特種製紙Pam by 坂茂











今静岡は沼津に来ております。
友人を訪ねるついでに、静岡アート&建築踏破の旅です。
もちろん青春18切符!青春万歳。
しかし、早速やってしまいました…。
カメラを忘れるという致命的なミスをっ!
もう死んだ方がええです。
「備えあれば憂いなし」と言いますが、備える為に、いつも鞄に入れてるカメラを前日に充電したのが仇となりました。出発の際いつものように入ってると思い込んじゃったんですね。クズです。
なので今回はケータイカメラで撮影。
でもこれが意外ときれいに写ってて一安心です。ふぅ。
では本題。
まずは坂茂の特種製紙Pamです。
これがマジですばらしい作品やった。
ここまで来た甲斐があったってもんです(T^T)
坂さんの作品って住宅が多くて、こうして公共に開かれてるのって中々ないのでかなり貴重。
ファサードはガラスでできたシャッター。
行った時は半開きやったけど、上まで開く時もあるらしい。
開いたところが見たかった。残念。
PamとはPaper and Materialの略。
このロゴは田中一光氏のデザイン。
中には特種製紙の製品が展示されてたりする。
入ると吹き抜けの大空間が広がる。
5枚目の縦長写真は3枚の写真を無理矢理合成してます笑
テーマは似非ホックニーで。
もう光の入り方が尋常じゃないくらい美しい。
坂さんの紙の椅子もあって実際座れる。意外と重い。
トイレも細かいとこまでデザインされてる。メンテが荒い。
トイレの下の画像はオフィス。壁も紙管!机も紙管!
この建物はA館とB館に分かれている。
A館は常設展示で、B館は企画展示室。
残念ながら今回は何もやってなかったのでB館は見れず。
A館とB館をつなぐ部分にはこれまた坂さんの建築でよく見られる蔦。
淡い緑のガラスファサードが夕日をうけてべらぼーにきれいでした。
行かれる際は予約が必要。しかも平日しか開いてません!ご注意を。
website>>http://www.tokushu-paper.jp/
ねむの木ギャラリー by 坂茂



