'07 展覧会ベスト10
昨年に引き続き、この1年で見てきた中から独断と偏見でランキングさせていただきます。
では早速スタートッ。
1位:TURNER PRIZE:A RETROSPECTIVE @ TATE BRITAIN
僕がロンドンに行った理由がたっぷりつまったベスト盤。
2位:Seduced @ Barbican Centre
バービカンの底力。キュレーション力の素晴らしさに感動。
3位:Antony Gormley @ HAYWARD GALLERY
新作「BLIND LIGHT」には素晴らしい不思議体験をさせていただきました。
4位:DAMIEN HIRST @ WHITECUBE
ずっと見たかったホルマリンs。
5位:Doris Salcedo @ Tate Modern
タービンホールの使い方がやばい。
6位:SPACE FOR YOUR FUTURE @ 東京都現代美術館
長谷川さん最高です。
7位:ANNETTE MESSAGER @ Centre Pompidou
フランスの女番長。来年日本にも巡回!
8位:Anselm Kiefer @ Guggenheim Bilbao
外もすごいが中もすごいことになってた。
9位:内藤礼「母型」@ 発電所美術館
贅沢な空間体験をさせてもらいました。
10位:塩田千春「沈黙から」@ 神奈川県民ホール
やっぱ異常な世界観。来年も楽しみです。
以上、2007年のベスト10でした。
他にもデュッセルドルフでの杉本博司やデザインミュージアムのザハの展覧会などもよかった。
それに今年はドクメンタ、ミュンスター彫刻プロジェクト、ヴェニスビエンナーレと10年に1度の美術惑星直列の年でもありました。どれもこれも考えさせられることの多かったものでしたが、とりとめもないのでランキング外です。
他にも観に行きたかった展覧会もありました。ドイツのカプーア、ホワイトリードの個展は行ってたら確実にランキング上位にくいこんでたろうし、ブレゲンツのズントー展、日本でも国立新美術館でのスキン+ボーンズや丸亀のネトの展覧会も見たかった。
来年はしっかり日本の展覧会見狂いまっせ!
では早速スタートッ。
1位:TURNER PRIZE:A RETROSPECTIVE @ TATE BRITAIN
僕がロンドンに行った理由がたっぷりつまったベスト盤。
2位:Seduced @ Barbican Centre
バービカンの底力。キュレーション力の素晴らしさに感動。
3位:Antony Gormley @ HAYWARD GALLERY
新作「BLIND LIGHT」には素晴らしい不思議体験をさせていただきました。
4位:DAMIEN HIRST @ WHITECUBE
ずっと見たかったホルマリンs。
5位:Doris Salcedo @ Tate Modern
タービンホールの使い方がやばい。
6位:SPACE FOR YOUR FUTURE @ 東京都現代美術館
長谷川さん最高です。
7位:ANNETTE MESSAGER @ Centre Pompidou
フランスの女番長。来年日本にも巡回!
8位:Anselm Kiefer @ Guggenheim Bilbao
外もすごいが中もすごいことになってた。
9位:内藤礼「母型」@ 発電所美術館
贅沢な空間体験をさせてもらいました。
10位:塩田千春「沈黙から」@ 神奈川県民ホール
やっぱ異常な世界観。来年も楽しみです。
以上、2007年のベスト10でした。
他にもデュッセルドルフでの杉本博司やデザインミュージアムのザハの展覧会などもよかった。
それに今年はドクメンタ、ミュンスター彫刻プロジェクト、ヴェニスビエンナーレと10年に1度の美術惑星直列の年でもありました。どれもこれも考えさせられることの多かったものでしたが、とりとめもないのでランキング外です。
他にも観に行きたかった展覧会もありました。ドイツのカプーア、ホワイトリードの個展は行ってたら確実にランキング上位にくいこんでたろうし、ブレゲンツのズントー展、日本でも国立新美術館でのスキン+ボーンズや丸亀のネトの展覧会も見たかった。
来年はしっかり日本の展覧会見狂いまっせ!
瞑想の森市営斎場 by 伊東豊雄

「聖なる日には聖なる場所へ」
というコンセプトの元、クリスマスで浮かれた俗世を離れ、岐阜県は各務原市の市営斎場へ。本当は来年まで残しておきたかったんやけど、おかんが家でプチ同窓会をするからどっか行けと、自宅を追放されたため、もう行く場所はここしかないっ!ってことで勢いで行ってきました。しかも青春18切符です。まずは写真で。





ここに行くのは中々躊躇われた。
なぜならやはりここは悲しみの場所であるから。
遺族が最後に故人とお別れする場所。
そんなところに、建築を目的に、ぱしゃぱしゃ写真を撮るのはどうかな、と。
なので、できるだけ遺族の方々とは鉢合わせしないように事前に連絡。
午前中なら入っていないということなので、午前中に間に合うように早朝出発。
那加駅からタクシーに乗ると「見学か?」と聞かれた。
やはりたくさんの建築マニアが既に訪れているらしい。
山の方へ車が進んでいくと、突然おかしな屋根の形が目に飛び込む。
中に入って、受付で見学の旨を話、見学させていただく。
内部はもちろん撮影禁止なので、外部のみの写真でご了承ください。
まず、この建築を写真で見た時、斎場というにはあまりにふわふわしすぎじゃないか、と思った。
遺族の方々がここに着いて何を思われるだろう、と。
しかし実際中に入ると、思った以上に厳かな雰囲気が漂う。
凸凹の天井も、なんだか斎場という非現実な空間とマッチしている様な。
遺族の待ち合い室からは、前に広がる湖が見渡せるとても静かな場所。
中には伊東さんのデザインの椅子リップルズも置かれている。
ここのポイントはやはりこの天井。
周りの山々の尾根に合わせてデザインされたという。
予想以上にうねっていてびっくりした。
そして柱。まるで天井からストンと自然に落ちてきた様な。天井にたまった雨水がこの柱を伝って前の湖に循環する仕組みらしい。
なんとか鉢合わせしないように写真も撮り終え見学終了。
ところで、これでせんだい以降の伊東さんの目玉プロジェクトはほぼ制覇しました。
せんだいメディアテーク、まつもと市民芸術館、TOD'S、ミキモト銀座、サーペンタインパビリオン、ブルージュパビリオン、コニャク・ジェイ病院、多摩美図書館、ぐりんぐりん、、、あとはオランダにあるオフィスと、シンガポールのいくつか。将来的にはスペインも建築続行中のやつがいくつかあるし、台湾にもオペラシティとスタジアムができたら観に行きたい。一番近いのは再来年3月オープン予定の杉並芸術会館ですかね。なんにせよ、今のとこどうしても観に行きたいってのはなくなってしまった・・・なんだか寂しいような・・・。せんだい以前の作品もぼちぼち観に行けたらな、とは思いますが。
こないだアクセス解析らしきものがあることを初めて知り(遅)、ここの最も頻出の検索ワードが「伊東豊雄」であることが発覚しました笑 えっと、これ一応アートブログなんですけど・・・なんて説得力ないですね;
IAMASマルチメディア工房(1996) by SANAA

