんは写真。
年代も技法も違う2人の展覧会なだけにたくさんの疑問があると思う。
でも、単純にキュレーターが好きな作家だったからってことに尽きると思う。
そして僕的はにはそういう個人的なキュレーションもたまにはありなんじゃないかと。
それならそれでもっと割り切って「光」なんてまどろっこしいタイトルなんか付けなければいいのにと思う。光なんてのは全ての表現が身に纏ってるわけで、特別この2人が追い求めてるわけでもない。
一人一人別々の展示空間にして個展形式にしてるのもよかった。
2人展だからといってランダムに展示されると集中力を失ってしまう。
こうやって一人一人の世界にのめり込めるのはとてもいいこと。
ということでまずは野口さんの展示室にゴー。
初期の「フジヤマ」から始まり、「星の色」、「太陽」、「マラブ」など、野口さんの代表作がこれでもかこれでもかと見られておなかいっぱいになる。
途中の「水をつかむ」は初見だったけどとてもよかった。
野口さんの作品すべてに通じるものとして、つかめないものをつかもうとしてる感覚を得ることができる。まるで届かない空に手を伸ばすように。
空に手を伸ばそうと日本で最も高い所に登ったり、太陽を直視したり。
新作「飛ぶ夢を見た」では手製のロケットを飛ばして写真を撮っているらしくて、これがすごくきれいで、まるで木漏れ日のような抽象的な写真。
先日の皆既日食の写真もあったり、新旧野口ワールド全開である。
一方松本さんの展示もよかった。
恥ずかしながら僕は松本陽子さんという作家を初めて知ったわけだけど、とてもいい色だなぁと思った。ピンクや緑ってこんなに綺麗な色やったんやと改めて思う。
天井高が高い広い展示室だけにその魅力は3割増ぐらいになってそうだけど。
作家紹介を読むと、ピンクの絵画などはアクリルで描かれていて、なんと一日で仕上げるそうだ。そして床置きで描かれているので、キャンバスの端は垂れた絵の具が垣間みられる。
近年は緑の絵画のように油彩にも挑戦してるらしい。
黒の絵画は残念ながら色がくすんでこの人の色感覚に合ってないように思えた。
そんなこんなで、いい作品がたくさんみれる展覧会。
図録が1冊1100円という安さ。野口さんのだけ買いました。松本さんのような抽象画は図録買って見ても何も伝わらないので買いませんでした。セットで2000円でしたが。
アイ・ウェイウェイ展ー何に因って?@森美術館

友人がえらく高く評価してたので観に行ってみました。
アイ・ウェイウェイの名を初めて知ったのはやはり一昨年のドクメンタ。
1001人の中国人を引き連れてカッセルに登場したり、北京オリンピックの「鳥の巣」をヘルツォーグ&ド・ムーロンと共同設計したり規模のでかい作家。
中国では日本の村上隆的存在なわけだけど、同時に彼はそのラディカルな言動などから政府から睨まれる存在で、彼のブログなどは何度も消されたりしてるらしい。
なので意外にも本国ではここまで大きな展覧会を開いたことがないそうな。
全体的な感想から述べると、あまりに整理され過ぎてておもしろくないというのが正直なところでしょうか。んー、カテゴリーとかもうわかりやすすぎるんですよね。
確かにそのカテゴリー通りに見るとすごく理解が簡単で、3分でわかる◯◯みたいな展覧会になっちゃってるのが残念すぎました。
作家的にはこれでオッケーだったのでしょうか?
見ててもやっぱ何も感じなかったし、心が凪のような状態になる。
彼の作品を見た時のこの凪状態。友人はこれを凄く評価していたけれど。
写真オッケーやったけど、1枚も撮る気にならずに終わっちゃいました。
とりあえず入口をパシャリ。
ところで最後のMAM PROJECTSの小泉明朗さんは、どっかで聞いたことあるなぁと思ったら僕がロンドンのチェルシーにいた頃にOB生としてレクチャーしにきた人やった。
関連記事>>DOCUMENTA 12
米田知子「Rivers become oceans」@ShugoArts
昨年のバングラディッシュビエンナーレに出品したバングラディッシュをテーマに制作された作品たち。何気ない日常の中に潜む歴史や天地災害などが垣間みられる。
作品はともかく、相変わらずこのビルに入ってるギャラリーはよほど顧客以外に関心がないのか、作品見てる側から平気で電話しながらギャラリーの寸法の確認とかしだしてしまうのが残念。
隣のタカイシイに関してもそうだけど、作品をわかってもらおうという気がサラサラないみたい。せっかくエルムグリーン&ドラッグセットの新作に、様々なデザイナーがコラボしてるっていうのに、どれがどのデザイナーのものなのかもわからないまま。川久保さんのは一体どれだったんだろう。
他にもこのビルでは田中敦子やオノデラユキなどトップクラスの作品は見れるけど、行くとこ行くとこ態度が悪くて全然見る気がしませんでした。
なんか米田さんの感想じゃなくなってしまった。不満たらたら。
あとは、所沢ビエンナーレにも行きました。
正直場所負けしてる作品が多くて残念。
ってか場所が凄過ぎます。日本じゃないみたいな風景。
これも作品かな?と思ったらただの雨漏り対策やったり。
結局ケンジタキの作家は力あるなあという感想。
手塚愛子さんや横内賢太郎さん、そして村岡さんに遠藤さんのようなベテラン。
それから、杉本展に行くのに方向間違えて行った資生堂ギャラリーの女性作家の展覧会も中々豪華でした。展示はちょっと無茶な気もしたけど・・・。
あとはscaiの森万里子展にも行きたかったがタイムアップ。
そんな感じ。疲れたー。
もはや今年何度目なのかわからない。
目的は別にあったが、「ついでに」アートも回ってきた。
「ついでに」な量ではないけどご紹介。
つき合ってくれたK氏ありがとう。次の日は筋肉痛かな。

