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「タトゥー」@新国立劇場


新国立劇場にて舞台「タトゥー」を観てきました。
これはデーア・ローアーの脚本によるドイツで90年代に人気を博した舞台で、今回日本でやるに当たり、チェルフィッチュの岡田利規が演出、そして舞台美術を塩田千春が手がけ新たに生まれ変わって登場しました。
もちろん目的は塩田さんによる舞台美術ですが。
チラシやポスターも塩田さんの「トラウマ」シリーズで、会場にもチラシになってる作品が実際展示されてたり、窓の家の模型も展示されてました。
そして会場に入ると、天井から吊るされたベルリンの窓が目に飛び込んできました。
糸でくるかと想像してたので窓は意外。
でも、実際舞台が始まるとこれが素晴らしい演出を生み出してました。
この舞台は父親による性的虐待がテーマになってます。
天童荒太の「永遠の仔」を彷彿とさせます。
その家庭内のドロドロとした感じと吊るされた窓がすごいマッチしてました。
また、吊るされてるのは窓だけではなく机や椅子など様々なアイテムが吊るされていて、食事の場面になるとそれらが降りてきたりしてとてもおもしろい効果を発揮してました。
塩田さんの作品でもこれまで「トラウマ」シリーズは吊って展示されてましたが、この吊るされた窓はより不安定な真相心理も表しているようで、これまでの完成されつつあった窓の展開に新たな活路を見出したような気がしました。これを塩田さんが実際に作品に取り入れるかはわかりませんが、今回の舞台との化学変化がいい方向に向かっていたように思います。
また岡田さんの演出もかなりイっちゃっててよかった。
全員台詞棒読みで、感情の起伏があまりない中でこの内容のギャップがすごい。
妹役の内田慈さんの体当たりの演技が凄まじかった。
これで3000円は安いわ。サイドの席でしたが。
今月末まで毎日やってるので、時間があれば是非観に行ってほしいです。
当日券もまだ出てましたからね。
んー、これからちょくちょく現代舞台も観に行きたい。
でもどうやって選んでいいのかわかんないな。誰か教えてください。
チェルフィッチュの舞台もいつか観に行きたいです。
ちなみにこの舞台に大物演出家N氏が来てました。すごい憮然とした態度で最後は拍手もせず去っていった・・・お気に召さなかったのかな?
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000066_play.html

ちなみにこの近くのケンジタキギャラリーでも塩田千春展が行われてます。
正直こっちはイマイチ・・・。
でもまあ新作ってことで合わせてどうぞ。6月27日まで。
ってか塩田さん今日本で最も忙しい作家の一人だ。
資生堂ギャラリーにこの舞台にこのケンジタキ、金沢のグループ展に富山の発電美、そして越後妻有・・・育児は大丈夫なんやろか・・・。

<関連記事>
愛についての100の物語@金沢21世紀美術館/a>
椿会展2009「Trans-Figurative」@SHISEIDO GALLERY
塩田千春「沈黙から」@ 神奈川県民ホール
塩田千春「精神の呼吸」@国立国際美術館