大垣市にある妹島和世による大学施設へ。
噂には聞いていたけど、劣化が思った以上に激しすぎてげんなり。
10年以上建ってるとはいえ、よくここまでメンテナンスせず放っておいたな。鉄とか錆びまくっててみすぼらしすぎる。。。
ほとんど滞在する事なく退散。
大地の凸に対する建築の凹は気持ちよかったけど。
あと施設がほぼ地下に埋められているので、外部からはあまりよくわかりません。近くのブックオフの方が滞在時間長かった。
県営住宅ハイタウン北方(2000) by 妹島和世

本当は斎場の後、こっちに来たかったんやけど、バスを2時間も待たなきゃならんということで、急遽順番変更。大垣行ってまた岐阜まで戻ってくるという面倒くさいことをしました。冬は日が暮れるの早いので、建築写真撮るのに早めに撮らないとならないので一分でも無駄にできんのです。って何言ってるんだわしは。
ちなみに上の写真に写ってる女の子3人組は、クリスマスだというのに、わしと同じくこの建築の写真を女だけで撮りにきてました。か、悲し過ぎるぞお前ら・・・。多分向こうも同じ事思ってたかもしれませんね。ははは

まず特徴的なのが、なんといってもファサードを大胆に走る階段。
亀裂のようでもあり、稲妻のようでもあり、機能とデザインが合わさったかっこいい形。
しかしこれ、高所恐怖症の人はまず上がれないと思います。そして、一番高い所から踏み外そうもんなら、多分まっすぐ下までノンストップで転げ落ちる事もできるでしょう。いやースリリングですねy

そして印象的なのが、この薄い立面。
この薄さを実現させたのが、妹島さんの新たな生活空間の形の提案。
普通マンションの部屋って入ったら縦に続いてますよね。このマンションはそれとは違ってなんと横に続いている。上の写真で歯抜けみたいになってる部分ありますよね。実はあそこベランダなんです。廊下にベランダが面していて、洗濯物を干してる時とか横を通るの気まずそうです。ってか廊下とベランダの区切りがチェーンだけってのが、中々大胆というか、泥棒いらっしゃいというか・・・。実際階段を上って、各階の入り口は施錠されているものの、開いてる場所もあって、僕のような見学者も容易に廊下に侵入する事は可能です。セキュリティ面がかなり怪しい・・・。
しかしこの横に並べることによって、廊下に出るとどこからどこまでが誰の家なのかがまったくもってわかりにくい!!新聞配達が大変そうです。。。ヒエラルキーない分、プライバシーは確保されいそうですが。

階段のついていない方のファサードがありえんくらい美しかった!!
ノヴァルティス製薬のオフィスを彷彿とさせるファサード。
多分それぞれの窓に特殊なフィルムが貼られてるんやと思う。いやーすばらしかった。
ところでこの建物は集合住宅のうちの一戸で、あと3戸、計4戸の棟が立ち並んでいる。
磯崎新が総合コーディネーターとなり、女性建築家4人に建てさせたプロジェクト。
byエリザベス・ディラー

by高橋晶子

もう1人、クリスティン・ホーリーのはおもしろくなかったので割愛。
ちなみに当初妹島棟が最も人気なかったらしい。
やっぱあの階段と、オープン過ぎるベランダが原因かな。
笹倉洋平/大西伸明/国谷隆
今回は関西を代表する若手3名の展覧会を紹介します。
今日本のアートシーンは関西が熱い!
笹倉洋平「つたひ、たゆたふ」@la galerie
以前僕が展覧会をした時、同じ会場で入れ違いで展示をしたことから知り合いに。向こうは憶えてくれてはるやろか。その前にも1度彼の個展を見ていて、とても印象的だったので、お知り合いになれてとても嬉しかった。
彼の作品はペンを使ったドローイング。
これが半端なくかっこよくて、彼の紡ぎだすペンのストロークは美そのもの。
業に甘える事無く、毎回違う展開を見せてくるのも魅力。
そんな彼が今年の春から始めた「つたふ」シリーズは、ネット上で見て衝撃だった。
昨年から怒濤の勢いで展覧会をしてらして、ロンドンにいる時観に行けなくてとても歯がゆかった。
とくにその「つたふ」シリーズが見れなかったのは実に口惜しい。
蔦をモチーフにした線の集積は圧巻。是非この目で見てみたい。
今回は小さい「つたふ」シリーズはあったが、メインは新作「たゆたふ」シリーズだった。
線の集積だった蔦が次第に新たな形になっていく様は、また進歩を見た。
また、この会場独特のガラス越しに見える中庭をうまくつかった展示もすばらしかった。
まさに借景という感じで、ガラス扉に樹脂で描かれたストローク。
あれどうやって描いたんだろう。ポロックのドリッピングにも近い感じだったけど。
その透明の線と中庭のコントラストが秀逸。
12月30日の年末まで展示されてるので是非!阪急茨木市駅から徒歩10分ほど。
また、近くのカフェにも壁画を制作してらっしゃる。
こちらは、営業時間ではなかったので、ガラス戸越しに見たけど、緑のラインでかっこよかった。
笹倉さんの精力的な活動。これからも要注目です。
大西伸明「3℃」@studioJ
2004年の京都新鋭選抜展にて最優秀賞を受賞された大西さん。
その前年が名和さんだっただけに、どんな作品が受賞されるのかと楽しみだった。
蓋を開ければ、樹脂で作られた食品サンプルのような作品。
正直肩すかしを食らったような感じがした。
同時期に今はなき京都のギャラリーココでも個展が開かれていたので行ってみたが、ここでもその食品サンプルのような作品郡が展示されていて、うーんという感じだった。大西さんがちょうどいらっしゃって、「おめでとうございます」と声をかけたのを憶えている。
しかし、大西さんの作品は、これ以降どんどん凄みを増していった。
「ニセモノのホンモノ」
彼の作品を見ているとこんな言葉が浮かぶ。
人工物から自然物まで、様々なものを樹脂で忠実に再現する彼の制作スタイルは、オリジナルとコピーとの間を行き来する。オリジナルだろうがイミテーションだろうが、そこにはっきりと存在する限り本物なのだ。そしてそれをアート作品という別のプロダクトとして存在させていて、オリジナルより高価な値段で売買されるアートマーケットということもあり、何が何だかわからなくなってくる。
この春にノマルでやっていた展覧会は、ウェブ上で見た限り凄いの一言だった。テトラポットや脚立や土など、一見しただけではそれがすべてニセモノだとは気づかない。しかしテトラポットの裏を回れば空洞だったりする。他にも紙で出来た塗り絵の蝶々の群れのインスタレーションも是非見てみたかった。
さて、今回の展示はレースをテーマにした展覧会。友達で、シルクスクリーンのインクだけでレースを作る人がいたので、思い切りかぶってるやん!と焦ったけど、どうやら大西さんの作品は、編み目のレースの上に仮想の模様をインクで載せていくというこれまた細かい作品。下着シリーズもあって、最初普通に見てたんやけど、端から見ると、ブラやパンツをじろじろ見てる変質者やないか!とやけに焦りました笑 作品の背後の壁がピンクやグレイに塗られてたけど、これを通して落ちる影も綺麗だから別に塗らなくてもよかったんじゃないか、という印象だった。
にしても毎回タイトルが意味深。今回のはどういう意味があるのか。ないのか?
国谷隆志「垂直なる地平」@大阪府立現代美術センター
ネオン管の作品でおなじみの国谷氏。
彼の経歴は少しユニークで、作家として活動する傍ら、京都のネオン管の工場で働き、師匠について技術をしっかり身につけた中々珍しい存在。ファッション界のアレクサンダー・マックインみたいですね。
そんな彼の業に結びついてるネオン管の作品。
彼の息がこめられたネオン管は均質ではなく非常に有機的な形をしている。
メインとなる会場にはそんなネオン管が何本も縦に柵のように配置されてて赤い光を放っている。
真ん中には砂時計の作品。観客が横にある砂山から砂をスコップでくみ上げる仕組み。
実はこれを期待していったんやけど、別になんともなかった。。。
別会場ではくねくねに曲げられたネオン管がいくつか展示されてたけど、そんなことより、床板を剥がされてメタルがむき出しになった床の方が気になった。
まあ、ぶっちゃけあんまおもしろくなかったって話(爆)
カタログを無料で配送してくれるのは素晴らしいですね。
今週から始まった国立国際の30周年のコレクション展について。
特に行く意味ないです。お金返してほしいです。
キュレーションなんて微塵もなくて、ただコレクションを時代順、イズム順に並べてるだけ。
せっかくなんだから、もっと革新的な展示をしてほしかった。残念の一言。
SPACE FOR YOUR FUTURE @ 東京都現代美術館