そんな強行軍の中でも最も見甲斐のあった展示が鴻池朋子の展覧会。
話題にはなっていたけどここまでとは。
今まで見たオペラシティの展示の中でもかなり成功していた展覧会だった。
ここの展示室の構成はあまりに大雑把過ぎてすごく難しいと思う。
その分アーティスト1人の個展の場合その力量が試されるというもの。
今回鴻池さんは見事にこの展示室を自分のものにしていた。
この展覧会を回っていて、元の展示室を知っているにも関わらず、幾度となく自分がどこにいるのかわからなくなる瞬間があった。
この「どこかわからなくなる」という感覚を持たせるのは相当な力量。
元々鴻池さんのインスタレーションセンスを知っているだけに、かなり期待してはいたけどここまでとは。後半の赤ん坊のミラーボールに辿り着いた時にはもう完全に鴻池ワールドに没頭してしまっていた。
これは1つの物語に入って行く旅である。
邪念は捨てて、素直にそこに入り込んだもん勝ち。
踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損というわけ。
部屋に入って行く度に1枚、また1枚と心の鎧をはぎ取られる感覚。
見終わった後の清々しさはそう味わえるもんじゃない。
いやぁ、ええもん見させてもらいました。
鹿児島の展示もえらい気になる・・・遠いな・・・。
コレクション展では伊庭さんや小西さんの絵画も見れてよかった。
オペラシティの展示は9月27日まで。コチラ。
鹿児島の展示は10月9日から12月6日まで。コチラ。
関連記事>>鴻池朋子展@大原美術館・有隣荘/児島虎次郎館
杉本博司「Lightning Fields」@ギャラリー小柳
やっぱ杉本博司はすごい。
そう思わざるを得ない凄まじい作品。
金沢・大阪で発表された「放電場」はまだまだ途中段階だったんだな、と思える。
今回その「放電場」の新たな展開が見られます。
空中放電ではなく水中放電。
杉本氏が辿り着いた究極の美の世界。
特にエレベーター降りて奥に見える大画面。
もう遠くから見ても近くから見ても美しい。
こんなに「美しい」を連発しちゃうくらい美しい作品。
この人には限界がないのか・・・。恐ろしい。
これまた伊豆で杉本氏自ら手がけた空間で新作を発表するらしい。
できるだけ時間見つけて行きたいと思う。
小柳の展示は10月10日まで。
伊豆の展示は10月26日から来年3月16日まで。コチラ。
<関連記事>
杉本博司「歴史の歴史」@国立国際美術館
杉本博司「歴史の歴史」@金沢21世紀美術館
Hiroshi Sugimoto @ K20
光 松本陽子/野口里佳@国立新美術館
これも中々よかった展覧会。
たくさんの人の疑問だと思うけど、なんでこの2人?っていうこと。
松本さんは抽象画。野口さんは写真。
年代も技法も違う2人の展覧会なだけにたくさんの疑問があると思う。
でも、単純にキュレーターが好きな作家だったからってことに尽きると思う。
そして僕的はにはそういう個人的なキュレーションもたまにはありなんじゃないかと。
それならそれでもっと割り切って「光」なんてまどろっこしいタイトルなんか付けなければいいのにと思う。光なんてのは全ての表現が身に纏ってるわけで、特別この2人が追い求めてるわけでもない。
一人一人別々の展示空間にして個展形式にしてるのもよかった。
2人展だからといってランダムに展示されると集中力を失ってしまう。
こうやって一人一人の世界にのめり込めるのはとてもいいこと。
ということでまずは野口さんの展示室にゴー。
初期の「フジヤマ」から始まり、「星の色」、「太陽」、「マラブ」など、野口さんの代表作がこれでもかこれでもかと見られておなかいっぱいになる。
途中の「水をつかむ」は初見だったけどとてもよかった。
野口さんの作品すべてに通じるものとして、つかめないものをつかもうとしてる感覚を得ることができる。まるで届かない空に手を伸ばすように。
空に手を伸ばそうと日本で最も高い所に登ったり、太陽を直視したり。
新作「飛ぶ夢を見た」では手製のロケットを飛ばして写真を撮っているらしくて、これがすごくきれいで、まるで木漏れ日のような抽象的な写真。
先日の皆既日食の写真もあったり、新旧野口ワールド全開である。
一方松本さんの展示もよかった。
恥ずかしながら僕は松本陽子さんという作家を初めて知ったわけだけど、とてもいい色だなぁと思った。ピンクや緑ってこんなに綺麗な色やったんやと改めて思う。
天井高が高い広い展示室だけにその魅力は3割増ぐらいになってそうだけど。
作家紹介を読むと、ピンクの絵画などはアクリルで描かれていて、なんと一日で仕上げるそうだ。そして床置きで描かれているので、キャンバスの端は垂れた絵の具が垣間みられる。
近年は緑の絵画のように油彩にも挑戦してるらしい。
黒の絵画は残念ながら色がくすんでこの人の色感覚に合ってないように思えた。
そんなこんなで、いい作品がたくさんみれる展覧会。
図録が1冊1100円という安さ。野口さんのだけ買いました。松本さんのような抽象画は図録買って見ても何も伝わらないので買いませんでした。セットで2000円でしたが。
アイ・ウェイウェイ展ー何に因って?@森美術館