西野達「バレたらどうする」@ARATANIURANO
2007年にSCAIで働いていた荒谷さんと浦野さんが始められたギャラリー。
元SCAIということでかなり質の高い展覧会を開催していて、ずっと行きたいと思いながら行けてなくて、今回初来廊しました。
というのも、某ブログで西野さんの新作画像を見てしまったからなのです。
それは事務所にの壁に突き刺さった街灯。
ホント目を疑わんばかりの光景を生で見たい!
ということで実際に見てきました。
凄まじかったです笑
実際に使われていた街灯で、窓から入れてどうにかこうにかして突き刺したそうです笑
いやもうなんかすごすぎて笑うしかないっす。
事務所の方に明かりがついてて、スタッフの方は「眩しい」「暑い」とおっしゃってました。
日本の商業ギャラリーでここまでやるのって中々ないです。
メインの展示質も天井が落ちたようなインスタレーションをやっててこれもまたいい。
西野さんみたいに大掛かりな展示をする人ってどうしてもギャラリーでやるとなるとこじんまりしちゃうんですが、今回は見事に西野さんのダイナミックさを失わずに素晴らしい展示でした。ギャラリー共々拍手です。
西野さんの作品を初めて見たのは3年前のエルメスの展示。
あの時はどういうことなのかさっぱりわかってませんでしたが、あれは元々あるエルメスの王子様像を利用したインスタだと最近知りました(死)
それからするする西野さんのインスタの魅力に溶けていった感じです。
でもやっぱこの人一筋縄ではいきません。
去年広島現美で作品見た時は、名前を「大津達」に変更してたので、あ、これでいくんやと思ってたら今回「西野達」に戻っててどういうこっちゃ?と思ったら「名前交換プロジェクト」なるものをやってらっしゃるんですね。「大津達」は2008年限定の名前だったようです。わけわからん。
それにしてもいいもの見ました。また来まーす。
6月13日までやってるので是非。DMも凝ってます。
<関連記事>
西野達「天井のシェリー」@メゾンエルメス

鷹野隆大<おれと>@NADiff Gallery
鷹野さんが作品を撮り終えた後に、自分も裸になって一緒に撮ってたのを集めたある種プライベートフォト的な作品達。
この「プライベートフォト的」であるというのが、妙な生々しさがあって、会場全体が異様な雰囲気に包まれてて気持ち悪かった(良い意味で)。
あまりに全員が自然に裸なので、人間ってこんなんやっけ?と見れば見る程おかしくなってくる。ある種ゲシュタルト崩壊に近い。
如何に人間が「服を着てる状態」の方が自然なのかを思い知らされる。
なんか頭と体がうまく一致してないように見えるんですよね。。。
あー、すごい気持ち悪い土曜日の午後。

ネオテニー・ジャパン 高橋コレクション@上野の森美術館
コレクター界で最も有名かもしれない精神科医の高橋龍太郎氏のコレクション。
鹿児島、北海道を経て東京にやってきました。
今や日本を代表するスター作家の作品ばかりが一同に会する様は圧巻。
特に合田誠の最も有名なゼロ戦と山椒魚の作品を持ってるのがすごい。
池田学の絵は初めて見たけどすごすぎる・・・そりゃ時間かかるわ。
町田久美の絵も何気に始めて見た。
で、まあ、すごいコレクションなんやけど、やっぱ展覧会として成り立ってない。
見た後もふーんって感じで終わってしまった。
展示というか陳列ですね。
敢えて普段は回らない鹿児島や北海道、これ以降も新潟に鳥取と敢えて地方に回ってるのだとしたら啓蒙的で素晴らしいとはおもいますが。
上野の森の展示は7月15日まで。

東京国立博物館・法隆寺宝物館 by 谷口吉生








本年5度目の上京記。
「えーかげんにせい」と突っ込まれましてもえーかげんにしたいのは山々です。
そんな僕でも東京で行きたいと思いつつ行ったことのない場所がありました。
東京国立博物館。
博物館というだけあって、現代美術の展示がやることはほぼない。
つまり僕にとって行く機会がないのです。
クラシックにはほとんど興味ないんで ( ゚Д゚)ポカーン
で、なんで行きたかったか。
法隆寺宝物館。これです。
なぜ法隆寺?なのかは置いといて、これは谷口さんの名建築のひとつ。
3年程前、建築にハマって日本に帰ってきた時、東京建築巡り中に実際この博物館の入口まではいきました。が、600円という入場料が僕の前に立ち塞がったのです(死)
この東京国立博物館のことをご存知の方はお分かりかと思いますが、ここは本館、東洋館、平成館、表慶館、そしてこの法隆寺宝物館の5つの建物の総称。
どうせなら本館などで面白い企画展がやる時にまとめてみたい。
と思って置いといたら年月は流れてしまったのです。