長谷川祐子。
僕が最も尊敬するスーパーキュレーターである。
そんな彼女が金沢21世紀美術館から東京都現代美術館(MOT)へ引き抜かれ、初めてのキュレーション展が開催されるというので、ワクワクしながら行ってきた。
会場に着くと、なんということか、MOTで見た事ないくらいの人の入りよう。
MOTは都心から少し離れたところに建つ美術館である。
そんな立地条件の悪さ、しかも現代美術の展覧会でこれだけの集客。
彼女のすごいところは、玄人受けも素人受けもする展覧会を作ることである。
玄人も唸る作家選択に、ポスターには沢尻エリカ。
視覚だけではなく、五感で訴えかける作品を多く選び大人から子供まで楽しめる展覧会を作る。
これは金沢のオープニング展でも遺憾なく発揮されていた業である。
実際あの展覧会で多くの良い作家が知れたし、実際楽しかった。
そして今回の「SPACE FOR YOUR FUTURE」展は美術だけではなく、ファッションや建築といった分野からも出展されている。ジャンルの横断ということや、お互いタイトルに「未来」という言葉が入っていることなどから、同時期に開催されている森美術館の「六本木クロッシング」と対比されることが多いが、はっきり言って雲泥の差である。まず、「スペース」というテーマ設定をすることで、散漫になりがちな展示をピシッとまとめている。そして、森美が美術以外の人をできるだけやってることそのまま出品させておいて、さらにそれを無理に美術に見せようとしていた節があるのに対し、こちらは作品がすでに美術的であり、しかもそれが作家の純粋な表現として見せられているので、何の無理もなく見れる。ここは作家選びの業であろう。
昨晩NHKの「プロフェッショナル」にて特集されていたが、長谷川さん曰く、良い作品を作る作家は一作品見ただけでわかるとか。フェロモンがでてるんですって。さすがその嗅覚があってこそ、これだけ素晴らしい作家を集められるんですね。
では、印象に残った作品をピックアップしてお届け。
SANAA
彼らと長谷川さんは切っても切れない関係だと思う。なんせ、長谷川さんがすべての指揮をとって作り上げた金沢21世紀美術館の建物を建てたのがこのSANAAだ。彼らはこの建築でさらに有名になり、海外からの仕事もひっきりなしである。
そんな彼らが今回出品しているのが、実際に建てられた「フラワーハウス」の1/2模型。床から花が実際に咲いているようなインスタレーションを実現している。家が1/2なのに対し、花は実寸大なのも妙。SANAA流の楽園。
エルネスト・ネト
相変わらず気持ちいい作品を作ってくれる。今回はウェアラブルな作品で、実際着て寝転ぶと本当に安らぐ。是非家に欲しいものである。しかし今年は彼、日本において引っ張りだこですね。オペラシティでの「メルティング・ポイント」展や丸亀での個展。何個も見逃してます涙
マイケル・リン
いつも壁いっぱいにアジアの伝統模様を描く彼が、今回は壁にぽつんとかかった絵画一点。彼らしくないな、と思って部屋を見渡してよく見ると、えんぴつで壁に色の塗られていない伝統模様が!!それが一点の絵画に続いて行く。お見事。
フセイン・チャラヤン
金沢の時は映像作品を出品していて、それはあまり好きじゃなかったけど、今回のLEDを用いた光る服は幻想的で美しかった。そして実際のショーの様子がビデオで見れるんやけど、これがメチャクチャおもしろかった。器械仕掛けで動く服。最後帽子に服が吸い込まれていってモデルさん裸になってた笑 いやー、とんでますねー。
石上純也
なんといっても今回の展覧会のメインは彼がかっさらいました。MOTの吹き抜け部分をうまく使ったインスタレーション。なんせ1tのアルミで出来た高さ14mにもなる物体がヘリウムで浮いてるんですから半端ないです。風の流れでいとも簡単に動く巨大物体はシュールそのもの。また、係員がたまに動かすんやけど、その様はまるで曲芸師の仕事を見てるみたいだ。2年前、大阪のKPOにて、彼の細いテーブルを初めて見た時は、イマイチ何がやりたいのかわからなかったけど、今回でようやくわかりました。浮遊感や非現実感を孕んだ作品作り。彼は来年のヴェニス建築ビエンナーレ日本館代表にも選ばれています。一体どんなものを見せてくれるんでしょうね。ちなみに彼は昔SANAA事務所で働いてました。非現実感は彼らから受け継いだものでしょうね。
こんな感じでザっと挙げましたが、他にもタナカノリユキによる「100 ERIKAS」も今回の話題の1つ。壁一面に沢尻エリカが変装した100の肖像写真が飾られてる様は圧巻。やっぱかわいい。にしても、同じように変装する作家、澤田知子は、彼女の特徴的な顔が味なんだけど、こんなかわいい人にやられるとちょっと立場ないかも笑
あとは、オラファーの作品はさすが、部屋全体がオレンジになってました。
褒めまくってますが、難点をいうと前半のテンションに対し、後半すこしダレた感が勿体なかった。
後半の作品はほぼスルーしてしまいました。BLESSとか期待してただけに残念。
そして、「東京都21世紀美術館」と賞賛とも皮肉ともとれる言い方をされるだけあって、金沢のオープニング展と出展者がたくさんかぶってるのもどうかと思いました。彼女の審美眼でもって、どんどん新しい作家を紹介してほしいものです。
なんにせよ、六本木と比べて、プロのキュレーターの手腕がはっきり示せてました。
昨日のプロフェッショナル見ててもやはりキュレーターとは壮絶な仕事ですね。
片手でできるような仕事では決して無いです。
しかも、日本のキュレーターはやることが多すぎです。
欧米のキュレーターは分業制で、キュレーションのみに力をそそげますが、日本ではまだまだほとんどの仕事をキュレーターがやらなければいけなかったりする。元詩が近代美術館のキュレーター小林昌夫氏が、日本のキュレーターがやってることをアメリカのキュレーターに話したら「オマエはスーパーマンか!?」と驚かれたとか笑
資金集めもそのスーパーマンがやらなければならない仕事の1つです。私立美術館ならまだしも、こうした国や都が運営する美術館は概して予算が少ない。それ以外からどう資金を集めるかで、随分違う。今回は、普通スポンサーとなる企業にお金を出してもらうだけで終わっていたものを、作品出品までお願いし、ダイキンは、「air relation」という色んな空気の充満した部屋のインスタレーションを提示してきた。こうした企業との連携も今回の注目すべき点である。
今までのMOTは多分、この資金の少なさを言い訳に、こんな大きな箱を持っていながら、まったく良い展覧会を行ってきませんでした。実際長谷川さんが赴任するまで、僕自身1度訪問しただけでした。石原都知事にも東京三大無駄施設とまで言われる始末。しかし彼女の赴任以降、カルティエ財団展やマルレーネ・デュマス展などの素晴らしい企画展が催されています。次回も川俣正展ということで、また足を運ぶことになりそう。立地条件や予算不足は、キュレーション次第でなんとかなるということを、長谷川さんは身を以て教えてるように思えます。彼女の様なキュレーターがいる限り日本にまだ光はありそう。
ただ長谷川さん、もう少しわかりやすい言葉を使ってください。「ポリフォニックな状況を許容すると同時にメタレベルのゆるやかなコントロールが可能なタオイスト的なキュレーション」とか「展覧会とはイディオシンクラティックな一回性の状況の中でつくりだされることの最認である。」とか意味わかりませんから・・・。横文字はできるだけ日本語で頼みます。
ところで今回常設展もすばらしかった。なにより僕がとても見たかった、スードーホーの「リフレクション」が見れたのはとてもうれしかった。階段で上の階に上がる時に見える風景は絶景。また、岡本太郎の「明日への神話」も展示されていて、予想以上の大きさに感動。
また、美術館の外の壁を使った鬼頭健吾のインスタレーションもすばらしかった。
企画展も常設展も館内・外すべて見応えのある上質な時間を過ごせました。
この展覧会は来年1月20日まで。まだの方は是非!!
ちなみに昨日のプロフェッショナルの再放送は来週火曜午後4:05~4:50(NHK総合)と来週水曜午後5:15~6:00(BS2)です。必見!彼女の「アートの力」を信じているという言葉はとても強かった。最後会場で子供達が楽しそうにしてる様を見守る姿は感涙もの。この番組凄い好きです。