友人がえらく高く評価してたので観に行ってみました。
アイ・ウェイウェイの名を初めて知ったのはやはり一昨年のドクメンタ。
1001人の中国人を引き連れてカッセルに登場したり、北京オリンピックの「鳥の巣」をヘルツォーグ&ド・ムーロンと共同設計したり規模のでかい作家。
中国では日本の村上隆的存在なわけだけど、同時に彼はそのラディカルな言動などから政府から睨まれる存在で、彼のブログなどは何度も消されたりしてるらしい。
なので意外にも本国ではここまで大きな展覧会を開いたことがないそうな。
全体的な感想から述べると、あまりに整理され過ぎてておもしろくないというのが正直なところでしょうか。んー、カテゴリーとかもうわかりやすすぎるんですよね。
確かにそのカテゴリー通りに見るとすごく理解が簡単で、3分でわかる◯◯みたいな展覧会になっちゃってるのが残念すぎました。
作家的にはこれでオッケーだったのでしょうか?
見ててもやっぱ何も感じなかったし、心が凪のような状態になる。
彼の作品を見た時のこの凪状態。友人はこれを凄く評価していたけれど。
写真オッケーやったけど、1枚も撮る気にならずに終わっちゃいました。
とりあえず入口をパシャリ。
ところで最後のMAM PROJECTSの小泉明朗さんは、どっかで聞いたことあるなぁと思ったら僕がロンドンのチェルシーにいた頃にOB生としてレクチャーしにきた人やった。
関連記事>>DOCUMENTA 12
米田知子「Rivers become oceans」@ShugoArts
昨年のバングラディッシュビエンナーレに出品したバングラディッシュをテーマに制作された作品たち。何気ない日常の中に潜む歴史や天地災害などが垣間みられる。
作品はともかく、相変わらずこのビルに入ってるギャラリーはよほど顧客以外に関心がないのか、作品見てる側から平気で電話しながらギャラリーの寸法の確認とかしだしてしまうのが残念。
隣のタカイシイに関してもそうだけど、作品をわかってもらおうという気がサラサラないみたい。せっかくエルムグリーン&ドラッグセットの新作に、様々なデザイナーがコラボしてるっていうのに、どれがどのデザイナーのものなのかもわからないまま。川久保さんのは一体どれだったんだろう。
他にもこのビルでは田中敦子やオノデラユキなどトップクラスの作品は見れるけど、行くとこ行くとこ態度が悪くて全然見る気がしませんでした。
なんか米田さんの感想じゃなくなってしまった。不満たらたら。
あとは、所沢ビエンナーレにも行きました。
正直場所負けしてる作品が多くて残念。
ってか場所が凄過ぎます。日本じゃないみたいな風景。
これも作品かな?と思ったらただの雨漏り対策やったり。
結局ケンジタキの作家は力あるなあという感想。
手塚愛子さんや横内賢太郎さん、そして村岡さんに遠藤さんのようなベテラン。
それから、杉本展に行くのに方向間違えて行った資生堂ギャラリーの女性作家の展覧会も中々豪華でした。展示はちょっと無茶な気もしたけど・・・。
あとはscaiの森万里子展にも行きたかったがタイムアップ。
そんな感じ。疲れたー。