そして今回。
僕の好きそうな展覧会が開催されてるじゃないですか。
表慶館で開催中の吉岡徳仁プロデュースのカルティエ展です。
もしこれが徳仁絡んでなかったら全く行く気にはなれなかったでしょうが。
どうせならついでに「阿修羅展」も行こうかと思いましたが、あまりの人の多さにやめました。しかも1500円もするなんて絶対無理。ついでで行くには高すぎます。そもそもこういうのってこんな場所で見て意味あんの?元ある興福寺で見なさい拝みなさい。
で、カルティエ展の方で開館前に並んでたら係員に、
「そっちは混まないので並ぶ必要ないっすよ」
なんて言われた。ほっといておくれ。
開館と同時に入って確かにほぼ独占で見られました。
カルティエ自身に興味なかったので楽しめるか心配でしたが、さすがは徳仁です。もう展示ひとつひとつが美しすぎます。
それにカルティエとかのスーパーブランドって保守的なイメージがありましたが、中々奇抜なデザインとかもあって楽しめました。マルジェラっぽい釘のネックレスとかあったし。印籠にはびっくりしました・・・。
それになんといってもこの表慶館の美しさ!
感動しました。ヨーロッパでも中々こんな建物見れないっすよ。
徳仁×カルティエ×表慶館が見事なバランスで成り立ってます。
最後の部屋はデザインサイトでやってた展示とちょっとかぶってましたが。
徳仁好きなら楽しめると思います。今月末まで開催中です。
公式サイト>>http://www.storyof.jp

さて、本題見失いそうですが、法隆寺宝物館です。
表慶館の裏にひっそりと建ってます。
阿修羅展の喧騒が嘘のようにここはとっても静か。
時々修学旅行生が来るくらいです。
もうファサードの時点で美しいですね。
これぞ谷口建築ってくらい谷口さんらしい建築です。
まずは美術館前の水。豊田市美術館等にも見られる要素。
そして箱の中に箱があるみたいな大胆なキャノピー。
これは丸亀の美術館やMoMAにも見られる谷口さん独特の構成。
そして格子のガラスは前景を歪に映しつつとても美しいです。
中もロビーにはやわらかい光が入りつつ。気持ちいい。
そして僕はすごいものを見てしまいました。
それは1階の展示室。
ずらっと並べられた小さな仏像達。
1つ1つが赤茶色の木製の展示台に展示され、ガラスケースに収められている。
壁は黒で、背景には銅板の壁。。。。
ちょっとこれは凄まじいインスタレーションです。
杉本博司もこれには敵わないんじゃないでしょうか。
泣きそうなくらいかっこよかった・・・やばい。
何度も係員の目を盗んで写真撮ろうとしましたが暗すぎて無理<ヤメ
いやぁ、これはすごい。これも谷口さんの仕業?
係の人に聞いたらこの展示はずっとこうなんですって。
本館には行ったことあるけどこっち行ったことないって人がいたら絶対これは見てほしいです。凄まじすぎです。あー来てよかった。
他の展示もかなりかっこよかったけどこれはダントツ。
また是非来たいと思います。
そういや、谷口さんは京都国立博物館も任されてますね。こっちは入口のみですが。
目先の真新しさに安易に走ることなく、日本人の美的感覚をこれほどまでに研ぎすました建築家は中々ないですね。MoMA以来海外の依頼をできるだけ断ってるそうです。谷口建築をこれだけ見られるだけでも日本に生まれてきてよかったと思います。

<関連記事>
広島市環境局中工場 by 谷口吉生

川北ゆう「今日までを想う」#3


展覧会が終わって既に2ヶ月が経過しましたがようやく、川北ゆう展の画像をアップしました。
写真家表氏の素晴らしい写真でご堪能いただけます。
僕ら素人が撮ってもこうはいきませんからね。
是非チェックしてみてください。
http://www.studio90.info/exhibition.htm

