谷村美術館 by 村野藤吾




「東の丹下 西の村野」
と呼ばれていたかは謎ですが、丹下さんとよく並べられることの多い近代建築の巨人村野藤吾。近年再び村野ブームが巻き起こってます。
そしてそんな彼の遺作と呼ばれる作品がもしかしたらもう見られなくなるという話をmemeさんのブログで知り、これは行っておかねば!と。
この美術館自体は1月で閉館してしまったそうなんですが、あまりに閉館を惜しむ声が多かったため、8月1日から16日の間だけ特別オープンしたんだそうです。この美術館自体は以前Casaで特集があったので知ってましたがまさか閉館してたとは・・・。
チケットを買って中に入るとまず美しい開廊が迎えてくれます。
角を丸くした荒々しい壁面。
そして見えてくる美術館。
見てください、このヌメッとした感じ。気持ち悪いですね。
そして前の白砂。
シルクロードに浮かぶ砂漠の遺跡をイメージしたのだとか。
どうしてこんな形なのか?
その答はこの建物の内部にあります。
中に入ると、さらにヒダのような有機的な壁面が印象的。
木彫彫刻家の澤田政廣による仏像が展示されてます。
そして、順路通り進むと、展示室から次の展示室の仏像が見え、また次に進むと更に次の。。と言った感じで、仏像に誘われるように進んで行けるんです。
この体験は中々幻想的で、はたまたひだの向こうからいきなり人が現れたりして、ものすごく不思議な体験ができます。
内部から作り出される外部。やるなぁ・・・。
村野さんの仕事は今の伊東さんらのやっている仕事に通じるものがあると思う。
特にこのヒダの感じ。
当時の建築界といえば、モダニズム建築が旺盛の時期。
そんな中で村野さんは有機的な建築を次々生み出していきました。
時代と逆行するような孤高の存在。
時代に流されることなく己の道を貫いたからこそ今の再評価がある。
かっこよすぎます。
時代に流されないもの作り。
村野さんの作品からはそんなエネルギーが満ち溢れている。
残念ながらこの美術館はこの日を最後に再び眠りにつきます。
どうか、取り壊されないように切に願います。
日本は価値あるものをどんどん壊していきますからね。
今後この美術館がどうなっていくのか。ちょっと気にしておきたいです。
こちらのブログで内部の写真も見れます>>中年とオブジェ
ってことでお盆の旅終了!
帰りは18切符で9時間かけて家路につきましたとさ。しんど。
塩田千春「流れる水」@発電所美術館

妻有から富山へ。
戦友の実家が富山だったので、宿泊させてもらう。
夜には素晴らしい料理の数々でもてなされる。癒されました。
そして次の日朝一で向かいましたは発電所美術館!!
なんか毎年恒例になってきてるなー・・・。4度目。
この日は偶数日の為バスの運行なし。タクシー利用。皆で乗れば恐くない。
なんだかもう見慣れた感のあるゲートをくぐり拝観料を払う。
でも内心ドキドキが止まらない。
こんなにドキドキさせてくれる美術館は日本でここだけです。
入口あたりから作品の一部が見える。
ベッド、30台。
それらが高い天井から地上に向かって扇形になだれている。
んー、かっこいい。
椅子に座って「あの時」が来るのを待つ。
静寂に包まれる美術館。
たまにどこかから雫の落ちる音が聞こえてくる。
外からは蝉時雨。
山本基さんの時もそうだったけど、蝉の声がより現実から離してくれる。
ぶら下がったベッド達を眺めていると黄泉の国に誘われているかのような感覚。
にしても永い沈黙。
んーまだかなぁ。
しびれを切らして2階の展示。
正直2階の作品にはあまり魅力を感じられない。
数点のドローイングと数点のオブジェ。
特にドローイングは、確実に塩田さんの得意な所ではない気がする。
オブジェもなんだかわざとらしさが見えて何も感じない。
そんなことより2階から見るベッドの様の美しいこと。
360度眺めまくる。
それでもまだ「あの時」がやってこないので、この美術館の特徴の1つであるホールを覗いたり発電所の装置を眺めたりしてたらついにやってきたーーー!!
天井からシャワーが勢いよく放水される。
これは、すごい。
しかもそれが10分以上続いてもう何がなんだか。
いきなり美術館はスコールがやってきたような轟音に包まれる。
裏からの眺めがおすすめポイント。
ベッドからしたたり落ちる水が本当に美しい。
2階からもいいね。ベッドにあたって砕ける水。
水の色んな表情が見える。
そして放水停止。
水がベッドから滴り落ちて、やがて再びあの沈黙が訪れる。
いやはや、もう凄いの一言です。
今回印象的だったのは、ベッドの白さ。
受付に置いてあるドキュメント的な写真にも塩田さんがベッドを白く塗ってる様が写し出されてましたが、確実にこれまでとは違う。
昔ケンジタキで発表された同じくベッドとシャワーの作品(今回の展覧会イメージにもなってるやつ)では完全にベッドが錆びてて、もっとおどろおどろしいいんですよね。
やはりこれは塩田さん自身が母になった変化でもあるのかもしれません。
塩田さんの作品を評する時によく使われる単語「不安」。
それが今回の作品にはあまり感じられませんでした。
流れる水は命の水。
なんだか希望のようなものすら感じる神々しい展示。
会期も延長されたようなのでまだの方は是非。必見です。
こちらのブログで写真がたくさん見られます>>Art Lover Blog
塩田千春「流れる水」@発電所美術館
2009年5月30日(土)~9月23日(水・祝)
9:00~17:15(最終入場は16:45まで) 月休 祝日の場合は翌日休
にしても塩田さんの発表が凄まじい。
金沢・富山・新潟と北陸制覇して、東京、ロンドン、そして来週からはスイス!
どういうスケジュールになってるんやろ・・・。
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