水都大阪2009

文化不毛の地大阪が開催する文化の大イベント。
最近大阪のカルチャーシーンは悲しいニュースでいっぱいです。
最も大きいのはサントリーミュージアムの閉鎖決定ですが、他にもgrafが東京に行っちゃったり、僕の最も好きなギャラリーがギャラリー営業をやめちゃうかもしれんかったり、ちょっと前やけど関西のアートシーンには欠かせなかった雑誌Lマガジンの休刊とかKPOや大阪芸術センターの閉鎖とか。。。
大阪は文化に置いて47都道府県の中でも劣等生中の劣等生だと思います。
やっぱね、金なんですわ、金。金が全てなんですわ。
文化みたいな時間だけようさんかかるもんにかまてる暇なんてないんですわ!
ってことなんかな、やっぱり。寂しい。
そんな大阪が重い腰上げて始めたのがこの「水都」というイベント。
まあ、どんなもんかいな、とあんま期待せずに観に行ったんですが、思ったより規模がでかくてびっくりしました。
何と言っても中之島全体を使ってるのがすごい。
スタッフもかなりの数雇ってるみたいやし。ボランティアかな?
とりあえず中之島公園にあるもの紹介します。
芦澤竜一「水辺の文化座」


建築家芦澤竜一氏による舞台とか。
建築家知らんかったけど結構良かった。
近くで屋台とかやってたけど、あの小屋達もそうなんかな?
井上信太「サファリパークプロジェクトin中之島」

結構長い動物の行列。いいなー。
淀川テクニック「金チヌ」

京都芸術センターで見たやつの堂島川バージョンかな?
ヤノベケンジ「ラッキードラゴン」

寝てた笑
火を噴くのは限られた数日だけらしい。ってか明日らしい。がーん。
意外と小さい。
とまあ、中之島公園内はこんな感じ。
この水都で僕のお目当てはこちらより、昨年までの「大阪カレードスコープ」を引き継いだ「水都アート回廊」。そちらはこんな感じ。
ヤノベケンジ「トらやんの大冒険」@アートエリアB1

ヤノベケンジ「ジャイアント・トらやん」@大阪市役所

もはや「水都」ってかヤノベケンジ祭。
さっきのラッキードラゴンもそうですが、完全に飲み込んじゃってますね。
アートエリアB1は中之島線なにわ橋駅内にあるギャラリースペース。写真はスペースの外なんですが・・・。「メガロマニア」の頃の作品が多数展示されてて懐かしかった。
目玉は「ジャイアント・トらやん」でしょう。売れっ子ですね。
さすがに役所で火は噴かないでしょうが・・・。
中之島図書館にも作品がありましたがこじんまりしてました。
河口龍夫「関係-大阪」@日本銀行大阪支店