さらに遅ればせながらartscapeに酒井千穂さんによる展評が載ってます。
合わせてご覧になってください。
http://artscape.jp/report/review/1201178_1735.html

僕らは次の展覧会に向けてまた動き出そうとしております。
また近々アナウンスできるように頑張ります。

愛についての100の物語@金沢21世紀美術館


金沢21世紀美術館開館5周年記念展。
これは、すごいです。
オープニング展以来の豪華さ。
美術館全体がお祭り騒ぎといった感じ。
実際行ったのがこどもの日というのもありましたが、美術館前の芝生には屋台やら音楽会などが催されていてすごい盛り上がりよう。
そしてチケット売り場に並ぶ長蛇の列。。。
すごい。
こんな現代美術館どこにもない。
この5年間で築き上げてきたこの美術館の功績はあまりにでかいです。

さて、そんな5周年を迎える美術館の記念展。
ZONE1とZONE2に分かれています。
数が多いので良かったもの、気になったものだけ箇条書き。
まずはZONE2から入りました。
・初っ端からカプーアのオンパレード。凄すぎました。あの水は一体どうなってるんだ?全体的に神々しさに溢れてます。キャプションの位置がややこしい。
・横溝静の作品はよくわからなかった・・・。
・照屋勇賢の作品は、段ボールに映像が投影されてるインスタ。んー。
・メンディエータが完全に浮いてた。
そしてZONE1。
・舟越桂のシンプルな展示からスタート。いい感じ。
・カプーアの常設は何度見てもいい。
・ヴェニスで見たラファエル・ロサノ=ヘメルの電球の作品が。いい。
・塩田さんの窓の塔。ホワイトキューブで見るのもいい緊張感。
あと凄いのが無料ゾーン。タレルやマイケル・リンはすっかりお馴染みですが、オープニング展以来のサラ・ジーの作品も復活。パトリック・トゥットフオコのカラフルカーも懐かしい!西山美なコのニットカフェもいい感じにゆるい空気が流れてます笑

そしてなんといっても長期インスタレーションルームで繰り広げられてる山本基さんの塩の迷宮がすごい!!!まだまだ増殖するとのことだけど、どうやって増殖させるんやろ?

「愛についての100の物語」
金沢21世紀美術館
ZONE1 4月29日(水・祝)-8月30日(日)
ZONE2 4月29日(水・祝)-7月20日(月・祝)
10時-18時(金・土曜日は20時まで) 月曜休(5月4日、7月20日は開館)
http://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=45&d=507


ZONE1・2で会期が違うので注意!
ちなみに両ZONE合わせて1700円しますが、ミュージアムリンクパスで買うと団体料金の1300円で購入できます。
サラ・ジー、山本基さんら無料ゾーンの作品は8月30日まで。
地元だったら絶対会員になるんやけどなー。杉本さんの時になっときゃよかった。金沢市民が羨ましい。今度のオラファーもGOです。


村野藤吾×山本基展@北国銀行武蔵ケ辻支店3階アートグミ

能登半島で発表された山本さんの新作「桜」。
昨年アートプラットホームの時に行こうかと思ってたんですが、ありえんぐらい遠かったので断念しました・・・。
そして今回改めて見れるとのことで意気揚々と観に行きました。
しかも近年再評価の高まる村野藤吾の建物で!
この教会のような雰囲気の窓が特徴的な建物は、1932年に竣工。その後武蔵ケ辻が整備されるに当たり、数百メートルセットバックされ、今では銀行の役割はATMのみで、1階はカフェとなっていて、近江町市場でにぎわう人々の憩いの場となってます。
その建物の3階に金沢のアートNPOアートグミが開設し、今回そのオープニングを飾るのがこの金沢在住作家山本さんというわけです。
そして「桜」。
すごい。もうホントすごい・・・。
ひとつひとつ6種類の桜の花びらの型に塩を流し込み、10日間かけて作られたという大作。見えない桜の大樹が見えてきそうな気すらする桜の花びらたち。
この世とあの世の境界を見ているようでした。
こちらは7月12日まで。水曜休。21美の展示とセットでどうぞ。
コチラでメイキングの過程が見れます。

