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いのちの法則@足利市立美術館


3月にMA2ギャラリーで、作家の山本基さんにお会いした際に、Gallery ART SPACEのオーナーさんにもお会いして、少しお話をさせていただきました。
その折に、そのオーナーさんが山本さんも含めたグループ展を企画されるというお話をしていて、よかったら住所をというので書いたら本当に招待券と手紙をいただいてしまった。
正直会場の栃木県足利市というのは遠いのでどうしようかと思ったのだけど、せっかく頂いた物をむげにするのは心もとなかったので行く事にしました。
にしても遠い。東京から電車で2時間。往復2000円以上した・・・orz

前述の山本基さんと青野文昭さんとタカユキオバナさんの3人展。
山本さん以外聞いた事がなかったのでどんな作品が見れるのか楽しみにしてたら、青野さんの作品が個人的には大ヒットでした。
青野さんの作品は、捨てられた壊れた物たちを接合し、新たな意味を与える作品。具体的には、タンスにポリタンクが接合されてたりするんだけど、これがなんとも美しい。最近、建築やファッションなどのデザインの分野に興味を持つようになり始めてから、アートにあってデザインにないある美の形がすごく気になるようになりました。
機能美。
この言葉はアートには存在し得ない美の形。
同じ美を求めるにしても、やはりアートとデザインではベクトルが少し違う。
この機能美という言葉は、アートとデザインを隔てる有効な言葉だと思う。
そんなことを考えつつ青野さんの作品を見ていると、機能美なんて一切ない。
だけどやはり美しいんです。
少し、ドリス・サルセドの家具を使った作品にも似ているんだけど、青野さんの作品はもっと儀式的。不要になったものに新たな価値を与えて再生させるプロジェクト。
今回の「いのちの法則」というテーマにぴったりだと思いました。
山本さんの作品は、相変わらず凄まじい塩の「迷宮」。
でも、なんだか何度か見てると衝撃が和らいでしまいますね。
確認作業に近いというか、あまり感動にまでは至りませんでした。
タカユキさんの作品は、正直かなり理解不能でした。。。
まあ、もうここまでわからないと気持ちいいくらいでしたが。
今回の展覧会では「生をひもとく三つの書」という副題がついていて、3人が「本」をテーマに作品を展示していました。やはり青野さんの本とプラスチックトレイが組合わさった作品はヒット。
青野さんの作品に出逢えただけで収穫があったというもんです。
7月13日まで。足利市立美術館にて。

屋上庭園@東京都現代美術館
「庭」をテーマにした展覧会。
内海聖史さんと須田悦弘さんの作品が出てるというので行ってみた。
前半は近代の油彩やドローイング、版画などが展示されてた。
正直この辺は全く興味がないのでほぼ素通り。
目的の内海さんの作品はやっぱすごかった。
「三千世界」と題されたその作品は部屋中に一辺5cmくらいの小さな色とりどりの絵画がずらーっと整列してかけられている。まさに色の洪水。
また隣の部屋では、部屋の壁いっぱいまでの大きさの緑の絵画。
内海さんの絵画は毎度、空間という事が本当によく考えられている。
最近この内海さんや大舩真言さんのような、絵画を囲む空間まで熟考する若手ペインターが登場してきている。これはマーク・ロスコ以来の新しい波のような気がする。
その絵画自体の魅力と、その絵画を見るためだけにコントロールされた空間が、見ていて本当に気持ちがいい。絵画の中にどっぷりつかれる感覚。
ただ彼らの弱点は、1人で1部屋使わないと究極の世界が成立しないところ。
以前大船さんがとあるグループ展に出されていて、他の人の作品と一緒に飾られていたのだけど、やはり彼の作品の魅力は半減していた。
彼らの作品は絵画を超えたインスタレーションです。
あと、この展覧会には須田さんのガーベラの作品が展示されてたけど、展示の仕方がありえなかった。。。今回も探すぞ!って意気込んでたのにおもっきし壁に堂々と展示されてたし。しかもその台が結構雑くて・・・。

同時開催の「大岩オスカール:夢みる世界」展も友達に無料券もらったので鑑賞。
こちらはこれといった感想もないかな。現代版シュールレアリズムって感じ。
ただ、ライティングがすごく悪かった。
炭坑のような風景で、遠近がついてて、その先を四角くくりぬいて、光がさしこんでるようなイメージの作品があるんやけど、その肝心の四角い穴に影がついてた!!ありえん・・・。
「屋上庭園」も「オスカール」展も7月6日まで。
にしても次の「パラレルワールド」展が気になる・・・うぅ・・・。巡回してくれ!