六本木クロッシング2007:未来への脈動@森美術館
「映画評論家は映画を撮るべきではない」
これはおすぎが言ってた言葉ですが、この展覧会にも同じことが言えそう。
つまり
「美術評論家は美術展をキュレーションするべきではない」
もう、雑誌などで見てた時点でこりゃあかんな、と思ってたけどやっぱあかんかった。
今回の展覧会は3年前に開催された同タイトルの展覧会第2弾。今回はキュレーションチームに天野一夫(美術評論家)、荒木夏実(森美術館キュレーター)、佐藤直樹(アートディレクター)、椹木野衣(美術評論家)の4人を向かえ、ジャンルをクロッシング(横断)するというコンセプトで、それぞれ集めてきた人たちを話し合いにより選択したもの。この4人のうちキューレーターが1人含まれているものの、評論家が2人、アートディレクターがどういうものかよくわからんけど、佐藤さんはデザイン畑の人である。
ということで出展者も百花繚乱。美術畑で無い人たちもごろごろの展覧会。
確かにがんばった感があったけど、全くまとまりのない展覧会だった。
問題のひとつは、アートでないものをアートのように見せようとしていたところじゃないだろうか。
せっかく違う分野から呼んでいるんだから、それをそのまま見せればよかったのに。
所詮デザインはデザイン。漫画は漫画だと思う。
考え方が狭いと思われるかもしれないけど、僕は「NO BORDER」なんて考えがそもそも好きじゃない。
グローバリゼーションのように、地球人という見方には実際反吐が出る。
やはり日本人とナイジェリア人は違うし、ヴェトナム人とイギリス人も違う生き物なのだ。
そして、その違いがあるからお互い興味がひかれ合うし、尊敬し合えるのだ。
アートとデザインもそうで、やはり違う事で尊敬し合えると思う。
その違いを曖昧にしてしまった時何が起こるんだろう。
僕はあまりいい結果を生むようには思えません。
ちょっと話が大きくなったけど、この点でも、この展覧会に対して相容れない部分が大きかった。
ってことで展覧会自体の評価はこんなもんです。
その中でも個人個人でよかったのは、榎忠、吉村芳生、田中偉一郎だろうか。
榎さんのは相変わらずかっこよすぎです。文句なし。
吉村さんの、365日の自画像や新聞紙の精密画、そしてフェンスは、絵が好きな人なら、誰もが思う「どこまで描けるんだろう?」という純粋欲求を純粋に表現した点が特筆に値する。僕も中学生の頃、夏の風景画の課題で、教科書に載ってたサンフランシスコの写真をどこまで描けるのかと挑戦した事があった。その事を思い出して、見ていてとてもうれしくなった。
美術手帖の「やっつけメイキング」でおなじみの田中偉一郎の作品は、そのゆるさがこの展覧会においてとても救いだった。あまりの駄目さにイライラしながら回ってたのだけど、この阿呆らしさに一気に力が抜けてしまった。鳩一羽一羽に命名する映像作品や、刺身の魚拓等々。
あと、最後の「計算の森」は一緒に行った人全員クリアできませんでした笑
他には、名和さんや鬼頭さん、中西さんなど関西若手陣の作品は、残念ながらこの会場において、まじめすぎて浮いてたように思う。さかぎしよしおうの磁土をスポイトで一滴垂らし、乾いてはまたその上に一滴垂らして作る鬼のように時間も精神力も要る作品は、昔ギャラリーで見て、ギャラリストの人に小一時間熱く語られた記憶と共に改めて凄いなーと思ったけど、これもまた浮いてた。これらの作品はこの展覧会ではもったいなさ過ぎる。
やはりキュレーションはキュレーターがやるべきだ。
見てないけど、この春に水戸芸術館でやってた、松井みどり(美術批評家)の「マイクロポップの時代:夏への扉」展も概要見ただけで吐きそうだった。水戸芸術館はとてもいい美術展がやるということで、個人的にとても評価が高かったのだけど、こんな展覧会がやるようになってしまうとは、とても悲しい気持ちでいっぱい。あそこのキュレーターさんはとても質が高いので、これからもまた良い展覧会期待してます。
とりあえず次回のクロッシングはもっと考えてやりましょう。
water展@21_21 DESIGN SIGHT
六本木に今年できたニュースポット、ミッドタウンにも行ってきました。
まずは安藤忠雄によるデザインサイトへ。
最近安藤の力が関西だけではなく関東にも及んでいます。
表参道ヒルズを皮切りに、このデザインサイト、来年は新しい東京メトロ渋谷線の駅デザイン、そして新東京タワーのデザインにも関わったりと、もはや日本総なめ状態。あーやだやだ。世界でも知られていて、デザインも無難で、コンクリ打ち放しなのでコストも安いということで、日本では重宝されるんですかね。僕はあまり認めてません。
で、この美術館も別に普通でした。もっと尖ってるかと思ってた。
中では佐藤卓のディレクションによる「water」展が開かれてました。
水をテーマにした展示で、これが結構おもしろかった。
水の多種多様性を見た気がしたし、色んな事が学べる展覧会です。
普通の展覧会と違って、とてもインタラクティブで、お客さんも楽しそうでした。
ところで、デザインサイトというぐらいだから、ショップには相当凝ったものが置いてるんだろうなー、と期待してたのに、なんか店頭販売みたいな小さなブースしかなくてがっかりでした。
ちなみに近くの隈研吾によるサントリーミュージアムも見たけど普通過ぎてノーコメント。