ねむの木こども美術館 by 藤森照信




ねむの木村という「トリック」とかに出てきそうな村にある美術館(ぉ
バスが2時間おきぐらいの勢いでしか出てないので、掛川駅から行きはタクシー。2910円もかかった(号泣) せっかく18切符で来てるってのに。大阪・静岡間より高いです・・・。帰りはちゃんとバスに乗りました。駅まで460円やったのに、11月から価格改定で300円に値下げされてた!このご時世に値下げとは・・・。それで行きの分も良しとしよう。無理か・・・。
にしてもホンマに山奥で、くねくね道をひたすら走り続けてようやくたどり着けるのです。ほんまにたどり着けるんかいな・・・と思いながらもなんとかたどり着けました。
でも、正直申しまして、そこまでの金と労力を払ってまで見に行くようなもんじゃないです・・・。あまりお勧めはしませんね。
それでも坂さんの貴重な建築と、今とっても人気のある建築史家兼建築家の藤森さんの作品が一度に観れるって点では建築ファンには眉唾もんなんですが。
坂さんの方は三角形をひたすら繰り返す建築。こういうアプローチを坂さんがするのは意外でした。上から見たら三角。天井の鉄骨フレームも三角。床も三角で構成されてる。中はギャラリーといいつつ壁がなくワンルーム構造。代わりに仮設の壁が柱のように立ってる。これは四角柱。三角柱ちゃうんかい!と思わずつっこみそうになりました。
なんかあんまピンとこない建物。
藤森さんの方は、これぞ藤森建築!って感じの建物。
屋根がどんぐりみたいな形をしています。
実際周囲はトトロとか出てきそうだしぴったりかも。
屋根には植物が生えてて、中の柱は木がそのまま使われてて一つとしてまっすぐなのがない。壁はあえて荒くしっくいで白く塗られてる。
「プリミティブ」を素でやっちゃってる人ですね。
実際藤森建築初めて生で観たけど、「ふーん」っ感じやった。
まあ、そうだろうね、っていう、写真の印象とあまり変わらん。
ちょっと期待してたのでがっかり。
掛川駅からちょっとしたところに藤森さんの美術館がもういっこあるけどこちらはパス。掛川駅の谷川吉生の資生堂ギャラリーは時間がなくて断念・・・。
今日は坂さんの建築を一日で2つも見てしまった。
ねむの木ギャラリーはともかく、Pamはやられたー。
来年に建つであろうポンピドゥー別館も楽しみですね。
最近図書館で「建築家への道」って本を借りました(お前は何になろうとしてんねんっていうつっこみはなしで)
いろんな建築家が自分の辿ってきた道をレクチャーして、これから建築家を目指す建築学生に向けてアドバイスするって本。ちょっと古いんですが、妹島さんとかも出てて中々為になります。
その中でも坂さんのはダントツでおもしろかったですね。
とりあえずこの人の人生がおかしい笑
高校出て、当時好きだった建築家が教えてるという理由からNYのクーパーユニオンに行こうと決意し、英語も喋れないのに単身渡米。いきなり作品見せて「入れてくれ!」と猛烈アタックするも、「とりあえず英語勉強してから来なさい」と一蹴され、しかたなくアメリカ放浪。
そんな時たまたま当時創設されたばかりの南カリフォルニア大学に入れることになり入学。しかしやはりクーパーユニオンの夢は捨てきれず、なんとか編入試験をパスし、念願のクーパーユニオンに入学。
しかし途中休学して、帰国し、磯崎新のアトリエに勤めたりして、再び戻ってきたアメリカでなぜか展覧会構成を任せられ、それが好評を博し、いくつかの展覧会を任せられる。
卒業後にはアルバー・アアルトの展覧会をMoMAで成功させたり、たまたま建築雑誌で見た安藤忠雄の作品に惚れ込み、実際会いに行って意気投合しちゃって、安藤の展覧会をアメリカで巡回させちゃったり、とにかくめちゃくちゃ笑
そんな時に会場構成に使った紙管に注目し、それで建築が作れないかと思い至る。いろんな構造家たちに当たるが紙で建築なんか作れるわけないやろ、とこれまた一蹴されるも、そこで諦めないのが坂さん。ようやく松井源吾という構造家と巡り合い、なんとか建築にも使える紙管を開発成功。(松井源吾氏は伊東さんの自邸シルバーハットなどを手がけた知る人ぞ知る名構造家。1996年に亡くなられました。)
以降紙管建築は坂建築の代名詞となり、2000年に行われたハノーバー万博で頂点を極めるに至る。
なんといっても、紙の建築の最大の利点は建築コストである。なんせ紙だからほかの建築素材と比べても格段に安い。かつて安藤忠雄がコンクリート打ち放しの低コスト建築を芸術の粋まで磨き上げたように、坂さんはさらに安い、しかも今まで誰もやってこなかった素材で新しい建築を作り上げてしまった。
さらに作るのが簡単なこと。通気性が良く、熱を逃がさない。ホームレスの人たちがダンボールを家の素材として選ぶのがわかるというもの。
そんな利点を生かしたプロジェクトがまた始まる。ある日、ルワンダの難民キャンプの映像をテレビで見た坂さん。あまりにちゃちいキャンプを見るに見かね、坂さんは立ち上がり、国連に紙でできたキャンプを提案。これが見事に採用され、ルワンダではこの紙のキャンプが立ち並ぶことになる。
以降も阪神大震災後の神戸など、災害で家をなくした人たちのシェルターを世界中で作り続けている。先日も中国の四川に紙の小学校を建てたばかり。
そんな坂さん。最近では建築界のノーベル賞、プリツカー賞の審査員なんかもやっちゃってます。一体何者やねん!
坂さんの場合、「建築界の」と言わず、普通にノーベル賞獲れちゃいそうな気がしてるのは僕だけでしょうか?
最後に、前述の本に載ってた坂さんからのアドバイスを抜粋。
「建築家になるためには、いい建築を見ることが重要だと言えると思います。僕もそうなんですが、ずいぶん世界中を歩きまわって建築を見てきているんです。見るという訓練が建築を勉強する上で、あるいは実務で建築を作る面でもいちばん重要になってくるわけで、まず建築を見てない人、世界を旅行していない人は100%建築家にはなれないですね。見たからなれるとも限らないけれども、それは最低条件だと思います。」
これは建築だけでなく、ものづくり全体に言えることだと思います。
今やメディアやネットなどで、簡単に情報が手に入っちゃうけれど、やっぱりホンモノを体験してないと、作るものも薄っぺらくなると思います。一種の通過儀礼みたいなもんです。
見てなさ過ぎる事はあっても、見すぎるって事はないと思いますし。
特に坂さんのような人が言うと重みが違いますね。
僕もいいものが作れるようにまだまだたくさん観て吸収したいと思います。
にしても長い記事になってしまった・・・。