LANDSCHAFT IV @ ラディウムレントゲンヴェルケ
前述の山本さんと内海さんが参加されてるグループ展。
「風景」をテーマに他には桑島秀樹氏、水野シゲユキ氏が参加。
入ってすぐに水野さんのジオラマの作品。
戦争の悲惨な風景のジオラマ。チャップマン兄弟とどう違うんやろ。
2階では山本さんの「迷宮」ドローイングと内海さんの中作品。
前述したとおり、やはり内海さんのインスタレーションとしての魅力は半減していたものの、やはり絵自体にも魅力がある。1枚欲しいけど高過ぎる・・・。
奥には桑島さんのカラフルなおもちゃを並べた作品。これは気持ちよかった!
こちらは今月28日まで。にしても入口わかりにくすぎ・・・。

建築が生まれるとき ペーター・メルクリと青木淳@東京国立近代美術館
architecturephoto.netさんよりこれまた無料券を頂いたので行ってきました。正直青木淳にもあまり興味がないし、メルクリに至っては聞いた事もない名前だったのでどうかな、と思ったのですが、この展覧会タイトルが気になったので。
会場では、確かに「建築が生まれるとき」がうまく表されている展示でした。
青木淳の住宅のためのスタディ模型がずらーっと並べられていて、それが発想の順番に青木淳の当時のコメントとともに展示されていて、あーでもないこーでもないと、四苦八苦しながら建築が生まれる様がわかりやすかったです。まさに「生みの苦しみ」。
途中めっちゃ複雑な構造なのが、最終的にシンプルなプランに収まるさまがおもしろかった。
メルクリはドローイングなどを展示していたけどこちらはあんまり。ヘタウマみたいな感じ。彼はバーゼルのノバルティスキャンパスも建ててたらしいけど、覚えてないなー。
こちらは8月3日まで。

なんだか今回の上京で見た展覧会ほとんど無料だ・・・。
これからも招待券お待ちしてます(爆)

CHANEL MOBILE ART














4ヶ月連続上京キャンペーンもついにファイナルを迎えました。
最後を飾るのが、このシャネルの移動美術館です。
2月の香港に始まり、先月東京に上陸しました。
この後NY、ロンドン、パリと巡ります。

シャネルの総督カール・ラガーフェルドの呼びかけにより始まったこの企画。
建築界の女王ザハ・ハディドの建築と、錚々たる美術家の作品達。
ファッション×建築×ファインアートの夢のユートピア。
それがこのモバイルアートなのです!

とまあ、能書きはこの辺にして感想。
正直期待はずれでした。
まずザハの建築。
これに関してはもう食傷気味というか、ザハの建築は2個か3個見ればもういいです。
リベスキンドもそうだけど、かつてアンビルトと言われた建築家は、実際建つまでが花な気がする。
今や技術の進歩で、彼らの建築はボコスカ建ってるけど、ホント飽きる。
なので、建築に関してはほとんど何も感動はなし。
ただ、この場所はとてもよかった。
日本のモダン建築の最高峰の丹下健三の代々木国立競技場とザハの建築が対峙する様は一種の感慨がある。一昨年行われたNYのグッゲンハイム美術館で行われたザハの展覧会でもライトとの時代を超えたコラボが実現したわけだけど、こういうのはホントなんだかワクワクする。

さて中身。
入ってまずイヤフォンを装着させられて、老婆の声でストーリーテリングが始まる。
これが本当にうざくて、はっきりいって邪魔以外の何者でもない。
純粋に美術作品を鑑賞させる気がないのかと思わせられる。
おかげで、マイケル・リンの床に敷かれた花柄のタイルの作品や、束芋の相変わらずインスタレーション抜群な映像、レアンドロ・エルリッヒの水たまりに映るアパートメントの詩的なインスタレーション、ダニエル・ビュレンの光ファイバーを使ったストライプなど、素晴らしい作品はいくつかあったのに、わけわからんナレーションのせいで台無しと言ってもいいくらいだった。
そもそも僕はああいうガイドみたいなのが嫌いなのです。
あくまで自分のペースで見たいのに、あれはいちいち独裁的すぎる。
後半は特に面白いと思える作品もなくあっさり終了。
というか、イ・ブルの作品が酷過ぎる。
樹脂でできたバブルの継ぎ目が丸見えであれはどうなんやろう。ありえん。
あと絵画が1枚もなかったのも気になった。

なんだか、結局シャネルという巨大ブランドの力を改めて見せつけられてるような気がして、建築やアートがそれに利用されてるんじゃないか、とすら思えて、観賞後はあまりいい気がしなかった。
でもまあ、入場無料で、豪華なカタログももらえたしいっか。

どうやら予約は完全に終わってしまったようです。
これからの人は当日行ってキャンセルを待つしかなさそう。
平日なら結構楽に入れそう。後半になればどうなるかわからないけど。
まあ、行けるなら行ってみてもいいんじゃないでしょうか。
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