これまた今年できた六本木のニュースポット、国立新美術館にも行ってきました。
こちらは最近亡くなられた黒川記章の遺作。
国内最大の美術館で、コレクションを持たず企画展のみの運営。
やってる展覧会があまりに面白くないのばかりだったので、とりあえず中だけ見学。
夏にやってた「スキン+ボーンズ」展とこないだまでやってた「安斎重男」展は見たかった。
中はガラスのファサードなので、すごい光が入ってる。
まあ、形とかホントどうでもいい感じやけど。
やっぱ黒川さんはメタボリズムやってたころが一番おもしろかったなー。
パリのミシュランにも載ってるというレストランのランチが安くて11時には列ができてた。
ここのショップはデザインものが多くておすすめです。Tシャツ買いました。
横でセントマ卒業のファッションデザイナーの展示もやってた。
家がそのまま服になってる。。。セントマというよりアントワープ的だった。



これはおすぎが言ってた言葉ですが、この展覧会にも同じことが言えそう。
つまり
「美術評論家は美術展をキュレーションするべきではない」
もう、雑誌などで見てた時点でこりゃあかんな、と思ってたけどやっぱあかんかった。
今回の展覧会は3年前に開催された同タイトルの展覧会第2弾。今回はキュレーションチームに天野一夫(美術評論家)、荒木夏実(森美術館キュレーター)、佐藤直樹(アートディレクター)、椹木野衣(美術評論家)の4人を向かえ、ジャンルをクロッシング(横断)するというコンセプトで、それぞれ集めてきた人たちを話し合いにより選択したもの。この4人のうちキューレーターが1人含まれているものの、評論家が2人、アートディレクターがどういうものかよくわからんけど、佐藤さんはデザイン畑の人である。
ということで出展者も百花繚乱。美術畑で無い人たちもごろごろの展覧会。
確かにがんばった感があったけど、全くまとまりのない展覧会だった。
問題のひとつは、アートでないものをアートのように見せようとしていたところじゃないだろうか。
せっかく違う分野から呼んでいるんだから、それをそのまま見せればよかったのに。
所詮デザインはデザイン。漫画は漫画だと思う。
考え方が狭いと思われるかもしれないけど、僕は「NO BORDER」なんて考えがそもそも好きじゃない。
グローバリゼーションのように、地球人という見方には実際反吐が出る。
やはり日本人とナイジェリア人は違うし、ヴェトナム人とイギリス人も違う生き物なのだ。
そして、その違いがあるからお互い興味がひかれ合うし、尊敬し合えるのだ。
アートとデザインもそうで、やはり違う事で尊敬し合えると思う。
その違いを曖昧にしてしまった時何が起こるんだろう。
僕はあまりいい結果を生むようには思えません。
ちょっと話が大きくなったけど、この点でも、この展覧会に対して相容れない部分が大きかった。
ってことで展覧会自体の評価はこんなもんです。
その中でも個人個人でよかったのは、榎忠、吉村芳生、田中偉一郎だろうか。
榎さんのは相変わらずかっこよすぎです。文句なし。
吉村さんの、365日の自画像や新聞紙の精密画、そしてフェンスは、絵が好きな人なら、誰もが思う「どこまで描けるんだろう?」という純粋欲求を純粋に表現した点が特筆に値する。僕も中学生の頃、夏の風景画の課題で、教科書に載ってたサンフランシスコの写真をどこまで描けるのかと挑戦した事があった。その事を思い出して、見ていてとてもうれしくなった。
美術手帖の「やっつけメイキング」でおなじみの田中偉一郎の作品は、そのゆるさがこの展覧会においてとても救いだった。あまりの駄目さにイライラしながら回ってたのだけど、この阿呆らしさに一気に力が抜けてしまった。鳩一羽一羽に命名する映像作品や、刺身の魚拓等々。
あと、最後の「計算の森」は一緒に行った人全員クリアできませんでした笑
他には、名和さんや鬼頭さん、中西さんなど関西若手陣の作品は、残念ながらこの会場において、まじめすぎて浮いてたように思う。さかぎしよしおうの磁土をスポイトで一滴垂らし、乾いてはまたその上に一滴垂らして作る鬼のように時間も精神力も要る作品は、昔ギャラリーで見て、ギャラリストの人に小一時間熱く語られた記憶と共に改めて凄いなーと思ったけど、これもまた浮いてた。これらの作品はこの展覧会ではもったいなさ過ぎる。
やはりキュレーションはキュレーターがやるべきだ。
見てないけど、この春に水戸芸術館でやってた、松井みどり(美術批評家)の「マイクロポップの時代:夏への扉」展も概要見ただけで吐きそうだった。水戸芸術館はとてもいい美術展がやるということで、個人的にとても評価が高かったのだけど、こんな展覧会がやるようになってしまうとは、とても悲しい気持ちでいっぱい。あそこのキュレーターさんはとても質が高いので、これからもまた良い展覧会期待してます。
とりあえず次回のクロッシングはもっと考えてやりましょう。
water展@21_21 DESIGN SIGHT
六本木に今年できたニュースポット、ミッドタウンにも行ってきました。
まずは安藤忠雄によるデザインサイトへ。
最近安藤の力が関西だけではなく関東にも及んでいます。
表参道ヒルズを皮切りに、このデザインサイト、来年は新しい東京メトロ渋谷線の駅デザイン、そして新東京タワーのデザインにも関わったりと、もはや日本総なめ状態。あーやだやだ。世界でも知られていて、デザインも無難で、コンクリ打ち放しなのでコストも安いということで、日本では重宝されるんですかね。僕はあまり認めてません。
で、この美術館も別に普通でした。もっと尖ってるかと思ってた。
中では佐藤卓のディレクションによる「water」展が開かれてました。
水をテーマにした展示で、これが結構おもしろかった。
水の多種多様性を見た気がしたし、色んな事が学べる展覧会です。
普通の展覧会と違って、とてもインタラクティブで、お客さんも楽しそうでした。
ところで、デザインサイトというぐらいだから、ショップには相当凝ったものが置いてるんだろうなー、と期待してたのに、なんか店頭販売みたいな小さなブースしかなくてがっかりでした。
ちなみに近くの隈研吾によるサントリーミュージアムも見たけど普通過ぎてノーコメント。