朱鷺メッセ





新潟のホールにて、とあるライブに行ったらたくさんのアートワークが!
上からカプーア、レベッカ・ホーン、ダニエル・ビュレン。
あと蔡國強なんかもあるらしい。すごい。。。
噂には聞いてたけどここまで本格的なものがあるなんて。。。
なんか棚ボタな感じ。

座・高円寺 by 伊東豊雄


















先日竣工したばかりの伊東さんの新作。
正直ピンと来ません・・・。
草間彌生かッ!とつっこみそうになりました。
見所は滑らかな螺旋を描く階段とテントをイメージした外観ぐらいでしょうか。
床に落ちてる水玉の光は一体どこから来てるのかわかりませんでした。
にしても上から俯瞰したかった。
中央線から見えるので、帰りの電車で撮ろうと思ったら中央線止まってて、仕方なく総武線に乗って、通り過ぎる瞬間を収めようと人の目気にせずカメラ構えてたらその瞬間に中央線復活してて、僕の視界を遮りやがりました。タイミング悪ッ!
線路に面してるので、上から見たい人は是非中央線を。

あと、新潟に用事があって行ったら新潟市美術館で「ヨーロッパ・アジア・パシフィック建築の新潮流2008-2010」という展覧会がやってて、見たら伊東さんがアジア・パシフィック部門のコミッショナーを務めてた。なんと偶然。
内容は全くよくわかりませんでしたが・・・。
知ってる建築家は藤本壮介ぐらい。あとは全然知らん。
建築の展覧会って模型とパネルで伝えるのは無理があると思う。
なんせ空間を見せてなんぼですからね。

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伊東豊雄ミュージアム!!!!
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アイランドシティ中央公園中核施設ぐりんぐりん by 伊東豊雄
多摩美術大学図書館 by 伊東豊雄
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L'hopital Copgnac-Jay by Toyo Ito
伊東豊雄「もののもつ力」
TOYO ITO #3
TOYO ITO #2
TOYO ITO #1
伊東豊雄

池田亮司「the infinite between 0 to 1」@東京都現代美術館


リニューアルした東京現美に行ってきました。
色々何かすごいことになってましたが、まずはやってる展覧会から。

池田さんは去年18切符で山口まで観に行ってきました。
永過ぎる電車の旅は鬱病にかかりそうでしたが、展覧会は素晴らしかった!
実はそれまで特に池田さんの作品を知ってたわけじゃなくて、単純にその時の展覧会フライヤーがかっこよかったってだけで行ったんですよね。
元々ダムタイプ等で活躍されてて、今は電子音楽をメインに単独で世界を舞台に活躍されてます。

今回は1階とB1階で展開されてて、1階が黒、B1は白の世界。
それぞれ全く仕切ることなく、現美のだだっ広い展示室を大胆に使ってるのが印象的。
まず1階では、鉄の塊に投射された小さな数列がお出迎え。
これ老眼とかだと全く見えないと思う。
実際おかんと行ったんですが、全く見えてませんでした笑
そのまま進むと、壁にいくつもの映像が投影されてる。
プロジェクターと映像の在り方がミニマルでかっこよかった。
映像の内容は数列的なものやら宇宙的なものやら色々。
そして圧巻はその奥の大きな壁に映された大きな映像。
数字がソリッドな音と共に凄まじい勢いで流れていく。
やがてすべての映像が消えて真っ暗になり、さっきまで別の映像を映していたプロジェクター達が連動して同じ映像を流すようになる。
これらの映像が何を指すのかよくわからないのですが、これらの情報が一気に脳に流れて来ると、もうそういったことはどうでもよくて、ひたすらアドレナリンが体内で分泌されていくのがわかる。なんだか興奮する。合法でトリップ。
別の部屋に移ると長いフィルムが壁に埋め込まれている。
よく見るとここにも細かいマトリックス。どうなってるんだ。