河口龍夫「関係-大阪」@芝川ビル

「水都」にちなんで水に関する作品。
この人の作品正直よくわかんないです。。。
今村源「茸的熟考」@適塾

最もこの「アート回廊」で素晴らしかった展示。
というより、ようやくここに来られた!って感動がまず大きいです。
司馬遼太郎の「花神」を読んで以来行きたいと思いつつ行きそびれてた場所。
主人公大村益次郎が通ってた医学校。福沢諭吉も在籍してたことで有名。
医学校といっても、蘭学者緒方洪庵の私邸で、とてもすばらしいお家でした。
中庭とかメチャクチャキレイ。
ここで幕末の最先端の授業が行われていたと思うと胸が熱くなりました・・・。
今村さんの作品は、その雰囲気を全く邪魔することなく、ふわふわとたゆたうような、相変わらず仙人のような作品たち。中庭の上空を覆う針金や、逆さま人間、シダ、椎茸など。今村さんならではの展示ですね。
なにせ場所が凄過ぎるだけに、ここでやるのは並の作家じゃ務まりません。
さすがです。
そういや昨年カレードスコープ回ってる時にこの辺りでお見かけしたけど、下見やったんかな?って街中でも作家の顔を感知する僕に引かないでくださいね。
今村さんは母校の立体の授業で教えられてた方なんです。
他にも朝日新聞ビルの元永定正・中辻悦子の作品や、大阪証券取引所ビルの大久保英二の作品なんかもありましたがよくわかんなかった・・・。
あと、中之島線の換気口にあるはずの祐成正徳の作品も見当たらなかった。まあこっちは常設だからいつか見つかればいっか。
とまあ、チャリこぎながらせこせこ回ったわけですが・・・。
やっぱ去年の方がよかった・・・orz
ってのが正直な感想。
とりあえず展示場所はぐっと減ったし、作家も減った。
ヤノベさんや河口さんといったベテランが数カ所で展示してたり。
民間の場所が減り、役所関係が増えたのはすごいことですが。
あのお堅い方々にアートなんてわかるんでしょうか。
まあ、それは成果と言えそうですが、規模の縮小は痛いです。
せっかくおもしろい企画なんだからずっと継続してほしいですが・・・。
冒頭にも書きましたが、大阪はアート不毛の都市です。
東京に次ぐ日本第二の都市でありながら、アートに関しては下から数えた方が早い。
「関西のアートシーン」というとそれは京都のことです。
大学がそもそも少ないということもありますが、それにしてもです。
なので、カレードスコープはその不毛の地の中でも輝かしい存在なんですよね。
いっそ開き直って、大阪は美術館を持たずに街中で随時展覧会起こせばいいんじゃないかな、とすら思います。刹那的に移り変わって行く感覚ってのは大阪人気質に合ってる気がしますし、維持費が要らないってのは大きい!どうでしょう、橋下さん。
ってまあ、大阪近美の創設は決まってしまったんですが。。。
大阪。僕の故郷なので是非がんばってほしいです。
関連記事>>大阪・アート・カレイドスコープ2008
草間彌生「増殖する部屋」@Six

ミナミにあるコムデギャルソン大阪が新たに増設したギャラリースペース。
この不況に喘ぐファッション業界で孤高の地位を占める川久保怜。
どんどん攻めて攻めて攻めまくる姿勢は凄まじ過ぎます。
そして第一発目の展示が草間彌生!
やはりドットつながりなんでしょうか笑
会場は案の定ドットに包まれてました。
ブラックライトに照らされた蛍光の色とりどりなドット達が会場を埋め尽くします。
家具やテレビ、胸像やらありとあらゆるモチーフが水玉模様。
奥にはペインティングとミラーを使った無限水玉作品。
目新しさはないものの、どっぷり草間ワールドを体感できます。11月8日まで。
ちなみに10月12日まで、ギャルソン京都店ではシンディ・シャーマンの展示があるんやって。これも時間あったら観に行きたい。
これにかこ付けてTシャツ買っちゃいました★
P&E 2009@ARTCOURT GALERY