これまた今年できた六本木のニュースポット、国立新美術館にも行ってきました。
こちらは最近亡くなられた黒川記章の遺作。
国内最大の美術館で、コレクションを持たず企画展のみの運営。
やってる展覧会があまりに面白くないのばかりだったので、とりあえず中だけ見学。
夏にやってた「スキン+ボーンズ」展とこないだまでやってた「安斎重男」展は見たかった。
中はガラスのファサードなので、すごい光が入ってる。
まあ、形とかホントどうでもいい感じやけど。
やっぱ黒川さんはメタボリズムやってたころが一番おもしろかったなー。
パリのミシュランにも載ってるというレストランのランチが安くて11時には列ができてた。
ここのショップはデザインものが多くておすすめです。Tシャツ買いました。
横でセントマ卒業のファッションデザイナーの展示もやってた。
家がそのまま服になってる。。。セントマというよりアントワープ的だった。




ピピロッティ・リスト「からから」@原美術館
スイスの映像作家ピピロッティ・リストの日本初となる個展が原美術館で開催中です。
彼女の作品はどこかとても突き抜けていて、しかしどこかに毒もある、みたいな感じ。
この展覧会でも展示されてる、彼女を一躍有名にした97年の「Ever Is Over All」は彼女の突き抜けたキャラクターが全面に出た作品で、昨年ベルリンのハンブルグ駅美術館で見た時はもう笑けて笑けて仕方なかった。今回も笑ったけど。笑いながら、ルンルンで謎の植物でもって、次々と駐車中の車の窓ガラス割っていくシュールさがたまらん。途中で警官が通りすがるんやけど、注意するどころか、笑顔で敬礼して去っていくところが一番の見所。いやー、好きです。
他にもこの展覧会は彼女のインスタレーション能力の素晴らしさも体験できます。
映像作家はインスタレーション能力の有無が結構重要。束芋も素晴らしいし。
それから音の選び方のセンス。映像において、音は重要で、映像を生かすも殺すも音楽次第といっても過言でもないと思う。無音が一番無難なんやけど、彼女の映像作品はほとんど音がついてる。どんな感覚でつけてはるんやろ。
気になった作品をいくつか。
床が小さく破けてて、その小さな穴に彼女が火の中に落ちていく映像が。ずっと「ヘルプミー」と叫んでるんやけど、ヘルプするどころか、あわや気づかず踏んでしまいそうな感じ。係員が必死に守ってました笑
とか、大きな木箱の中をのぞくと、ドールハウスのような、ミニチュアの部屋があって、途中宇宙とか出て来ててシュールなんだけど、実はその箱自体、運送用の箱で、宛名とか送り先とかそのまま貼られたままになってる。送られて来て置いただけのようなラフさがいい。
今回の目玉であろう、大きなソファと大きな照明、大きなリモコンで、前の大きなテレビを操作するインスタレーションは、自分が小人になったような気になる。端から見てたら、ホント観客が小人のようでかわいい。ってかあのソファ欲しい。
しかし今回、正直、映像自体に力があったのは前述の「Ever Is Over All」くらいかもしれない。インスタレーションがいいからなんとか見れるんやけど、映像だけ取り出すとしんどいのも多い、気がする。
なんにせよ彼女の変態っぷりがたっぷり楽しめる展覧会となっております。
来年2月11日まで。12月25日から1月4日まではお休み。
原美術館は、小さいながらも毎度独自の展覧会が行われてて素晴らしい。今度は何かなー。
中川佳宣展「光の根」@nomart project space
日本に帰って来てからロンドンにいた時に比べ展覧会を観に行く回数が減った。
まあ、最近のブログの更新頻度とロンドンにいた時のそれを比べれば一目瞭然。
やはりロンドンには日本とは比べ物にならないくらい質の高い展示が目白押しだった。
それでも帰って来てよかったな、と思えるのは恩師や友人・知人の展覧会を見られること。
やはり日本で活動してる人が大多数なので、これらの展覧会を気軽に観に行けるのは幸せです。
ロンドンにいる時何度知人の展覧会を観に行けずに歯がゆい想いをしたことか。
ということで、今回は、帰って来てから行われた知人達の展覧会のレビューを書きます。
知ってる人たちなので、逆に書きにくいけどあえて挑戦。苦情は受け付けません笑
まずは大学時代の恩師の1人中川さんのノマルでの個展。
彼の作品は非常に寡黙で力強い。本人は至ってエロ親父なのに爆
今回の個展は昨年の個展を発展させたものだそうだ。
昨年の個展ではわからないわからないと繰り返してた小生だが、今回行ったらなんとなく中川さんの作品が理解できてうれしかった。
彼の作品はスタイリッシュからはほど遠いほどに無骨だ。
ザラザラしていて、まっすぐではない。
それは彼が滋賀の自宅でやってる農業に深く関係している。
結局アートも人の手仕事なのだ、というメッセージが伝わってくる。
日本に帰ってくると何もかもがツルツルしていて、現実感を失いそうになる。
ヨーロッパでは石畳が未だに残っていたり、とてもゴツゴツしている。
とても歩きにくいんだけど、足に刺激が伝わって「歩いている」という感じがする。
日本では失われつつあるその現実感を中川さんの作品にはとても感じた。
そして今回タイトルでもある「光の根」というコンセプトにとても共感を憶えた。
彼がこの展覧会に寄せて書いた文章中にあるファーブル著「植物記」の一説がとても印象的だ。
植物は性格が正反対の二つの部分に分かれている。光を求めてやまない茎と、闇がほしい根とである。茎は太陽の光をあびるために、自力で立ちあがれないときには、巻きひげ、かすがい、かぎ、登攀根といった、登るためのあらゆる道具の助けをかりる。しゃにむにとなりの茎に身を寄せかけて、らせんにからんでゆく。必要とあれば、相手を腕のなかでしめあげてしまう。根のほうは暗闇でしか生きない。どうしても地中の闇が必要だ。そこに達するためには何ものにもたじろがない。腐葉土がなければ、粘土に凝灰岩のなかにでももぐりこむ。傷を負う危険をおかして石のあいだに忍び入り、岩のさけ目にすべりこむ。第一に必要なことは太陽を見ないことだ。極度に対照的な性格はみなそうだが、根と茎の反対の性向もごく幼いときからはっきり現れる
以前木というのは、枝が延びている範囲と同じだけ地中に根を張っているという話を聞いた。
見えない部分にこそ本質が隠されている。
今回の展覧会を通して色んなことを考えてしまった。
小枝繁昭「彼方に見えるもの」@KOUICHI FINE ARTS
こちらも大学時代の恩師、小枝さんの個展。
彼はガラス越しに花を覗き、その上から絵の具で花との対話によって生まれた色を置いていき、それを最終的に写真に落とし込むという作品で知られてますが、今回はシンプルにアクリルで花を描いたドローイングのような作品達だった。
