アイランドシティ中央公園中核施設ぐりんぐりん by 伊東豊雄

多摩美図書館と並んで、日本で最も行きたかった場所。福岡にある「ぐりんぐりん」。
博多湾に浮かぶ人口の島「アイランドシティ」に建てられたこの奇妙な建物。
「建物」と呼ぶには抽象的過ぎるフォルムはまさに伊東さんが目指しておられるものにふさわしい。
その名の通り、ぐりんぐりんとねじれて出来たその丘のような物体。
中は植物園で、グリーンともかけてるんだけど、馬鹿げたネーミングながらうまいと思う。
メビウスの輪のようにまるで1枚の布がねじれて、裏も表もない状態。
伊東さんはこの人口のフラットな島にまるで大地が隆起したような丘を生み出したかったのだとか。
確かに人口の島というのは概して不自然さが漂う。
しかしこの公園には既に前の溜池には水鳥が繁殖し、草むらにはバッタが飛び回っていた。
そしてこの建物は屋根が屋上庭園となっていて、その芝がそのまま下の芝へと続いていく。
まさしく「大地が隆起した」ような自然と一体となった建物だった。
ちなみに最初行った時、曇っていて、それでもめげずに写真を撮っていたのだけど、近くまで行ってみて驚愕の事実が。
「定休日 火曜」
そう、その日は思っきしチューズデー。なんで火曜やねん!普通月曜やろ!
どうりで人が少ない、ってか誰もいないわけだ・・・。
植物園の管理会社の人たちがいて、そのおかげで一部ドアとか開いてて、よっぽどそこから侵入しようとしたけど断念。敢えなく外観だけ撮影してたんだけど、どうしても屋根は昇りたかったので、管理会社の人たちが休憩してる間に目を盗んで屋上へ。
しかし、降りる時に休憩時間終了。下で彼らが仕事を始めてしまったっ!
やばい、怒られる・・・。
考えた結果、伊東事務所の関係者が様子を伺っているという設定で、本当に何気ない感じで彼らの前を横切っていった。これが意外といけて、全然呼び止められもしなかった。それともあまりに不憫に見えたのだろうか・・・。何にせよ脱出成功。
まあ、そんなこんなの初訪問だったわけだけど、やっぱり納得がいかず、結局一日増やして次の日リベンジ。
そしたら見事な快晴!写真日和だ!
ってことでとりあえず撮った写真をのっけまくります。





















とりあえずのっけまくってみましたが、写真でもよくわかりませんね笑
まず、構造としては、大きな3つのドームがあって、1つが休憩所のようになってて、椅子とテーブルが並べられている(写真1枚目)。そして残り2つは植物園になってて、中は温室。熱帯の蝶やブーゲンビリアなどの花が美しく咲き乱れてます。天窓から差し込む光がとても美しい。
そして目玉はそのドームとドームをつなぐ時の「ねじれ」。
実際見てもどうなってるのかよくわからないんだけど、やはり圧巻。
もっとツルっとしたイメージがあったんだけど、微妙に歪んでいて、凄く艶かしい。まるで大きな生物のよう。
中と外はスロープで結ばれ、自由に天井の庭園に出る事が出来る。
また、ぐりんぐりんの周りも伊東事務所によるものが多い。
トイレ。アルミで出来てる。中は案外普通。

「太陽のフォリー」というオブジェ。
中に太陽電池が埋め込まれてて、トイレの照明用に蓄電してる。

ベンチ。結構使いやすそう。

腰掛け椅子(?)。

また、ぐりんぐりんの中でこれの工事現場の映像を見る事ができたんだけど、凄まじかった。
なんせ、こんなぐねぐねしてるから、コンクリを流し込む際の基礎が半端なく複雑。
すべて木のパネルで調整されるんやけど、同じ形が1枚もない。
1枚1枚切っていって、誤差は2cmしか許されないという厳しさ。
この建物は、建築家の発想と、構造家のちみつな計算、そして匠達の業。
これらがひとつでも欠ければ建てる事ができなかった建物。
映像を見ながら思わずうるっときてしまった。
建築の未来。それはハイテクノロジーと手業によって成せる新しい世界。
次へ次へ、建築の歴史を進める伊東さん。本当に眩しいスーパースター。
これから次はどんな未来を見せてくれるのか。楽しみでなりません。