毎年行われてる公募による展覧会。
第一期と第二期があり、今回は第二期。
知り合いの作家、山岡敏明さんが出品されてたので。
前半はあまりひっかかるものはなく、とりあえず廊下の山岡さんの作品へ。
ドローイングと映像。
ギャラリーの地下から「グチック」なる黒い塊が現れるという設定。
映像は中庭を映したものなのだが、リアルタイムで黒い塊が合成されてる。
なんだかシックスセンスのようで、自分には見えないが現実にそれが存在しているような、虚実があやふやな世界観がさらにパワーアップしてる。
ただ、ガラスに張られたシートはなんかもっといい方法があったんじゃないかなと正直思いました。中から外を見せないためとのことですが、隣は違う作家のためにあけなきゃいけないし、って感じがわかっちゃうので、グループ展でそれは難しい気がしました。
奥の部屋はがちゃがちゃ感がとてもよかった。
中でも真中の坂本千弘さんのラテックスで出来た有機的な超ロングドレスとその側にあった城崎郁恵さんのガラスを引っ掻いて描いたと思われるこれまたドレス。
最初同じ作家かと思ったら違ってびっくり。
どっちも有機的で名和さんを思わせるような作品でした。
ウィリアム・ケントリッジ@京都近代美術館

京都近美で始まったケントリッジの個展の初日に行って参りました!
昨年末のエモーショナル・ドローイング展の際の常設展示室で唐突に知らされた展覧会。あれから9ヶ月。待ちに待ったケントリッジ展です。
ケントリッジは僕が好きな数少ない映像作家。
映像作家で好きなのはあとビル・ヴィオラとかぐらいやもんな。
さて、展覧会。
会場に入る前に挨拶文があり、その横にさっそく短い短編作品が。
実写とアニメーションを組み合わせた作品で、ちょっとイメージが違う感じ。
最後人が真っ黒になるのがよかった。
会場入ってすぐはケントリッジの初期の版画作品等。
今よりもっとはっきりした絵で、これはこれで魅力的。
でもやはり、木炭で描かれたアニメーションの原画は感動的。
何度も消したり描いたりした跡とか残ってたりして。
そしてこの展覧会の目玉の1つ、「プロジェクションのための9つのドローイング」が全て見れるアーカイブルーム!!
1989年の「ヨハネスブルグ、パリの次に素晴らしい都市」を皮切りに、2003年の最新作「潮見表」まで、ケントリッジを有名にした代表作の連作。
これが大部屋でデデンと一気に流されてる様は大迫力。
部屋の前でイヤフォンが渡され、スイッチで映像の番号に合わせてそれぞれの作品を見るという感じ。
この部屋のいいところは、観客が各々好きな映像選んで、好きな場所に座りながら、あるいは寝転がりながら、ケントリッジの作品を鑑賞する様子。
堅い床がかなりしんどいのがネック・・・。
美術館側もクッションとか絨毯とか用意してくれたらええのに・・・。
でも確かにそんなんしたら寝入ってしまう可能性もあるけど・・・。
実際何度も眠りかけました。
だって、1つ1つ最初から最後まで見ようと思ったら1時間近くかかりますからね。
まあ、僕は全部見ましたよ。さすがに疲れましたが。。。
映像作品ってこの拘束時間がネックなんですよね・・・。
観客が鑑賞時間を決められないっていう。
でもケントリッジの映像はいつまで見てても苦にならないのが不思議。
内容はめちゃくちゃ重いんですが笑
母国南アフリカの歴史、主に初期はアパルトヘイトなんかを扱ってたりしてて、暴力やセックスといった穏やかじゃない主題がバンバン現れるんですが、なんか見れるんですよね。
やはり手書きの暖かさが鑑賞を助けてるんでしょうか。
僕が初めてケントリッジの作品を見たのは、2004年の豊田市美で行われた「IN BED」というグループ展に出品されてた、この9つの作品のひとつでもある「重大な傷/病の歴史について」(1996)で、すごく心に残って以来ケントリッジのファンです。
といってもそんなに見る機会もなく、森美の「アフリカ・リミックス」とかでしか以降も見てなかったので、これだけまとめて見られるのは贅沢の極みです。
1時間かけて9つ全て見終わったらまたドローイングの部屋。
「薬棚」という作品では薬棚に模した液晶にドローイングアニメが映し出されてておもしろかったです。
さて、この後半が今回僕のケントリッジ観をがらりと変えてしまいました。
これまで日本で紹介されてきたケントリッジ作品というのはやはり、上記の「プロジェクションのための9つのドローイング」がメインで、近年の活動に関してイマイチ紹介されてなかった感があります。