前者の表現と比べ、やはり、地味ではあるが、小枝さんの眼差しが届くようだった。
にしても、ちょっと間違ったら年寄りの趣味にも見えなくもなくて・・・。
お話を伺いたかったが、在廊してらっしゃらなかったのでできなかった。残念。
小枝さんはずっと「今を感じる作品を作りたいし見てみたい」とおっしゃってた。
その「今」という事に関して色々お話またお聞きしたいと思う。
彼もロンドンに滞在制作をしていた事があり、それに関するインタビューで、帰って来て日本のことを考えた作品を作りたいというようなことを仰ってた。マーケット受けするような作品ではないかも知れないがそれでも日本人として作品を作っていきたいと。僕も今そんな気持ちです。あぁ、色々お話ししたいです。
表恒匡「R」@neutron
先輩の表さんの個展。
3つ上の先輩ながら、個人的に親しくさせていただいてる人です。
実際表さんの展覧会は個展、グループ展含めほとんど見させてもらってます。
毎回次はどんな展開でくるのか楽しみで、今回も期待して観に行きました。
正直、神戸アニュアルや去年の大学内での展示に僕は満足できませんでした。
それは作品にどこか迷いのようなものを感じてしまったからでした。
本人的にはどうかわからないのですが、見手の1人としてそう感じたのです。
しかし今回の個展では、その迷いが吹き飛んでとても気持ちいい作品達でした!
初期の反射率の高いブラックペインティングから、うまく引き継いだような写真。
真っ黒の夜の水平線の写真にアクリルがマウントされていて、その水平線が突き出すように物理的に曲げられ婉曲した作品が2作と、星空を長時間露光して撮られた作品にこれまたアクリルマウントが施され、天頂になる部分が穿たれたアクリルが歪んだ作品。
写真というのは概して冷たい印象が漂うものです。
なにせモチーフが写真の向こう側にある上、表面はツルツルだから。
しかしこの作品は物理的効果がその冷たさを感じさせない強さを持っていました。
また次はどういった展開がくるのか楽しみです。コーヒーごちそうさまでした。
川北ゆう「WATER WAVER」@立体ギャラリー射手座
同級生です笑
彼女の作品は言葉では表しづらい抽象性があるのですが、昔から作品には一貫性がありました。
コンセプトとして一貫するのは簡単だけど、作品として一貫するのは中々難しいと思う。
それを彼女はさも自然にやってのけてる人です。
3年の頃(3年くらい前)、オブラートという素材に出会い、彼女の作品はより一層広がりを見せました。
そして今回もオブラートで描かれた、必然と偶然による表現は健在で、前までペンを使って描画していたものを、油絵の具に変えたという新しい試みは、今までにない力強さを携えていてとてもよかった。まるで書道家が一筆でえいやと書いたような力強さ。見ていて気持ちがよかったです。色も形もすごいよかった。
そして新作の乳白色のアクリルの上に水たまりを作って、そこに絵の具を指ですっと延ばしたストロークの作品も悔しいくらいよかった笑 これまた彼女の世界観を何の無理もなく引き継いでいて、その影には努力もあっただろうけど、それを感じさせない気持ちよさがあった。
そしてギャラリー空間との兼ね合いもとてもうまくいってて、全体的にも綺麗過ぎるくらいのまとまり。ホント友人とか抜きにしても良い展覧会なので、是非京都に行ったら観に行ってやってください。今月23(日)まで。
西山美なコ「いろいき」@京都芸術センター
直接は関係ないんだけど、去年から精華の立体に教えに来てる精華関係者ってことで。
彼女の作品は、少女が描くメルヘンを極端なまでに表現した作品で知られます。
砂糖でできた王冠や、リカちゃんハウスをでかくした様な立体インスタレーションなど。
そんな中でも彼女が最近力を入れてるのが装飾的ドローイングやレリーフ。
今回は南・北ギャラリーだけでなく、元小学校である芸術センターの階段の踊り場や渡り廊下にもドローイングを施してあって、中々見応えがありました。
ギャラリー内では白いレリーフの裏地にピンクを塗って、壁や床から少し浮かして展示する事で、その裏地の色が緩やかに反射する立体作品が展示されてました。とても綺麗で繊細な作品のため、今回残念でならなかったのがなんといっても床の汚さ。反射する床が、よりその汚さを強調しているのが残念でなりませんでした。
そんな中でも、踊り場にあったすごい薄いピンクで塗られて、浮き出て来る様な壁画はすばらしかった。思わず写真に撮ったけど何も写らなかった。残念。
まあ、最近のブログの更新頻度とロンドンにいた時のそれを比べれば一目瞭然。
やはりロンドンには日本とは比べ物にならないくらい質の高い展示が目白押しだった。
それでも帰って来てよかったな、と思えるのは恩師や友人・知人の展覧会を見られること。
やはり日本で活動してる人が大多数なので、これらの展覧会を気軽に観に行けるのは幸せです。
ロンドンにいる時何度知人の展覧会を観に行けずに歯がゆい想いをしたことか。
ということで、今回は、帰って来てから行われた知人達の展覧会のレビューを書きます。
知ってる人たちなので、逆に書きにくいけどあえて挑戦。苦情は受け付けません笑
まずは大学時代の恩師の1人中川さんのノマルでの個展。
彼の作品は非常に寡黙で力強い。本人は至ってエロ親父なのに爆
今回の個展は昨年の個展を発展させたものだそうだ。
昨年の個展ではわからないわからないと繰り返してた小生だが、今回行ったらなんとなく中川さんの作品が理解できてうれしかった。
彼の作品はスタイリッシュからはほど遠いほどに無骨だ。
ザラザラしていて、まっすぐではない。
それは彼が滋賀の自宅でやってる農業に深く関係している。
結局アートも人の手仕事なのだ、というメッセージが伝わってくる。
日本に帰ってくると何もかもがツルツルしていて、現実感を失いそうになる。
ヨーロッパでは石畳が未だに残っていたり、とてもゴツゴツしている。
とても歩きにくいんだけど、足に刺激が伝わって「歩いている」という感じがする。
日本では失われつつあるその現実感を中川さんの作品にはとても感じた。
そして今回タイトルでもある「光の根」というコンセプトにとても共感を憶えた。
彼がこの展覧会に寄せて書いた文章中にあるファーブル著「植物記」の一説がとても印象的だ。