B1階は一転真っ白な世界。
靴を脱いで入るとまた1階で見た鉄の塊。
今度は銀色で書かれているのでホントによく見ないとわからない。
そして黒と白のスクエアが壁に展示されててこれも数列。
もうおかんは何のこっちゃわからず断念してましたね笑
老眼には酷です。
何か情報の臨界点を視覚化したような感じ。
「頭が真っ白になる」とはこんな状態なのかもしれない。
そして奥には大きなスピーカーが並んでて、立つ位置によって聞こえる音が違うという作品。たまに頭が痛くなるような音があって要注意。

全体的にすごくミニマルな展示。
すごくかっこいいとは思うのだけど、少し古い感じも否めなかった。
40代の作家さんなんだけど、既にジェネレーションギャップを感じる。
今の20代、30代からはこういう作品は出ないのだろうな、と思う。
でもまあ概していい展覧会ではありました。6月21日まで。

そして、今回はコレクション展も充実してます。
入口から廊下を突き抜けた所に見えるヤノベケンジのロボット。
廊下自体やけにすっきりしてるな、と思ったらショップも奥に引っ込んでて、なんとショップデザインは妹島和世!
現美なんでこんな金があるんだ?都ってそんな儲かってるのか?
今回新しいコレクションがたくさんでビビりました。
コレクションさえ買えない美術館がほとんどやのに・・・。
1階は正直真新しさはないものの、3階が凄まじい。
ほとんどが30代の若い作家ばかり。ここまで若い層のコレクションは中々ない。
まずは内海さんの「三千世界」。
以前の展覧会でも見ましたが、今回の方が気持ちいい。
サム・フランシスの色のコンポジションとの対比もいいバランスの部屋。
奥には奈良さんやヤノベさん、マシューバーニーなど、以前と変わらないのもあるけど、奥の名和さんの鹿やドローイングは必見。ドローイングいいなー。
最後が田中功起ってのもいい。群馬でやってたインスタレーション。
わけわかんないけど爽快な気分になっちゃいますね。


さて、そんなリニューアルした東京現美。
正直、ここまでやっちゃっていいんやろか・・・という印象。
はっきりいってこれは、「長谷川祐子帝国」です。
長谷川さんの「好き」が凝縮され過ぎてて、美術館の私物化になってるような。
今回の池田さんだって、音楽と美術の領域を超えるような、「SPACE FOR YOUR FUTURE」に見られる長谷川さんの思想「クロスディシプリン(ジャンルの横断)」を諸に反映した作家だし、妹島さんのコラボなんておなじみだし、コレクションも長谷川さんの好きな作家ばかり。
もちろん長谷川さんの「日本を代表する現代美術館を!」という意識はバシバシ伝わってきて、とても好感も持てるんですが、そこに付随する軋轢みたいなものがとても心配。
確かに外国の美術関係者が日本に短期滞在する時に、今の日本のアートシーンを一気に俯瞰できる場所って中々なかったんですよね。
NYに行けばMoMAに、ロンドンに行けばテートモダンに、パリに行けばポンピドゥーにといった役割を東京現美が担うのは当然なのです。
今回のコレクション展はその役割をすっかり果たしていて感動しました。
これだけ若手を揃えてる美術館って中々ないです。
これからどうなっていくのかわかりませんが、東京に行ったら確実に寄る価値のある美術館に東京現美はなってると思います。
ホント以前の現美とは比べ物にならない。
あとは場所がもっとよければなー・・・。
実際GWというのに空き空きでそれはそれでいいんですがね。



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池田亮司「datematics」@山口情報芸術センター
屋上庭園@東京都現代美術館
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