今回この後半は彼の近年の活動を網羅するような内容。
まず「影」という要素。
アフリカに伝わる伝統的な影絵の手法や、プラトンの影のお話。
影はすべてのもののディテールが消失し、よりイメージ純化した姿。
イメージの本質というケントリッジなりの追求の跡が見られる影絵作品。
なんだか影絵になると、ケントリッジ作品に漂う哀愁がさらに強まってる気がする。
もうなんだかすごく悲しくて、流れてる音楽はとても明るい曲なんやけど、なんだか泣けてきそうになっちゃいました。
そして、さらに像そのものの成り立ちに行き着きます。
鏡が背中合わせに設置されて、両方の壁にはカンナの木炭デッサン。
鏡越しに見るとどう見たって1枚の絵。
でも現実には2枚存在している。
微妙にズラされて描かれた2枚のカンナは鏡を通すことで1枚になる。
これはちょっと言葉では説明しずらいなー。見てください。
その隣にも同じような作品。こちらは卓上の様々なモチーフ。
それからステレオスコープといって、2つのレンズを通して見ると平面が立体に見えるという仕掛けのドローイングも置いてあったり、上の階になるけど、ランタン(幻灯)をヒントに制作された「やがて来るもの(それはすでに来た)」(2007)は、昨年の常設で見た作品やけど、これも円筒に映ることで正像になるという作品で、「ものの見え方」をラディカルに追求しているケントリッジの姿勢が感じられます。
また、この展覧会でも重要な作品「ジョルジュ・メリエスに捧げる7つの断片、疑似夜景(アメリカの夜)、月世界旅行」(2003)では、ジョルジュ・メリエスという、映画史のパイオニアへのオマージュで、もはや映画という人類史もケントリッジにとってはモチーフになっていて、スタジオ内で様々な実験が繰り広げられる様を7台のプロジェクターで同時に流しています。
そして今回彼自身がわざわざ来日して繰り広げられる「俺は俺ではない、あの馬も俺のではない」。
京都会館を借り切っての定員700名のパフォーマンス。
僕はこれが見たくて初日にやってきたのだ。
の、はずなんやけど、途中何度かこっくりこっくり。
ひたすらケントリッジが喋り倒してるっていうすごい作品。
そもそもこれは来年から始まるオペラ「鼻」のために制作されたもので、原作はロシアのニコライ・ゴーゴリの同題の短編小説。
まずこの原作の内容から話し始めたかと思うと、当時のソ連の裁判記録を読み上げたり、作家本人の葛藤を吐露したりと現実と虚構をいったりきたりするパフォーマンス。
バックに様々な映像が流れるが、やはり本人が凄まじすぎる。
ついにケントリッジ自身が作品になってしまった!!
なんだかどこまでいっちゃうんやろ、と末恐ろしくなっちゃいました。
ここまでラディカルな作家だったとは。凄いです。
こんなに広い視野で仕事をしてる作家といえば杉本博司を思い浮かべるけど、まさにケントリッジはそんな作家だ。杉本さんも近年では写真史を追いかけていて、タルボットへのオマージュを捧げたりしてますからね。
この展覧会は構想から10年ほどかかった企画らしい。
その10年の間にケントリッジの作品の進み方を考えると、企画は大変なものだったに違いないと思う。
ある程度表現が安定した作家だと、回顧展という形である程度整理して展覧会作りができようもんだけど、ケントリッジの場合、この歩みの速度は、もはや回顧展にはできず、途中で切ってしまうしかない。
当初企画側も、あの「プロジェクションのためのー」を中心に据えればなんとかなるんじゃないかと考えたんじゃないかなぁ。僕だってイメージのケントリッジはやはりあの木炭アニメーションだったし。それでもそこに安住することなく進み続けるケントリッジはかっこいい。
これは決して回顧展ではない。
まだまだ途中段階を見せてる風でしかないので、これからどこに進むのか楽しみで仕方ない。
そんな大いなる余韻を残した展覧会。
なんだかすごいものを目撃してしまった気がする。
京都近美での展示は10月18日まで。
その後東京近美(1月2日~2月14日)、広島現美(3月13日~5月9日)に巡回。
でも日本で最初に京都で見れたのは関西在住者として優越感が半端ないですy
なんだかまとまりのなさすぎる文章・・・ちょっとまだまだまとまりそうにないです。
とりあえず図録見ながら勉強。2000円でこの太さはすごい。
内容もボリューム満点でこれは買いです。あー本棚が・・・。