植物は性格が正反対の二つの部分に分かれている。光を求めてやまない茎と、闇がほしい根とである。茎は太陽の光をあびるために、自力で立ちあがれないときには、巻きひげ、かすがい、かぎ、登攀根といった、登るためのあらゆる道具の助けをかりる。しゃにむにとなりの茎に身を寄せかけて、らせんにからんでゆく。必要とあれば、相手を腕のなかでしめあげてしまう。根のほうは暗闇でしか生きない。どうしても地中の闇が必要だ。そこに達するためには何ものにもたじろがない。腐葉土がなければ、粘土に凝灰岩のなかにでももぐりこむ。傷を負う危険をおかして石のあいだに忍び入り、岩のさけ目にすべりこむ。第一に必要なことは太陽を見ないことだ。極度に対照的な性格はみなそうだが、根と茎の反対の性向もごく幼いときからはっきり現れる
以前木というのは、枝が延びている範囲と同じだけ地中に根を張っているという話を聞いた。
見えない部分にこそ本質が隠されている。
今回の展覧会を通して色んなことを考えてしまった。
小枝繁昭「彼方に見えるもの」@KOUICHI FINE ARTS
こちらも大学時代の恩師、小枝さんの個展。
彼はガラス越しに花を覗き、その上から絵の具で花との対話によって生まれた色を置いていき、それを最終的に写真に落とし込むという作品で知られてますが、今回はシンプルにアクリルで花を描いたドローイングのような作品達だった。
前者の表現と比べ、やはり、地味ではあるが、小枝さんの眼差しが届くようだった。
にしても、ちょっと間違ったら年寄りの趣味にも見えなくもなくて・・・。
お話を伺いたかったが、在廊してらっしゃらなかったのでできなかった。残念。
小枝さんはずっと「今を感じる作品を作りたいし見てみたい」とおっしゃってた。
その「今」という事に関して色々お話またお聞きしたいと思う。
彼もロンドンに滞在制作をしていた事があり、それに関するインタビューで、帰って来て日本のことを考えた作品を作りたいというようなことを仰ってた。マーケット受けするような作品ではないかも知れないがそれでも日本人として作品を作っていきたいと。僕も今そんな気持ちです。あぁ、色々お話ししたいです。
表恒匡「R」@neutron
先輩の表さんの個展。
3つ上の先輩ながら、個人的に親しくさせていただいてる人です。
実際表さんの展覧会は個展、グループ展含めほとんど見させてもらってます。
毎回次はどんな展開でくるのか楽しみで、今回も期待して観に行きました。
正直、神戸アニュアルや去年の大学内での展示に僕は満足できませんでした。
それは作品にどこか迷いのようなものを感じてしまったからでした。
本人的にはどうかわからないのですが、見手の1人としてそう感じたのです。
しかし今回の個展では、その迷いが吹き飛んでとても気持ちいい作品達でした!
初期の反射率の高いブラックペインティングから、うまく引き継いだような写真。
真っ黒の夜の水平線の写真にアクリルがマウントされていて、その水平線が突き出すように物理的に曲げられ婉曲した作品が2作と、星空を長時間露光して撮られた作品にこれまたアクリルマウントが施され、天頂になる部分が穿たれたアクリルが歪んだ作品。
写真というのは概して冷たい印象が漂うものです。
なにせモチーフが写真の向こう側にある上、表面はツルツルだから。
しかしこの作品は物理的効果がその冷たさを感じさせない強さを持っていました。
また次はどういった展開がくるのか楽しみです。コーヒーごちそうさまでした。
川北ゆう「WATER WAVER」@立体ギャラリー射手座
同級生です笑
彼女の作品は言葉では表しづらい抽象性があるのですが、昔から作品には一貫性がありました。
コンセプトとして一貫するのは簡単だけど、作品として一貫するのは中々難しいと思う。
それを彼女はさも自然にやってのけてる人です。
3年の頃(3年くらい前)、オブラートという素材に出会い、彼女の作品はより一層広がりを見せました。
そして今回もオブラートで描かれた、必然と偶然による表現は健在で、前までペンを使って描画していたものを、油絵の具に変えたという新しい試みは、今までにない力強さを携えていてとてもよかった。まるで書道家が一筆でえいやと書いたような力強さ。見ていて気持ちがよかったです。色も形もすごいよかった。
そして新作の乳白色のアクリルの上に水たまりを作って、そこに絵の具を指ですっと延ばしたストロークの作品も悔しいくらいよかった笑 これまた彼女の世界観を何の無理もなく引き継いでいて、その影には努力もあっただろうけど、それを感じさせない気持ちよさがあった。
そしてギャラリー空間との兼ね合いもとてもうまくいってて、全体的にも綺麗過ぎるくらいのまとまり。ホント友人とか抜きにしても良い展覧会なので、是非京都に行ったら観に行ってやってください。今月23(日)まで。
西山美なコ「いろいき」@京都芸術センター
直接は関係ないんだけど、去年から精華の立体に教えに来てる精華関係者ってことで。
彼女の作品は、少女が描くメルヘンを極端なまでに表現した作品で知られます。
砂糖でできた王冠や、リカちゃんハウスをでかくした様な立体インスタレーションなど。
そんな中でも彼女が最近力を入れてるのが装飾的ドローイングやレリーフ。
今回は南・北ギャラリーだけでなく、元小学校である芸術センターの階段の踊り場や渡り廊下にもドローイングを施してあって、中々見応えがありました。
ギャラリー内では白いレリーフの裏地にピンクを塗って、壁や床から少し浮かして展示する事で、その裏地の色が緩やかに反射する立体作品が展示されてました。とても綺麗で繊細な作品のため、今回残念でならなかったのがなんといっても床の汚さ。反射する床が、よりその汚さを強調しているのが残念でなりませんでした。
そんな中でも、踊り場にあったすごい薄いピンクで塗られて、浮き出て来る様な壁画はすばらしかった。思わず写真に撮ったけど何も写らなかった。残念。
Turner Prize winner 2007
Mark Wallinger!
昨夜(日本時間深夜)映画監督のデニス・ホッパー氏によって発表されました。
今更?というのが単純な感想
というのも、このウォリンジャー氏、現在48歳
95年のターナー賞にもノミネートされ、デミアンに受賞を奪われて以来のノミネートでの受賞。
ターナー賞は50歳以下の作家に与えられる賞なので、まさにギリギリの受賞。
春から夏にかけてテートブリテンの開廊を使って行われた、反戦デモの作品'State Britain'が大きかったのでしょう。
にしても、こんなキャリアのある人がとっても全然おもしろくないというのが本音。
詳細はコチラ。
少し前までロンドンの秋・冬の目玉といえば、このターナー賞だったのに、すっかりアートフェアに押されて影が薄くなってしまった・・・。アートフェアって場所性が希薄なものなので、是非ターナー賞のような場所性の強いものに頑張ってほしいんですが、賞の存続もどうなることやら。
あぁ、ターナー賞。。。今後どうなっていくのでしょう。
来年は元のテートブリテンに帰ってくるそうです。